2024/09/30 のログ
ご案内:「医療施設群 長期療養施設」に❖❖❖❖❖さんが現れました。
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目が覚めた時、感じたのは酷い倦怠感と、致命的な何かが足りないような、喪失感だった。
(知らない天井ね――なんて言うのが正解なのかしら)
女の左腕には、輸血用の管が何本も刺さっており、体の中に無理やり血液を送り込んでいるようだ。
それ自体にあまり事態を改善する効果はない物の――こうして大量の血液を送り込んでもらえてなかったら、女の脳は重大な脳貧血によって再起不能になっていた事だろう。
(うーん、こっちは輸液――栄養点滴かしら?
薬も色々ねえ、なにが効くかわからないから片っ端から、って感じなのかも?
ふふっ、めーちゃんが見たら怒りそうね。
わたしの状態を一番よくわかってるのは、今じゃもう、めーちゃんくらいだものね)
そこまで考えて、どことなく息苦しさを感じる。
気づけばマスクを被せられて、人工呼吸器を着けられてるみたいだ。
恐らく自発呼吸すらままならなかったのだろう。
そして、胸部にはいくつものジェルパッド――当然のように、心電図は波立つことはない。
代わりに、指先に付けられたオキシメーター経由では、脈拍が測れている。
大体、80前後。
酸素分圧が低いのは、やはりどうしようもなく血液が足りないのだろう。
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ふと、視線を枕の横に向けると、そこには小さな亀。
水色の亀のぬいぐるみが置かれていた。
(もう――めーちゃんてば、割り切れてないんだから。
もう、『あの子』はもういないのに――)
それでも嬉しくなってしまうのは仕方のない事だろう。
たとえ、今の『女』の事を認めておらず、嫌悪――どころか憎悪していたとしても。
少しでも面影を感じて、どんな感情であっても関心を持ってくれる――それが嬉しいのだ。
(さて、と――どうしようかしら。
こういう時は、まずはナースコール?
でも、特になにか人を呼ぶような用事もないのよねえ)
少し悩みつつ、病室の扉が開いているのに気づいた。
これは恐らく、通りかかった医療関係者が常に様子を見れるようにしてあるのだろう。
『幼馴染』が来てくれていた以上、面会謝絶と言うわけでもないらしい。
とはいえ、『女』に会いに来てくれるような知人は、彼女以外に思い当たらなくもあるのだが。