2024/12/17 のログ
ご案内:「医療施設群 医療研究施設 〇ロ号処置室」にエデン-H-プランクさんが現れました。
>  
 使用中のサインとして、赤いランプが常に点灯している、とある処置室の前。
 鉛色の長髪を、首の後ろで細くまとめている青年は、奔放で自由な昔馴染みに頼まれ、人を待っていた。

「はあ。
 いつも一足飛びで行動するところは、昔と変わらないな。
 彼女のバイオリンが聞けないのは、少し残念だけど」

 そんな困ったように微笑んでいる青年の名前は『(スウ)』。
 ピンクの妖精さんを自称する、エデンの古馴染みである。

 処置室の扉横に背中を預け、腕を組んで待ち人を待つ。
 完全に目を閉じているようにしか見えない青年は、どうやって相手を見分けるのだろうか。
 それは青年と付き合いの長い『妖精』すら知らない、不思議な謎である。
 

ご案内:「医療施設群 医療研究施設 〇ロ号処置室」にメアさんが現れました。
メア >  
こんな場所にこんな施設があったのか、それぐらいの感想を浮かべながら施設の中へと進む
受付らしき場所があればただ一言

「妖精に、呼ばれた……」

それだけ言って指定された部屋を探す
暗い瞳は知らない場所という事もあってか警戒心のせいで更に黒く感じる

知人の名を騙った何かの罠という可能性も捨てきってはいない

そんな中で暫くすれば目を閉じた知らない青年を発見する

>  
「ん――君が、メアちゃんだね」

 青年は少女が近寄るよりも早く、少女の名前を問いかけた。
 目を閉じているどころか、開けていても視界の外だったかもしれない。

「彼女から話は聞いているよ。
 君も関係者だそうだからね、情報は登録してある。
 学生手帳を持ったまま近づいてくれれば、扉は開くよ」

 青年はそう話して、少女に処置室の中に入るよう案内した。
 

メア >  
「ん……誰…?」

少なくとも妖精には見えない青年に声を掛けられ足を止める
揺らぐ影は臨戦態勢の証

「そう……なら、そうする…」

学生手帳を取り出して、処置室に近づく
扉が開けば気持ちゆっくりと室内へ

青年に対してはまだ警戒心を露にしつつ

>  
「僕は(スウ)
 ここの主任研究員だよ。
 君たちの邪魔はしないから、安心してくれ」

 そう目を閉じたまま、穏やかに微笑む。

「ただ、少し、驚くような状況かもしれないけれど」

 警戒心の強そうな少女に、また、処置室の中の状況に苦笑した。

 少女が扉に近づき、二重になった扉は音もなくスライドして開いた。
 その中には、天井まで届く円柱型の培養槽の中にに、見知った頭と、心臓だけが、様々なケーブルに繋がれて、浮かんでいる。
 

メア >  
さて、処置室の中の状況を確認すればあまり好ましくない状況と言える
特に目の前の培養槽

「…死んでるなら、みんな同じにして……壊して出ていく…」

ぐるりと鄒と名乗った青年に振り替える
罠だった、誘き出されたという考えが半ば頭の中を占め始める

「やるなら落ち着いてやりなよ~」

頭の中の声はいつも通り、興味なさげに適当なことを言う

>  
「驚くのも無理はない。
 大丈夫、これでも彼女はちゃんと生きているよ。
 ただ、未だに意識不明ではあるけどね」

 そう青年は説明しつつ、微笑んで中に入るように促した。

「詳しい話は、中で呼び出した張本人に訊くと良いよ。
 温かい飲み物や、お茶菓子はいるかい?」

 そう、青年は少女に訊ねた。
 

メア >  
「…前より、体減ってる……なんで?」

飲み物やお茶菓子については首を横に振る
いまだに警戒心は解けていない

けれども話は聞いておく気なのか言われるままに中へ

「それで、妖精は……どこ…?」

自分を呼び出した張本人について尋ねる

>  
「蛇に呑まれたんだ。
 確かに彼女はこの数年の間使っていた体を失ったけど、代わりに、本来の彼女自身の心臓を取り戻した。
 足し引きで言えば、プラスと言えるだろうね」

 少女に首を振られれば、「そう」と、少しだけ寂しそうに言った。

「中に居るよ。
 僕は外にいるから、邪魔が入る事はない。
 安心して、君の知りたい事を訊ねるといい」

 そう青年が言うと、二重扉はまた静かに閉まった。
 

エデン-H-プランク >  
 ――処置室の中は、あまりにも静かだった。

 多くの機械が動いているにも関わらず、その駆動音も些細な物である。
 時折、培養槽の中から、養液が泡立つ音を聞き取れるくらいだ。

「――はあい♪
 待っていたわ、愛しい人の子」

 そんな声が、天井から響いて、ゆっくりと小さな姿が舞うように降りてくる。
 桃色の髪に天使の様な羽と環。
 妖精さんというよりは、天使と言った方が相応しいようにすら見えるだろう。

「ふふっ、あんまり緊張しないで?
 ほらほら、こっちよ。
 女の子二人で立ち話なんて、とっても寂しいわ」

 そんな事を言う『妖精』は、処置室の中に用意された、まるで場違いなティーテーブルへと少女を誘う。
 テーブルには二人分のカップと、バターが香るクッキーが並んでおり。
 対面できるように椅子が二脚、用意されていた。
 

メア >  
見慣れない存在が頭上からやってきた
明るい声と天使に近い姿かたち

後は話し方からメッセージの送り主だという事はわかる

「…貴女が、妖精……生き物…?」

なんだかこのテンション、非常に覚えがある
彼女の話を聞く意味はあるかとテーブルに着く

クッキーと紅茶、口にすべきか考える

「…ポーラ先生に、似てる……
ここに呼んだ理由と…あれの説明……」

そういって培養槽を指さす
なぜ治療中だった彼女がさらにひどい状態になっているのか
妖精となのる目の前の存在の正体、その目的についてもまとめて尋ねる

エデン-H-プランク >  
「ええ、妖精よ!
 でも、うーん、生き物かと言うと、ちょっと難しいわ。
 わたしの身体は今、ただの立体映像なの」

 ほら、と。
 楽しそうに自分の身体がただの投影だとわかるように、カップを取ろうとしては、手がすり抜けるのを何度も見せる。
 そうして、おまけとばかりに、テーブルの下から頭だけを出してみたりして。

「ふふっ、ちょーっとはずれね。
 わたしが、あの子に似てるんじゃなくて、あの子が、わたしを真似したの。
 そうしないと、実験でめちゃくちゃにされた心を守れなかったのよ」

 少しだけ悲しそうに。
 けれど、柔らかな微笑みはそのままだ。

「呼んだ理由は、ちょっとあとにしましょう。
 お手紙の通り、お願いしたい事なのだけど、まずは今の状況を知ってもらうべきだもの」

 言いながら、妖精は自分用の、高さが調節されている椅子に腰かける――フリをした。

「まずは自己紹介をしましょう。
 わたしは、あの子に宿った意識の一片。
 かつての思い出の残骸。
 楽園をとこしえに夢見る者」

 そうして、花が咲くような笑顔を見せて。

「エデン-H-(ホシノモリ)プランク。
 今は世界で一番可愛い、電子の妖精さんよ」

 小さな両手で、会心の可愛いポーズをキメて自己紹介した。
 

メア >  
「映像……プログラム…?」

AIか何かなのかと首傾げ
そもそも妖精という存在自体怪しいものなので映像と言われても驚かない

「もともと…知り合い……?」

こころを守るための人格、そう言われれば納得はできる
聞いているだけでそうなってもおかしくない境遇ではあった

自分にだって覚えはある

「ん、説明大事……」

そういわれて聞かされた自己紹介ときめぽーすには……特に大きなリアクションはない

「私はメア…ポーラ先生の友達……」

花も落ち込むような無表情で自己紹介を繰り返す
ある意味で対極の様なお互いの自己紹介

エデン-H-プランク >  
「ええ、プログラム――そうね、有機AIとも言えるのかしら?
 もう少しわかりやすく伝えるなら、あの子の、『あるか』の人格の一つと思って。
 正しく伝えるには、ちょっと複雑な事情になっちゃうわ」

 説明しようと考えはしたのだろう、妖精は考えるように頬に手を当てて首を傾げる。
 けれど、もっと優先して話すべき事が少しばかり多すぎたようだ。

「元々知り合いよ。
 あの子がこーんなに小さい時から仲良しなの」

 こーんなに、と小さな手で、恐らく背丈を表そうとしたのだろう。
 妖精の表現をくみ取れば、恐らくは『あるか』が幼児の頃から知っているという事になる。

「まあ、メアはクールなのね。
 素敵よ、クールでかっこいい女の子は大好き!」

 そう言って、両手をぱちん、と合わせて嬉しそうな笑顔。
 ただの映像のはずなのに、手を合わせた時にはしっかりとサウンドエフェクトが再生されていた。

「それで――うーん、なにから説明したらいいかしら。
 あの子の状態から?
 メア、あなたは少し前に起きた、院内での殺人未遂事件のニュースは知ってる?」

 デフォルメされたキャラクターのように、くりっとした丸い空色の目が、首を傾げながら少女を見つめた。
 

メア >  
「AIで、プログラム……」
「本当ならね?」

難しい内容らしい
ひとまずはそういうものとして受け取っておく

同時に、敵ではないという事も理解する

「そういう所、似てる……」

褒められて感じるのは既視感
ポーラと会った当初の感覚
なるほどこう見ると目の前の彼女をまねたというのもよく分かる

「そういうのが、あったってことしか……詳しくは、知らない……」

そんな事件があったというのはどこかで見た覚えはある
けれどまさかそれで?と訝し気

「例の人達、やったなら……ニュースにならないんじゃ……?」

エデン-H-プランク >  
 少女の警戒が緩んだことに、妖精は嬉しそうに微笑んだ。

「ええ、本気で隠蔽するつもりなら、ニュースにすらならなかったはずだけれど。
 『彼ら』が欲しかったのは、『あるか』の首から下だけ。
 ――つまり、正真正銘の、とある世界の唯一神の身体。
 アルカディア、と呼ばれ、世界を幸福で満たしていた、全知全能の神様の身体だけだったの」

 妖精は、『あるか』に遺された頭と心臓を見上げた。

「だから、頭は不要だったから、置いていったの。
 ニュースになっても足がつかないと確信しての行いね。
 けれどそのおかげで、『あるか』はなんとか生きてるのよ」

 そう言うと自分の目の前に、四角いパネルを呼び出した。
 そこに表示されているのは、脳波と心電図だ。

「抵抗せず身体を返却すれば、命までは奪わず、養護施設の子供たちにも手を出さない。
 そういう取り決めの上での取引だったの。
 だからこうして、『あるか』は頭と心臓だけで、辛うじて生きているのよ」

 説明し終えると、パネルの表示が変わった。

「ただ、『彼ら』にとって誤算で、『わたしたち』にとって幸運だったのは、『あるか』の心臓を取り戻せたこと。
 そのおかげで、わたしは目覚める事が出来た。
 まだ眠り続けている『あの子』の代わりにね」

 パネルには、『あるかの心臓』の中をレントゲン撮影した画像が表示されている。
 心臓の中心部分には、花のような白い影が鮮明に映っている。
 
「これがわたしの本体。
 星核(せいかく)というエネルギーの結晶体よ。
 わたしはこの星核に遺された記憶であり、人格なの」

 そう少女に説明するが、少しばかり複雑だっただろうか。
 

メア >  
「結局、どうなってもいいんだね……」

体を欲した、その結果があの培養槽の中
本当に彼女そのものはどうでもいいのだろうなと内心少しスッキリする

「生きてる……?これが…?」

今の状態を生きていると言うならどこまでやれば死んだことになるのか
もうこんなのは殺しているのと何ら変わらない
身勝手な訳の分からない思惑でこんな姿にされて…

「ほんっと面白いよねぇ、愉快すぎて笑えそうだよ。」

クールダウン
早まった鼓動を落ち着けて頭の中も冷静に
明るく元気に分かりやすく、泣き出しそうな子供には少し休んでもらう

「誤算、誤算ねぇ…で?
厄ネタ満載の心臓を取り戻せた何とかって奴等は今頃大慌てだろうね。

そしてエネルギー結晶であり君という情報すら保存できてるようなやばい存在がここに有ると。」

状況としてはいたって単純
完璧に見えた向こうのプランに綻びが生じた
無視できるはずもない巨大な綻びが

その結果として自分…メアが目の前の妖精に呼ばれた、と

「それで、なんであいつらはここに心臓を取り戻しに来ないわけ?
お願いって言うのもそのあたりに関係したりするのかな?」

笑みを浮かべて問い直す

エデン-H-プランク >  
「ええ、生きているの。
 『あの子』は生き残る事を諦めていないもの。
 ただ、今は夢の中で沢山の思い出と、辛い記憶を整理しているのよ。
 だから目を覚ませない。
 もし、新しい身体を用意してあげられてもね」

 生きているかどうか。
 その定義は『妖精』にとっては、本人に『生きる意志』があるかどうかで決まるようだ。
 ただ、少女の憤りは理解するように、目を細めて微笑んだ。

「あら――雰囲気が変わったわね、メア」

 まるで知っていたかのように、少女の性格が変わるのを笑って受け入れる。
 事実、知っているのだ。
 『あるか』の記憶は、すでに心臓に宿る『妖精』と完全に同期されている。

「ええ、きっと大恐慌だわ!
 今頃、どこに心臓があるかって躍起になって探してる――なら、よかったのだけど」

 少女の推測にノりつつも、困ったように頬に手を当てた。

「残念だけど、『彼ら』にとって、もう『あるか』も『わたし』も用済みの存在なの。
 既に研究しつくされていて、十分以上にデータを採れている。
 だから、脳と心臓がどこにあるかなんて、『彼ら』には、本当にどうでもいい些事でしかなかったのよ」

 けれど、と妖精は悪戯な子供がするような笑みを浮かべた。

「脳と心臓が『揃う』なんて、想定はしていないでしょうね。
 それが、『彼らの誤算』。
 『ほしのもりあるか』が目を覚まし、生き返る。
 それは彼らの計画に対するカウンターになるの」

 そう言って、妖精は目の前に二つのコップを投影した。

「例えば、右が『彼ら』の用意した人造神、アルカディアの器。
 それで左が、蘇生した『ほしのもりあるか』という器。
 どちらも同じ大きさで、同じ条件で、一つの蛇口から水をそそごうとしたら、どうなるかしら?」

 そう言いながら、コップの投影を並べて、その上に蛇口を投影した。
 

メア >  
「現実がこんななら寝てたいって言われても何も言えやしないよ。
新しい体があればどうにかなるよね、なんて思えるほどお花畑な頭はしてないよ。」

そう簡単に目覚めることなんて期待していない
それに、どうせ目覚めるとしたら全てが終わった後
ゆっくりとベッドの上で目覚めたほうが皆のためだ

「はっ、どうせ知ってるんでしょ妖精さん?」

今更そこを指摘されたところでなんでもない
隠す気もないし、知られたところで不都合もない

「用済みねぇ、どうでもいいから放置されてる…ねぇ。」

甘ちゃんだねぇ、とは思うが言いはしない
寧ろ必要ないとしても徹底的に不安材料を潰す相手じゃない方が何かとやりやすい

「そりゃ、注ぎ口が一つなんだ。
零しまくって両方に注ごうとしても必ず差は生まれる、どっちかが先に貯まりきるのが道理だと思うよ。

要は、相手より先に起きてもらってプラモデルの神とやらにはぐっすり永眠あそばせてもらうってこと?」