2025/04/10 のログ
■メア >
「ん、楽しみ…!」
友達…きっとなれるだろう
色々お話をしたり協力したり、できる事は沢山ある
「うまくいった、から…気にしない…
ん、連絡…待つ……」
眠る彼女にできる事は終わった
後ろを見れば研究室の扉が開きつつある
気になる事を終えれば帰ってゆっくり休むことにしよう
「エデン、なんで…姿を見せないの…?
それと、なんで…連絡…してもらうの…?」
最初のあたりから気になっていた事と今告げられた言葉を聞き返す
連絡してもらう、エデンが直接連絡をくれないのかと
■エデン >
「――あらあら、やっぱり、メアは誤魔化せないわね」
そう言いながら、扉の方へ振り返った少女を、また抱くように細く綺麗な腕が回る。
もちろん、それに感触はないけれど。
「お願いメア、振り返らないで。
このまま、さようならしましょう?」
そう話す妖精の声は、静かで、けれど落ち着いていて、柔らかだった。
「ねえメア。
『あるか』を見つけてくれてありがとう。
『エデン』を信じてくれてありがとう。
『クライン』に怒ってくれてありがとう。
他にも、いっぱいいっぱい、ありがとう」
それはまるで、別れの言葉のよう。
「わからない事、不思議な事だらけだったのに。
危険だって一杯あったのに、ほんとうにありがとう。
――メア、あなたならきっと、今よりもとっても素敵で、とっても愛らしい、無敵の女の子になれる。
私は、そう信じているわ」
そう言って。
少女の前に回された腕は、そっと少女を離すように解かれていき――
■メア >
「ん、気になる……」
違和感は有った、いつも元気な姿を見せる彼女が腕しか見せない事や言葉の端々
振り返らないで、そう言われれば大人しく抱かれている
そこに感触はないけれど
「…………」
黙って聞いている
黙って、エデンの言葉を聞いて考えて
そうして腕が離れていけばー
「何にも、答えになってない…」
くるりと後ろに振り返る
■エデン >
――振り返れば、そこには二十歳か少し手前だろう少女の姿があった。
桃色の髪、ゆったりとしたブラウス、無地の薄紫のスカート。
目を細めた表情は、やわらかく微笑んでいる。
けれど。
「もう――メアったら。
恥ずかしいじゃない」
そう言って笑う少女――妖精さんこと、エデン・プランクの姿は、人間の少女の姿で投影されていたが。
その姿は、全身にブロックノイズが重なり、今にも崩れ落ちてしまいそうな姿だった。
「あのままさようなら、がきっと楽だったのに。
メアったら、素直なのに頑固なんだから、もう」
両手を後ろに回して、少し前かがみになって少女と視線を合わせながら、頬を膨らませてみせる。
ノイズだらけの表情は、それでもどこか楽し気だった。
■メア >
「……エデン、消えちゃうの…?」
何かしら理由があるとは思っていた
思っていたよりも悪い状態であろう彼女を見れば疑問がいくつも浮かぶ
「なんで……?」
なぜそんな姿なのか
なぜそんな状態で自分に何も言わずにいたのか
ここからどうにかする手段は有るのか
色んな疑問を含んだなんでが漏れる
■エデン >
「ええ、消えちゃうの――ううん、本当はとっくに消えてしまってたの。
ただほんのすこしだけ、ほんとうに少しだけ、意識を保ってもらってただけなの」
それも、少女があずかり知らない手段であり、それでも、エデンが消える事を止める事は叶わない。
「なんで、って難しい質問ね。
うーんなんて言えばいいのかしら。
私って、ほんとうはもうずっと昔に死んじゃってた人間なの。
そんな私の意識だけをコピーして、保存してたんだけど。
もう保存期限が切れちゃったの」
てへ、と小さく舌を出した。
「だから、ただの時間切れで、私は本来あるべき姿に戻るだけ。
それにもう、私がやらなくちゃいけない事は終わったもの」
そうして目を細めて微笑み。
「だから、さよならなの」
そう優しい声で言った。
■メア >
「…期限……」
限界が来たという事らしい
人でも物でもいつかは壊れて消えていく
エデンにとってはそれがもうすぐという事らしい
「…嫌、不可…やだ……」
理解はする
こんな我儘を言ったところでどうしようもないという事もまた分かっている
ただ頭でわかっていても心が納得しない
「ほんとに……どうにも、できない……?」
だから、尋ねてしまう
■エデン >
「ええ、どうにもできないの。
これはもう、ずっと昔から決まっていた事だから」
案の定、理性と感情の間で表情を歪める少女。
その頬に、消えかけている手を伸ばして、そっと触れる真似事をした。
「メアはきっと、嫌だって言ってくれるって思ってたの。
だから、ほんとうは会わないまま、さようならをするのが一番だったのよね。
だけど、どうしても我儘したくなっちゃったの」
そういって、エデンは微笑む。
少し寂しそうで、けれど優しく温かく。
「だから、ね。
メア、笑って?
さよならの時くらい、笑いましょう?」
そう、崩れかけた顔で少女に笑いかけた。
「とっても可愛い美少女同士のさようならは、とびっきりの笑顔でないとだめなんだから」
そして、エデンはまさに満面の花のような笑顔を咲かせて見せた。
■メア >
「そう……」
エデンがそう言うのなら、どうしようもない
自分の異能もこれに関しては何の役にも立たない
嫌だと騒いでもどうにもならない
「…ん、ちゃんとさよなら…言えてよかった…」
だからさようならをちゃんと伝える
知らないまま二度と会えなくなっていたなんて最悪の事態は避けられたから
数回、深呼吸
あまり得意ではないものの、小さな笑みを浮かべる
「エデン、お疲れ…さま…
ゆっくり…休んでね……」
きちんと別れの言葉を口にした
■エデン >
「ええ、メアもお疲れさま、それとありがとう。
きっとこれから先、明日が怖くなる時も、迷う時もあると思うわ。
けど、その時は、一度振り返ってみて。
そうしたら――いつだって私がいるわ」
その一瞬は、投影が消える前の幻だったかもしれない。
ノイズのない、自信満々に咲いたとびきりの笑顔は、少女の記憶に残ってくれる事だろう。
「――さあ、進んで。
メアが歩いていく先には、きっと沢山の困難と――それ以上の幸せが待っているはずだから」
そしてやはり幻のように、エデンはその姿を消して。
最後に少女の背中――扉の向こうを示した指が消えると。
エデン-H-プランクという少女が存在した痕跡は、何も残らず消えてしまうのだった。
■メア >
「…うん、頼りに……する…」
消えた
映像も消え、恐らくエデンという存在も消えてしまった
さっきまでの満足感も忘れて喪失感が胸を襲う
ここにはもうあの元気なエデンは居ない
これからもずっと……
「…帰る……」
今は、それしか考えが纏まらない
健康診断も…後日改めて向かう事にする
研究室を、建物を出れば足取り重く帰路に就く
涙が少し頬を伝いながら
ご案内:「医療施設群 医療研究施設 〇ロ号処置室」からメアさんが去りました。
ご案内:「医療施設群 医療研究施設 〇ロ号処置室」からエデンさんが去りました。