異能や魔術などの授業の実習に使われる施設群。
また、主に学生のための訓練施設が併設されている。
異能や魔術を制御するための実習や訓練であり、人や生物、器物を殺傷・破壊する目的のための訓練は認められていない。
参加者(0):ROM(1)
Time:02:24:14 更新
ご案内:「訓練施設」から橘壱さんが去りました。
■橘壱 >
現実はフィクションとは違う。
よく知っている。ゲームの中だってそうだ。
玉座にいる時も同じだ。まぁ、彼女なりに応援か。
「まぁ、そういう事にしておくよ。
うん、また。悠薇先輩も無理はしないでください」
素直に受け取っておこう。
去りゆく背中を見送ってから、
さて、と気を取り直して台座に座った。
リフティング用のベッドだ。
技術の進歩。重しは選択通りに勝手にセッティングされる。
「(……にしても、あの笑顔に、さっきの釣れない感じ……)」
自分が嫌われていない前提の話にはなる。
彼女が持つ天秤。抑制されたという話だが、
もしまだ生きているのであれば……──────。
お人好しで平和的で包容力のある姉。
その反対は……──────。
「……難儀だな……今度聞いてみるか……」
もっと知る必要があるかも知れない。
彼女の、彼女達について。
その結果嫌われるとしてもまぁ、仕方ない。
今は自分にできることをしよう。
今日もまた、自分を限界まで追い込み始めるのであった。
ご案内:「訓練施設」から伊都波 悠薇さんが去りました。
■伊都波 悠薇 >
そう。
だから、本番では。
恐怖を感じ、畏れをなし、その場から逃げ出してしまう。
なにも、奮えず。戦力外。
それが、今のーー
「あると思いますよ、多分。少なくともフィクションの中では」
冗談のように口にして。
それではと、頭を下げた。
「……考えておきます」
よく誘ってくれるのは、悪くない気分。
でも、なんとなく。
ーー男性と何処かに出かける気分にはなれない。
姉に、彼氏がいるのを知ってから。
だから、そんな風に返して。
「では、また。無理はなさらず」
その場を後にした。
ーー姉には、橘に、闘いの定石、考え方を教えたと伝えた。これでフェア。きっと、二人の望んだ、試合になるだろう。
■橘壱 >
「理屈はわかりますよ。実戦だと予想外の事も多いですからね」
訓練と実戦の機敏は全く異なる。
訓練で出来ても実戦で出来ないのは、よくある話だ。
しかし、なんだろう。末恐ろしさ。
何とも言えない表情で、腕組んだ。
「…………」
そう、殺し合いに合図はない。
操縦士は何時でも機械に乗れる訳じゃない。
強くならなきゃ行けない。世界を羽ばたくには、強く。
「男子とか女子とか、そういうのあるかな?
……それはお互い様だと思うけどな。悠薇先輩だって、全然やれるでしょう?」
「僕はもうしばらくいますよ。
ちゃんとやらないと、強くなれないし……そうだ」
「今度、また何処か遊び行きませんか?
色々落ち着く頃でしょうし、悠薇先輩が良ければ」
■伊都波 悠薇 >
「大体の、そういう人たちには、ある程度できているものですから。
予想外や搦め手、そういったので崩すのは定石……って、冷静なときではわかるんですけど、いざ土壇場になるとできないんですよ」
だから、今のポジションなわけで。
今が安全だから頭を正常に廻せているだけ。
「でも殺し合いじゃなくて試合なら、合図もある、準備ができる。だから、大丈夫です」
それに。
「姉は女子ですから。男子の土俵に下ろせばいいんですよ、なんて。戯言ですけど」
人形をよいしょと抱えた。
「まだまだ、学ぶことがたくさんあるということ。伸び代があって羨ましいです」
そしてそのまま、出口に。
「私は引き上げます。橘さんは?」
今の動きをしただけで、疲れはてた。
なにせ、全部で6発。あんまりしない。
本来なら『1発』で充分だ。
だから。帰ろうとしていた。
■橘壱 >
背筋がぞわりとした。
何気ない笑顔だったかも知れないが、
意図も容易く言うんだな、此の人は。
「……まるで、したことがある物言いですね」
方程式が崩せることは知っている。
人間の知恵は、同じ知恵と力で崩せる。
常に挑戦者精神を持っているからこそ、
よく知っている。だが、その笑顔と口ぶりは、
実践を残したものの自信が見え隠れしていた。
「いや、大丈夫。悠薇先輩が気にすることじゃないよ。
凛霞先輩には、"殺す気"でってお願いしただけ。条件は対等。
そうでなけりゃ、僕が挑む意味もないしね。……まぁ」
ふ、と思わず引きつった笑みが漏れた。
「確かに非異能者だと、そういう土壌なら無理だよ」
わかってるから平気だ。
気に病んでるわけでもない。
「……まぁでも、何時かはそれも出来なきゃ行けない。
僕の知っている操縦士は、機械がなくても強かった」
機械に乗るものの常で、
生身で狙われるのはよくあることだ。
だからこそ、それに対応出来るものしか生き残れない。
今いる自身の上にいるのは、そういう人間ばかりだ。
「何時かはそういうのも"アリ"でお願いしようかな……
……と言っても、全然体はおっつかないんだけどさ」
凛霞先輩のようになるには、何十年後になることやら。
■伊都波 悠薇 >
「いえ」
勝ち目の話をするなら。
「私は姉の応援をします。でも、これはあくまで、そういう土壌ならです。」
姉のことだ。きっと。
「なにか、条件、姉はいいませんでした? それと。私は別に橘さんが勝てないなんて思ってないですよ」
なぜなら。
「方程式、って、崩せますからね」
にこり。一番、よく知ってる『壊しかた』。姉を……ーーしたから、知ってる。
「……教えすぎたかも、ですね。姉に、言っておきます」
勝負に水を差したかなと思った。
「……そうですね」
歯切れの悪いうなずきで、だれかのようになってほしくないには頷いた。
■橘壱 >
「凛霞先輩の暗い顔は確かに見たくないな。
少なくとも、夏輝……さんみたいにはなってほしくないし」
「勿論、悠薇先輩にも明るい顔が似合うけど」
此れで良かったのはそうかも知れない。
弟切夏輝が一つのIFなら、
それで良かったのかも知れない。何だかちょっと、
彼女の様子がおかしかった気もするが、所作へと視線を配る。
「相棒、というより生き甲斐?」
ポジション的にはそういう感じ。
AFに乗ることこそ、生きている意味がある。
そうして、彼女は動き出した。
橘壱には、超人たちのような動きは出来ない。
だが、その反応速度と反射神経。
総合的に"目の良さ"には一際大きな才覚がある。
「(確かに僕から見ても遅いけど……動きは綺麗で、正確だ)」
構えもなく、始まった。
日常を常に置くなら、自然な動作だ。
打撃でも絞め技でもない、『毟る』という獣的動作。
淀みない動作には一種の美しさはあった。
もしも、彼女が姉と……いや……。
「(違うな、彼女だからいきなりこられたら怪しいかも知れない)」
姉と比べれば非力かも知れない。
だが、姉の影に隠れている根暗な少女。
失礼な物言いだが、取り柄がなさそうな目立たない一般人が、
何の構えもなく、命を正確に毟り取る。
此れほど迄に綺麗な暗殺なら、対応もし辛いかもしれない。
「(全部ではないだろうけど、凛霞先輩が言ってたのはこれか……)」
腕を組み、じっと碧の双眸が彼女を見据える。
「……僕に勝ち目がないような言い方をするんだね、キミも」
つい、穿った返答が出てしまった。
■伊都波 悠薇 >
「はい。だから、よかったんです。今の姉が一番」
頷いて。最近、姉が注力していて、捕まえた犯人。あぁ、えぇっと……『だれだっけ』?
加減できない思考が全てそちらに。
そんな状態なら今の取り巻く環境にもいられなさそうだ。
当然、受け入れも。
「えっと……その。見せたほうが、はやいかも」
凹んでいるのを見て、人形に向かって歩いていく。
「……大丈夫ですよ。その、トランクの相棒、ですか? と一緒なら多分。ちゃんとした、相棒ですよね?」
そして。
「今始めの合図があったと思ってくださいね」
人形と触れる距離になると構えもとらず動き出した。遅い。妹の所作、でも最適解。
もう最初からそのルートしかないような。
両腕の関節、両足の関節、肩の始動点。
それらを、順番に『毟る』。
そのあと、首と心臓を……
「この動きを一瞬で、するのが、私の『正解』です。
姉なら、別の手段で、制圧する『方程式』を作ってくると思いますけど。
初めから、理論の構築をするんですよ。勝ちの」
普通の、格闘家の動作。目に見える動き。
でもそれが、姉だったなら。
ーーきっと視認すら難しい。
■橘壱 >
「姉じゃなくて、他人の方か……。
まぁ、多分風紀委員にはいられなさそうですね」
加減も出来ない殺しの技能。
犯人を捕らえ更正させる組織には過剰火力だ。
脳裏に過るのは、仄暗い道を行った彼女の親友。
「(……形は違えど、そうなっていた可能性もある、か……)」
伊都波凛霞が仄暗い道を行ったIF。
あんまりぞっとしないな。
神妙な顔つきで小さく頷いた。
が、まさか姉妹揃って同じことを言われるとは思わなかった。
珍しくちょっとげんなりだ。はぁ、と肩を落とす。
「僕の認識の違いか……いや、わかってるよ。
次元の違いっていうか、考えの……凛霞先輩にも言われたよ……」
勿論よーいドンなんてお行儀の良さが戦いにあるわけじゃない。
違反者との戦いだって、日常の隙間から飛び込んでくる事もある。
何処の暗殺一家だよ。姉妹どころかお家柄が凄いんじゃないか?
「そう言われても褒められてる気はしないな……。
世界は広いのは知ってるけど、
やっぱり本当に改造手術くらい受けるべきなのかな……」
珍しく弱気になるのは、
それだけ気持ちを許してる証。
ちょっとサイボーグ化が現実味を帯びてきた。
■伊都波 悠薇 >
「いえ。そういう意味ではなく」
疑うことない、声音で。
「姉が殺す手段を持っていたら、今の、捕まえた人たちはみんな死んでますよ」
きっと、と。
自分が、力ないことは、変わらない。
逆じゃなくてよかったと思う唯一は、これ、だけだから。
「どうでしょう。私はそのスゴさがわかりません。家族だからですかね」
当たり前になっているだけだ。だから、アナタのすごいに首を傾げてしまう。
「あ、いや、そういう意味じゃなく」
困ったように。
「私たちのは、そも、『闘う』時点で私たちが敗けなんですよ。えっと……」
試合をするならヒントになっちゃうかなと。
ちょっといい淀んで。
「戦う前提なら、橘さんも姉といい勝負になると思いますよ」
別にアナタを軽んじているわけではない。
■橘壱 >
もう"満足"している。
考え方の違いだ。寧ろ、姉のことばかり考えている。
上を目指す自分とはそもそも考え方が違うようだ。
「……そうしたらそうしたで、
悠薇先輩が凛霞先輩の立場だったとは思いますけどね。
あんまり言うことでも無いですけど、僕が同じ立場なら、我慢出来ないな」
「そう考えると、やっぱり凄いですよ」
天秤、運命の悪戯。それならそれで、
きっと互いの形が変わるだけに違いない。
環境の違いもあるかも知れない。
だが、"力"への憧れ、"頂点"を目指す少年には、
その立場は、素直に受けいられなかった。
軽く後頭部を掻いて、頬を掻いた。
「そうですかね……悠薇先輩も充分魅力的だとは思うんですが」
姉妹だからこそある意味成り立っている関係かもしれない。
他人である自分が深く言うべきではない。
「そこまで言う???いや、そんなに凄いかぁ……」
超人伊都波凛霞のまだ見ぬ本気。
そんなレベルらしい。
そう言われると目を丸くするも、
すぐにふ、と口元が緩んだ。"勝ち気"の笑み。
「なら、賭けてみます?僕がどれだけやれるかを」
■伊都波 悠薇 >
「使えない方がいい、って思ったら本当は凹むべきなんですかね」
くすり、笑う。
どうだろう、楽しくはある。でも奮おうとか、使おうとかあんまり思わないのは。
「姉がいるからかもしれませんね。使おうとか思わないのは。もう、満足しているからかもしれません。
……姉が、こっちじゃなくてよかったと。
もしそうだったら、今の姉ではなく、姉が救えた人が救われなかったかもしれません」
手伝えているようで誇らしい。
アナタとの違いが、覗いた。
「でも私は女の子、なので。男子は橘さんのほうが、いいのかもしれません。らしくて」
なんて、思う。その方が頑張りがいがあるし。
瞳の奥は見えない。見れない。
そも、この妹は、その薄暗さを良しとしていて、自分がそこにいることで、蓮華となった、姉がいると、知っているから。
「姉と、本気の勝負を? 始めって言われた途端刈られちゃいますよ!?」
心配がそちら。試合なんてしない。
それだけは同じ、姉妹の共通認識。
■橘壱 >
「……、……まぁ、でも、そうか。そういうモンか」
普通の武術とは違う仄暗い技術。
武術とは違い、"殺人"に先鋭化させた技術。
生かすタイミングは無い方が良い。そうかも知れない。
なら、自身の中に鳴りを潜める闘争心も……。
「……でも、"楽しく"はなかったですか?
想像の中でも、自身の持ち得る技術を使うのは」
意図してはいない。
燻る気持ちがあったからこそつい聞いてしまった。
だから、聞いた直後にすみません、と首を振った。
「ヘンな事聞きました。無理に答えなくても大丈夫です。
……それくらい技術も一緒に進化してるってだけさ。
僕よりも凄い操縦士はごまんといる。何時か、彼らも超えないとね」
この時代、何も当たり前になったのは超常現象だけではない。
それらに追いつけるくらいまた、文明の力も進化している。
レンズの奥、碧の双眸の奥に見えるのは初めの頃に見えた、仄暗い炎。
「凛霞先輩への信頼凄いな!?いや、気持ちはわかるけどね……。
僕も眼の前であの動きはみたし、Fluegelの上昇速度に追いつくとは、思わなかった」
今思い出してビックリドッキリ人間だ。
「流石にそこまではならなくても大丈夫だよ。
技術だって、そこまで追いついてる。ただ、
凛霞先輩の"本気"の動きはどうなるかわかんないけど……まぁ」
「今度、それが見れるかも知れないしね」