2024/10/08 のログ
ご案内:「演習施設」に奥空 蒼さんが現れました。
ご案内:「演習施設」に伊都波 悠薇さんが現れました。
奥空 蒼 > たまには真面目にやりましょうって。
演習施設にゆるーい姿で、
いつもの赤い縁の眼鏡をかけた先生は、

その広大な演習場に、ブルーシートとその中に内包された超常危険物を、
ざーっと山ほど並べていた。
外から見たんじゃ分からないけど、
これ全部、B~S級の危険物が中に入ってる。
サイズは手のひらサイズから人の大きさの3倍まで、まちまち。

「まぁ、こんなもんかな。」

なに、1時間ほどで終わるゴミ処理だ。
確認する必要もないけれど、
それでも決まりである以上、チェックシートとかつけなきゃいけない。
それも全部事細かにナンバーだの項目だのがあって―――

やれやれ。
さっさと終わらせないと悪目立ちするなコレ。

伊都波 悠薇 >  
今日も、利用に少し待っての訪れ。
父に遊んできてもいいと言われてから、ちょくちょく、動かしておこうとやってくれば。

「……ぁ」

先生がいた。
なにか作業をしていらっしゃる。

邪魔をしたら悪いかな、と思いながら人形を近く、邪魔にならなさそうなところに設置して。

こちらを見たような気がすれば、ぺこり、お辞儀した。

奥空 蒼 > 「おや」
「おやおやおや……?」

人の気配。
おや、あの子は。
前に――手伝ってくれた子だ。
フレンドリーに手を振って

「や、こんにちは。」

「悪いねえ、ちょっと今占拠中で。」
「片付けようか?……すぐ使いたい?」

見渡す限り広がったブルーシートを見やりながら。

伊都波 悠薇 >  
「こ、こんにちは」

まさか声をかけてくれるとは思っておらず眼をぱちくり。

「あ、いえ。隅っこで平気といえば平気なので……

こんにちは」

ブルーシートに視線を追いかけるようにして、同じく、そちらを見て。

「なにか大事な、作業、でしょうし」

奥空 蒼 > 「……?」
「そ、そう……?」

「隅っこで良いって、何しにここへ?」

気になったので。
思わず問いかけを投げる。

「二回言ったね、んふふ。」
「あぁ……コレ?コレはまぁ、なんていうかほら、やってる感出すためのやつ。」

「なんっていうかなあ……」

「例えるなら……」

思案。

「見回り作業とかあるじゃん?どこどこまわりましたって、チェックするやつ。」
「実際問題やってなくてもそれっぽく時間潰してチェック付けて提出したりするじゃん?」
「アレに似ている。」

――ダメな大人である。

伊都波 悠薇 >  
「えっと、『遊び』に」

そう、これは遊び。
実際の訓練にもなりはしないし、活かせもしない。
気分転換のようなもの。

「あ」

やはり、二人きりは緊張する。
二回言っていることには気付かず、顔を赤くする。

「えっと……最低限の仕事をしてる、ということですか?」

オブラートに包んでみた。

奥空 蒼 > 「うん。」
「好意的な見方をすれば、」
「そうとも言える。」
「しかし。」
「忌憚なく言えば」

「そう。」

「――さぼっている。」

どやあ。

「遊びか。」
「遊びってのも良いもんだね。」
「……ここに遊びに来るってのはちょっと、なんか。」

「……意外性があるね。何して遊ぶの?!」
「銃弾でも避けてみる?」

遊び、なんてワードには、
ここをチョイスする理由をグイグイ詰めて来る。
ぐいぐい。

伊都波 悠薇 >  
「……あはは」

せっかくオブラートに包んだのに。
ぱぁんと、壊されてしまった。苦笑がついでた。

「あ、えーっと……」

人形を指差して。

「どうやって壊すかを考えるというか……その方法を思案しながら時間を潰す、みたいな。所謂妄想、です」

奥空 蒼 > 「…壊す?」

興味を引いたようだ。
なるほど。
そこに隅っこに置かれている人形。

「壊すって、コレを?」
「どうやって壊すかの模索……ね。」

意外そうに、見ている。

「面白いじゃん。……種族柄、壊す事はちょっと得意なんだ、破壊神(わたし)。」

伊都波 悠薇 >  
「はい。まぁ、その、実践で使える技術でもないし、技量も足りないので、その、訓練程度、ですけど」

少し恥ずかしそうに。
実際、現場に出て使えるものではないし。
そのレベルでもそもない。

「え、そう、なんですか?」

面白いと言われると、想像しなかったリアクション。

「えと、もしかして、見て、いかれます?」

奥空 蒼 > 「ん?んー……?」

時計ちらり。
……まあちょっとくらいさぼってても良いだろう。
破壊神とはルールにも時間にもとらわれないものだ。

「なんか、あれだね。」
「自信なさげね……?」
「でも、折角だし。」

「見せて見せてー。」

とりあえず、見せてもらえるなら、見ていく事にしてみよう。
多分お互いこのリアクションは、想像してなかったっぽいけど!

伊都波 悠薇 >  
ーーがーん。

やっぱり見ていかれる。恥ずかしいから帰るといお言葉を期待していたがそんな幻想も壊された。

「まぁ、その……姉がいますから」

より、ちゃんと出きる人がいる。
何より。

「……あくまでも、妄想なので」

理想には絶対に届いていないから。

「……じゃあ」

やりますーー

人形まで、40m弱。
離れた場所、そこから。

ーー『構える』。

いや、なにも構えていない。一般人のごとき、立ち振舞い。直立。
ただ。ただただ、そこには澄んだ殺気があった。
透明に、なりすぎた壁は存在すら気づかない。

ゆえに、その殺気もあまりの透明度に気付くものは『少ない』。
まだ、理想に、近づいてはいないからこそ、気付けるそれのまま。

ただ、歩いていく。人形に向かって。

奥空 蒼 > 「お姉さん、妄想――」
「ふむ。わけありなんだね。色々。」

みーんな、わけありなんだけどね、この島。
何か抱えてるものがあるみたいだけど。

「……?」

見た感じ、別に構えてるわけでもなさそうだ。
自然体っていうのかね?

直立したまま歩いて行く、それだけの様子。

透過しきられたそれは、
蒼いのには気取られているのかいないのか。

きょとーんとした様子で一歩一歩と進むさまを見ている事だろう。



(……これで、如何様に壊すのか?逆に気になる。)

伊都波 悠薇 >  
ゆっくり歩く。
普段歩くのと変わらない。

距離が縮まる、縮まっていく。
そして、横をすれ違った、時。

妹の右半身と、人形の左半身が、すれ違ったとき。

左腕を、『壊す』

左肩間接、ひじ関節、手首を外しながら『毟る』。

右手、右腕、のみで。その動きは、早くはない。
武を嗜みある程度の技量があるものなら、肩を外された辺りで気付くだろう。
でも、それでは、『遅い』。

そのまま、首を『折る』。

ーー無き構え『無花果』からの、拍子のない、部位破壊。

人間の考えた最も人間を破壊しやすい、その手順は。

気付いたときには壊されている、などという理想論だ。

「おわり、です」

奥空 蒼 > 「……はぇ。おわりか。」

ただ歩いているだけで、
すれ違い際に、左腕が壊れた――

毟り取られた。

そして、
首を折った。

――何がやりたいか(理想)は分かった。

……一般人にしてみれば、早い。
……手練れにしてみれば、遅い。
……破壊神にしてみれば、――?

「いやあ、あれだ先生勘違いしてたわ」
「単純に人形を破壊するのかと思っていたけど」

「――これあれだね」
人間の破壊、だね?」

首を折ったあたりで、確信した。
型はどうあれ、やろうとしたことくらいは分かる。
置かれて崩れ落ちた人形は、へし折れてくたばっちまってる、か。

「……せっかくだし、大人げないけど、先生も何か見てもらおっかなー!」

なーんて、ね。

伊都波 悠薇 >  
「あ、はい」

別段、気にしないように頷いた。
その事自体には全く疑問がないようで。

「なので、遊びです」

告げて人形を元にもどす。

「ぁぇ!? あ、はい!」

見てもらおっかなの言葉には驚きながら、たたたっと距離をとり、どうぞのポーズ。

奥空 蒼 > どうぞのポーズの先にたん、と立つ。

「ほれ、例えばさ――」

戻された人形を一瞥。

「私みたいなのがやると。」
「人間を壊す――とはまた違ってくるんだなーって、思って。」

「さっきも言ったけど、壊す事にはちょっと自信があるんだ。」
「なんか見てみたい?……リクエストしてくれてもいいんだぜ。」
「例えば、八つ裂きってものを具現化したり、ガラスみたいにパリンと割ったり。」

ちょっと自慢気。
恐怖と崇拝が一番美味いから。敢えて強い言葉を使っている。

「幸い壊すものは山ほどあるし、ね。」

……あのブルーシートの中身、全部そうだし。

伊都波 悠薇 >  
「ふぇ?」

えーっと、と首を傾げる。
見てみたいと言われると、あんまりピンと来ない。

そも『壊したい』と思ったことがないし。

「えーっと……じゃあ、圧で、とか」

自分では絶対にできないし。
それを要望してみた。リクエスト、しないのはなんだか申し訳ないような気がして。

奥空 蒼 > 「圧。」

言葉を繰り返す。

「リクエスト、どうも。」

気を使わせたようだから。
気を使わせただけのお礼は、見せないと。
でもちょっと誇らしげで、自慢げだ。

「圧による破壊について、演出してみよう。魔法の先生らしくね。」

指を鳴らす。
ブルーシートが一つはじけ飛んで、
そこから妙な色の鉄塊のようなブツが晒された。
これがまあ、硬いんだ。普通にやったらね。

だからこそ、人に見せるには役に立つ。
傷一つない、キンキラキンの綺麗な表面。

「ちょっと大きな音が鳴るので、うるさかったら耳を塞いだ方が良いかも。」
「始めよっか?」
「いい?」


破壊の魔力。
与えるは、万物を潰す重圧。
不可視の圧力。

ミシ……
ピシッ……ビシッ……

ソレは
何かに威圧されるように
綺麗な表面が、罅割れ、亀裂が入り始める。
上から、下へ、伝播していくように。
上部の大きな亀裂が、下部へ根を張るように伸び、
金属を生き物が食い荒らすのように亀裂が支配していく。

亀裂が太くなる度、広がるたび、割れる音は大袈裟になり――
そこだけ、力場が歪んで拉げているように、凹の形にモノが歪む――

ちょっと得意げだ。
……なにせ。こうやって、人に破壊を分かりやすく見せつけるのも、好きなんだ。

伊都波 悠薇 >  
「わ……ーー」

絶対に自分ではできない、破壊だ。
そも、無機物の破壊はできない。
そんなに力はない。

それにプラスしての、魔法。
摩訶不思議。

「うわあ」

でも、それが人体だったらと想像して顔を歪めた。

奥空 蒼 > 深い罅割れは蜘蛛の巣のように広がって、
金属自体が悲鳴を上げるかのように、
耳をつんざく音が聞こえて、
鉄の断片が圧力に耐え切れず飛び散る。
最後は圧力の窪みが大きくなって――

ばりん、ぐしゃぁ……ッ

「いかがかな。」
「不思議な現象、だろう?」

言葉少なにも…多分、驚いてくれてるんだろうか?
そんな素振りに、にやり。

伊都波 悠薇 >  
「すごかった、です」

うひぃ、と嫌な音がなって、また顔をしかめた。

「不思議ですね。なんでそうなっているのか全く理解できないです」

理を通した技術。
それとはかけ離れた超常。
理解しようとしてもできない、ルールがそこにあるような気がした。

奥空 蒼 > 「ありがと――良いね、良い。」

深く頷いた。
承認欲求モンスターだって言われても、
"凄い"って言われるのはやっぱり癖になっちゃうね!

「私のやって見せたものは、まさにそれよ。」
「人智を越えた存在。」
「不思議なモノ。」
「私は。」
「そうありたいと、思っているんだ。」

理解できない。
そう思われる事すら、嬉しそうで。

伊都波 悠薇 >  
「……ーー」

言葉を聞くと眼をぱちくりして。

「寂しくなったり、しませんか?」

ぽつり、と。

理解できないものとは、つまり、孤独と隣り合わせのようで。
そんな気がしたから、告げた。

奥空 蒼 > 「……へ?」
「あっはっはっは!」

唐突な言葉に、ちょっとキョトンとしてから…大笑いした。
その見立ては、正しい。

「分かる?」
「……慣れちゃったよ。孤独には。」
「"慣れざるを得なかった"のかもしれないけど。」

破壊神(わたし)はいつも理解されず、離れられる側。」
「でも。そういうもんなんだ。」

邪神なんてものは、理解されず、恐れられて、敬遠される。
それが常なんだ。

伊都波 悠薇 >  
「……そう、ですか」

そうだよな、と思う。
そして、今もなお、理解ができない。
もし、誰かならきっと、なら私がとかそう言うのだろう。
物語のように、先生を救うように。

でも、私には。

「ごめんなさい」

謝罪が出る。

「……私には、理解できなくて」

自分はいつも、他者の理解が出来ない。
自分の想像した理想を押し付けるだけ。

「ごめんなさい」

だから、理解を示さない。
わかるよ、とは誰にも言わない。

こう、思うとは告げるけれど。

「先生は、そういうもの、ですものね?」

気遣うような言葉。でも、本心。
理解を、示さないことがせめてもの誠意。

奥空 蒼 > 「ふっ……」
「何でキミが謝んのさ?」

優しいやつ。
そう思った。
否。
ちょっと、臆病なのかもしれない。

「理解できなくったっていいだろう?」
「他者への理解を騙る事ほど残酷なものはないし」
「親近して理解を深めようとすればするほど――」

「醜い本性を知る事になるんだから」

……分かったような口で"理解してる"なんて言われる方が、酷いんだぜ?
だから理解できないって言葉の誠意は良ーく伝わる。
それでいい。
否。
それがいい。

「そうそう、私はそういうモノ。」

「……そうだ。」
「この際だから、キミにはもっとわかりやすく私がどういうモノか、聞いてもらっていい?」
「普段はナイショにしてるんだけどね。」

理解できないってのは知った上で、もうちょっとだけ、ナイショ話、しようか。

伊都波 悠薇 >  
「え?」

なんで、と言われると。

「だって、寂しいって言ったじゃないですか」

慣れてるとはいったけど、感じないと言っていない。
傷付かないとは言っていない。
だから、謝った。
傷付けたと、想像したから。

自分の気持ちを押し付けた。

「えっと、聞いても、なにもできないですよ?」

奥空 蒼 > 「寂しい。そりゃあそうだよ。」
「……気にしてるの?もう~。」
「平気だから、さ。」

砕けた笑み。
フレンドリーさは、手を振ったあの時と何ら変わらない。
押し付けられた想像は、さりとて破壊されてしまおうか。

「んーん。知ってもらえるだけでいいの。」

やんわりと、首を振った。

「私さ、破壊神なんだ。種族としての、破壊神。比喩ではない、本物のね。」

聞いたって何もできない。分かり切っているとも。
でも、知ってもらえるだけで意味がある。それが邪神ってものだ。

伊都波 悠薇 >  
「はぇ?」

破壊神、と言われると眼をぱちくりした。
今日何度目かの。

「そう、なんですか」

魔法も、ではそれ所以なのかな。
いろんな想像が浮かぶ。

「えっと。大丈夫、なんですか? その、衝動とかないんです?」

奥空 蒼 > 「……そんなに驚いてないんだ。」

いやまあ!
急に言われたらその反応も頷けるけどな!

「破壊衝動ってやつ~?」
「それすら律してしまうのが破壊神よ。」

「なんでもぶっ壊したいわけじゃなくて…。」
「ちょっとばかり、世界を綺麗にするために"ゴミ"を壊すくらいが丁度いい。」

柔らかな含みを持たせて言葉にする。
……破壊衝動かあ。

黒歴史だわ。恥ずかしいから深堀されないようにしとこ。

伊都波 悠薇 >  
「いや、えと、驚いてます。まだ、いろいろ追い付いていないだけで」

訂正しつつ。
急に神様といわれても、とあと。
神様って種族なんだとか、いろいろと追い付いていない。

「じゃあ、神様としては大人、みたいな感じですか」

律すると言われて想像したのはそんな感じだった。

奥空 蒼 > 「大人、ね。あー……確かに?」
「と言っても、私どっちかっていうと、神じゃなくて神の分類なんだ。」

妙なこだわりかもしれないけど。
私はアレらとは違うからね。
けど、自分の持ってるものを制御できるってのは、確かに大人っぽい?

「人間ですら大人と子供の境界は曖昧だけれど。」
「神にとって大人と子供の線引きは、どこでやるんだろうね……」

ふと、何気なく、呟くと――

「……おっと。時間だ。」

ぱりん、と……押し並べられていた、
ブルーシートの中身が、
砕け散って、消えた。
(――元は、これをココで処理するために来たんだ。)

「呼び止めて悪かったね。――機会があったら。また、お話しよっ?」

それを言い残すと、蒼いのはそこから"消える"。
後に残るは、僅かな金属片くらい、か。

伊都波 悠薇 >  
言い当て妙だったらしい。

「……そう、なんですか」

神様に邪とかあるんだと、思いながら。
そう、どちらも大差ないように自分には思えるからさほど、気にしないことにした。

「あ、はい。私もこれで失礼します」

ぺこりとお辞儀して。

「お話、くらいなら」

そう返して、帰宅することとした。

ご案内:「演習施設」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「演習施設」から奥空 蒼さんが去りました。