2024/06/09 のログ
ご案内:「転移荒野」にマトさんが現れました。
ご案内:「転移荒野」に風花 優希さんが現れました。
■マト >
ひょい、ひょいと、歩くというより『跳んでいく』影
膝下までのワンピースとスパッツを履いたマトは、転移荒野に点在する湖へと進んでいた
先日優希と連絡先を交換し、早速都合のいい日を合わせて一緒におでかけしている、といった所だ
「もうそろそろ……あ、見えてきたよ優希、見た所誰もいないみたいだ」
「出来るだけ人気の少ない所がいい、んだったよね?あそこなら問題ないはずさ」
■風花 優希 >
一方の優希は何時もの男子制服を身に纏い、転移荒野の湖の一つに訪れた。
手荷物は殆ど無く、ただ一冊の分厚い本をわきに抱えて。
何故に優希がここを訪れたのかと言えば、話は単純。
純然たるマトとのとある約束によるもの。
先日の約束の後に連絡を入れ、日にちや場所を合わせてこうして現地にて落ち合う事になったのだ。
「そうだね、この辺りならまあ大丈夫だろう。
ちと安全性はアレだけど、そこはまあどうとでもなる」
こくりと頷き、足を止める。
マトの方に振り向いて、ここからが本題だと言うように。
■マト >
「~~~♪」
鼻歌交じりに湖へとたどり着く
マトの持ち物はというと、此方も少なく肩にかけたポシェットだけである
楽しげな様子は同類、或いは友人との初めての約束でありお出かけという事もあるのだろう
「危険には幸いまだ出会ったことが無いね、それで、今日は何を見せてくれるんだい?」
「約束の時は詳しい事は聞いていなかったからね、此処まで来る間に考える事も出来たけど」
「自分自身がサプライズを受けられるチャンスは残しておく事にしたんだ」
そう言いつつもちらちらと本の方に視線が行く、それが今回のお出かけの主題である事には気づいているのだろう
■風花 優希 >
「見せるというか、使ってもらう感じになると思うけどね」
無邪気なものだな、と横目で見つつそう思い。
とはいえ、初めての友人にして同類相手に見せる様子としてはこんなものかと。
「前に話したときに氷の魔術は得意かもしれないと聞いたからね。
はてさて、どんなものか実際に見てみたくなったってわけさ」
そうここへ来た理由を口にして、本を構える。
一見して洋書に見えて、けれどもどこか古い和の様式の残る書物を。
■マト >
「……僕が使うの?」
それは割と予想外だったらしく、少しきょとんとした顔を見せる
「あぁ、成程…… それは確かに、僕自身も試してみたいとは思ってたところだ」
構えられた本をしげしげと眺めてから
「大分古い本に見えるね、装丁も前に図書館にいったときには似たものは見なかった気がするな」
「それで、僕はどうすればいいのかな?」
「用意したものが無いわけでは無いけれど……」
マトは自分がすべきことを優希に聞きながらも向かい合う様に立つ
そのまま軽く手足をぱたぱたと、準備運動をするかのように動かして見せるだろう
■風花 優希 >
「そういうこと、ボクがやる分には面白いものもないし」
まあ、手本として見せる事はあるだろうが、それはそれ。
少なくとも自慢するようなものでもないのは違いなく。
「一応、1000年モノの本だからね、コレ。
何より私物だからね、図書館には無いさ」
「まあ何かな、とりあえず試し打ちをしてみたいから、これ持ってみてよ」
ともあれ、本題を成す為に準備運動をするマトに対して、その本を差し出すのだ。
■マト >
「そうだね、僕としては興味があるけれど、今回は優希からのお誘いだし」
「なら頑張ってみる事にしよう」
納得したように頷いてから、本について聞いてほぅ、とマトから声が漏れ出す
「1000年というと中々だね、しかも私物……通りでというべきかな」
「持てばいいんだね?つまりあれか、所謂魔導書みたいなものなのか」
そう言いながらも案ずるより産むがやすしということで差し出した本を受け取るだろう
■風花 優希 >
「察しがいいね、ずばり魔導書そのもの、だよ」
本はずしりと、見た目相応の重量感。
かなり古い代物というには、一見して劣化が見られない。
また、どこかひんやりと冷たい感触が、不可思議な雰囲気を纏っていた。
「前に言ったように、魔導書はそれ単体で適性が無くても魔術を使えるようにしたりするんだけど…
この魔導書はその典型でね、ついでに簡単に使うだけなら呪文も覚えなくていい」
「これを持って、軽く念じるだけでそれっぽい魔術が使えるってわけだ。
まあ凍結に関するモノだけ、だけど」
■マト >
「成程ね、確かに持った感じも普通の本とは違うな」
「ひんやりしているし、匂いも古びた感じがしないね」
少し目を閉じて魔導書自体を顔に近づけるようにして観察?している
その後優希の続く言葉に合点が言ったように頷いて
「それで成程、僕に氷への適性があるなら、この本で魔術を使った場合の効果もそれに応じたものになる」
「そういう事だね?」
彼がしたい事の要点がつかめたかのように嬉しそうに笑うと、きょろりと周囲を見回して
「じゃあ… あっちの方にある遺跡の残骸あたりに向けてみようかな」
「何処に打つか決めておいた方が分かりやすいよね?」
■風花 優希 >
じっくりと本を確かめるのならば、恐らくは既視感を感じるだろう。
その冷たさや、その魔導書から感じられる魔力は、どこか覚えのあるもの。
それこそ、これを渡した少年から感じられるものに、それは似ている。
「そういうこと。
適性があるならすんなり魔術行使されるし、感覚でそこらへんが分かると思う」
手に馴染む道具と馴染まない道具がある様に、使ってみればそれが分かる、と。
少年はそう返すと、一歩離れて。
「だね、あのあたりに向けて…まあ氷を打つなり、凍らせてみるなり。
そういう感じの念じてみれば、後は魔導書の方が勝手にやってくれるよ」
■マト >
「……」
「むっ、うん、分かった、やってみるよ」
その感覚に一瞬それについて考え込みそうになったのか、一つ唸って首を振る
「凍らせる……凍らせてみよう、固めるイメージに近いのはそっちだし」
そして促され、一つ息を吐いてからどうやら、力を込めているようだ
はたして魔導書にはマトの魔力が込められ、原動力となる
魔力の質や形があるとするならば、それは粘体を思わせ魔導書を覆うように展開していく
もし感覚があるのならば、それは不快感というより何か、自身を守ろうとするような献身の意思を感じるだろうか
「こういうのはイメージが大事なんだったか……」
「―― 凍れ!!」
魔導書を通じた魔術は問題なく放たれ、空気を通して伝わる魔力が遺跡の残骸を凍らせていく
優希の見立て通り素質があったのか範囲、凍る速度共にそれなりのものだが
一番の特徴はその結果かもしれない、ただ凍らせるだけでなく表面が魔力でコーティングされ
耐久性……いわば溶けるのを防ぐ役割を果たしているのが分かるだろう
■風花 優希 >
魔導書に魔力が流れ込み、魔導書がそれに応じて淡く蒼く輝く。
粘性の、包み込むような独特の魔力。
同時にイメージが込められて、それに最適な魔術を魔導書が選出する。
言葉と同時、それは明確な現象として、その結果が現れる。
「おぉ──」
それを見て、感じ取って、少年は感嘆の声を漏らす。
冷気が残骸を包み、大気の水分を収束させて凍り付かせる。
しかも、それで産み出された氷は魔力を帯びて、まるで包み込むように。
なるほど、こういう結果になるのかと、素直に彼は目を細める。
「……見立て通り、いや、それ以上だね」
■マト >
魔導書の輝きに目の光が映り
放たれる魔力を目が追い
凍り付く残骸に目を瞬かせる
「出来た、ね……」
「やっぱり、固める事は得意みたいだ、こういう形でも」
凍り付いた残骸は永遠に凍ったまま、という訳では勿論ないだろうが
ぽかぽかと暖かな午後の陽気に照らされても、全く溶け始める様子も見せず冷気を発している
「そうかい?おほめにあずかり恐悦至極……とでもいえばいいかな」
「この魔導書のおかげというべきだと思うけどね」
未だ手に持った魔導書を両手で開いて眺めながら、それでも嬉しそうに髪を揺らして
■風花 優希 >
「凍らせるだけなら珍しくないけど、維持まで完璧なのは中々ないよ。
固める…っていう特性故かな、想像以上だよ素直に」
ぱちぱちと、手を叩く。
欠片も溶ける様子のない、凍り付いた残骸を横目に。
「まぁ、魔導書がそれを可能にしたといえば、その通りではあるけどね」
ほんの僅かに我がことにように胸を張り、少年は別の残骸に視線を移して。
「じゃあ次はそうだな…”凍ったものを操る”方はどうか、確かめてみようか」
■マト >
「普段自分が能力でやっている"固める"という行為を遠隔で行うイメージを浮かべてみたんだ」
「だから維持については其処が関係しているのかもしれないね」
「氷のような場合を除けば、能力で変化させる時は液体から固体への一方通行になるものだし」
固体から液体への変化を防ごうとしているのかも、と自分なりに分析しているようで
「うん、流石優希の私物だけあって凄い魔導書だよ、これは」
まるで人にするかのように表紙を撫でながら
「操る、か……わかった、やってみるよ」
「氷を生み出して、あれに飛ばす感じだね」
「なら――― 展開!」
そういって別の残骸に体を向けて魔力を籠め始める
先ほどの様に魔力が込められ、今度は尖った氷が幾つもマトの周りに展開し始める
それらはゆっくりと周囲を回っているが、中々残骸へ飛んでいく様子は見せない
「……む、ぅ……うまく"飛ばないな"……あ」
「優希、少し"アレンジ"してみてもいいかい?」
少しだけ眉間に眉をよせてから、優希に顔を向けてそんな提案をしてくる
■風花 優希 >
「あぁ、明確なイメージ故の、というやつか。
確かのあの時、しっかり固めていたものな」
なるほど、と言葉に頷く。
表紙を撫でる仕草には、少し背を伸ばして苦笑して。
「ああ、さてさてこちらはどんなものか…」
ともあれ、マトが行使しようとする魔術の方に目を向ける。
待機中に氷が創り出されるところまでは問題なく。
それがいくつも展開するが、中々にうまく動かせない様子に目を細めて。
「…ふむ、アレンジかい?
いいよ、やってみてくれるかな」
■マト >
「ありがとう、それじゃ……」
かぷ、と本を持っていない方の手で自身の指を嚙む
赤いものがたらりと零れ落ち、本に落ち――る事は無い
マトは自身の"血"を触媒に魔術では無く異能を発動させたのだ
「僕自身の力で飛ばすイメージを補填するなら……」
こぼれ出る"血"が半透明の、氷で出来た弓の形を取っていく
勿論マトは弓を撃った事こそないため、弓の持ち方も、弦の引き絞り方も本物のそれではない
それどころか矢すらも持っていないのだが……
弦を引き絞る仕草をすると、展開していた氷がマトの前方に展開されていく
まるで見えない矢と繋がっているかのようにマトの手の動きにあわせて氷は動き
「――刺され!」
弦を離すと、一斉に尖った氷、いや、氷の矢は飛んでいき残骸に突き刺さり、残骸諸共に砕けていくだろう
■風花 優希 >
「ほぉ──そうするのか」
今度こそ目を見開く。
血を触媒に魔力行使を強化するのはよくある事だが、マトはそれを異能のトリガーとした。
血から弓を形作り、それを引き絞る形で魔術を”撃ちだす”のだ。
それは射出するイメージを紐付けさせる行為であるのは直ぐに見抜けた。
そして、それは一気に射出され、残骸を明確に打ち貫く。
撃ちだすというイメージを、確かにそれは形にしていた。
「でもなるほどね、今ので”だいたい分かった”よ」
■マト >
「ぶっつけ本番だけどうまく行って良かったよ」
残骸を貫く氷を見てほっとしたように声を漏らして弓を置く
「うまく撃ちだせないのはやっぱりイメージの不足の性なのかなと思ってね」
「知っている限りで何かを撃ちだすのに向いたものを作ってみたのさ」
「……おぉ、それで、優希からみてどうだい?期待に添えたかな?」
大体わかった、という言葉に目を瞬かせながら体を揺らし、続く言葉を待っている
■風花 優希 >
「ああ、鍛錬次第で化けそうだな、と思ったよ。
まさか異能の方で弓を作るとは思わなかったけどね」
くつくつと、少し笑いながら少年は言葉を返す。
「必要最低限の行使補助で、あそこまでできるなら大したものだよ。
足りないものも、ああやって補うのは予想外だったし」
そうして語る口ぶりは、まるで自らが補助をしていたかのような口ぶり。
魔導書は、ふわりとまだ淡く輝いていた。
「本当なら、細かいイメージまで補助するのも魔導書の仕事なんだけどね」
■マト >
「いや、その」
「知っている中だと血を魔術の触媒にする……というのも考えたけど」
「人のものを勝手に汚すのは良くないしやりたくなかったからね」
「この方が僕にはあってると思ったし」
優希の評価には素直に答え、嬉しそうに、軽やかに近づく
手に持った魔導書を落さないように両手で大事そうにぎゅっと胸元に抱えながら
「いや、今は僕の力を見るためのテストみたいなものだし、それで正解だったよ」
「之は優希のものな訳だし、僕も今後魔術を使う時に何を用いるかは考えないといけないだろうからさ」
「……ところで、さっきから気になってたんだけど」
「この魔導書、もしかして優希にとってとっても大事なものだったり、君自身と縁があったりするのかい?」
一先ずの試しが終わった所で、最初に触れた時から今まで気になってきた質問を投げかけてくるだろうか
■風花 優希 >
「あはは、実際あっているやり方だったから、いいさ。
魔術で弓を作ることも出来たけど、あっちのがキミにとっては効率的だっただろうし」
抱かれた魔導書が静かに揺れる。
嬉しそうにはにかむマトに、少年も淡く笑い返して。
「真っ当にやるなら、術式なり呪文を勉強しないとだからね。
もちろん、今みたいに魔導書を通してショートカットしてもいいけど」
その辺りは、どう魔術を扱っていくか次第か。
「……んで、やっぱそれ気になる?
まあうん、元々その辺りの話もするつもりだったからね」
「そうだね、ボクに所縁のあるものだ。
ボク自身…と言ってもいい…というか、なんというかな」
■マト >
「あぁ、なるほどそういう手もあるんだね、とはいえそうだね、優希の言う通りだと思う」
「ただ、之だとどうしても僕が能力で出来る事に縛られがちだから認識の拡張はしていくべきかもしれない」
穏やかな風に湖の水面が揺れる音と、草の匂いが笑いあう二人の間を流れていく
「そうだね、一口に魔術といっても触媒や発動の仕方にかなり幅がありそうなのは分かったよ」
「僕の場合能力では液体を扱うから、それと親和性が高い方法を考えるのもよさそうか」
「僕自身といってもいい?」
「優希は僕を同類といったね、人ではない、或いは人に"造られた"存在」
「僕は僕自身の中に核があるけれど、君にとってはもしかしてこの本が?」
話していれば、その可能性にたどり着いたのだろう
抱いていた魔導書を両手で優希に対して突き出すようにしながら自身の予想を告げてくる