2024/06/10 のログ
風花 優希 >  
「そこのところは、これからの経験次第ってところだろうね」

まだ今の身体になって、日が浅いだろうからと。
数週間しか経ってないのに、ここまでサマになってる方がある意味で異常なのだ。

「色々と派閥やら種類もあるからね。
 その中で、適したものを普通は扱っていくものだ」

そんな感じでいいと思うよ、と軽く返し。
そして尋ねられた本題に、細めた瞳で真っすぐに見返す。

「ご明察、ボクはその『魔導書』が本体、格のようなものだ。
 人により記された魔導書が、ある目的のために形を持った存在さ」

行き付いた答えに回答を。
ぱちりぱちりと、その正解を示すように。

マト >   
「そうだね、経験、僕に最も足りないものだ」
「それを得ることに関しては今後も積極的に活動していくつもりだよ」
「まだ"1年生"だからね、僕も」

マトもまた彼の言葉にもっともだと頷いて返す
ともあれ、時間はまだ動き出したばかりなのだと

「という事はさっきまで僕は友達に力を借りて魔術を使ってたようなものか」
「僕は少なくとも今は核と動かす体を別に持つことは出来ないけれど」

自身の回答があっていたことに頷きながらも、しげしげと魔導書、いや『彼』を見つめて

「それならやっぱり、血で汚さなくてよかったよ」

そういって微笑みを向けながら話しかける

「目的はぱっと思い浮かぶのは人とのコミュニケーションだけど、それだけでは無いような気もするな」
「君は初めて会ったとき単独で祠を封じていた……あの行為も恐らく君の使命(オーダー)だろう?」
「なら使命(オーダー)をこなすための工夫が、今の優希が魔導書と人、複数の体を持っている理由」
「……あってるかい?」

まぁ今想像してみただけなんだけど、と付け加えつつ

風花 優希 >  
名実ともに後輩だな、と小さく笑い。
自らに力を借りて使っていたという言葉に、軽く頷く。

「実際に、力を借りていたのはボクの方だけどね。
 ボクがやったのはイメージからの魔術の選定と、その魔力行使の補助だから」

「…ま、汚れるくらいは別に良かったんだが」

修繕機能で綺麗になるし、などとぼやきつつ。

「ああ、その推理で大よそ正しいよ。
 ボクには課された使命がいくつかあってね、それを果たす為の補助として人の身体を持っている。
 実も蓋もないことを言えば、魔導書だけじゃあ活動が出来ないからね」

そう答えると、肩を竦める仕草を見せる。

「ただ、魔導書であることには変わりはない。
 誰かに使われないと、本領も発揮できないんだよね、困ったことに」

マト >   
「なら文字通り手伝ってもらった、って言うべきかな?」  
「気持ちの問題もあるからさ、ほら極力"人"に迷惑はかけたくないからね」

それは暗に、優希を同類であると同時に、人としても見ているような言いぶりで

「使われないと本領を発揮できない、か」
「それは確かに困るね、逆に言えば使い手がいなくても使命(オーダー)を果たせているのは立派だと思うけど」

肩をすくめる様子の優希にむぅ、と少し唇を尖らせる仕草をして

「ただ、なんだろう、少しだけ羨ましくもある気がするな」
「うまく説明できないんだけれど……そう、一人で完結した力ではない事、がね、何となくそう思うんだ」

上手く言語化出来ない様子を見せるマトだが、恐らく優希は気づけるだろう
誰かに使ってもらう事で本領を発揮する、それは人に力を借りる正当性とも言える
誰かに使われたい、という願望をマトが本能的に持っているなら、それを自然に満たせる優希の在り方が少し羨ましいのかもしれない

風花 優希 >  
「なるほどな、確かにまあ…手を借りたといえばそうか」

恐らくは此方の事を人としても見ているのだろう。
こんな形をしているのだから、当然といえば当然かと受け入れる。

「できる範囲で、でしか使命も果たせていないけどね。
 やっぱり、ボクだけで出来る事はそう多くないし……」

「でも、それが羨ましい……か。
 ……やはり、キミも同類なんだな」

その上で、マトが零したその言葉に、その願望に緩く苦笑を浮かべる。
誰かに使われる事を、恐らくは望んでいるのだろう。
だからこそ、一人では万全ではない己の事を、羨むのだと。

そして、そこでふと思いつく。
それは少しばかり、突拍子もないものだったが。

「なら、使われてみるかい?」

マト >   
「そういう事、ふふ、なんならお礼も用意しようか?今作れるのはちょっとしたお弁当くらいだけど」

彼が納得した様子に今度はマトが少しだけ胸を張る様にしてみせる

「出来る範囲か、まぁそれはきっと誰にとってもそうなんだろうね」
「僕も今できる事はそう多いって訳でもないからね」

とはいえ、何をやるかが決めきれていないからそれ以前でもあるんだけど、と笑ってみせつつ

「うん、そうだね……優希が言うなら多分そうなんだろう、この前図書館で会った時にも、似たものを感じたね」
「少し……恥ずかしい、な?うん、恥ずかしい気がする、優希は悪くないんだけど」

僅かにマトの頬に赤みが差す、前回の自分の感じた嫉妬というもの、それをまた今回も彼に向けてしまった
それを少なからず恥ずかしい事、と考えたのだろう
ただ、続く優希の言葉には首を傾げながらも僅かにきらり、と瞳の奥に光を宿す

「使われてみる、っていうと?」

風花 優希 >  
「お礼までは必要ないけど、お弁当は魅力的だな」

等と、少し冗談めかしてそう返す。


「恥ずかしいものなのかい?
 別段、嫉妬するのも不思議なことではないと思うけどもね」

ただ、そうした仕草や様子は人らしいなと少年は思う。
赤らんだその表情だけを見れば、ゴーレムだとはだれも思わないだろうから。

「そ、ボクを使う事で、”ボクに使われてみるのはどうかな”?ってね。
 思いつきだし、やるにしてもお試しみたいなもんだけどさ」

マト >   
「なら考えておくよ、せっかく作っても、自分だけで判断すると評価がぶれるからね」

片目を閉じて、ウィンクするような仕草

「そりゃあ……人に迷惑をかけたくない、と思っているのに」
「使われる、いや、使ってもらうという行為に対して嫉妬するのは、少し矛盾しているようにも感じるんだよ」

自分の中のもやもやした気持ちを言語化しながら彼の提案を聞いて

「……なる、ほど?」

それはある種主従の逆転のような提案であるが……

「面白い、かもね」

最初にマトから漏れた感想はそれだった

「優希は力を発揮できる機会が増える、僕は優希の使命(オーダー)を手伝うという目的が増える」
「そしてお互い"使われる"という行為を満たせる、か」
「……一応聞いておくよ、お試しとはいえ僕でいいのかい?」

冷静に提案の内容をかみ砕き、そして優希に対して質問を投げかける
その問いは、自分は人ではないのだけど、という意味が含まれている事は想像に難くないだろう

風花 優希 >  
「はは、それはそれは、程々に楽しみにさせてもらおうかな」

そのウィンクに、少しだけ肩を竦める。
果たしてどの程度、料理が出来るのか純粋に気になるところであった。

「そういうものかな?
 使われる事に喜びがあるのなら、他者のそれを羨むのは当然だろう。
 相手が同類ならば、たぶん尚更」

とはいえ、実際にそれが当然のことかは分からない。
人の感情のそれを、少年もまた理解しきってはいないのだ。

「ああ、お互いにある程度、目的と願望をみたせるってわけさ。
 ボクとしては特に問題ないし、互いに本題が見つかるまでの仮初としては上々だろう?」

マト >   
「じゃあ、そういうことで」

そういうことになった、恐らく近いうちに料理を振舞う機会がある……かもしれない

「そう、なのかな」
「とりあえずはそれで納得しておくよ」

納得しきれていないような様子こそ見せるが、一先ずは頷きつつ

「……優希がいいなら、それじゃあ、仮契約って事で?」

そういってマトはゆっくりと手を差し出す

「こういう時は握手をするもの、だったよね?」

風花 優希 >  
「ああ、マトがいいのなら──仮契約、だね」

手を差し出したのを見て、少年もまた手を差し出し返す。

「よろしくお願いするよ、マスター?なぁんてね?」

そして、その手を握れば何処か揶揄うように、笑いながらそう続ける。
互いに手を握る行為にも、その言葉にも明確な意味はない。
仮初の契約故に、魔術的な結びつきが産まれるわけでもない。

だが、繋がれたての感触から、確かな繋がりが産まれたのは感じ取れた。

マト >   
ぎゅ、と少しだけ強めに、片手に彼自身である魔導書を抱えながら握手を交わした

「うん、よろしくね……あはは」
「それなら僕にとっても優希はマスターのようなものだけどね?」

揶揄う彼に対してマトも楽し気に返しながらの握手はお互いの"温度"を確かめるような行為
いってしまえば何て事の無いただの約束のようなものだ

だけど、いや、だからこそお互いの意思でするそれは、大きな意味のある行為なのだろう

風花 優希 >  
「そう言われてみれば、確かに」

互いに使われる関係性ならば、そうなるな、と。
からからと小さく笑った。

重なる手の温度は、少年のそれは少しひんやりと。
ただ、どこか柔らかな冷たさであった。

「改めてよろしく、だね、マト」

マト >   
「そういう事」
  
マトも優希も、お互い少し冷たいといってもいい手を触れ合わせる

「……こんな所までちょっと似てるの、何だか面白いね」

くすっ、と思わず屈託のない笑みが漏れた

「よろしく優希♪……じゃ、今日の予定はこれくらいかな?」
「そろそろ帰るかい?それとも、ちょっと日向ぼっこでもしていく?」

何て笑いながら、すっ、と魔導書を返すために差し出すだろうか

風花 優希 >  
「そうだね、ちょいと奇妙な感じがするよ」

単純な縁、或いは所縁。
そういうものだけではないような気がしてしまう偶然だと。
だから、返すように少年も口角を歪めた。

「あぁ、そうだね。見たかったものは大体見れたし話すことも話せた。
 でも、せっかくここまで来たからね…少し休んでから帰るのも悪くないか」

差し出された魔導書を受け取って、少年は地面に腰を下ろす。

マト >   
「でも、嫌じゃない」

それが好ましい感覚であることにきっと喜びを感じているのだろう

「今日はまだ時間があるしね……そうだ、一休みしたらさ」
「折角だし優希の魔術も見せて欲しいな?」
「純粋に興味があるのもあるし、今後を考えたら色々知っておきたいからね」

マトも並んで腰を下ろし、脚を並んで思いっきりリラックスした姿を見せるだろう

風花 優希 >  
違いない、と少年は頷いた。
隣り合って腰を下ろし、のんびりと湖の向こうを眺めて。

「ああ、もちろん構わないさ。
 そう大それたものではないけど、ね」

そんな返事を返しながら、ゆっくりと静かな時間を暫くは過ごすのだった。

ご案内:「転移荒野」から風花 優希さんが去りました。
ご案内:「転移荒野」からマトさんが去りました。