未開拓地区に存在する小高い連山の総称である。
古くから常世島に存在する連山であり、その名の由来はヤマトタケルが大和を偲んだ歌から来ている。
古代から祭祀の場であったらしく、祭祀の遺構が数多く見つかっている。
世界の変容後、一種の異界となったらしく、神話上の存在などが山の中に潜んでいるなどのうわさも存在する。
入山は自由であるが、整備されているわけではないので注意が必要である。
参加者(0):ROM(1)
Time:18:47:45 更新
ご案内:「青垣山 廃神社」から都姫うずめさんが去りました。
ご案内:「青垣山 廃神社」から銀の狼さんが去りました。
■都姫うずめ > 少しだけ足取り軽く、廃神社の階段を降りる。
学生寮の方に帰ろうと歩き始めたところで……聞き慣れぬ”声”が廃神社から響いた。
振り返って廃神社を見やるけれど、流石にそれなりに離れているのもあって声の主はわからない。
わからないけれど……声と方向からして、きっと氏なのだろう。
「挨拶なのかな。 いいね。」
今度作る曲は狼の曲にしよう。 媚びないけれど牙も剥かない、そんな狼の曲だ。
メモにつらつらと書き記しながら、鷹揚な、言葉もかわさぬ顔見知りのことを考え、
学生寮へと戻るのであった。
結局帰るのが遅くなり、寮長に怒られるしルームメイトに心配されるしで散々だった。
どうも自分の身の回りは、あのデカケモみたいに静かに平然と構えてはいられないらしい。
■銀の狼 >
別れの挨拶に、また小さく耳が動く。
ほんの軽く頭を上げ、挨拶と共に頭を下げる女生徒の姿に視線を投げ。
そして、銀の狼はまた頭を小さく下げて元の姿勢に戻る。
女生徒が境内を去り、石段を下りて。
銀の狼が見える範囲まで、幾度か振り返る機会があったとして。
相変わらず、銀の狼は丸まっているままだろう。
そうして、山を下り、街への帰路に就こうかと言う所で。
『――――――――』
青垣山の中腹辺り…あの廃神社のある方向から、尾を引くような、長い遠吠えがひとつ。
たった一度だけのその遠吠えを残して、銀の毛並みの狼もまた、寂れた廃神社からその姿を消していた。
――ある満月の夜の出来事。
誰に話すも、話さぬも自由。
それを信じる者が居るかは、また別の問題なのだから。
■都姫うずめ > 「んふふ」
自分の声を聞いているのだろう。獣耳が動いている。
けれど、何かしらのアクションを取ったりはしない。
それが嬉しかった。
この場所には、自分と氏の一人と一匹がいる。
そのふたつの存在は、揉めるわけでも、友人として中がいいわけでもない。
ただ、同じ空間に一緒にいるだけ。 そういう距離感が心地よいときだってある。
そういう意味では、この廃神社と…デカケモ氏は、その距離感を提供してくれる場所と存在だった。
何をするわけでもなく、静かに時間を過ごす。 空を眺め、たまに氏を眺め…思索に耽る。
友人のこと、委員会のこと、自分のこと、そして音楽のこと。
ゆったりと時間を過ごした後、そっと立ち上がった。
「よし、それじゃ帰るね。 デカケモ氏、ありがと。 またね。」
友達というわけでもなく、愛玩物に接したわけでもない。
同じ場所にいたというだけも、ゆるやかな連帯。
そんな気持ちがこもった気持ち短い挨拶を告げてから、小さく頭を下げた。
■銀の狼 >
銀の狼の立っている耳が、また小さく動く。
姿勢からして寝ているようにしか見えないが、女生徒の言葉はしっかり聞こえているらしい。
確りと綺麗に後片付けを行う女生徒の様子に、また少し雰囲気が穏やかになったような気配がする。
特に大きな反応を見せる事もなく、銀の狼は丸まっている。
犬のように、人間に向けて尾を振ったり様々な鳴き声を発したり、そんな行動を取る事はしない。
狼とは、本来野生に生きる獣とは、そういうものだから。
それでも、恐れるでもなく接してくる人間に対し、攻撃的な雰囲気を見せないのは、
人と獣の間の…目に見えない壁を、あるいは溝を、超えようとして来る姿勢に対する…敢えて言うなら「敬意」だろうか。
人と狼の間に横たわるモノは大きい。
狼は人を襲い、人は狼を狩る。
どちらが正しいとも、間違っているとも言えない。
そうしなければ「生きていけない」事情があったから。
やがて、西洋からやって来た犬が同時に運んできた災い…伝染病が、狼の数を減らす一因になった。
更に、人間が住む土地を、あるいは農地を拓く為に行った開発が、住処を奪っていった。
地域によっては、魔除けや憑き物落としの祈祷の為と言う理由で乱獲された事もあった。
そうして、狼という生き物は日本からその姿を消した。
散発的に「それらしい生き物」の目撃談が上がってはいるが……「絶滅」という判定を覆すには、あまりに頼りない。
もしも、そんな生き物が人前に現れて、人の言葉を口にする事が出来たら…
出て来るものは「生きる場所」を奪い、追い立て、同胞を駆逐して回った、人という生き物への怨嗟だろうか。
あるいは、住処を奪われ、逃げ続け、姿を消さざるを得なかった過去への諦念であろうか。
だが、少なくとも、今この獣は、そんな事を口にはしなかった。
喋っても仕方がないと思ったのか、口にするような事でもなかったのか、あるいはヒトの言葉を持たないのか。
いずれにしろ。
銀の狼は、歩み寄ろうとした女生徒に尾を振るような真似をする事はせず、
しかし牙を剥いて追い立てるような真似もしなかった。
この程度の距離感で、充分なのだと。
そう思っているのかは…狼ならぬ身には知る由もないが。
ご案内:「青垣山 廃神社」に銀の狼さんが現れました。
ご案内:「青垣山 廃神社」から銀の狼さんが去りました。
■都姫うずめ > 「おお、普通に食べてくれてる…。 ありがとうね。」
デカケモ氏にお礼を述べながら、叉焼を乗せていた器を回収。
きちんとあとで捨てるから安心だ。
ここが氏の安寧スポットなら、綺麗にするのは尚更の道理がある。
ちょっと尻尾を動かしている様子を見ると、楽しげに目を細めた。
警戒や嫌なことがあるときに尻尾を振ったりはしないだろうし、
たぶん……叉焼が口にあったのだろう。 きちんと完食してくれたわけだし。
弁当ガラをきちんとビニール袋にしまってから、石畳の上に座り直す。
最初に見た時のように丸まって大人しくする氏を見て、穏やかな調子で声をかけた。
「ここが好きなんだね。 また今度遊びにくるから、そのときはまた一緒にご飯食べよう。」
自分もここが好きだ。 演奏にも使えるし、こうして一人でゆったりするのにも良い。
そして…何をするでもなく、同じ場に静かにいる仲間が増えたことも。
しばらくのんびりと過ごしていたところで、はっと我に返った。
「あ、そうだ。 名前、都姫うずめ。 デカケモ氏は……。
名前があるのかなあ。 聞ければいいんだけど、わかんないもんね。
まあデカケモ氏(仮称)ってことでひとつ、よろしくね。」
相手にきちんと名乗ってから、軽く手を振って見せる。
ご飯も一緒に食べたし、名前も伝えたし…お知り合いにはなれた。うん。
■銀の狼 >
デカケモ。
呼ばれ方には思う所があるのか、小さく耳が動くが…まあ詳しくない人には
狼と犬の違いは分かり辛い…というか分からないだろうから仕方のない事ではあろう。
狼を飼育している動物園というのも、意外と数が多くなかったりするから是非も無い事。
そんな合間に、銀の狼は残った叉焼をやはり器用に咥え、口に運んでは咀嚼し、飲み込んでいる。
あっという間、と言う程の速度ではないが、蓋の上に載っていた叉焼は綺麗に平らげられていた。
ごちそうさまの声がすれば、銀の狼も小さく喉を鳴らす。
またも丸まって地面に伏せ、ぱたりと尻尾を動かして地面を叩く。
狼は犬とは異なり、人間に向かって尾を振る事はない。
人に飼われ、共存する犬が人に尾を振るのは、その動作を人が好むから行っているのだという学説がある。
少なくとも、食事を終えた少女に向けて振ったものではないのだろう。
体格からして、叉焼数切れで空腹が満たされた…とも思い難い。
恐らくは、単純に「美味い物を食べて少し満足した」程度の感覚、なのだろうか。
それを知るのは銀の狼だけである。
女生徒が何を思ってどう解釈するか、それは彼女の自由であり、誰にもそれを否定は出来ない。
■都姫うずめ > 「いいね。 それわたしが作ったやつなんだよ。」
叉焼を器用に1枚咥えて食べる様子を眺める。
食べっぷりに満足げな表情を浮かべてから、自分も夕ご飯に取り掛かる。
半餃子……餃子を半量にしたという意味ではなく、デミ餃子という意味だ。
すなわち餃子の余った具材で丼を作ったものである。
おはしを使って、丼をかきこむ。 部屋で食べてる時と同じ、飾らない仕草だった。
「デカケモ氏は、ここが気に入ってるんだ。 わたしもだよ。
叉焼も好きだし、親近感が湧くね。」
相手が自分の言葉をわかってくれているかはわからないけれど、
なんとなく、同じ場所が好きで同じものを食べている…それだけで親近感がある。
半餃子丼を食べ終えた後は叉焼飯である。
叉焼はでか動物に分けたから少ないけど、タレがあるので十分食べられる。
「…」
一人と一匹の静かな食事の時間。
響くのはご飯を食べる音、獣の呼吸音、それから虫の声。
奇妙で静かな音が辺りに満ちる中、満足げな表情でお箸を止めた。
「ごちそうさま。」
愛護にペットボトルのお茶をのみ、しっかりと両手を合わせて一礼。
でかでか動物にも一礼。 彼女?彼?の代わりのご挨拶だ。
お粗末様でした兼ごちそうさま。
■銀の狼 >
『………………。』
声を上げた人影と、出されたモノに、首を動かさぬまま視線だけを行き来させる銀の狼。
心なしか、ぴりりとした、警戒感といえばいいのであろう雰囲気が少しばかり小さくなる。
人影…制服姿の女子に視線を向ける。
大雑把に見て、身長は銀の狼の半分程。
高校生として見たら、女子の平均よりは少々低い、と言う所だろうか。
すん、と小さく鼻が鳴る。
特徴的な刺激のある香り。
大陸…中華料理系の香りだ。
先程の言葉からして、恐らくはこれで落ち着いてくれないか、と言う所、なのかも知れない。
『………。』
――少なくとも、目の前の女生徒…制服を着ているので女生徒だろう…は、積極的に敵対しようとしたり、
あるいは逃げようというつもりはないらしい。
恐らく、何かしらの用事があってこんな人気のない、しかも夜中の廃神社を訪れたのだろう。
人と獣は、相容れないものだ。それは、ニホンオオカミの絶滅の歴史が既に物語っている。
それでも、女生徒は恐れて逃げ出す事も攻撃を仕掛ける事もしなかった。
「本来」、野生生物に対して餌付けを行う事はあまりよろしくないが――――
『――――――』
はぐ、と、小さく音を立て、銀の巨狼は器用に叉焼を一切れ咥え上げ、軽く咀嚼して飲み込む。
少なくとも、この女生徒から「忌わしい臭い」はしなかった。
それならば目を瞑っておく位は構わないだろう。
――実際に銀の狼がどう考えたかは分からないが。
兎も角、叉焼を一切れ口にした銀の狼は、身体を伏せてまた丸くなった。
その姿から、刺すような警戒感はもう感じられない。
■都姫うずめ > 「うお……」
立ち上がるとさらにデカかった。
ゾウさんを動物園でみたことがあるが、それぐらいデカい。
「うーーーん……。」
相手の態度は敵対的ではないのだろう。
おそらく、自分と同じように『相手は何者か』を考えているのではないか。
だとすれば、攻撃の意図はないことを示すのが一番だ。
それなら…。 ビニール袋の中をガサガサとやる。
取り出したのは持ち運び用の器に収まっていた、半餃子丼と叉焼だった。
今日の炊き出しは水餃子と叉焼飯だったのだ。 そのあまりである。
「…。」
メニューと、眼の前のでかでか動物を交互に見る。
餃子はニラとか入ってるから、たぶんあんまり良くないはず。
ぱかっと開いたフタに叉焼を数切れ乗せて、自分からちょっと離れた…
でかでか動物に近い場所にそっと置いて下がった。
「あげるから怒らないでよ。 うるさくしないからさ。」
炊き出しと生活安全で学んだことである。
同じ釜の飯を食べたら、とりあえずいきなり喧嘩にはならない。
食べて、と手でジェスチャーをしてから、自分はその辺に腰掛ける。
今日のお夕飯は半餃子丼と叉焼飯(肉少なめ)だ。
■銀の狼 >
全くの余談であるが、狼の聴力は強い。
既に絶滅しているとされるニホンオオカミについてはさて置き、ヨーロッパや北米に住まう
大陸狼の類の聴力は、森林内部であっても6マイル…凡そ9.6km先の音を捉える事が出来るという。
これが遮るものの少ない草原地帯となった場合は10マイル…凡そ16km先の音まで捉えられるとされる。
しかも、狼は犬とは明確に異なる。
その最たるものが「警戒心」である。
人間に飼われる…共存によって種の持続を選んだ犬は、耳がたれている種も珍しくない。
それは必然的に、音を捉える能力が低くなる事を意味する。
危機意識の低下、あるいは愛玩動物としての進化の結果と言える形だが、それが犬にとっての生存戦略。
狼は違う。
その耳は常に立っており、近づく音等を確実に捉えにかかる。
警戒心の強さ。それが狼の生存戦略である。
例えサイズが異なろうが――「狼」である以上、それが銀の巨獣に当てはまらぬ訳もなく。
ぴくり。
銀の狼の耳が小さく動く。
同時に、閉じていた瞼が上がり、ぎょろりと目が周囲を向く。
のそり、と体を小さく起こし、同時に喉を鳴らしながら、音のした方向に的確に視線を向ける。
――即座に飛び掛からないという点では、敵対心かそれに準ずるものはないと見て良いだろう。
それがある意味救いであったかもしれない。
だが、確実に警戒はしていると分かる。
このまま背を向け、逃げる事が許されるか…と問われれば、返答に詰まる位には。
■都姫うずめ > 風紀委員会の活動に休みはない。 それは生活安全課も同じだった。
夜ご飯の炊き出しの片付けを終えたら、夜ちょっと遅めだった。
部屋に帰って今から料理というのも気が引けるというものだ。
そこで訪れたのは廃神社である。ここはお気に入りの場所のひとつだ。
のんびりできるし、ギターの練習もできる。 その場所のはずなのだが。
「うお……でっっ……でっか…。」
境内に、先客がいた。 でっかい犬が陣取って休んでいたのである。
見ただけでもだいぶデカい。 でかでかだ。
「…北極からいらした方とか?」
”寒い所にいる動物ほど、体温保存の関係でデカくなる”……
教科書で読んだベルグマンの法則を思い出して考える。
でも北極に犬的な動物はいないはずだし。 そも犬じゃない可能性が高い。
少し考える。 眠っているなら邪魔するのも風情がない話だし、
万が一寝起きの機嫌が悪かったりすると分が悪い。
そっと下がろうとした時に、手に持っていたビニール袋がその辺の枝に当たり、
ガサガサと目立つ音を立てた。
「あっ」
思わずでかでか動物の方を見る。