設定自由部屋です。常世島内であるならご自由に設定を考えてロールして戴いてかまいません。
また、ここでは回想的なロールも可能です。ですので常世島の外でも構いません。しかし、あくまでメインは常世島の内部でお願いできればと思います。
その他常世島内の特殊な場所や、シチュエーションなどにご利用ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:10:33:36 更新
ご案内:「美術準備室」から小鳥遊 日和さんが去りました。
■小鳥遊 日和 > かくしてことが明らかになったのは、人魚像が”展示”されてすぐのことである。
展示場の意向により即座の撤収は不可とされてしまったため、
小鳥遊は数日間、幸せな人魚像として過ごすことになったのだった。
以来、小鳥遊の持つ雰囲気は少し変わった。
人としての気配が消失し、それに反比例するように
愛らしさは強くなったのだった。
「最近、生徒さんたちは、わたしのことを『なんだかぬいぐるみみたい』っておっしゃるんです。
いえ、もちもちしているとかそういう意味じゃなくて。
こう…なんとなく触れていて、触り心地がよくて安心するみたいな。
ぬいぐるみとか…ラグとか、クッションとか。
もしかしたら、今のわたしはそういったものに近いのかもしれませんね。」
のんびりした、でも楽しそうな調子で話す小鳥遊を見て、
調査員の人は頭を抱えたとのことである。
■小鳥遊 日和 > ……数分後……。
『小鳥遊先生ー!遅れてすんません!』
『台車持ってきました!今運び出しますね!』
何人かの生徒たちが騒々しく、AC30セクションに現れる。
彫像部の生徒たちだ。
てきぱきと大急ぎで台車に物品を…出店する展示品を載せている中、
一人の手が止まる。
『あれ? ねえ、なんで人魚像が完成してるの?』
『えっ? 今その話?! だって今日人呼んで人魚になってもらって、
そんで石化魔法を受けてもらって~って話だったでしょ。』
『いや、その人から連絡あったじゃん、遅れますって。
ほら、ここになんか車いすもあるし。』
『じゃあ間に合って人魚化して台座に収まってくれたんでしょ。
あと、車いすはうちら以外の美術部のやつだよ。たぶんね。
それより早く手ぇ動かす! 搬出用車両を困らせないのも出展者のやること!』
どたばたとした騒ぎにより、人魚像に対する誰何は行われず、
そのまま台車に乗せられ、準備室の外へと運ばれていった。
…そして、彫像部の生徒たちが引き上げてから数分後……。
新たな人物がAC30セクションを訪れる。
『ごめん遅れたー! 人魚化魔法さあ、すっごい準備が面倒でさあ!
朝受け取ってきたから遅れたーって話なんだけど、…。
…あれ?なんで誰もおらんの?』
■小鳥遊 日和 > 考えている時間は一分もなかったが、すでに石化は腰から上へと伸びつつあった。
その時に、はっと目を見開く。
「そっか、わたしはもう……」
気づいた。 わかった。 わたしはもう、人間じゃないんだ。
ただのモノ……ご主人様のモノなんだ。
そう悟った瞬間、石化はするするとお腹を、胸を、腕を白く染め上げていく。
まるで、小鳥遊が自身が何者かを悟るのを待っていたかのように。
もちろん”理解して”しまったことによる抵抗力の抵抗もあるのだろうけれど、
今の小鳥遊が、美術品に…彫像になることを受け入れたのもあるだろう。
時間にして2分もかからずに小鳥遊は姿を消し、代わりに生まれたのは、
どこか陶然とした微笑みを浮かべる、愛らしい人魚の像だった。
■小鳥遊 日和 > 台座に両手をつくようにして、えいやと身をひるがえすようにする。
人魚の下半身はこういうときちょっとだけ不便だが、
それでも慣れたもので、問題なく台座にぴたりとおさまった。
「あー、ひんやりした感覚が気持ちいいかも…。」
お尻が心地よい。そのままもぞもぞと姿勢を整えて、
手は太ももにあたる部分の上に。背筋をしゃんと立ててみる。
なんとなく台座の上に座っているのだし、そういうポーズも取ってみたくなったのだ。
「あ…あれ…?」
ぎしり。 ポーズをとったその瞬間、体が動かなくなる。
視線を下にやると、鰭の先端からじわじわと色が変わっていく。
台座のように白く滑らかな石の色だった。
「あー。これって…。」
自分の中で以外だったのは、驚きもおびえも、困りすらしなかったことだ。
どうして自分はこの現象を受け入れてしまっているのだろう。
もちろん、こういう目にあったことは一回二回ではない。
それにしても、この変化のスピードが速いのはなぜなのだろう。
膝に該当する部分まで白く染まりつつある中、目だけ下に向けて考えた。
普通なら物理的に抵抗だってするし、生来の魔術に耐性があるなら
進行を遅らせることぐらいできるだろう。
■小鳥遊 日和 > 看板の下には、まだいくつかの物品が残っている。
なんらかの動物であったり、あるいは植物であったり様々だ。
「わあ、これって搬出予定なんじゃないのかな…。」
今日自分が来たのも、搬出の管理のためなのだ。
念のため、端末で部員に連絡する。
『入れ違いになってすみません、今搬出の途中です!』と、
返ってきた回答を見て胸をなでおろした。
予定された展示会には間に合うのであれば、先生としても
特に搬出にどうこうという話はないのである。
「…。」
あとは生徒を待つだけだ。 そう思っていた時にふと目に入ったのは、
台座だった。 形は円柱状で、人間が座るのにちょうどよい大きさである。
これが彫像ですというにはあまりに未完成なものだし、なにより座りやすそうだ。
事実、急いで準備室に訪れたので車いすから離れて少し休みたかった。
「使わせてもらうね。 材質的には問題ないだろうし…。」
こんこん。台座を軽くたたくとひんやりしたこもった物音が返ってくる。
石造りなのだろう。
■小鳥遊 日和 > 美術準備室は、その名前とは裏腹に様々な物品が出入りする。
学園としてほかの組織などと貸し借りをしている資料、
展示会に出展するためのもの、戻ってきたもの。
トラディショナルな絵画から立体、前衛的なオブジェクト、
あるいはコンテンポラリーアートのレシピ、
キュレーションのマニュアルなどなど…。
それらが詰まっている美術準備室は、巨大倉庫の中に築かれた迷宮と化していた。
そんな場所に小鳥遊が訪れたのは、「彫像部」の出展準備の監督をするためである。
「ええと……。ここか。 ACの…30セクションね。」
車いすを上手に操り、指定されたセクションに移動する。
ずらずらと並べられた正体不明の物品の数々の中に、
「彫像部」と書かれた看板を見つけて、そこに近づいた。
ご案内:「美術準備室」に小鳥遊 日和さんが現れました。
ご案内:「とある事務所」から宇賀野 実さんが去りました。
ご案内:「とある事務所」から東山 正治さんが去りました。
■東山 正治 >
「俺にコーヒー出してくれるのは実ちゃんくらいだよ」
飽きもせずにそうしてつきまとってくるのも彼くらいだ。
ありがた迷惑。だが、今だけは悪くないのかもしれない。
本当に子供のように甘えてくるからついついかわいがってしまう。
それも、相手が相手だからなのかもしれない。
「……親友に対してどうなんだって話よ。まったく、気の早い……。
まぁ、飯についてはいいよ。気分がいいから奢るけど、残すんじゃないよ」
腹は減ってないがそういうことなら付き合おう。
二日酔いのせいで減ってる気がしない。ぽんぽん、と頭を撫でた後立ち上がる。
軽く手を握り、今日も日常の一幕を刻んで行こう。
■宇賀野 実 > 「えへっへっへ…まあいいじゃないですか。ねえ?
こうして二日酔いの朝に寝起きのコーヒー出してくれる親友ですよ?」
お膝の上でじゃれつきながら自分のアピールに余念がない。
思いっきり相手に体を摺り寄せて甘えながら、相手の反応を見てころころと笑った。
「元既婚者だってなんだってんですか!
世の中にはそういう人いっぱいいるでしょ!
まあでも、俺のことをせーじさんが覚えてくれてるみたいなもんだもんな。
覚えてもらってるのはとっても大事なことだけど、まー、なんていうんですか?
せーじさんはな~、捨て置けないっていうか~。」
本当に年齢も下だし、今ならさらに差がある感じの姿であるけれど、
なんだかしたり顔で語る。 年齢は離れているにしても、大事な人であることには変わりないのだ。
「え~、そう~?うれしいな~。 せーじさん、なんだかんだでデレてくれるから好き~。」
頬っぺたをつつかれたり、髪を撫でてもらったり。まるでペットみたいな扱いだけれど、
今はそれがとっても嬉しい。 かつての自分を覚えている人に触れてもらっているだけで、
自分がまだ、変わり果てていないことを自覚できるのだから。
「せっかくお昼過ぎだし~、なにか食べに行きましょうよ。
俺つけ麺がいい。 今なら一本チャーシューつきの4倍行ける気がする。」
■東山 正治 >
「だからそうじゃないって言って……まぁいいか」
正直東山にとってはそんなことは些細なことだし、当たり前の事だった。
元の姿でもそうであっても、宇賀野実という人物に変わりはない。代わりもいない。
そんな何度もしたような問答に飽いた、いや、納得でもしたようだ。
彼にとってそれは重要なファクターなようだ。
やれやれ、と思って流し込んだコーヒーを、思わず吹き出しそうになった。
「……っ。滅多な事言うもんじゃないよ。俺、元既婚者よ?」
故有ってバツイチだし、何より当の本人がOKサイン。
こっちは何も言ってないしなんで乗り気なんだ。
こればかりには困惑。久しく"動揺"したのが傍目でもわかる。
言葉にして良いものといけないものがあるぞ、全く。
「忘れるほうが稀有だと思うけどね」
それこそ姿形なんて、この時代じゃ自由自在だ。
髪を撫でる手は自然と頬に移動し、柔らかなほっぺを突き回す。
最早すっかりペットを可愛がるおじさんの手つき。
■宇賀野 実 > 「なんでって…。 せーじさんは、俺が俺だったのを覚えててくれる人だもん。
せーじさんのことをせーじさんって呼ぶのも俺だけだし。
…俺にとっては、せーじさんは…元の俺を思い出させてくれる大事な人なんだよ。
わかります?その大事さ! 思い出の写真っていうか、思い出の生き証人っていうか?
そういうことなんですけど!」
思わず吹き出す相手ににんまりと笑って答える。
お膝の上に乗せてもらうと、満足気に目を細めた。 これが良いのだ。
前とは少し触れあい方が変わったけど、それでもこうして…自分を大事にしてくれるのは変わらない。
「うーん、そういわれると困るなー。 俺はもっとせーじさんにじゃれつきたいからね!!
え~、今お嫁さんって言った? 俺のこと女の子にしちゃう? しちゃう? いいよ?」
髪の毛を撫でてもらって、心地よさげな表情でうっとりとため息をつく。
多少オラついたセリフを返しはするけれど、その態度はすっかりリラックスしたもの。
相手のお膝を椅子替わりに体を預け、友人同士のスキンシップに身をゆだねる。
「せーじさんは、俺のことを覚えててくれるから嬉しいなー。」
てろんとすっかり脱力して小さくつぶやく。 変容しつつある肉体、そしてそれに引っ張られる自分と、
なにより自分を取り巻く環境…それらが不安でないわけがないのだけれど、
この人がいてくれたら…そういうのだって、乗り越えられる気もするし、我慢だってできる。
■東山 正治 >
「何時も言ってるよ。何がそんなに俺のことを気にしてるんだが……。
一体何がそんなに突き動かしてるんだが。それと、何度も言うけど"さだはる"、ね」
グリグリと押し付けてくる小さな体を最早押し返す気力もない。
毎度思うが、この好意の源はどこから来るのやら。
もしかして、こうなる前からか、とは考えたくはない。
最早何度目かもわからない訂正ネタを口に出すだけで、吹き出してしまった。
なんだかどうでも良くなって来てしまうほどに、だ。
「そもそもそれを言うなら生徒が教師にボディタッチするなよ、まったく」
押し付けられる小さな体を持ち上げて、膝に乗せる。
それこそ可愛がるかのようで、気兼ねない"触れ合い"。
「……見た目は変わってもそういう所はあんま変わらんね、相変わらず。
あんまりこういうの、職業上よくないんだけどなぁ……全く、お嫁さん……いや、お婿さんにいけないぜ?」
本当に、諜報員としては良くない気の許し方だ。
軽口冗談一つ叩いて、冷えた手でその柔らかな髪の毛を撫でた。