2024/06/12 のログ
ご案内:「常世総合病院 屋上」に東山 正治さんが現れました。
■東山 正治 >
常世学園、某日。15時前後。
茹だるような暑さの日差しを受けながら、気だるげに外を眺める男が一人。
咥えたタバコは屋上の強い風に攫われて、灰ごと彼方へサヨウナラだ。
「……そんで、負傷者が出た、と。大変だねェ。」
耳につけたイヤホンから聞こえるのは同じ委員会の生徒の声。
なんてことはない、ただの"世間話"だ。
男はヘラヘラと笑いながら、空の彼方を眺めている。
「他人事みたいだって?実際他人事なんだし、しょうがないでしょうよォ?
俺達だって、ねェ?やることやってるっしょ?何?見舞い?……ククッ、じょーだん。」
「オレとした、骨折るよりも"逝かせて"やってくれって話よ。」
喉奥からくつくつと笑う男の言葉は、どろりとした邪悪さを含んでいた。
■東山 正治 >
イヤホンの向こうで嗜めるような冷徹な声が聞こえる。
そんな事を言われても男は何処吹く風で周囲を見渡した。
「そんな怒んなよ。だってそうだろ?五百森ちゃんも"ろくな人生"送っちゃいねェ。」
「葉薊ちゃんだって同じさ。あんな頭あっぱらぱーのクソガキだ。どーせろくな大人になりゃしねェ。」
「"骨折り損"になる前に、天下のテンタクロウ様に"殺害"された方がドラマチック────」
きぃーん。怒鳴り声が鼓膜を響いた。
流石の男も顔を顰めていやいや、と首を振る。
「急にデケェ声出すなって。……言い過ぎだなんて、思ってねェさ。」
男は教師でありながら、この世を、生徒、異能者に非常に排他的だった。
吐き捨てるように言った言葉はこの日差しの暑さを凍え押させるように冷たく
空の彼方を眺めるような視線は眼力だけで空を歪めてしまいそうだ。
そんな強張った緊張感が無線越しに数刻、男の方がふ、と笑みで崩した。
「ンな黙るなって。"ちょっとしたグチ"みたいなモンじゃないのォ~。」
■東山 正治 >
ふぅ、と吐いた紫煙が風に攫われる。
そう、ちょっとした愚痴だ。
世間知らずの異能者に、混ざりもの入の非人間。
どっちも吐き気がする。唾棄すべき存在だ。
「……で、先生ちゃんの方はなんか面白い事してるみたいじゃない。
えー?どうせ独り好きなんでしょォー?好きにさせてやりなよ。」
話題はあっちこっちに移り変わる。
裏方の数だけ仕事がある。色んなところ顔を出す教師は多忙であるのだ。
「検査結果は……まぁ、言われるまでもなく予想は付くけどねェ。
にしても、顔無し女のクセにツラもタッパもデケェでやんの。」
「……オレ?ノータッチ。どうせ先生ちゃんがやるでしょうよ。」
■東山 正治 >
「────それよりも。」
一息吐いて、笑みが消える。
「ちゃんと触手野郎の足取りは追えてんのか?
……はい、上出来。風紀委員とちゃんと連携しなよ。
オレは生徒同士のいざこざに顔を出す気はねェさ。」
「けど、秩序がナメられちゃ困るだろ?
神出鬼没の怪人なんて、この世にゃいねェ。ちゃんと事前予防して叩いて起きなよ。」
そういうのは生徒同士で解決すべきという教育方針だ。
それに、凡そ仮面の奥がなんなのかは予想がつく。
後は風紀委員、ないし、それに関わる生徒がやることだ。
教師が生徒の喧嘩に顔を出すなんて、仲裁だけで充分だ。
ピン、と弾いたタバコが屋上から落ちていく。立派なマナー違反だ。
それじゃあ、と男は通信を切った。
■東山 正治 >
真顔の男。生気のない眼差しが雲を追う。
教師が出る幕ではない。だが、底冷えした腹の底では煮えたぎる"怒り"がある。
「面倒クセェことしやがって。逝かせてやらねェなら仕事が増えるだけじゃねェか。
オレが受け持つ生徒じゃねェが、知ってる顔がああなるってのは……胸糞悪いな。」
全てを憎み、虚無に生きる。
しかし、死んでいる正義感と教師として責任感だけは残っていた。
風に攫われた愚痴を尻目に振り返ると、怒り顔のナースが一人。
思わず口元が引きつった。
「あー……見てた?ポイ捨て。」
ナースは力強く頷いた。
■東山 正治 >
ナースの背後に浮き出るオーラ。おおっと、面倒ごとの匂い。
そうなる前にと男はささっと手に持った二つのビニールはナースへ握らせた。
「あ、コレ見舞いね!葉薊 証"くん"と五百森 伽怜"さん"に。
……え?片方へんなブロマイド入ってねェかって?しらねェよ。
そういうのはシャルちゃんに言ってくれよ。オレが選んだわけじゃねェし。」
同僚チョイスの見舞い品。
なんか男の方にはいつの間にか変なブロマイド(メッセージ付き)が挟まっている。
そんなものは知らん、自分の管轄外だ。とっととこのマカロンでも食って元気を出せ。
「あ、とりあえず匿名にしといてよ?お礼は全部シャルトリーズ先生にどーぞ。じゃあな!」
■東山 正治 > 男はそれこそ逃げるように屋上を去っていったという…。
ご案内:「常世総合病院 屋上」から東山 正治さんが去りました。