2024/07/27 のログ
マト >   
「そうなんだね、なら――今を精一杯楽しむべきなんだろうな」

何処か神妙な顔で呟きながら、少しだけ握る手を強くして

「うーん、どっちも魅力的だね、焼きそばは海の家にも会ったけどお祭りだとどんな感じなのか…」

何て歩き回る
『焼きそば』『お好み焼き』『オムそば』『たこ焼き』『じゃがバター』
甘いものをいれれば
『りんご飴』『かき氷』『カルメ焼き』『ベビーカステラ』……

様々な屋台とそれに集まる人の列、そして賑やかな人々の声
その一部となってあなたと並んで歩く彼女の瞳は、きらきらと輝くように光っていて

「…みんな楽しそうだね」

風花 優希 >  
「…そうだね」

「今は、ずっとは続かないから」

そう語る彼の顔はマトを見つめず。
何処でもない遠くへ向けられて。

「あっちよりも、屋台の方が食欲そそるかもね。
 目の前で鉄板で炒めてたりするし」

言葉を交わしながら、いくつもの屋台を通り過ぎる。
クレープや回転焼き、お好み棒やポテトにから揚げなんて定番も。

それを見つめながら、実に楽し気な彼女の瞳を、優希はわずかながらに頬を緩める。

「それがお祭りの醍醐味さ。
 みんな楽しく、賑やかにはしゃぐんだ」

マト >   
「でも、さ  願うくらいはいいだろう?」

一方でマトの目は、並び歩く彼の横顔をじっと見つめていて

「さっきからの匂いの元は之が大きいんだね、むぅ、之だけ色々あると迷うな
きゅうりの一本漬け何てのもあるんだね、結構凄い見た目だ……涼し気だけど」

悩みに悩むマトの顔はころころと表情豊かに変わっていく

「この空気自体も、祭りの醍醐味なんだね、うん、分かる気がする
こういったお祭りも、人が平和に過ごせている証なんだろうな」

そういって目を細めながらも……

「~~~ ぅ~~~~」
「ぐぅぅぅう~~~!!お好み焼きもクレープもたこ焼きも焼きそばも美味しそうだね……!なんならりんごとかのフルーツ飴も綺麗だし、ベビーカステラっていうのも気になるし、いっそ唐揚げという手も……」

すっごい悩んでいた、それだけ楽しんでいるという意味でもあるが

「―― よ、しっ、取りあえずお好み棒ってのを買ってみるよ、食べやすそうだし」

さんざん悩んだ末に選んだものは、お好み焼きと玉子が串に巻かれているお好み棒であった

風花 優希 >  
「願うのを、否定できるものなんていないさ」

「しかしまた、えらく渋いのに目を付けたねぇ…
 中々、キミの見た目の歳でぬか漬けに惹かれる人はいないぞ」

真剣に悩むマトに少しだけ呆れたような表情で。
自分も何を食べようかなと、今更ながらに考える。

そして彼女がお好み棒なんかをとうとう選べば。

「じゃあボクはクレープでも食べちゃおうかなぁ。
 こういう時じゃないと、中々自分からたべないし」

そんな風につぶやいて、彼は彼でチョコバナナクレープを選んだりしていた。

マト >   
「―― ふふ、そっか」

「そうかい?中々魅力的だと思うんだけれどな
他は味が濃いそうなのも多いから箸休めにもなりそうだし」

そう言いながらお好み棒を購入し、一口先っぽを口に含む

「あむ…… おぉ、中々濃厚だね、それにキャベツかな、ざくざく感があっていいよ」

しっかり選んだだけあって満足げに頷きつつ、あなたの選んだクレープにも目をやって

「優希はクレープだね?そっちも美味しそうだ、学生通りでもクレープ屋さんはあったけど、まだ寄った事はないんだよね……どうだい?美味しい?」

お好み棒をはむはむと味わいながら感想を聞くだろうか

風花 優希 >  
「箸休めって概念が、実は結構渋いんだよ」

ある種の心理を口にしつつ。
注文したクレープを手に取って。

「おこのみ棒もいいよねぇ、ボリューミーで。
 ちょいとソースが足りなく感じたりもするけど、それもまた味というか」

あむりと一口。
ほんのわずかに、唇にはクリームがまとわりつく。

「おいしいよ、この生地の触感と味が合わさっていいんだよなぁ。
 ……たべてみる?」

そしてふと、思いついたようにかじりかけのそれを、
すっとマトの口元へと差し出して。

マト >   
「そうなんだ…ボクって結構渋いのか……」

意外とまんざらでもなさそうだ

「確かに、場所によって結構味がばらついてるけど、それもちょっと楽しいね?」

うんうん、と納得したように頷くマトの口元には、対照的にソースが僅かについたりして

「……」

そうしていると差し出されるクレープ、そして彼の提案に一瞬きょとんとすると、にへ、と緩い笑みを浮かべて見せて

「……それ、先にボクが提案しようと思ったんだけどな~」

先越されちゃったよ何て言いつつ、あむっ、とクレープを一口齧って、甘さに舌鼓をうつ

「これ、交互に食べるのも意外とありかも、甘さとしょっぱさの……なんだっけ、マリアージュ?
という訳で、ほら、優希も一口どうぞ、美味しいよ?」

そして当然の様に、自分のお好み棒を差し出す――
だが、それは巧妙な罠、もしあなたがそれに口を近づけたなら

「―― 隙あり」

そう呟いてあなたの唇についたクリームを指で拭い、ぱくりと自身の口に運ぼうとするだろう

「クリーム、もうちょっと欲しかったんだよね」何て言いながら

風花 優希 >  
「食べたことがないんだろう?
 だったらほら、あげたくなっちゃうのは当然だ」

悪かったかな?なんておどけながら。
あむりと食いつくのを微笑ましく見守って。

「あまじょっぱいのは案外とおいしいもんね。
 それじゃあどれどれ、お好み棒の方は…」

と、今度は此方が差し出されたものに食いつこうと、
顔を少し乗り出していたら──ぷにりと、唇に何かが触れる。

「って、あはは…なんでわざわざ、唇から掬うんだい?」

それが指だと気が付いたのはその直後。
流石に苦笑して、その茶目っ気にしてやられながら、
今度こそお好み棒をひとかじり。

マト >   
「そんな訳ないよ、優希がそう言ってくれるのは勿論嬉しいけど… ん」

ごくんと飲み下しながらも見事悪戯を成功させて

「ふふ、目についたからだよ、クリームをつけたまま歩くのも恥ずかしいだろうし?」

何て照れ隠しも兼ねた悪戯っぽい笑みを向けながら今度こそあなたに一口お好み棒を食べさせて、その後残りも食べ進んでいくだろうか

「美味しいね、之を食べ終わったら次――の前にさ
ちょっとだけいいかな?付き合ってほしい事があるんだ」

風花 優希 >  
「まったく…教えてくれれば舐めとったんだけど」

やれやれだと、そんな仕草を見せながらも。
その表情に拒否の二文字はまるでなく。

そのまま残りをゆっくりと食べ進めていく。

「うん? それはもちろん構わないけど…何かな?」

そして突然問われた言葉には、きょとんとしながらも二つ返事。

マト >   
「自分で気づけなかったのが運の尽きって事で」

はしゃぐように、楽し気に、からんころんと下駄を鳴らしながら

「ありがと、此処だとちょっと…… だから
裏の方なら人、少ないと思うんだ、そっちの方でいいかな?」

少しの緊張を孕んだ言葉と共にあなたの手を引いて歩き出す
そのまま、境内の裏手……喧騒と人気が収まる場所まで抜けていこうとするだろうか

「――此処までくればいいかな」

風花 優希 >  
「…? あぁまあ、それは大丈夫だけど」

不思議そうにしながらも、手を引かれて歩みだす。

賑やかな屋台の並ぶ境内から離れた神社の裏側。
人気が少なく、木々の生い茂る静かな空間。

「……それで、なにかな?」

マト >   
「ふぅ…… 」

きょろきょろ

「よし……うん、聞いてほしいものが一つあってさ」

すっ、とポシェットから取り出すのは、一枚の短冊、時期的にはギリギリ七夕のそれと思えなくも無いが

「――こほん

あの日から
気づけば追いし
君の眼を
人ならずとも
偏に望む」

ゆっくりと息を落ち着けせて読み上げるのは、5・7・5・7・7
つまりは、短歌であった

「――風花の書(優希)を見てからさ、ちょっとだけ勉強してたんだ、本当に齧ったくらいだけど
初めて優希にあってからの……今のボクの気持ちを詠ってみました
どうかな?結構、作ってて恥ずかしかったんだけど……気持ちだけは込めたつもり」

胸の前で短冊を抱く手はほんの僅かに震えているが
それでもあなたの反応を照れたように笑いながら待っているだろう

風花 優希 >  
聞いてほしいものがある。
それを知れば目を細めて微かに頷き言葉を待つ。

取り出されたのは短冊か。
渡したいのか?いや違う。

恐らくはそこに書かれた文字こそが、彼女が聞いてほしいと口にしたもの。

「……あぁ」

ほどなくしてそれは紡がれる。

かの魔導書…自らである『風花の書』に記された詩のように。
彼女は和歌として、己の気持ちを呼んだのだ。

頬が無意に赤くなる。
当然だ、それは彼女にとっての告白のようなもの。

なればこちらが返すべきは──

「春すぎて 海開くほど 時は過ぎ
     気付けばひとり 君を探さん」

隠すことなき、此方の想いか。

「……これが返答って事で、構わないかい?」

マト >   
「…… 」

返答として紡がれた短歌、初めて会った時ならばその言葉の意味に気づく事は出来なかっただろうけれど
彼と出会い、自ら学び、詠みあげた今の彼女には、その短歌をある程度理解する事が出来た、いや
込められた思い、という意味ならば、きっと十分すぎるほどに理解する事が出来ただろう、その証拠に

「…… ~~~っ」

からん、と下駄の音が響き、ぎゅうっとあなたに抱き着いてくる彼女の姿があったのだから

「あぁ、もう、優希を真っ赤にするつもりで作ってきたのに、之じゃ逆じゃないか」

嬉しさと照れ隠しを兼ねたそんな行動をしたマトは、見るまでもなく耳まで真っ赤になりながら、どくんどくんと早鐘の様に心音を打ち鳴らしていて

「……すっごい嬉しいけど、之が毎日だと胸が破裂して死んじゃいそうだ」

何て言葉まで漏れ出すくらいの歓びを全身で表しているだろう

風花 優希 >  
紡ぐとともに、まず返ってきたのは下駄の音。
甲高く、心地の良い軽い音が聞こえた時には、その胸に人のぬくもりがあって。

「お……っと」

それを抱き留めながら、少しだけ困ったような笑みを浮かべる。

「想いを伝える短歌には、短歌で返すものだからね。
 流儀ってやつなんだ、1000年ぐらい前のだけど」

「……まあうん、ひとまずはそういうことだよ。
 で、死ぬのは勘弁してくれ、ボクが悲しむ」

マト >   
「知ってた、つもりなんだけどなぁ……即興で返されるの、覚悟してなかったよ」

そのままあなたの瞳を、愛おしそうに見つめて

「死なない、寧ろ優希より長生きするくらいでいるからね
見つからない相手を探させるつもりなんて、無いんだから」

先ほどの短歌に絡めた言葉を紡ぐ
人造生命体(ゴーレム)の上に記憶を失っているマトは、自身の寿命がどのようなものなのか分かっていない
だが、それでもそう強く願っている事は強く抱きしめてくる体から伝わってくるだろう

「―― ねぇ優希」

キス、していい?  そう、唇が動いた

風花 優希 >  
「文字通りに、年季が違うからね」

返せるに決まっているさと。
抱きしめた彼女を覗き込むように見下ろして。

「でもそうか、それなら安心だ。
 ボクより長くというのは、少しばかり欲張りかもしれないが」

その瞳に、宿る意思を悟れば最早、羞恥もない。
唇から読み取るまでもない。
顔が、目が、その表情が何よりも語っていた。

だから、その顔を静かに落とせばその間近へと──

マト >   
「むぅ、此処に置いては暫く勝てそうにないな――でも
そのお陰で出会えたんだ、そういう意味では感謝、だね」

見上げて、視線が今一度会い

「ふふん、僕らは"同類"でもあるだろう?分からないよ――」

少しだけそういってじゃれ合う様にしながらも、近づいてくる顔にそっと目を閉じて

「んっ……」

柔らかい、唇を触れ合わせる
キス自体は初めてではないはずなのに、その触れ合いは
今までより、ずっと甘く、心を蕩けさせるようなものに感じられた

人々の楽し気な喧騒も、祭りの鮮やかな光も、今だけは遠く離れて
二人だけの時間が流れていくだろう

風花 優希 >  
微かに触れる、柔らかな感触。
唇が重なり、淡く淫靡な微かに響く。

「……ん」

いつかの時よりも甘く、柔らかなそれを堪能し、
少年はゆっくりとその顔を挙げて。

「…まだ、もう少しこうしているかい?」

その返答が分かった上で、彼女に愚問を問いかける。

マト >   
ゆらゆら、桜色の髪の毛が揺れる
彼女の気持ちに合わせるように

「……はふ」

お互いの吐息がかかる距離で、すり、と甘えるように額を擦り付けながら

「もうちょっと、こうしてたい」

そんな、『恋人』に対しては当たり前の答えを返すのだ

風花 優希 >  
「…なら、屋台が終わらない程度まで、こうしていよっか」

そう答えるとともに、彼は彼女を今一度抱きしめて──

祭りの夜 折り重なりて 時は過ぎゆく  

ご案内:「常世島神社/お祭り」から風花 優希さんが去りました。
ご案内:「常世島神社/お祭り」からマトさんが去りました。