2024/11/21 のログ
■??? >
東山が静止するよりも先に真っ先に脚が室外機を蹴り飛ばす。
思ったよりも建付けが悪かったらしい。
想像より大きくズレたせいで、思い切り"硬い"ものにぶつかった。
「ぎぇっ!?な、何をする!?」
微妙な悲鳴を上げれば、"ソレ"は徐ろに室外機から出てきた。
筋骨隆々という言葉がよく似合う大男。
実に怪盗らしい黒マントに素顔を隠す仮面。
それ以外は何も身に着けない裸一旦スタイル。
否、違う。
「私のお楽しみを邪魔してくれたな!
貴様たちは……ん……そっちの女は……クク、そうか!」
「取り返しに来たのだな。ソッチの女の匂いでわかるぞ!」
腕を組み意味ありげに嗤う謎の男。
その逞しい胸襟に添えられるようにギッッッチギチに添えられている。
妃淵の下着───────。
■東山 正治 >
「その変態性を補うようなの出ちゃったよ……」
流石の東山もこれには引いた。
というか出来るなら視界に収めたくなかった。
下着ドロだからそりゃまぁ変態だと思ったけど、
こんな直球でヤバいやつ出てくると思わないじゃん。
「(ブラがスゲェ勢いで伸びてるっつーかもう切れそう……)」
大分無茶して付けてるってレベルじゃないぞ。
はち切れんばかりっていうかもうはち切れる寸前だ。
もうなんか悲鳴っていうかブラが断末魔上げてるよあれ。
こんな楽しみ方する変態だと思わなかったから罪悪感沸いてきちゃっちゃよ、クソ。
■妃淵 >
「……………」
想像してたよりスゲェのが出てきた……
こんなのもいるのかこの街……
さっさと蹴り込んだフェイエンもさすがに硬直する
「出ちゃったよ、じゃねえよ。
いけ、オッサン。お前の出番だ」
キミに決めた、みたいなノリでバトンタッチを宣言した
だって触りたくない、あんなの
一応女の子だし
あのブラはもうダメだ、新しいの買おう
Bカップに無理をさせるな
■怪盗 >
なんだか胸筋はピクピク動いている。
ミチミチのブラジャーが断末魔を上げている。
両腕を組んだまま意味深に……笑ってる……!
「ふっふっふ、わかるぞ。私は『超嗅覚』の異能を持っている!
貴様の僅かな汗の匂い、体臭!此の高貴なる胸当てから漂っているわ!
しかし、残念だったな!既に此れは私のものとなった。最早誰にも止められん!」
まるで歓喜に打ち震えるかのように胸筋のピクピクが激しくなる……!
聞かれもしてないようなことを、まるで宇宙の帝王みたいな声音で喋ってくる……!
「風紀委員か教師かは知らんが、貴様等に私は止められん!
此の常世中の女性から全ての高貴なる胸当てを我が胸に集め、
胸筋を包容する悦楽を堪能し続けるのだ!」
「ハーッハッハッハッハ!!」
\ブチッ/
「あ……ぐへぁ!?」
大男が思い切り吹っ飛び、室外機に叩きつけられた。
■東山 正治 >
それは他ならぬ東山の掌打だった。
ベラベラと聞いてもいないことを喋ってる最中、
その隙を見逃すはずもない。いけ、と言う前に手が出た。
昔取った杵柄の格闘術。そして奇遇にも、東山も口より先に手が出るタイプだった。
「うわぁ……」
ふっとばしておいて何だが、明らかに嫌悪感丸出しだ。
殴り飛ばした右手を、まるでばっちぃもん触ったみたいに振ってる。
これ、エンガチョしたほうがいいかな……。
「ヘンな匂いついてねーよな……。
つーかコイツ、筋肉こんなに付いてるのに思ったより見せかけかよ……」
一体何のために鍛えてたんだ。
もうとにかく終わらせたい気持ちで一杯だった。
今日何度目かもわからないため息を吐いて、ちょいちょい、と妃淵を指差す。
「次起き上がったらフェイちゃんの番な……。
俺もう触りたくねーし……さっさと風紀に通報しとこうか」
「手に負えないよ、こんなの」
こんなの。
■妃淵 >
「どーせ伸びて使えもしねーよくれてやるそんなもん…」
確かな変態
それでも口にしていることは、本気の様相
まぁこの島の女子が迷惑したことだろう
「本物の変態と対面すると、何も言えなくなるな…」
匂いフェチの異能持ち下着ドロ…役満すぎる
で、あれば…ふっ飛ばされていく立派な体格の男に憐れみの視線が向けられることもない
「前から思ってたけど、オッサンやっぱボディーガードとかいらないだろ?」
それも兼ねて、みたいなバイトの話だった気がするが
喧嘩崩れの自分とはまるで違う、切れ味を感じる所作、動作…
いくら見せ筋ってもそれなりの体重のヤツをすっ飛ばす掌打なんて並のオッサンにゃ打てない
「はよ通報しろよ」
言いながら、固定ボルトの飛んだ室外機にもう一度蹴りをいれる…起き上がられるのは困る
ガン、という音と共にゆっくりとした動きでコンテナのような室外機は筋肉男の上へ倒れていく
まぁ死にはしないだろう、あれだけ筋肉あれば
■東山 正治 >
「正体はある意味知らないままのがイイかもな……」
ちょっと変態の中でも群を抜いている。
あんまりにも度が過ぎると笑えない。
「だから言ってるじゃん、歳だって。
俺ぁフェイちゃん見たく若くねーから、体力ないの」
それこそ一発で沈むような相手ならともかく、長時間戦うとなるとそれこそ難しい。
今の専門は諜報。くつくつと喉を鳴らして笑いながら、横目で妃淵を見やる。
「それに、何かと"建前"ないと仕事にも成らないでしょうよ
……だから通報くらいしてほしかったんだけど???
もしかして、ブラジャー売っといて仕事した気になってない?」
教師として、面倒を見ると言った以上半端な真似はしない。
東山教師なりの教育、援助制度に関してはそれこそ惜しむ気はゼロだ。
それはそれとして、どっちが使われる側かわかったものじゃない。
やれやれ、と思いながら携帯端末を取り出し、連絡開始。
「あ……」
そんな矢先、室外機がまた蹴っ飛ばされた。
言い訳は考えとくけど、意外と容赦ないな。
■怪盗 >
重苦しい音を立てて、室外機が怪盗へと倒れた。
これの下敷きになっておけば終わりだ。そう思ったが……。
「ぐおおおおおお!?ま、まだだぁ……!」
室外機を受け止め、鬼の形相で立ち上がろうとしている怪盗。
どうやら意外としぶといらしい。一応伊達ら鍛えてないらしい。
フゥーッ!フゥーッ!と鼻息荒くしながら、
室外機を必死に支えつつ片腕でマントの裏から取り出したるもの。
それは────ブラジャー。妃淵とは比べ物に成らないほど、デカい……!!
「早速此れの力を借りることになろうとはな……!
見よ、この127cmはあろうサイズを!!我が手中に収めるのは苦労したが、
誰もが羨むような女の巨山山脈だ!ふんっ!!」
そのブラを自らの顔面に押し付けた……!
「くんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんか。
おおおおおおおおっ!!この香り!!サイズ!!いいぞ!最高に『ハイ』って奴だッ!!」
物凄い勢いで……嗅いでいる……!
(プラシーボ効果で)回復……しているように見える……!!
実際闘気めいたものが全身から吹き上がっている(気がする)程に、
怪盗の気迫は迫るものがあった。東山が丁度手が塞がっている。が……。
そう、何を隠そう隙だらけである。
そりゃ室外機支えて必死こいて嗅いでるからね。当然だね。
■妃淵 >
「ペース配分考えろってだけの話じゃないのかそれ。 ハァ…… ん?」
そのままブッ倒れてればいいものを
相当重いはずの室外機を持ち上げて立ち上がろうとしている
たんなる見せ筋でもなかったらしい
じゃあやっぱりこのオッサンがかなりヤるんじゃん
変態が立ち上がりながら何をするのかと思えば………
「……オレのは随分ぞんざいに扱って伸び伸びにしくさったクセに───」
ピシッ…
カフェでの揺らぎなんか目じゃないくらいの揺らぎが少女の背を揺らめかせる
超高温の焚き火の上かな?ぐらいの…周囲の風景がぐにゃりとねじれる程だ
瞬間叩き込まれる踵落とし
怪盗の支える室外機に叩き込まれたそれは轟音を立てる──こともなくそれを溶断し、その脳天へと落下し──男を昏倒させた
防禦不可と呼ばれる少女の異能である
「死ね。変態」
崩れ落ちる巨漢にゴミを見るような視線と共に辛辣な言葉を投げかけていた
■怪盗 >
「……へっ?ぎゃふ!?」
その空気の変化に気づいた時にはもう遅かった。
空気が歪んだ、と思えば金属がひしゃげ衝撃が脳天を襲う。
痛い、と感じる頃にはその意識も一緒に真っ逆さま。
巨大な筋肉の塊が、ばらばらとなった室外機の上に押し潰され、
後に舞うのは大量のブラジャー。どうやら相当隠し持っていたらしい。
ひらひらと辺りに舞うそれは雪のように幻想……的……か?
「わ、私を倒した所で……さ、三銃士の中では……さいじゃ……ぐふ……」
まるで墓標めいた室外機の下で何かうめいていたが、今度こそ意識が落ちたようだ。
■東山 正治 >
「(……なるべくアイツの前では胸の話題は止めておこう)」
間近で感じ取った怒りの揺らぎ。
蜃気楼めいて空気が歪む錯覚さえ覚えるほどだ。
顔には出さないが、こういう女は怖い。
変態の二の舞いは勘弁だ。
表情が引きつったまま、間髪入れず今度は背後が忙しない。
どうやら通報を受けた風紀委員が早速駆けつけたらしい。
「……まぁ、何はともあれお疲れ様。
色々疲れたでしょ?まぁ、なんだ、こう……」
「色々あったし、報酬に色は付けとくよ」
少なくとも色々と犠牲になった。
そのMVP賞くらいは与えても問題ないだろう。
「……ていうかコイツ三銃士って言わなかった……???」
■妃淵 >
ただでさえデート中に恋人がデカい乳に視線向けがちで、
それ自体は弄くってやるいい理由になるからいいものの、露骨な扱いの差には苛立ちも已む無し
「8割は気疲れだぞ…」
こんな変態が犯人だと思ったら絶対に引き受けなかった
いや、下着ドロって時点である程度は変態だろうと予測はついていたが
その予想を遥かに超えてくる変態だったとは思わないじゃん
「言い値の倍な」
ジャンパーを羽織なおしながら告げるその言葉には、有無を言わせぬ様な圧が籠められていた
「あーあーあー、知らない知らない。
オレは何も聞いてないからな。またふざけた仕事とってきたら蹴り殺すぞ」
こんな変態がまだ二人もいるなんて思いたくない──
■東山 正治 >
「一理あるな……」
気疲れというかなんというか。
いや、もう何も考えない方が良いかもしれない。
ハァ。もう何回溜息吐いたのかも覚えちゃいない。
ゾクゾクと到着してきた風紀委員も口々に「なんだコイツ……」
と、口々に揃えて困惑しながら拘束している。
そりゃそうだろう、誰もこんなのと関わりたくないだろうさ。
「わかった、わかったから"次も宜しく"頼むよ。
や、本当に別に変態とか拾ってくるワケじゃないから本当に」
言いたいことはわかるけどどうにも逃げられない予感がする。
得も知れぬ嫌な予感を抱えながらも、喧騒を後に二人で現場を後にした。
「(怪盗ブラジャー……変態三銃士ってとこか?ある意味強敵だな……)」
■東山 正治 >
東山正治の事件簿『変態三銃士「怪盗」』 Fin
ご案内:「東山正治の事件簿Vol.1」から東山 正治さんが去りました。
ご案内:「東山正治の事件簿Vol.1」から妃淵さんが去りました。