2025/08/06 のログ
ご案内:「学生街のワンルームアパート・■■号室『出雲寺』」に出雲寺 洟弦さんが現れました。
ご案内:「学生街のワンルームアパート・■■号室『出雲寺』」に伊都波 凛霞さんが現れました。
出雲寺 洟弦 > ――――夏休み期間のド真っ只中。
照りつける太陽の下から逃れ来るように、せわしい鍵の音が響き渡る。
此処に来るまででも、手に持ったビニール袋の中の食材を保冷する為の、
たっぷり目なドライアイスもそろそろ限界かもしれない。
そんな訳で……。

「っ、ぁぁ"ぁ~~……っ」


――なだれ込むように。

「ッ出てくる前に冷房利かせといて良かった……!凛霞、入って、先……!」

扉を開けて――一緒に連れ立ってきた凛霞を、先に室内へ招き入れる。

伊都波 凛霞 >  
「今年は特に暑いね~…」

頬から、首元から珠のような汗が流れ落ちる。
常世の島も夏である。

促されるままに冷房の効いた部屋へと先に入れば涼やかな室内に安堵する。
一人暮らしでは電気代も嵩むだろうなあと思いつつ、それでも流石にないと大変である。
ノースリーブの薄生地タンクトップにショートパンツという薄着も薄着だけど、それでも暑いものは暑い。

「はぁ=……涼しい」

冷房の風を受けながら、たっぷり汗ばんだ肌に冷たい風が心地よい。

出雲寺 洟弦 > 凛霞が部屋に入ったあと、こちらも色々食材の入ってる袋を片手に中へ入る。
……薄ら焼けた彼の肌も、この常世島の陽射しが如何に強いかを示してる。
別に此処では、無理に屋外で運動をする必要もないし、
トレーニングや鍛錬をするのなら、それこそエアコン完備の場所もあるし。

――つまるところ、ごく短期間の短時間で陽射しの下にいるだけでも、
彼の鍛え上げられた身体に艶を作る程度の日焼けは出来てしまうのだ。

「例年よりも、って頭につく暑さの話、毎年毎年だけど……今年は、ちょっと流石に……暑すぎやしないか……」

狭い室だからこそ冷房はバッチリ効いている。
……フィルター掃除も欠かさない御蔭で、蒸れる季節特有の籠った匂いもない。

という訳で涼む凛霞を後ろに、こちらは買って帰ってきた食材を冷蔵庫に入れていく。
こっそり覗き込むと、飲み物の側のドアには、
キンッキンの出汁昆布の沈んだ赤褐色の汁入りのボトルがあったりする。
そしてたった今狭い台所スペースにはもう卵やらネギやら乾麵やらが準備され始めて。

「……昼飯まだなら、これから素麺茹でるけど、食べる?」

――ベッドの前のテーブルに、お盆に乗せて。
氷たっぷりの麦茶の入ったコップと、
冷やした手ぬぐい巻に、何故か爪楊枝ときゅうりの漬物まで持ってきた。
茹だってる時に不足しがちな水分と塩分。
塩タブレットとかじゃなくってそういう風なのが彼の家柄が出る部分なんだろうか。



「あんま冷やし過ぎるのも善くないけど、やっぱ暑い外から帰ってきた後にはそう言う方が食べやすいかなー、って……」

――それを置いて、振り返った時。
その、とんでもない薄着が、汗で濡れて、
しっとりした凛霞の姿は、茹だった彼が。

「    」

……数秒ほどで顔を真っ赤にして、さっと罪悪感覚えたように逸らす。
そうする理由としては、まぁ十分。

伊都波 凛霞 >  
凛霞のほうといえば当然UV対策はしているものの、限界がある。
普段よりほんのり焼けたうっすらとした小麦色の肌は、色白の境界がコントラストとして少しだけ目立つ。

「日本本土よりもこの島って暑いらしいから…」

ひとしきり涼んで、落ち着けるところに腰を落ち着けて。

「食べる食べる。洟弦の料理、絶品だもん」

素麺だってとびきり美味しいものが出てくるに決まってる。
楽しみ~、と言いつつ汗の始末。とはいえまだ身体自体が熱を持っているし、流れ落ちる汗はまだ滲み出てくる。
熱が籠もったタンクトップを指で引っ張って空気を入れ替えるような仕草が、彼の時間停止拍車をかけたに違いない。

「………えっちなこと考えた?」

そして洞察力の鋭い風紀委員刑事課の少女はそれを見逃さない。
言いつつ、ちょっと口元が笑みを浮かべたように見えたのは、ちょっとした悪戯心か。

出雲寺 洟弦 > 薄ら、自分の知っている健康的な――といっても、ほんとに時々、訓練ホールとかで見かけるくらいだったんだけど。――凛霞の肌も、
彼女の綿密で的確な対策を以てして焼けが見える。

真っ赤になって逸らした目には、もうカーテンの柄しか見えてないが、
目にはしっかり汗が滴るお肌の艶がばっちり記憶に残ってる。

「ッッぅえ、えぇっちなッッ……――ッッ!!?」

とんでもない裏返り声。わっかりやすい動揺。
――学校では、クラスメイトとの男女混合なやり取りの中でも、
全くそんな素振り見せたこともない。
馬鹿な男子同士の会話で盛り上がる時も、一歩引いたテンションで諫めたりする姿を、
他の奴からそれとなく突っつかれてる彼が、

「ッち、ちがッッ、ぇえと、いや、あ、汗ッじゃなくて、いや髪、肌とか焼けてッたッちつてと……」

言葉が取っ散らかって滅茶苦茶になってる姿を見たらどう思うだろう。

「ッとぁ、ぇと、茹でてくるっ!!素麺!!」

僅か数歩で届くキッチンスペースに逃げるような背中。
後ろから見てて愉快愉快。

……浮かんだロックアイスが涼しく音を立ててる。
冷蔵庫で冷やされていたのだろう、キンッキンだ。
添えられた漬物も多分手作りなのは、なんとなく判る。


彼は一度二度か深呼吸をした。

「……っー……まったく」

苦笑いしながら料理をし始めるイヅルの横顔は、
すぐに、美味しい料理を作ることに意識を注ぐように変わった。

「……麵つゆは昆布といりこの合わせ出汁に合わせてあるけど、薬味で欲しいものとかあるか?
……特にリクエスト無いなら、刻み葱と金糸卵とか、当たり障りないのにしとくけど……」

――煮立つ鍋に、二束ほど。一人一束くらい。
理由は……ちらっと冷蔵庫の扉から、その下の冷凍室に向いたから。
手早く落としたら火加減を調整――したらもう片手では卵を割ってボウルに落として溶きはじめるし、
或る程度ぐるぐる回した鍋の中を目線で見ながら、すぐに手早くもう一つフライパン、あとまな板によく砥がれた和包丁を準備、
刻み、卵は焼きながら、素麺を茹で――――――。


……ちょっと信じられないくらいのマルチタスクをしている。

伊都波 凛霞 >  
慌てふためいたのちに深呼吸する姿を見て思わずクスっとした笑みが漏れる。
同じ年頃の男子とは思えないくらいの狼狽ぶりなのだから、多少は仕方がない。

「いいよぉ別に。
 私も洟弦の部屋だからくつろぎモードなんだもん」

そういう目で見られたって別に気にしない、というか。
ちゃんとそういう意識で見てもらえてることも安心する。
ちょっと無防備すぎたかな…とは思ったりもしたけれど。

「あ、私おろし生姜いれていれて♪
 さっぱりするから好きなんだー♡」

出雲寺 洟弦 > ドンッッ!!!!
(まな板の上の生姜が真っ二つに吹っ飛ぶ音)

出雲寺 洟弦 > 「      」

まな板の上に置いた包丁、そして左右に吹っ飛んだ生姜をキャッチする両手。
なんという反射神経、なんという動体視力――――。

「……オ、ッケ……っ……」

おろし生姜。そう、おろし生姜をおろすんだ。
卸し金(陶器)にショショショショショショショショと丁寧に擦りつけて、
丁寧に、けれど素早く。
もう卵は焼けたので素早く畳んで細切りに出来るようまな板に。
刻んだ葱はお皿にもう移した。
茹で時間数秒ほど逃したが直ちに湯切りして、氷水でじゃかじゃか締める。
もう手の中の生姜は全て卸し終わって小皿分け済。
鬼のようなマルチタスクで、
脳内の煩悩(凛霞の――――な姿)を極めて素早く、ところてん式に排斥する。

深呼吸ひとつ。まるで一つキツめなトレーニングの後みたいな神妙な面持ち。



……かくして。


「……はいよ、お待ちどおさん」

――バッチリ茹で加減こそ数秒逃したけれども。キンキンに冷やし締めた素麺を盛り付けたお皿。
小皿に取り分けられた薬味類と、特性の出汁つゆ。
配膳も綺麗にお手本のよう。

「出雲寺流・素麵御膳……なんつって」

――――向かい合うように座る。
隣でも良かったんだけど、今は、すごく。
笑顔で準備したけど、脳内にはまだ若ッ……干。
煩悩が消し切れず残ってるため。

伊都波 凛霞 >  
「だ、だいじょぶ…?」

唐突な大きな音にびっくり。
大きな眼を思わずぱちくりしてしまったけど、…なんか大丈夫そうだった。
そんなこんなしているうちに汗も少しずつ引いてきて。

どんと置かれた素麺御膳。
うちでお素麺なんてしても大体は4人家族で召し上がるためこんなに立派な形にはしない。
こういう拘りみたいなものは、男の子だからなのかなあと思ったり。

「わぁ~、すごいすごい♪
 ほんと料理に関しては凝ってるよねぇ洟弦」

まじまじと丁寧に盛られたそれらを見て、生徒手帳(オモイカネ)で写真を撮ったりなんだりしつつ。
さっそく、いただきますと両手を合わせて、育ちの良さを感じさせる丁寧に箸を操りつるつると、夏に相応しい一品をいただこう。
ぷるっとした瑞々しい唇につるりとした素麺が啜られる様が妙に色っぽく見えるのは気の所為じゃない。

出雲寺 洟弦 > 「そりゃあ、出雲寺の台所では一番俺が上手だったのもあるし、
祝い事の時とか、自分で作ってたりとかしたしな。
……さて、いただきまー……、……」

撮ってるなぁ、写真。
……思えば、作った自分の料理を撮影する姿を、お箸握って手を合わせる恰好のまま、
そう言えばそういうのしたことないな、と思い出したようにこちらも同様に。

「……こうかな」

手帳のカメラ機能を開き、適当に横長画面で写真を……――。

「……」
ちょっと上からのアングルに変えて撮った。
そのまま横から取ると、向かい側に立派な物が写り込みそうになったので。

――改めて。

出来上がりをまずはシンプルな出汁つゆと麺を一口分。
……出汁つゆは、完璧。前日仕込みからあらゆるものに使える、
しっかり染み出す二重の風味・旨味。
濃さの調整も神がかりだ。板前だって唸るに違いない。

問題は麺、だけ、れ、ど――――。

「うん、やっぱちょっと茹で過ぎたなぁ……少し柔らかい気、が……」

啜って目を閉じ数秒。
――少なくとも柔らかいのは麺の特性の範疇な気がするけど、
彼は判るらしい。判るからっても目の前で美味しそうに素麵を啜る、
ぷるっと震える唇に、目線が吸い寄せられ――。

「       」


「は」

――いけない、と、視線を落とした。
……なんか今日、ずっと、一緒にいる凛霞のあれやこれやに視線が奪われる。
吸い寄せられる。まずいまずいまずい。やばい。

「……」

――すっごい薄着だし、室内だからって、自分と二人きりでも。
ちょっと大胆過ぎる、気も、する、けど――あああああああああ


――――葱を多めに入れ、二口目を啜る。

伊都波 凛霞 >  
「ふふ、ちょっと柔らかめだけどつるっといけるから私はこれでもいいよ♪」

つるつると実に美味しそうに素麺御膳をいただいて。
ふと視線を向けてみると、なんか今日は彼の様子が妙におかしい…というか、浮ついてる?ようにも感じる。
さっき自分が口にした言葉のせいかな…と少し頬に朱が差す。

「えっと…」

「今日は、なんか…どうかした?」

なんかヘンだよ?と。

朗らかな笑みを浮かべつつ、そう問いかけてみる。
調理中のアレだって、普段はあんなことあんまりない気がするし。

出雲寺 洟弦 > 「……お、ぁ、おう、そっか……ッ……えと、おろし生姜も、あるから、たっぷり入れても、美味しいと、おも……」

――……下向いて、視線を横に逃す彼の、
顔の真っ赤さ、たるや。

……言われてはっとして、顔をあげる。

「     」

――外の蝉の声が一段と大きい気がする。
カーテンの隙間、空は真っ青だけど、雲も流れていって、
その雲に、陽射しが反射して、
隙間からは只、真っ白な光だけ差し込んで――目が眩む。

……エアコンの冷たい風を浴びてるのに、じんわり顔が熱いのは。
つゆの入ったお椀を、そっと置いて。

「……ッ、……その」

――――あれ、言おうとしてる?俺。
いや、いや、待てよ、流れで言うもんじゃないだろこういうの。


「……今日、ずっと、凛霞のこと、
……じっと、見ちゃってて、さ」

待てって。ちがう。そういうことって、
だから、場とかタイミング、とか。


「……さっき、えっちなこと、って、あの……」

待て待て待て待て待て。

「……ごめん、……ちょっと、考え、ちまっ、て」

――待てって!!流石にッ!!


「――……今日、なんか、俺おかしいのかな……暑さで茹だってんの、かな。
……その、ごめん、ちょっと馬鹿、かも」

――――――顔を片手で隠す。

「……」


……耳から煙出そう。


「……今日、すッ……ごい、凛霞の、こと、そういう、風に……見えて……ッ……」

伊都波 凛霞 >  
「―――」

思わず眼を丸くした。
確かに様子はなんかおかしかったけど。
彼の口からそんな風に言われることは、あんまり思っていなかったから。

もしかしたら、まだどこか子供の頃の…。
幼馴染の男の子、なんていう感覚が残っていたのかも。
…この島に引っ越す前と後、結構時間が経っていて。
再会しても、風紀委員の仕事とか、勉学の事情とか…。
もちろん彼自身の事情もあって、そこまで"今の"お互いにはなれていなかった気もする。

「それは…」

視線を落とし合わせられない彼。
顔まで隠されて、ああ…多分、顔が熱いの、炎天下の外を歩いて来たからだけじゃないんだなあ、って。

「わ、わたしのせい…かな…?」

少し、服装もそうだけど…男のヒトの部屋に上がるには無防備が過ぎたのかも。
でも相手は子供の頃にお互いをよく知ってる、幼馴染だったから。そんな警戒心なんかもなくて。

「で、でもでも。もう子どもじゃないんだし、普通のこと、かも…。
 私の友達なんて、話聞いてるとすごいんだから」

彼とキスしちゃったとか、出会ったばっかりなのに深い仲になっちゃった、とか…。
そんな話をまるで別の世界の人の話のように聞いていた。

出雲寺 洟弦 > なんで言い切ったんだろう。どうして口に出した。
置かれたつゆに葱が浸って、色がじわじわ染みていって。
折角作った料理を前に手が止まってる自分が、まず一番驚きだ。

「……ッ」

ぐ、ん、と、喉を鳴らすような息遣いから、
……緊張した顔で、視線をもう一度向けて。

「……いや、違う……その、俺自身が、なんかその……おかしい、かも……」

――――確かに薄着だ、無防備でもあった。だけど、
そういう姿に対して、いわゆる「劣情」のようなものが。
……おかしい。昔、そんな気持ちを向けたことは、あんまりなかった……と、思う。

確かに異性だったけれど、それ以上に身近な存在で、
居ることが当たり前の、日常の中の一人としていて。

……それが最近、こうして恋人になって幾許。
――自分が、凛霞のことを、"大切な異性"として見ていて、だから。


「そ、そう、いや、ああ、クラスの友達も、なんかそんな風なこと……、……んぐ」

――のどがひりひり乾く。
麦茶を自分のグラスに注いで、それを少し口に。
頭が冷える、内蔵から冷えると、自然と冷静に……。


「…………そういう、もん、なのかな」

――からり。氷の解ける音。

「……」

……無音。いや、エアコンの音、蝉の声、外の、ちょっとした風。
遠くの喧騒だとか。
室外機の、がこん、という低い音もする。

「…………」


―――――汗が伝う頬。視線が、じっと、つい、また。

伊都波 凛霞 >  
「そうだよね? みんな夏だったり、クリスマスだったりでさ。
 進んでるなあって思っちゃったりするけど、あんまり、こう…現実感なくって」

「私もなんか、おかしいのかも」

苦笑してそう言うと、素麺が伸びちゃう前にいただこう。
…誤魔化しちゃったような感じに見えちゃうかな、なんて少し心が痛む。
自分から、問いかけたのに。

まさかそんな真っ直ぐな答えが返ってくるとは思わなかったから。

「………」

「…あ、でも……」

合間、室内の静寂の音の中、少し遠慮がちな凛霞の声。

「…私は別にイヤじゃない…よ…?」

流石に彼の顔を真っ直ぐ見てはいえない。
少しだけ、臙脂色のその視線を横へと逃がしながら。
きっと自分の顔、赤いんだろうなあ、なんて思いながら。

出雲寺 洟弦 >
「……は、はは……ほんと、ほんと……みんな、早いっつぅか、嘘だろってか……う、ん……んん……」

――自然と話が閉じる流れに、別に不満はない。
むしろ、ちょっと救われて、ほっと胸をなでおろす気持ちだった。

……だから、頭が真っ白になる。

「      」

――――――数秒から数十秒。
言われてから手が止まって、しまうほど……。




          "…私は別にイヤじゃない…よ…?"


「え?」

――小さく小さく疑問符が口から転がり零れて。


……けど、自然と、こちらも麺が伸びてしまわないうちに、
食べ進めるのを再開した。
このままだと、そのおかしい頭が、もっとおかしいこと考え、始めそうで。

おろし生姜も葱も、金糸卵も。
たっぷり入れて。

――――量も二人でならそんなに多くもない。
暫く後には、すっかり食べ終えられて、すっきりお腹に収まる位で。

「っ、……はあ」

空になったテーブルの上のお皿とか小皿とか。
――食後にもう一度、麦茶を一口。

……今さっき零れた言葉、夢じゃないよな、って。
頬を、指で軽くつまむ、変な仕草。

伊都波 凛霞 >  
今どき、婚前交渉がどうのなんて流行らない。
お互いの相性を確かめておかないとむしろ上手くいかない、なんて話も。
だから、クラスのみんなや女友達なんかがする話も…別に普通のことで。
それは決して彼女達がだらしないとか、自分の身を軽んじているとは限らない。
…そんな認識から、つい、漏れた言葉―――だった。

「はー…美味しかったよ。さっすが洟弦。お店レベル」

満足そうに屈託ない笑みを浮かべ、お腹も膨れたのかリラックス。
自然と体の力も抜けて、のびやかにしている。

楽な姿勢になったついで、食事も終えて、まだ外の熱が蓄えられているポニーテールを解く。
髪束の間に熱が溜まってしまっているから、まだ少し暑く感じてしまっていたから。
もしかしたら彼には、余り見慣れない髪を解いた姿、かも。
…胸の谷間も蒸れてるけど、さすがにそこまでは。

もしかしたら続いてるかもしれない、静かな時間。
なんとなくこういう時、どっちから何か話を切り出すか…って、タイミング難しかったりするよね。
そうして彼に視線を向けると、なんか自分の頬をつまんでて思わず首を傾げてしまったり。