2024/09/19 のログ
Dr.イーリス >  
「鹿さんが困っているみたいですね?」

イーリス、微妙に鈍くて、鹿さんを助けるのが物語の一部分である事をあんまり思い出せてない。

エルピス・シズメ >  
「えへへ……う、うん。」

 嬉しさを胸に抱きながら、自信をもって頷く。

 少なくとも、ガワだけではないらしい。
 ある種の相性の良さを感じながら、先に進み……
 ……困っている鹿さんを見つける。

「鹿さん。お困りなの?
 それじゃあ橋を架けるから、ちょっと待ってね。」

 困った顔の鹿さんを認めれば、「えいっ」とした掛け声とともに、
 大きな虹の架け橋を川に掛けました。

「この橋を渡れれば、家族に会えるよ。鹿さん。」
 

鹿さん > 鹿さん「こんにちは、人間さんにりすさん。橋を架けてくれるのですか!? ありがたや!」

鹿さんの表情が心なしか明るくなった。
虹の橋を架かるのを見れば、鹿さんはとても歓喜!

鹿さん「ありがとうございます! 確かりました! このご恩は忘れません!」

ぺこり、一礼する鹿さん。
虹の橋を渡る鹿さん。
その鹿さんから温かい雰囲気の光の玉が出てきて、エルピスさんの中に入ろうとしていた。
その光の玉は悪いものではない。感謝の気持ちのようなもの。

そうして鹿さんは向こう岸の家族と会う事が出来たのだった。

Dr.イーリス > 「鹿さん、ご家族さんと無事にあえてよかったです」

心が和んでいると、ふと「あっ!」という声をあげる。

「思い出しました。見事ですよ、エルピスさん!」

虹の橋をエルピスさんが掲げて思い出した

「イーリスは、困っている鹿さんを助けるために川の向こう岸に虹の橋を架けたのです!」

エルピスさんは《虹の希望のイーリス》のようにとても優しいから、物語通りに話が進んでいる。

エルピス・シズメ >  
 無事に家族と会えた鹿さんを見送って、微笑む。
  
「良かったね。鹿さん。」

 光の球、のようなものが胸の内に飛び込む。
 感情のひとつであると素直に認識して、受け容れる。

「僕たちもわたろ、イーリス。」

 エルピスがイーリスになっても。
 りすさんになっても、イーリス(エルピス)にとってのイーリスはりすの装いをしたイーリス。

 手を繋いで、自分で架けた橋を渡ります。
 

Dr.イーリス > 「はい!」

にこっ、と笑みを浮かべて、エルピスさんとイーリスは手を繋ぎ合って虹の橋を渡る。

「虹の橋を渡るなんて、とても不思議ですね。エルピスさんと虹の橋を渡るなんて、なんだか、凄く、素敵な体験です。えへ。えるぴすさんとの想い出いっぱい。えへ」

にへらー、と笑っていると転びかける。

「わわ! な、慣れていない場所で少し怖くもありますので、少しひっつかせてください」

イーリスは、エルピスさんの腕をぎゅっと抱きしめながら慎重に渡る事にした。
エルピスさんの腕を抱きしめるイーリスは再び笑顔になった。

チンパンジーさん > 虹の橋を渡り終えてしばらく進めば、そこにはチンパンジーさんがいた。
チンパンジーさんは崖の上から、遥か下を眺めていた。
チンパンジーさんが眺める崖下、そこにはりんごの木があった。

チンパンジーさん「あのりんご……食いてぇなぁ。おいしそうだなぁ……」

エルピス・シズメ >  
 甘えるようにぎゅっと腕を掴んで寄り添ったイーリスを抱きしめながら、
 川のせせらぎを聴きながらゆっくり歩く。幻想的な景色の素、虹の橋を二人で歩くのはとても心地よい。

「うん。しっかり僕につかまってね。」

 足元に気を配りながら、イーリスが併せやすいように。
 物語のイーリスとなったエルピスは、小さな歩幅でゆっくり歩く。
 装いも相まって、可愛らしい歩き方。

 続いて見えるのは崖の上からりんごを眺めるチンパンジーさん。
 どうしようかな、と、少し思案して。

「チンパンジーさん、このツタを使って?」

 崖の上に虹の木を生やし、更に木から蔓を崖の下の林檎の木まで延ばします。
 虹の蔓と木を伝えば、崖の下のりんごに辿り着けるように安定した虹の木と蔦が出来ました。
  

Dr.イーリス > 「えるぴすさん、そんな風にされたら恐怖なんてすぐ忘れてしまいます」

エルピスさんに抱き締めていただくと、恐怖が一瞬でエルピスさんへの愛に変わった。
《パンドラ・コアMk-Ⅱ》により、イーリスからハートエフェクトが待っていく。
相変わらずエルピスさんに流れるイーリスの愛。


そうして、二人はチンパンジーさんのもとに辿り着いて。

チンパンジーさん > 物語のイーリスになっているエルピスさんが虹の木を生やしてツタを伸ばしている事に、チンパンジーさんは驚いた。

「うお!? ありがてぇ! さんきゅーな! この恩は忘れないぜ!」

チンパンジーさんは木登りがとても得意。
虹のツタを掴み、無事にりんごの木まで降りるチンパンジーさん。

チンパンジーさんは木のりんごを美味しそうに食べていた。

「りんごうめぇ! あの人間さんに感謝だな!」

チンパンジーさんから感謝を表す白い光の玉が出てきて、それがエルピスさんの体へと入っていく。ほんのり温かい気持ちになるかもしれない。

Dr.イーリス > 「思い出しました! イーリスは、チンパンジーさんを助けたのです! 虹の力をどうやって使ってチンパンジーさんを助けたかはいまいち思い出せないですけどね」

イーリスは両腕を組んで考えてみたけど、物語のイーリスがチンパンジーさんをどう助けたかはあんまり思い出せなかった。

「チンパンジーさんがとても幸せそうですからね。私が忘れているだけで、物語のイーリスもきっとエルピスさんがしているみたいにしてチンパンジーさんを助けたのでしょう」

目を細めて微笑んでみせた。

お伽噺《虹の希望のイーリス》あらすじ 三章 > 再びりすさんを追うイーリス。
次に出会ったのは、チンパンジーさん。
チンパンジーさんは、高い崖の下にあるりんごの木へと行きたいらしいです。
イーリスは虹の滑り台をつくってあげました。
チンパンジーさんは虹の滑り台を滑って、崖下に降りる事ができて、りんごの木まで辿り着けました。
チンパンジーさんを助けている間、りすさんはずっとイーリスを待っていました。

お伽噺《虹の希望のイーリス》あらすじ 三章 >  
※実際の物語の内容と、エルピスさんとイーリスの行動が必ずしも一致しているとは限りません。

エルピス・シズメ >  
「でも、この方が安定するから……ね。」

 くすぐったそうに恋を受け留めながらも、いまはしっかりもののエルピス。
 笑いかけたあとは、理性を引き戻した凛とした顔。

 チンパンジーさんからも暖かいものを受け取れば、虹の描き方を直します。

「チンパンジーさんは登ったり下りたりが得意だけど、僕たちは……こうかな。」

 虹の階段を作って、崖の下まで降りていきます。
 この虹の希望のイーリスは、得意なことを後押しするように、
 虹を描く様です。みんなの強みを見出すのが、ほんの少し得意な様です。

 おとぎ話を眺めている超自我さんはその光景を見て、やっぱり[別枠](読み手)と、静かに呟きました。
  
 「ゆっくり、あるくよ。」

Dr.イーリス > 「さすがに私達がツタから降りるというのは、難しいですからね。ありがとうございます、ふふ」

エルピスさんと手を繋いで、綺麗な虹の階段をそっと降りていく。
そーっと転ばないように。
それでいて、幻想的な森の中で素敵な虹の階段をエルピスさんと歩く、とてもドキドキな体験。

「エルピスさんは、物語のイーリスになっても、エルピスさんです」

そう口にすると、またイーリスからハートのエフェクトが飛び出して、エルピスさんに愛情が流れる。
エルピスさんは、エルピスさんのやり方でチンパンジーさんを助けてみせたのだ。


虹の階段を降りてしばらく森を歩く。
すると今度は白い翼を生やした天使さんがいた。

天使さん > 「な、なんちゅうこっちゃ! うっかり天から転げて落ちてもうたわ」

頭を抱えている天使さん。

「地上では体が重くなって翼で羽ばたくこともできへん……。わい、こんなんやから大天使に昇格できへん、ひらの天使のままなんやろうな」

エルピス・シズメ >  
 シズメの血には、ほんの少し、夢やおとぎ話にまつわるものがある。
 その能力はエルピス・シズメには継承されていない筈ではあり、語るほどのものではないものの、
 少しぐらい筋書きを外れても、おかしなことにならない親和性があるらしい。

「うん。僕は僕みたい。イーリスにはなれないけど……」

 階段をゆっくり歩き、道を進む。

 その先に居たのは落ちた天使。
 地上の重力に逆らえない天使さん。

 どうすればいいか、少し考える。

「天使さん、背中を押してあげるね。」

 天使の背中に2対4枚の翼を描き、空想と想像の魔力を授ける。
 地上の摂理から抜け出せるように、虹の翼を分け与えた。

 どうして落ちたのかは分からないし、虹の希望もひと時の翼。
 それでももう一度天に戻れるように、翼を授けました。
  
 

Dr.イーリス > 『僕は僕みたい』というエルピスさんの言葉に、イーリスは頷いてみせる。

「天使さん……。ど、どうすればいいでしょう」

イーリスが焦りを見せている間に、エルピスさんは虹の力を使って、天使さんに翼、そして空想と想像の魔力を授けていた。

天使さん > 「飛べるようになったで! 人間さん、すごいな! ありがとやで。人間さんに天のご加護があらんことを」

口調のわりに真面目に祈りを捧げる天使さん。
天使さんから感謝の光の玉が飛び出して、エルピスさんの体に入っていった。

祈り終わった天使さんは虹の翼で天へと帰っていく。

Dr.イーリス > 「思い出しました! 物語のイーリスは、天使さんをも助ける事ができたのです! 虹の翼を与えるなんて、すごいですね!」

多分、物語のイーリスは別の方法で天使さんを助けたと思うけど、エルピスさんはとても素晴らしき方法で天使さんを助けた。
エルピスさんだからできる、きっとそんな物語の導き方。

お伽噺《虹の希望のイーリス》あらすじ 四章 > 再びりすさんを追うイーリス。
次に出会ったのは、天使さん。
天使さんは、うっかり天から落っこちてしまって帰れなくなったらしいです。
地上では体が重くなって翼で羽ばたくこともできませんでした。
イーリスは虹を天まで伸ばしました。天使さんは天まで伸びる虹を歩いて天に帰っていきました。
天使さんが天に帰るまで、りすさんはずっと見守っていました。

エルピス・シズメ >  
「ちゃんと帰れたかな……?」

 現実と空想の比率が変わって、天使を送り届ける。
 暖かい気持ちも、そのまま受け取って。

 天使が去ったことを確認してから、どうしようかと考えた。
 次の道が分からないから、ちょっと筋書きから外れてしまった気がする。

「面白い天使さんだったね、イーリス。
 ……次は、どこに行こう……?」

 周囲を見渡して、次への導を探すエルピス。
 

Dr.イーリス > エルピスさんとイーリスは、天使さんを見送る。

「天使さんのキャラもなんとなく思い出してきましたよ。とても愉快な天使さんです」

にこっ、と笑みを浮かべてみせる。

「ずっと森が広がっているみたいですからね。ひとまず歩いてみましょう」

行き止まりがあるというわけではない。
歩き出してみよう。

悪魔 > そうして歩いていると、次に現れるのは邪悪な悪魔。
紫の体で角と翼が生えた、まさしく天使さんと対になる存在。

「ふっはっははは! 俺様は人や動物を不幸にする悪魔!」

これまでの鹿さんやチンパンジーさん、天使さんと違い、悪い悪魔のようだ。

「イーリス! お前も不幸にしてやる!」

この悪魔のいうイーリスとは、物語のイーリスたるエルピスさんのこと。

エルピス・シズメ >  
「天使さんの言葉にも、訛りみたいのがあるんだね。」

 森を歩き続けて、悪魔に出会う。

 不幸にしてやると、虹の希望のイーリスとしての自分を見て告げた。

 足を止める。
 思案する。
 ううん、と、悪魔を見て唸る。
 
「……いーりす。この悪魔さん、どんなだった……?」

 ほんの少しの違和感を覚えて、りすのイーリスに記憶を尋ねる。
 
 

Dr.イーリス > 「お、思い出しました! イーリスに襲い掛かる悪魔の顔にりすさんが跳びかかってひっかいて、イーリスを助けたのです。えっと、えっと!」

それは、りすさんである自分の役割であると突然思い出して、焦っている。

「と、とりあえず、えいっ!」

りすさんの手袋を取り、悪魔に投げる。
物凄く弱々しい感じでとんでいく手袋。

悪魔 > 「ぐわぁっ!!」

偶然にも手袋の爪になっている部分が顔に刺さり、痛がる悪魔。
悪魔の動きが止まった。

Dr.イーリス > 「え……。な、なんとかなりました。えっと、ここから、えっと。そうです! エルピスさん、希望の虹を掲げてください! 今のあなたには、これまで助けてきた鹿さん、チンパンジーさん、天使さんの感謝の想いが継がれていて、それにより悪魔の力を弱らせる希望の虹を掲げることができるはずです!」

イーリスは物語を思い出していき、エルピスさんにそう助言した。

エルピス・シズメ >  りすのイーリスの助力により、悪魔に不幸にされることはなくなくなった。
 不幸を避けたことに安堵して、想い出された物語に歩み寄る。

「……うん。」

 目を瞑って、手を掲げる。
 
 鹿さん(あお)チンパンジーさん(みどり)天使さん(あか)

 三つの光に、色を見出す。
 見出した色を重ねて、色を作って虹にする。

 理由のあるそれは、〝まほう〟としては未熟だけれど……
 ……この虹の希望のイーリスは、そうやって想いを束ねて、希望の虹を掲げた。

「……しあわせに、なろう?」
 
 倒すのではなく、弱らせる。 
 そのようになるように願いながら希望の虹を、悪魔へと掲げて向けた。
 

悪魔 > エルピスさんにより、鹿さん(あお)チンパンジーさん(みどり)天使さん(あか)の色が重なって、希望の虹が掲げられる。

「な、なにっ!? ぐおおおおおおぉぉぉお!!」

悪魔が希望の虹に苦しんでいる。

Dr.イーリス > そんな時、イーリスにも変化が起きた。
イーリスの体が光り、なんとりすさんの姿から、王子服を着て赤いマントを羽織り、白馬に乗っている姿に変化。

「え……? あれ? え……? あ」

混乱してたイーリスは、何かを思い出す。

「そういえば、そうですよ! て、えええぇ!? な、ななな、!? えええええぇぇ!!?」

何かを思い出して、イーリスは顔を赤らめている。

「えっと、私、英雄えるぴす君! 一応、物語上ではイーリスが惚れていた英雄って事になってます! りすさんは、あの悪魔によりりすさんの姿に変えられていたんです!」

思い出しつつも、ちょっと混乱気味な、白馬の王子様になっている物語におけるえるぴす君なイーリス。

エルピス・シズメ >  万華鏡の如く増える色と虹。
 それらが悪魔を弱らせれば、振り子の様に運命が巡る。

 今度は、イーリスがエルピス(IrisからElpisへ)になった。
 解き放たれた英雄のエルピスのイーリスは、とてもカッコよく見えた。

 白馬に乗った王子様。
 重なったすきの感情に呑まれそうになりながらも、どうすればいいか考える。

「おねがい、英雄のエルピスさん!」
 
 ふしぎなかたちで重なった物語を、継いで進める。
 虹の力を、エルピスのイーリスに託して、幸せな結末を願った。
  

Dr.イーリス > 「が、が、が、がんばります……!」

がちがち震えて、震えている白馬の王子様。
鞘からレイピアを抜いた。

「と、とりあえず突っ込みますよ、白馬!」

しかし、イーリスはのりでそう言ったが、一つ忘れている事があった。
イーリスは、馬に乗れないのである。

「わわっ!」

白馬が悪魔につっこんだはいいものの、イーリスはお尻から落馬。
幸い、ふかふかの草の上で、比較的痛くなさそうな体制で落ちる事ができたのでダメージはそれ程ない。

「い、痛いです……」

コミカルに泣く英雄。

主のいない白馬は、悪魔にたいあたりした。

「えっと、とりあえず白馬につづいて、やああああぁぁ!」

とてつもなくへなへなな素人剣技で、力弱く悪魔を突き刺す。

悪魔 > 「ぐあああああああぁぁぁぁああぁぁ!!」

ただの白馬により突撃とへなへな剣技がなんか効いてる。
突然土下座しだす情けない悪魔。

「もう悪い事しやせんので、許してくだせえ」

Dr.イーリス > 「これはえっと……。勝ちました……!」

どやっ! レイピアを掲げた。
ほぼ百パーセント、希望の虹による弱体化補正のような気がする。

「英雄えるぴす君はりすさんの姿で、鹿さんとチンパンジーさん、天使さんを助けた優しいイーリス(エルピスさん)の事を見ていたという事で、この後二人で白馬に乗ってどこかに行き、いつしか結婚した、みたいな終わり方だったと思います!」

ざっくり。

エルピス・シズメ > 「やった……!」

 弱くとも、想いや力を束ねれば乗り越えられる。

 だから、エルピスのイーリスも成し遂げた。
 そのことに、心の底から嬉しいものを感じて、喜びを声にする。

 悪魔もその悪性をひそめ、勝利を掴み取った。
 あとは……たぶん。

「じゃあ、イーリスの白馬さんに乗るね。
 このままいけば……大丈夫、なのかな。」
 
 ゆっくりと、小さな身体で白馬に乗って、後ろから抱きつく。
 はじまりとは対象的に、恋したエルピスが王子様のイーリスに抱き着いた。

(けっこん……)
 
 その言葉にどきどきを覚えて、少しだけ頬を染める。

Dr.イーリス > 反省した悪魔はすたこらさっさと去っていった。

「あ、あの、お恥ずかしながら私はお馬さんに乗れなくてですね。英雄なのに……。エルピスさんがお馬さんに乗れるなら手綱お願いします」

一度白馬さんから落ちたイーリスだが、再び乗り直す。
エルピスさんが後ろから温かく抱きしめてくれて、イーリスは心臓がとくんと高鳴る。ハートのエフェクトが飛び散った。エルピスさんに、愛がおくられる。

「えるぴすさん、その……行き先は式場がいいです……。えへ」

イーリスは幸せそうに、表情を蕩けさせていた。

エルピス・シズメ >  
 いくつものハートのエフェクトが溢れ出る。
 頭が蕩けそうになって、瞳の色がハートに染まった。
 ただ、乗馬に関しては……

「……えっと、できなさそう……。」

 後から抱きしめてから、一旦離れて立ち位置を変えて、手綱を握る。
 騎乗の経験はなく、虹の希望のイーリスとしてのエルピス。
 
 二人で落馬しても大変なので、しゅん、と、しながらも馬から降りる。
  
「でもたぶん、ゆっくり歩けば大丈夫。
 式場にもあせらないで……のんびり行こ?」

 ちゃんと歩けば、馬が無くても大丈夫。

 自分から、英雄エルピスのイーリスの腕に抱き着いてみる。
 ……いつもとは違うけどおなじ、ふしぎなどきどきと安心感。
 イーリスの体感している気持ちを、より強く感じることが出来た気がする。

「だいすき、イーリス。」

 でも、僕は僕で、イーリスはイーリス。
 今はちょっとだけ、形が違ってるけれどそこは間違えない。
 改めて僕として、確立された恋と愛をちゃんと伝える。
 
 

Dr.イーリス > 「元来は、英雄えるぴす君である私がお馬さんに乗れないといけなかったですからね」

二人とも乗れないという事で、白馬さんから降りる。

「はい! 歩いていきましょう! 白馬さんもご一緒です。今は私が王子様なので、エスコートしますね。このまま式場まで行きたいです……!」

腕を抱きしめてくださる虹の希望のイーリスたるエルピスさんに柔らかく目を細めて、髪を撫でてから歩き出す。お馬さんも忘れずに、ご一緒に歩く。
ハートエフェクトを撒き散らしながら、二人は森を歩いた。

「私も、エルピスさんがだいすき……」

イーリスは王子様らしく、凛々しい手つきでエルピスさんの頬に手を持っていき、ゆっくりエルピスさんの頬を撫でてから、自身の唇をエルピスさんの唇に重ねて口付けを交わそうとする。

エルピス・シズメ >  
「うん。……宜しくね。王子さま。」

 軽い気持ちで言ったけれど、言葉にしたら胸が高鳴った。
 少しだけ、虹の希望のイーリスに染まっている気がする。

(たまには……いいかな。)

 悪いものではないと感じて、気持ちのままに振舞う。
 おとぎ話を間近で読むような感じで、ちょっとたのしい。

 英雄で王子様エルピスのイーリスに身を寄せて、髪を撫でられる。
 くすぐったいけど、心地良い。

「うん……。」

 王子様らしい、凛々しい手つきで頬を撫でて貰って、唇を重ね合わせる。
 口漬けを交わしあった辺りで、強い恋と愛が抑えきれなくなって、言葉漏れる。

「ん、ぅっ……すき……だいすき……。」

 色々なきもちが重なって、心が染め上げられる。
 感覚が狂う(バグる)ぐらい、想いが膨れ上がる。

「エスコート……よろしく、ね?」

 止まらなくなる前に唇を離して、べったりくっついてエスコートを求め直す。
 好きで染まっちゃうと、止まらなくなっちゃう。

 このおとぎ話を知っているのはイーリスで、
 導いてくれるのも英雄で王子様のエルピスのイーリスだから、イーリスについて行く。
 

Dr.イーリス > とても愛らしいヒロインになっているエルピスさんと、英雄で王子様になっているイーリスは口付けを交わした。
イーリスの心はとっくに、エルピスさんで狂わされている。
王子様な英雄になったのなら、このまま本当にヒロインを式場につれていきたい。白馬さんに乗れたらよかったんだけどね……。

エルピスさんをもっとイーリスの色で染めたい。
だって、エルピスさんの色で染まっりきったイーリスはこんなにも心地いいのだから。

唇を重ねている間も、周囲にハートエフェクトが大量に飛び散って、この森を桃色に染めてしまっていた。
膨大な愛情がエルピスさんへと流れ込んでいく。
イーリスの心臓部近くが、《パンドラ・コアMk-Ⅱ》のハート型で輝いている。

口付けを交わしている間に、再び辺りに霧が包み込み、そして門が発生していた。
エルピスさんとイーリスの服装が元に戻っていき。
そして気が付けば、元の常世島にあるマーブルの森に戻っている。

先程まで人がいた観光地だが、今は観光客はいない。
なぜなら、門なんてものが発生したのだから観光客は退避してしまっている。

どちらからともなく唇を離した。

「素敵なお伽噺も、終わってしまったみたいですね」

観光客の代わりに、風紀委員が行方不明になったエルピスさんとイーリスの捜索をしていたようだ。

風紀委員 >  
風紀委員A「行方不明者、発見しました……! て、のわ!?」
風紀委員B「良い雰囲気になっているところ悪いが、俺達の仕事はあんた等二人の保護だ」
風紀委員C「とりあえず、無事に戻ってきてよかった」

エルピス・シズメ > 「そうみたい、だね。」 

 気が付けば、元の森に戻っていた。
 式場に行くのは、おとぎばなしじゃなくて現実で。 

「……えっと、ありがとうございます。
 これが学生証で──それで──身長が違うのは異能の──深度3の──
 ───ローカルの日付はので、ずれは細微で──状況は恐らく──護送は大丈夫──」

 意識をしっかり切り替えて、適切に応対を進める。
 恥ずかしいところはこっそりぼかす。

「簡易保菌確認────大丈夫そうなら自力で帰宅したくて────
 ────起こった状況は────「ウサギ穴」程じゃないけど────
 行ったプロセスは、──で───に類似していて───大丈夫────
 ────後ほど報告書は────先生を通して────」
  
 この場で出来ることはあらかた済ませてしまおう。
 ドタバタ護送されると、余韻を味わえない。

「……とりあえず、病院とか検査とかは大丈夫にして貰った。
 お土産を買って帰りたいし、ばたばたしちゃうのも余韻が勿体ないし……。」

 閉まってるかな、と思いつつも、空いていたら買って帰りたい。

「一緒にかえろ、イーリス。」

 式場は現実で、の言葉はちょっと恥ずかしいので呑み込む。
 ドレスが気にならないと言えば嘘になるけど、
 ウェディングドレスはイーリスに着て欲しいな、なんてことも思いつつ。

Dr.イーリス > 「わわ!? あの、えっと、風紀委員ゴミ処理係のDr.イーリスです! えっと、えっと」

恥ずかしいところを見られて顔を赤らめつつも、ハートエフェクトはしっかり出てしまっている。
ハートエフェクトが出ている事で、さらに恥ずかしくなる。
それでも学生証や風紀委員の腕章と手帳はしっかり見せる。

イーリスが慌てている間に、エルピスさんがしっかり対応してくれた。
そのお陰でトタバタ護送されずに済む。
エルピスさんに瞳を細めて微笑んだ。

「ありがとうございます、助かりました。あぅ……。ここのお土産屋さんはもう閉まってますよね……」

観光客が避難をし、風紀委員が行方不明者の捜索をしていたぐらいだから、お土産屋さんは閉まっている……。

「えっと、昨日は桃源リゾートで買いましたし、ここで買えないのは仕方がないですよ。そうですね、帰りましょうか」

お土産は買えなくて残念だったけど、とても不思議で素敵な体験が出来た。
本当にお伽噺の中に入ってしまえた感覚。

(えるぴすさん……。いつか……あなたにウェディングドレスの私を見てほしいです……。私は、あなたのイーリスです……)

そんな願いを内に秘めて、頬を染める。

けっこんと言えば、と。イーリスは、ふと思い出す。
かつてエルピスさんに植え付けられていた王熊の殺害欲。
詳しい話は今は省くけど、その殺害欲、ロッソルーナ・エミュレイタであるルーナちゃんはエルピスさんとイーリスの娘のような存在。
エルピスさんの記憶領域にルーナちゃんがいる。そして、ルーナちゃんが最後の最後でエルピスさんを王熊の呪いを削り取って消えようとした時、イーリスはぎりぎりデータ化に間に合って体内コンピューターに保存してある。

今、イーリスがデータ化したルーナちゃんは、体内の電脳空間のひとつでゆっくりと眠っていた。

ご案内:「マーブルの森 希望と虹のお伽噺」からエルピス・シズメさんが去りました。
ご案内:「マーブルの森 希望と虹のお伽噺」からDr.イーリスさんが去りました。
ご案内:「イーリスの《体内超高性能コンピューター・イリジウム》内にある電脳世界 /【異説のおとぎ話:《虹の希蹟のイーリス》】」に『超自我』ちゃんさんが現れました。
お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ 一章 >  
あるところに、マーブルの森の外れにおばあさん暮らしている少女が居ました。

夢見る少女の名前は、イーリスです。
街の英雄に憧れを抱く、夢見る少女です。

ある日、マーブルの森の外れでおばあさんと暮らしていたイーリスは、
虹の聖女さんと出会います。
イーリスが英雄に会い行きたいと思っていることを話すと、虹の聖女さんは苦笑いをしながらこう答えます。

‶それなら、この魔法を持っておきなさい。〟

こうして、聖女さんから力を授かります。
感情と想像に力する、世界を少し綺麗にしてくれるような、
平和な虹のまほうです。

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ 二章 >  
 
ある日、イーリスは、可愛らしいりすさんと出会いました。
りすさんと仲良くしたいイーリスでしたが、りすさんはしばらくイーリスに抱かれた後にマーブルの森へと駆けていきます。

イーリスはりすさんを追って、マーブルの森に迷い込んでしまいます。

森でりすさんを追っていると、イーリスはふたたびりすさんに出会います。
イーリスはふたたび出会ったりすに抱き着いて、なかよしになりました。

ひとりといっぴきが河辺まで歩くと、
川の向こう岸まで渡りたい鹿さんと出会います。

鹿さんとイーリス >  
 
「川の向こう岸にいる家族に会いにいきたいけど、どうしたらいいものか……」

「鹿さん。お困りなの?
 それじゃあ橋を架けるから、ちょっと待ってね。」

「ありがとうございます! 確かりました! このご恩は忘れません!」
 

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ 二章 >  
 
イーリスは虹の橋をかけてあげました。
その虹の橋を渡り、鹿さんは川の向こう岸まで渡ることができました。
感謝の想いがひとつ、イーリスの中に入り込みます。

鹿さんを助けている間、りすさんはずっとイーリスの事を待っていました。
待っているりすさんは、嬉しそうでした。

イーリスも、はじめての〝まほう〟にちょっと嬉しくなりました。
 

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ 三章 >  
   
次に出会ったのは、チンパンジーさん。
 
チンパンジーさんは、高い崖の下にあるりんごの木へと行きたいらしいです。
イーリスは虹の蔦を作ってチンパンジーさんの両手で伝っていけるように、
虹の蔦で道を示しました。

イーリスとチンパンジーさん >   
「チンパンジーさん、このツタを使って?」
  
「うお!? ありがてぇ! さんきゅーな! この恩は忘れないぜ!」
  

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ 三章 >   
 
チンパンジーさんは虹の蔓を伝ってりんごの木まで辿り着けました。
感謝の想いがひとつ、イーリスの中に入り込みます。

チンパンジーさんを助けている間も、りすさんはずっとイーリスを待っていました。
待っているりすさんは、やっぱり嬉しそうでした。

イーリスは、階段を作ってりすさんを抱えて歩きます。
チンパンジーさんのように強い腕の力はないので、ゆっくり歩きまます。
 

幕間 >   
 
このおとぎ話は、原典とはすこし違う道を辿ります。
時代や読み手の解釈とともに、後世に伝えようと書き続けられる内に……
……すこしずつ変わるのも、おとぎ話の一つです。

〝忘れられないように〟おとぎ話は語り継がれ続けるのです。
〝忘れられてしまったおとぎ話〟や、〝結末が書かれないまま完成しなかったおとぎ話〟が出ない様に……
 ……いろんな形で、おとぎ話を読み続けられます。

もしも、誰も読み続けなくなってしまったら。
きっと、忘れさられてしまい、なかったものになるでしょう。
完全に読まれなくなったおとぎ話は、忘れられて滅びていきます。
 
閑話休題。
難しい話は抜きにして、続きを読みましょう。
 

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ 四章 >  
 
空から落ちてきた天使さんが居ます。

落ちてきた理由はわかりませんが、とても困っています。

この頃になると、イーリスも〝まほう〟の使い方を少しずつ理解します。
天使さんの背中を押すように、こうします。

イーリスと天使さん >  
 
「天使さん、背中を押してあげるね。」
「飛べるようになったで! 人間さん、すごいな! ありがとやで。」
 
『──人間さんに天のご加護があらんことを』
 

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ 四章 >  
 
イーリスは天使さんに虹のつばさを授けました。
天まで戻れるように、‶まほう〟の虹の翼です。

待っているりすさんも、嬉しそうでした。
見届けたイーリスも、嬉しそうな顔をしています。
 

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ 五章 >  
 
天使さんがいるのなら、悪魔さんも居ます。
これまでの鹿さんやチンパンジーさん、天使さんと違い、わるい悪魔です。
なんで悪いのかは、誰にもわかりません。

悪魔は、このように叫びます。

「ふっはっははは! 俺様は人や動物を不幸にする悪魔!」
「イーリス! お前も不幸にしてやる!」

なにかも不幸になってしまえと、
世界を呪うようにイーリスを呪おうとしました。
イーリスは悪魔を不幸にする気はありません。だから立ち止まります。

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ 五章 >  
 
そこで、りすさんが果敢に飛び掛かります。
小さな身体で悪魔の顔に飛びついて、イーリスは不幸にならずに済みました。

 

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ  六章 >   
 
イーリスは意を決して、希望の虹を作ります。
でも、‶まほう〟を覚えたばかりのイーリスは、
希望の虹そのものの作り方が分かりません。

それでもやってみようと決心したときです。
心の中にあった、みんなから受け取った想いが彩られて浮かび上がります。

あお、みどり、あか。

イーリスはこれを束ねて、希望の虹を作りました。
 

《虹のきせき》イーリス >  
 
「幸せに、なろう?」
 
 

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ  六章 >  
 
希望の虹で、悪魔の悪いものを弱らせます。
その時、ひとつの呪いがとけました。

なんと、先程まで一緒にいたりすこそが、
英雄エルピスだったのです。

王子様を示す凛々しく華やかな服を着て、赤いマントを羽織り、白馬に乗っている王子様です。

イーリスは、残った虹の力を託します。英雄にあこがれていたのでなく、英雄の王子様に憧れていたからです。
夢と希望を守れるように、復活したばかりの英雄さんに力を託します。

呪いから解き放たれたばかりの英雄の一撃は、まだか弱いものでした。
それでも虹の力を借りて、悪魔をやっつけて改心させます。
悪を禊がれたあくまは、彼方に退散してしまいました。
 

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ  七章 >   
 
悪魔を追い払った二人は、本来白馬には乗れません。

だから、イーリスはこっそり虹の力を託して、
白馬さんは次に困っている人の所に行くように願いました。
 
イーリスとエルピスは、想いを告げ合います。
エルピスもまた、やさしいイーリスにあこがれていたのです。
呪いまで解いてくれたので、とても好きになりました。
 
 

お伽噺《虹の希蹟のイーリス》あらすじ  八章 エピローグ >  
 
二人は結ばれて、式を挙げることになりました。
お姫様をエスコートする、凛々しい服の英雄の王子様。
なれないお姫様のドレスに恥ずかしがりながらも手を振って街の人と交流するお姫様。

そんなお姫様は、街のみんなにも可愛らしいお姫様は快く受け容れられました。
王様も神父様も、納得して二人を祝福しました。

そうして想いあえた二人は、末永く暮らしました。
めでたしめでたし。

『超自我』ちゃん >  
「……って、所かしら。」

 イーリスの体内に住まう、エルピスより零れ落ちた超自我ちゃん。
 ひとつの異説の本を書き終えると、イーリスがすぐ気づけそうな位置に本を置きます(おとぎ話)
 本物とは細部が違うものの、読み直せば何度でも追体験できる特別な本(データ)

 表紙はおとぎ話のイーリスとりすさんの格好をした、二人の姿。
 一番最後の挿絵には、幸せそうに式をあげる、虹のきせきのイーリスと、英雄の王子様のエルピス。

 他の挿絵は、イーリスが保存した記録を借りて貼り付け。
 最初と最後だけは、自分自身がそうぞうしたもの。

「たまには、執筆活動はだいじなの。
 ……満足したところで、ひと休みなの。
 今日は紅茶とケーキの気分なの!」

 本を書いたものは、軽い足取りで仮想世界の中を歩いて行きました。
 
 

ご案内:「イーリスの《体内超高性能コンピューター・イリジウム》内にある電脳世界 /【異説のおとぎ話:《虹の希蹟のイーリス》】」から『超自我』ちゃんさんが去りました。
ご案内:「とあるオフィスビル」に海藤 宗次さんが現れました。
海藤 宗次 >  
ここは歓楽区、異邦人区、学生居住区に近いエリア。
ああ、わりかし学園にも近くて電車などの交通機関も近いっちゅう恵まれた立地にあるオフィスビルや。

ここでは先日まで木曽山姐さんの敗北を機に一部のシノギの低下を確認。
そのシノギは人身売買とかそういうの。
人身売買を止めるべくナナってえらい強い少女が決闘に打ち勝った。
木曽山の姐さんは止める気なんてのはサラサラないらしいがその人身売買を指揮する張本人は長期入院コース。
俺はこの会議で『とりあえず、筋を通すためにも木曽山姐さんの入院期間だけでも人身売買はやめましょ?』って提案して一昨日辺り可決した。

さて、今回の会議は各方面の状況やらの報告と木曽山姐さんが抜けた穴はどうするかの議題ってわけですが

「さて、木曽山の姐さんのシノギの補填は後にしてとりあえず各自報告といきますか。その上で要請等お願いしますわ」

天王寺 静流 >  
「まずはあーしね。」

席を立ったのは背丈は150㎝、金髪の美女ではあるが見た目以上に若く10代中盤に間違えられてもおかしくはない。
一応つい最近成人したばっかだが血気盛んなのは相変わらずで言葉の端々から強気な姿勢が見える。

「とりあえず、周辺半グレと不良グループは殲滅したわ。ざっと3つくらいかな。中でも『殲滅虐殺連合』なんかは規模がデカかったけど…とりあえず殺しといたよー」

この天王寺静流という女の主なシノギは戦争及び傘下組織の運営とアガリの管理。
幹部序列5番手でありながら抗争に直接関係ある役に抜擢されたのは圧倒的な戦争・抗争への適性。
宗次とは真逆の技能で宗次が単体での内部工作や潜入が得意に対して静流は複数の部下や組織を率いての派手な戦争。
事実彼女には軍人のような統率力がある。

「あと『任侠会』っていう極道崩れのバカ共いるんだけど…こいつら、笑っちゃうんだけど葬儀をやるらしくてさぁ…あ、そうだ宗次さぁ…手伝えよ。葬儀中はこいつら無防備くさいし一気にひき殺し蝶よ」

この姐さんはおっそろしいで。
このようにえげつない作戦を立てるし前なんか宅配に爆発物を忍ばせて送るとかトラックでヤサに突っ込むとか滅茶苦茶なんや。
あ、なんか俺巻き込まれたけど…まあ頑張りますか

土屋 英機 >  
「……報告する。」

次に席を立って報告するのは…なんというかいまいち影の薄い男だ。
土屋英機。幹部序列4位。
背は平均的、日本人的髪の色と肌と顔つきで歳も20代くらいか。
何故か執事服の装いだがこれはボスの最側近であるためである。ボスは我が儘お姫様なのだ。
とはいえハッキリいってこの場では誰よりもモブだ。

だが彼の恐ろしいのはこの擬態能力にある。
気配の無さは異常であり、彼が本気を出せば真っ向勝負のはずがピントがずれてるように彼の姿を視認できない。
これは刺青や魔術や特殊な能力などではなく単純な修業を積んだ実績だ。

そして口数は少ないながらも淡々と最低限かつ簡潔に報告を続ける。

「ボスと私はメキシコに行った。護衛として勤めを完璧に果たした。…そのメキシコでボスは新たな契約をしたが…詳細は梓の報告にて…」

彼の役目は護衛だ。
だから遠征先で特にトラブルがなければ報告することもない。
添えるとすれば要人の成果であろうか。
だがこれ以上は言えることはないのでまた無言になる。

火ノ宮 梓 >  
「私ですね。」

その土屋の補足説明する必要があると感じた女は即座に席を立つ。
それは若いながらも貫禄ある着物の美女だ。
年齢的には土屋と同年代ではあるが土屋の目立たなさとは対照的に色っぽく傾国の美女を思わせる退廃的な雰囲気。

彼女の名前は火ノ宮梓。幹部序列は2位。
あの清華よりも上の序列で間違いなく化け物だが立ち上がる動作など一挙手一投足の全てが名家のご令嬢を思わせる立ち振る舞いだ。
さらに続く言葉も

「私の報告は土屋さんの報告に付け加える形で行います。そのメキシコカルテルとの打ち合わせで良いガンスミスを紹介してもらいました…これにて銃器販売は潤う事でしょう」

彼女のシノギは密輸関連。
主に銃などは勿論麻薬にまで担当しておりこれらを落第街などにばら撒いて利益を得る。
勿論違法だ。

「加えて…敵対していた『青い鳥』が何者かによって殲滅したことで私達の売り上げも期待できます。」

彼女の言葉数は多い。
この場に序列1位はいるが…まあこいつはアテにならない。
話し合いだとアテにならないがいざという時の最終兵器なもんや。
あ、ちなみにそいつ、ソファで寝とるで。
2m超える巨体だから分かりやすい。

火ノ宮 梓 >  
「ですが…この場で不在の木曽山さんの業務の売り上げは下がる事でしょう。彼女の主な業務は風俗経営と人身売買や臓器販売ですが…しばらくの間は風俗経営一本で行うことにします。」

一番稼げてたのは序列3位木曽山だが木曽山が不在でもこうして火ノ宮が話し合いの中心になるだろう。
そう、彼女は話し合いじゃ役に立たない1位の代わりのまとめ役なのだ。
言葉数も多くなる。されど品は崩さない。
だが言葉の節々には『~に決定します』を使われることが多くちょっと自分で好き勝手に決める傾向にある。
言ってしまえばやや傲慢だ。

「風俗店の護衛は天王寺さんの配下からいくらか割り振ってもらうことになります。天王寺さんの部下さんは優秀なので頼りになるでしょう。」

とうの天王寺は私は聞いてないんだけどって顔してるけど逆らえない。
物言いたげな顔で頷くしかない。


「そして…中止している人身売買と臓器販売の売り上げの補填についてですが…こちらは海藤さんの協力のもと行います。詳細は後程」

そして海藤は『また俺かい』と突っ込む。
やれやれウチの女性陣は頼みごとが多くて困る。

海藤 宗次 >  
「最後に俺の報告…こっちは…」


まあ、俺から言えることはほぼない。
だが風紀の潜入は続けており簡易的なプロフも手に入れた。

これを今からUSBメモリを繋いでプロジェクター繋いでプレゼンするんやけど…
これがちょいと長くなりそうや。
とりあえず宗次の一日の一部はこんな感じで終えるだろう

ご案内:「とあるオフィスビル」から海藤 宗次さんが去りました。