2026/03/08 のログ
ご案内:「In Hell We Liveカタストロア Lament」に
ご案内:「In Hell We Live青霧在 Lament」に
■カタストロア >
風紀っていうのはなかなかやるものだ。
それはそうか。
一人の異能や戦闘能力があの嫌われオンナの一割程度でも。
十人でコンビネーションを組めば容易く上回る。
だがオレは死なない。
死んでねぇ。
右隣から大時計塔の秒針の音が聞こえる。
戦っているうちに大時計塔まで来たようだ。
眼下にブチ壊したくなるような整然とした街並み。
不安定な足場の上で口の端を持ち上げて笑う。
月光が夜空を薄めている。
■青霧在 > 階下から響く靴の音。
一定のリズムを保って登り来る重たい足音。
それはやがて文字盤のある階層に至り、一際大きな音を立てて止まる。
「いい景色だろう」
街並みを眺めるカタストロアの背に低い声がかかる。
この階層には二人だけ。
甲種不明犯カタストロアと、深紅のコートに身を包んだ青霧在。
「俺たち風紀委員会が守ってきた街並みだ」
他の風紀委員は下階と時計塔の下に控えている。
「まあ、貴様には少し贅沢かもしれないが」
コートの内から合計十六の端末が飛び出し、青霧の周辺に控える。
「最後に見る景色だ。多少は構わんだろう」
右手をコートの内に入れ、片手剣を取りだす。
「今のうちに辞世の句を聞いておいてやろう」
十六の端末が移動し、
2人を大きく取り囲む半球状の領域を形成し始めた。
■カタストロア >
人の気配。
オレがここに来ることを予測していた?
いや演算か何かの…どうでもいい。
この期に及んでオレと花畑の話でもしに来るヤツはいない。
硬質な音。
靴音が響けば、そこにいるのは。
武装をした……例の風紀委員…
「疑問があるんだ」
手首をひねり、わからないと言いたげなジェウチャーをする。
「このフィールドにオレを閉じ込めるならわかるが」
「お前も中にいるのはどういうことだ?」
「猛獣と同じ檻に入る趣味でもあるのかな……風紀委員」
コツ、コツと大時計塔の壁を指先で叩いた。
「まぁ……血の味くらいは覚えておいてやるさ」
足元は不安定。
風に踏み外せば地面に一直線。
悪くないシチュエーションだ。
■青霧在 > 「結構だ。覚えて貰わなくてもいい」
端末が二人を取り囲み、領域を構築する。
端末一つ一つは大した大きさではない。
全てをコートの内に納められる程度、こぶし大がいいところの半球。
端末の間はスカスカだ。
見えない壁も、魔術の罠もない。
「穴だらけの檻に入れた程度で大人しくなるならば、貴様はとっくに牢の中だ」
「そうだろう、カタストロア」
強い風が吹いても、コートはそれほど靡かない。
空いた左手を頭部のヘッドギアに添えて続ける。
「これは檻じゃない。俺の領域だ」
「《鏡界権限》、接続」
ヘッドギアに青い光が灯る。
同時に十六の端末が開いた。
「先手は貴様に譲ってやる」
「鉄パイプの礼だ」
片手剣を構える訳でもない。
ただ何もせず、カタストロアを見て言い放った。
■カタストロア >
相手の言葉に鼻息をフス、と鳴らす。
相変わらずつれないヤツだ。
短い付き合いになりそうだな。
「解説を頼むよ」
直後、弾かれるように前に出た。
足場が崩れ、轟音が響く。
「あの世でなぁ!!」
拳を振るう。
真っ直ぐに振るえば音の壁ごと殴り壊す威力の砲撃となる。
何を考えていようがッ!!
即死した後に何ができるか!!
■青霧在 > あの時のように死が迫る。
ただ、あの時と違うのは此方が万全であるということ。
領域に死角は無い。
カタストロアとの戦闘データは今や潤沢。
片手剣を斜めに突き出し、側面で拳を受け流す。
身体能力のみでは不可能な芸当を、異能の力を活かし実現する。
迫りくる死を斜め下に逸らしながら身体を捻り、すれ違う形を取った状況から地面を蹴り空中に飛び出す。
それでもギリギリの動きになってしまう。
戦闘データがどれほどあろうが、異能と決戦兵装の力をフル活用しようが。
それを上回らんばかりの圧倒的膂力。
空中に飛び出したのも、保険を取った行動に過ぎない。
「同じ手が何度も通じると思うなよッ!」
飛び出した先にあるのは端末の一つ。
浮遊する端末を踏みつけ、コートの片側を開く。
そして飛び出す十の刃片。
炉神程ではないにしろ、名匠の鍛えた刀剣だ。
鱗程度容易に切り裂く切れ味を持つ刃片が
カタストロアの目や関節の裏を向けて飛翔する。
「解説なら幾らでもしてやる」
「貴様を倒した後でな!!」
刃片に一息遅れて足場に飛び移る。
カタストロアの背面、死角になる場所。
肩口を向けて片手剣を突き出す!
■カタストロア >
「!!」
拳を逸らした!?
力の流れを変えて直撃を避けたのかッ!
人が握れる程度の理などくだらん!!
そしてヤツは空中に踊るように飛び出し。
足場を踏んで───浮かび上がるは、刃片ッ!
「うおおおぉ!!」
両目を貫かれ、脳髄を抉られる嫌な感触が奔る。
楯鱗に覆われてなお、可動域のために防護が薄い肘や膝の裏が。
常人であれば致命の鋭撃となって急所を貫く!!
ヤツはッ!
鋤鼻器が示す位置ッ背後、間に合わな
背後から左肩のコアを貫かれ、緑の濃血が迸る!
「ぐっ…!」
即座に血が真紅に染まる。龍血で身体能力を上げる!!
振り向かず尻尾でヤツのいる場所をX字に二回薙ぎ払う!!
■青霧在 > ―――《ドラッグアンドドロップ》は、視界内の物体を操作する。
つまり、見えざる手も死角までは及ばない。
左肩に入った片手剣は即座に放棄し、後方へと高速移動する。
手を放したとしても、異能で押し込めるからだ。
鉄パイプと違い、よく切れる良い剣だ。出力を割く必要もない。
―――青霧はこれを、《ゲーミングヘッドセット》で拡張した。
自身の周囲に自分にしか見えない鏡を生み出し、背後や側面といった死角をつぶしたのだ。
龍人が尻尾を薙ぎ払う。
吹き飛ぶのではないかと思う程の風圧を感じる距離での回避。
死に臆せず、片手剣を引き抜けないよう差し込みながら、更に刃片を操る。
有効打は狙わない。
意識を逸らすべく、手数を優先して頭部に纏わりつかせる。
端末が領域の形を変える。
足場より上の半球状から、足場の下まで覆った球状へと形を変えていく。
その間、青霧は行動を止める。
否、動けない。
合計二十七もの物体を移ろう視界の中で操作しているのだ。
思考リソースの限界を迎えている。
■カタストロア >
尾はヤツを捉えていない!!
幾重にも幾重にも!!
手数と鋭さで圧倒してくる!!
圧倒的なパワーも当たらなければ意味がない。
超再生力もそれを上回る威力で斬り刻まれればいつか追いつかなくなる。
なかなか考えたもんじゃねぇか、ボウヤッ!
「じゃあ次はこうするぜ!!」
新たな異能、禍炎鱗獣。
体の各所から炎を吹き出す。
超パワーと業炎で灰になるか?
それとも熱風に煽られて落ちていくかぁ!?
全身を斬り刻まれながら薙ぎ払うように炎を放出する。
当たりゃお楽しみだぜ!!
■青霧在 > 「ぐ……ッ!!」
視界全てを覆い切らないように左手を持ち上げ、コートで炎を受け止める。
視界の一部でも塞いでしまえばその分遠回りをすることになる。
しかし、目を焼かれてしまうよりは圧倒的にマシ。
ただ、マシというだけだ。
凄まじい高熱と防ぎきれなかった炎が身を焼く。
コート下のプロテクターが軽減しているが、
強い渇きとひび割れた痛みが肌にもたらされていく。
奥歯を砕ける程に噛みしめて耐えながら、攻撃と領域の再構築を進める。
しかし、この姿勢のままでは無防備極まりない。
であるならば!
「エクストラクトッ!」
キーワードを唱える。
それは片手剣、否、魔剣《刻》のキーワード。
カタストロアの左肩に保持された片手剣がすさまじい爆発を引き起こす。
時間稼ぎにはなるだろう。
炎の直撃を避けるように動きつつ、魔剣を手元に引き戻す。
凄まじい熱を帯びていることは分かっている。
一度足元に突き刺して、更にコートの内から一本の刀を取り出す。
それは二尺四寸五分の刀。抜き身が更に足元に突き刺されば、重厚な金属音と共に足場が微かに揺れた。
■カタストロア >
届いたッ!!
灼かれりゃ痛い、苦しいでロクなこたぁねえ!!
それでも戦闘続行とは健気だが…
一気にトドメを刺してやる!!
右手に火球の如き熱塊を作り出し、
左肩が爆発し、そこを中心に空洞ができた。
何が……何故…?
そうか、ヤツが刺したブレード!!
事前に仕込んでやがったか!?
その場で蹌踉めく体を尾で強引に支えた。
「そう……こなくちゃなぁ…」
流れる血が酸素に触れて燃え上がる。
しかしこう大量に流れちゃあ流石に苦しいな。ハハ。
■カタストロア >
「オレは白亜の来訪者、単独であるが故に遺伝子は残せない」
爆発した後の臭気に肉が焦げる臭い。
ヤコブソン器官は鈍りっぱなしだ。
眼が再生してなかったら何もわからなくなるところだぜ…
「だから壊すことで破滅的な模倣子を現代に残す」
「物を、人を、文化をッ! 文明を!!」
「破壊することで死してなお語られる物語となる!!」
残った右手。拳を握る。
まだ力はある。
壊し足りない。
殺し足りない!!
「そうだ、残すべきものは足跡よりも確かなもの……全員オレを飾り付ける赤の塗料にしてやる!!」
「オレのために苦しめ」
「オレのために狂い泣け!」
「オレのために死ね!!」
■カタストロア >
「それがオレの決して消えないロアとなる!!」
固く握った拳。
最後のお楽しみを始めようとした時。
何かが体の中で蠢いた。
穴が空いた左肩周りの空洞、それを夥しい肉が埋めていく。
「これは……新しい力か…!?」
左肩から腕が大小、三本生えた。
異形、だが確かなパワーを感じる。
「ハッ……サービスが過ぎるぜ、常世神よぉ!!」
不安定な足場を砕きながら異形の歩みッ!!
燃え上がる右拳を撃てば、残った左肩の手の数々が風紀のボウヤを掴みかかる!!
これなら無敵だ、これなら最強だ……これなら、誰にも負けねぇ!!
■青霧在 > 「好き勝手言って好き勝手やりやがって……!!」
領域の再構築を終え、まだ熱の残る魔剣《刻》を握る。
新しい力などと宣うカタストロアの左腕は異形の様。
アンバランスな四本腕で暴力を振るい来る。
マズイ状況だ。
肩を破壊すれば再生を止められると予想していたが、見当違いだった可能性がる。
しかし、あの異常な再生を考えれば再生とは別物の可能性も十分考えられる。
ただ、そんなことは……
「どうでもいい」
俺はカタストロアを倒すと決めているから。
刃片は足場に突き刺し、視界に保持。
端末の移動も完了して、思考リソースは空いている。
「貴様のロアなんて残してたまるか」
「貴様の足跡はここで途絶え、それまでの歩みも忘れ去られる!」
カタストロアの接近に対して、最速で応じる。
後方に引っ張られるような形で高速移動し、その途中で魔剣を床に突き刺す。
「エクストラクトッ!」
魔剣から十分距離をとったタイミングでキーワードを再度唱える。
コートを再度前に掲げて爆風を防ぎながら、爆風に紛れて足場の下にくぐり込む。
―――魔術で死角をつぶしても、障害物による死角は無くせない。
であれば、魔術の効果を広域に拡張出来る外付け端末があればよい。
足場と爆風で視界を断絶した状態。
しかし、此方からは彼方の様子が見えている。
その視線の向きも、拳の向かう先も全て見えている。
―――風紀委員会特別攻撃課 青霧在の決戦兵装
《鏡界顕現》
十六の端末により、領域内の死角を一切無くす。
再度カタストロアの死角を狙い、足場の下から飛び出す。
低い姿勢で左足の付け根辺りを狙って魔剣を突き出した。