2026/03/09 のログ
■カタストロア >
“敵”に向けて吠える。
「てめぇの墓にも刻んでやるってんだよ!!」
直後。爆風、またか!!
自分を巻き込みかねない近距離で何度も!!
命が惜しくはねぇのか!?
「どこだ!!」
熱源を見る眼も嗅覚で立体視するヤコブソン器官も役に立たねぇ!!
爆煙の向こうから突き出される刃、左足のコアが貫かれる!!
「ぐっ!!」
どうやら肉は補われていてもコアは再生してねえ!!
コアが全部潰れたらやべぇ!!
左肩から伸びる異形の腕から鋭く爪が延び、それを大時計塔の壁に突き立てる。
爬虫類が壁を這うのは、当然だろうが!!
器用に動き回りながら風紀委員に迫る!!
「死にやがれッ!!」
立体的に動きながら腕へ向けて右の剛爪を振り下ろすッ!!
■青霧在 > 貫いた魔剣を放棄―――しようと考えて、思い留まる。
反応を見るに、既に有効打の可能性がある。
それに、爆発させても先ほどの左腕のようになる可能性がある。
「そんなにマズかったか!!」
煽りながら足場の下に向けて高速移動し、その勢いのままに魔剣も引き抜く。
短時間の接近だというのに、すさまじい熱量だ。
酷く喉が渇く。見えない範囲で火傷が広がっているのだろう。
酷い火傷の中にあっても、決戦兵装のおかげで脳の活動は鈍らない。
しかしそれは、死と限界が迫っていることに気付けないという意味でもある。
地面に突き刺したままであった刀を動かし、外の壁面、高い場所に突き刺す。
突き刺した箇所から破片がパラパラと落ちた。
「虫みたいな動きだな爬虫類!」
カタストロアが這って迫りくる。
そして今しがた出現した凶爪を振りかざす。
当然全て見えている。
更にこちらは空中を移動可能だ。
呼び動作に合わせて動けば、当たる訳がない。
……しかし、当たった。
コートと、その下のプロテクターが引き裂かれている。
鼻血が垂れる様にも気づいていない。
限界はそう遠くない。
「好都合だッ!!!」
しかし、感覚が鈍っていると言うのなら。
こんな芸当も可能だろう。
魔剣を左手に持ち替え、飛行状態でカタストロアに急接近。
魔剣を全力で突き出し、その切っ先がカタストロアの右肩に届いた瞬間に唱える。
「エクストラクトォ!!」
爆発。
それも至近距離の。
寸前に右腕とコートで防御するが、そんな程度で到底防ぎきれる程のものではない。
ほぼゼロ距離で爆発を受けた左腕は……使い物にならないだろう。
爆風の勢いに飲まれ、魔剣を放して領域の外ギリギリまで吹き飛ぶ。
端末の一つに衝突して静止し、端末に掴まりながら魔剣を探し、引き寄せる。
その最中、カタストロアを睨み続ける。
ギラギラと、血走った眼で。
■カタストロア >
こいつはコアの位置を正確に掴んでいる。
今までの風紀との戦いの映像をよっぽど熱心に見たのか?
それとも……
だが!!
戦いの純度を高めるのはッ!!
予習じゃねぇ!!
「どうした、残りのコアも狙ってこいよボウヤ」
「チャンスがゴールだと勘違いしちゃいねぇよな?」
再生力よりも熱量を。
ただ力を求め、破壊する───
「落ちて潰れたザクロになってもその口が動けばいいなぁ、風紀委員ッ!!」
右肩を狙ってくる……だがその瞬間。
オレは右手が自由に動かせて、お前は至近距離にいるんだぜ!!
直後、爆音。
聴覚が鈍る。クソッ感覚器官が鋭いのも考えものだな!!
いや…この距離で爆破を!?
「が、あ、あ」
想像以上にコアを失ったダメージが大きい!!
全部潰れりゃ死ぬとか以前だ……
オレの足がオレ自身の自重を支えられなくなる…!!
「はぁ………はぁ…」
足場が不安定なまま戦うとアイツの機動力でまたやられるかも知れない。
壁を這い上がり、大時計の上に立つ。
随分と高いな。
こいつを潰すにしても。
オレ自身が生き残る手で完璧に勝つ。
■青霧在 > 残りは幾つだ。
恐らく二つ。
予測通りなら、四肢の付け根に一つずつ。
そして残りは心臓部か頭部。
もしくは両方……もしくはもっと多数。
いや、あの反応を見るに残りはそう多くないだろう。
それにあと二つで無ければ、限界を迎える。
ただの勘だが、恐らく間違いない。
そうなれば、俺が死んで終わりだ。
つまり、コアの数について考える必要はない。
コアは、あと二つ!
全身が千切れそうな痛みをこらえながら、領域を移動させる。
刃片をコートの内に回収し、
領域と自分の相対位置を固定したまま大時計の高度まで上がる。
「どうした…?」
「苦しそうだなぁカタストロア」
思いのほか声が出ない。
右手で握った魔剣も気を抜けば落してしまう気がする。
しかし、それは奴も同じ。
領域を大時計を囲むように再構築しながら、言葉を投げかける。
■カタストロア >
「お前もな……」
「今にもくたばりそうな声を出しやがって」
だが、ヤツは。
眼が死んでいない。
双眸がギラつき、どこまでも追ってくる。
ここでこの呪わしい運命の切れ端を払わなければ。
──狩られるのは、オレだ。
「ウ……」
ヒトのくせに、凄まじい闘志だ。
だからこそ、吠えろ。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオォォォ!!」
オレは破滅の咆哮だ。
静寂。
強い風が吹いた。
瞬間。
前に出た。直進、からの尻尾を昼間に使っていたであろう整備用のゴンドラのひとつに引っ掛け。
軌道を変える──!!
大口を開いて、噛みつきにかかる。
オレの武器だ、オレの象徴だ!!
さっきの爆発で台無しにしたヤツの左手側だ、迎撃できるならしてみやがれッ!!
■青霧在 > 「ウラアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
カタストロアの咆哮に、気付かぬうちに呼応した。
声量では全く敵わない。
しかし、勢いで負ける気はしない。
掠れた喉の内側から血が溢れ、毛細血管が千切れる音を聞く。
カタストロアの突進、噛みつき。
こんなもの、避けてやればいい。
まともに取り合わず、その勢いを適当に受け流し、地面に叩き付けてやればいい。
ただ、それではカタストロアは止まらない。
最終的には止まるだろう。
下には何人もの風紀が待機している。
これだけダメージを与えこの高さから落ちれば、
流石のカタストロアも終わりだろう。
だが、それではいけない。
カタストロアを止めるのは風紀委員ではない。
決意した、覚悟した。
そうだ、止めるのは―――
■青霧在 > カタストロアを止めるのは俺だ!!!
■青霧在 > 噛みつきに対して、コートを巻き取るようにした左手を差し出す。
防御性能も兼ねたコートはすでにぼろぼろ。
しかし、刹那の時間稼ぎになれば十分ッ!
「カタストロアァァァァァ!!」
残したコアが足で良かった。
自分の頭に爆風が直撃すれば、流石に死ぬ。
右手で握った魔剣を、カタストロアの右足付け根に突き刺し―――
「エクストラクトォォォ!!」
二人を巻き込み、盛大に爆ぜた。
■カタストロア >
───コイツは狂っている。
オレの牙を前に、手を噛ませてコアを至近距離で爆破?
コンバットドラッグをどれだけキメてもこうはならない。
随意筋の制動がつかない。
これだけの数のコアが潰れたのは初めてだ、か、体が……ッ
直後、体のあちこちから腕が、足が、尾が、頭が生える。
コイツを殺す。コイツを、殺す。
整合性すら取れなくなり、膨れ上がった体で求める。
眼の前の存在を。その命を。
「───ッ!!」
声帯が変質しすぎて声が出せない。
だが、化け物になっても勝てるなら。コイツを殺せるなら!!
肉の化け物となって相手に突進した。
■青霧在 > もろに爆風を受けた体は大時計の縁に転がっていた。
頭部だけがギリギリ外に出て、あと少しで落ちてしまうような場所。
一瞬意識がとんでいたようだ。
意識が戻って目に入ったのは二つ。
左目で捉えた肉の異形。
右目で捉えた、端末越しの壁面の刀。
魔剣は見えない。あるかもしれないが、探せない。
コートの内の武器も、見えなければ取り出せない。
見える武器は、あの刀のみ。
二尺四寸五分。
『砲弾としては、結構いい線行くんじゃないかなぁ……と……?』
脳裏で再生される、誰かの言葉。
その瞬間、異能の全出力を刀を引き寄せることに使う。
身体の何れも動かない。
左目で捉える肉の異形は突進の気配を見せる。
突進は回避不能。
迎撃にしろ止めるにしろ、可能なのはあの刀のみ!!
刀が壁面を削りながら、上がって来る。
轟音を立てて大時計を削り取った刀が二人の高度に達すれば、
それを肉の異形に向けて放つ。
くたばれ、カタストロア!!!
そう叫んだつもりが、声は出なかった。
死にかけとは到底思えない目のギラつきと、
砲弾と称された刀だけがカタストロアへと向く。
砲弾はすさまじい速度で飛翔する。
そのエネルギーは鉄パイプで鱗を貫いた時と同じか。
否、それ以上の力。
両者衝突寸前、砲弾はカタストロアに側面から突き刺さり、
心臓部を通り反対側に貫通する!
■カタストロア >
全パワーが込められた刃は。
何の不合理もなく中心部を貫通。
最後のコアが破壊された。
オレが負けた?
このオレが……死ぬ、のか………
「ぐぶ、え…」
バランスが取れず、大時計塔を踏み外して落ちていく。
これが終焉か。
クソッ……まだ、喰い足りねぇ…
轟音。
地面に落下し、緑の血をぶち撒けた。
意識がある。
オレは、コアを全部失ったのに死んでいない……?
■カタストロア >
オレの体がおかしい。
醜く膨れ上がった肉、バラバラに生えた鱗。
手足や頭が乱雑に生え、尻尾のようなものが視界に3…4本?
わからない、何故オレはこうなっている。
まさか……オレの体が異形化していくのは新たな能力ではなく。
常世神から禍炎鱗獣を得た時の契約の代償……?
な、なんだ……オレは何を奪われた…オレはどうなる、オレは…オレはどこへ…
「た、たすけ…」
オレの弱々しい声は誰に届くこともなかった。
■青霧在 > 大時計の上に、静寂が訪れる。
放った砲弾はカタストロアを貫き、貫かれたカタストロアは視界から姿を消した。
恐らく、落ちたのだろう。
それか、俺が死んだか。
一瞬そんな思考が脳裏を過るが、生きてはいるらしい。
魔術を併用して自分の身体を動かし、縁から中央付近へと身体を戻す。
これで突然落ちるなんてことは無いだろう。
「ハハは……」
掠れた笑い声が漏れる。
「ははは、はははははは!!!」
漏れ出した笑い声は止まらない。
「止めた!俺が止めた!!」
「責任を果たしたぞ!成し遂げた!俺にだって出来るんだ!」
口、鼻、目から血を流しながら、叫ぶ。
「俺の!俺のかっゲァッ!?」
喀血。
叫び過ぎたのか。
否、限界だ。
全身ぼろぼろ。
プロテクタ―が意味をなさない程にダメージを負い続けた身体と、
限界を超えて異能を使用した脳。
どちらも、限界だった。
意識が遠のく。
死ぬのか?
でもいいか。
それでも―――
最後に成し遂げられたのなら―――
遠のく聴覚、バラバラバラってなんの音だ―――
ぷつんと、意識を失った。
■??? >
カタストロアだった肉塊が運び出される頃。
病院で佐々木伊織は目を覚ました。
彼は彼の物語が続いていくだろう。
そして災厄の物語が行き着く先とは。
ご案内:「In Hell We Liveカタストロア Lament」から
ご案内:「In Hell We Live青霧在 Lament」から