2024/09/20 のログ
■Dr.イーリス > 「ストーカーさんに何人もの女性が殺害されていているようですが、そのストーカーさんが厄介すぎますね。体を霊体化できるようで。そこは、メカニカル・サイキッカーに霊体を殴れる機能をつけて対処しておきましょう」
危険な超常犯罪者だが、イーリスが普段処理しているレベル程度のモブ。
魔法少女マリアさんや廃品神隠クラスの厄介さには全然及ばない。
この件に関しては、普段通り捕まえて終わりであろう案件。でも被害者の皆様方については、お悔やみ申し上げたいです。
「魔法少女マリアさんの案件で私、しくじってしまい死にかけてました。私、その時に本当に死の手前まで行っていたんです。私を必死で助けようと頑張ってくれた、その……恋人もいまして、私も必死に生きようと頑張りました。でも、もう数秒先の死を悟ってしまいました……。私は神様に祈るしかないとすら思ってしまってました……。その時の臨死体験で、生と死の狭間にですね、蒼先生がいたのです。蒼先生が私を生の方向に戻してくださいましたから、私は死の寸前でギリギリ生きる事ができました。愛しの人が、私を救うためのお薬を持ち帰るまでなんとか耐える事ができたんです」
イーリスは目を細めながら微笑んでみせる。
「臨死体験の事ではあるのですが、私、蒼先生に命を救われました。ほんとにありがとうございました……と言っても、蒼先生には意味が分からないですね、ごめんなさい」
それは臨死体験の出来事。
でもイーリスはどこか、蒼先生が本当に生と死の狭間でイーリスを生に戻してくれたんだと、そう思えていた。
破壊神様なんだ。それぐらい出来てもおかしくないのではないだろうか、という感覚。
■エメラルド田村 > 「あの時食べたいちごの味は忘れないっすよ! 俺等、仕事にもつけず……非行に走って……物盗んで暮らす毎日過ごしてたっすからね……。こうして定職につけたからには、お給料分はばりばり働きたい所存っす!」
破壊神に感謝する田村。
田村だけではない。他の組員もまた、真面目に働いていた。
だがそこはゴミ処理係なのだろう、程々にやってる感もまたあるようで。
■Dr.イーリス > こくんと頷く。
「場所は、このあたりですね」
モニターに落第街の地図を開き、工場の場所を指差す。
別の窓で、イーリスは件の工場にハッキングしてさらに詳しい情報を探った。
「これは……物に関しては危険な化合物……悪質ですね。海の化合物をお魚さんにとりこまれ、それを人が食べたら重篤な病気を引き起こす可能性があります。放置するわけにもいきません……。人の命に関わりますので、今すぐゴミ掃除が理想ではありますね」
蒼先生に報告を済ませていく。
元来はちゃんと準備した上で逮捕していくのがいいかもしれないけど、破壊神様なら今すぐ対処可能。
悪質さを考慮して、今すぐゴミ掃除が適切。
■奥空 蒼 > 「ああうんお願いしておくよ。……そのメカニカル・サイキッカーってのは。何でもありなのかい?」
人の機械の事言えた存在じゃないけれど。
霊体を殴れる機能をつけて対処しましょうって。
どうなってるんだい技術力。
「あら、あららら……」
「マリアの件、大変だったね…」
「あっはは。そっか、私が、そっかぁ…」
「ああいや……。ちょっと生死の境界におまじないをしたら、通じたのかもしれないね。」
イーリスの臨死体験の報告には何だか嬉しそうに聞き入っている。
多くは語らないけれど。
ちょっとおまじないかけたのは本当。
それは…全然意味がないようなものだけれど。
――私に対して助けてほしいって祈ったんなら、その限りではない。
「いやあ……良かった、本当に。生きられる方へ、繋げたのなら。」
にやける。
流石に。
カッコつけたいけどこんな風に慕われたんじゃ、
にやけがおさえきれないね!
というわけでキメ顔とニヤけが入り混じった表情で嬉しそうに頷いた。
「今後も、頑張ってよ、エメラルド。……でかいゴミ処理したら、お給料も沢山出るからね。」
そこがゴミ処理係の良いところ。
代わりに危険度も面倒度もとんでもないし、無理しなくていいのだ!
緩くやれるところは、スラム街とは比にならないだろう。
あっちじゃ生きるため仕方なかったって事が山ほどだ。
「ああ、うん…そっかぁ。」
イーリスの新たなる海洋ゴミの報告を聞きながら
「あーそりゃダメだね。黒も黒、真っ黒。」
「落第街の外へこれを流出してる時点でアウト。」
「多くの学生街の住人に害を齎す物質は外に出してはならないからなあ。」
「そのセーフティーネットの一つがウチだしなー。」
「めんどくさいけど、やってる感じゃ済まされないし?」
呟きながらも、真っ黒の判定のそれを知らされるなり
ん-っと伸びを、一つ。
示された地図の場所のあたりを目掛けて、
蒼いのはその辺にソコへ繋がる破れ目を作った。
「地震や隕石でやると危険物がばら撒かれるし、こんなのはどうかなっ」
「――重力黙示録」
蒼黒い、小さな点が置かれる。
それは――本物のブラックホールではない。
神話にて語られる御伽噺のような、
破壊神によって制御される、神為的な災害だった。
「知っている?」
モニターがリアルタイムカメラで反映されていたなら、
工場がまるで一点に集約して"自分から閉じていく"ように見えるだろう。
それは施設そのものも、有害物質も、構成員も、ぜーんぶ、分け隔てなく。
まるで誰かがそこだけを握りつぶして一点に閉じさせるように。
「ブラックホールってのは、無限大の重力を持ち、
飲み込む対象が何でも、その情報を破壊してしまう。
出てきた時にはみんな同じ。塵も屑も残らない、ゼロだ。
無限と、ゼロ。
――破壊神に相応しいでしょ。」
ちょっと胡散臭い口調で、自身の力の行使を二人に語る。
何でそんなことをするのかって?
言葉は軈て神格を形作るモノになるからね。
"私ってこういう存在なんだよ"って、
知ってもらう事、演出する事、語ってもらう事、
それら全てに意味がある。
特に、これから仲良くしてくれる子らには、知ってもらわないと。
…言葉ってのは便利だね!
「さてと。」
「――優しいイーリスのことだ、」
「あんなもん使って"誰か死んでるんじゃないか"と心配になってるんじゃないかな?」
いつもの意地悪そうで、優しそうな笑顔で笑いかけて。
「何故かあの中にあっても」
「人と言える存在は誰一人として死にも傷つきもしていない。」
「なんでだと思う?」
「ふふ。」
その答えは。
■奥空 蒼 >
「――人智の及ばない不可思議さも、神格には必須だからね!」
タネを明かさない事が、最大の答え、なんだよ。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁 ゴミ処理係の仕事場」から奥空 蒼さんが去りました。
■Dr.イーリス > 「任せてください。ふふ、私の造ったメカニカル・サイキッカーは天才的な発明で優秀なのです!」
どやっ、と胸を張った。
「私は霊体についての研究もしておりますので、それを対処する技術も心得ているのです。私は科学の力で、異能や魔術も研究していますからね」
イーリスの技術は科学のみを用いたものではなかった。
というより、異能技術や魔術技術をも科学的に扱う独自技術。
霊体の研究も熱心であり、対処法も心得ていた。
「大変でしたけど、なんとか復活する事ができました。……生死の境界におなじないを……?」
目をぱちぱちさせて、
そして表情を明るくして、蒼先生の両手を自身の両手で包み込むように掴んだ。
「やはり、そうだったのですね! 蒼先生が私を助けてくださったのですね! あなたのお陰で、私、こうして生きています! ありがとうございます!」
蒼先生の口から多くを語らなくても、そのおまじないがイーリスを助けてくれたのだと思えた。
イーリスは満面の笑みを浮かべながらも、右目から一滴の涙が頬に流れていく。
イーリスが神様に願った時、思い浮かべたのは蒼先生だった。
生きたいという願いを破壊神様が叶えてくれた、そう思えた。
願いが叶ったお陰で、愛しの彼を生きて待ち続ける事ができた。
■エメラルド田村 > 「誠心誠意がんばるっす! このエメラルド田村に任せてください!」
《フェイルド・スチューデント組》の生活は変わった。
スラムで暮らしていた頃とは比べ物にならない程豊かになった生活。
一般的な学生の生活水準だが、それでもエメラルド田村達にとってはかつてと比べて天地の差だった。
受け入れてくれた蒼先生への恩義、忘れずに頑張っていく。
■Dr.イーリス > 「ふふ。その通りです。有害物質を含んだお魚さんを食べて、平和に暮らす学生の皆さんの健康を害したらとても大変です」
微笑みながら、蒼先生にこくこくと頷く。
工場のやってる事はとても真っ黒。
落第街だけの問題ではない時点で対処がいる。
「有害物質を放出してまだ間もないので、今すぐ対処すればそう被害も出ないでしょう。めんどうなのは分かりますが、やっちゃってください、蒼先生!」
にこっ、と微笑む。
イーリスはカタカタとキーボードを叩きつつ、付近の監視カメラをハッキング。ちょっと使わせていただこう。
落第街の監視カメラなので、風紀委員がハッキングしても調査の内ということで。
逆に落第街じゃない監視カメラは、風紀委員の権限で使わせてもらう事も出来るだろうけど。
さらに落第街にあるイーリスの拠点からドローンを飛ばして、今到着したのだ。
モニターには、様々な角度から件の工場が映される。
「ブラックホールは、まさしく破壊の化身でございますからね」
モニター越しに、工場がブラックホールに飲み込まれていく様子を眺めている。
「普通は、誰か亡くなるとは思いますけど、蒼先生は少なくとも私の前では無用にそういった事はしないと信じています。あまり心配にはなっていませんよ」
イーリスもまた柔らかい笑みを蒼先生に返した。
蒼先生の配慮で、誰も死なない。イーリスはそう思っているから、誰かが死ぬなんて心配は全然してない。
「どうして、工場が破壊の化身の飲み込まれて人が生きている理由は分からないですけどね! でも、蒼先生の言う通り生きてはいるのでしょう! あ、さすがに最低限、報告書には書ける程度のネタばらしはお願いしますね。今から私が報告書にまとめますので」
人智の及ばない神秘にイーリスは尊敬も信仰もして、物凄く興味も湧くし解き明かしたいと思うけど、人智に及ばない事こそが神格なる神秘。
それはそれとして報告書にまとめられるぐらいの情報は求めて、神秘をちょっとだけ崩していた。
ご案内:「委員会街 風紀委員会本庁 ゴミ処理係の仕事場」からDr.イーリスさんが去りました。