2024/07/03 のログ
ご案内:「」に緋月さんが現れました。
ご案内:「」から緋月さんが去りました。
ご案内:「医療施設群 一般病棟 とある個室」に緋月さんが現れました。
ご案内:「医療施設群 一般病棟 とある個室」にポーラ・スーさんが現れました。
緋月 > 今日も今日とてベッドの上で休んでいる少女。
が、先日までに比べて体調は良くなっているらしい。
食欲も出て来たのか、徐々に固形物多めの食事に移行しており、しっかりと完食している。

「はー…本当に、調子が良くなってますね。」

ぐ、ぐ、と手を握ったり、開いたり。
身体中に残っていた倦怠感と鈍い痛みも、まだなくなった訳でこそないものの、
身体の中の管を洗ったように具合が軽くなっている。

「もうちょっと良くなったら、調息法で体調の強化も出来そうですし、いい具合です。」

これも先日突然訪れて来た、蒼い少女の力のお陰だろうか。
先日、割と深く斬った筈の己の掌を見つめる。
当然、其処に既に傷はなく、痛みすら残ってはいない。

ポーラ・スー >  
 ――するするするり。

 雪駄を履いた足音は、病院の廊下でも音は響かず。
 静かなまま、目的の病室へとたどり着き。

「――はろ~♪
 わたしの愛しい『お月様』」

 ころころ、ころん。
 扉が滑らかに開くと同時に現れたのは、とっても楽しそうな笑みを浮かべた女だった。

「あらあら~。
 随分と元気そうになったわね?
 機材もずいぶん減って、これならもうすぐ退院かしら」

 と、病室の中をきょろきょろしながら、少女のすぐ近くまでやっていき。
 サイドテーブルにお見舞いの品を入れたバスケットを置くと、当たり前のように腰を下ろした。
 ――少女のベッドの上に。
 

緋月 > 「すわっ!?」

突然扉が開くと同時に顔を見せた、既に顔なじみの女性。
だが、顔見知りとはいっても何しろ突然なので驚くものは驚く。

「ぽ、ポーラ先生でしたか――いきなりなので吃驚しました…。」

は~、と安堵のため息。
先日の一件もあって、何だか誰かが現れるたびに驚いてばかりの気がする少女である。

「はい、お陰様で大分機械やら点滴やらは外れました。
まだ経絡系が完全ではないのでこちらの薬は続いていますが、それも近い内に外れるかも、とお医者様が。」

唯一残っている、右腕に繋がった管とその先の薬が詰まったビニール容器を軽く指差す。
お見舞いには小さく礼を言いつつ、

「そうですね、退院も、そろそろ視野に入って来ているとは言われました。
退院したら、色々と挨拶回りに行かなくては――

――あの、ところで何故ベッドの上に?」

やたら距離感の近かった先日の見舞い人の事を思い出して、ちょっと額に汗。

ポーラ・スー >  
「まあまあ、流石は常世島のお医者様ね。
 ふふ、今度は退院のお祝いをしないと。
 どうやってお祝いしようかしらね?」

 残った点滴、薬液の滴る管を眺めて。
 随分と調子が戻ってきた様子の少女に、微笑みかける。

「あいさつ回り、それじゃあパーティーにしちゃおうかしら。
 ああでも、病み上がりにあんまり騒がしくしたら、可哀そうよね。
 ちゃんと体力が戻るには、リハビリも必要かもだし。
 ――あらあら、なにかいけなかったかしら?」

 と、不思議そうに言いながら、す、と少女の眼前へと身を乗り出し。

「――『あーちゃん』」

 そう、自分を呼ぶように求めながら、少女の左手に手を重ねる。
 

緋月 > 「むぐぅ…!」

仮にも教師をそう呼んでいいのかという葛藤。
重ねられた手と、女性の顔を何度か眺め、頭を何度か上下に振って悩んでいる。
水飲み鳥みたいである。


「………あ、あーちゃん先生。」

なんとかこれで妥協しては貰えないだろうかという切なる願い。

「ええまあ、パーティーという程でもないかなとは思うのですが。
私があの一件に首を突っ込んだ事は、多分あまり表沙汰にするのは良くないでしょうから。」

それに、恐らくあの一件からは随分と時間が経っている。
今更蒸し返すのも何だな、とは感じている事だ。

「あー、でも緋彩さんと悠薇さんのお姉さん…凛霞さん、でしたか。
そちらには挨拶に行かないといけない気はします。」

直接的にではないものの、あの二人には色々お世話になってしまった。
最低限、あの二人にはしっかり挨拶をしておかなくてはいけないだろう。

「リハビリか~……結果的に随分稽古を怠ってしまいましたし、退院したら軽くでもいいので刀を振らないと。
多分、今なら一人でも訓練施設を使えるでしょうし。」

主に今来てらっしゃる先生のお陰。
生徒登録が済んだので、同居人に手間をかけずに施設を使う位は出来るようになるはずだ。

ポーラ・スー >  
「――もう、『るなちゃん』ったら照屋さんね。
 もっともっと、花を愛でるように愛おしそうに呼んで?
 ほら、もう一回」

 重ねた手は、少女の指を絡めとるように、女の指が少女の指の間に入り込んでいく。
 それこそ、恋人同士がするようなふれあいの様に。

「そうねえ、あの子たちも心配しているでしょうし。
 きっと元気な姿を見せてあげたら、安心してくれるわね」

 そう言いながら、少女の左手に絡めた右手と反対。
 左手は、ゆっくりと少女の右頬に触れようと伸び。

「ふふ、それなら、一緒にお稽古する?
 もちろん、安全に、ゆっくりと――二人っきりで」

 囁くような声は、どことなく甘い吐息を含んでおり。
 ほんのりと潤んだ蒼い瞳が、少女の瞳をじっと見つめている。
 

緋月 > 「あ、あーちゃん先生…!」

ちょっと必死になってきた。
というか、何かスキンシップがつよい気がする。
何か手が、手が!

「ええ、はい。
緋彩さんにはご心配をおかけしたと思いますし、凛霞さんとはお約束もありますし…。
そういえば、悠薇さん、元気になさっているでしょうか。」

自分も妹なので、同じく妹である彼女の事が少し気になっていた少女。
何か悪い事に巻き込まれていなければよいのだが。
と、そんな所に、

「ふぁっ!?」

囁くような声と、甘い息遣い。
――なんでだろう、最近、似たような距離感のやり取りをしたような覚えがある。
自分は女性の方に好かれるようなタイプではないとおもうのだが――と言っている間に目を覗かれている。
蒼い瞳に、自分の紅い瞳が映っている。

「――す、すみません、あの、もうちょっと、距離を…!
こうも近い間に何度も迫られるのは――――

あ。」

あ。
やってしまった。
これは失言だ、よくない流れの気がする。

ポーラ・スー >  
「もう、仕方ないわね。
 恥ずかしがらなくたっていいのに。
 でも、いつかは呼んでくれる、そうでしょう?」

 やたらとポジティブ。
 そして、絡めた手は離れず、優しく左手を握りこむ。

「ん~、そうねえ――あなたが会いに行ってあげればきっと、元気になってくれると思うわ」

 そう微笑んで答える。
 あの姉妹の様子は大まかに知っているが、自分の出る幕ではないとも思っているのだ。
 ――さて。

「――あら」

 ずい、と。
 少女の頬を、左手で優しく撫でながら、ますます体を寄せる。
 既に体温をほのかに感じられる距離。
 もう少し縮まってしまえば、女の重さも感じられてしまうだろう。

「まあ、『るなちゃん』ったら、他の子にも手を出しちゃったのね。
 わたしのあんなところ(・・・・・・)を見たのに、他の子にも?
 あらあら、『るなちゃん』ってば、モテモテなのね」

 にっこりと笑いながら、どんどん距離が詰まる。
 既に、少女には女の吐息が感じられる事だろう。
 女の言動はまるで『わたしの方が愛してる』のだと言わんばかりだ。
 

緋月 > 「だ、だしてませんだしてません!!
あちらの方から「ファンです」と押しかけられたんですよぅ…!」

バッテン口状態で必死に首を振って弁明。
とても状況が良くなっているとは思えないが。
あ、何かあったかい感じ。
そうか、先生の息がかかってるからか~。

「本当に手なんて出してないですよ~! 誤解です、誤解~!!
傷の治癒だって事で、ちょっと血は出しましたけど――じゃなかった!」

其処まで口にして、はっと思い出す。
ついでにこの状況を切り抜けられそうな切り口になるかも、と祈りつつ。

「あの、あーちゃん先生は学園で先生をしてるんですよね?
だったら、その、ご存じではないですか?
蒼雪さん…じゃなかった、えーと、蒼春 千癒姫っていう女生徒さんなんですけど――。」

そこまで口にして、あ、と思い出したようにちょっとごめんなさい、とサイドテーブルに手を伸ばし、
何とか使い方を覚えて来たオモイカネ8を使って文章をぽちぽちと打つ。
あまり表沙汰にしない方がいいと判断して、以前の先生のやり方を真似させて貰った。

《見せてもらった学生証に、公安委員会の、総合なんとかの、副部長と書いてありました。
あーちゃん先生だったらご存じではないかとおもって。》

何とか時間がかかりつつも片手で打ち終え、これ、これ、と画面を見せる。

ポーラ・スー >  
「――あら、そうなの?」

 じぃ~っと少女を見つめつつ。
 あんまり必死な様子に、くすくすと笑いながら体をゆっくりと離した。

「うーん、また妙な事をしたのね。
 『るなちゃん』のファン、ねえ」

 少女が口に出した名前を、頭の中で探してみるも、どことな聞き覚え――否、見覚えがあるような気はするが。
 それでもいまいちハッキリとしない、喉に小骨が引っかかったような感覚だった。

「――ふぅん」

 少女が自分の真似をして、一生懸命メッセージを入力する様子を楽しそうに眺めてから。
 頑張って入力した文面を読んで、少女の左手を解放しつつ、両手を合わせて首を傾げた。

「そうねえ、『るなちゃん』にわかりやすく言うと、うちはあまり組織内で連携を取るわけじゃないの。
 もちろん、必要ならそうするけど、どこに誰が所属していて、どんな仕事をしているか、なんて。
 知っている事の方が珍しい事だってあるくらいなのよ」

 そう、表立って動く部署ならともかく、女の様に監査や諜報を主とする部署であれば、所属している人員は公表されない事が多い。
 なにせ、知られてしまえば、仕事の上で不都合が多いからだ。

「うーん、学生証に記載されてたくらいなら、表向きの所属なのかしら。
 名前――学内のほとんどの子は名前と顔くらいは把握してるけど。
 困ったわね、顔が思い浮かばないわ」

 自分の頬に手を当てて、悩まし気に息を吐く。

「あんまり目立つ子じゃないのかしら。
 よっぽど影が薄いような子とか?」

 むしろそう言った学生ほど、女は気にかけて注視しているのだが。
 それが漏れなく100%であるとは思っていない。
 存在感の薄い学生や、公安所属であれば変装や偽装が得意だとすれば、思い浮かばない理由もわからないではなかった。
 

緋月 > 「ええ、あの鉄腕の怪人――あの人と最初に戦ってる所を見たって言われて…。
あの時は色々必死で、誰かに見られてるとか思いもしませんでしたし。」

身体を離して貰えれば、事情を説明しながらほっと一息。
やはりパーソナルスペースは大事である。再度の実感。

「妙な事…なのかなぁ。
えっと、傷を治すのに血が要ると言われて、手を斬って血をあげたんです。異能に使うという事で。」

こう、さくっと、と軽く指を動かす。
一度戦った間柄である。手の内は既にある程度バレているだろうし、自身の異能について改めて簡単に説明。

「思ったより深めに斬ったんですけど、その時に本当に傷が綺麗に消えてしまったんです。
体の具合も、それから良くなってきましたし。」

傷をつけた左の掌を軽く見せる。
その手には傷痕など全く見えない。

組織説明について聞かされると、ちょっとしょぼんとしつつも考え込む仕草。
色々大変なんだなぁ、と思いつつ。

「つまり、部署ごとで独立していて、そっちの繋がりは殆どない、という事ですか。
だったら仕方ないですね…。私もしっかり部署まで読んだわけじゃなかったですし。」

影が薄いかという問い掛けに対しては、ちょっと考え込んで小さく首を振る。
あの出で立ちはむしろ――

「影が薄いどころか、割と目立つ方だと思います。
こう、青い色の長髪に、雪の柄がとても多い和服の方でした。
もちろん、制服とか普段使いの服だとは限りませんけども…。」

と、髪の長さを手振りで表現しつつ説明。
他に手掛かりになるのはその位だろうか、と思った所で、「学生証」という言葉に、はっとした表情。

「――――あ、そうだ、学生証。
学生証が、これではなかったです!」

手にした端末を軽く振る。

「何て言ったらいいのか――もう少し、古いタイプ、って言えば良いのかな…。
兎に角、あーちゃん先生から頂いたこれとは全然違う学生証でした。」

大きく気になったところと言えばその位。

ポーラ・スー >  
「あらあら、『るなちゃん』が戦う姿はとっても素敵だから、仕方ないわ。
 わたしもうっかり見惚れちゃうもの!」

 身体が離れて安心している様子が、可愛らしくて笑みがこぼれてしまう。
 少女には不幸な事に、後でまた距離を詰めて可愛がってしまいたい、と思うのがこの女なのであった。

「――それは、随分と便利な能力ねえ。
 でも対象の血を使うなんて、そんな個性的な代償の治癒能力が申請されてたら、覚えてると思うのよねえ」

 ふたたび、女にしては困った顔。
 ただ、見せてもらった手の平には、特に理由もなく自分の手のひらをぴたりと合わせて満足げにする。

「あらまあ、そんな子だったの?
 それこそ見かけたら忘れるとは思えないのだけど」

 例えば、故意に、他人から忘れられる異能や魔術は存在する。
 ただ、それならそれを少女に使わない理由もわからない。
 好意を抱いているから――それが正体を隠さない理由に直接つながるとは思えないのだ。
 ――あまりにも奔放なこの女でさえ、任務上必要だったから、という建前をちゃんと用意はしていたのだ。

「古いタイプの学生証――?」

 ますます、困惑せざるを得ない。
 もちろん、様々な理由で学生証や手帳の形態はかなり自由ではあるのだが。

「それってどんなものだったのかしら?
 手帳型じゃなかったとすると、紙の学生証?
 それともこう、こんなカードのようなのかしら?」

 そう言いながら、自分の持つアナログな教員証明のカードを見せた。