2024/12/26 のログ
■緋月 >
「はいはい、いってらっしゃい。」
苦笑しながら見送り――調べた結果。
そこにあったのは、自分達の知らない世界だった。
情報の吹き溜まり、と言えば良いのか。
並列思考を駆使しなければ、もたもたと迷っていたに違いない。
(……まったく、ホント繊細ですよね…。)
芸能カテゴリを見つけ、その見出し記事の中身を見て…今まさに胃を痛めて胃炎になりそうなひとの
不安や緊張、あるいは恐怖――は、ほぼ杞憂で間違いない、という判断に至る。
そこまで来たところでお声がかかり、
「分かりました。火傷、気を付けて下さいね。
片付けもあるし、ゆっくりでいいですから。」
そんな事を言いつつ、更に素早く操作を続ける。
件のデジタルな新聞の中で、一目でその好評が伝わる所を選び、
アドレス――というらしい、ものをコピーし、今度はメッセージの送信モードに。
素早くメッセージを作成し、コピーしたアドレスを貼り付ける。
そんな作業とテーブル上のおかたづけを並列して行い、凡そ準備は完了か。
(……後は、送るタイミングですね。)
ちょっとした悪戯心を表情から隠しながら。
■ネームレス >
外へ、足が向きつつあるということでもあった。
落第街から一歩先。続く一歩は島の外。
足跡のついた場所へゆくという、物理的な旅路だ。
保護観察という鎖が留めてはいるが、遠からずして離れるということでもある。
いずれ、いずこへ行くのかと。
あらためて、緋月に問うようでもある。
「――よし、食べて飲んで紛らわそう。
てゆーか誕生日は10月31日だって言っ……、いや、
はっきりは言ってなかったな。誕生日プレゼントを要求はしたケド」
要するに、彼女にそうと知らせずに誕生日を一緒に過ごしたのだと。
相変わらずのマイペースを晒しながら、ぽすぽすとスリッパ鳴らして戻って来る。
大きな塊をテーブルの中央に。じゅうじゅうと焼けて、甘めに味付けされたローストポーク。
明らかなメインディッシュ。暴力的な質量。
「……どぉー?キミ、こーゆーのスキだろ?」
ミトンを外して、隣にぽすんと座ると。
さて、そんな企みを知らぬままに得意げだ。
■緋月 >
「あなたもそう言う所、大概迂闊ですよね。
…まあ、座敷牢暮らしで季節感がすっかりおかしくなった上、誕生日を
忘れた私が言えた事じゃないですが。」
特にそれが不幸だ、とは思っていない。
そういった事で盛り上がれないのは少し残念だ、という気持ちがある位である。
なので、軽い笑い話レベルで流して置く事にする。
「お、ぉぉ…なかなかの量ですね…!
これは、食が捗りそうです…!」
本来の目的を一瞬忘れて、大きな肉の塊とそれが焼ける音に気を取られてしまう。
此処に来る前、汗を流す時間を取る為に稽古を軽めに済ませたのが
失敗だったと思わざるを得ない。
激しく体を動かした後なら、更に美味しく頂けた事だろう。
(……っと、そうじゃなかった!)
最後に、振動モードだけを仕込んで置いたオモイカネに注意を払う。
タイミングとしては、もうそろそろ――と思った所で、バイブレーション音。
「あれ……何でしょう。」
予想外だった、といった顔でオモイカネを取り出し、メッセージ画面を見るような仕草。
「あ~…すみません、部の方からの連絡でした。
直ぐ返すので、気にしないでください。」
うっかり返し忘れた返事があった、といった風を装い、見られないようメッセージモードを起動。
軽くメッセージを打つような動作…というか、「伝える言葉」を打ち込んでから、素早く送信。
――直後、こちらの方を覗く間もなく、彼女の方のオモイカネにメッセージ着信の合図が来るだろう。
■ネームレス >
「暫定的にー。キミのは、ボクがリボンあげた日、ってコトにしとく?
てゆーか、いつ着けてくれんの。けっこー真剣に選んだんだよアレ」
お互い、秋の盛りであることは確かだったはずだ。
次が――来年の秋もまた命と縁が繋がっているなら。
そんなこともあったな、と話せるときが来るのかもしれない。鬼が笑う話だ。
「部活の……?ああ、うん。どーぞ。
そういや占星術って天体観測とかもするのか?休業中も活動あるんだろ?
冬の夜空は、よく星が見えるから――」
あらためてシードルを互いのグラスに注ぎ足しながら、それを不審がることもしない。
プライバシーを覗こう、という意識はないほうだ。
鼻歌交じりに切り分けるための肉切包丁を取りあげ、焦げ目をなでる。
すすす……と端っこから刃が中腹へと移動する。数センチ。
庶民の贅沢、という感じの料理の数々の王者がこれだ。
そして、パートナーのために数センチ厚のボリューミーなローストを供するべく包丁が食い込む。
「こういうのがないとパーティーは締まらないからな。
いっぱい食べて、そしたらプレゼントッ」
サイドテーブルの充電器にかかっていたオモイカネ8が鳴動。びくぅ、と肩がすくむ。
まるで戦場のような俊敏さでそれを取り上げるとともに弾かれたように跳躍。
部屋の隅に着地すると緊迫した面持ちでメッセージアプリを起動した。
「なになになになに」
レーベルの上役からの何らかの報告だと思ったらしい。
差出人がいまそこにいるパートナーだと気づいて、首をかしげている始末だ。
■緋月 >
「大事だから迂闊に着けられないんですよ。
汚れたり、破れたりするのは嫌ですから。」
大事な物ほどしまって置いて、結果身に着けないタイプ。
その内、以前の浴衣と共に着けた写真でも撮って送るべきか、と思いつつ、
首を傾げたような雰囲気を見れば、してやったりと小さく笑顔。
「――ごめんなさい。
あんまりに緊張というか、不安そうな様子が見てられなかったので。
ちょっとだけ、嘘つきました。」
ぺろ、と舌を出して誤魔化しの構え。
メッセージにあるのは、
[――日本語でもニュースになる位には、好評みたいですよ。
おめでとうございます。]
というメッセージに続く、ニュースサイトへのリンク。
特にその滑り出しをアメイジングに取り上げている記事へのリンクだった。
■ネームレス >
「えぁ」
リビングの隅でしゃがみこんだまま。
どういうこと、と言いたげに、画面と肩越しの彼女を往復し。
「…………」
少しだけ驚いてから、むくれたように眼を細め、そして眼を閉じる。
やがて、背を向けたまま静止する。わずかに肩が動いているから、
操作しているらしい。記事を読んでいるようだ。
そこから数分。――色々、視た。らしい。
「――――」
立ち上がる。端末を充電器に戻し、隣にぽすんと座った。
表情のないまま、ナイフで改めて大きめに肉を切り分けると。
フォークを差して、口元に突き出した。あーん、というには色気がない。
「急に叫んだりしたらごめんって先に言っとく」
処理しきれないくらいの感情だ。
「へへ」
達成感と、安堵と、歓喜に。むずむずと面映そうな笑みが滲んできていた。
そして、瞳の奥のぎらぎらとした炎のような渇き。
つぎの挑戦の気配。わくわくしてくる。
緊張はすっかりほぐれたようだった。
■緋月 >
「――不安、すっきりしましたか?」
笑顔と、瞳の奥に見えるぎらついた光。
それを見て、ようやくいつもの調子が戻って来たようだ、と小さく安堵の微笑。
「いただきます。」
口元に突き出されたお肉をもぐ、と一口。
――おいしい。美味のあまり、思わず満面の笑顔。
そうして、食事の時間を――時にからかわれたりからかい返したりなどしながら、
和やかに過ごしていけば、お腹も心も満足した所で、プレゼントの交換の時間だろうか。
――書生服姿の少女が持ってきた箱は、大きさの割に軽そうには見えたが、はてさて。
■ネームレス >
「いまはじわじわ恥ずかしくなってきてるよ」
また弱いとこ見せちゃったし。
そう笑いながらも、だいぶ力は抜けたようだ。
いつもの味。馴染みの料理。
「…………」
となりで美味しそうに食べているのは――
……そう。その眼を、逸らされたくないと思った相手だ。
これは最初の一歩。いつだってそう。
そういう気持ちをくれるから、応えたいとも思う。
なんやかやと騒いで笑って、片付けを済ませてしまえば。
新たに淹れたエッグノックと、デザートのアップルパイ。
こっちではクリスマスにケーキを食べなかったよ、と言ったりして。
ケーキ売り出し中の現状と照らし合わせれば、不思議がらせたかもしれない。
「――――正直、キミのは読めないんだよね。
本とかにしては、ずいぶんかるそうだし……?」
なんだろう?――大きい箱を前に、子供のようにわくわくしている。
いや、子供なのだ。実際。緋月のひとつとししたの。
「はい、メリークリスマス。お嬢様」
サンタの巡回を待たずして、渡したのは、平べったく長い箱だ。
こちらも――とても軽い。大きい箱、そして軽いとなると。
浴衣やリボンと同じ布製品だと容易に推察できよう。
■緋月 >
エッグノッグが気に入ったらしい書生服姿の少女。
またも少しずつ飲んでは、ほぅ、と幸せそうに息を吐いている。
「メリークリスマス。
あなたのプレゼントは随分軽いですね…いえ、悪い意味ではなく。
布製品でしょうか…。」
既に二度布製品を送られていたので、またしても布製品だろうか、と予想を付ける。
ともあれ、有難く頂くと、こちらも改めてラッピングされた箱を差し出す。
「最初は何でこうゴテゴテ紙で包むのかと思いましたけど…送る相手に、何が来るのか
楽しみにさせるという意味合いもあるんでしょうか。
メリークリスマス、です。」
と、手渡し。
手に取れば、流石に服などに比べると重いが、それでもとんでもなく重いという訳ではない。
こちらも恐らくは布か、それに近しいモノで作られているのだろうか、と予想は出来そうだ。
■ネームレス >
「……おめざめもエッグノックにしよっか」
その様子を見て、微笑ましげに。
渋いお茶が似合いそうな風情だけど、存外こっちの文化が気に入ったらしい。
シナモンを効かせたレシピは、これまた家から継いだもの。
特別なものはないけれど、分量の数値で保証された、家族の味。
「詩集を贈ろうかどうか、ちょっと迷ったんだけどね。
冬の夜長の暇つぶし……って思ったんだケド。
日夜がんばりやさんしてるキミは、ぐっすり寝てそうだし?」
両手でそっと受け取った。
「ちなみに――……ちょっと行儀が悪いって思うかもしれないケド。
これが作法なんだ、ってのは覚えておいてね?」
マジで何だこれ?と興味津々なプレゼントを横にずらし。
覗かせた顔は、いたずらっぽく笑って――
「――これは、こう開ける!」
びりぃ!包装は、破くのがマナーだ!さて、何が現れる?
こちらはといえば――幅広で長い、ふわふわのマフラーだ。
さっきがたマフラーがほしい、と言っていたあたり、
見繕っているところを目撃されたのか、と思った反面。その需要に堪えた形になる。
(またしまい込みそうだな)
とか、不安にもなるんだけど。
■緋月 >
「ですね…色々ありましたし、現在進行形でも色々ありますし…
ホント、稽古と鍛錬が欠かせない日々です。」
少し苦笑いしながら、ぐっすり寝ている事は肯定。
よく動き、よく食べ、よく眠る。健康的な生活である。
「わっ、びっくりした…!
それが作法なんですか…。」
思い切り包装紙を破る姿に、流石にびっくり。
とはいえ、郷に入っては郷に従う少女。
意を決して豪快に包装紙を破り、出て来たのは――
「あ…マフラー…!
わ、私、今日来た時しかマフラー欲しいって言ってないですよね…!?」
嬉しさと、割と戸惑いが混じっている、妙な表情。
ふわふわで、これは寒い冬に重宝しそう。
さて、一方、麗人の手で破られた大き目の箱から現れたのは――――
――二頭身のシルエット。
何とも言えない…あるいはどこか味のある、もにょっとした表情。
ちょっと見辛いが、二本ある尻尾――。
――そう、ネコマニャンの割とビッグめなぬいぐるみである!
ちなみに明るい茶色の虎猫柄ネコマニャンだ。
なぜこれを選んだのか。女心はわからない。
■ネームレス >
「こないだ迎えに来てくれたときも、アイスまんじゅうになってたろ?
……さっきマフラーの話出されたとき、ボクもびっくりした。
先にキミが買ってたら、うっかり行き違いになるとこだったね」
得意げに笑うのだ。
可愛らしくフリンジのついた、柄のないシンプルなもの。
カシミヤの材質は玉の肌にも優しく、つけていても負担はないだろう。
「護衛が風邪引いちゃったらたいへんだ。
うつされちゃうかもしれないし――暖かくしなよ?」
頬を寄せた時、ずいぶん冷たかったことが気にかかっていたらしい。
ずっと引きこもってるタイプでもないだろうし。
「な―――」
果たして。両手に抱えたるは威風堂々たるネコマニャン。
大型サイズの二頭身、茶トラネコマニャン……。
「なんだこれ……?あ、でもどっかでみたコトある!
あれだろ……ゆるキャラってヤツだ!
なんかイイな。この日向ぼっこしてるような顔!
見てるだけで世界が平和になりそうな気がしてくるな……」
そう、あまり知らない文化だったらしい。
しげしげと見上げながらも、ずいぶん楽しそうにしてる。
「姉さんが、こういうの好きだったっけな」
両手でそっと脇を抱えて見上げてから。
くるりとその顔を緋月のほうに向けて、操演するかのように。
「でもお嬢様、どーしてこのコをボクに?」
うにうに。両手を動かしてから、ずいと顔を寄せた。ネコマニャンが。
■緋月 >
「うーん…これはしまって置くのがかえって勿体ない…!
決めた! 帰る時に巻いていきます!」
普通はそうするだろうに、と思われそうな宣言。
ともあれ、巻いて帰る事で普段使いするものだ、と印象付けるつもりらしい。
ずい、とネコマニャンのぬいぐるみが迫れば、満面の笑顔。
「私も占星術部に入部してから初めて知ったんですが、部長がネコマニャン…こういう姿の
猫のグッズを集めるのが趣味だそうで。
かわいいと思いませんか?」
すっかり毒されている。
ほらほら~、と見せた自宅の鍵には、エジプト神話の猫の女神をデフォルメしたような、
ぬいぐるみと瓜二つのデザインのキーホルダー。
金色のお目目がかっと開いている以外の造形はほぼ同じだ。
「この部屋、割と広いじゃないですか。
一人で帰って来た時、特に今の季節だと寒々しいかもですし…この子を置いておけば
ただいまを言う相手がいていいんじゃないかな、と思って。
癒されるでしょ?」
癒しとはいったい――。
■ネームレス >
「そうしてー?明日も寒いみたいだからね。
ホットまんじゅうでいてくれるほうが、ボクとしてもありがたい。
常日頃、健康優良で過ごしてね。護衛さん」
今日は監禁される予定だ。来るべき聖誕の日も。
こうして明日を戦うための休息――と引き締めようとしても、ゆるい顔が邪魔をする。
「あ、ホントだ。いろいろバリエーションもあんのか。
……ちょっと他人な気がしないというか――」
黄金の瞳がおそろいだ。自分のそれはすこし赤みがかかっているケド。
バステトマニャンと緋月の顔を、何度か視線が往復したあと。
にまり、となにやら自信満々な笑みが浮かんだ。
「なるほど、そういうコトね」
すごい思い上がった解釈をした。
「えーっ、そんな寂しがりに見えたー?
……でもまァ確かに、寒いと人肌恋しくなるのは事実だし。
でっかいワンコを飼ってみたいって小さいときに思ってたケド、
いまはその欲求もなんとなく満たされてるし――
ひとりのときは、このコにそばにいてもらうか。
抱っこして寝てみるってのもありかも」
なかなかボリューミーなシルエット。
むぎゅー、と抱きしめてみたりしている。おお、ふわふわだ。
抱き心地も良いかもしれない――なんてネコマニャンに構い切り。みせつけている。
■緋月 >
「分かりましたよ~、お陰でこの冬、寒い時期の登下校やお出かけに
辛い思いは随分少なくなりそうで。本当、助かります。」
軽く頬を寄せ、ふわふわの感触を少し愉しむ。
少し暖かい冬を過ごせそうで何より。
「あ~…そう言えば確かに目、おそろいですね。
見つけた時、何となく既視感があったんですが…そういう事か。
これを見た時、朔はぶんむくれてましたけど。」
今更気が付いた顔。中々の鈍さである。
そして、精神の内に在る友が機嫌を悪くした理由は…間違いなく、他の「神器」を思い起こさせるからだろう。
あのミイラ化した猫である。
「む、そうやって見せつけられるのは…まあ、プレゼントした側としては本意ではありますけど、
何か含む所を感じますね?
もしかして、私を不機嫌にさせようとしてます?」
流石に不機嫌まではいかないものの、ちょっとだけむっとした雰囲気。わかりやすい。
■ネームレス >
「んははは。ネコマニャンとなると、イヌは選考外になっちゃうんだな。
いっそのこと、自分で対抗商品をプロデュースするってのもアリかもよ?
ゆるキャラになっちゃうか、朔?ンー?」
彼女のなかにいる友人をからかうようにして、そんなふうに。
打倒ネコマニャン。打倒バステト。
母子である――なんて逸話もある二柱だ。
朔やあの猫が、厳密にエジプト神話に登場するものではないのだろうけれど、私怨があるのか。
……自分を差し置いて選ばれた芸能の神に含むところがあるのかも、なんて。
「んー? うん、勿論わざとやってる。
こいつの名前も、つけてあげないとね……ありがと、緋月」
悪戯っぽく微笑むなり、ずいっと近づけて、緋月のお顔に接吻するネコマニャン。
そのあとは丁重に、テーブルのうえにぽすんと休めてあげよう。
可愛らしいペンが一本ささったペン立ての横、ずんぐり可愛いやつが出現。
――さみしい気持ち。彼女の内面を思うと、優しさゆえの贈り物だともわかるから。
にしても、気が抜ける顔をしている……ちょっと笑えてくる。
「今後は、ちゃーんとみえないところでやるから。
……はい、どうぞ。しっかり監禁してね?
もしいまおソトに出たら、未成年飲酒でまた捕まっちゃうし」
そのまま、ソファのスペースが空いているところに上体を倒れ込むと。
ちょいちょい、と白く長い指を招くように動かした。挑発的な笑み。
食後の、ちょっとふわっとした時間だ。そういう風にくつろいで戯れてもいいだろう。
朔だけならず、ネコマニャンの視線が加わったけど――
酒気のおかげだけではなく、不安もほぐれていい気持ち。
「"聖誕を祝すとともに、新たな良き年を迎えられますよう"」
■緋月 >
「も~、あんまり煽らないで下さいよ!
…って、朔も怒鳴らない! 浮気じゃないですから!」
その声で凡そ事情の見当は付くだろう。
単純に自分ではなく他の神器に近い姿のマスコットを選んで愛用している
友人に腹を立てているだけである。子供か。
「む~……ホント、そうやって機嫌を取って来る間は絶妙なんですから…。」
お礼を言われ、ネコマニャンぬいぐるみに口づけされれば、むっとした顔をしながらも
ちょっと悪い方に傾いた機嫌がまた良い具合の方向に傾いてしまう。
こういうのは何と言うか、ずるい。
「やっぱりお酒は年齢制限があるんじゃないですか!
もー、今日は外に出たら駄目ですよ!
私も外に出られなくなりましたけど!」
この自由過ぎる所は本当になんとかならないものか、と思いつつ、
何ともならないのだろうなぁと諦め…とは違う、言葉になりきらない思いを持ってしまう少女。
それを取り上げたら、このひとがこのひとで無くなってしまいそうだから。
誘われれば、こちらも酒精の勢いでちょこちょこと近づき、ぽふ、と頭を預ける姿勢に。
今は、こうしてゆったりと過ごしているのがちょうどよい。
そのうち、ネコマニャンの増えた室内にも慣れていくのであろう。
「"往く年を善く見送り、来る年を善く迎えられますように"。」
ご案内:「『さやかに星はきらめき』」からネームレスさんが去りました。
ご案内:「『さやかに星はきらめき』」から緋月さんが去りました。
ご案内:「聖夜の一幕」に水仙倫太郎さんが現れました。
ご案内:「聖夜の一幕」に竜胆 襲さんが現れました。
■水仙倫太郎 >
おおよその行事、大抵何かがなければ恋人といる機会は多い。
それほどまでに常々一緒にいることは昔から多かった。
ある意味日常の一幕ではあれど、特別な日はそれなりに緊張はする。
「(流れで言っちまったけど……マジで連れてきちまった……)」
ましてや、"自分の部屋"に連れてきたら尚の事。
衣替えも済んで、白を基準としたもこもことした部屋。
最新式のゲーム機にモニター、漫画棚。モダン調のソファ。
如何にもな男の子の部屋で、とりあえずミニテーブルにコップを並べる。
中には湯気が立ち昇る温かいココアだ。
「ま、まぁとりあえずくつろいでくれよ。
色々回った後で疲れたろ?今日はなんもなさそーだけど、
ずっと歩きっぱなしで疲れたろ?ゆっくり休んでくれよ。襲」
■竜胆 襲 >
「お邪魔します。…わ、結構片付いてる……」
こう、男の子の部屋というと散らかされている、みたいなイメージがあって、
部員のミコちゃんなんかには通い妻的に掃除にいったれみたいな入れ知恵をされたこともあったりしたのだけど。
うーん、これは必要なさそう…?
「うん。じゃあ遠慮なく」
にっこり微笑んで、ソファにお尻を下ろすとはらりと巻いていたマフラーを外して。
常世の島ももう真冬といっていい時期。厚着のままだとお部屋の中は過ごしづらい。
「あ…ありがとうございます。いただきますね」
ダッフルコートに手をかけながら、テーブルに並べられたコップに視線を注ぐ。
湯気が立ち上り、暖かく甘い香りが鼻腔を擽る…。
「なんか、手慣れてますよね。もしかして女の子とか連れてきてたり?」
くす。と流れるように出てきたココアを見て、冗談交じりの一言を向けたりもしながら。
窓の外は白い雪がちらついて、特別な日を白く彩っていた。
■水仙倫太郎 >
「誰が来てもいいようにしてるんだよ。
それにずっと汚ぇと落ち着かねーしさ、
自分で使う分にも気持ちがいいだろ?」
綺麗好きという訳では無いが、最低限のことはしている。
その"こういう時"が今訪れているので、無駄ではなかったということだ。
へへ、と笑いながらコートを脱いで部屋着姿。
ぴっちりとした黒い肌着に、鍛え抜かれた筋肉が浮かび上がっている。
「いーや?男友達ばっかりさ。
女性を上げんのは襲だけって決めてんだよ」
そして、それは今此の通り叶っている。
冗談にはそれこそ軽口っぽく返せば、隣に座り込んだ。
自動的にモニターが移すのは、常世島のワイドショー。
世間はクリスマスだからか、それに関するニュースばかりだ。
「所で今日、楽しかったか?
結構連れ回したりしたけどさ、ホラ。
扶桑百貨店の天文台も冬空特集で綺麗だったし、
あの寿司屋もケッコー美味かったし、夜景も綺麗だったよなぁ」
それこそ一日中扶桑百貨店を中心に回った気もする。
扶桑百貨店は本当に色々あるから、デートにも重宝するものだ。
■竜胆 襲 >
「…割としっかりしてますよね。そういうところ」
一人暮らしの男子学生とは思えない。
なかなか、一般の男子生徒から比較するとハイスペック男子な気がする…。
「そしてそういうところは律儀すぎます。
いいんですよ?別に、女の子の友達くらいなら」
彼のことだから友人も多いはずだ。
正直な性格だから、もつれる関係とかに発展する心配もないし。
操立て、というわけでもないのだろうけれど。自分に似て少し潔癖さを感じる。
……もしかしたら自分が潔癖だから、かもしれないけど。
「……た、楽しそうに見えませんでしたか?」
両手を頬に当てて、ちょっと心外そうな言葉。
クセというか、性格というか…つい淡々とした受け答えをしてしまう系女子。
本人的には相当に楽しんでいたのか、えっ…と言ったような顔を浮かべてしまう。
「もちろん、最高の思い出になりました!
それに、お家にも誘ってくれて………嬉しかったです」
いつも、誘ってくれないので。
なんて小さく続けて、誤魔化すように温かいココアを口へと運ぶのだ。
ご案内:「聖夜の一幕」に水仙倫太郎さんが現れました。
■水仙倫太郎 >
へへ、と何処か自慢げな笑みを浮かべる。
「そりゃあな、ちょっとでも襲に見合う男にならねーとな」
一度惚れた相手に見合うように努力するのが男というものだ。
それこそ自分磨きと同じだ。怠ったら相手に失礼だ。
そうでなくても林太郎は、誰かの為ならこんな細かい事でもするだろう。
「と、友達はいるけどそりゃあ、な?
一応女性だしよ、異性ともなりゃ遠慮位はするだろ?」
確かに倫太郎は誰にだって分け隔てない。
かといっても無遠慮や無節操というわけじゃない。
ちゃんと節度と距離感はきっちり守っているタイプだ。
そう、実際異性を上げるのはハードルが高い。だから……。
「……正直、呼んできてくれるか不安なのもあったしな」
立場が逆でもそういうものだと思っている。
ハハ、と楽しげに笑えば懐から取り出す刀の鍔。
くるくると人差し指で回しては横目で彼女を見やる。
「まさか、"見えてたよ"。
何年一緒にいると思ってんだ?
話のタネだよ、タネ。……えっ!?」
ちょっとした話題フリのつもりが、最後の言葉に目を丸くする。
そう、それほどまでに衝撃的な一言だった。
コトン、床に落ちる唾の音が妙に間の抜けた感じだった。
■竜胆 襲 >
「それ、割とこっちのセリフだったりするんですけど」
ハイスペック、ハイグレードな男子。
見合う男にならないと、なんて努力をされるものだから、どんどん彼は成長していく。
気づいていないのだろう。
自分のほうが余程、見合う以上に素敵な男子になっていることに。
「ですので、私にということなら遠慮しなくても大丈夫ですから。
倫太郎くんが今更私に不貞を働くなんてそんなこと有り得ないです。
──……不安、ですか?」
はて、と首を傾げる。
二人は恋仲である。自他ともに認める恋人同士の関係だ。
もちろんまだ大人と言える年齢ではないし、節度ある交際をとは思っているけれど。
住まいに遊びにいくことがそんなに…?とも思わなくない。
「男女にとって特別な日ですよ?
特別なお誘いがなかったら、自分に魅力がないのかと落ち込んでしまうところでした」
驚き眼を丸くする彼に、そんなに意外な言葉だったかな…と首を傾げる。
「……そんなに驚くこと言いました?」
はて。