異を志す者
- 氏名(私称・ペンネーム)
- 「夢野盧生」と名乗っている。
本名は別に存在するものの、後述する理由によって使用していない。 本人が使用していないだけであって、秘匿情報などに属するものではないため、委員会の委員などであれば容易に照会することが可能である。 「盧生」は『枕中記』の主人公の名より取られている。盧が姓であり名が生であるはずだが、その点は気にしていない。 本名は「吉野一朗」だが、盧生当人は「夢野盧生」が現在の名だと主張しており、学生手帳の表示名などは全て「夢野盧生」で通している。
- 年齢
- 身体的な年齢は20歳。
誕生年から換算すれば実年齢は50代を優に超えているはずだが、盧生の時は20歳で止まっている。
- 容姿・服装
- 身長は175cm程度。
取り立てて特筆すべき身体的特徴はないが、強いて言うならば痩せ型。 髪型は癖毛気味の黒髪。 視力が良くなく、日常的に黒縁の眼鏡をかけている。 基本的に制服は着用していない。
- 所属
- 常世学園入学後、文芸サークル『常世志異文会』を立ち上げ、代表として活動している。
活動内容としては文字通りの文芸サークルであり、常世島内で小説集などの刊行を目的とする。 『常世志異文会』の名称のとおり、志意=「異なるものを志す」小説、すなわちジャンルとしては怪奇小説などがメインとしている。 常世島に存在する異なるもの、かつての時代に怪異・怪奇・神怪とされてきたものを小説の形で記録するということを掲げている。
- 来歴
- その生年は大変容以前である。
大変容発生時、夢野盧生は東京都内の大学に通う大学生であった。 日本や中国の志怪小説・神怪小説・怪奇小説の類を好み、幻想小説の執筆も行い、ゆくゆくは文筆活動を仕事にしたいと願う青年であった、 大変容の発生のその時、仙人を名乗る長い黒髪の少女に出逢い、『荘子』に関する問答を行った。 少女の「異を志す者となれ」という言葉とともに、彼は眠りに落ちた。
眠りの後、長い夢を彼は見た。それは世界のあらゆるものが変化してしまい、古い世界が死する夢。 目覚めた時、世界の全ては変わっていた。 長き夢を見ていたとて、彼にとっては一睡に過ぎないこと。しかし、現実はあまりに長い時間が過ぎていた。 自身を知る者は皆死していた。 家族も、友人も、全てが消え失せていた。 彼らがどのように命を喪ったのかさえ、具体的にはわからなかった。 そして、彼の愛した怪異・怪奇・幻想なるものがこの世界に現実のものとして現れていた。
そう、彼が見ていたはずの夢が現実となっていたのだ。 ある種の予知夢であったのか、現実を夢として見続けていたのか。 それはわからない。だが、彼は目覚めてもなお、これは「夢」のようなものなのだと認識することとした。 自らが狂わないための一つの暗示、防衛機制であった。
夢野盧生は、今の現実を「夢」と捉えることとした。 無論、それが儚いことであることも自覚している。紛れもない現実なのだということも理解している。 しかしそれでもなお、やはり「夢」であるのだという可能性を信じ続けることで、大変容の後の世界を生き続けている。 「夢」の中の自分は現実の吉野一朗ではない。そう定め、彼は自らの名を「夢野盧生」とした。
いつか目覚めたときのために、この奇妙な世界と人々を物語として、小説として描くことを心に決めている。 故に、夢野盧生のは文芸サークル『常世志異文会』を設立した。 この世界で起こることを書き留める。「異なるものを志す」ことを行う。 どのような振る舞いがあったとしても、この世界の存在全てが、夢野盧生にとっては「異」に他ならないのだ。
常世学園への入学は自らの意志による。 彼の保護を行った生活支援団体所属の医師は、いきなり常世学園に入学することに賛成しなかった。 吉野一朗が初めて見るものばかりであろう常世学園は、刺激が強すぎるであろうという判断であった。 まずはゆっくり大変容後の世界に慣れてから常世学園に入学することを勧められたものの、彼はそれを拒否した。
結局彼の意志が尊重され、吉野一朗は生活支援団体の援助を受け、常世学園へと入学。 事前に常世学園やその内部についての情報収集を綿密に行っており、特に気になる場所を彼は見つけていた。 それは万妖邸である。異類の類がひしめくという噂のそのアパートに住まうことを願った。 生活委員会の担当者は難色を示したものの、現実が「夢」であるということを強く意識することができる場所を彼は望み、現在に至る。
吉野一朗は大変容の際に行方不明となったことが確認されており、戸籍も存在している。 様々な調査や検査も実施された結果、彼は異邦人という扱いを受けていない。
- 記録
- 「万妖邸へ」:於 委員会総合庁舎生活委員会窓口
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