学園地区の校舎群の一つ。様々な教室や研究室などがこの建物の中に設置されている。
外観としては現代的なビルのようなもの。
※それぞれの教室などの詳しい情景などはある程度自由にしてくださって構いません。
●この部屋には固定パスワードが設定されています。
参加者(0):ROM(1)
Time:23:47:33 更新
ご案内:「保健室」から神代理央さんが去りました。
■神代理央 > 牧歌的な微睡みの時間は、無機質な電子音で中断される。
ぼんやりと端末を確認すると、単なる落第街で発生した事案の定時連絡に過ぎなかった。
だがそれは、己の意識を覚醒させるのに十分なもの。
「…いかんな。こんなところで時間を潰している場合では無いと言うのに」
結局、頭痛薬は手に入らなかったな、と僅かに嘆きつつ、制服を整えて本庁へと急ぐ。
長い一日は、まだ終わってはいないのだから。
■神代理央 > 「…そういえば、最近は…夜も、遅い任務ばか、り……」
急速に意識が微睡み始める。
学業。風紀委員としての任務。制御薬を利用した異能の発動と頭痛。
それらは確実に己の身体に過度な疲労を与えており、ふとぼんやりするだけで身体が休息を求めて悲鳴を上げていた。
「…いや、此の後は…年末の、打ち合わせが…」
必死に噛み殺そうとした欠伸も虚しく、思考と意識は雲の様に漂い、霧散していく。
■神代理央 > 別段、市販の頭痛薬で済ませても良いのだが、折角校内に保健室があるのだから利用してみたかったという思いもある。
だが、委員会のデータベースで調べてみれば職員会議はもう少し時間がかかりそうだ。
「…保健室担当の生徒とか部活生でもいれば話は早かったが…ま、贅沢を言っても仕方あるまいか」
軽く背伸びをして、背もたれに身を預けて瞼を閉じる。
遠くから聞こえる生徒達の声が、何故か非日常感を己に与えていた。
■神代理央 > 「失礼します………何だ、誰も居ないのか」
授業も終わり、下校する生徒や部活動に打ち込む生徒の掛け声が響く校内。
そんな中、静寂に包まれた保健室に足を踏み入れる。
制御薬服用後の過度な異能発動が祟ったのか、鈍い頭痛が治まらない為、頭痛薬でもと思ったのだが―
「…ああ、職員会議中か。タイミングが悪かったな…」
さてどうしたものか、と考えながら、目の前に置かれた教師用の事務椅子に腰掛ける。
流石に勝手に薬棚から失敬する訳にもいかないし―
ご案内:「保健室」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「保健室」から木里嶺 静織さんが去りました。
■木里嶺 静織 > ━━━━━珈琲の匂いに、少しだけ平穏を得て。
少女は名前も知らない相手との一時に、その日の終わりに、ようやくの安堵の眠りを得た。
「…………お昼、休みに」
━━……今度は、ちゃんとしっかりと話せるように。
ご案内:「保健室」に木里嶺 静織さんが現れました。
ご案内:「保健室」から白鈴秋さんが去りました。
■白鈴秋 > 「さて、俺はそろそろ行くか。一応けが人って大義名分があるお前と違って俺はバレると面倒な事になりかねねぇからな」
コーヒーを飲み終え、Tシャツの上からジャージを羽織り、椅子から立ち上がる。
「……あぁ、あれだ。大体昼休みは屋上にいるから。もしまた変な夢みて話したくなったら来い。話くらいは聞いてやる」
初めからがんばれと言って突き出して上手く出来るわけも無い。だから初めの間位は話し相手も必要なはずだ。
だから、変な夢を見たら―つまりは教室に居づらいのなら―話し相手くらいにはなる、そんなニュアンスでそう伝えると歩きだす。
コーヒーのカップをサッと洗い。部屋から出て行った。
■白鈴秋 > 「だろうな、家族なら当然だ、だからそうならなかったんだから間違ってねぇんだよ」
とだけ言うとそちらへと近寄る足音。
カーテンを開けてコーヒーを差し出す顔はそんなつもりは無いが酷く不機嫌そうな顔。
「……話を聞いてじゃねぇからな。この顔は生まれつきだ」
変な勘違いをされたくないのでそう断るとコーヒーカップを手元に置く。
本人が言うなら問題は無いのだろう。
「ほら、こぼすんじゃねぇぞ。服の代えの場所まではしらねぇから明日、先生にコーヒーまみれの姿みて怒られる羽目になるぞ」
そう言って椅子に座る。包帯を巻いた右腕を軽く握ったり開いたり動かしたりとしていた。
■木里嶺 静織 > ……泣く以上が浮かばなかったのかもしれなかった。
ただ、カーテンの向こうの人ら、ゆっくりと半身を起こして、マグカップと奮闘していた。
「……お兄ちゃんの、そんな姿は、見たく、ないです。……友達とのことより、ずっと、私、お兄ちゃんの……っ
」
「━━━━…………入って。も、大丈夫です。……でも、カップを、手に置いてくれれば、ちゃんと、自分の手で、飲みます、から」
自分の力で、自分の手でその程度も出来ないのが、少し悔しかったのかも、しれなかった。
■白鈴秋 > 「間違ってなかったから。兄さんはその程度で済んだんだ。もし怪我以上だったら……悲しむなんてレベルじゃすまなかったかもしれねぇんだからよ」
少しだけ真面目なトーンでそう答えた。
自分がそうだから、彼女の兄にそうなってなど欲しくは無い。
「まぁ友達に関しちゃ今すぐには難しいかもしれねぇから。もう少し周囲が落ち着いてから話して見れば良いさ……夢の続きを見たらの話。だけどな」
と、とってつけたように付け加える。
友達については確実とはいえないが。少なくとも兄にとっては無事帰ってきてくれた。それだけでそれ以上など無いと明言できる。
それからカップの様子を見る。動かないカップ。重い……わけは無いから怪我の関係で持てないというのが正解だろう。
少し配慮が足りなかったなと頭を掻き。
「飲むなら飲ませようか。怪我、結構辛いみてぇだしよ。カーテンの中に入れりゃ良いってだけなら入れるだけ入れるが」
ビクとも動かないのを見てそう声をかけた。結果カーテンという壁は外れてしまうわけだが……まぁ聞いた上でなら問題ないだろう。
■木里嶺 静織 > 「━━━━…………そう、ですね」
━━傷ついて、孤立して。悲嘆に暮れて、その中の微かな自分の守れたことへの気が逸れていたなと。
……少しの間の後、微かに色を取り戻した声が響いた。
夢の話。だからそれらを、泣きながら話すことはしない。夢だから。夢。
「……間違って、なかった……なら、そうなら、お兄ちゃんは、悲しみなんて……」
しなかっただろうか。
あのまま、される事を受け止め切った後で。どうなっていたかは分からないけど。
……そうなっていたら。兄は?
「………………そう、だと、いいなって、思います」
……答えは出ない。これから答えを、探る気にもならない。
置かれたカップに、カーテンの隙間から伸びる、細く、白く、小さな手が。震えながらカップを握る。
━━━━┯掴んだまま、力むような息と。ビクともしないカップ、揺れる水面。