2015/06/20 のログ
ご案内:「廊下」に否支中 活路さんが現れました。
ご案内:「廊下」から否支中 活路さんが去りました。
ご案内:「教室」に否支中 活路さんが現れました。
■否支中 活路 > 広報部の麻美子に会うのを諦めて帰る途上、なんとなく気が向いた。
本当になんとなくだ。
それでバイクの首を学園に向けやってきた。
正規の学生なのだ。入れないということはない。
図書館には極稀に姿を出していたが、教室棟に入ったのは確かに約二年ぶりだ。
ご案内:「教室」に折神 直さんが現れました。
■否支中 活路 > 今使われていない講義室。
その一つに身を滑り込ませる。
誰かが飯を食べたり雑談しているということもあるものだが、偶然いなかった。
■折神 直 > ――それは。
ただ、居た。
何でもないように。
当たり前であるかのように。
劇的な出会いでも、喜劇的な再会でも、悲劇的な開始でもなく。
道端でただ出会ったように、自然に彼の前に現れた。
人払いをしたわけでもないはずなのに、誰もいない講義室。その中央で。
彼をただ静かに待ち構えていた。薄く伸ばしたような微笑と共に。
その男は来訪を受けて、両手を広げた。
「――やあ。待っていたよ」
「活路君」
■否支中 活路 > 雪城氷架にわけのわからない事を言ってしまった。
炎の巨人事件は、自分にはほとんど関係ないものだ。
因縁といって、遠すぎる。
そんなものを気にする必要はない。はずだ。
二年前のあいつらを知っているというなら、公安や生徒会のほうがよほどのはずだ。
自分に関係のあることなど所詮一握りのこと。
そう、たとえば
「折神…………」
思考に沈みかけた瞳を開いた、その眼前に居る男であるとか。
■折神 直 > 驚く程に冷静に、冷静に見えるように、答えを返す。
久々に会った友人に、偶然を感謝する程度の気軽さで。
「久しぶりだね」
指先を、相手に向ける。そして指先で何かを確かめるように目を細め。
「本当に、久しぶりだ……またこうして会えて嬉しいよ」
「……少し、痩せたかな。活路君」
「ボクの見間違いなら、いいんだけれど」
流麗に指を視界の中の否支中の包帯の巻かれた顔の上を滑らせ、それを自分の口元に添えて舌を出した。
やはり微笑の張り付くその顔の裏で、白濁の欲望が確かに渦巻いていた。
「……まずは、キミに謝らないといけないね」
「ボクを待って居てくれて、本当にありがとう。遅くなってしまったよ」
■否支中 活路 > 折神の言葉を受けて一瞬だけ開いた左掌に視線を落とす。
「そうやな。
――――二年前からは、比べ物にならんほどな」
答えて、上がった瞳が漆黒に燃えている。すべてのものが混ざった混沌の色だ。
左手をぎゅうと握りながら相手の微笑をまっすぐに見る。
「確かに、えらい、長かったな。
……帰ってこぉへんと、思ったんやがな」
■折神 直 > 「嬉しいよ……。こうして、また出会えて」
「……気が、狂ってしまいそうだよ、活路君」
口元に添えた手で、自身の顔面を掴んで、耐え切れないように笑う。
その笑いは笑声へと代わり、発した声の撥ねに身体をよろけさせる。
クツクツと笑いながら、続ける。
「ボクも、ずっと、キミを待っていた」
「ずっと、ずっと、またこの場所で、キミと会いたかったよ」
熱に浮かされたような視線で否支中を見て、歯を食いしばる。
「あの時、門を破壊した時に、ボクはキミを殺そうとし」
「逆にキミに殺され、命を奪われたあの日から、ボクはキミに『心』を奪われたままだ」
「その心がキミにあるかぎり、ボクは何度でもキミの元に帰ってくるよ」
「ボクは、キミとの生死のやりとりでしか、もう満足出来ないんだ……ッハァ……♥」
身体の震えが、触れていた机や椅子に伝わり、ガタガタと震える。
周囲に、興奮で構成仕切れない魔力の片鱗が溢れ、
ピシッバシッ、と空気が割れるような音を響かせている。
■否支中 活路 > 嗚呼……。
息を吐いた。
この敵はこんな男ではなかった。
かつてはこんな男ではなかった。
ロストサイン・マスタークラス“葬戯業(エンバーマー)”折神直という男はこうではなかった。
だからやはり、これは。
「心……?
違うやろ、テメェがそうしてんのは、テメェが帰ってきたんは、
“則(ルール)”や。
何も痴らんままで、それでもテメェは俺の前を通る」
震える男へ、真っ直ぐ左腕を上に半身で構えた。そのまま微動だにしない。
「『門』は、壊れてへんのやからな……」
■折神 直 > 「……ッハァッ……♥!」
その目。その言葉。その空気。その視線。その音。その有り様。
その姿。その論理。その立姿。その身体。その声。その雰囲気。
何もかも。
そう、何もかもが、自身の興奮を煽り、欲望の糧となる。
大きく快楽で仰け反りながら、痙攣にも似た震えと共に大声で言い放つ。
「そうだよ……そうさ。ちゃんと、分かっていてくれたんだね……?」
「『覚えていてくれた』んだねぇ……!! ボクのことを、そして『ボクと交わした言葉』を」
「『あんなもの』。壊せるわけがないのさ」
「門自体を破壊したところで――何も意味がないッ……!!」
だらんと、のけぞった姿勢から今度は猫背となり。
見開いた目だけが否支中を捉え。
「だからぁ……!! キミはこうやって、後始末をする羽目になった……!!」
「ボクはね……だからこそキミにもう一度会いたいと思ったのさ……!! ッハァ……♥」
「本当に意味のあることを、キミとしたいんだ」
「キミと、もう一度やり直したい、生死をやりとりし、キミの生死を飲み干したい……!!」
「今度こそ――あの『門』の事件をやり直し」
「キミの爪先から耳たぶまでの全てを、ボクのモノにしてしまうためにねぇッ……!!」
片手で顔を覆ったまま、片手を広げて、叫ぶ。
「ボクと来たまえ……活路君。キミが辿りつけなかったその門の先に――天国へと誘おうじゃないか!!」
興奮は絶頂に近いところまで達し、欲望が涙滴として顔を覆う手の隙間からこぼれ落ちる。
吐く吐息は恋という名の熱病に犯されて熱く、肺腑から搾り出されたように周囲に満ちた。
■否支中 活路 > 天国。
あれが。
あの先が天国。
だが、そうなのだろう。
この折神直を構成しているものにとっては確かにそれが天国なのだ。
歓喜に打ち震える折神に対し、活路は相手を見て不動。
「ああ。わかっとるわ。
あの、何もない場所に繋がっとった門を壊せばテメェらの企みは潰えると。
それで何もかもが収まると。
思っとったんや。あの時の否支中活路は思っとった」
瞳は漆黒で、燃えている。
「そうや。後始末や。そうやろうが?
テメェは死んだ、折神直ッ! じゃあここに居るテメェはなんや……!?」
その瞳が、睨みつける。
痴れ者のように、感じ、笑い、泣き、叫ぶその人型を。
「あれをやり直そうとするテメェは、俺に会いに来たテメェは、俺(ゲート)を欲するテメェは」
言って、右手がシャツの襟首を開いた。
「ええ? “白痴(アザトース)”…………」
二年の前、門の先、<一にして全><全にして一>なる現象の奥にそのわずかなを一旦見せた魔王の名を呼ぶ。
それは時空のすべてを支配する名状し難き罪の塊。
天獄そのもの。
ああ、だが眼前の男にはわからないだろう。
やつ自身が白痴の破片に飲まれたからには。
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■■■■■■■■■■■■■■それで■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■私を■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■使うのか?■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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■折神 直 > 身体は、跳ねる。快楽に、恭悦に、愉悦に。
その意味すらもわからず、その人間の抱く感情に触れたことそのものが、身体を甘く溶かす。
否支中活路によって齎されるその謎の悦楽に耐えながら、男は身体をもたげて言葉を返す。
愛おしさによって口の端や目の端から雫を零し、嗤う。
「ボクは、ボクだよ……活路君」
「ボクはボクであるから、キミを欲していて」
「こんなにも、恋焦がれている、ただそれだけなんだよ……」
正気と狂気の入り交じる瞳が、ただ否支中を中心に捉えている。
自らの視界という檻の中に閉じ込めるかのごとく、真っ直ぐに。
「そうか」
「キミは――あの門のその先を見たんだね。見ることができたんだね」
「ボクは、てっきり失敗したのだと、ずっと思っていた」
「だからこそ、すぐに迎えに来てあげようと、耳もとでそっと囁いてあげようと思ったのだけれど」
「……最初から、そんな必要はなかったんだね」
両手を広げて、天を仰ぐ。
「……ッハァ………♥♥♥」
「なんて、日だろう……!!」
「活路君。ボクは、ボクが大好きなキミより先に、キミが進んでいることを知って」
「――最ッッ高に興奮しているよ!! 今すぐにこの熱い思いを受け取って欲しい程に……!!」
「ねえ、活路君。活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君」
「活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君活路君」
涙をこぼし、感嘆にうち震える。
「ボクを――定義してくれて、ありがとう」
「ボクと――もう一度出会ってくれて、ありがとう」
「君のことを。こんなにも渇望させてくれて――ありがとう」
「ボクはもう、キミ以外何も分からないし、分かる必要もないけれど――」
そして。と言葉を切り。
指を鳴らすと。
相手が一瞬だけ意識を外した瞬間、ふわ、と、否支中の後ろへ立ち。
――耳元を擽るような声で囁くように呟いた。
「キミを――また……気持ち良く使わせてもらおうと思う」
■否支中 活路 >
何も痴らず、何もわからず、しかしアレがただひとつわかっていることがある。
そして自分が理解していることがある。
アレは俺を求めている。
俺の中に入ろうとしている。
俺のゲートを通って、アレは大本へと達しようとする。
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■■■■■■■■■■ナあ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■どうした?■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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「テメェはテメェで、だからテメェはナカに来る…………テメエが白痴であるかぎり」
そしてそうなる時、<門>の周りが一体どうなるのか。
かつて《電子魔術師》の助力と、否支中活路と引き換えに、この裡に留まったそれが、本当にその全てを繋げてしまったら。
ヤツとオレが、繋がってしまったら。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■僕■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■/■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■俺/私/君■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■/■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■儂■■■■■■■■■を■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■彼■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■我■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■喚べよ■■■■■■■■■■■■■■■■■
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狂神のごとくもはや意味のない名前を呼び続ける相手を、
「折神、直」
ただ一度呼ぶ。
そして
「変――――――」
その言葉を
開け放つ
その瞬間
相手が消える。
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■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■死ぬぞ?■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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凍る。
背の向こうから、近すぎる声。
■折神 直 > ――自分の物よりも僅かに太い首筋を繊細な指先が撫でた。
これは鳥肌だろうか。
それとも自分と同じ、歓喜によって齎された冷や汗だろうか。
どちらでも、構わない。
そう、最初から折神 直は全てに於いてどちらでも構わない。
知らず、痴れず、識らず。
白痴は己を白痴とは認識しない。
何故ならそれは、何一つ、徹頭徹尾、一切合切、全くを以ってしても意味がないからであり。
意味を必要としないからにすぎない。
「……焦らないでいい」
「ボクは、そうする」
「キミと、もう一度やり直したい」
「今度こそ」
「――絶対に、痛くしたりはしないから」
まるで、童女のように笑い。
「――ボクは何故だか……それくらいには」
吐息と共に、虚空を眺めたまま硬直する活路の耳元で囁く。
「――キミの全てが欲しいんだ」
「■■君」
自分の喉から出た。
自分の物ではないような声をすら楽しそうに。
折神直は小さく笑いを含んだまま、
何度も快楽に身を震わせ、壁に身体をこすりつけるようにしながら講義室を後にした。
廊下の先から――名状しがたい嬌声が、遠く聞こえてくる。
おそらくそれは――興奮がただの絶頂に達しただけのことである。
■否支中 活路 >
動けない。
背後に純白の痴愚。
もはや誰もいない前方を、燃える双眸が見ている。包帯に覆われた額に、裏から朱い光が浮かんでいる。
だがそこから、動けなかった。
不快に鳴り渡る、踊り狂う魔宴の歌のごとき声。
それがただ続く中を、静止が溜まっていく。
そして、NAを、呼ばれ
「――――――ッ!!!」
振り返ったのは、それでも一体どれだけ時間が経ったのか。
痴愚の塊が、背から消えていく。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■残念だが■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■今日はここまでか■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「……か、…………は……ッ」
そういう機能が人間にはあったのだと
思い出すように息を吐いた。
ご案内:「教室」から折神 直さんが去りました。
■否支中 活路 > 追うのかといえば、追えない。
両手の痙攣が止まらない。
目を閉じ、ただそこに立ち尽くす。
どれほどの後か、鳴り渡るのは講義を区切るチャイム。
そこでようやく緑に光る瞳を開いて、幽鬼のようにそこを出て行った。
ご案内:「教室」から否支中 活路さんが去りました。
ご案内:「ロビー」にアリエンティアさんが現れました。
■アリエンティア > 「……この学校の授業、難しい……」
侮っていた、編入試験は抜けた。
だから頑張れば追いつけると思っていたのに
魔術の歓迎テストではギリギリ合格ライン。
がっくりうなだれながら、ため息。
「ぐぬぬ、使えないからって筆記までダメなんてぇ……」
じたんだを踏みながら、ゆっくりと気分直しの自販機へ。
オレンジジュースを買おうと
ちゃりんちゃりんっと、お金を入れて手を伸ばす。
■アリエンティア > 「ふぐー!!」
届かない……
飲みたい飲み物は目の前。
だがしかし、世界で一番の強敵が
アリエンティアを襲う。
そう”高さ”。
指をいくら伸ばそうと、その不動の天敵は
嘲笑う。欲しければ、その矮小な身をもっと伸ばせと
「……くっ、うぬぬぬぬ……」
ぷるぷる震えながらつま先立ち。
だがしかし、わずかに届かない
■アリエンティア > まるで、そのボタンは挑発するかのように光り
ジュースの缶は、こちらの必死な姿をいざ知らず
ただただ瞑目しているようだ。
そして高さは見下ろして。
なにか、すごく負けられない気がしてきたので
ぐーっと手を伸ばすが……
「なん……っでっ……」
あとこのちょっぴりの差が埋まらないのか。
「うー、うーっ!!!!」
いや、諦めるな、考えろ。
いつだってあたしはそうしてきたじゃないか思考を回せ
なにか段差になるものはないか……ないのか……
上に君臨するジュースを見つめながらぶつぶつと思考する。
まったくなんでこんなふうに自販機を作ったのか。
だれだ責任者出てこい。
仕方のない話ではあるのだ。
高校生が基準のこの場に
小学1年生の年齢でいるのが元々が特異。
だがそれでも、今この状況を恨まずにはいられなかった……
「ぶつぶつ……」
念仏を唱えるように思案する。
が、屈辱と喉の渇きでうまくまとまらず……
少しの時間そこに立ち尽くしてしまう
■アリエンティア > 「……っく……」
椅子を持ってくるのはダメだ。
そうすれば休み時間が終わってしまう。
なにより、恥ずかしいじゃない。
論外。
誰かに助けてもらう?
いや、しかしそれはそれで……
「うー……」
やはり自分ではダメなのか。
こんなささいな幸せすらも認めてもらえないのか。
なぜ。どうして……
「のど、かわいたぁ……」
時間の経過でちゃりんっと自販機は
お金を吐き出す。
少女の完全敗北は決まってしまった……
のだろうか……
「うー」
ここで■■■を呼んでしまうのも。
あの悪魔のことだやってくれるだろうが
……それはなんかとても嫌だ。
でも飲みたい……そんな心の心境から。
その場から動けず、ぺたんっと座り込んだ
■アリエンティア > 「……水で我慢しよ」
覚えていろよ、オレンジジュース。
お前は見下した。
あたしは許さないからな……ぜつゆるってやつだ
確かそんな日本語を一生懸命覚えた気がする。
ぜつゆるです。もう絶対。いつか完膚なきまで
いつか容赦なく連打してやる……それまで……
「この勝負、あずけておくわっ」
たかが、ジュース。されどジュース。
卒業するまで、それをどうにか買うことを決意して。
「……えっと、どこでお水無料で飲めるんだっけ……? 食堂?」
ゆっくり立ち上がり考える
■アリエンティア > 「……とりあえず、探そう。じゃないと休み時間終わっちゃうよっ」
時計を見てぱたぱたと駆け足。
テストで沈んでいた気持ちも何処へやら。
オレンジジュースへのリベンジで
塗り替えて、ぱたぱたと走ってその場を後にした
ご案内:「ロビー」からアリエンティアさんが去りました。
ご案内:「食堂」に黒谷 知来さんが現れました。
■黒谷 知来 > 「……………………。」
食堂の隅っこのテーブルに突っ伏す少女が一人。
いつもボサボサの黒髪は今日は一層ひどい有様。
机の上には水が入ったコップが一杯だけ。
そのコップに手を出すことすらせず、
ぴくりとも動かない。
■黒谷 知来 > 時折通りすがる生徒に怪訝な目で見られたりもするが、
すでに20分ほどこうして机に伏している。
「…………おなかすいた……。」
きゅぅ、と少女のお腹が音を立てる。
財布を落として数日。
電子マネーで何とかしようと思ったら
チャージを怠っていたせいでそれもすぐに切れてしまった。
財布の捜索はすでに頼んだけれど成果はなし。
もしかしたら、誰かがすでに拾っていたり、
学園と無関係な場所に預けられてるのかもしれない。
■黒谷 知来 > 頑張れば思い出せそうな気がする。
しかし、空腹のおかげで頑張れる気がしない。
頭も回らなければ探し回る気力も湧いてこないのである。
そして、空腹で頭が回らず授業内容が頭に入ってこない。
結果としてその復習に時間を使ってしまい、
また財布を捜すための時間が減っていく。
悪循環であった。お腹が寂しげに鳴っている。
せめて空腹を紛らわせようと水を飲みにきたのが失敗だった。
食堂のにおいで更に空腹が加速していくのを感じる。
■黒谷 知来 > 「…………。」
食堂のにおいを吸い込んで水を口に含む。
こういうのはイメージの問題だ。
今口の中にあるものは水ではなく食べ物だと思えば。
「…………侘しい……。」
無理だった。空きっ腹を抱えて再び机に突っ伏す。
氷も解けて完全に空っぽになったコップが、
テーブルの上にぽつんと乗っている。
ご案内:「食堂」にヘルベチカさんが現れました。
■ヘルベチカ > 人で賑わう学食の中。
あいた机も少なければ、一人で食事をするものには不便な状況だ。
四人席を一人で埋めていれば、多人数のグループに嫌そうな目で見られる。
なれば必然。合席である。
少年は搔き揚げ蕎麦に稲荷ずしの乗ったお盆を手に、食堂の中を見回して。
「ん」
すいすい、と人の波を搔き分ければ、黒谷の座る机の前。
「すいません。机の向かい、空いてます?」
近づいてから気づいた。少女の前にコップしか無い。
知人がこれから二人分持ってくるのだろうか。
失敗しただろうか、といった表情を浮かべながら問いかける。
■黒谷 知来 > 「……あ、大丈夫ですよ。」
顔を上げれば、目の前には猫耳の少年。
そしてその手にはかきあげ蕎麦といなり寿司。
おいしそう、という言葉を飲み込んで
返事をすると、水のお代わりをもらいにいった。
■ヘルベチカ > 少女から帰ってきた返答を聞けば、ホッとした顔で。
「どうも」
頭を軽く下げ、卓上に盆を置いて、腰掛けた。
黒谷がコップを持って立ち上がったのを見て。
「なんだろ。食べ終わってたんだろうか」
首を傾げてから、ぱしん、と手を合わせた。
「いただきます」
ずるずると、蕎麦を啜り始める。
■黒谷 知来 > しばらくするとコップ一杯に氷水を入れて戻ってくる。
食べるものがないなら氷でいいじゃない。
自分でもその思考が悲しく感じたが、
財布が見つかるまでの辛抱だと思って我慢する。
実は本人の財布はカフェテラスに預けられているのだが、
それを知る由もなく。
来もしない学園の遺失物拾得係からのお知らせを待っているのであった。
■ヘルベチカ > そして少女と氷水だけが戻ってきた。
蕎麦を啜る動きを止めて、瞬きを数度。
「…………」
喉が渇いているのだろうか。
よほど塩辛い物でも食べたあとなのだろうか。
まさか金が無いから水だけ飲みに来たのだろうか。
いや、しかし、逆にここに来るのは拷問だろう。
普通であれば、他所で飲む。ここに来ることはあるまい……。
そんなことを考えながら、少年は少女をガン見しながら蕎麦の汁を飲んで。
■黒谷 知来 > 「…………。」
蕎麦の汁を啜る少年をガン見しながら水を飲む。
食べ物だと思うから駄目なのだ。
今私が口にしているのは液体だ。
同じ液体なら、きっと少年が飲んでいる蕎麦の汁と
同一のものであってもいいではないか。
そんなことを考えながら氷水を口に含む。
ほんのちょっとだけ空腹が満たされた気がして、
なんだか余計に侘しくなった。
■ヘルベチカ > 周囲からは、なんであの二人お互いに見つめ合ってるんだろう、という囁きが薄っすら聞こえてくるが、少年は気づいていない。
汁を吸ったかき揚げであるが、上面はまだ硬いまま。
噛めば、さくり、と美味しそうな歯ざわり、音を立てる。
なんでこの子俺が汁飲むのと同じタイミングで水飲んでるんだろう。
疑問だらけで、ついに。
「あの…………なんか、気になる?食う音煩いとか」