2015/06/21 のログ
黒谷 知来 > 「へっ……?」

まさか声をかけられるとは思わなかった。
無意識のうちに何かおかしなことでもしていただろうか。

「い、いえ。特にそういうことは……。」

少年がかき揚げを食べるのに合わせて氷を口に入れる。
そのままぼりぼりとそれを噛み砕k冷たっ。

でも、吐き出すのは行儀が悪いので気合で噛み砕く。
虫歯がなくてよかった、と心底思いつつ。

ヘルベチカ > 「ほんとに?いや、なんかさっきからめっちゃこっち見てるからさ」
お前もだろ、と、どこかから聞こえた気がするが、聞かなかったことにする。
眉を少し寄せて、顎を掻いて。
「口開けたまま食っては居ないと思うんだけど、気づいてないだけだったらあれだなって思って」
かき揚げを汁の中に沈めて、ふやかして。
一噛み。じゅわ、と口内に広がる、汁と油の甘み。
咀嚼しつつ、少女を見て、首を傾げる。

黒谷 知来 > 「……そ、そんなに見てました?わたし……」

無自覚であった。そしてかき揚げを見ながら氷をもう一口。
今度は同じ過ちは繰り返さない。
噛み砕くことなく氷を下の上で転がしている。

きっと氷だって飴玉みたいなものだ。
飴玉だって一袋食べればきっとおなかは膨れるに違いない。
氷だってたくさん食べればきっと天ぷらそばくらいに
おなかは膨れるだろう。

半分くらい現実逃避しながら氷を舐める。
見すぎていることを指摘されてしまったので、
ほんのり頬を染めて視線を逸らす。

ヘルベチカ > うん、と頷いて。
「めっちゃ見てた。なんかガン見されてた」
流石にこれは、自意識過剰ではあるまい。
蕎麦を啜って、数度噛んで、飲み込んで。
「えぇと、なんていうんだろ」
箸の先が、つぃ、と宙をなぞるように動いてから。
「なんか、二、三日メシ食ってない人がおにぎり見る感じ?」
冗談交じりに笑いながらそんな台詞。

黒谷 知来 > ごふっ、と妙な音を立ててむせる。
思いっきり水が気管に入った。
げほげほと水を肺から追い出しながら問いかける。

「な、なんで分かったんですか……?
たしかに今日でちょうど3日目ですけど……」

それは自白とも自爆ともいう。
少しして、「あっ」と小さく声を漏らして
口を押さえた。

ヘルベチカ > 「おぉう!」
突如吐出された水にびっくりして、慌てて盆を脇へと動かす。
相手の咽るのが止まったところで、恐る恐る盆を正面へ戻して。
「だ、大丈夫か。なんかすごい音してたけど――――三日!?」
冗談で言った台詞が、まさか当たっているなどと思うはずもない。
驚いた様子で、相手をまじまじと見て。
「何。ダイエット?」
普通であれば直球では聞けない台詞だが、少年は空気を読まず問いかける。

黒谷 知来 > 「……あー、いえ。その……財布、落としちゃいまして……
電子マネーもちょうどその日の夜になくなっちゃったんですよね……」

まさか冗談で言われたとは思わず、
完全にバレていること前提で話し出す。
テーブルに備え付けられている紙ナプキンで
水浸しのテーブルを拭きながら、
資源の無駄遣いをするくらいなら
台拭きでも借りるべきだっただろうか、と
どうでもいい思考に身を任せていた。

ヘルベチカ > 「Oh……シリアスな理由……」
口を半開きにして、眉間に皺。
テーブルを拭いている間にも、きっとカロリー消費してるんだろうな、なんてどうでもいい嗜好が頭をよぎる。
あー、と少年は少女を見て。
うー、と視線を左下に落として。
目を瞑って、息を吸って。
「これやるわ」
手を付けていなかった稲荷ずし(小皿の上に二つ)を、少女へ向かって差し出した。

黒谷 知来 > 「……いいんですか?」

反射的に聞く前に手を伸ばしそうになって
あわてて引っ込める。
確認を取るものの、その手はすでに
いなり寿司の前で待機しているようだ。

ヘルベチカ > 「これでやっぱりダメって言ったらお前俺のこと殺して蕎麦ごと食うだろ」
そんな台詞を言って笑って。
少女の手の中へ、小皿をぐぃ、と押し付けた。
「食えよ。いきなり掻き込んで食うと多分気持ち悪くなるから、ちゃんと噛めよ」

黒谷 知来 > 「あ、ありがとうございますっ……
えと、お財布見つかったら、お礼に何か奢ります、ね?」

きちんと手を合わせていなり寿司に手を伸ばす。
空腹に負けて一度に頬張るような真似はせず、
少し口に含んで丁寧に噛む。

よく噛めば少量でも満腹感が得られる、と聞いた覚えもある。
ここは目の前の少年に感謝していただくことにしようと、
ゆっくり咀嚼して、飲みこむ。

3日ぶりの食べ物の味。
甘酸っぱいお酢が染みたご飯の風味に、甘い油揚げが馴染んで
口の中にじんわりと広がっていく。
ああ、食事とはかくも幸せな物だったのか。

ヘルベチカ > 「いらんいらん。奢らんでいいからさっさと食え」
今更ながら、初対面の女子に食事を押し付けるというのは、相手の状況を考えても大胆な行動なのではないか。
そんなことを考えればなんだか恥ずかしくなったか、少年は手を引けば、丼を手に持って蕎麦の汁を啜る。
はぁ、と一息ついて落ち着いて。ちらり、と視線を相手の方に向けた。
「江戸時代の百姓じみてるな……」
あまりにも幸せそうに見える相手の姿に、思わず笑って。
「誰かに金借りれば良かったのに。学生証見せてくれれば貸してやろうか?」
少年とてそう裕福なわけではないが、今すぐに飢える程でもない。
「まさか財布になにもかも全部入れてたってわけでもないだろ?」
蕎麦をまた一口啜って。

黒谷 知来 > 「ん、んん…………。」

考える。いつ財布が戻ってくるか分からないことを考えれば、
非常にありがたい申し出である。
もっとも、申し訳なさは更に増えていくのだが。

しばし考えて結論を出す。

「……し、初対面でずうずうしいかも、ですけど……貸していただけると助かります。
でも、財布が戻ってきたらお礼はさせてください。
その……やっぱり、申し訳ないですし、
わたしが納得できないので…………。」

そういうと、ポーチの中から学生証を取り出してみせた。

【高等部2年:黒谷 知来】

学生証にはそう記されている。

ヘルベチカ > 「別にちゃんと返してくれるなら、礼とかいらんってのに」
言いつつ、制服上着の裏ポケットの中から手帳とペンを取り出した。
こちらへと示された学生証を見て。
「えぇと、二年、って同級生か。俺も二年だよ。猫乃神ヘルベチカ」
自己紹介をしながらメモを終えれば、再びポケットへと仕舞いこむ。
代わりにズボンの右ポケットから取り出したのは財布。
微妙に分厚いが、きっとポイントカードの類だ。
「で、幾ら貸して欲しいんだ?」
長財布を開いて、中に入っている札の数を、ひ、ふ、み、と数えて。
「いきなり10万、とか言われると入ってないけど」

黒谷 知来 > 「えーと、月末にはバイト代が出るので……後、10日か……
うーん……い、1万……いや、7千円くらい…………?」

自身の食費を考えて、大雑把な金額を提示する。
もっとも、普段持ち歩いている金額より大きいそれは
口に出すのも躊躇われてしまうようで。
徐々にしぼんでいく声で頼んでみる。

ヘルベチカ > 実際のところ、財布の中にはそれなりの額は入っている。
一人暮らし。生活費が入っているのだから当然である。
けれど、それを全て使っていいか、貸していいかといえば、別問題だ。
悩んだ様子でぽつぽつと口に出される言葉を聞けば。
「……いいよ。一万円貸すから、ちゃんと返せよな」
財布の中から、1万円札を一枚抜き出して、ん、と黒谷へ差し出した。
逆の手で、ズボンのポケットへと財布を仕舞いこんで。
「財布ないなら、落とさないようにどっか入れとけよ。これも落としたら笑えないだろ」

黒谷 知来 > 「す、すみません。ありがとうございます……
えと、猫乃神さん、ですね。絶対に、ちゃんと返しますから。」

申し訳なさそうにお金を受け取ると、
それを封筒にしまった上でポーチに入れる。

「えと……私は、これで失礼します。
いなり寿司とお金……ありがとうございました。」

立ち上がり、礼をする。
お金を借りてしまった引け目からだろうか。
目を合わせられない。

そのまま、少し頬を染めて食堂から逃げるように出て行った。

ヘルベチカ > 「おう。どういたしまして」
少女がきちんとポーチへと札を仕舞いこんだのを見れば、頷いて。
放置していた蕎麦に、再び手を伸ばした。
少し伸び始めてはいるが、まだまだイケる。
「いいよいいよ。困ったときはお互い様だ。ちゃんと飯食えよ」
下げられた頭に、右手の割り箸をゆらゆらと揺らして、気にするなのジェスチャー。
こちらを見ようとせず、目を緩く伏せたままの相手を気にすること無く、蕎麦を啜る。
実のところ、良いこと、というものをしてしまって、なんとなく気恥ずかしいのだ。
去っていく黒谷の姿を視界の端に捉えて。
「もう落とすなよー」
声をかけて、蕎麦を啜る作業に戻る。

ご案内:「食堂」から黒谷 知来さんが去りました。
ヘルベチカ > 「しかし、財布落とすなんて、運が悪いやつ」
すっかりふやけてぶよぶよになった掻き揚げを齧る。
咀嚼しながら、なんとはなしに、相手の腰掛けていた席を見て。
「落としたんじゃなくて、カツアゲとかされたんじゃないだろうな」
相手の雰囲気を思い出せば、なんとなくオドオドとしていた。
まさか、と思うが、ゆるゆると首を振って。
「ま、落としたって言ってたんだし、そういうことなんだろ」
ずるずると蕎麦を啜る。

ヘルベチカ > そうしてしばらくすれば、蕎麦の汁をすべて飲むかどうか悩んで、やめて。
立ち上がって食器を返却すれば、少年も食堂を後にした。

ご案内:「食堂」からヘルベチカさんが去りました。
ご案内:「屋上」に風間蒼介さんが現れました。
風間蒼介 > (放課後の屋上、一段高い場所で給水タンクに背を預け遠くの景色を眺めながら手元は自動運動のように正確に動き、紙飛行機を折りあげる)

どうにもしまらんでござるなあ
(正直に言えば自分には才があると思っていた
 千年続く異能の家系の後継者、風間の名が示す風雷の異能の発露
 先達には適わぬまでも同年代からは一つ抜けた技量…しかしそれは同じ環境で育った人間の中では優れていたというだけの事
 ここで出会った人々はそれぞれがそれぞれの道を歩み、そして強かった)

気付けただけ御の字とするでござるかね
(劣っている、とは思わない
 しかし自分ならどうにかなるだろう、という慢心があったのではないだろうか?
 壁にぶつかりながらなんとかなるだろうと
 なんて甘い…それに気付けただけでもここに来た価値はあっただろう
 紙飛行機を振り上げ、指を離れれば風を捕まえ宙に滑る、それを異能で生み出した風で捕まえ、まるで本物の飛行機であるかのように操り始める)

風間蒼介 > (急上昇、急降下、旋回…ロールとピッチを用い紙飛行機で曲芸飛行を連続して行う
 風で包み込みそれを動かせば容易い事…つまり、これが今までの自分だ
 半端に優れた力を使いこなしそれに満足していた…)

(包み込む結界を解除。力を絞り、翼端に風の力を収束させる
 スライスターンからのスプリットS、反転急上昇、捻り込み
 軽い紙で作られた飛行機は屋上という高所もあり簡単に風に煽られる
 気を抜けば制御を失いそうになるのを翼端から生み出される風の力で微調整、乱れを動きに取り込み見えない球面上をすべるように紙飛行機が飛ぶ
 異能の風という視認できる力をたなびかせさながらヴェイパーのように)

風間蒼介 > (自分に負荷をかけるためにもう一機を追加投入
 二機の紙飛行機が屋上の空を切り取り追いかけっこをはじめる
 左右の手はそれぞれ別の生き物のようにうごめき、印を切り続ける
 感覚的に発動する異能の力を術式で機械的に収束、制御。翼端から吹き出す風をベクタースラストのように操り、徐々に動きが複雑化していく)

あ、意外と楽しいでござるなこれ
(鍛錬のつもりで始めたそれは思いのほか楽しく、テンションが上がってくる
 ただ追いかけるだけに飽き足らず機銃、ミサイルといった物を視界に映る現実にオーバーレイをかけ架空の空に戦場を生み出す
      ブ ン ド ド
 さあ、イマジナリィバトルのはじまりだ)

風間蒼介 > (逃げる紙飛行機Aを紙飛行機Bが追う
 空戦の基本は連続する機位の変化だ
 わずかでも直線的な動きをすればそこを居抜かれる
 空に大小無数の球を並べその表面を次々乗り継ぎ連続させるイメージで左右へと切り返し、予測を散らしながら逃げる
 対するBはその先を予測しコンマ数秒先の敵機の位置を目掛け旋回を繰り返し追いかける
 高度を稼げば運動エネルギーが失われる、高度を使い運動エネルギーを引き出しか、運動エネルギーを使い高度優勢を得るか
 瞬間的に判断を切り替えわずかでも有利な位置を取ろうと航跡を絡ませあい、空に複雑な絵図を描いていく
 なおこの激しい駆け引きを操っているのは同一人物である)

風間蒼介 > (紙飛行機BがAを……なんかしまらんでござるなこれ
 何かかっちょいい名前を…)

飛燕……いやフレースヴェルグ?
(紙飛行機同士のドッグファイトの裏側で忍者的和風センスと高校生的ドイッチュラントセンスが火花を散らす
 いやむしろ敵対する二国同士のバトルとかそんな感じにすれば燃えるでござるなこれ!)

飛燕のほうは20代前半の士官学校卒の青年で爽やかな感じのイケメンで故郷に婚約者なんか居たりして慎重は頭一つ低めで普段から着物なんか着ちゃったりして大人占めの大和撫子で出撃の時は不安に瞳を揺らしながらも負担にならないように気丈に見送ったりして
あーこいつ爆発四散せんでござるかなあ!

フレースヴェルグの方はあれでござるな、三十台半ばのいかにもな金髪角刈りで巌のような古参兵で愛国心の強いエースで
部隊には機関により強化された金髪無感情系美少女なんかが配備されたりして戸惑いながらも接するうちに徐々に感情が芽生えて袖をちんまり摘んだりするような…
あーこいつも爆発せんでござるかなもう
(エキサイティングしてきて脳内妄想が現実に侵食を開始、いつのまにか設定が口から漏れ始めていた)

ご案内:「屋上」に湖城惣一さんが現れました。
湖城惣一 > 「……………」
 なんだか。とても具合の悪いものを見てしまった気がする。
一人紙飛行機を戦わせながら怪しげな言葉で盛り上がる少年一人。
アレはなにかの呪文か何かだろうか。
いや、最近興味をもったいわゆる"漫画"にありがちな、そう――。
「風間。君は作家にでもなるのか?」
 扉を開け放ったあと、出し抜けに声をかけた。

風間蒼介 > (フレースヴェルグがミサイルを発射、アラートからそれを察知した飛燕が反射的に回避運動を開始
 ホウセンカの如く広がるミサイルの軌道から最適解を導き出しフレアを巻きながら振り切りにかかる
 完璧な回避…そう、完璧すぎる回避だった
 ミサイルとは継続的に相手を追いかける兵器である。それは未来位置の予測を踏まえれば点や線ではなく面の兵器といよう
 そう、すなわち「継続的に相手の手を縛れる」という利点があるのだ
 最適な回避運動とはすなわち他者が計算しても同じ解を導き出せるという事だ
 先に置かれた機銃に突っ込むようにして飛燕が飛び込んでいき、しかし超人的な反射で機体を捻ることでかすめるに留まらせる
 しかし場所が悪い、エンジンは咳き込むように黒煙を吐きだし…)

どぅぶっはぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
(声をかけられた瞬間イマジナリィな戦場が掻き消える
 ミサイルも機銃も黒煙も想像上の産物であり現実では紙飛行機がアクロバティックに飛んでいただけだ
 今、それも制御を失い屋上の床に墜落していった)

ここここここここここじょう殿!?いつからそこに!?
(飛び上がった拍子に給水塔の傍から落下して、頭頂から地面にぶっささり転地逆さまに大男を見上げる)

湖城惣一 > 「飛燕……いや、フレースヴェルグ。の下りからだな」
 吹き出しどもる風間に対して、無表情に歩み寄りつつ、屋上に突き立つ覆面に対してゆっくりと手を差し出すと。
「いまのは空戦か? 見たところ、機銃と誘導弾による戦闘を想定していたようだが」
 ――そのイマジナリィな戦場の一部を、なんとなく介していた。
これもブジツの成せる技に違いない。或いは最近読んだ漫画の影響かもしれなかった。
「なかなか興味深いつぶやきと、鍛錬だった」
 と、紙飛行機と覆面を交互に見つめながら。
「で、作家にでもなるのか。君は」
 とりあえずもう一度ブッパした。

風間蒼介 > ぐおおおおおお、拙者の夢が現実に流出したあたりからモロ聞いてござったよこの御仁……!
(しかし彼に罪はない、罪はないのだ
 あるとすればそれは自分自身、エデンを追放された罪深き翼…あ、これ二人が共闘するボスに使えそうな…
 未だに夢から帰ってこない思考をぶんぶんと首を振って振り払い
 過呼吸気味にひゅうひゅう喉のを鳴らし肩を揺らす)

う、うむ…紙飛行機を異能で操って鍛錬してござったが
それだけではつまらんと模擬戦的な試みを始めてつい夢中になってしまったでござるよ
(差し出された助け舟と手を掴みなんとか持ち直す
 そう、自分がやっていたのは鍛錬だ
 そこに少しばかり色をつけただけ、なんの問題もない)

かっふぉぉ…
(しかし助け舟は泥舟であった
 いたたまれない気持ちが場を支配する
 たとえるならエロゲやってるところを母親に見つかったらパソコンのお勉強えらいわねとか言われたそんな感じのアレである
 耐え切れず膝から力が抜け、崩れ落ちる)

湖城惣一 > 「…………」
 他者の感情というものに対して、あまり理解のない彼であったが。
いや、これは流石に分かった。明らかに悶絶している。恥ずかしさで。
「いや、最近俺も漫画を読み始めてな。そういうのも悪くはないと思っていたんだが……」
 途端、崩れ落ちる忍者の姿。あ、死んだ。明らかにこれはダメだという感じがする。
追い打ちをかけてしまった気さえする。
彼にとってなかなかこういう状況を打開することは難しい。ここは漫画で学んだ最強の呪文に頼ってみることにした。
「どんまい」
 アンド肩ポンである。

風間蒼介 > (ぽんと置かれた手のひらが巨岩を叩きつけられたかのように心を折りに来る
 善意というものは本来他者を益する感情である、そこに害意など混ざりようがない
 しかしながら感情というものは原初の呪術である
 単純な善意悪意にはじまりその人間の行動に対し影響を及ぼす非物理的な力
 で、あらば、シチュエーションとその時の心情によっては何よりも深く抉りこむ刃となるのである
 完全にぶち折れた心はビクンビクンと物理的に筋肉を震わせ潰れたカエルのような姿を晒すのみであった)

あ、湖城も読むんでござるな、漫画とか…そういえば出合いもそんな流れでござったし
(ぜぇぜぇと息を切らしながら体を起こす
 このまま潰れていては善意という名のダウン追い討ちがぶっ刺さると必死であった)

湖城惣一 > 「ダメだったか……」
 やはり思考停止したように、覚えたばかりの言葉を使っても仕方がない。
そもそもどんまいがどのような意味の言葉なのかすら分かっていなかった。
 相手の苦悩もつゆ知らず、ひとまず近くのベンチに腰掛けながら問いに答える。
「ああ。ごく最近……というか。あの本がキッカケだが」
 ちょっとどころではなくエッチなブロマイド付き限定版コミック。
あれがなかなかどうして面白かった。
初心に近い彼の精神をガクガク揺すりにくるところがなくもなかったが、
それを差し引いても、エロ抜きでも十二分に楽しめたという奴だ。
「君はよく読むのか? 良ければ君推薦の一品でも聞かせてほしいところだが」

風間蒼介 > ああ……初手がアレってかなりのツワモノにござるなあ…
(もしやエロ重点て選んだのでござろうか?
 などと思いながらベンチに這い上がり、重力十倍攻撃でも喰らっているかのような重さで背もたれに体を預け、ふはっと一息、ようやく落ち着いてきた)

そうでござるな、地元は田舎でござったし娯楽が少なかったので自然ああいう趣味にハマったんでござるよ
外で体動かしたら自然な流れで死地に叩き込まれる里でござったからなあ……
あ、いかん要らん記憶の蓋開きかけたでござるよ…うむ
オススメでござるか…逆に聞くでござるが湖城殿はどういった物が好みでござるかね?
方向性が判らんとちと選びにくいでござるよ

湖城惣一 > 「君が物欲しげに見つめていたのでな。一つ、興味が湧いたというところだ。
君があの時受け取ったらば、こうして漫画を読むこともなかったかもしれん」
 えろすはほどほどに。過激な肌色との接触はちょっと危険な赤色をしていた。
 ひとまず横に座った風間のほうを見やりながら、己の顎を撫でて思案する。
「好みか。ある程度人の感情に沿ったもののほうがいいな。
悲劇よりは喜劇よりの話。ジャンル、というのか。ああいうものについてはまだ詳しくはない。
……といったところだが、他になにかあるか?」
 実直に、問われた言葉を吟味して。悩みながら吐き出した言葉。
目の前の彼はなかなか話しやすい好人物にも思える。
作家も目指していそうだし。

ご案内:「屋上」にエリナさんが現れました。
風間蒼介 > こふっ……
(物欲しげに、の一言に再び吐血しそうな声を漏らし上体が揺れる
 この御仁的確にジャブ入れて削ってくるでござる…)

失礼、まったく奇縁という奴でござったなあ…
ふむ喜劇よりの話でござるか……ギャグに走ると波長合わんかったらキツイでござるしなあ
判りやすいハッピーエンド系の作品でも……
(なんでござろうか?拙者の忍者洞察力がめっちゃびんびん言ってるでござる
 これはアカン系の感情を抱かれていると…最もその詳細までは判らないが)

そうでござるなあ、漫画を一切読んだことないと言うならばまずは王道というかメジャーどころからが良いでござるかね?
となると……このロシアより他意を込めて、というのはどうでござるかね?
ロシア美少女の転校生が実は子供の頃ちょっとだけ遊んだ事のある相手だったというラブコメディでござるな
(まあ実際のところは表面は純な美少女ながら内面はめちゃ計算高かったりしてくっつくため色々な策を仕掛けてくるというコメディ要素重点だが
 なお肌色シーンもちょくちょく挟まれる良作である)

エリナ > 何となく息抜きをしようと屋上へと足を運ぶエリナ。
するとどうだろう既に屋上には先客が居るではないか、お邪魔してはなんだしと扉を閉めようとしたその時、彼らの話し声が聞こえたのだ。
本、悲劇よりは喜劇、ジャンル、ハッピーエンド系……漫画だとは露知らず興味を惹かれる単語である。

「なにやら面白そうな事を話しておいでですね、どのような……。」

魔道書の力を利用し、己の影から風間の影へと瞬時に移動する【影渡り】を行い彼らの真後ろから懐を覗き込むのだ。

湖城惣一 > 「まあ、趣味はひとそれぞれだろうからな。俺も当たり外れは大きい。ただ、確かにこういった奇縁ができることもある。
それは感謝したいところだな」
 らぶこめでぃ。風間が提示してくれたそれは、面白いのか面白く無いのかまだ判別はつかない。
 だが、少なくとも勧められた以上、それだけの価値があるものなのだろう。
あとは、合うか合わないか。ロシアより他意をこめて。確かに心に刻んだ。
「なるほど。ロシア。君も故郷で長い事暮らしていたということは、やはりそういったロシアの友人などを作れるならば嬉しいのか――」
 などと話を振ろうとしたところ。背後に現れた気配。
敵意がない。殺意もない。害を与える気配も感じない。
故に、ひとまずは平然と見上げた。
「……君は?」

風間蒼介 > いやぁ、拙者としてはこの子供の頃の思い出の女の子との出会いというシチュがなかなか
あとはヒロインが計算高くてあざとい気味に攻めるんでござるがその空回り具合と一途さが可愛うござってなあ
(フフフ、と楽しそうに笑いながら見所の紹介を
 なおヒロインが銀髪貧乳というのもこうポイントで…)

む……!?なにや…つ……?
(扉が開く気配に顔を上げかけ、続く魔道の気配に即座にスイッチが入る
 術式を読み込むほどの才は持ち合わせていない、ために使われるのは皮膚感覚
 触れるのは風を押しのける感覚…すなわち転移系、素早く振り返り…懐を覗き込む視線と至近で視線がぶつかりあう
 一言で言うならば美人であった、二言で言うならばめっちゃ美人であった
 金髪ポニテというのもポイントが高い、あとなんかいい匂いがした
 即座にオフになる忍者スイッチ、トコロテン方式で入る男の子スイッチ、生まれた結果は硬直であった)

エリナ > 「きゃっ……!」

風間との距離はほぼゼロ、ほんの僅かな隙間だけが辛うじて分け隔てているのだ。
さすがのエリナもその距離感に思わず声を上げて離れるであろう。

「ごめんなさい、まさかそんな反応をされるとは思わなくて……私はエリナ・ハークライトと申します。」

一旦、距離を開き落ち着いてからスカートを少し持ち上げ優雅にお辞儀をする。

湖城惣一 > 「なるほど……」
 真剣な気持ちで風間の解説に聞き入っていると。
例の乱入者の少女の姿で明らかに彼は硬直していた。
 自分も肌色多めであったらどうなるか分からなかったが、
ひとまず彼よりは平静であった。
「なるほど。エリナ・ハークライト。俺は湖城惣一、二年だ」
 隣の彼はしゃべることができるだろうか、と風間に向かって視線を向ける。

風間蒼介 > あ、もも、申し訳ござらん!
急に背後に気配を感じたので振り返っただけで決してそんなつもりは!
(明日の学内新聞の三面を飾る自分の姿を幻視してヤバい!と鼓動が早くなり息が荒く…あ、これ状況的に悪化要素でしかござらんなあ!
 と焦っていたら向こうから謝られ、泳いでいた目が溺死寸前でなんとかリカバリを果たす)

あ、いやこちらこそ…申し訳ござらぬ。拙者風間蒼介ともうして1年でござるよ
(彼女が礼儀正しくお辞儀をすれば、こちらも膝に手をつき、頭を下げる)

エリナ > 「まあ、湖城さんは同学年ですね! 風間さんもよろしくお願いいたします。」

常世学園に数多くの生徒が在籍しているが、存外交流という物は起こりにくくこういう機会じゃないと知り合いが増えない。よき学園生活を送るために交友関係を増やすにはある意味絶好のチャンスなのかもしれない。

風間の様子を伺い彼女は思った。
息が少々荒いようだ、ひょっとしたら驚かせすぎたのかもしれない。
申し訳なさが彼女の心をチクリと刺す。

「あの、風間さん少々息が荒い様ですが大丈夫ですか?」

心配そうに声を掛け、顔を覗き込もうとするだろう。
再び距離が縮まる二人、己自身が原因だなんて微塵にも思わず無防備に接するのだ。

湖城惣一 > 「ああ、これも奇縁か。……よろしく頼む」
 こちらは波風もなく穏やかなものだ。風間もどうやら体勢を立て直したらしい。
そもそも何故体勢を崩したのかも分かっていなかったが、それはそれ。問題はなさそうだ。
 だがしかし。風間の顔を覗き込もうとするエリナの姿を見て。
何か予感めいたものが背筋を駆けた。
 また、繰り返すのではなかろうか。

風間蒼介 > ああ、となると先輩でござるかハークライト殿は
(この学校は見た目と年齢が食い違っている人間もいれば噛み合っていても学年が違う事もある
 実年齢は伺えないが年下であろうとも先輩ならばと居住まいを正して…)

いいいいいやいやいや!別に拙者ぜんぜん荒うなってござらんよ!?
めっちゃ平常心でござるし煮えたぎるほどに!
(深呼吸深呼吸…あ、なんか甘いというかなんというか…違うこれまた事案沙汰でござるよ!
 落ち着け、落ち着けばこの連鎖は止まるはずでござるよ…と…必死に気持ちをなだめにかかる
 本人は気付いていないが風間の血が薄められた妖魔の血に反応しているだけなのだが)

い、いやちょうど湖城殿と好きな本の話題で盛り上がってござって…な!?
(な?と強引に話を振るというかぶん回す事で状況を変えにかかる)

エリナ > 「どもってますよ? やはり何か……。」

何かしら体調不良なのだろうと判断を下し、熱を測ろうとそっと彼の額に手を当てようとする。

「そう言えば本の事について話されていましたよね、聞くつもりは無かったのですが聞こえてしまいまして……。」

申し訳無さそうに苦笑いしつつ『それでどんな本について話されていたんですか?』と本が好きなのだろう期待の眼差しで質問する。

湖城惣一 > 「どう考えても平常心ではないどころか、心拍数も上がっている様子だが」
 目の前の少年の様についつい突っ込みつつ。
彼の血に気づいているか気づいていないかは曖昧だが、特段そこを気にする彼でもない。
 ひとまず、仕切り直しのために風間、エリナとの間にスペースを作るように座りなおして。
「ああ。何かいい本はないか、と訊ねられて……ロシアより他意をこめて。銀髪美少女の幼なじみとのらぶこめでぃだったか」
 止められなければ、かたられた内容をべらべらしゃべりだすことだろう

風間蒼介 > ……
(たおやかな指の動きは緩やかなものだった
 剣林弾雨の中を駆け抜けた経験からすれば止まっているようなもの
 しかし動けない、避けれない…意識の隙間を縫う自然体の動き、これが無拍子と呼ばれる奥義だろうかと…
 額に触れられればうそ臭いほどに整然とした霊気がアホ臭いほどに荒れ狂っているのが判るだろうか?判らなくてもDTくさいほどに発熱しているのは容易にわかるだろうが)

……うむ、まあ湖城殿が漫画初体験ということでわかり易いジャンルをチョイスしたんでござるよ…
いやこれがなかなか学生特有の悩みなんかも面白おかしく触れてござって…な?
(かっこつける間もなく暴露され微妙に目を逸らし、しかし否定するわけにも行かずに話しを続ける
 ちなみに作中の学生特有の悩みというのは部屋に遊びに着た女の子がエロ本の隠し場所近くに陣取った男の焦りと、それを探り当て性癖を把握しようとする女の心理戦という内容であったが)

エリナ > 一瞬だけ風間の額に触れるが湖城の仕切りなおしにより離れてしまう。
そんな一瞬では正確に測れないが意識はしっかりとしているようだし大丈夫、と自分に言い聞かせるように思うのであった。

「漫画ですか……てっきり私は文学かと思っていました。
 そのロシアより他意をこめて……というのは私でも楽しめますか?」

湖城の説明に興味を持ってしまったエリナ。

湖城惣一 > 「さて。実は小説の類もあまり読んだことがなくてな。君も何か良いものがあれば聞きたいぐらいだが」
 多少、嗜好品の類に興味が出てきた男である。長い時間をかけて、ようやく、といった具合だったが。
「俺も楽しめるかどうかまだ分からないが、風間が勧めるということはそれだけの価値があるのだろうよ」
 まだほとんど顔を合わせていない相手であったが、その態度は信用できた。
故に、率直にエリナへと最大限の賛辞とも言える感想を述べていた。

風間蒼介 > (手が離れればホッと一息を吐いて居住まいを正す
 ほんのり惜しかった気もするが
 ほんのり惜しかった気もするが)

なんだか信頼が痛いでござるが湖城殿には楽しめると思うでござるよ?
ただハークライト殿にはどうでござるかなあ?
これ基本男の子向けでござるし、その辺にターゲットしぼってござるからなあ…
ハークライト殿は小説寄りの趣味なんでござるな
拙者も乱読家ゆえそれなりに読むでござるが
(そっち方面で彼女が読んでなさそうで良いのあったかなあと記憶を漁って)

エリナ > 「そうですね……私のお気に入りは『アリオスの鎖』ですね。
 アリオスという若者がドラゴンスレイヤーと呼ばれるまでの人生を描いた作品です。」

何でも、情景の描写もさることながらテンポの良さも両立させるその技術が凄いのだと言う。
また彼女は魔術書や魔道書には目がないようで良く読んでいるそうだ。

湖城惣一 > 「……?」
 信頼が痛い、と言われても。
「なに。俺の言葉を吟味して選んでくれたものだろう。いい加減に物を贈るたちには思えなかったのでな」
 風間の言葉にはそういって返しつつも、ゆっくりと立ち上がって。
「アリオスの鎖、ドラゴンスレイヤー……竜殺しか。俺も竜と斬り合ったことはないな」
 退魔として、化身ではなく正真の"龍"とやりあう機会などまず無い。
それこそ神にも等しい存在であるからして、斬る必要のある竜とは出会うことがなかった。
「なるほど。そちらも心に留めておこう」
 一度首肯し、何歩か歩くと振り向いて。
「悪いがこの辺りで失礼させてもらおう。色々と助言、感謝する」
 竹刀袋を担ぎ直し、そのまま扉から歩き去っていき。
「そうだ」
 階段を降りる手前で振り向いて。
「もし何か書くのであれば、是非読ませてくれ、風間」
 さらっと話を掘り返していた。

ご案内:「屋上」から湖城惣一さんが去りました。
風間蒼介 > ほほう、ドラゴンスレイヤーでござるか、王道でござるなそれ
(興味を引かれたのか気後れも忘れてぐいっと行く
 タイトル的に古典ファンタジーだろうか?)

ああいった物は流行りに囚われない独自の慣性押し出していくでござるからなあ…
なるほど図書館で探してなさげなら書店めぐりコースでござるな
(興味を持った本は即買う、それが乱読家の習性であった)

まあ他人に勧める以上は楽しんで貰いたいでござるからなあ
とはいえその趣味をはじめようというところに勧めるのでござるしひやひや物でござるよ…
ああ、たしかに龍退治は浪漫でござるなあ…やったら高確率で死にそうでござるけど
(蒼介も出は退魔の家系。ゆえに強力なモンスターというより神霊の類を想像して)

うむ、それではいずれまた……こふっ
(不意打ちだった、完全な不意打ちだった
 湖城の投げかけた言葉に打たれたように仰け反り、ゴヅッとベンチの背もたれに後頭部が激突する)

エリナ > 「そうですね、ただ王道と言うと少し違う気もします。切ないお話の様な……。」

エリナはネタバレする事を避けた。それは実際に読んで確かめてもらいたかったからだ。

アリオスは数々の試練を乗り越え竜を屠りドラゴンスレイヤーと称えられる英雄となった。
だが、その力は人の身に余るものでそれを恐れた人間達により鎖に繋がれ命を落とす……という話である。

「作品? 風間さんは作家さんだったのですか?」

凄いと尊敬の眼差しを風間に送る。その瞳には疑いの色なんて全く無かった。

風間蒼介 > 切ない系でござるか…なるほど、拙者だとその辺ヒロイックな物を選んで手に取るでござろうからなあ
少し違う趣味を持った相手と話すとジャンル幅広がるのが楽しいでござるなあこれ
(選択肢として提示された場合自分なら初期の段階で外しにかかるようなジャンル
 だがしかしそれでも惹かれたのは確かで、こうして趣味の幅が広がる経験というのは楽しいもので)


……いや、こういうのがあればいいなぁとか理想の作品を口にする程度で拙者創作能力など…
その辺湖城殿はこういう物に慣れておらんので拙者を過大評価しただけかと思うでござるよ…いやほんと
(詳細を求められれば先ほどの妄想を口にするハメになるだろう
 正直騎士の時代が終わり空に戦場を移しながらも、まだ戦場にロマンチシズムの介入する余地のあった時代に生きた飛空騎士だの思い浮かんだ設定は口にしたかったが
 設定だけあっても作品足り得ないのは彼女ならば百も承知だろう、ならばこの秘密守り通す)

エリナ > 「王道の中の王道ゆえに人を惹き付けるのでしょうね。」

もちろん王道が嫌いと言う訳でなく、それはそれで好きなのである。
ああ、こうやって本について語り合えると言う幸せ!
この一瞬一瞬が狂おしい程楽しくて仕方が無い!

「まあ、ご謙遜ですね?」

くすくすと上品に笑うエリナ。
少しだけ湖城と風間の仲の良さが羨ましく感じ、思わず『良いなぁ』と呟くのだ。

風間蒼介 > アレでござるな、なんだかんだで切った張ったの活劇ものが好きなんでござろうなあ拙者
無論、それ以外のジャンルも読むでござるが
勧められた物も惹かれたので今度読んでみるでござるよ
(財布の中はそれほど充実しているわけではないが、ハードカバーでもせいぜい4食ほど抜けば買えるだろう
 それならば山に篭って野鳥や魚を捕まえれば十分しのげる、迷う必要はない)

いやいやいやいや、拙者短編の一つも書いた事ござらんしそれで作家名乗ったら恥何重塗りでござるかこれ
(ぶんぶんと激しい勢いで首を振る
 設定ノートなら入学前に実家の裏山に埋葬済みで存在したが)

エリナ > 「男性の皆さんはそういうものがお好きですものね!
もし私の私物で良ければ『アリオスの鎖』をお貸ししましょうか?」

言うや虚空に手を伸ばし辞書の様に分厚い一冊の本を取り出した。
タイトルは勿論『アリオスの鎖』である。
大事に保管されているのだろう、傷一つ無い綺麗な状態だ。

「ふふふ、風間さんは面白い方ですね。」

彼の仕草がエリナの目には面白く映っているようで、くすくすと笑っている。

風間蒼介 > 三国志とか水滸伝とかあの辺からハマったクチでござるからなあ
む、良いのでござるか?なにやら大事そうな本でござるが…
(本というのは脆い、本棚へ出し入れするだけでも細かなダメージが蓄積し、それが傷やヨレになっていく
 だがこの本にはそれが見られない、それはただ大事にするというより一段上の気遣いが必要だろう)

しかし借りっぱなしというのもなんでござるし何か拙者も出すべきでござろうな
というかオススメ交換とか、ちと憧れのシチュでござるし
(彼女の言動、取り出した本の雰囲気から好みの傾向を模索し、頭の中にタイトルを大量に並べては一つ一つ削って候補を減らしていく)

エリナ > 「英雄の方々の活躍劇や打ち立てた功績は心を揺さぶるものがありますよね!
ええ、構いませんよ。風間さんであれば大事に扱ってくれるでしょうし何よりこうやってお気に入りを紹介できるのって凄く素敵な事だと思いませんか?」

にっこりと笑うエリナ。
風間や湖城と出会ってそんな時間は経っていないが信頼できる人物だと思っている。
ならば、思い出や趣味を共有して行った方がきっと楽しいに違いあるまい。

「憧れ、ですか?」

風間の言葉に首を傾げる。
恐らく意味を理解していないだろう、いいや理解していないに違いあるまい。
とりあえず、お互いに本を貸し合うという事なのだけは分かっている。

風間蒼介 > あ、そういうの好きでござるか?ならば選択肢結構広がるでござるな…
ふむ、ならばその信頼を裏切らぬよう大事に扱わせていただくでござるよ
(懐から朱色の巾を取り出し、本を受け取ることにし
 丁寧に包めば忍者式収納空間に収める
 薬包を入れて水に飛び込んでも全く濡らさずに済むという優れものである)

うむ憧れでござるな。ハークライト殿の言うようにお気に入りを紹介しあうというのは同じ趣味の新しい物を知れるという喜びがござるし
それに趣味の仲間が増えるというのは喜ばしい事でござるよ
(まあ若干シチュエーション的な浮ついた気持ちが全く無いわけではないが)

では拙者はそうでござるな…セルリアンブルーの空にという本を今度持ってくるでござるよ
こことは違う世界、騎士が馬でなく航空機に乗る時代で戦争中の二国の英雄にスポット当てた作品でござってな
(ぶっちゃけ先ほどの妄想のパク……着想元である
 現実世界の戦闘機と違い馬の鞍のようなコクピットに納まりファンタジーともSFとも取れない独特の世界観が好みだった
 人間関係のドラマもロマンスもあるし英雄物語でもあるあたりおそらくこれが良いだろう、と)

エリナ > 「そうですよね! ふふ、同じ趣味の仲間……ですか。
だったらハークライトじゃなくてエリナと呼んで頂けますか? だって仲間なんですもの!」

仲間と言われたのが余程嬉しかったらしく満点の笑顔である。
その原因は特殊な出自にもあるのだが……。

「面白そう! お借りする時が楽しみです!
いけない、そろそろ行かなきゃ……風間さん、私もそろそろ失礼致しますね。」

再びスカートを持ち上げお辞儀をし出入り口の扉に手を掛け振り返る。

「機会があれば一緒にどこか遊びに行きたいものですね! それではごきげんよう!」

そして扉の向こうへと消えていったのだ。

ご案内:「屋上」からエリナさんが去りました。
風間蒼介 > む…これは習い性ゆえ決して余所余所しくしているわけでは…
いや、努力はするでござるがね?
あ、うむ、それではいずれまたでござるよ
ハークラ…あー…え、エリナ殿?
(こちらが若干驚いてしまうほど嬉しそうに楽しそうにする姿には口を挟めるわけも無く
 素直に彼女の要求どおりに名を呼びゆらゆらと手を振って見送る
 洋風な名前でよかった、和名ならもう少し呼ぶ時にどもっていただろう、と)

では返って早速読むでござるかね、これ
(と立ち上がれば屋上を後にする
 後日エリナには全十巻の新書サイズの本が渡される事になるだろう)

ご案内:「屋上」から風間蒼介さんが去りました。
ご案内:「屋上」に和泉 兼次さんが現れました。
和泉 兼次 > いつもと変わらない様子で屋上の扉を開けて入ってくる。
…さすがにまだ暑い。空調の効いた室内とは違う。

とは言え人が少ないほうがいい、と判断しての屋上だ。

ベンチにどさっと学生鞄を置くと、自分も腰掛ける。
鞄をあけて、中から大判の封筒を取り出した。

和泉 兼次 > ビッ、と大雑把に風を切って何枚かの紙面を取り出す。
封筒には『CTFRA判定結果』と書かれていた。

えーっと、と呟きながら結果を見ていく。
一応試験前だから受けておいた。
とは言えそうそう結果が変わるものでもないだろう。

ぼんやりと眺め始め―――。
「…んん?」
といきなり首を傾げるハメになった。

和泉 兼次 > 「おかしいな。」
一つ呟く。

評価が『下がっている』。
学園にきてそれなりに授業も受けているし、
割と日常的に異能も使ったり触れている。
上がりこそすれ下がるというのはあるの?

そう考えると首を傾げた。
特に強力な異能でもなし、制御も入学当時から問題なかったはずなのだが。
「…Ⅱ-4だったはずなんだけどなぁ。」
思わず疑問を呟いてしまった。

和泉 兼次 > うーん、と首をかしげながら読み進める。
一番最後。
備考、というか特記事項の欄。

『無自覚の能力有。使用には充分留意する事。後日再試験。』

とだけ書かれていた。
「……なんだそれ。気持ち悪。」
内容くらい知らせようよ。割と本気でそう思った。

和泉 兼次 > 明度調整だけだったんだけどな。
そう思いながら、他に変わった事がないかと探し始めた。

…日曜日に屋上で書類とにらめっこする男子高校生。

和泉 兼次 > やれやれとため息一つ。
それ以外に特に変わった事はなかった。
後日再検査。せめて内容だけでも知っておければなぁ。

書類を封筒に戻し、封筒を鞄に戻す。

「…。何なのやら。」
軽く自分の周囲を明滅させてみる。
明るい日中では、明度を上げてもさほど変わらない。
下げればまぁ…それなりには目立つ。
これ以外に何があるっていうのか。首をかしげながら、ベンチに深く腰掛ける。

和泉 兼次 > 日の照る場所でぼうっとするのは気持ちいい。
期末考査が近い事もあって普段より少し夜が遅いのもあって眠くなってきた。

…しかしここで寝たら寝汗が酷いんだろうなぁ。

そう思いながら、徐々にうとうとと眠気に任せていく。

和泉 兼次 > ぽつ、と頬に当たった冷たい感触で目を覚ます。
「ん…。」

ぱらぱらと小さな粒が当たり始めた。
やば、と小さく呟いて鞄を引っつかむ。
そのまま屋上のドアへと駆け出した。

ご案内:「屋上」から和泉 兼次さんが去りました。
ご案内:「屋上」にユーユン・レイさんが現れました。
ユーユン・レイ > 昼休み。
会話溢れる教室を後にして、訪れたるは屋上。
日陰に陣取って本日の昼食を広げる。
特別な物でもなく、購買で買ってきたツナサンド。
後ろに人が並んでいるのも知らぬ顔をして、食堂備え付けのトースターでじっくり焼いてきたやつであった。

ユーユン・レイ > 騒がしいのが嫌いな訳じゃない。
ましてや会話が嫌いとかではない。
そうではないが何を話していいのか分からない。
なので結果としていつも昼食は一人だ。朝食や夕食もだが。

「おいしい…」

サンドイッチを一口齧って一言。
まだ冷たいツナサラダとさくっとして温かいパンの取り合わせが非常に良い具合であった。
心の中で思っていればいいのに、と自分でも思う。
思うが言葉を忘れてもいけないので喋ってみた。
それはそれで何か空しい。

ご案内:「屋上」に犬飼 命さんが現れました。
犬飼 命 > 屋上の扉が開く。
長身の男、風紀委員の制服を羽織っている。
頭には猫が乗っている。
その組み合わせはいささかギャップが有る。

「……先客がいたか」

ユーユンの存在に気がつくとボソリとつぶやく。
かと言って他で食べるきでもなくちょうど対面するような位置のベンチに座る。
袋から焼きそばパンを取り出すと口にくわえ、さらに猫缶を取り出した。
頭から降りた猫は待ちわびていたかのように開封された猫缶へと飛びついている。

そんな不思議な光景が目の前で繰り広げられ、思わず目が会った。

ユーユン・レイ > それでも美味しい物は美味しいのは幸いだと思う。
世の中には皆で食べないと美味しくないと言う人間もいるのだから。
そう思いながらもう一口。
ここで野菜ジュースも啜っておく。
栄養のバランスも大事だから。
体には結構気を使っている。そのはず。
それでも異能とかそういうのは目覚めない。そりゃあ話も会う訳ない。
……などと思っていると屋上に何か新しい臭いが現れた。
確かめるまでも無く目の前に陣取るその男、ともう一匹。

「……どーも」

相手は風紀委員、影では凶犬なんて呼ばれている男であった。
喧嘩早い不良、と言う評判であったが。
猫に優しくする人間に悪い人はいない、はず。
目が合ったので会釈して、続けて餌を貪る猫にも目をやった。
優しくしてくれる人がいて良かったね、と言う視線。

犬飼 命 > 「……お、おう」

一瞬ためらって挨拶を返した。
人の顔を見れば皆避けていくものだから知り合い意外に声をかけられるというのは慣れてはいない。
よく見れば動く猫の耳、揺れる黒いしっぽ。
なるほど、異邦人と思うと同時に、猫の獣人かと。
焼きそばパンを咀嚼し飲み込んで、たがいにちらちらと。
挨拶を交わしただけで妙な空気。

「……欲しいのか?」

なんとなく切り出した言葉。
半分ほど食べられた猫缶を差し出す。
あまりにも失礼な言葉だったかもしれない。

ユーユン・レイ > 挨拶はしたものの何見てんだとか言われると思っていた。
だってあの目つきからしてそのくらい言いそうだし。
自分の目つきの事は棚に上げておいて、躊躇いがちとは言え普通に挨拶が返って来たのに少しびっくりした。
だからと言って急に不良(と言う噂の)先輩との会話が弾むことも無く。
様子を伺いあいながら食事を進める。
もし話しかけるとしてどう切り出す?
猫の話?何で風紀委員に、とか?いっそ首輪の話でもしてしまうべき?
気まずさに脳内でシミュレーションを始めてしまったまさにその時、先制攻撃を受けた。

「…は?」

ここまで間抜けな声が出せるとは自分でも思っていなかった。
全くもって予想外だったのだ。
予想外すぎて目元からも力が抜けきった。
ぽかんと開いた口がただでさえ幼い顔を強調する。

犬飼 命 > 「……」

自分で言っておいて何を言っているのかが解らなかった。
ただなんとなく頭に浮かんだ言葉が口に出ていた。
だって猫だし。
冗談というつもりでもなく、挑発しているわけでもなく。
本当にただ心に浮かんだ言葉が出てきてしまったのである。
だって猫だし。

「……っ!」

目をそらす、なんと言い訳しようか。
午後はゴメンというべきだろう。
しかし謝るにしても変にプライドが邪魔をする。
迷った挙句でた言葉は。

「その……食べれるかと……思ってな、猫っぽいし」

ユーユン・レイ > 「た、食べれるとは、思いますけど…」
これは気まずい。
あの"凶犬"がちょっと居心地悪そうにしている。
きっとこれはあれだ。
ぼっちでご飯食べてる後輩を冗談で癒そうと思ったら、その後輩がネタに気付かず潰しちゃったとか。
そういうあれだ。
きっと悪い人じゃないって初めに直感したんだ、それを大事にしよう。

「ほ、ほら、でも食べちゃったらその子に悪いですし…それに奢りなら人間の食べ物の方が好みかなー?」

取り繕おうとして余計な事まで言ってしまった気がする。

「な、なーんて……」

慌てて言葉を付け足して、冗談ですよ、と言うのをアピールしてみる。
大分小さな声になってしまったがきっと聞こえていると信じたい。
悪印象を与えていないか今後の展開にびくびくしながらツナサンドを大きめに一口。
さっきまで一人でもご飯が美味しくて幸せだと思っていた。
今もそう思う。
二人になったら味が分からなくなってしまった。

犬飼 命 > 「そうか……」

顔を手で覆う。
これはあれか、いわゆる滑ったというものではないだろうか。
明らかに相手は引いている。
何故声をかけてしまったのだと公開をする。
見てみろ目の前の女子生徒は明らかに気まずそうな雰囲気だ。
差し出した腕に猫が飛び乗り残りの餌を食べている。

「……ハァ」

バカらしさでため息が出た。
だが、ユーユンに取ってはまるで苛立ちによるため息に見えるかもしれない。
焼きそばパンを半分ほど咀嚼しながら考える。
なんとか挽回の手段を考える。

「……てめぇ、名前は?」

名前を聞いてそこからだと考えての事だったが……。
これでは駄目だその言葉では威嚇にしかならない。

ユーユン・レイ > 手で覆われた顔、そしてこのため息。
何だか失望させてしまった様に感じられる。
と言うか結構イラッと来ていらっしゃる?と思えたのであった。
流石に急に殴りかかってきたりとか、そこまで怒らせてはいないようだが…頑張れとにかくこの場を乗り切れ!と心中で自分を鼓舞する。
それには何か言わなければ。
とりあえず謝っておこうと口を開きかけた瞬間、名前を問われた。

「にゃっ!?……ユーユン、ユーユン・レイです……」

耳も尻尾も全力で『今ビビッてます』と言わんばかりにピンと立った。
正直に名乗って良かった物か。
万一今相手を怒らせていたとして、喧嘩を売られてもその場は何とか逃げおおせる自信くらいはある。
だが風紀委員が相手となるとその後が心配だ。
考えがネガティブな方向へどんどん進む。
その心中を表す様に、立っていた尻尾と耳がへたっと倒れてしまった。