2015/07/18 のログ
ご案内:「保健室」に蓋盛 椎月さんが現れました。
蓋盛 椎月 > 「三角巾、綿球、包帯……OK、OK」
バインダーを片手に、戸棚の前を往復。
日課である備品のチェックを済ませていた。

余っている絆創膏や包帯を勝手に来客にあげてしまったりと
雑な管理をしているが、在庫の残りだけは
最低限きっちり確認しておかないとならない。
緊急事態になってアレがない、コレが足りないでは困るからだ。
本来であればきっちりと使用記録を取るべきではあるのだが。

「あ~こういう地道な作業ってやっぱ苦手……」
首をコキコキ鳴らす。

蓋盛 椎月 > デスクに座り、バインダーから外したチェックシートを
所定のケースに収める。

「ふう」

蓋盛が大雑把な性格というのもあるが、
常世学園の保健室は細かな管理が難しい。

本土の一般的な学校の保健室のように、
ちょっとした怪我や体調不良で訪れる生徒ばかりではない。
それに加え、生徒の持つ危険な異能、それによって引き起こされる
怪我が後を絶たないのだ。

強力な異能――ではなく、むしろ、“弱い”とされている異能のほうが、
蓋盛の経験則上危険である。
弱い、発展段階の異能は使い手本人が制御できておらず、
自身や周囲に被害をもたらしやすいのだ。

備品チェックを済ませる直前に、自身の発火系異能の暴走によって
つくられた火傷の治療に訪れたのも、CTFRAで言えば第一段階の生徒だ。

もちろん、強く、かつ制御できていない異能者は、いる。
しかし――学園の生徒ではいられない。
かつてのウェインライトのように。

ご案内:「保健室」に神宮司ちはやさんが現れました。
神宮司ちはや > (とんとん、と保健室の外から控えめなノック。
 そろそろっと扉を開けて中を覗き込む)

失礼します、えっと蓋盛先生はいらっしゃいますか?

(保健室内の人影を探すように見渡した。)

蓋盛 椎月 > 事務椅子に座り、壁に掛けられたカレンダーをぼーっと眺めていた蓋盛だが、
ノックと人の気配がすればそちらに身体を向け、軽く手を挙げて応じる。

「よー、ちはやくんじゃん。何か御用かな」
手招きして、丸椅子を手前に持ってくる。

神宮司ちはや > こ、こんにちは。えーと用というほどのものじゃないんですけど……

(するりと保健室の扉をくぐると、おっかなびっくりという感じで蓋盛の前に立つ。
 他に誰も居ない様子なら邪魔ではないことを悟り、ほっと息を吐いた。
 手招きに応じて出された丸椅子に失礼しますと腰を掛けた。)

この間は先生にお世話になりました。そのお礼を言いたくて。
随分間が開いてしまったんですけれど、よかったらこれ、食べて下さい。

(後ろ手に持っていた紙袋を蓋盛の前に差し出す。
 近所の和菓子屋で買ってきた黒糖まんじゅう16個入りである。)

蓋盛 椎月 > 視線を中空に彷徨わせ。
「ん? ああ。あの時のことか。
 別にわざわざいいのに。あれがあたしの仕事だからさ~。
 ま、もらえるっていうなら遠慮無くもらうけどさ」
と言って、受け取った紙袋から内容物を引っ張り出し、
あまつさえ目の前で包装をぺりぺりと向いて開封してしまう。
まったく遠慮する様子のない女だった。

「せっかくだし一緒に食べるかい?」
そう言って腰を上げる。お茶の準備をしようというのだ。

神宮司ちはや > ううん、お仕事でもぼくはとっても助かりましたし
お礼を言えないのも心苦しいので……。

それにあの時言われたことで色々、良くなったこともありますし……。

(蓋盛がお茶の準備をするようならば慌てて立ち上がる。)

あ、えっといいんですか?
ぼくもなにかお手伝いしましょうか?

蓋盛 椎月 > 「そっかー。そう言ってくれると嬉しいな。どういたしまして」
恐縮そうな感謝には、素直ににかと笑って返礼する。

「ああいいのいいの。きみは客でしょ。
 おとなしくもてなされてなさい」
立ち上がるちはやを制止して、
棚から出した急須に茶葉を入れて湯を注ぐ。
それぞれの分の湯のみが出された。
いただきまーす、とまんじゅうを手に取る。
相変わらず、保健室を私室かサロンかなにかと勘違いしているらしい。

「良くなったの? ふうん。
 そういやあれからどうなの、調子は」
ちはやの表情を興味深げに伺う。

神宮司ちはや > あ、はいすみません……。

(制止されればおずおずとそれにしたがって席に戻る。
 落ち着かなさそうに両手両足を揃え、蓋盛がお茶を用意するさまを眺めている。
 出された湯のみを受け取ると、ふうふうと息を吹いて冷ましながら)

えっと、先生が以前仰ったようにいっぱい友達が出来ました。
友達?というか知り合いっていうか……。
あと式典委員会にも入りました。

うーんとそれから二回入院しちゃったんですけど……
でも以前より”よくないもの”はそんなに怖くなくなったかなって。
そういう感じです。

(指折り数えながら近況を報告する。あまりに大雑把すぎる説明でわかりづらいかもしれない。)

蓋盛 椎月 > 「もてなしの受け方も社会人として大事だぞ~」
からかうように笑った。
うんうん、と相槌を入れながら楽しげな様子でちはやの近況報告に耳を傾ける。

「なるほど。元気にやれてるみたいじゃない。
 学校生活は順調みたいだね。
 アクシデントもあるみたいだけど」

喋って、もそもそとまんじゅうを口に運び、熱い茶を一口すする。
口元をほころばせる。

「あたしの勘でしかないんだけどさ。
 ああいうのって、びくびくと怖がって過ごしてるような奴を
 好んで狙ってくるんだよ。
 だから、日々を活き活きと楽しく過ごせてれば
 案外平気になってくるのさ」

活き活きと暮らさないといけない、って考え始めちゃうと
かえってよくないんだけどね、と付け足す。

神宮司ちはや > は、はい。ありがとうございます。

(相手が笑ったのに釣られてふふっと笑う。
 少し緊張がほぐれたのか自分もおまんじゅうをひとつもらうともぐもぐと口に入れる。
 ハムスターがひまわりの種を食べているような姿に見えなくもない。

 蓋盛の勘に相槌をうち)

ぼくもなんとなく、そんなふうに思います。
だんだんと身近な人が周りに増えてくるとそういうのが気にならないっていうか忘れちゃうというか……、

(完璧には消えないんですけれどねと苦笑しつつ)

先生は?あれから保健室にああいう……変なのは来ませんか?

(窓のそばにかけられた数多の種類のお守りや御札を見つつ)

蓋盛 椎月 > 「人との関わり、というのはすなわち力なのさ。
 そういうのがどうしてもできない、って言う人もいるけど。
 きみはそうじゃないみたいだから、いろいろな人と
 楽しい時間が過ごせればいいね」

別に、“よくないもの”に限った話ではない。
人との絆さえあれば、どんなものだって怖くない
――というのが、蓋盛の信じる建前だ。

「人生における困難は、そりゃあ簡単には消せはしない。
 それが再び自分の前に立ちはだかったとき、
 強く立ち向かっていけるようになっておく、そのことが大事なんだ」

――言うほどには、簡単な話じゃないんだけど、と。
まんじゅうをひとつ平らげる。唇の端についた黒い餡を指で取り、舐める。

「うんにゃ。また“ああいう事”になったとき、
 きみをかくまうのに適した場所になるかな、と思ったけど」
まああのお守り類は気休めにしかならんだろうね、と笑い。

「……最近はないけど、たまに、妙なものを連れたやつが来るんだよ。
 きみだけではないのさ。
 そういう連中にも、ひょっとしたら、役に立つかもしれない」
役に立つ事態など、訪れてほしくはないというのが本音だが。

神宮司ちはや > 以前はぼくもそんなに誰かと強く関わることって
苦手だったんですけど……ここに来てから少し変われたかもしれません。

先生もそういう誰かとの絆があって、強くなって
それで今の先生があったりするんですか?

(まんじゅう時々お茶という感じで少しずつ食べながら
 そういえば先生のことはあまり知らなかったなと思い出して少し踏み込んでみる。

 自分をかくまってくれる場所をわざわざ用意してくれた相手に驚きと感謝の入り混じった表情を向ける。)

いえ、気持ちだけでもうれしいです。かくまってもらえるなんて、今までなかったから。

ぼく以外にもいらっしゃるんですか?そういうひとって。

(自分以外にそう言った体験をした人の話を聞いたことがなかったので
 その人達はどういうふうに避けたりして暮らしているのかはとても興味深い。)

蓋盛 椎月 > 「そーだよ。いろんな人に助けられて、教えられてきたから
 いまのあたしがあるんだ」
くすぐったそうな笑み。
お茶を少しずつすする。

「うん。
 そういう子ってさ、だいたい自罰的で……
 他の子とも馴染めなくて、授業にもろくに出られなくて
 最終的に保健室に来ちゃったり、ってのが多いんだよね」

目を細めて回想する。

「何度もお話に付き合っているうちに、いつのまにか解決した子とか。
 よくわかんないけどあたしの知らないうちによくなってた子とか。
 ……一緒に寝てあげているうちだけは、大丈夫な子とか」

視線をカーテンの向こうの外に。

「異能とか、体質とか……本人の意思によらず、迷惑をかけてしまう子ってのは。
 ひとりなんだよ。……ひとりでいなくちゃいけない、って信じてるんだ。
 だからあたしは、迷惑をかけてもいいと思えるような、
 最初の一人になってあげたいと思っている」

それだけで、全部解決するほど、甘い世の中でもないけど。

神宮司ちはや > (じっと過去を思いだすように語る蓋盛の顔を呆けたように見つめる。
 それからぽつりと)

先生は、すごくすごく優しいんですね……。

(ひどく感銘を受けたような感動したようなある種の尊敬の眼差しを蓋盛に向ける。

 きっと今までこの保健室を訪れた生徒たちは単純な肉体的な傷病だけではなく
 それこそ目には見えない心の一番奥深くの部分で病や傷を抱えた人たちも居たのだろう。

 それを変わらず見つめ続け、そばに居てあげ、迷惑をかけてもいい最初の一人になろうとするというのは
 とても軽い心持ちでは続かない姿勢だと思う。

 はあ、と感嘆のため息を漏らす。
 ただ、そういった一人でなくてはいけない子の気持ちがわかるということは
 もしかしたらかつて蓋盛もそういう子供の一人だったのではないだろうかという考えが頭をよぎる。
 実際はどうだったのだろう。聞くには少し勇気が足りなかった。)

そういえば、ぼくも……一緒に寝てくださいましたね。
先生の腕の中って安心できる気がするからですね。

(思い出して少し恥ずかしいのかはにかんだような苦笑を浮かべる。

 そして手の中の湯のみを思い出したように持ち上げ、最後のお茶を飲み干すと机の上に戻した。)

そろそろぼく、おいとまします。
おまんじゅうとお茶、ごちそうさまでした。

(ぺこりと頭を下げると、名残惜しそうに椅子から立ち上がる。)

蓋盛 椎月 > ゆるゆると首を振って、その眼差しを受け止める。
「さて、どうかな。
 優しくあろうとは思っているけどね。
 実際にできているかどうかは、あたしにはわからないな」

以前一度、同じベッドで寝たことに触れられれば、ニヤと歯を見せて笑う。
「そう言ってくれるとうれしいね。
 きみとならいつだって寝てあげてもいいよ。
 ……いまは必要なさそうだけど」

まんじゅうの箱の蓋を閉じて、しまいこむ。
「まんじゅうを持ってきてくれたのはきみだろ。
 ……ま、気軽に、またいつでも足を運ぶがいい。
 包帯を当てたり、お茶を出したり、話に付き合うぐらいしか
 あたしにはできないけどさ」

立ち上がり、去ろうとする姿に、手を振る。

神宮司ちはや > (保健室の出入口へ向かい、扉に手をかけながら蓋盛に振り返る。
 穏やかな笑顔、安心と信頼を相手に託すような表情。)

先生は優しいです。ひとりにしないでくださるのは誰にだってできることじゃないから。
きっとそう言う事こそが、絆になって先生を強くしているんですね。

(ニヤリと笑う蓋盛に少しだけ戸惑い、彼女の腕の温かさを思い返す。
 ベッドの中で抱き合って密着した感触、匂い。
 あの時は恐怖にかられていて余裕がなかったけれど思い返せば恥ずかしいものだ。

 頬を朱に染め、戸惑ったように視線を逸らして)

…………また、怖い時にはいっしょに寝てください……。
先生の腕のなかはぼく、好きです……。

(最後のつぶやきはかすれるように小さく小さくなっていた。
 聞こえるかどうかわからないぐらいの囁きを慌てて打ち消すように大きな声に変わり)

ご、ごめんなさい!今のなしです!気にしないでください!
……失礼しました!また、来ます……。

(そうして逃げるように扉をくぐるとパタパタと廊下を駆け去っていった。)

ご案内:「保健室」から神宮司ちはやさんが去りました。
蓋盛 椎月 > 「その通りだね。
 こうしてきみのような子と仲良くすることは、あたしのためでもある」

赤面しての小さなつぶやきに、魔女のようにくつくつと笑い声を漏らす。
「かわいいやつめ」
優しい、とは評価されたが、もちろん楽しいのが第一だ。
常世学園の養護教諭という役目を、誰よりも楽しんでいる自負が、蓋盛にはある。
完全な善意による施しではない。楽しくなければ、意味がない。

伸びをして、まんじゅうの箱や湯のみや急須を片付ける。
「……さあて、業務に戻りますか」
今までしていたことも、“業務”ではあるけど。

ご案内:「保健室」から蓋盛 椎月さんが去りました。
ご案内:「保健室」に自販機さんが現れました。
自販機 > (ずる休みの定番中の定番。保健室のベッド。
 誰が寝かせたのかベッドの上にすさまじい重量物である自販機が寝ていた。
 比喩でもなんでもなく寝ていた。
 ベッドがギシギシ軋んでいた。
 そもそも無機物である自販機がベッドで寝る必要があるのか? こまけぇことはいいんだよ。)

「     」

(ドラゴンに焼かれるというイベント後だからねしかたないね。
 保健室。美人な医者が待機していると思ったけどそんなことはなかったぜ)

自販機 > (ぱかっとパネルが開く。中からやけに古いビデオカメラが顔を覗き潜望鏡のようにあたりを伺う。
 自販機がブーンと音を立てている。
 隣のベッドに寝ている人物がいるが、さぞ寝にくいことだろう。コンバーターなどの装置が発する音は以外にもやかましいのだ。寝ながら聞くには苦行でしかないのだ)

ご案内:「保健室」に『男子生徒』さんが現れました。
自販機 > (ずずずずず。
 自販機にかかっている布団がもそもそと動き始める。
 それは徐々に生き物のように蠢いて自販機から勝手に離れていく。)

『男子生徒』 > 保健室の扉が開いた。
遅れてから声がする。
入ってくるのは夏服の男子生徒。

「どうもー」

言いながら、雑に保健室を眺め回したところで奥に気づいて眉を上げた。

「…………ええ????」

ベッドにでんと乗った自販機に困惑する。
が、少しして合点が言ったように、

「あ、これっすかー。噂の自販機とかいうの。
都市伝説じゃなかったんだー」

自販機 > (もっそもそ。こそこそと布団の塊が蠢いている。
 入ってきた男子生徒の存在に気が付くや否や布団はもとの自販機の上に被さろうと必死で動き始める。がいかんせん速度がのらない。少なくとも数秒間の遅延があるかもしれない。
 布団がなんとか自販機に被さった。
 ややあって、)

「ブーン」

(いままで止まっていた音が復活した。
 例え相手が神でも悪魔でもかまわん。早く買えといわんばかりに)

『男子生徒』 > ずるずる掛け布団が戻ろうとするのを黙って見届けた。
ゴールしてもいいよね。いいよ。
おめでとう。布団はそこに居てもいいんだ。

ややあってからそーっとベッドへ近づいていく。
ところで音が復活した。
肩を震わせて足を止め、かかとをあげて覗きこむようにする。

「うわ!?ついたっ、ついたっすね……?
これってやっぱ噂のアレでいいのかなー」

聞いた所によれば、その飲料を手にすれば世界を滑る事も可能という伝説の自販機。
懐をあわてて探る。