2015/10/18 のログ
獅南蒼二 > 「お前が一度でもオンタイムで課題を提出したことがあったか?」
小さくため息を吐きつつも、特に咎めるでもなくそのカードを手に取って…
…すぐに何かを察したのだろう、小さく肩を竦めた。
カードの意匠は見たこともないものだが、術式そのものは複雑でない。
問題はそこに込められた事象の属性と指向性だ。
「…まるでブービートラップだな。
 採点する私を、これでさっくりと殺すつもりだったのか?」
くくく、と楽しそうに笑いながらそのカードの裏面を見る。
ここに込められた事象を再現すれば…果たしてどうなるか、想像もつかない。

蒼穹 > え?…さ、さぁ?あったと思うけど。

(あったとしても、片手の指で数え切れる程度しかない。
というか、提出をそもそもしていない方が圧倒的多数だ。
兎も角、表情は変わらない半笑いのまま。ただし、目は多少泳いでいる。)

あっはは。自分に向けなきゃいいんだよ。
それに…死なないから、大丈夫だよ。

(病的な程の濃度だが、呪縛は、例え虫が対象に入っても、絶対に対称を殺してしまわない様に、
そこだけ、無駄に調整が入っている。まるで、拷問器具みたいに。
使ってしまったら、比喩ではなく、全身に痛覚が無くならない程度に激痛が走って、
精神が錯乱して昏倒する様な術式だ。)

その術式、ゲルセミウムエレガンスって言うんだけど。
この間ただの異能者の人間にそれと同じ魔術を二回もぶっ放したんだよね。
…どうなったと思う?

(その痛烈で危険な属性や指向性とは裏腹、その事象の根底にあるのは、地球に、それも世界変容前から存在する、とある植物の開花だ。

凄く危ない発言だが、一応これでも風紀委員たる身としては、不自然はない筈で。
世間話でもどうよと言う具合に話を振った。あまり学校に出てこない為、休憩時間に喋る仲間も居ず、暇なのかもしれない。)

獅南蒼二 > 性格も能力も知っている。今更その授業態度を咎めるつもりなど無かった。
まぁ、嫌味のひとつも言っておきたかったのだろう。
目を泳がせた貴方を見れば、それ以上言及することは無かった。

「ゲルセミウムエレガンスとは、穏やかではないな…。」
どこか楽しげに笑い…術式の異常性を読み取っていく。
そこに殺意は込められておらず、ただただ相手を苦しませる事にのみ特化している。
この生徒の作るものは大抵そうなのだが、術式はともかくそこに込められた意図を読み取ることは難しかった。
自白を促すための拷問につかうにしても、恐らく、これでは役立たずだろう。

「さて、状況と異能の属性にもよるだろうが…
 …これだけの魔力量で痛覚を刺激すれば脳に流入する電気は尋常なものではない。
 並の人間であれば、大抵は後遺症が残るだろうな。」

事も無げにそうとだけ言って、楽しげに笑う。
この教師の発言も大概だが、この教室では特に珍しい光景でもないのだろう…誰一人として、気にする生徒は居なかった。

「いっそ、殺してやった方が幸せだったんじゃないのか?」

蒼穹 > (学ぶ意欲さえあれば、という方針を常に貫き、才能の乏しきものを見放さない彼にとって、
この蒼い化け物は、一体どんな風に映っているのだろうか。
授業妨害の一因か、はたまた石ころと同然か。)

あ…知っているの?

(それは、同じ店を知っている具合に、全く彼の楽し気な感情と同じくして、とても愉快そうな笑み。
きっと、何をどのように描いているかも、彼にとっては掌の上だろう。
異界の術式さえ、禁忌とされる魔法の模倣さえ、その才能ではない、努力によってやってのけるのだから。
生徒が書いたカードが、どのような効果を持つかは、公用語で書かれた本を読むのとそう変わらない程度の筈だ。

ここに描かれた意図は、最近流行りの落第街の地下闘技場で行われる戦闘を、如何に効率よく勝利を重ねられるか、だ。現在は。
殺さずに、黙らせる。他にも使い道はあるけれど。ここまで読めたら、逆に恐ろしい。)

…あっはは。いやぁ、ほんっとなみさんは面白いよねー。

(彼の淡泊で的を射た論理的な術式の評価には、感心半分で手を叩く。
あくまでも、「状況と異能の属性にもよるだろうが」「並の人間であれば」と付け加えるあたり、分かっている。
その上で、限られた情報の中から、この術式が何をどうしてどうするか、当たり前の様に分かっているのだから。
やはり、あの時思った通り、人間なのに面白い男だと思う。)

普通の人間なら、きっと、そうだっただろうね。

(物騒な言葉が飛び出る。だけれど、慣れたものだ。
彼が「お前がどうやったら死ぬか考えていた」みたいなセリフは、聞き飽きるくらい聞いた。
このサボリである己でさえも、その一人だ。皆和気あいあいと喋っている。)

残念ながら、なんだよね。
私が相手取ったヤツは多分、魔術を減衰させる異能と、人間離れした人間だったのよ。
いやぁ、痛かったなー、これ。まぁ戦闘的な痛覚なんてないんだけど。

(服をめくって、右肩の切創を治療した痕。包帯が巻かれた華奢な肩を見せる。
持ち前の再生力で、治療済みではあるけれど。)

獅南蒼二 > 白衣の男は才能の優劣に拠らず万人に魔術を教える教師であり、
誰よりも魔術学に傾倒しそれを昇華させることに命を懸ける研究者である。
授業妨害の一因であり、害悪であり…だが、魔術学にとって非常に価値のある“研究対象”でもある。

「かつての私の研究テーマは自然科学と魔術学の融合だ。
 …尤も、毒物としてはその辺の化合物の方がよほど扱いやすかったが。」

獅南に欠落している能力は、一般的には魔術に重要な技能とされる能力。前述した、イメージの力だった。
それ故に全てを明確に術式化し、明確に理解する。
同様にして、少女が意図している使い道をイメージすることはできなかった。
術式から読み取れるのは、結果として齎される現象だけである。

……尤も、この少女の性格を考えれば用途が碌でもない事だというのはすぐに分かるのだが。

「ふむ…魔術を減衰させる異能か。と言っても、魔力障壁は多岐に渡るだろう?
 魔力そのものを破壊してしまうのか、生じた現象を魔力に再変換し霧散させてしまうのか。
 それとも魔力によって魔力を相殺してしまうのか…魔力を吸収してしまうのか。」

貴方の言葉を聞けば、カードを見つめながら小さく頷いた。
きっと、この男は貴方が思っている以上に“面白い”事を考えている。
魔力を減衰させる異能者に、この恐ろしいカードの苦痛を与えるにはこの術式をいかに改変すべきか。

「その程度の傷でお前が苦しむとも思えんが…
 …そうだな、魔力で事象を再現するのではなく、魔力によって事象を“生成”することができれば、魔力障壁を突破することができる。
 防弾チョッキがナイフを防げないのと同じだ…大抵の魔力障壁は“事象”を防ぐことはできない。」

この男にとっては貴方の肩の傷など、殆ど取るに足らない事なのだろう。
いや、一度貴方と対峙して、少女の力を知っているのかも知れない。
貴方の傷を心配する様子は無く、1枚のカードを貴方へと差し出した。タロットカードの「塔」だ。

「この術式は、まだ私も研究段階だがな。」

それを手に取れば、ほんの僅かだが、バチリと電流が流れるだろう。

試してみればわかる…いや、魔力操作に慣れた者ならすぐに分かる。
この電流は“魔力によって生成された本物の電気”であり、防ぐには魔力障壁ではなく絶縁体の手袋が必要だ。

蒼穹 > (差し詰め、彼にとっては、小うるさくて喧しくも、捨て置くには勿体ない、金脈か何か、なのだろうか。)

へえ…そう。道理で。よく知っている。
あっはは。そう言うんじゃないよ。やるなら、パフォーマンス、大事でしょ?

(見せる事、起源にこだわり、効率を求めないのがこの化け物のやり方だった。
無駄に術式の名前を宣告したり、人差し指を振りかざしたり。意味のない魔方陣を作ったり。
この、ゲルセミウムエレガンスも、彼が言う通り、わざわざ地球上の毒物から取るより、
化学物質のその辺の化合物を事象として作った方が、きっと容易い。でも、そうはしない。それが、拘りだから。)

異能だそうだよ。厄介だよね。魔法で魔法を防ぐんじゃなくて、異能が魔法を防ぐんだ。
これを魔法で何とかすることは不可能に近いよ。
…分かんない。けど、一応ね、効果はあったんだよ。ちゃんと効いていた。
だから、破壊でも、再変換でも相殺でもない。吸収だったんじゃないかな。

(異能が魔術を防ぐことの厄介さは、何より自分が知っている。
魔力そのものを破壊する部類である、魔力封殺域を持つ自分として、その厄介さは痛感しているのだ。
楽しそうに笑う、白衣の教員。ろくでもない事を考えているのは、どうやらお互い様の様だが、こちらはそれに気付く様子もない。
まして、彼が生徒の発想。イメージをこうやって横流しして、改変しようと画策している等、思いもよらない。)

あはは。ばれたか。
…事象魔法、知ってるよ。魔法現象を作り出すんじゃなくて、物理現象を、魔力を用いて、
いわば"召喚"するんでしょ?
どんな魔力障壁があっても、召喚獣の物理的な牙を防ぐことが出来ないのに、似ているって思うね。
あれの括りが、よく分からなくてね。…へぇ、参考になるよ。

(魔力の塊を飛ばしたり、魔力によって炎を起こしたり。
何処から何処までが事象で、何処から何処までが魔術なのか。
また、事象魔術とはつまるところ、何なのか。完全に無意識でやっているから、あまり深く考えたことはなかった。

傷が心配されないのは予想通り。そうして取り出されるタロットカード。
その意味は、勿論知っている。崩壊、惨劇、自己破壊。
「宛ら返すよ、これで私をさっくり殺すつもりかな?」軽口を叩きながら手に取ろうとした瞬間、
弱い、静電気の様なものが流れた。)

―――ああ、これは。面白いね。

(魔法で起こされるそれではない。魔法で電気を"作った"のだ。
精霊や神といった、マジカルな力を介さず、不可解な超常要素を排して。故に、超常や魔法への防壁は無力となる。)

で。何処で何を組み替えたの?普通の雷魔術の何を弄ったの?
研究、手伝ってあげよっか?なーんてね。

(教卓に「塔」のタロットを投げやりながら、興味深そうに目を爛爛とさせる。
正直、パクるくらい出来る。だが、この男は、もっと面白い物を持っているし、知っている。
少なくとも、この蒼い化け物はきっとそうだと思っている。
手品に魅せられた子供がするのと似たような表情だった。)

獅南蒼二 > 異能を憎みながら異能者にさえ魔術を教える男が、少女に心中を語ることは無い。
ここに、こうして互いに在る。それは縁なのかも知れないし、ただの偶然でありそれ以上でも、それ以下でもないのかも知れない。

「さて、形振り構っていられぬ“凡人”はそうも言っておれんのでな。」

貴方の言葉にそう小さく肩を竦めて、笑った。
少女の技量や内包する無限ともいえる魔力量をもってすれば、“戦う”だけなら術式など必要ない。
ただ、魔力を放出すればそれで全てが終わる。
だが、それをしないのがこの少女なのだと、白衣の男も理解している。

「…ほぉ、理解不能なあたりが正しく異能、といった具合だな。
 2発撃っても無駄だったと言うのなら、その異能者も相当なものだ。
 まぁ、術式そのものはあまり複雑ではない上に元々が致死性の無い魔術だから、というのも理由だろうが。」

貴方の“事象魔法”知識を聞けば、小さく頷きつつも…指先に小さな炎を生じさせて、
「これは私の指が燃えているのではなく、魔力が燃えている状態だ。
 だが…こうしたらどうなる?」
炎の上に1枚の紙片を翳せば、瞬時に燃え移り、燃え上がる。
それは誰が見ても魔力に関係ない“燃焼”である。
「同様にして、召喚獣も物理世界の“獣”である場合と、魔法世界の“幻獣”である場合がある。
 一般的な四代元素魔法で生じる現象は、殆どが魔力由来だろうな。
 ……さて、魔力を減衰させる異能者はどこまで防ぐことができるのか、実験したら面白いと思わんか?」

獅南はまだ少女のもつ異能の正体を知らないはずだが…貴方にそう告げて、楽しげに笑った。
それから、貴方に差し出した「塔」のカードを引っ込めれば…

「これはこの世界の術式ではない…異界の術式だ。
 魔力を事象に文字通り“変換”することができる。
 もっとも、事象化してしまえば魔力では制御不能だ。
 火炎は風に煽られれば自分を焼くだろうし、電気はこの通り最も近い者へ被害を及ぼす。
 …制約は非常に多いが、これを応用すれば、面白いことになる。」

貴方の表情を見て、さらにその興味を惹くようにそう告げ…
…研究を手伝おうか、なんて提案には即「遠慮しておく。」と断った。
それから、僅かに笑みを深める…演技じみた様子で、両腕を広げ、

「お前を殺すための研究に、お前を招くわけがないだろう?」

楽しげに告げた。


「さて、そろそろ次の授業の準備をしなくてはな……お前も精々、研鑽に励むことだ。
 そうでなければ、やがて嘘が真実に変わってしまうかも知れんからな。」

……もしかしたら、この男にとって貴方は、厄介者でも金脈でもなく、“乗り越えるべき壁”なのかも知れない。

蒼穹 > そりゃあそうだね。

(相容れない。彼は凡で人だ。己は超で怪だ。
全く在り方が違うこの二者が、果たしてこうして交わっているのは、
一体何故か、偶然の出会いそれさえも、必然となる、何かしらの縁が、あったのかもしれないが。

そして、形ぶり構わないという発言はその上で御尤もだと頷いた。)

無駄じゃあなかったんだけど、生きてた。ピンピンしてた。
寧ろ強くなってた気さえするね。…ありゃ、殺さない様に創ってるの、分かっちゃった?

(術式が単純であるのは、さっさと組み上げる為だ。ほぼ無に等しい最短ルートを辿って、魔術を行使する。
詠唱だ、予備動作だ、そういう物は、形式上しかとらない。それらを取り払ったら、それはもう無時間で魔法を使える。
幾等でもまだ本気は出さないよと余裕をかませる為に。遊び心を忘れず、パフォーマンスを重んじる。)

へぇ。

(彼が炎をやりとりする。普通の魔術由来の炎と、事象としてある炎。
彼が指先に発生させた炎は、彼によって制御され、その指を焼くことはない。
だが、紙片から生じた炎はどうか?)

そこに手を持っていったら焼けるね。

(彼の問への答えは、至極当たり前の事だった。)

ああ…例えばドラゴンだとかは、物理面が強いんだろうけど。
シルフィードとか、ああいう精霊は"幻獣"に属するかな。
面白いんじゃない?

(異能を見せたこと言えば、あれが一度きりだ。
さて、何やら。本当に面白い事になってきた、のかもしれない。)

…へぇ。つまり、それで大爆発を起こしたら、起こした方もただでは済まないと。
で?その面白い事って―――。

(あっさりと釣られた。やっぱり、思った通りだ、もっと面白い事、知っている。
そう思ったのだが。間髪入れず、お断りの言葉。「えー!」概ね彼が多大な課題を出したときに出すのと似通った反抗的な声。)

ああ、成程。それは面白い研究だね。成果上げようとして死なない様に注意しなよ。

(忠告とばかりに笑って返す。だが、この男は本気でやりかねないと思った。
この男は凡の人にして、確かな物を持っている。知識、発想。物事の穴を的確に突く、魔術学の奇天烈。
そうであると知っていても、尚も楽しそうに返した。)

ああ、そうだね。けどま、下手な嘘はつかない事だよ。なみさんも嘘の研鑽、励むと良いんじゃないかな。

(これが、ただの教師の言葉であれば余計なお世話だ、と吐き捨てていた所だった。
皮肉り半分ではあれど、その言葉に頷いた。慢心的で、自身に絶対的な自信を持つ化け物が。
才能に乏しい努力を武器とする凡人の前に立ちはだかる、最早才能の域すら凌駕した、努力を怠る化け物。
彼の本意はどうあれ、生まれ持っての、異形や異能との差をひっくり返して見せようという、そんな意図として読み取った。

相変わらずこの化け物の態度は飄々としているけれど、やはりこの人物は面白いと、また思う事となった。
後ろ手を振って、ゆったりマイペースな歩き方で、教室を出て行った。)

ご案内:「教室」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「教室」から獅南蒼二さんが去りました。