2016/07/18 のログ
ご案内:「保健室」に伊都波 悠薇さんが現れました。
ご案内:「保健室」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
伊都波 悠薇 > ――保健室。
わりと、すんなり受け入れられてスムーズに処置をされたのは
一緒にいた先生のおかげか。
ベッドに横にさせられて、弱弱しく――

「すみません……」

せっかくの時間をこんなことでいただいてしまってと。
そう口にすれば痛みで顔がゆがんで

谷蜂 檻葉 > 「いいわよ、私の事でもあるわ。」

この子に、親身な言葉は重荷になる。
そう理解しているから、あっさりとした言葉で苦笑気味に返す。


―――事は訓練施設での出来事。
   二人で、そしてリビドーも含めた訓練は突然のアクシデント
   ……一種の人災で中断となった、その後の話。


「一通り処置は終わっているようだけれど… まだ、痛む? 痛み止めの施術でもしておこうかしら?」

伊都波 悠薇 >  
「――すみません」

そんな風に言われたらなにも言えないので、謝罪が重なる。
結局のところ、自分が未熟なのがいけない。
ほんと、嫌になる。姉ならこんな風な、笑みを浮かべさせなくて済むのに。

「――そんなことも。できるんですね」

痛み止め――
前の影といい、今の水といい、さらには治療のようなものまで。
多才――姉とは違うが、そういうものであると、思わざるを得ない

谷蜂 檻葉 > 「それなら今度、買い物にでも付き合って頂戴な。
 そろそろ洋服を買い足そうと思ってたんだけど、四十万ちゃんが生憎捕まらないから。」

肩をすくめて、保健室の各所からなにやら細々と物を集めていく。

「ちなみに、”いつもの”じゃなくて、授業で教わった内容よ。
 『非科学的医療術Ⅱ』―――サバイバル的な野性味溢れる応急手当から魔術を使った蘇生術まで……

 なんて言ってたけど、流石に蘇生術なんて半年で覚えられるような話でも無かったわね。
 とはいえ、こういう時には俄然役に立つんだけど……っと。」

鼻歌交じりに、乾物からラベルがベタベタついた塗り薬まで、様々なものを並べると、
「肌、触るわね。」 と、ひと声かけて制服の下に次々とそれらをヒタヒタ、ペタペタと貼り付け、塗り付けていく。

伊都波 悠薇 >  
「……買い物……か、髪をあげてとかじゃなければ?」

思い出すのは、髪をあげて過ごした数日。
姉属性の人と言い、姉と言い。年上は自分の髪をあげたがる。
困ります。

「――そんな授業まであるんですね……」

ぺたっと振れれば。最初はひゃうっと声をあげるが
処置ということで、声をあげるのを我慢。
だんだん、顔が赤くなって、いろんな妄想もにょもにょがうかんだりするが。
はわっと、こぼす程度でこらえる。

肌は、すべすべで。わりと肉付きがよくて。
成長途中の、よい、身体である

谷蜂 檻葉 > 「あは、先に釘刺されちゃった?
 野暮ったいその前髪、上げたらもっと可愛いかなって思ったんだけど。」

うりうり。と、触る手つきが途中で代わり、直のお腹を軽くツンツンとつつく。
そうして、軽い戯れも交えながら様々な薬品を伊都波の体の前面の大部分を覆うように被せていく。


最後に、胸元からピンを取り出すとその針を人差し指と中指に擦らせ、僅かに血滲ませたその二指を伊都波のヘソに当てると、不思議とその先に熱が篭っていく。

「よし、後はコレで――――『祈りを此処に、御子に祝福を。』」

最後の言葉はどうやら”いつもの”のようで、不可視の気配が周囲を踊り、
やがてキラキラとした光を振りまきながら消えていく。

同時に、痛みが引いていく。 ……その原因はともあれ、痛覚を鈍化させているようだ。

伊都波 悠薇 >  
「……かみは だめです ぜったい」

ダメなものはダメですというように、前髪を整えようとして。
おなかをつつかれれば、ぷにっとする。
それに、顔を真っ赤にして。あわあわと言い訳のような何かをぶつぶつとつぶやいて――

「――ふぁ……っ」

熱がこもれば、変な。艶のある声が出ちゃったりもして。
そしてそのあとの、引いていく痛みに。

「……ぁ。ぁりがとうございましゅ……」

いろいろな意味で恥ずかしくもあって。
縮こまりながらもお礼を口にした

谷蜂 檻葉 > 「お粗末さまでした、と。
 痛みは引いてるし、わりと贅沢にありもの使わせてもらったから薬効もあるはずだけど
 鎮痛剤みたいなものだから、しっかり寝ててね? 無理とかすれば、後に引くわよ。」

処置を終えると、手頃な椅子を引いて其処に座る。
施術の間の悠薇の痴態その他には、何食わぬ顔で見なかった振りで通し切る。
こういうスルースキルは、どうだか随分と身についた気がする。



―――そうして、しばしの静寂。 区切りも、そしてその終わりもまた檻葉の手番だった。

「ハルカちゃんのお姉さんも、凛霞さんも『ああいった武術《殺人術》』を嗜んでるのかしら。」

特段、重みもない。
ソレを世間話にするのもどうだかとは想うだろうが、世間話程度の軽さで、口にする。

伊都波 悠薇 >  
「……ぅぅ……」

見ないふり、聞いてないふりをしてくれるのはありがたいが。
それはそれで、恥ずかしさがぐっと増していく。

『乙女の柔肌を堪能したのね!? この、この――えーと、なに?』

携帯ストラップが突然騒ぎ始めて。静寂。

『あ、はい。すみません、空気読んで黙ります、はい』

そして――振られた話題には。

「いいえ。姉は一切使いませんよ。使わない、使えないです」

おなかの傷を隠すように、制服を整えて――

谷蜂 檻葉 > 「そう。」

ジィっと。

眺めるように、ぼんやりとした視線が悠薇を捉え、やがて見据えるように焦点が定められていく。

「そうなんだ。」

うんうん、と。 確かめるように呟く。
何かを考えているようにも、ただ繰り返しているようにも聞こえる曖昧な声色。

そのまま、何かを言おうか言うまいか。 迷うように視線が伊都波の布団を彷徨い、口元が少し開く。

けれどソレ以上は今、続くことはない。

伊都波 悠薇 >  
……なんだろう。
気になる。そんな風に、している姿は前も見た。
ちょうど、毟り蕾を見た時と同じような――

「……どうかしました? そんな風に、してる先輩。似合わないですよ?」

『結構、直球で傷口えぐってるほうが、似合うぜ』

とか、携帯ストラップは続き。
ぺちんっと悠薇にたたかれる、

「遠慮、しちゃうほどのこと、ですか?」

谷蜂 檻葉 > 「んー、あぁ、いや……。」

何度か彷徨った視線は、やがて地から天へ飛び、そうして悠薇へと降りてくる。

「あの『技』って、本当に危ないから身近な人に―――
 手取り足取り教えてくれるような教師役が居ないんだったら、止めたほうがいいよって、思ってさ。」

うぅん。と、考えこむように。

「いや、もちろんハルカちゃんの事だから色々諸々?考えているんだとは思うんだけど。
 ……うん、止めたほうがいいと思う。ハルカちゃんに似合わないし。」

けれど、結局は直球で。
まっすぐに伊都波がようやく覚えた技を『使うのを、磨くのを止めろ』と。そう伝えた。