2016/08/08 のログ
ご案内:「屋上」に尋輪海月さんが現れました。
尋輪海月 > 「――ふはぁー……」

間抜けな声が屋上に響いた。
それはもう、脱力しきった、女子が出してはならなさそうな、だらしない声。
屋上の庭園のベンチに座り、プラスチックの器にかき氷と称した味付き氷がこんもり入ったタイプのアイスを、
熱帯夜の中で存分に味わっている。
幸せに何処か此処以外の方でも見ているような眼は、
夜につき、カラーコンタクトを外し、紅い瞳を晒していた。
……たまにこうしてコンタクトを外してみると、眼が楽なのに気づくが、
やはりどうしても、此の眼はあまり見られたくないものだと。

「……ま、流石にこの時間に屋上には誰も来ないよね」
何せ夜だ。花火を見終わってさぁ一息という学生が居もすれば、
その限りではないだろうけども。

ご案内:「屋上」に三谷 彰さんが現れました。
三谷 彰 >  ドアに該当する部分を軽く3回叩く。そこには風紀委員の制服を着込んだ状態で1人の男が立っている。目は一瞬だけ紅くなっていたがしばらくするとその目は普通の黒に戻った。
 彼がここに来た理由は単純。私服姿で学校の屋上に夜にいたとなれば不審者ではないかと警戒するのは当然であり風紀委員として見過ごすわけには行かないわけで……一応の注意の為に来た次第だ。
 
「一応あれな、夜にあんまり入り込むなよ一瞬不審者かと思ったぞ」
 
 しかし相手が同じくらいの少女であったため学生の可能性もあると判断し学生に向ける対応を取る。
 だが別にその表情に怒りや早く出て行けといった意思は見られない。
 軽く両手でやれやれといった感じのポーズを取る

「まぁ見た感じ特に悪さしようって感じじゃないし。アイス食って少し涼んだらちゃんと家帰れよ。んな今すぐいけなんて細かい事はいわねぇから」

尋輪海月 > 「……?」

ノックの音がすること三回。さ、もう一口としようとした格好のままに、音のした方に振り返る。そこには、
自分と同じ程か、やや上辺りかと伺える青年の姿……更に、詳しく言えば、それは一度見覚えのある、風紀委員の制服――。

「あっ」
夜。屋上。私服。飲食禁止。賞罰対応。停学。
脳裏に数多の未来が見えるが、そのいずれも、学生生活に大きな大きな溝を残すことになるものばかり。
とっさに取った行動が、

「……すッ」

恐らくそちらの言葉の大半は聞こえていない。更に言うなら、もう只々、今の現状を風紀委員に見られることの不味さ。
お縄待った無し。顔面は蒼白と化し、辛うじて冷静な部分をフル活用に、――アイスをベンチの上にそっと置いた後、立ち上がり、

「ッすいませんでしたああああああッ!!」
全力の、THE土下座。
色々かなぐり捨てた迫真の土下座には、120%の謝罪の意と0.01%の絶望が。

三谷 彰 > 「ま、待て待て! 驚かせて悪かったから土下座はやめろ!?」

 相手のあまりに凄まじい土下座を見てむしろこちらとしては驚く。まぁ気持ちはわからないでもないし人によっては面倒な事になっていたのかもしれないが。
 ゆっくり近寄って。落ち着かせようと軽く手を動かす。

「まず色々と落ち着け、別のもの壊したとかそういうことじゃねぇなら特に何もしないしいわねぇから俺は」

 風紀委員としてはどうなんだとも思うが注意すれば良い程度の出来事ではあるだろうし。
 そこまで考えてふと思い立つ、そうまだ学生かどうかすら知らなかった。
 軽く溜息をつくと。

「あぁ、でも……学生、であってるよな? そうじゃないなら一応色々と聞かないといけなくはなるんだが……まぁうん、一応学生証だけ見せてもらっても良いか?」

 結局それが1番簡単な解決だろうと判断しそう行動する事にした。

尋輪海月 > 「本当ごめんなさいちょっと気が緩んでたんですこの前演習場でちょっと大変なことなったの凄いズルズル引きずっててついそれで魔が差して屋上でのんびりアイス眺めて夏を謳歌するとかそういう甘い幻想抱いてました駄目ですよねもっと気引き締めて風紀とかちゃんと頭ん中たたき……こ……えっ?」
途中までTHE土下座のままにマシンガンの如く弁明を並べ連ねていたが、何やら様子が違うというのに気付いた。
おずおずと顔をあげながら、眼を瞬かせる。
「……へっ、あ、はい、ちょ、ちょっと前に転校というか編入というか……は、はいっ!!」
学生証の提示を求められ、慌てて立ち上がる。ウェストポーチの中から、スマホ――手帳型のケースに収まっている。画面にヒビが。――を取り出し、ケースの内側からすっと取り出して、提示する。偽造などの類ではないと、一目に確認出来る。見紛うこともない。

三谷 彰 > 「……ん、問題なし」

 相手から差し出された学生証を軽く見る。見たところ特に変な箇所はない。間違いなく本当の学生証だろう。
 むしろ年上だと知り思いっきりタメ口で話してたなぁとむしろこっちが申し訳ない気分になり。

「ええっと……今後は気をつけてくださいね。すみませんさっきまで普通にタメ口で」

 軽くこちらからも頭を下げておく。
 その後相手のマシンガンを思い出し軽く噴き出す。

「というかアイスを眺めて夏を謳歌って何ですか初めて聞きましたよ」

 と軽く笑った後にふぅと一息つく。
 その後は比較的真面目な顔となる。

「俺は2年の三谷彰と言います、まぁ見ての通り風紀委員です……何かあったなら聞きますよ、それくらいしか出来ませんけど」

 そう声をかけた。 
 表情を気にするなら風紀委員の仕事としてではないという事を物語っている表情。事務的ではない表情だ。

尋輪海月 > 「……っ、はぁッ……!」
安堵したように、思いっきり詰まっていた息を吐いた。
何せ確認の間、この女生徒。呼吸を止めていた。其処までするかというくらいの緊張した顔で。
ベンチに再びどさっと腰掛け、「へっ?」と再び間抜けな声を上げた。

「え、いや、その、えっ……と、年上の方だとてっきり……や、タメ口ででも全然ッ、むしろあ……私ッ、が!敬語じゃないとですよね!風紀委員さんの方に……!!」
手を残像の残る位に振って慌てている。初めて敬語で話された……訳ではないが、年下……いや、会ったような。ともあれ、こういう具合に話すのは初めてだった。
膝に手を置いて、視線を逸らす。

「……や、眺めるというか食べてました……はい」

「花火見ながらとか風流だなぁとか」云々言っているが、
それはそれでなんだか風流というか、哀愁が漂わなくもなさそうだ。ぼっちなのだから。

「……あ、ええっと、つい最近、此の学校に編入……?ええと、転校?工業高校の方からこっちに進学してきたので、やっぱり居た時間的に考えて、ええと、三谷さんの方が先輩ですよね!ねッ!私、尋輪海月(ひろわ みづき)って言います……!」

三谷 彰 > 「アーハハ、結構老けて見えますよね」

 何が原因か。老けて見られてしまったようだ。軽くガクッとなる
 だがすぐに元に戻り。

「いえいえ、そんな別に風紀委員はそんな偉い人って訳じゃないんですし。それに確かにいた期間では先輩でも」

 とだけ途中まで言って面倒くさくなり。
 ふぅと一息はくと。

「よし、こうしよう。俺は時期的には先輩だけど年下。だからどっちも敬語無しでってことで。たぶんこれが1番わかりやすい解決法だしな」

 初めからこうすればよかったかと少し考えながら屋上の手すりにもたれ掛かる。

「にしても転校か。それなら大変だろここって色々と外の学校と違うから。俺も中学までは外の普通の学校だったから来たばっかは色々と苦労してたんだぜ」

尋輪海月 > 「いえェっ?!いや、そ、そんなつもりで言ったんじゃなくて……や、全然!!全然ですッ!!」

必死過ぎて逆に怪しくさえなってくるような弁明とフォローをするが、そのうち、視線を泳がせ損ない俯いた。

「……え、あ、いや、その……じゃあ、うん」

敬語じゃなく話すのは、一体何日振りだろうかというような、上ずった声での返答。

「……あー、うん。まぁ、その、編入試験自体は、割と簡単だったけど、異能云々について面接で聞かれた時は、そりゃあもう心臓がばっくんばっくんに……あ」

口を滑らせたのに気づくこと、発言から数秒後。ぱっと口をおさえ、顔を背けた。
――異能。その単語がタブーであるように。

「……そ、の」

三谷 彰 > 「まぁテスト自体は半分おまけみたいなものなんだろうしな」

 異能を集める目的の学園でテストが難しくて入れないでは本末転倒もいいところだ。だからそんなにテストは難しくはないのだろう。
 相手が話を途中できり口ごもると少しだけ相手のほうに向けていた視線を外し。空を見る。

「言いたくないことは聞く気は無いから言わなくても大丈夫だぜ。仕事で事情聴取って訳じゃねぇんだしさ」

 これが仕事なら聞き出すところだろうがただ単に大変な事になってそれを引っ張っているという言葉を聴いた。
 だから少しでも相談に乗ろうと思っただけだ。
 その結果で苦しめるなら意味が無い。