2018/01/14 のログ
■岡崎燐太郎 > 「居ねえ……」
流石の保健医も保健室に籠りきりというわけではない。
昼飯か教務でもこなしているのだろうが……今回ははずれを引いたようだ。
ひとまず無人の室内へと踏み入れ、適当な棚を漁ってみる。
決して得意ではない治癒の魔術に頼ってはいるが、
やはりというかなんというか、劇的な回復の兆しは見られない。
だからこそこうして科学に縋ってみるものの、科学的な医学の知識など無いに等しい。
漁りながら解決策を探っても答えは出ず。とりあえず見つけた包帯で一時的な処置に移る。
「上着はクリーニングするとしてこっちは……」
血が付着した上着を脱ぎ去り赤く染まったシャツとともに傷口の確認。
血塗れのそれを捲れば妙にこなれた手つきで包帯を巻いていく。
そして心配の矛先は呑気にも身体ではなく衣服の方へ。
ここまで汚れてしまっては普通に洗濯しただけだと簡単には落ちない。
まあシャツの一枚や二枚、買い替えれば済む話だが。
ご案内:「保健室」にリーゼロッテさんが現れました。
■リーゼロッテ > 「邪魔をするぞ」
扉を引く音を響かせ、一人の少女が中に入ってきて。
ふと、場にいる少年に目をやってから。
「先客がいたか」
小さく、呟き。
■岡崎燐太郎 > 「まぁ、こんなところか……んあ?」
腹を数周させたところで解けないように結び目をつける。
処置といっても完全ではないが体内の血液を垂れ流しにするよりはマシだ。
包帯を巻き終えると扉が開く。目をやれば派手めな風貌の少女がいた。
「ああ、悪い。ちょっと治療をね。
なんか用事あった? 今、先生は出払っているみたいだけど」
腹には血の滲む包帯。来客が来れば再び上着を羽織る。
ここに訪れた以上何らかの用はあるのだろうが、生憎担当の教員らしき姿はない。
■リーゼロッテ > 「うむ。まぁ、薬をもらいにきたのだが……」
ふ、と腹を見やり血の滲むそれを見やり。
眉を潜めれば、一息嘆息し。
「…………包帯しか巻いておらんのかその腹は」
眉をひそめたまま、告げて。
この寒い最中、背中をあけっぴろげにした少女は聞く。
■岡崎燐太郎 > 「これ? 先生もいないし薬も弄れないからな……応急処置。」
止血くらいならば多少の心得はある。他はさっぱりだが。
保健医が戻るまでのつもりだったがこの分ではまだ時間はかかりそうだ。
そうなると次の手段を考えておかなければならない。
「……寒くないのか。室内といってもあまり暖房効いてないぞ、ここ」
無人になることを考えてか、暖房は切られている。
となると余計保健室を空ける時間が長引くと予想できる。
疼痛の残る脇腹を押さえながら、はあと溜息を吐いた。
■リーゼロッテ > 「この美少女たるオレが正しく止血してやろう」
びしぃっ!! と指を突きつけてから、色々と取り出して。
あと自身のカバンからも色々と取り出して。
「……ん? ああ、これは致し方ない。種族特性と言うものだ」
背中を肌蹴た服装のまま顔だけそちらに向ければまた漁るのに戻り。
「その止血もあまり正しいと言えんからな。ちゃんと手当してやろう。ありがたく思え、このオレ手ずから手当してやると言うのだからな!!」
傲岸不遜だった。
■岡崎燐太郎 > 「おう……」
突然の宣言に目を丸くしそのまま色々取り出すそれを覗く。
「種族の……へぇ、羨ましいな」
この時期にそんな服を着て歩ける忍耐があれば、
環境の変化に負けることはまずないだろう。
種族的特性を詳しく知らないままそんな事を思う。
「え、出来んの? それなら助かるが……大丈夫か?」
処置に関しては所詮付け焼刃。微々たる魔術との併用で何とか持っている状態で。
彼女が医術に覚えがあるのならば喜ばしい。正直全面的に頼りたい。
だがその態度が訝しさに拍車をかける部分もなくはない。少し疑ったような目を向ける。
■リーゼロッテ > 「オレは焔人と言う焔の精霊みたいなものでな。
よって寒いのは非常に苦手だ。暑いのは大概平気なんだがな。
背中を露出してるのはそこから炎を吹き出すせいだ。
服が燃えてしまうのでな!! よって冬は引きこもりたい」
環境変化に非常に弱かった。
「失敬な。オレとてファンタジー世界の住民よ。その程度出来るわ。
正確にはファンタジーではないがまぁそんなものだろう。
オレのような美少女の手当を受けられる事を喜べ」
確かに外面はいい。外面は。中身がだめだが。
その手には何かの軟膏のようなもの。それとガーゼ、包帯。消毒用アルコール。
■岡崎燐太郎 > 「焔人……聞いたことないな。
まあ何でもいいけど無理するなよ。正月開けて風邪でも流行りそうだし」
彼女の種族は考えているより脆いのかもしれない。
異世界の種族であれば知るところではないが一応の忠告。
「はいはい……」
一言余計なのは生来のものだとして目を瞑るとする。
手にしたのはそれらしき薬品や道具。不安をよそに意外とまともな施術を期待してしまう。
縛った包帯を解き幹部を露わにする。そこには数センチほどの切創があった。
「どうだ、措置できそう?」
■リーゼロッテ > 「まぁ、この世界の代物ではあるまい。
気にするな。風邪をひいた時はひいた時であろうて」
そう言いながらガーゼにアルコールをしみこませてから。
「多少しみるぞ。我慢するがいい男の子。」
告げながら傷口を拭い、消毒をしていき。
「……何故そうも不安そうなのだ。このオレが手ずから手当をしてやると言うのに。」
心底疑問そうだった。お前の口のせいである。
■岡崎燐太郎 > 「ぅおっ……」
液体の冷たさと消毒のしみる感覚に、分かっていても顔をしかめる。
まあ実際この程度の負傷の経験は少なくないが、やはり反射的に反応してしまう。
「や、ごめん。本当助かるよ。今日は諦めるつもりだったから。」
気付いていない辺り天然か。
それほど疑り深く見ていたつもりはなかったが些か露骨だったかもれない。
しかし施しを受けているから分かるものもある。
彼女の口ぶりはあながち間違っていないと思える手際のよさを感じられる。
「あと名前、岡崎燐太郎な」
男の子じゃなくて。お礼ついでに名乗っておく。
■リーゼロッテ > 「うむ。次だ」
と言いつつ謎の軟膏を取り出しつつ。
「……ああ、これはオレの世界の薬でな。
裂傷やらなんやらに効く。効き目はある故恐れる事はないぞ。
薬草やらが原料ゆえみどみどしいが」
緑色の軟膏をガーゼに塗り、その裂傷に押し当ててから、ぐっ、と圧迫し。
「これを直接圧迫止血法と言う。
ガーゼなどで傷口を抑えながら圧迫を加えながら包帯を巻いて抑えるものだ。
直接包帯を巻くのはおすすめせんぞ。」
そのまま慣れた様子で包帯を巻いていき。
「……? 嗚呼、オレはリーゼロッテ。リーゼロッテ=アッヘンヴァル。
燃える炎の美少女だ。」
この自信は一体どこから来るのか。外面はよくても台無しに違いない。
■岡崎燐太郎 > 「異界の薬か……」
怪しげな見た目に拒絶的な反応をせずにはいられない。
校内に持ち込めるような物品であれば危険物の可能性は低いが、
異世界由来の物となると多少なりとも見る目は変わる。
「そういえばそんなこと前に習った気が……まあ覚えておくよ」
知る者からすれば素人の荒療治といったところか。
自分の身体に対してならばさほど意識はしない。しかし記憶に留めておいて損はない術だ。
「うん、いい感じ。これで午後も安心かな」
改めて確りと巻かれた包帯の感触を確かめ、患部の具合をみる。
適切な処置のおかげで気分的にも回復したように思える。
怪我の方もそのうち癒されていくだろう。
「今回はありがとう。えっと、リーゼロッテ」
■リーゼロッテ > 「ふっ、このオレ手ずから手当してやったことを誇りに思うがいい。
なにせこの美少女の手当故になッ!!」
ふふん、とドヤ顔で胸をはり。
どったぷん、と大きく弾んだ。
「まぁ、薬草やらなんやらだ。ヨモギと同類と思え」
椅子に腰掛け足を組みながら、見返して。
そのまま頬杖をつけばふふん、と言う感じの表情。
「どうだ、オレとて捨てたものではなかろう。
よい。人に素直に感謝出来るのは良い男の条件である故な!!」
■岡崎燐太郎 > 「あぁ、肝に銘じておきます」
体型に見合わず弾むそれからは静かに目を逸らし。
「この世界の薬草ならいくつか知ってるんだけどな。
たまに使ったりするし」
椅子の背にもたれて脱力するように座り直す。
痛みもだんだん引いてきているようだ。
「そうだな……と、リーゼロッテの薬はいいのか?
貰いに来たんだろう?」
ふと思い出したように尋ねる。
何かお礼にできる事があれば、と思ったが力になれるかは分からない。
■リーゼロッテ > 「うむ。そうするといい。何故目をそらしたそなた」
非常に怪訝そうにしたまま見やれば首を傾げ。
気づいていない無警戒娘。
「まぁ覚えておくのも損ではない。色々と便利ゆえにな」
ふふん、と笑ってから、椅子にもたれかかり。
「うん? オレの薬は……まぁあとで探す故気にするな。」
手をひらひら、と振って返して。
気にするな、とも言いたげにしつつ。
■岡崎燐太郎 > 「いえ……何でもないです」
気付いていないなら気付かないままでいい。
こういう時天然というのは便利かもしれない。
「邪魔したみたいで悪いな。そういうことなら良いんだけど」
いずれの案件も担当者がいたらすぐに解決しただろうが、
いない者を案じても事態は進まない。
当人が気にするなとのことだ。いつも通り呑気に受け取るとしよう。
「にしてもその服、もう少しどうにかならないのか?
種族として必要でも見てるこっちまで寒くなってくる格好だ」
身体的特徴を持つ種族が独自の服装をまとっているのは珍しくない。
ただ彼女の場合この季節だけでも何とかできないものかと。
■リーゼロッテ > 「む? そうか?」
心底疑問そうに首を傾げてから。
まぁよいか、と呟けば。
「まぁ、いろいろな事情があるのだ。特にオレのような美少女にはな!!」
どういう事情なのか。
きっとそれは男の子には分かるまい。
だってだって女の子なんだもん。
「ならん。背中を塞げば燃えるのみ。
それともそなた、オレの服が全部燃えて全裸になる様がみたいと?
さすが男の子だなッ!!」
■岡崎燐太郎 > 「そんなわけあるか。」
そもそもちゃんと服を着た時にどうなるかなんて今知った。
他人の羞恥心を煽る趣味はないと、冷静にツッコミを入れる。
何はともあれ寒さが嫌いな彼女が背中がはだけた服を着ている理由はそれか。
特殊素材で作られた衣類でもない限り実現は難しそうだ。
「まったく……そういえば昼まだだったな」
呆れたように息を吐き、目線を上げて時計を見ると昼休みの真っただ中だったことを思い出す。
授業終わりにそのまま来ていた為食べ損ねていたのだった。
「今からでも間に合うか……リーゼロッテはこのあとどうする?」
机を支えにして立ち上がる。
一食を済ませるだけの時間はあるだろうし、食堂にでも向かおうかなどと考えつつ。
■リーゼロッテ > 「なん、だと……? そなた、男の子の癖に枯れてはおらんか?
この美少女の裸を見たくないと申すのか?
大丈夫か? ちゃんとたつか?」
酷い事を真顔でほざいたこの女。
荷物からポンチョを取り出して羽織りつつ。
「む。昼飯か。そういえばまだだったな。
オレも食わねば死んでしまう」
こいつの命は儚すぎるのではないか疑惑。
同じように時計を見上げてから頷いて。
「おう。先に飯をくおう。オレの薬など後回しでもどうにでもなろうよ」
よっこらせ、と椅子から立ち上がれば、ふふん、とドヤ顔をしてから。
「この美少女に奢る栄誉をくれてやってもよいがどうする?
あるいは食を共にする栄誉でもよいぞッ!!」
どこまでも傲岸不遜。
■岡崎燐太郎 > うるさい、女の子がそういう事言うんじゃありません――
下品な物言いにはそんなツッコミをして。
「適当だな……ま、お礼くらいはするよ。奢ってやる」
その道何らかの形で礼は返すつもりでいた。
本人が望むもので今果たせるのであれば拒む必要はない。
傲岸不遜な態度に対してはいはいと軽く受け入れる。
「頼むもんは何でもいいけど、こっちのお財布事情は考えてくれよ」
人ひとりの一食分は大したこともないが念のため。
保健室の外へ出ればいまだ混雑した食堂に向かい、代金はこちら持ちで昼食を済ませる。
多少値が張る物を頼んでも致し方ないと飲み込むだろう。
■リーゼロッテ > 「ふっ、オレは女の子ではない。美少女だと知れ」
どういう区分わけなのか全くもって謎。
胸をはればどたぷん、とまた揺れる。
「よかろう、このオレの食うものに驚き酔いしれるがいいッ!!
今日はたぬきそばの気分故にそれで許してくれるッ!!」
やすかった。
この女どこまでもやすかった。
あるいはチョロかった。
ご案内:「保健室」から岡崎燐太郎さんが去りました。
ご案内:「保健室」からリーゼロッテさんが去りました。