2015/06/05 のログ
麻美子 > 「サボり学生としては、
 憩いの場である保健室が煙草臭いとゆっくり休めないんスよー」
(そう言ってへらへらと笑うと、ベッドに腰掛けた)

「で、センセー、何を調べてたんスか?
 面白そうな話だったら麻美子も聞きたいッスー!」
(へらへらと笑いながら、来島に向けて問いかけた)

来島宗仁 > 「ったくしょうがねぇ奴だなぁ」

苦笑しながらサボりを認める。
そのあたり、この保険医はおおらかだ。
だが、調べていた事を聞かれれば顔を顰め答える。

「――ガキの知るべき事じゃない」

麻美子 > 「先生の寛大な心に感謝するッス」

(サボりを許容してくれる先生が多いからこそ、
 自分のようなサボリが学生がこの学校には多いのかもしれない。
 と思いつつ、もそもそと保健室のベットにもぐりこんだ)

「ただのガキじゃないッスよー、
 何しろ、麻美子は広報部ッスから。」
(にっこりと笑うと、鞄から取り出した『公安』の内部資料、
 今まさしく彼が調べていた『違法薬物』に関する資料を手渡す。)

来島宗仁 > 「――お前、どっからこんなもんを」

絶句して読み進める。
そこには違法薬物の制作を公安が進めている事、
それに非常連絡局がばら撒いている事が記載されている。
挙句の果てには、来島が懇意にしている麻薬捜査官までもが非常連絡局に買収されている事まで記載されていた。

「――あんにゃろぉども!」

麻美子 > 「匿名希望ッス、『公安』の人ッスけどね。」

(けらけらと笑いつつ手をひらひらと泳がせた
 そして、じっと、真剣な表情で彼を見据える。)

「先生が『一女学生』の言葉を信じてくれるなら、
 違法薬物の一件に関しては公安の事も、
 風紀委員の事も信じないで欲しいッス。」
 
「あと、その件で公安に追われてる友達が怪我をしてるんスよ。
 いや、してるはずッス。
 見かけたらでいいッスから、治してあげて欲しいんスよ」

来島宗仁 > 「公安に追われてるけが人って、お前……」

来島はすっかり忘れていた。
ここ数日、緊急出動が多すぎて校内新聞も見ていなかった。
慌てて引っ張り出せば、そこには風紀、公安両委員会による通達がでかでかと掲載されている。

「何が、起こってるんだよ、おい……って、怪我人!?
おい、どこだ、そいつら何処に居る!?」

麻美子 > 「それが分かったら麻美子も苦労しないッス!!!」
(悔しそうに唇を噛んだ。
 どうやら、彼女にも分からないらしい。
 その様子から、彼女と無関係の人間というわけじゃない、
 という事も分かるだろうか。)

(深呼吸すると、へらっとした笑顔に戻る)
「分からないッスけど、
 見つけたら黙って治療してやって欲しいッス。
 公安とか風紀に見つからないようにッス。」

来島宗仁 > 「――よし」

彼女の悔しそうな表情を見て、決めた。
そうだ、誰かを救えなくて身を裂く様な思いをした人間。
過去の自分がそこに居るのだ。

「いいか、そいつら見つけたら、ここに連れて来い。
治療もしてやるし、公安だろうが風紀だろうが、誰からだって守ってやる」

自宅の住所を書いたメモを渡す。
前からお尋ね者やら二級生徒やらで溢れてる家だ。
いまさら何人増えたところで、どうという事もない。

「それとな――その違法薬物について、俺の知る限りの事を書いておいた。使うんなら使え」

そう言うと、ファイルを麻美子に投げる。
『変革剤』と『退化剤』の合成情報が記載されているそれ。
自分が持つより、彼女が持つほうが有効に使えるだろう。

麻美子 > 「進言は嬉しいッスけど麻美子も重要参考人ッス。
 こっちから露骨に探す事は出来ないッスよ」

(告知された一文を指差すそこには彼女が参考人として招致された、
 という一文がかかれている。)

「麻美子にできた事はその場からとりあえず逃がす事だけだったッス。
 それで、それ以上はもう何も出来ないッス。」

(次妙な事したら首がポーンと飛ぶッスよ。
 ……と、寂しげに笑った。)

「……まぁ、資料はありがたく貰っておくッス、
 情報は少しでも多いほうがいいッスからね。」
(ファイルを鞄にしまいつつ、
 保健室のベッドにもぐりこんだ)

「というわけッスから、
 麻美子は先生と他愛もない雑談をし終わったので
 保健室のベットでこのままサボらせてもらうッス。」

「見かけたらでいいッスから。頼んだッスよ。」

来島宗仁 > 「――おう、ゆっくり休め」

来島はそれだけ言うと、応急治療セットを持って立ち上がった。
少女が勇気を持って、これだけの事を成し遂げたのだ。
今度は自分の番だ。

生きてる限り、どんな相手だって治してみせる。
来島は新聞に出ていた彼女の『親友』を探しに、街へと出かけた

ご案内:「保健室」から来島宗仁さんが去りました。
麻美子 > (来島の背を見送ると、ベッドに隠れながら、
 イヤホンを刺して回収してきた盗聴器の内容を再生する。)

『直接攻撃、直接対決はもう出来ないッス、
 情報を少しでも集めて、少しでも公安が不利になるように、
 少しでも多くの人間が公安を疑うように仕向けるッス。』

(会話内容は特別不穏な話題や、
 彼女の期待するような公安や風紀委員のスキャンダルではなく、
 ただの過去の思い出話のようだった。
 ……とはいえ、最後に不穏な一言はあったが。)

『生徒会長ーって、やっぱりあの男。
 本当に食えないやつだったんスね。
 ……ただ、この風紀委員は信用して良さそうッス。
 やっぱり今度うどんでも食べに誘うッスよ。』

(そんな事を考えつつも、考えは別の方向へ向かう。
 話をおおまかに纏めると、
 2年前の大事件を原因にして今回の騒動は起こっているらしい。)
 
『『ロストサイン』ッスか。』

(一応、話には聞いた事のある程度の名前をしっかりと胸に刻む。
 ……手段があれば調べてみることにしよう。)

麻美子 > (そう考えた後に盗聴器を仕舞うと、今度はタブレットを取り出した。
 別に何の事はなく、タブレットでパズルゲームを起動すると、
 鼻歌を歌いながらやりはじめる。)

「んーんーんーー♪」

『折角保健室のベットを借りたっすから、
 このまましばらくサボってから帰るッスよ。』

(上履きを脱ぐと、靴下も脱ぎ、素足をぱたぱたと動かしながら
 保健室のベッドでパズルゲームをする。
 素足にあたる空気が心地いい。)

麻美子 > (外からは授業ののんびりとした声が聞こえていた。
 すっかり非日常に身を落としてはいても、
 日常を捨てきれないのがアタシの弱さなのかもしれない。)

「私、この1件が解決したら、恋人とか作って、
 友達とまたカラオケに行くんスよ。」

(そんな事を呟き、『あ、死亡フラグ立てたッス。』
 ……などと考えながらも、しばらくのんびりとして、保健室を出て行った。)

ご案内:「保健室」から麻美子さんが去りました。
ご案内:「保健室」にサイエルさんが現れました。
サイエル > 「さーぼろー、さーぼろー、たーーっぷりー、さーぼろー♪」

昨日はサボろうとしたら、別の意味でサボってしまった。
やれやれ、どうしてこうも血の気の多い……というか。
まぁ、異能、特殊能力。それらが認められ
それらの能力を気兼ねなく使えるのはいいことだし
それらのレベルアップを図る。自身の能力を
しっかりと把握する。悪いことだとは言わないが

「……若いなぁ。若いっていいなぁ」

ようやっと我が城。誰もいないであろう保健室にたどり着く。

――誰もいないよね? 多分

まぁ、いたとしてもサボってるだろ。一緒にサボらせてくれるでしょ……
と楽観的に扉を開けて。誰もいなかったことに一息。

「……あー、これこれ。この感じですよ」

どかっと保健室の椅子に腰掛けて

サイエル > ごそりと、白衣に入れっぱなしの袋に触れる。
そっと取り出して中身を覗き込み

「……なんの”キャンディ”かね。これ。うわさのってことはあれか、Level Up 的な魔法のアイテム……かなぁ……」

じょりっと無精ひげを指で撫でる。
効果のほどはわからないが。使うのもあまりよろしくない気がした。
なにより、これは”保険”になるし。

「……ふーむ。にしても、あんなとこにあんな学生がいるなんてねぇ。いや、まぁアレが普通か」

ふと昨日、いや昨日だけでなく今までであった学生たちをぼんやりと思い浮かべてみる

サイエル > 公園出会った彼。あれはまるで、ピエロか何かか。天邪鬼か。
そんな気がした。けれど、特別何かが狂ってる感じでもなかった。
純粋に”楽しさ”を求めていたのだろうか。
その”楽しい”の方向は分からないが。実に気味の良い
非常にサボっていて楽しい少年だった。あのあとちゃんと学校に行っただろうか。行ってモテていたようならなにか大家を要求しないと。畳持ち一週間とか

サイエル > 昨日であった最初の少女。
彼女はしっかりものの印象があった。
きっと真面目なのだろうか。警戒はされたが
警戒が溶けたあとの笑顔はうむ。実に目の保養だった。
それと、スカイウォークは羨ましい。
サボってる最中にあれをしたら間違いなく楽しいだろうと
口の端をわずかに釣り上げる。
まぁ、ないものねだりだが。

椅子に深く腰を下ろし直せば
ぎぃっと、鈍い音がした。
太ったかもしれない、ショック。

しかし、罪。とはまた大きなものを持ったものだ。
いつ出会うかはわからないが
その重い、枷のような。そして同時に糧のようなものが
引きずりに引きずって、軽くなって
あの、爽快な歩みを邪魔しない。
いつか外れるギプスになることを願う。

サイエル > いつのもように電子ポットの頭をぐっとおす。
お湯が急須に流れる音。
あいかわらず日本茶の香りはとてもいいものだ。
和の心は素晴らしいと思う。
この苦味は味覚を良くしてくれるし
なにより、こうほっこりする。癒しイズヴェーリーグッド
今日のせんべいは、ちょっと贅沢? かどうかはわからないが
ぬれ煎餅である。甘醤油がちょっとクセになる。そんなん。

「……んー、そろそろいいかな」

少し蒸らして、くるくると急須を回しこぽこぽと
湯呑に注いでいく。

……さて、何を考えていたのだっけ?

サイエル > ……えーっと。日本茶の素晴らしさ?
それはもうなんか言ったようなきがする。
ヴェリーグッド? いや、ただの英語。
ぬれ煎餅の魅力? おいしい。シンプルイズザヴェスト。
とりあえず、日本茶を一口。

「……あぁ、そうそう思い出した」

新たな魅力だ。
日本茶の苦味は、脳を刺激する。多分

サイエル > さてあと三人。
一番破天荒だった少女と、一番おもしろかった少女と、巻き込まれ体質の彼だが……

まずはカリキュラムとやらをこなしていた少女から行こう。
黒い、目を引く服を着ていた小さな少女だ。
彼女はとても小さな体躯をしていたが……その身にある能力はとても大きいようだった。
影を操作する能力。汎用性が高い。封殺するには
ジャミング、キャンセラー、暗闇に閉じ込める。いや、閉じ込めても意味がないのだろうか。
とりあえず、能力を使えさせないようにするには難しそうだ。
しかし、能力は無制限でない。射程やそういうのがわかれば
少しはなんとかなる、だろうか?

「……いや、まぁ、何かをするわけじゃないけどさ」

なんていう先生の課題だったのかは、ちょっと思い出せないが。
まぁ、落第街をそういうふうに使う者も当然いるだろう。
あまりコミュニケーションが得意そうではなかったが、信頼しているようには見えたし……

「んー、相性抜群……」

ぬれ煎餅の甘さに頬を緩める。
あぁ、なんて美味しい。苦味とマッチして実に良い。

サイエル > さて、その少女のことを語ったあとは
巻き込まれてしまった彼のことだろう。

ふらっとやってきた気だるげな少年だったが
カタナ、とはなかなかどうして渋くてこう、危ないものを携帯している。
治安云々は、言う気にはならないがあいかわらずあのあたりは危ない。
怖いから、ちゃんとサボる時だけにしておこうと改めて決意させてくれた良い少年だ。無事でいるといいな。保健室はわたしが使っている間はサボる場所なので、怪我できても追い出すが。
そのときは運が悪かったと諦めてもらおう、うん。

ずずっと、日本茶をすする。
甘くなった口をリフレッシュさせてくれて喉も潤う。
あー、この苦味のためにサボっているといっても――

「過言……? いや、ちょっと合ってる気がする。まぁそれだけじゃないが」

サイエル > 最後は――ちょっと変わったおもしろい少女だろう。

彼女は一体あの場所に何を求めているのだろうか?
いや、何を探しているのだろうか?
――いや、探し物は見つかるはずだが。見た様子、あの能力ならば? 推測の域を出ることはなく。また彼女自身ではない。
その範囲もわからないが、高レベルの能力であることは間違いないだろう。あの、”操作”ならば、だが。

「精神感応。音に敏感、ヘッドホン……」

いろんな能力者を見てきてはいるが、彼女はどれほどのペルソナを持っているのだろうが。
見た限りでは。強気で、煽ってくる折れない少女だが。
何かに怯え、恐れ。そして同時に、それを与えてくれるものを探しているのだろうか?

はてはて、思考が迷走してきた。とりあえず、また会えたら少し”サボリ方”を変えてみることにしよう

サイエル > 「……まだ時間はあるなぁ。まったりサボるとしよう。どうせ、暇だし……」

くぁぁ、っとあくびをする。
喫煙は禁止だ。だからはむはむと寂しい口をぬれ煎餅で誤魔化しつつ。
じょりっと再び無精ひげを撫でて。そっと窓からの景色を眺めていた

ご案内:「保健室」に立花 響さんが現れました。
ご案内:「保健室」から立花 響さんが去りました。
ご案内:「保健室」に立花 響さんが現れました。
立花 響 > ガラリ、と保健室の扉が開く音がする。
保健室の入り口には頭が痛そうに額に手を当てている黒髪の少女がいるのが分かるだろうか

「あの…保健室で休ませて貰ってもいいでしょうか。」
サボっているとは露知らず、響は保健室の中にいるサイエルに声をかける

サイエル > 「……おや、珍しい」

驚いたように。いやまぁ、来るときはあるだろうが……
たまにはこういう日もあるだろう

「あぁ、構わないよ。ベッドは好きに使っておくれ」

立花 響 > 「ありがとうございます」
ゆっくりと礼をした後に部屋に入り、保健室の扉を閉める。
響は学校の保健室という場所に入る事に経験はなく、保健室の中をぐるりと見渡す。
響の目にベッドより先に見つけたのはサイエルの側にある茶と…煎餅。
この人は本当に保健室の先生なのだろうか、と疑問に思い、別に質問しても大丈夫だろうと口を開く

「え、と…一応、保健室の先生の方ですよね?」
性別は男っぽい。白衣をつけている。それだけで保健室の先生になる訳ではない、が
ただ疑問に思ったことは質問するべきだろう。
相手が先生ならば生徒の質問にはなるだけ答えるだろうし

サイエル > 「……ん、もちろん。見ての通り保健室の先生だよ」

ふわりと微笑み。はむっとぬれ煎餅を口に運び。

……たべる?

と問いかけつつ。

「今サボリ中だけど」

立花 響 > 「…えっ」
目の前にいる先生からまさかの一言、サボり中と聞くと驚きを隠せない声を出してしまう
しかし、保健室に休みに来ているならば自分もあまり人のことは言えないだろう…と思い、口を開く

「それなら1個だけ、戴きます」
1個だけならば、1個だけならば別にいいだろう。
最近特にこういうお菓子とか食べていないし、と自分の中で言い聞かせてサイエルの側にあるぬれ煎餅に手を伸ばし、それを食べようとする

サイエル > 「……どうぞどうぞ」

食べたのを確認してからにやりと笑い

「食べたからには黙っててね。私はちゃんと保健医として、キミが具合が悪いからベッドをかしら。そういうことにしておいて。どんな理由であっても聞かないし、ゆっくりして言っていいからさ」

お茶は飲む? と聞きながら
顎をさすればじょりっとヒゲの音がなった

立花 響 > あぁ、しまった。そういう先生なんだこの人。と心の中で愚痴りながらやれやれ、と言った表情をした後に口を開く
「食べてしまった以上確かに仕方ないですね…元々私は休みに来たのですからそれで問題無いでしょうし」

ぬれ煎餅を齧り、飲み込んだ後にはぁ、とため息をついたと思えば美味しいと呟く
お茶のことを聞かれると手の平を向けて遠慮するような仕草を取る。
今お茶を飲むとどこか頭痛が酷くなりそうな、そんな予感に従っただけでもある

サイエル > 「うんうん、何を飲んだかは知らないし、なんでこんなとこにキミのようなスゴイ人がいるかは聞かないから。そんな顔をしないでおくれよ……」

内心のこのおっさんは

――やっべええええ、隠しそこねた、しまった。バレたあああああああ。しかもすっげぇ有名人だし。告げ口されたらまずいいいい。これくらいでどうにか穏便に済ませてくれないかなぁ……ほ、よかった……優しい子だ……

ってなっているのは、テレパスぐらいしか知らないであろう

立花 響 > 「私自身何飲んだかは全く覚えてないですけどね…」
昨日の出来事を思い出すように首を傾げて天井を見る。
響自身はうろ覚えで何があったかは殆ど思い出せないのだが落第街の地下で異能と魔術がぶつかり合っていたとは全く予想だにしないだろう。

「それで…スゴイ人、ってなんですか?ここに来てから私は何か騒ぎを起こしたつもりはないのですけども」
先生にスゴイと言わせる事をした記憶がないどころか会った事もない。愚直に言葉の意味をサイエルに問いかける

サイエル > 「え、キミ有名人じゃないの? ドッペルゲンガー? そういう能力? 本土の有名人になりきる変装の名人とかそういうの……」

えーっと、ちょっとまってねと、ごそごそと保健室のデスクを漁り。

「あった! ありました。デビューシングル、幻のっ。私はセカンドアルバムに入ってる二番目の曲の方がオキニだけど、これも大好きだよ。クラシックばかり聞くけれど、よく耳に残る曲が多くてねぇ」

ペラペラ語り始める。意外と音楽に詳しいのだ。
こらそこ、人をドルオタとかいわない。そんなものじゃありません、音楽が好きなんです。

「人違いだったらごめんね……?」

……これ人違いだと恥ずかしいなぁ。でも本人だったらサインくれないかなぁ。くれないよなぁ。こんなおっさんなんか呆れてるよなぁ……いやいや、でも言ってみるだけ、言ってみるだけならっただ、だしっ……

というおっさんの葛藤。理解していただけるだろうか

立花 響 > 「本土の私を知っている人でしたか。なるほど…」
デビューシングルのCD《ハジメマシテ》のケースの絵を見るとどこか懐かしそうな物を見ているように表情が和らぐ
それにしても本土から離れてるとはいえ、知ってる人が多いと思うと嬉しい半面やはり複雑な気分にもなる。
もうあの声は出せないのだから…

「じゃあ改めて自己紹介を…立花響です。漢字は分かるので説明はいらないですよね?
えっと。元歌手、現常世学園1年です。よろしくお願いしますね」
礼儀正しくサイエルに対して模範的な礼をする。

サイエル > 「ん、よろしく。いやぁ、にしてもホントこんなところで出会えるなんてね。…………サインとかしてもらってもいいのかな? それとももう嫌?」

言っちゃいました。ええ、言っちゃいましたとも!
おっさん、39歳にして事情とかもわきまえず己の欲望に従いましたともさ。
っは、いいじゃないか。子供なおっさんがいたって! 
うるさい。もっと、しっかりしろとか言うんじゃない。
しっかりしてるだろ、サボってるだろ! 至っていつもの私じゃないかっ

立花 響 > 「サインは別にいいですけど、音楽活動は別路線で続けるつもりですけども今の私は歌手ではないですよ?
それでもいいならサインぐらいはいくらでも書きますよ」
そう言うと懐よりサインペンを取り出す。

「あ、と。どれにサイン書いたらいいでしょうか。CD?それとも先生の顔に書いたらいいです?」
特に色紙とか持っている様子がないのを見ると何か書けそうなものを挙げてみる
勿論後者は冗談で響本人も笑いを堪えているが、くすくすと笑い声が漏れている

サイエル > 「……書いてもらったら少しはマシになるかねぇ……」

おや、笑ってくれた。少し沈んだ感じは払拭できたかなとほっと、気づかれないように胸をなで下ろす。

「Second Albumに是非。My favoriteです」

すごく素敵な笑顔で、流暢な英語で自分のカバンから差し出した。
――持ってきてて良かった! 偉いぞ私! よく今サボる決意をした!!

心の中でガッツポーズ。

「いや、それでもキミの音楽が変わるわけじゃないでしょ。私は立花響の奏でる旋律が好きだからね。声ももちろんだったけれど。続けてくれるなら願ってもないねぇ」

じょりっと無精ひげをなでて

立花 響 > 「じゃあそれに…」
何がマシになるんだろう。そもそもこの人が何歳なのかは知らないが、割りと悩みを抱えているのだろうか
そんなことを考えながらセカンドアルバム名《リスペク常世》に《Hibiki》と慣れているように記していく
そういえばこのアルバムを出す頃に常世島の存在を知ってこんな名前をつけた気がする。我ながら巫山戯た名前である

「先生以外に私のファンの方がいて、同じことを言われました。
歌えなくなってもやっぱり音楽は楽しいですから…頑張らせてもらいます」
自分の胸の前に両手を組んでとある男子生徒を思い出してどこか嬉しそうに語る
…そういえばここに何しに来たんだろうか。いつの間にか頭痛が収まっているような気がする

サイエル > 「ありがとう……いや、ホント涙が出そうなほど嬉しいよ」

ホントはひゃっほーーーーーってしたいとこだが、我慢だ。
流石に昨日、ただでさえ不審者だと二人の少女に言われたではないか。
ここでやっちまったらホントにアウトだぞ☆

……うん、テンションがおかしいかも知れない。

「おや、二番煎じ。残念……おや、その感じ。もしかして恋かな?」

ニヤニヤとしつつ、ぬれ煎餅をひとつはむり。
お茶をずずずっと飲んで心を落ち着けた。

――ああああ、サインだァ、サインだァ……

セカンドアルバムに書いてくれたサインを見た瞬間、その落ち着きはどこかに行ってしまった

立花 響 > 「そこまで言われるとは…ファンの方は大袈裟な方が多いですね」
ファンにはなったことはないからそういう感性は未だに理解はできてない。
響の中ではそういう喩え話なのだろう、と勝手に理解している

「恋ではないですけども…なんでしょう。人間として尊敬している方でしょうか。応援したくなるような…そんな人です」
ぬれ煎餅をもさもさ、と食べながらファンの人について語る
音界の覇者になる!と意気揚々と宣言した男。
恋ではない。ファンとして、人間として尊敬しているだけ…きっとそう、と響は考える

サイエル > 「尊敬できる人と出会えたのか。それはいいことだ、非常に。そういう人との繋がり、刺激は自分のプラスになるからね」

日本茶を渡しながら、やっと少し平穏が戻ってきて、正気に戻れた自分を褒める。帰ったら発きょ――もとい。発散しよう。そう心に決めた。

「知る、見るとは、いろんなものに影響が出る。その人を応援したくなった、それが君にどう作用するのか。楽しみだよ」

それにしても――

「このぬれ煎餅、おいしいだろ? お茶にピッタリなんだ」

立花 響 > 「そういう人を見て曲を考える、なんて事も出来るでしょうしね」
頭痛の素もなくなったのだから今日本茶を拒む理由もない
日本茶を渡されたならばそれを一口飲む。
口の中に苦味が広まり、渋い顔をするのが決して悪い苦味ではない

「えぇ、美味しいです。そもそも煎餅なんて歌手が食べるのはダメだったりするので食べるのは初めてなんですよ」
第三者がこの光景を見れば、お茶と煎餅の和風のコンボを味わって休みに来た、というより一緒にサボっているようにしか見えないだろう。
ただ美味しい物には逆らえない。人間の理である

サイエル > 「おや、歌手の初体験。喉を大切にしてたんだねぇ。プロだなぁ」

しみじみ口にして、はっとした。今のはセクハラだったりするんじゃなかろうか。訴えられたらまずい。
今時の若い子は怖いのをうっかり忘れていた。
そして白衣のおっさんと、目の前の有名で物腰柔らかい女性。どっちが世間は信用する――
あぁ、いや。まぁ、そんなことする子には見えないし、するっと流してくれることを期待した。

「そういえば別路線で始めるとさっき言っていたけれど、なにか楽器でも始めるのかな?」

立花 響 > 「初体験だなんて言ったらこの学園で起きている殆どが初体験になりますよ…空を歩く方がいらっしゃる訳ですし」
でもこんな可愛い初体験も良いかな、と呟きながらぬれ煎餅1つを平らげる。
こんなゆったりと時間を過ごすならまたこの保健室に来てもいいかもしれない。こういうのもきっと彼がいっていたベストプライスに入るのだろう

「えぇ、楽器を―――唄おうかと。」
常人なら何を言っているんだろう、と首を傾げる場面だろう。
だが響の笑みはどこか自信満々で嘘を言っている雰囲気ではない

サイエル > 「……まぁ、様々なそういう力を持っているものたちが集まる場所だしねぇ」

うんうん、言われてみれば確かに。若い彼女にはそうなるだろう。
じょりっと、髭を撫でる。興味深そうに。

「へぇ、唄うのかい? それがキミの力かい? ボイスパーカッションや、アカペラのそれなら知っているが……多分それとは別系統、なのだろう?」

立花 響 > 「えぇ、そういう意味で色んなところを周るのは楽しいです…常に初体験ですから」
ふふ、と堪える訳でもなく隠すわけでもない笑みを浮かべる
今までも楽しく、これからも楽しい学園生活を送ると思うと楽しみで仕方がないのだろう。

「どちらかというとアカペラ、に近いでしょうか。楽器の音をそのまま私の声から出す訳ですし…聞いてみます?」
何か隠れて悪いことを企んでいる子供のような、悪戯心に溢れた笑みを浮かべている

サイエル > 「……おや、新生立花響の初ライブをこんな特等席で聞かせてもらっていいのかな? しかも独り占めだ。年甲斐もなく……こう、嬉しくなってしまうお誘いだけれど」

ふむっとひとつ考えてから。
少し瞑目。そしてドームを作る感覚で”音をこの保健室に封じ込める”。この保健室の防音設備はこれで最高クラスになったわけだ。目の前の少女は気づかないだろうが。

「……聞かせてもらえるなら是非に?」

いちおうサボってる故に、目立つのはよろしくないのだ

立花 響 > 「えぇ、勿論…と言っても音量調整ぐらいはした方がいいですよね」
お互いのサボり関係でかつベストプライスを守るべく、響も思考を巡らせる
サイエルの防音対策に露知らず響も魔術を使おうと自分の指を光らせて指揮者のように指を振る。
1回、2回、3回、と振ると緑色の棒が響から3本現れ何の音もなくそれは地面に落ちる

「えぇ、これぐらいの音量ならお互いバレなさそうですね」
先程の声よりも声が小さく、今にも消え入りそうな声に。響なりの防音対策なのだろう。
これで歌っても保健室の外から通りかかるぐらいなら全く音が聞こえない程度の音量

深呼吸、2回程咳払い。そして保健室の中にだけ響くフルートの唄声。
響のデビューシングルを聞いたことあるサイエルなら分かるだろう。
響がフルートで唄っているのは《ハジメマシテ》であることに

サイエル > 音量調節――
その動きを見れば目を細める。
異能、特殊能力。それとはまた別ベクトルなのだろうか。
こうして見れるのは貴重だ。教師としても、サイエルとしても。

そして始まる。観客一人のコンサート……

素直に驚いた。
その音楽は、綺麗でなめらかで。音程に狂いなく。
間違いなく声であるのはわかるのに
まるで、精密機械のような音程の正確さ。
それに加えて、彼女の彼女たる所以である、彼女だけの音楽を、”楽器”が奏でている。
なんて不思議で、なんて魅惑的な旋律であろうか。

それはどのクラシックよりも鮮烈で
どのポップよりも軽やかな
耳に心地よく残り、心を躍らせ
自然と笑顔を生んでしまう。

再びおっさんは、歓喜し、自分を褒めた。
よく、この時間にサボリに来たと。

目をつぶり、至福のひとときを味わっていく

立花 響 > やがて曲が終わる。しんとした保健室。
こうやって誰かに唄うというのはやはり気持ちいいのか響の顔は保健室に入ってきた苦しい顔なんて忘れさせるようなやり遂げたような、
歌手がコンサートを終わらせて観客に笑顔を送る時の笑顔。

「――――ありがとうございました」
響らしく礼儀正しく、か細い声でサイエルに礼を言う。
聞いてくれてありがとう、なのか楽しさを思い出させてくれてありがとう、なのか。それは響だけが知っている特権

サイエル > ……ほうっと息を吐いてしまう。

普通ならアンコールをするべきなのだろうが
クラシックを嗜むサイエルにはそれ以上に――

スタンディングオベーションが最大の賛辞だった。

思わず立ち上がり、拍手をする。
言葉を吐くのはこの余韻には邪魔でしかない。
故に、拍手と笑顔でこの場に居合わせてくれた奇跡に
感謝し、惜しみなく拍手を送り続けた

立花 響 > 「あ、え、と…た、立たなくてもいいですよ?」
目の前でこんなに拍手と笑顔。そして起立までさせるほど感動したのか。
響はどこか照れくさい反面年上に対して立たせてしまったという申し訳なさもありサイエルに座ってもいい、とか細い声で伝える

そういえば音量調整したままだった、と気付き地面に落ちた音量調整の棒を拾い、それを胸に押し付けて響の身体と一体化させる。
自分の身体のどこかなら特に問題はないのだが、今回は自分の胸を選ぶ。それだけに今回の出来事は忘れたくないのだろう

サイエル > 「……っと、ごめんごめん。ありがとう。飲み物のむかい?」

そっと白湯を渡す。突然喉を冷やすのはよくない。
湯呑を渡しながら。歌に関してはそれ以上口にしなかった。
今ので十二分に伝わっていると、そう判断したからだ。
野暮なことは、きっとこの少女にはいらないだろう。
ゆっくり、音の振動を通るようにして……

「熱いから、冷ましながらゆっくりね」

立花 響 > 「いただきます」
白湯が入った茶呑を渡されると会釈をして一口飲んではぁ、とため息をつく。
きっと本日2回目。最近のため息は悪くないものが多い

「それで、どうでした?…楽器1つだけだと少し、寂しい感じがすると思ったのですが」
今回唄った内容を自分の耳で聞いて想った事を口にしながら、サイエルに感想を求める。
一つ一つこういう事を聞いて一つ一つ練習していく。響のスタイルでもある

サイエル > 「一人で多数を弾くことが出来るなら、贅沢を言えばピアノとかあるといいなとは思ったけれど。それ一つでも十二分に楽しめる旋律だったよ。私は好みだよ?」

求められたなら口にする。
うん、上手下手ではなく、好み。
あまり参考にならない意見だろうが
これが正直な感想だった

立花 響 > 「なるほどピアノ…」
何か閃きそうなのか手を自分の顎に持って行き考えこむ
口で楽器を唄い、手だけで弾ける物を弾けば良いのでは…?と響は思考し、口を開く

「ピアノ、ピアノがあれば、フルートを唄いながらピアノを弾けるかも…」
自信無さげにその感想に対して自分が出来そうな策を教える。
この辺りはまだ自分も試した事がない。所謂自分の限界を教える変えの1つなのだろうか。

サイエル > 「ピアノはそれひとつで、様々なメインを張っていけるし。それだけで、オーケストラのように多彩な音、旋律が出すことが出来るしね?」

ふむっと、顎をさする。

「……世の中には歌いながらピアノを弾くシンガーもいる。君ならできるんじゃないかな? 私は、出来ると思うけれど」

根拠などない。がやらなければわからない。

「ここにはいろんな先生が居る。探してみたらどうかな?」

立花 響 > 「…やってみましょうか。どこかピアノぐらいはあるでしょうし、それを借りて…よし」
今後の方針が決まったのか、グッと握りこぶしを作っている。
ただこれらをこなすには少なくとも1つの楽譜は暗記しなくてはならない。
響にそれが出来るかはきっとこれから次第なのだろう

白湯を全て飲み干し、ふぅ、とため息をつく。確か3回目。美味しいため息
「それではそろそろ行こうと思います…良く休めました、からね。
また一緒に休みましょうね?先生」
響の中で良い場所を見つけたつもりなのか、足取り軽く、保健室を後にする

ご案内:「保健室」から立花 響さんが去りました。
サイエル > 「……なかなか良いサボりだった……」

きょろきょろと扉から顔を出し誰もいないことを確認する。
そしてぱたりと閉じて、鍵をロック。
音を遮断するドームを再びつくり……

「ひゃほおおおおおおおおおおお!!!!!!」

歓喜を言葉にして表現して。

それから少ししてから、にこやかに保健室から去っていった

ご案内:「保健室」からサイエルさんが去りました。
ご案内:「食堂」にさんが現れました。
> 「はぁ~~~~」
少し乱暴にテーブルに置いた盆から食器が鳴る音を聞きながら椅子に身を投げ出す
今の時刻は丁度21時。朝に食べた食パンは確か7時ぐらいだったからそれまでずっと走り回ってたのか、俺
「はぁ~~~~」
と、二回目の盛大なため息が口から漏らしながらスプーンを手に取る
目の前にはカツカレー(大盛り)
そのスパイシーな匂いと冒涜的なカロリーを思い浮かべながら一口
「うっまい!」
後はそのまま一心不乱に胃へとカロリーの塊を押し流す

> 最後にコップの水を一気に飲み干して、ガンっとテーブルにたたきつけるように置いて、やっと一息
「ほんと厄日か今日は」
師匠のパシリから補習(強制)の2連コンボ食らうとは思わなかった
しかもあの糞教師終わるまで帰さないって鬼かいや鬼だ
こんなんじゃ俺、卒業したくなくなっちまうよ……

はぁ、とこれが最後と胸に決めながらため息を吐いて辺りを見るとこの時間の学校の食堂は流石に空席ばかりだ
こんな空席ばかりであれだけ派手に音をたてたせいか微妙に視線が自分に向いている気がする
少し恥ずかしいが、今更どうにかすることも出来ないあえて開き直って携帯を開く

> 補修中は取り上げられていてし、終わった後は飯の事しか考えてなかったから朝ぶりに開いた携帯には師匠からのメールが
前半部分の何時もの愚痴はさらっと流して、終わりの文の聞いたことの答えだけを読み取る

『あぁ、あの二人なら朝方に出て行ったよ。授業があるとかなんとか言ってたもう一人の少女について。
 体調はもう大丈夫そうだったな。お前なんかしたの?
 たとえば風紀委員にみとがめら』

そこまで読んで、携帯を閉じた
大丈夫だとは思っちゃいたが、しっかりと言葉で見れると安心するな
食後の満腹感と相まって息が漏れる

> 背もたれに体重をかけて、天井を仰ぎ見る
一日だけの付き合いだったが不思議な体験だったな
あの二人は今日も何処かを歩いているんだろうか

それと、もう一人の少女
メアって言っていたあの子
ソラとルナを心配する顔と
路地裏で無表情にチンピラたちの腕骨をへし折っていた顔
見間違いではない筈だ。特徴的な格好だったしな
あの時、胸に抱いていた紙に何かを書き込んでいたように見えたアレが何か関係しているんだろうか

> 「ま、考えても仕方ない事なんだけどな」
今の俺じゃ答えは出るはずもねぇ
次会った時に、聞いて見る、のは地雷を踏む行為だろうか
流石にあの力に対抗できるかどうかわからねぇしなー
それにあんまり他の人間と絡みたいとも思わない
「自分の生まれがバレるのは、やばそうだしな」
一番の目標は、この異能の制御だ
それだけは見失わないようにしねぇとな

ま、次会った時話の流れ次第で聞いてみるかな

> カウンターに行って珈琲を取ってくる際に、ふとウォーターサーバー横にある紙コップが目に入る
そういえばあの紙コップ、気づいた時には居なかったな
紙コップ、なんだよな?
置いてある紙コップを手にとって少し力を入れてみる
ペコッ、という小気味のいい音に何故か鳥肌を覚えて慌てて戻して席へと戻る
暫く紙コップは使わないようにしてぇな

> 食後の珈琲を飲みながら、ボッーっと視線を漂わせる
この珈琲200円で飲み放題とかやっぱり学園の食堂のコスパはやべぇな

> さて、っと
家に帰って寝るか
今日はよく寝れそうだ

身体を伸ばしながら食堂を後にした

ご案内:「食堂」からさんが去りました。
ご案内:「屋上」に比良坂 ヒナセさんが現れました。
ご案内:「屋上」にバルザック=伊藤さんが現れました。
比良坂 ヒナセ > 夕方。屋上のドアを開けてやってくる。

「うん、これでこの建物の教室は全部見終わった、と」
一息ついて、屋上にあったベンチへ腰かけた。

比良坂 ヒナセ > 「なんでこれで迷うかなぁ……ひなせ」

下の階で買った缶コーヒーを空けて飲みながら、夕日をぼーっと見ている。
教室や色々なところを歩き回ったので、少し疲れていた。

バルザック=伊藤 > ギィィと、ドアが開く音。音のする方向を見れば、校舎の中から人型の筋肉が入ってくるのがわかるかもしれない。
比良坂 ヒナセ > 「んぐっ……!?」
コーヒーむせた。激しく咳き込む。
なぜなら筋肉が人の服を着て歩いていたからである。
……ではなく、突然ドアが開いた音に驚いただけだ。

バルザック=伊藤 > 先客に気づかないまま、太陽の方向に向かって歩く筋肉。
「ふう……太陽が眩しいぜぇ。これは……対抗するしかねえな!」
そう言い放つと同時、突如ポージングを取る!

バルザック=伊藤 > 燦然と輝く西日を浴びる筋肉!はち切れんばかりの筋肉は、その光沢を以って太陽光線を乱反射させる!
これぞシャイニング筋肉!おぉ、我らが神はここにおわした!

比良坂 ヒナセ > (なんだ……普通の体が大きいだけの人か……)
安心して落ち着いてコーヒーを再度飲んだ時、目の前でポージングが炸裂!
ヒナセはコーヒーを激しく吹き出した!
太陽に煌く筋肉とコーヒーのマリアージュ!

比良坂 ヒナセ > 咳き込みながら筋肉に叫んだ。
「な、何……そこで、何っ、何してるのッ!?」

バルザック=伊藤 > 筋肉に酔いしれ周囲にまったく注意を払っていなかった筋肉は、コーヒーをまともに浴びてしまう。
「うおっ!??なんだこの茶色いの!って、おぉ?」
声をかけられたことでようやくヒナセの存在に気づく筋肉。
「よぉ、先客が居たのか!すまんな、騒がせて。
何してるって、見てわからねえのか?筋肉を震わせてんだぜ!」

比良坂 ヒナセ > 「っあ、それコーヒーだけど!こぼしてごめん!でも何、筋肉を震わせるって……意味がわかんない!」
何か拭くものはないかとポケットを探し、とりあえず見つけたティッシュを差し出しながらヒナセはキレている。

バルザック=伊藤 > 「おう、さんきゅ。」
筋肉はティッシュを受け取り、礼を言ってコーヒーを拭った。
「まぁ、お前さんは見るからに筋肉ついてなさそうだもんなぁ。そんなだからちみっこいままなんだぜ?」
ガハハ、と笑いながら筋肉は貴方の頭をポンポン、と叩こうとするだろう。

比良坂 ヒナセ > 頭を叩かれ、ぶるぶると震えている。怒りゲージがぐんぐん上がっている!
「私は、小さく、ない!君が……君が異常に大きいだけ!筋肉なんかなくたって大きくなれるし!」

言いながら頭の上の手を叩き落とそうとする。

バルザック=伊藤 > ペシペシと叩かれる手は、しかしその軽い衝撃にびくともしない。
「そうか……?まぁ普通の女の子ってそのくらいだっけか?よく考えたら女子の知り合いってまったく居ないんだよな。ガハハ、参ったぜ!」

「でもあれだぜ?筋肉は偉大だぜ?筋肉が大きければ体も大きくなるが、心も大きくなる!そんなにカリカリすることもなくなるんだぜ!」

比良坂 ヒナセ > 「何……!なんでこんなに無駄に強いの!」
びくともしない手をばしばし叩く!しかしヒナセの腕は別に筋肉ダルマではないので勝てないだろう。
げんなりしながら叩くのを諦めた。
「……女の子の知り合いいないの、違和感全然ないね……
私をカリカリさせてるのは誰だと思ってんの!誰だと!」

バルザック=伊藤 > 「なんでって?そりゃもちろん鍛えてるからだぜ!」
自慢気に筋肉の偉大さを語っていた筋肉のドヤ顔が加速する。

「まぁまぁ、小さいっつったことは謝るからよ、そう怒るなって!ほら、一緒に筋トレするか?楽しいぞ~?」
怒るヒナセを嗜めつつもスクワットを始め、『自然に』筋トレを勧める筋肉。彼の筋肉への巧妙な誘導に乾杯!

比良坂 ヒナセ > ドヤ顔にイラっとしたらしい。明らかに目つきが悪くなる。

「なにそれ。トレーニングなんて楽しいわけないし。疲れるでしょ?まあ、鍛えるのはいいことだと思うけど」
冷ややかな目で筋肉を見つめるヒナセ。乾杯にはまだ早い!

バルザック=伊藤 > 「な、んだと……。今まで俺が筋トレに誘って乗らなかった女子はいなかったってーのに!」
もちろん乗った女子も居なかったのだが。そんなことはおくびにも出さず、筋肉はスクワットをやめ、信じられないといった表情でそちらを見ている。

しかし、その驚愕の表情はすぐ不敵な笑みにとってかわり……
「だが、果たしてこれを見ても同じことが言えるかな!」
言うが早いか、渾身の力を込めたサイドチェスト!鍛えあげられた肢体がヒナセの脳を揺さぶる!!……わけもなく。

比良坂 ヒナセ > 「嘘でしょ!?乗った人がいるの!?」
いないなんてことはヒナセは知らない。
ヒナセは乗った人の正気を疑った。

笑みに不審そうな顔をしながら、何をするつもりだと身構え、
そしてサイドチェストを見たヒナセは、少しの沈黙の後、
「…………それで、トレーニングのどこが楽しいの?」
さっきより目は死んでいる。

バルザック=伊藤 > 「まぁ居なかったんだけどな乗ってくれるやつ。そもそも近寄ってくる女子がいないし、しょうがねえな!」
あっけらかんと自身の女性遍歴のなさを話す筋肉。あまり残念には思っていないようだ。

「くっ、これでもまだ筋トレの楽しさがわかんねぇのか……。参った、参ったぜ。俺の負けだ!お前さんに筋肉を鍛えさせるのは、諦めるぜ!」
大げさに手を広げ、降参のポーズを取る筋肉。しかし発言とは裏腹に、その目はまだ鋭い光を放っていて……。
「その上で聞かせてくれ。どうやったら……筋トレを、してくれる?」
―――そう、言い放った。

比良坂 ヒナセ > 「いないんじゃない!」
叫びながらヒナセは内心安心していた。筋肉と筋トレする狂気の女子なんて存在しなかったのだ、と。

「そう、潔く諦めることも大事――は?」
勝った……そう思ったのに、この筋肉はまだ諦めてはいなかった。
そもそも諦めた者の目でないことに、ヒナセは気づくべきだったのだ。
「どうすれば?そんなの……ポーズをとる以外の使い道とか、……戦いに役に立つのかとか」

バルザック=伊藤 > 「お?今なんてった!?戦いに?役立つのかぁ?」
大きな声で復唱しつつ、ニヤリと笑う筋肉。
「そりゃあ役に立つに決まってんだろぉよ!筋肉だぜ筋肉!最高の武器にして最硬の鎧!特殊な才能も要らず、ただ鍛えるだけで手に入る無敵の武装だぜ!」
嬉しそうに、楽しそうに話し始める筋肉。しかしその顔はすぐに寂しそうな表情を写し……。

「まあ、この世界じゃあ戦いなんてそう頻繁に起こらない気はするけどな。元の世界ではそりゃあ世話になったもんだぜ?……はぁ、見せ場がなくて俺の筋肉もしょぼくれてやがるぜ……。」