2015/06/30 のログ
ご案内:「保健室」にサイエルさんが現れました。
サイエル > 「えーっと看板はこれでよしっと」

ぺたりとパソコンで印刷した紙をダンボールに貼って
ぷらーんっと、扉に立てかける。

明日からテストである。
そんななか、保健室にやってきたおっさん

その看板には

テストで疲れた心を癒しませんか。相談実施中

と書いてある。

「くくく……だがしかしその扉をくぐればただのおっさんと気づき帰っていくしかけだ」

完璧な作戦である。
いろいろ屁理屈つけて、テストの試験官をパスし。
そして、このポジションを獲得した。
テスト、それは生徒の心を荒れさせる。
特に、CTFRAの試験など
自分の格付けを行う部分。
故の、相談室だ……が……
自分の容姿をみればそれすらなくなって
――帰ろ
となるはずであるという、そんな魂胆。

「まぁ、相談に乗るくらいはいいけど。仕事は嫌だなぁ」

上機嫌に鼻歌歌いながら、お茶の準備。
今日も素晴らしいサボリライフがあると
そう信じて……

サイエル > 「テスト、テストねぇ」

なんともサボりがいのあるものではあるが
無情かな、サボれば単位がもらえない。
ゆえに、単位を貰うギリギリの勉強をし
あとは寝ていたのが懐かしい。

「さぁ、て。頑張ればみなさんお楽しみの夏休みかぁ……
夏休み……かぁ……」

まずい、憂鬱になってきた。
今年もまた、一人の夏休み。
きゃっきゃうふふな海は遠く。
そして、この年ではヒャッハーフィーバーもできない。

パチにスロ。カジノに顔を出しつつ
タバコと葉巻を切らさないようにしつつ
死なない程度に食事をとり、あっついからできる限り
外に出ないようにする生活……

容易に想像できた。
去年、そうであったがゆえに

サイエル > 「まぁ、良い生活だろうさ」

あっはっはと乾いた笑いで誤魔化しつつ
お茶を啜る。あれ、しょっぱい……なんでか。

「ま、冗談はさておき。最近子供たちが騒がしいよねぇ」

そろそろ”大人”が動き始める頃か。
夏休みというのは格好の的だ。
浮かれ、”なにか”新しいことをさせやすい時期

「何事もなければ、いいけどね?」

あったらあったで報告が増えるだけだ。
なにも問題はない。が……
気分のよし、あしでいえば良くはない
そんなラインの心境をつぶやきに乗せて。

「こんなものがまた流行ったりしなければいいけどね」

くしゃりと、薬を取り出す。
袋に入った、白いクスリ。
結局未だに持ったままだ。
切り札はそのまま握っておく必要がある。

耳に入ってくる情報は多い。
良いことも、悪いことも
ゆえに、万が一を想定しなくてはいけない

ここ一番で”サボるために”

サイエル > 「ハメを外しすぎないように見張るのも大人の仕事、ね」

といっても、ここは学園都市だ。
管理は生徒たちに一任される、が。
その管理は、まだ未成熟な子供たちが施すものだ。
ゆえに我々教師がいるわけで。
しかし、出過ぎた真似をされては”まずい”から
権限はさほど与えられていない。
なんとも、きっちり考えられた”システム”である。

「見回り、面倒だなぁ……」

どの先生に押し付けて
自分はどこにサボリに行こうか
そんなことを考える。
口にシガレットを咥える。
今日はコーラ味。甘い

「ま、落第街あたり、楽しそうだけど。あぁ、訓練施設に、海もか」

薄着の女の子達が健康そうに運動している姿
眩しい水着もいいかもしれない。
仕事だから仕方ない、なにも卑しい部分はない
うんうん

「ちょっとは仕事、してもいいかもね」

物欲万歳。
少し、元気が出てきた

サイエル > 「あー、でも出歩くの嫌だ……やっぱ、保健室で悩み相談かなぁ……」

そのほうがクーラーがんがんでいいかもしれない。
来たとしても相槌打っていればいいし。

「……ま、適当にやろ。適当に」

真面目にやるのは趣味ではない
趣味はサボリ。
サボることにこそ、サイエルありなのだ。

「よーし、今日も一日元気にサボるぞー!」

決意を告げて、腕を机に。
頭を腕の上に……
クーラーを安眠状態にして。

「おやすみなさい」

寝ることにした

ご案内:「保健室」からサイエルさんが去りました。
ご案内:「教室」に四十万 静歌さんが現れました。
四十万 静歌 > ――とある教室で

「……うにゃ……」

すやすやと一人の女が寝ていた。

最後の授業が終わって、
気が抜けて気が抜けすぎて――

それはもう心地よく寝ていた。

四十万 静歌 > 前にも似たような事があった気がするが……

眠気には逆らえない、
逆らえ、ないのだ――

四十万 静歌 > 「――うゆぅ……」

暫くして目をさまし、目をこする。
でも、思いっきりぼんやりしていて、
また再び眠ってしまいそうなくらい眠い。

二度寝の 誘惑――!

抗えるのか――!?

四十万 静歌 > 「あふ……」

抗いたい気持ちと抗えない気持ち。
それは拮抗して、
大きな欠伸と共に倦怠感を生み出した。
すなわち――
暫く動きたくないのである。
机につっぷして机にほおずりをはじめた

四十万 静歌 > 「……♪」

ごろごろ。
とでも聞こえてきそうなくらいうだっている。
仕方ないじゃない。
眠気がとれないんだもの。

「帰らなきゃいけないけど、動きたくない……」

四十万 静歌 > 「はぁ、帰りましょうか。」

――ゆったりとした動きで立ち上がり、
帰るのである。

ご案内:「教室」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「職員室」にリグナツァさんが現れました。
リグナツァ > テスト課題もできた。講義も行った。全くこれではばかること無く職員室を利用できるというものであり、リグナツァの方もこれからのプランを思い描かざるをえないというところである。
強いて言えば、まずはコーヒーカップの占有。

先日、帝国から持ってきたペアのコーヒーカップ。
それぞれに山中の湖畔と谷を下る小川が描かれており、近づければやまぶどうのツルがつながって同じ山中であったと表す、帝国でも有名な陶工の逸品である。
当然、給湯室にカップを二つとも置く必要はないが、何しろ分かちがたく。結果としてどちらも棚に置くことになった。下から二段目の棚の一番右。……少しでも他のものとは離しておこうとした結果である。

リグナツァ > こちらの商店街で買い付けたインスタントコーヒーと茶葉で鴛鴦茶を昼の一杯として楽しんだあと、つい先程である。
講義から戻ってきたリグナツァが目にしたのは、下から一段目の棚の左端に移動されたコーヒーカップだったのだ。

リグナツァ > 「こ、これは……一体何事か、一体誰が何の権限を持ってこの双杯の美を汚すというのだ!帝国に対する挑戦とでも言うのか…ッ!」
自分がまだ使っていないコーヒーカップを使われた上、勝手に別の場所に置かれようとは。

リグナツァは激怒した。
かの邪知暴虐の主を必ず取り除かねばならぬ。
リグナツァは職員室内での政治はわからぬ。リグナツァは、帝国の魔術師である。術を使い、犬と遊んで暮らしてきた。
けれども自らを排斥しようという働きに対しては人一倍敏感であった。

リグナツァ > 『どうしたのかしら、アルファニウスさん』
給湯室に現れたのはリグナツァよりも一回り大きな影であった。
特徴的な口紅をつけた、女性の教員。自分が初めて職員室で机に向かい、島(隣接した机同士を言うのだ)についた時に案内した者である。
「どうしたもこうしたもあるものか、見よこの、世界の秩序に挑戦しようという愚挙を、蒙昧の至を!」
カップについていたのは同じ口紅だと、何故この時に気づいたのだろうか。リグナツァの背筋は凍えるよりも早く、危険を感じて痛みを放っていた。
『あら、貴方のカップだったのね、でもダメよカップは一人一つしか置いちゃいけないし、貴方まだ入ったばかりだからそういう人がすぐ自分の分を用意すると棚がいっぱいになっちゃうでしょ?洗ってるからどれを使っても平気よ、みんな我慢してるんだからアルファニウスさんもちゃんとしてもらわないと』
「ぬゥゥゥうう…ッ」
『それと朝来た時、ちゃんとみんなの机拭いてる?ダメよ一日くらいって思っちゃ、貴方一番若くて新人なんだから先輩に教わってるってことに感謝しなくちゃダメ、いくら教員に簡単になれるって行っても一人前になるのとは別のお話なんですからね、もう一人前になったと思ってるんだったらまだまだ、貴方より前に入った向田さん、わかる?貴方の二つ後ろの机に座ってる子なんだけどあの子なんか机だけじゃなくて』
「ぬうぅうううぅぅぅううぅ!」

リグナツァ > 「わかるかアルヴァーン、この屈辱が……痛っ、痛い、止せアルヴァーン!」
講堂に犬を連れて入るわけにも行かぬからと、アルヴァーンには別の調べ物を任せていたが帰ってくるなりこの態度である。

「ええ、アルヴァーンよ、我が使い魔よ。わかっているのか?」
「こうして我らが初の"当直"とやらにつくこの晩が、何故か学生どもの祝祭の晩であり」
「浮かれ果てた連中が蛮族のごとくこの職員室にやってくるかも知れぬということを」
結局は安いカップに入れた鴛鴦茶を口に含みながら、リグナツァが床を蹴って椅子を回す。

そう。今夜は雨後祭なる催しにより学生たちが今だ校内に多く残っているし、そうでなくとも別の場所で自習している生徒がなにか質問しに来るかもしれないのだ。
リグナツァとて才を持って帝国魔術師に任ぜられた身、召喚術以外はからっきしなどと情けないことは言わない。やれと言われれば火の壁でも対抗魔術でもなんでも放ってみせよう。
……ただし。それと人に教えることは別だ。

リグナツァ > 「他の当直も残っているとは聞いているが…」
そもそもあまり話したこともないが、辺境民と一晩過ごすというのもなかなかこう…落ち着かない気がする。
「おおよそはアルヴァーンとこのリグナツァのみでこの職員室を守らねばならん。敵は多勢、こちらは仲間割れでは今宵のことを後世で物語る吟遊詩人も困るだろうよ」

「……おい。」
「…………聞いているのか?」
こうして理を説いてもアルヴァーンが振り向かないとなると、これはよほど相当のことが有ったに違いないと見える。
「……なあ。機嫌を直せよ、アル」

リグナツァ > 椅子を立って、床に直接座り込む。あぐらをかいた足で抱え込むようにすると、アルヴァーンも抵抗はしなかった。
「どうした?子供に耳でも引っ張られたのか?お前はすぐに我慢するからな」
「それとも何だ、車に轢かれかかったかとかか?お前のことが見えないんじゃそいつはとっとと辞めたほうがいいよ」
「……なあ。悪かったよ。さっきのはお前に一番に話すことじゃなかった。疲れただろ、アル」
頭から、背中を通して撫でる。どこかに怪我でもしてないかと思って慎重に触るが、無事なようだった。
ふるふる、とようやくアルヴァーンは首を振った。
「…そっか。」

あぐらを外して椅子に座り直すと、アルヴァーンが手の匂いをかぐ。
「なんだ、まだ甘い匂いがするのか?お前は本当にこの匂いが好きだな」
撫でてやると、アルヴァーンが目を細める。……ただ、撫でやすいように目を閉じているだけなのだろうが。

リグナツァ > 「そうだ、確か帝国に行く前…」
窓の外の篝火が、不意に遠い記憶を――思い起こさなかった。
「アルヴァーン!」
窓に迫る、白い飛翔体。随分と気づくのが遅れた、数にして15のそれを纏めて…場所に困り、加速度を殺して職員室へ。声に応じて、反対の出入口の一つをアルヴァーンが警戒する。
足元にごろりと転がった白い元飛翔体は、見た目よりも動きが重い。
「鳥もち…だと?視界を奪ってどうしようと…」
言い終わる前に電源が落ちた。
……暗くなった視界には、炎のゆらめきが残るのみ。
「なるほど。"暗闇"には頼らないと来たか」

リグナツァ > ……沈黙が職員室を支配する。
アルヴァーンが時たま、はふと声を鳴らして舌を引っ込める以外は、全くの無音。

「……何だ?」
はたして、酔った学生が行ったイタズラだったのか。
あるいは。他の当直とやらが、不埒な侵入者を撃退せしめたのか。

リグナツァ > だが。なにはともあれ、電源を復旧させねばならない。
冷蔵庫の中身がオシャカになれば、明日の我が身の振りようを考えなければなるまい。
「アルヴァーン」
使い魔を呼ぶ。暗い廊下を、白い大型犬が先導して、ふたりは闇に消えていく。

ご案内:「職員室」からリグナツァさんが去りました。