2015/08/07 のログ
ご案内:「職員室」にシインさんが現れました。
シイン > 本日の教師・講師としての仕事を終えて、来週に向けての授業予定や資料の纏め作業を行っている軍人が一人。
デスクに向かいながら、珈琲を合間合間と飲みつつ、画面と睨めっこをする。
片手ながらも素早くタイピングを行えてるようで、機械の性能を存分に無駄なく発揮する。
文字を間違えることもなく、一寸の誤字や狂いすらなく、淡々と作業を続ける。

ご案内:「職員室」にリビドーさんが現れました。
リビドー >  
 
 職員室の一角。
 黒い髪にカードの意匠を施した髪飾りを付け、緑と紫の瞳を持つオッドアイの少年のような年若い男性と、
 同じく黒い髪にサイコロ型の髪飾りを付けた緑と紫の瞳を持つオッドアイの少女が話している。

 二人は立って話しをしていたものの、暫くすれば少女の方が立ち去った。
 年若く見える男性――リビドーはその場に残り、自席に座る。

「ふむ……。」

 暇だと言わんばかりに周囲へと視線を泳がす。
 作業をしているシインの姿を、その瞳に認めるだろうか。

シイン > その視線に気づかない程に鈍感ではない。
職員室に居るのであれば、視界内に映り、一定の時間を留めることもある。
だがそれは一時の間で、直ぐに別の方へと視線は移り変わるものだ。

今こうして、自分を視ている教師は、先に誰かと会話を交えてたようで、
声から察するに、以前に話したことがある教師の一人だろう。
話したと言っても、特に深い関係でもない挨拶を交わす程度、興味もなかった。

そんな教師が視線を特に他所に映さずに、此方に視線を送っている。
何か用事でもあるのか、そう思いデスクから、顔を上げてリビドーの方へと顔ごと向かせたのだ。

リビドー > 「おや、仕事を止めさせてしまったかな。すまないね。」

 軽い調子でわかりやすく片手を挙げ、にぃ、と笑みを浮かべた。

 ……低めの身長ややや幼さの残る風貌は少年らしさを印象付けるものの、
 よくよく見れば確かな筋肉の付き具合を伺う事が出来る。
 
 ともあれ、椅子に座ったまま言葉を続ける。

「片手でキーボードを叩けるのかい。見事なものだね。」

シイン > 「もう九割終えてますから、構いませんよ。」

笑みには笑みに応え、そして珈琲を一口。
彼は見た目からすれば、少年らしさを感じるが、筋肉の肉付き具合に、言動からして少年とは程遠い。それが第一印象。

「慣れですよ、それと経験。時間さえあれば、誰でも出来ます。」

実際不可能ではないだろう。
やろうと思えば出来るはずだが、両手のが効率的なので必要性は感じない。

リビドー > 「全く。言うものだよ。」

 冗句と受け取ったのだろう。軽く肩を竦め、再度笑ってみせる。
 背もたれの天辺に肘を置き、頬杖を付いて楽な姿勢を取った。

「ふむ。そう言えば、キミ――シイン先生は軍事関係の分野だったか。
 どうかな、授業の方は順調かい。」

シイン > 「特に問題も起きずに順調の一言ですよ。
一つだけ上げるとすれば、補佐役が現れないことでしょうか。
授業の補佐として、私の部下が居るのですが、まぁ問題無いですけど。」

彼とは時間が合わないと言った所だ。
また朝が弱いのだろう。
早朝の軍事練習の時はどうしてたのやらと考えさせられる。

「貴方は、リビドー先生はどうですか?
私は不定期で授業を行っておりますから多少余裕がありますが。」


大変ですか、と。

リビドー > 「補佐、か。
 ははっ、問題ないとは随分と期待していなさそうにも見える。」

 "どんな奴か見てみたいぜ"。調子の良さそうに軽口を叩いた。
 どうか、と聞かれれば首を横に振る。

「いやはや、何分復職したばかりでね。
 先日から夏期特別授業を受け持ってはいるが、勘を取り戻すので精一杯だよ。
 今の内に慣らしておかないとな、全く。」

シイン > 「私一人でも授業は問題なく回るのです。
だから問題はない、実質おまけみたいなものですよ。」

きっとその内にでも会えますよ、と。
胸ポケットに入れてた万年筆を回しながら告げる。
この島に居る限り、会う機会は幾らでもあるのだから。

「今は夏休みだから多少は楽でしょうね。
この期間の間に勘が戻れば良いですが、はてさて。」

リビドー > 「そりゃ、会えるのを楽しみにしないとな。
 ……ま、授業の方がぼちぼちやっていくとも。しかし、器用なものだ。」

 特に意味もなく、回される万年筆を眼で追う。
 軽く背筋を伸ばして体をほぐし、改めてシインを見据える。
 
「して、そうだな。良ければも付き合ってくれないかい。
 まあ。月並みな問いかけだが――キミはこの世界を見て、どう思うかな?
 この世界、たった数十年前までこの世界には魔法も異能も隣人もいなかったんだぜ。
 それが今では異能と魔法と隣人と怪物でありふれる世界だ。信じられるかい?」

シイン > "誰でもできますよ、これぐらい"
彼は再びそう口に出すのだ。
親指から小指まで、順を追いながら万年筆がくるくると回りつつ動いていく。
コツさえ掴んでしまえば、何も考えずに出来てしまう。
そんな手遊びを繰り広げつつ、彼の話に耳を貸す。

彼が言う事は確かに信じられない話だろう。
魔法も、異能も、化物も、誰も何も存在しなかったのだ。
そんな世界に急に現れた者達、とても受け入れがたい者達だろう。

「信じられる、信じないと二者択一を提示されるなら、私は信じられるを選択しますよ。
ですが、それは異能に特殊な能力を保有している者が選択する答えだ。
この世界の住人の視点から答えるならば、信じられないです。
なんせ人間は、自分と違う者を簡単には受け入れられない生物だ。
それならば信じないという選択を取り、考えを破棄したほうが楽になる。」

リビドー >  
「ま、裏っ側ではそれらも存在していたんだけどな。
 とは言え現れた当初はそれこそ《信じたくない》だっただろうよ。
 それが今では真逆とも言って良い。」

 ペンを手に取り、真似してみせるか。
 とは言え、シインのそれよりは洗練されていない。
 少しだけ遊んで、ペンを置いた。

「取り敢えずキミの事は置いておくとしよう。
 人間は他者とは違う生き物をそう簡単に生きられないと言ったな。」

「かつてはその生まれ育った環境にこそ差があれど、"人間と言う生き物"はカテゴライズ出来る程度には一定の範疇に収まる存在だった。
 自力では空を飛べない、水中で何時間も過ごす事は出来ない。道具なし火を起こす事も出来ない。

 ――が、異能や魔術で溢れた今ではどうだ。自力で空を飛ぶ人間が居る。何も無しに火を起こせる人間が居る。
 他者や物体に変身出来る人間がいる。お伽話のような魔法を使える人間が居る。何でも『斬』れる規格外の超人が居る。

 技能など無くても、かつての人間からは考えられないような超人的な身体能力を持った人間が居る。
 これまでの人間とは生物学的に違うであろう存在だって表立って現れた。人魚、エルフ、悪魔、女神、怪物。」

 語る声は指を降りながら。
 異能の数々を、違う世界の存在を、一つ一つ読み上げるだろう。

「――どうだい。"自分と違わない人間"、どれ程居ると思えるだろうな。」

シイン > 「それはもう、星の数程に。
"まだ"一応は自分と同じと言える者のが多い、普通の人間と呼べる人間の方が多い。
だが時が経てば、それはいずれ逆転する。
異能を持つことが当然で、能力を保有することが当然で、魔法を使えることが当然で。
種族が違うことなんて極普通で当たり前になる。」

万年筆による手遊びは終わり、胸ポケットへと収められる。
脚を組ませて楽な姿勢を保たせれば、一息。

「そもそも一人の人間が自分と同じ者が居る、という考えは間違いな話になる。
全ての人間はそれぞれ違い、それぞれが別の道を描く。
異能や能力を持つことが"別に"なる条件ならば話は変わるが、そうでないなら間違った話。」

リビドー > 「そして、この島はその時が経ったモデルだ。
 ――だがまぁ、受け容れる事が難しいだけで、受け容れられなくはないのだろうな。
 この島を見てると、よくも悪くもそう思うよ。」

 苦笑らしき笑みを見せれば、一つ息を吐く。
 ……内心までは分からずとも、表情や様相から感情は伺えるかもしれない。

「そうだな。それぞれが違うだろう。違わないものなど自分以外に居やしない。
 しかし人間は、自分と違う者を簡単には受け入れられない生物だとキミは云う。

 性別や年齢、異能や魔術、種族などは要素を彩る飾りでしかなく、
 そのようなもの抜きでも人はそれぞれ違う、他者を受け容れられない生物と云うのかな?」

 意地悪に、微笑んだ。

シイン > 「この島には普通の人間も在住している。
この島自体が、目的として其れ等の人物を集めているのもあるが。
ま、次第に此処だけの話では無くなるだろう。」

いずれは外へ、この島以外へと。
彼は薄っすらと笑いながら小さく後に付けるように呟く。
そこからハッキリとした口調で言葉を紡ぎだす。

「私の持論でしか無いが、私は各要素を抜きにしても受け入れるには簡単ではないという考えだよ。
例え10人全員が"はい"と、受け入れますと答えても、表向きは頷いてたとしても、果たして内面はどうだろうか。
10人全員が同じ考えを持つことは、まず有り得ない。
だが時間をかければ、慣れれば、受け入れることになるだろう。
直ぐには無理でも、いずれだ。」

リビドー >  
「そうかい。十人十色とは良く言ったものだよな。
 しかし、キミは『要素を含めて別』と云うのでなく、『要素を抜き』にしても別と云うのだな。
 そうだな、ボクもそれには共感する部分も無くはない。じゃあ問おうじゃないか。」

 確かな声を聞けば、満足そうに口元を緩める。
 そのまま声を発し、再び問い掛けると言ってのけた。

「先程挙げた各要素を抜きしても受け容れるのは簡単でないと云う。
 10人全員が同じ考えを持つことはないと云う。故に全ての人間はそれぞれ違い、それぞれが別の道を描くとキミは云う。
 ――では、『何が違う』んだい? 同一でないと云える根拠があり、受け容れる事を難しいとする要因がある筈だぜ。」

シイン > 思わず眉を顰める。別に不快ではない。
何を持って、何を知りたくて、彼は何度も問い掛けるのか。
特に理由はないのかもしれないが、それが不可思議でしょうがないから。
だから眉を顰めた。

彼にはそれがどう捉えられたか、それは分からない事だ。

「それは単純というか既に答えが出ているのだが、最初から洗脳でもしない限り、初対面の者を受け入れるのは困難だろう。
異能に能力と各要素を抜きにしても、答えは変わらない。
十人十色とは良く言ったものだよ、私もそう思う。」

リビドー > 「……じゃあ、ボクの言葉で発するとしよう。つまるところ各人が生まれ持ち、そして育て上げた『精神』が違う訳だと思う。
 この精神について話すと長くなってしまうから割愛するが、なんとなく分かるだろう。
 ――精神はどう育まれ、どう育ち、どう動くのか。だからこそ『十人十色』だ。」

 そう問い掛ける彼の顔は、眉を顰める彼とは対称的。
 やはり悪戯げな笑みを浮かべているだろう。

「『何故受け容れるのが困難なのか』それを考えてみるならば、
 やはり主因は『精神』の違いだろうとボクは思うぜ。ま、こんな所か。」

 とは言え、眉を潜めたシインの表情から不可思議を察する。
 眉を潜め、不可思議で終わる。思索に対する"飽き"も感じ取ったのだろう。此れ以上の思索に付き合わせるのは良くないと判断し、言葉で締めくくった。

シイン > 「完敗と言った所か、リビドー先生の方が考えが上手だ。」

両手を上げて苦虫を噛み潰した表情を見せた。
それに加えて苦笑を交える、決して飽きてはない。
珍しく深く突っ込んだ会話を行えて楽しさもあった。

「言われれば確かに精神の違いというのが大きいだろうさ。
精神の成長具合によって人は大きく変わる、性格もそれに関与するから尚更だ。」

清々しいぐらいに納得した表情だ。

リビドー >  
「ははっ。専門だからな。キミには悪いことをしてしまったかもしれないな。
 ……ま、この精神について突っ込むと更に長くなるからな、また話そうぜ。」

 そう言えば、軽くおどけてみせた。
 いずれにせよ、話は切り上げるつもりなのだろう。
 
「この手の議論や哲学じみた思索ってのは意外と集中力・体力を使うものでね。
 あまり根詰め続けて考えてしまうといい結果が出ないものなのさ。
 慣れてさえ来れば、饗宴でも開いて丸々一晩論じ明かすのも楽しいものではあるけどな。」