2015/08/20 のログ
■蒼穹 > …は、はあ…そう。はぁ。
(意外な返事と共に、裏切られた気分だった。本日何度目かの溜息。
中身は良くも悪くも子供と言う事だろうか。)
ま、そこは悪くないじゃなくて、良いって言って欲しいもんだけどな、せめて。
(むすっと不満そうに溢せば、箸を再び口の外へ。)
んで、次はお米?それとも、他に何か食べる?
(そうして、長方形の御弁当の上をまた回遊し始める。)
それにしても、割と喋れるようになったね。大分回復速いじゃん。
さっき路地裏で項垂れてたとは思えないくらいには。
(淡々と事実を述べるような無表情さで、じー、と赤い瞳を覗き込む。
目の焦点も、そろそろあってきているのだろうか。)
ふーん…ああ、刑事課ね。そういえば、私の所属だっけ。
…飛べなくなっちゃったの!?アイデンティティ失っちゃったね。
って事は、前のあっかい翼なんかもでないって事かな。
(ただしサボりを悪びれることは全くしない。そういう奴だからサボりを続ける訳だ。
何やら色々変貌を遂げたらしいが。)
…はい?え、何?それはどういう事?…カグラを着替えさせろって事かな?
いや知らないよ?!…ま、まぁいいけど。どうせさっきもずっと何も着てなかったし。
着せかえるくらい。よっ…と、えい。
(一人で動けないとは不便なことよ。ちゃっかり食べさせる傍ら一度箸を置いて落ちた輪ゴムを拾い上げる。
それからまた一瞬にして次発装填。無駄な技術。にっくき後輩を沈めんと近寄って髪を払えばおでこに鉄砲を突きつける。)
…買わないから。ってか…はあ。…もういいよ。
買うにしたって何がいいとか分かんないから、動けるようになってからね。
(話しに横槍。)
■迦具楽 >
「んー……、こうして食べさせてもらうのも、中々いいものね。
じゃあ次はパスタを頂戴?」
【不満げな蒼穹の顔を眺めながら、それならと言った調子で言い直し、次をねだる】
「そうね、私も驚いてるわ。
もう少し食べて休めば、動けるようになるんじゃないかしら」
【そう答える迦具楽の瞳は、しっかりと蒼穹を映していただろう】
「ああ、じゃあ折角だし着替えさせてもらおうかしら。
動けるようになってからでもいいけど、下着の着け方なんて知らないし。
着替えさせてもらえるなら、とても助かるのだけど」
【嘘である。
下着の着け方くらい知っている。
ただ動けない今は仕方ないのと――もう少し、甘えていたい気持ちがあった】
「視界はまだはっきりとはしないわ。
まあでも、見えなくても匂いはわかるもの。
……アナタのほうも、随分可愛くなったみたいね。
どうしたのかしら、ステーキにでもされた?」
【二人の話を横で聞いて、軽口なのか喧嘩を売っているのか判らない調子で言う。
個人的にはあの胸肉を切り落としてやりたいところだが、まあ今はいいのだ。
話しているうちに少しずつだが、調子が戻ってきたような気がする】
■流布堂 乱子 > 「……なんというか安心させられますね。蒼穹さんの変わらない姿勢には」
先ほどまで研究区を回って、
でっち上げた事件を理由に刑事課への協力を求めて、
各研究所の外へ向けられた監視カメラのデータを提出してもらい、
そのデータは自分とこのギルドにも売って、今追いかけている誘拐事件の捜査にも使っているところなのだけれども。
捜査担当者として蒼穹さんの名前を出したけど、絶対バレないだろうなぁという、そんな安心が。
「…どうなのでしょうね。
自分の目的も、手段も変わっていない以上アイデンティティは保てていると思うのですけれど。
むしろ翼について悩まない分、前より素直に蒼穹さんに接せられて良いかもしれません。」
ルフスは、赤龍の存在が消えたとは思っていない。
それを殺すことも、諦めては居ない。
そんな一瞬の剣呑な思考を、冗談でまた緩めて。
「……あら。素直になった後輩にまで手を出そうという魂胆ですか?」
■流布堂 乱子 > 「ステーキに…され掛かりはしましたね。
自分と同じような龍を創りだしてしまったので、絶対に殺してやろうと思ったのですけれど」
胸の奥、龍滅の短剣の存在を感じ取るように、掌を胸へと当てながら。
「負けてしまいました。次の日目が覚めたら、このような次第というところです」
過ぎ去った殺意は、表出することもなく。
表情を変えることもなく、淡々とその来歴を語る。
「それで?可愛らしいお人形様の方は何が有ったか、そろそろ話せそうですか?
…お焚き上げにでもあったのでしたら、"あの"炎が消し飛ぶのも理解は出来ますけれど。」
燃えさしのような少女は、燃えさしのような少女へと。
聞きたかった本題を、問いかけた。
■蒼穹 > …ほら。
(まるでフォークを扱うが如く。二本の箸を束ねて無駄に器用にパスタを絡め取った。中々太め。ケチャップの様なソースが。
そのまま口に差し込んだ。何だかんだ言う事は聞く。)
はぁ、動いたらまたロクでもない事するのかなぁ。
もう面倒事は勘弁だよ。警邏《さんぽ》したら腹抉られるなんて気が気じゃないからね、次は消し飛ばすから。
(目が合った。もう視界は十分らしい。そもそも既に動けそうな気さえする。)
は、はぁ…?
…はあ。餓鬼かキミは。そもそも、下着なんて付ける必要なかったのかな?
それくらい自分でやりなよ、服着せることはしたげるけど。
(やろうかやろうまいか、考えたが。)
まあいいけどさ。…食後にね。流石に動けるようになってからでないと。袖通すぐらいは自分でやってね。
(さっさと着替え用の服やら下着やらを持っていく。)
はぁ、そういうもんじゃないかな。どうせサボりだし。
働かなくてもお給料は入る。そういう事だよ。
(そもそも名前が通っているかどうか怪しいが。一応名簿にはあるし大丈夫なのだろう。
そんな事も露知らず呑気に今日もサボるわけだが。)
さぁね。目的だか手段だか知らないけどロクでもないヤツだってのは認識してる。
まぁ大方不老不死とか世界征服とか世界破壊とかが目的じゃないの?知らないけど。
ま、普通に接してもらったら幸い。…何でここにはちょっと危ない人ばっかりしかいないのかな。私困るんだけど。
(右に赤龍、左に炎の怪異。焼け死にそうな布陣である。
淡泊な敬語の中に秘める思いはやはりしらない。)
そんな所。別に手を出すってわけじゃないけど、恨まないでね。
じゃあこれで終わりだよ、ドーン。
(輪ゴム鉄砲を放った。多分威力はそんなにない。悲しいながら。)
■迦具楽 >
「あーん、……んう、ありがと」
【差し出されれば嬉々として食いつく。
そして、安っぽいパスタを味わい飲み込むと、律儀に礼を告げる】
「心配しなくても、もうあんな力は使えないから安心して。
……んー、それじゃあ後でお願いね」
【着替えは食後に、といわれれば頷いて見せ。
その四肢も、しっかりとした力こそ入らないがある程度動くようにはなった。
とはいえ、まだ自分で身体を起こしているのもままならない程度だが】
「……ふうん、アナタも随分と剣呑みたいね」
【興味はさほどなかったが、目の前のトカゲ女を打ち負かす相手がいるのだということだけは記憶にとどめる】
「……さあ。何があったかなんて、私にもわからない。
ただ、死んだら、身体を創り変えられて生き返ってた。
それで自分がなんなのかわからなくなって、途方にくれていただけよ」
【事実だけを述べれば、そんなものだった。
それがどのようにして起こったのか、その前のあの不快なこ―― Erorr ――……どうやら記憶も、完全ではないらしい。
ともかく、何が起きたかはわかっていても、それがなんなのかがわからなかったのだ。
自分でも理解できていない故に、説明できることは少なかった】
■流布堂 乱子 > 「…働かない先輩のために実績を作ってきて差し上げるんだから優秀な後輩ですよね、
これは命乞いではないんですけれども」
額に押し当てられた輪ゴムをひしひしと感じながら。
ちなみにでっち上げた事件は、
蒼穹さん大活躍のカバーストーリーを付けられた上で適当に解決報告がなされる予定である。
「そのうち印税とか入るかもしれませんし、サインの準備とかしておいてもいいかもしれません」
出版予定はない。
「じゃあ素直な気持ちをどんどん前に出していきましょう。
他人事っぽく言ってますけど、この中で一番危険で武装してるの先輩ですからね?」
額に押し当てられた輪ゴムをビシビシと感じながら。
自分の腰に提げたポーチの中身については秘密である。
「……まあ、あいにくとこれでも世界破壊には反対する側ですから。
先輩にとっては碌でもない、かもしれませんね。」
「だからこうして撃たれることになっても、先輩を恨んだりは」
ぺちん。
「……多分しませんけれど。」
手元に落ちた輪ゴムを眺めながら、ポツリと呟いた。
■流布堂 乱子 > 「今となっては危険も不穏もない、皆様の安全と安心を守る風紀委員の端くれですけれどね。
簡単に始められるこの業務、迦具楽さんも如何ですか?
今なら優しい先輩が目の前に二人も揃っていますし、
この紅い制服も似合いそうですし。」
首を振って剣呑という言葉を否定しながら、適当極まりない勧誘の言葉を述べる。
何かしらの半社会的な衝動がある分には務めづらい仕事だが、今ならそれほど難しくはないだろうと。
「……少なくとも。所属すると、風紀委員の迦具楽さんには成れますよ。」
そんな、些細な理由からの、適当な勧誘を。
■蒼穹 > どういたしまして。…んじゃ、次は?
(幾許か表情やらが緩む…相手にしているのが子供だから、だろうか。
あーん、と毎度毎度食べてくるのは、結構楽しんではいるのだろう。…ああ、確かに悪くない。
これで普通の子だったら良かったのだが。…まぁ、そんなの今更だろうか。
そんな事に拘っていても楽しくない。だったらもうつまらない表情はやめにしよう。)
ん?そうなの?…確かに弱ってるけど、力取り戻したらまたやれそうだって思うけどなぁ。
あれはやばいね。下手にエネルギー溜めちゃったらもっと脅威になりそうだけど…はぁ、まあいいか。
はいはい、後で後で…って言っても、まだまだ元気足りなさそうだけど。
(起こしたり倒したりと往復が忙しい。のは、無駄に輪ゴム鉄砲を撃っているから。
戻って来ては背中を押し上げて、もう片手でお弁当を拾い上げる。
背中を押さえたりするのが必要なあたり、実に病人という形容がふさわしいのだろう。)
おう…それはとても素敵な後輩じゃないか。…あれ?何か私の代わりにやってくれるの?
(刑事課である自覚とかはまるでゼロなのだ。志望動機は「制服の着用義務がないから」という実にアレな志望。
良くそれで通ったなと言われそうだが。
勿論己は名前が勝手に使われていることも知らない。ひいては脚色されたストーリーで解決されるだろう未来があることなどもっと知らない。)
…は?あ、アイドルですか私は。
(故に、出てきた言葉にはポカーンとしていた。)
ほう、何がどう危ないのか具体的に説明してみたまえ―――"五文字"で。
(鬼の様な設問である。)
ぶっちゃけそこの白い女の子が一番怖いね、腹が焼かれて消えたから。
いやまぁ、あれ私じゃなかったら死んでた。
…へぇ、世界破壊に反対するのか。破壊神様を前に英雄の心算かな?
精々、足掻いてみたまえ!
(どうみてもちょっと拗れた中二病の女の子のセリフである。だが、その表情は凄く楽しそうだった。)
ぁ…痛かった?ごめんね。
キャラメルあげるから許してほしいな。恨まないでね。…ま、良い後輩だよ、キミは何にしても。
(コンビニの袋から万歳しているお兄さんが描かれたナントカのキャラメルの箱を取り出して。
散々輪ゴムで暴力を振るった先輩がこんな事言うのって何だかなと思われそうだが。)
カ、カグラを風紀委員に?ってかカグラってそもそもここの生徒なのかな。
生徒にしてからじゃないと風紀委員にはなれなさそうだけど。
生きる目的がないならいいんじゃないかな。ま、私にはそこそこ生きる目的はあるけど。
(もう一発横槍。)
赤い服着るより刑事課じゃないかな。私の助手として雇おう。どうよ、来ない?!
(幽霊風紀委員が猛威を振るった。爛爛たる眼差しを向けて。)
■流布堂 乱子 > 『超破壊神アイドル風紀委員の蒼穹ちゃんが今、常世島の常識をハカイする――!
この夏最も注目すべきアイドルの誕生に学園が震え、落第街が揺れ、財団が鳴動した!
デビューシングルの発売を控える彼女の魅力をここに紹介していきたい』
一言一句違えず、手元のメモを棒読みで読み終えて。
研究区を回っている時に、警備担当者を誤魔化すために適当に書いたメモだった筈だけれど、
何を考えていたのやら。暑かったからでしょうか。
「……まあ、適当に。式典委員会とかに投げておきます。頑張る素敵な後輩ですよ」
メモを折りたたむと、胸ポケットへと再びしまった。
「つまり、"神アイドル"の危険性が今立証されたわけですよね。あとステージ上では死んでも死なない不死性も。
……いえ、まさか過去にあった時には超風紀アイドルに対抗できるほどの破壊力を迦具楽さんがお持ちだとは思いませんでしたけれども、これがユニット化構想ですね」
酷い五文字を並べながら、射抜かれた額をさする。
楽しそうな表情を見るとアイドルでも行けるのでは、と思うのはただの後輩の贔屓目だと思う。
肩書が適当にコロコロ変わりすぎだと自分でも思う。
「常世島の常識を破壊する、超破壊系ユニット!
を前にしたら只の人間のファンにはどうしようもないと思います」
キャラメルで懐柔されると、英雄はもうどこにもいなかった。甘くて美味しい。
■迦具楽 >
「んー、次はエビフライかしら。
エビって食べたことないの」
【そうリクエストすれば、会話の合間にまた、雛鳥がそうするように口をあけるだろう】
「んー、出来てももう、二度とやりたくない」
【ある程度回復すれば、出来ないことでもないのかもしれないけれど。
また、あんな苦しい思いをするのは勘弁だった。
自分とトカゲに忙しくされてる蒼穹を、うっすら笑って眺めながら】
「……私が、風紀に?」
【そんな突拍子の無い提案をされれば目を丸くするが】
「蒼穹の言う通り、私は学生じゃないし無理なんじゃない?
それならまだ、蒼穹の”個人的な”助手っていう方がやれそうだけど」
【そして、学生になるにはあまりにも都合が悪い経歴ばかりだ。
ルフスの提案には首を振り、蒼穹のフリには冗談めかして返す】
「……生きる目的、かあ」
【そういえば、これまでずっと。
ただ死にたくないとだけ思っていて、生きてどうしたいかなんて考えたこともなかったか。
――私は、どうしていきたいと思ったのだろう。
思い浮かんだのは、少女と、少年の顔だった。
……とりあえず、アイドルだユニットだとかには興味がないので聞き流して置こう】
■流布堂 乱子 > 首を振る様を見ても、当然だろうという思いしか無い。
過去に会ってから既に一月以上。その間も落第街で生き延びられるような存在は、
つまるところ、この学生地域に馴染む生き方をしてきたとは言いがたい。
「この島で、学生という言葉が何を指すか御存知でしょう。
この学園に通うもののことです」
「今こうして校舎の中にいるんですから、迦具楽さんだって学生ということでいいと思いますけれども」
それでも。破壊神になんとかなるのなら、それこそ誰だって通おうとすれば通えるのではないか、と。
ちらりと横目で青髪の少女を伺いながら、乱子は主張する。
「……あの路地裏に、貴方の生きる目的が有ったとは、私には思えませんけれど。」
■蒼穹 > ―――。
(刹那、炭酸飲料のペットボトルを振りかぶる―――といっても、そんな大きな動作ではない。むしろそれが見えるかどうか、それくらいの―――動作から、振り下ろす。
にっこり笑顔で目の前のやんちゃな後輩の頭蓋骨を陥落せしめんと。
ボトルがまるで竹の様に撓り、びゅおん、という音が届く前に、ペットボトルが届こうとした。
尚、やっぱり材質が材質故当たってもいたくない。音速越えてもそのレベルである。悲しきかな。
流石に絶句した。棒読みで「――!」とか呼んでるあたりが実にシュール。「超」とかつけられると何か余計煽られてる。)
あのさ、怒るよ?
(にこっとわらうのである。)
いやなにをいっているのかしらないけどもおかしいから。
あとそれ違うから、神アイドルでもアイドル神でもないから!
アイドルから離れろ。っていうか、もう一発撃たれたいのか馬鹿後輩!
暫くこれ食べて黙ってな。
(強引にキャラメルをさらに押し込むのである。)
ん、エビフライね。目玉だよ、この御弁当の。
凄く美味しいって思うな。あ、尾は食べちゃダメだからね。ほら、あーん。
(こうして、幾分かまた楽しそうにエビフライの中腹を掴んで。
一通り説明すれば、既に開いた口の中へと運んでいく。)
へー、じゃああれ実は苦肉の策だったりするのかな。
(そういえば、あれを撃った後大分弱っていたが。
相応の力は対価とされるのだろうか。)
ふーん、そう。
別に学生になりゃいいんじゃない?普通に。似てる子いるし。
それに常世は楽だよ、入学するの。例え過去にどんな大罪犯してようが入学できるから。
ああでも、"こっち"に来てから、だとまずいかもしれないけどね。
あはは、でも強制はしない。だったら私の助手として働いてもらおうかな、週休-1日で。
(過酷な労働を強いるのは、サボり魔がサボり魔であるが故。
でも、勿論本気で言っているわけではなさそうだ。)
生きる目的なんて、単純でいいさ。生きる目的もってなきゃ生きてちゃダメって事もないでしょ。
ま、参考程度に、私が生きる目的は"楽しむ"為だよ。こんなもんでいいんじゃない?私はそう思うな。
(アイドルユニットは同じく棄却する。あれはおかしい。
んー、と小さく考えてから、あまり思慮深いとは言えない意見を横槍としてずばんと。)
■迦具楽 >
「ふうん、尻尾まで食べる物だと思ってた。
……ん、確かに美味しいかも」
【あくまでこの弁当の中では、だが。
しかしなるほど、エビは美味しい。これは覚えておかないといけない】
「そ。アナタの”破壊”みたいに、気軽に使える物じゃないの」
【それでもきっと、以前の自分なら容易に使っていたのだろうけれど、とは思う。
どういう理屈かはわからないけれど、どうやら生き返るたびに力は弱っているみたいだ】
「……そうね、考えるだけは考えておくわ。
週休-1日はお断りだけど」
【学生になるのも、風紀になるのも、蒼穹を手伝うのも――今は考えるだけで十分】
「今はそれよりやらないといけないことがあるし――何よりおなかがすいて、考えるどころじゃないもの」
【”これから”を考える前に、”これまで”を終わらせなければならない。
とはいえ。一つくらいしか気がかりもなかったが。
苦しめてしまった”友達”を思い浮かべながら。
次をねだるように再び口をあけた】
■流布堂 乱子 > 結局二度叩かれた頭が少しだけ痛んだ。
黙ってモキュモキュとキャラメルを食みながら、先輩の言葉を聞く。
「…まあ、考えてるうちにだんだんこの学園に馴染んでくればそれはそれで儲けものですけれどね」
最後に出てきたのは、今までの冗談と、さっきまでの本題の中間くらいの言葉で。
「ご覧のとおり安全な場所には事欠かないので、弱ってる間はこちらで適当に潜伏していることをおすすめします」
…あの路地裏に帰れば、この少女がまたあの炎に巻かれるのではないかと、そんな危惧をしながら。
二人を眺めてただ、ため息をついた。
■蒼穹 > ま、これでも存在自体が破壊みたいなもんだからね。殴る蹴るより容易いよ。
(そこそこ得意気な様子で頷いて。)
そう、じゃ、前向きに検討しといたらいいんじゃない?
(…何だかんだで、助けてしまった気がするし、あれこれ世話を焼いてしまった。今更そんな事を思ったって遅い。
まあ甘ちゃんだが、もうそれでもいい。たまの気紛れだ。信念を貫きとおすってわけでもない。
丁度後輩もこう言っているのだし、普通に学生になればいいんじゃないかと思うのだが。
そもそも、きっと路地裏なんかに居るからいけないのだ。何故あんなところに居るのだろう。
まぁでも、必要以上の義理は果たした。)
んじゃ、合わせて貸し4つ、ちゃんと返してね。
(ポテトサラダでも掴み上げれば、念押し。
借りを返してもらえば、もうそれでおさらば…であれば良いのだが。何だかんだ心を許してしまったし、
お世話してしまった。どうなることやら。)
あー、ペットボトルへこんだー。
そうそう、このやんちゃっくれの後輩が言う様に安全に大人しくしてればいいんだよ。
食べるだけでそれだけ回復もするんだからね。
(さて、一通りお弁当を食べさせ終えるまでにはやはり日が暮れる。
紺碧の空は夕色に。それくらいの時間から、布団の中でもぞもぞして着せ替えを始める。
デザインが気に食わないなどといっていた彼女が別の品をと強請ってくるかもしれないけれど、それを買ったりするのはまた別の話―――。
後付―――尚、アイドルだけはないと思った。確かに「常世学園で常識に囚われてはいけない」と言ったのは己だが。)
ご案内:「保健室」から流布堂 乱子さんが去りました。
ご案内:「保健室」から迦具楽さんが去りました。
ご案内:「保健室」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「屋上」に渡辺慧さんが現れました。
■渡辺慧 > 風で何かが揺れる。
それは、何かの網のような。
ハンモックのような。
というかハンモックだった。
器用に両端を、屋上の手すりと手すりの間に括り付け、まるでそこが一種のリゾートかのようにおもえ、るわけでもないが。
ひどくくつろぎの空間のように見えなくもない。
既に日は落ち切っている。
もちろん、そのハンモックの上には。
いつもの白いパーカーをした、少年が一匹。
静かに寝息を立てている。
■渡辺慧 > 少年に言わせれば。
家に帰る気分じゃなかった、とでも言うのだろうが。
そも、このハンモックは態々、今日の為に持ち込んだものではなく。
こういう気分に陥った時のために、常に。
この学園内のどこかに仕込んである、という手際の良さ。
いくら屋上といえども。
警備員の一人や二人、見回りに来そうなものだが――。
もしかしたら。ある意味。見逃されている、というより。
諦められている、というたぐいなのかもしれない。
■渡辺慧 > ハンモックをかける候補はいくらかある。
天気がいい日はここ。
狭いところがよければ、空き部室部屋。
なにか、ひどく。馬鹿らしい気分の時は、廊下。
騒ぎにならなかったのが奇跡的なのかもしれない。
ゆらり。
風にその身を揺らしながら。
静かに眠る。
ご案内:「屋上」に蓋盛 椎月さんが現れました。
■蓋盛 椎月 > 屋上にもうひとり現れる。
白衣に蜥蜴のヘアピンの女がハンモックを見つけて、近づいた。
人当たりの良さそうな笑み。
片手にはペットボトル飲料の入った手提げ鞄。
「よーう、心地よさそうだね、それ。
添い寝させてもらってもいい?」
明らかに一人用に見えるハンモックに寝る少年に、冗談めかした調子で
そう言って、ペットボトルから外したフタをポイと少年めがけて投げつけた。
■渡辺慧 > ポコン。
間抜けな音を出して、器用というべきか。
偶然にも、というべきか。額に命中。
その、痛くはないし、何とも言えない衝撃に小さくうめき声をあげ。
細く目を開けた。
寝起きは、あまり、良くはない。
「…………あー、えー……夜間営業はやっていません?」
そう、ひどくとぼけた顔で。とぼけた言葉を吐きだした。
■蓋盛 椎月 > 額で跳ね返ったフタは狙いすましたように手元に戻ってきた。それをキャッチ。
近づいて屈んで目線の高さを合わせ、とぼけた顔を覗きこんだ。
「面白いアイデアだなあ。
あたしも保健室に色々持ち込んだりはしたけどさあ。ビニプ(*)とか。
でもハンモック持ち込んで屋上で寝るって考えはなかったな~完敗だわ~」
妙に楽しげに笑っている。
蓋盛という人物はだいたいいつも、人としゃべるときは楽しそうにするのだった。
* ビニールプールのこと
■渡辺慧 > 細めた目の、視界の中で、誰かが顔を覗き込んでいるのが分かる。
ぼんやりとした意識の中、片手で目をこすり――。
また、再び、その相手を。多少なりとも、出来上がった意識で見遣ると。
それは、どこかで見たような――。
ぼやけた意識で、正常に判断できるわけもなく。
気持ち、のんびりとした口調で。
「きもちいーよー。家に、帰るのめんどくさい時とか」
「……ビニプでなにするの?」
ここ最近に見られる、気落ちしていた態度は些か見られない。
それは、寝起きだから、という単純な理由であったり、または。
■蓋盛 椎月 > 「ビニプ、興味ある?
ひよこ泳がせたりつま先でぱちゃぱちゃやって
保健室にいながらにして水遊びな気分に浸るの。
めっちゃ邪魔だし用意や片付けめんどいけど」
鞄を地面に置き、手すりに背を預け、白衣のポケットから
取り出した煙草に火を付けて煙を吸う。
「たまーに、帰るのめんどくさくなるよねえ。
いっそ部活にしちゃおうぜ。帰らない部。あたしその顧問になるよ。
シャワーとか空き教室とか借りて教室棟に棲むの。
そんでたまにゾンビと戦ったりする」
ふわと昇る煙を見上げながら世迷い言をとりとめもなく語った。
■渡辺慧 > 目をこする。目をこする。
どこかで見たことあるようだという認識と、なかなか浮上しない意識。そんな調子で返事を返しながら。
冗談染みた言葉に、クスリと、少し幼い笑みを浮かべ。
「……ちょっと、ある。でも片付け、面倒なのは嫌だなぁ」
等とひどく子供じみたことを言いながら。
先程から出ている、保健室、という単語。
何かに引っかかって。
「――うげっ」
急速に。一気に覚醒する意識の元、今さっきまで。
ひどく、おかしなことを言ってしまった相手を認識した。
「……蓋盛先生」
ある意味。保健室で、サボる際に。まぁ、当然の如く――。
「…………なんでいんの?」
「帰らない部の事前宣伝?」
鼻孔をくすぐる、煙草の香りを感じながら。
どちらにしろ。とぼけた発言なのは、変わりようがなかったが。
■蓋盛 椎月 > 「はい、蓋盛ですよ、慧くん」
ニシシと、彼がよくしている笑みを真似るような顔を向けた。
「なんで? かっていうと……いやまあ、特に理由もないよ。
きみと似たようなものかな。
なんとなく帰るのが億劫になって、屋上に来てみたら
優雅なハンモックがあったというわけさ」
養護教諭に定時帰宅というものは存在しない。
黄昏時をだいぶ過ぎてから帰路につくなどありふれた話だ。
「慧くんみたいなボンクラがもっと集まったら本気でやってもいいかもしれないな。
部活って言っていいのかどうか微妙なとこだけど」
そもそも顧問って何をすればいいのだろうか。
なんとなく憧れはあるが真面目にやる気にはならない、そんな感じ。
「きみってやつは、学生っていうかさ――
なんか学園に住み着いたでかい猫みたいな雰囲気あるよね」
煙草を指先で弄んで、慧を見下ろす。
■渡辺慧 > これが、校則違反になるかどうかは分からない。しかしながら、まぁ。
多少外れている行動だというぐらいの認識はあった。
――まぁ、サボる姿を見られているならば、今更なのかもしれないが。
ハンモックの上で両手を自らの頭の後ろで組むと。
その笑みに対して。いつもとは、違う。少し力のない、悪戯気な笑みで。
「……蓋盛先生も使う? 学校に置いてあるから。いつでも使えるぜ」
等と自慢にもならないことを言う。
「一生徒に向かってボンクラはないでしょ。せめて……ボンクラか」
「さて。そんなボンクラが、集団行動をとれるか、と聞かれたら」
興味はあるが。自らが語った通り。
自分みたいな奴は、どっちにしても。勝手に、ボンクラをするのだ。そういう部活もあってもいいのかもしれないけれども。
「猫……猫、かぁ」
――よく言われたのだ。友達だった人に。じくじくと、何かが痛む。
「……せんせー。……猫ってさー。自由で、気ままで。なんも、縛られないで。……だから猫っていうのかな」
■蓋盛 椎月 > 「お、使っていいの? やったやった~」
目を輝かせた。気が向きさえすれば本気で使いかねない気配がある。
「どうやら企画倒れになりそうだな……」
肩をすくめて天を仰ぐ。こういうのは適当にしゃべってるときが一番楽しいのだ。
くだらない思いつきが実行に移されてうまくいくのはそのうちの一割足らずと言ったところだろうか。
「……さてどうかな。猫は確かに自由で気ままに見えるよ。
だけど本当の意味で何にも縛られない猫っては実はそんなにいない気もするよ。
餌をくれた人間のことを、特別スキになることだってあろう」
首を傾げ、愉快げに唇を歪めて、慧を見やる。
■渡辺慧 > 「本気にしやがった」
「……いや使っていいけどさ」
その代り、とでも言いたげな顔で。
「それ一本ちょうだい」と、蓋盛が持つ、煙草を指さす。
……教師相手にやる事ではないとは思うが。しかしながら、どちらでもいいのだ。
「そこをまとめるのが先生の役目、ということで。ゾンビ物だと大概碌なことになりそうじゃない気はしないでもないけど」
くだらないことを、楽しめる。それそのものがきっと必要になるのか。自分にそれが、今。あるのかどうか首をかしげてしまう。
「……そりゃあ、餌付けってもんじゃんか」
「……ごめん、変な事言った」
その、愉快げな顔から、目をそらしたくなって、ふいに視線を空にやると。
「……なんかもー。……うまくいかんよねー、ほんと」
■蓋盛 椎月 > 短くなった煙草を携帯灰皿に突っ込む。
そして新しい煙草を一本、慧へ差し出した。
生徒の心身の健康を守るのが養護教諭の務めであったはずだが。
「火はいる?」
かわりにペットボトル飲料(『ちょっといいお茶』とラベルにある)に口をつけ、
飲み始める。
「餌付け、気に食わない?
でもヒトとの関係のはじまりなんて言ってしまえばみんな餌付けみたいなものだよ。
餌もあげないで仲良くなろうだなんて、結構難しい話さ」
ずりずりと、手すりにもたれていた背をずらし、屋上の床に尻をつく。
「そりゃあうまくいかないよ。
きみは猫のようなひとであって、猫ではないもの」
わかったようなことを言って、相変わらずけらけらと笑っていた。
■渡辺慧 > 少しだけ面喰うが。自らが言ったことだ。
ありがと、等と軽く言いながら受け取り。
自らの体をまさぐり、手慣れた手つきで取り出そうとするも。
顔をしかめ。「頂戴」と。
「…………リアリスト。ってか。むしろ、俺が……」
と言葉を止めて、首を振る。
「餌付け、した覚えはない、なんて言ったら鼻で笑われんのかなぁ」なんてとりとめのない独り言。
「……そーだよなぁ。俺は猫じゃない」
「土台、無理があった、ってことなんだろうけど、も」
そこで、一息。
けらけらと笑う、その声に。
少しだけ苦笑を漏らした。
「……ほんと。……難しい」
■蓋盛 椎月 > 自分も先ほど使っていた、安物のライターで火をよこす。
「あたしも何の荷物も持たない猫のように旅を続けていたいとは思っている。
猫は保健室の先生なんてやらないから、
猫になるときはきっと養護教諭をやめるときだろう」
目を細める。
「……勝手に身の丈に合わないものを期待されて、勝手に失望されて、
いやになっちゃったかい?」
気楽な笑みのまま、ゆらりと立ち上がる。
「でもその難しさがきみをヒトたらしめているんだ。
きみは猫ではなくヒトでいたいから苦しいんだ。
きっと慣れるよ。だから心配すんな」
■渡辺慧 > その火を、上半身だけ起こし、細めて近づけて。
火を点らせた。……大きく息を吸う。
ジジジ、と。まるで蛍のように光って――紫煙を口から吐き出した。
「でも長靴ははけるみたいだよ。猫も」
「旅のお供にいかが?」
軽口のように返すが。その実、その言葉の意味を考え続ける。
「…………俺が悪いんだよ。ずっと逃げ出したくてしょうがないのに」
「それを見せるのも……ほら。……かっこ悪いじゃん?」
なんて、年頃の少年のような、そんな言葉。
その立ち上がる様を、ハンモックの上で胡坐をかき。
ぼんやりと見つめる。
「…………慣れていいのかな」
「逃げたいだけなんだ、きっと」
「そんなのが」
片手に持った、煙草を咥え。
がりがりと、頭をかく。