2016/05/17 のログ
ご案内:「廊下」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > 校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下。
そこの窓から憂鬱そうに外を眺める七生の姿がある。
窓の外は重い雲が垂れ込めて、朝から途切れることなく雨が降っていた。

「……うぅ~……」

一向に好転しない天気を恨めし気に睨みつつ、七生は暇を持て余していた。

東雲七生 > 「うー……うずうずするー……」

早くやめ、早くやめ、と繰り返し、呪詛の様に呟きながら点を睨む。
四六時中動き回っていないと落ち着かない七生は、雨の日があまり好きでは無かった。
特に学校のある日の雨など、憂鬱の極みと言ってよいほどだ。

「ううぅ……」

外で存分に体を動かせない。
ただそれだけなのだが、それが七生にとって最もストレスになる事なのだ。

東雲七生 > そんなに動きたいのなら訓練施設でも行ったらどうだ、と思われるかもしれない。
もちろん七生も最初はそう考えたのだが、雨の日は訓練施設の利用者もかなり増える。
日頃外で活動する運動部などが大挙して押し寄せてきてたりもする。

あんな体格に恵まれた連中に囲まれて、落ち着いて運動なんて出来る訳がない。
七生が運動部に所属しない理由もそこにあった。

「あと10cm。身長があればなあ……」

それでも七生の年齢の平均身長には届かないのだけど。

東雲七生 > 高校生になって、適度な運動と適度な食生活を送ればあっという間に180も夢じゃないと思ってた。
一年前くらいは本気で思ってた。
……三ヶ月くらい前に、あれれ?ってなった。
そして今に至る。

「……伸びなかったなー、1年だと。
 やっぱ卒業する頃には180あると信じて生きていくしかねーのかな……」

それなのに最近は何だか縮んだ気がするし。

東雲七生 > 窓枠に顎を載せて、ほとんどぶら下がってるのに近い状態で。
七生はこの世の理不尽諸共、悪天候を恨んでいた。
周りの男子はみんなして170前後あるし、女子ですらそれくらいある子も居るし。
というかクラス内で男女混合で背の順になっても前から数えて片手で足りるって何さ。

そんな低気圧故のネガティブ思考が頭の中をぐるぐる回る。
……低気圧はきっと関係無い。

「……あ~……う~……」

そもそも全部外で思いっ切り走り回れないのが悪い、と七生は窓の外を睨んだ。

ご案内:「廊下」にフィアドラさんが現れました。
東雲七生 > 「牛乳も……飲んでんだけどなあ……」

ぼへーっと。
もう何かあらゆる気力が最底辺まで落ち込んで来つつある。
体を動かしていないからか、血の巡りが悪くなってるような。

大いに気のせいなんだろうけれど。

フィアドラ > この世界の雨は好きです。

私が住んでいたところで降る雨は沼の水と同じ色で濡れるとベタベタしたり木の美が腐ったりとあまり綺麗なものではなかったので
この世界初めて透明の水を見た時、そしてそれが空から降ると知ったときはとても驚きました。

なんとなく髪の毛もつやつやさせながら廊下を歩いているとそこに数少ない友達の姿を見かけました。

「あっ東雲さん!雨見てるんですか!綺麗ですよね!」

どことなく、元気ないような気もしますけどきっと気のせいです。

東雲七生 > 「ん、ぁー……?」

声を掛けられた気がしてそちらへと振り返る。
天気と同様、どんよりした表情のまま、薄く口元に笑みを張り付けて

「ああ、フィアドラかぁ。よ~っす。
 うん……雨?いやまあ、雨自体は嫌いじゃねえけどさあ~。」

ひらひらと手を振りながら答える。
友人が元居た世界の雨がどうだったかなんて、想像もしてない感じだ。

フィアドラ > やっぱり、元気がないような気がします…。

「よーっす?…よーっす!」

多分、友人の間で使われる挨拶だと思います。
私も真似をしておきます。

「雨が嫌いじゃないなら何でそんな元気がないんですか?
 ほら、今日は凄い雨日和じゃないですか!」

考えます。…思いつきません。

東雲七生 > 「元気ない様に見えるか~?」

そういえば心なしか、ここで外を見始めた頃より体が重くなった気がする。
まあ、考え事も原因の一端を担ってるだろうけど。

「んー……外で思いっ切り体動かせねえと調子出なくってさ~」

びしょ濡れ覚悟で外に出て来るのもありにはありだが、結果的に色んなところに迷惑が掛かるから出来ない。

フィアドラ > 「前に会った時がたまたま凄く元気な時だったんじゃなかったら、元気なさそうですよ。」

もしかしたら、あれが変に元気だっただけかもしれません。

「そうなんですね…。」

まさかそんな理由があったとは人間には色々とあるみたいです。
でも、それだったら。

「あ、それじゃあ今から外で体を動かせば調子も戻るんじゃないですか!!」

我ながらナイスアイデアです。
尻尾も少し振りながら自身満々に提案します。

東雲七生 > 「今から?雨の中?」

流石にそれは出来ないな、と首を振る。
いや、しても良いけど。したいけど。

「流石にびしょ濡れになると、後々面倒なんだよ……」

ドラゴンの血が混じってると、その辺あんまり気にしないんだろうか。
と、最近友達になったばかりのフィアドラを、じっと見つめて。

フィアドラ > 「駄目ですか?駄目ですか…。」

渾身のアイディアだと思ったのですが…。

「確かに…服脱いでてもいいならそこまで困らないんですけどね。」

そう、服が濡れるのは困ります。しかし、人前では服を着ていなければいけないのです。
私にはもう、とれる手段がありません…。

「すみません、東雲さん私の力が及ばないばっかりに…。」

東雲七生 > 「うん……服は着てなきゃ駄目だからな~……」

普段なら思わず問い直すような事でも、何となく検閲がスルーしてしまって。
神妙な面持ちで、何度かこくこくと頷くと、
何故か謝られてしまったし、気のせいか落ち込んでしまったように見えるフィアドラに首を傾げた。

「いや、別にお前の所為じゃねえと思うんだけどな……」

フィアドラ > 「たまに、服着てなくても怒られない人とかいますよね羨ましいです…。」

そう、服を着なくてもOKな人もいます。亜人に多いみたいですけどどういう差なんでしょうか…。

「あっ確かに私のせいではないですね!」

危うく騙されるところでした。
でも、やっぱり何の解決にもなっていません。

「じゃあ、もう東雲さんは雨が降るたび元気がなくなっていくしかないんですね…。可哀想…。」

東雲七生 > 「そういうのは、ほら……毛皮とかあったりとか、
 そもそもドラゴンだったりとか……」

そう言ってから目の前の友人もドラゴン系クォーターだったことを思い出す。
だからと言って服を着なくて良いかというと、どう考えてもアウトだ。
どう考えてもというか、考えるまでも無くアウトだ。

……ちょっと赤らんだ頬を指先で軽く掻いて。

「羨ましがるような事じゃねえとおもうんだけどな……
 ま、それはそうと最悪このまま雨の日が増えたら訓練施設でも行くから良いよ。あんま人のいない時を狙ってさ。」

なんで可哀想がられてるんだろう、俺。と少し疑問に思いつつも笑みを浮かべる。

フィアドラ > 鱗が腕とか足の周りだけだから駄目なのでしょうか…。

「私は四分の一だから駄目なんですね。もう少し鱗があったらいけたんでしょうか。」

制服の裾を少し捲って自分の体を見てみます。
やっぱり、もう少し内側に鱗があったら良かったのかもしれません。

「訓練施設?訓練施設ってどんな事をするところでしたっけ。運動ですか?」

右手でバットを振る真似をしながら聞きます。

東雲七生 > 「と、取り敢えず人前で見せちゃいけないところがちゃんと隠せてりゃ良いんじゃねーかな!」

少し取り乱したように結論を告げて再び視線を窓の外へ。
隠すところ隠してれば良いと言っても、やたら露出度の高い服とか着るのは、個人的に止めて欲しいものだと七生は思う。
目のやり場に困るし。

「うーん、まあ、運動するところだよな。
 ……やれる事はいっぱいあるし、人それぞれなんじゃねーの。異能や魔術の訓練したり、単純に体鍛えたり、運動不足解消したりとかさ。」

窓枠に再び顎を載せ、横目で友人を見遣りながら答える。

フィアドラ > 「?」

なんでそんなに焦ってるのでしょう?
でも、人前で見せちゃいけないところが隠せていればいいそうなので今後は参考にしていきましょう。

「じゃあ東雲さんにピッタリですね!良かったですね!本当に!」

良かったです。もしこのまま雨の日が続いたら東雲君は最終的に死んでしまうかもしれなかったのです。
人間はか弱い生き物少し調子を崩してもすぐ死んでしまうのです。

「それに、異能とか魔術の訓練もできるんですね。私も久しぶりに魔法使ってみたいです。
 そういえば東雲君も異能とか魔術とか使えるんですか?」

東雲七生 > 「……っ」

それもまあ、七生の居候先の家主の様なプロポーションが良い人に限るのだけれども。
下手に発育途上が真似をすれば、たとえちゃんと隠してても危ないんじゃないだろうかとか、その辺の事情は七生には分からない。
ただ、恥じらいは大事だよなとか、そういう程度の考えである。

「まあ、それでも雨の日は人がいっぱい来て色々と面倒だったりするんだけどさ~……」

素直に喜んでるらしいフィアドラに対し、どうも煮え切らない感じで頭を掻く七生。
結局周囲との身長差問題とかがフラッシュバックしてきて更に気分は沈んでいくばかり。

「ん?異能はあるけど、魔術は全然。
 基礎中の基礎みたいなのも出来ないから、授業も免除されてるくらいだし。」

フィアドラ > 今まで住んでいたところでは服を着る習慣が薄くとりあえずボロ布を身にまとってたくらいです。
誰かに見られたりしても特に恥ずかしいとかは思いません。
今のところは。

「ああ、だから今日はそこに行かずにここで元気をなくしてたんですね!」

確かに面倒なら仕方がないのです。
でも、面倒でもきっとそこそこには行くと思うのでやっぱり安心です。

「私は魔法とかヒュ、ドラゴンっぽいことなら出来るんですけど異能は見たことも無いんです…。
 見せてもらってもいいですか!?」

尻尾をブンブン振りながら尋ねます。初めての生異能です。

東雲七生 > 「そういうこと、に……なるのかな。」

うん、と頷いてから苦笑気味に笑みを浮かべて。
やたらと陽気なフィアドラの様子を見ていたら少しは気も紛れてきたのか表情にも覇気が戻り始めていた。
けれど、異能を見せてくれと言われれば、少しだけ表情を強張らせて、

「うーん……それじゃあまた今度、訓練施設でね。
 ここだとちょっと見せられないっていうか、あんまり使いたくないからさ。」

適当な理由を付けたしつつ、申し訳なさそうに首を振る。
もし友人が“次の機会”を承諾してくれれば、それまでに何か準備はしておこうと思いつつ。

フィアドラ > 初めて異能が見れると思ってただけに少しがっかりしかけました。
それでも、今度訓練施設で見せてくれるというのです。

「本当ですか!じゃあ、約束ですよ!」

約束しました。これで大丈夫です。
友達は約束を守るものなのです。

「こっちだけ見せてもらうのも不公平なのでこっちも何か見せますね!」

“次の機会“に焦がれながら尻尾をブンブンと振りまくります。

東雲七生 > 「おうっ、約束な。」

了承を得られたので一安心。
にっ、と笑みを浮かべると尻尾を振りまくるフィアドラの頭を、犬に対してする様にポンポンと軽く撫でようとする。

「別に、そんなの気にしなくっていいって。」

見せて喜ばれる様な類の異能でない事は自分がよく知っているから。
僅かに困ったような顔で首を振ってから、ふと今の時刻を確認して、

「おっと、そろそろ教室行かないとヤバいな。
 悪い、フィアドラ。そういうわけで、また今度な。」

フィアドラ > 「ん…はい、約束です!」

撫でられるままに撫でられながらいいます。
頭触られるのは初めてですがなんか変な感じです。

「気にしますよ!友達は公平な方がいいらしんですよ!」

何かの本で読みました。
頼ったり頼られたり。異能を見せたり見せられたり。そんな関係です。

「はい!それじゃあまた今度!…私も急がないと!」

手を振って友人を送ると自分も教室に走ってていきました。

東雲七生 > 公平とか、そういう問題じゃないけどな、と苦笑しつつ。
そういえば、頭を撫でた時に角の様な物があった気がした。
それを見せて貰えば──そこまで考えてふと、足を止める。
そして一度、くるりと振り返り、

「……ああそうだ、サンキューな!」

色々気を使わせたりしてしまったようなので、一応お礼はしっかりと。
軽く手を振ってから廊下の角を曲がって見えなくなった。

ご案内:「廊下」からフィアドラさんが去りました。
ご案内:「廊下」から東雲七生さんが去りました。