2015/06/29 のログ
ご案内:「職員室」にリグナツァさんが現れました。
■リグナツァ > 「…!?」
慌てて足元を確認すると、アルヴァーンが足を噛んでいた。
この使い魔は良くこうして、貫頭衣の裾を回避して足を直接噛む。
…例えば居眠りなどしていた時は。
■リグナツァ > 「お前、…お前というやつは……栄えある帝国魔術師の使い魔として、主人を起こす方法として噛むものが有るか」
頭をなでてやろうとすれば、そっぽを向かれた。
そのまま低く伏せて、椅子に座ったリグナツァには触れる手段がない。
なんとなく出した手が、宙を切る。
■リグナツァ > 嘆息。こうして帝国に仕えて以来、どうにもこの使い魔は機嫌が悪い。
三度の食事もかつての暮らしぶりよりは随分と豪華になったにも関わらず。
撫でようとすれば噛む。吠えるときもある。そのくせ露骨に主人以外には腹を見せる。
「やれやれ……」
面白くない、と思った気分も帝国への忠誠心で上書きする。
アルヴァーンとて一騎当千の使い魔である。睡眠や食事を必要とする主人と違い、気を抜くことはない。
…伴もつけず、自ら帝国の威光そのものと誇るような愚か者、いくらだって害する手段は有る。アルヴァーンはそういった事態への備えなのだ。愛玩犬とは違う。
■リグナツァ > 「さて、もう少し眠気を払わねばならん。」
ペーパーテストにせよ実技テストにせよ、自分の意志は文字にして伝えねばならない。…こんな時に集中力を欠いていては、帝国名の綴りを間違えることさえあるかも知れぬ。
「…その時は死ぬな」
立ち上がって歩くと、アルヴァーンが付き従った。目的地はコーヒーポットである。
■リグナツァ > 「次回門を開くときにはカップを頼まねばな。このような代物では喉を潤す役にしか立つまい」
見目にも麗しく、人心に訴えかけてやまぬのが帝国のカップである。
別にコーヒーの方はそれほど気にならないのだが。
…カップの中に、インスタントコーヒーの粉をひとさじ。ついでにティーバッグを放り込むと、紅茶の温度でお湯を注ぐ。
手早く片手でガムシロップを開けると、もう片手で…
「…練乳がないのか。この未開の地には」
これはあとで商店街で買っておけばいいだろう。
ともかく、ガムシロップをもう一つ開けて代償とする。茶葉が開くまで、少し。アルヴァーンを撫でながら時を待つ。
この使い魔も、この匂いは好むようである。
■リグナツァ > 用意された席に戻ると、のんびりと茶を啜る。
糖分が入り込んでくる感覚の心地よさ、というか。
「やはりこれでないとな…」
帝国以前からの唯一の趣味と言っていい。何故かこのことばかりは他の者にも言えぬ。
従者たちには紅茶と珈琲を買わせることまでしかなかったし、不似合いな練乳はアルヴァーンに買わせていた。
「…こうして遠慮無くこの茶が味わえることくらいは、辺境の長所かもしれんな。」
■リグナツァ > ほんの一欠片だけ、徒弟だった頃の思い出が脳裏によぎる。
冬の寒い日だ。いつとまでは思い出せぬ。
誰かに貰った一杯だった。もはや師なのかどうかさえわからぬ。
「…さて、公務に戻らねばな。」
脳裏の淡い思い出はすぐさま消え失せて、どこかに行った。このリグナツァ一人がつまらぬ感傷に浸る時間でいかほどの者を救えようか。
お前が働かぬのは、お前が自らの臣民に対しての義務を捨てようとしているのと同じだ…などと。恥知らずにも先帝の言葉を引用して自らを鼓舞する。
■リグナツァ > 「いや、しかし……辺境の学園とはいえ、見るべきところはあるな」
一体生徒たちに何が教えられてきたのか。学期始めの要綱とは違って、講義ごとの報告書は鮮やかに授業の様子を伝える。
先ほどチラリとめくったら、不真面目を通り越して1ページで済ませられていた報告書を見た以上、この召喚術担当教員は見る目があるというべきだろう。
「いずれは、使えそうな人材も本国へ報告を上げておくか…」
なにも彼ら彼女らもこんなところで教えているよりも、バナー帝国本国、門前に立った小僧が後の大僧正に成長したと言われる国営学園へゆくほうが良いに決まっている。
■リグナツァ > 「……?なんだこれは。どうしてそこを欠いて…いや、やはりおかしい。確実に何らかの意図があるのか…?」
不意に気づいた違和感に、前後のページを慌ただしくめくる。
ある程度順番は前後するとはいえ、このカリキュラムは"其処"までは帝国の諸学派にさえ異論は出ないと断言できた。
初学者から始め、危険に十分に留意しながら、新しい課程へと生徒を導いていく流れはまったくもって不満点はない。
有る一点を除いては。
■リグナツァ > 短距離転移、長距離転移、取り寄せ、転送、時間遡行、事象変動…幾つもの技術の中に、
召喚、招請、異世界転移といった、門を開くための知識が…欠けているのだ。
これは召喚術ではない。…尋常の魔術師であればこの内容に召喚術と名付けはしない。
■リグナツァ > アルヴァーンが鼻先を上げた。
何かを感じ取ったのか。
「……これでは問題を作れぬな。先に、顧問としての仕事ができてしまいそうだ」
リグナツァは席を立った。アルヴァーンがすぐに付き従う。
机の上のカップが、出て行く一人と一匹を見送っていた。
ご案内:「職員室」からリグナツァさんが去りました。
ご案内:「教室」に相楽 満さんが現れました。
■相楽 満 > 「……ふぅ、っ」
授業は無いが、自室ではトレーニング器具の誘惑によりイマイチ集中出来ないため、わざわざ教室まで来た。
というのも、古文書の解読のためだ。
七冊持って帰ってきた本は、そのうち五冊が最初に見つけた言語。
うち一冊に、治癒に関する魔術の記述の多く書かれたものがあった。
そのため、集中して解読しにきたのだが。
■相楽 満 > 「はぁ……なんか、やたら疲れるな……」
椅子に座ってため息を一つ。
大きく深呼吸。
すーはーすーはー。
優れぬ状態の体を落ち着けるために何度も深呼吸。
だが一向によくならない。
「はー……最近無茶しすぎたかなぁ……」
何度も呼吸をしながら呟く。
なんとなく、この疲れの感覚は覚えがある。
どうにも気分のよいものではなく、疲労というよりも……
■相楽 満 > 頭の隅をかすめた。
忘れようとして、忘れられないこの感覚。
「……まさ、か……」
左胸をおそるおそる、だが思い切り強くつかむ。
その鼓動はいつも通りだ。
いつも通りなのだ。
学園前駅から教室まで歩いてきた。
多少の動悸は確かにあってもおかしくない。
なのに、変わらないのだ。
■相楽 満 > 心臓の動きが強くならない。
病状が進行している。
最終段階、筋ジストロフィーの死亡理由の大半へ。
心不全へ向けて心筋が弱りつつある。
肺の動きが変わらぬのは、おそらく横隔膜を動かすのは随意筋によるものだからだろう。
無意識に異能での制御が可能だからだ。
だが心臓は、不随意筋はそうはいかないらしい。
少しずつ、だが確実に積み重ねられた負担と病の進行は、今命をそぎ落としつつある。
「……やっべーな、マジで……
時間足りるかな……」
■相楽 満 > 余命はもって五年とはいえ、それは最善の延命措置の結果だ。
今のままでは、本当に二・三年といったところだろう。
しかもそれは余命であって、十全に体を動かせる期間ではない。
それまでに病を治せなければ、病の根本を取り払うことが出来ても体はボロボロのままだろう。
「……それじゃ、意味ねーんだよ……なっ」
かばんからトレーニング時に使っていた酸素缶を取り出し、吸引する。
濃度の高い酸素を吸引し続ければ、少しはマシになる。
しかし否応なく迫る命のタイムリミット、強く意識せざるを得ない。
■相楽 満 > 「はふぅ……ふぅ」
ようやく呼吸が落ち着き、缶を傍に置く。
そして古文書と翻訳書を前に、目を細めた。
「……実質、これがラストチャンスかな」
この本に答えがなければ、おそらくは耐えられまい。
次の探索にも、次の翻訳にも。
そんな奇跡のような確率にも、すがるしかない。
だが。
もし、ダメだったら?
■相楽 満 > 「……あきらめて、家に帰ろっかな」
少しばかり、こちらでつながりが増えすぎた。
同じ異能を持った子、本が好きそうだった子、何度か戦う姿を見た子、共に探索した子、少し見舞いに行った子。
彼らが近くに居る場所で死にたくはない。気がした。
さすがに帰れば、いずれ時間が彼らの心から自分の存在を消してくれるだろう。
そう長く付き合った仲の友人たちでもないのだ。
いつか、思い出の果てへと消えられる。
ご案内:「教室」に神崎 聖さんが現れました。
■神崎 聖 > 「あら、勉強…と、いう訳じゃないですね?」
そろそろ帰ろうとした時にいつぞやの白銀の少女が現れる。
「解読はうまくいったのですか?」
そう尋ねる。
■相楽 満 > 「んぁ、神崎先輩?」
別の学年の人が来るとは思っておらず、目をぱちくり。
「どもッス。
ってなんで解読のこと知ってんスか」
探索のレポートも学園には提出したものの、知り合いにすら話していないはずだがと首をひねった。
この本を見ただけで気づいた?
■神崎 聖 > 「いや、この本を見てたら
そうと思えてきましてね。」
本を見ただけで何となく分かったのかもしれない。
「それで七冊あるようだけど、
進捗はどうですか?」
聞いてみよう。
■相楽 満 > 「……その洞察力すげーッスよ」
怖い人だ、と思った。
いやそれは病院で出会ったときからそうだが。
「んー、一冊が目当てっぽいッスね、一応。
でも翻訳して、今度は治癒系の魔術の出来る先生か誰かにお願いして使ってもらわないと……
なかなか時間が足りないッス」
ぱらぱらめくる。
近海に沈んだ古代遺跡に納められた古文書のものだ。
翻訳も進めているが、メモ書きを見るにほとんど進んでいない。
■神崎 聖 > 「どの本が目当てかな?少し読ませてくれるかな?」
ノートパソコンをひろげ…机に置き…。
「本の文を訳せばいいのでしょう。
時間がないなら、私が翻訳しましょう。」
そう言って1つ手に取りページを捲るごとに
高速でタイピングしていく。
「治療系の先生を探す時間を作る手伝いならしてあげれます。」
そう言うとどんどん訳されたのがタイピングされていく。
■相楽 満 > 「あ、はい……いや、助かるんスけど……」
瞬く間に翻訳されていくのを見て、ぽかーんとした顔になる。
やはり専門外の人間が努力するより、出来る人間に任せた方が早い。
いや、その『お願い』をするのが気が引けて頼めなかったのだが。
「……ありがたいッスけど、目的のもん見つけてからじゃないと。
見つかるかどうかも運しだいッスから」
■神崎 聖 > 「で、その目的の物は…七冊のどれかだったりは?」
そういってる間に一冊目が終わる。
「とりあえず七冊分を訳してみます。」
そう言うと二冊目に取りかかる。
「もし七冊訳して、答えが見つからない場合は…
そのときはそのときです。」
そういいつつ訳を行い…二冊目を終える。
■相楽 満 > 「はっや!?
ちょっといくらなんでも早くないッス!?」
さすがに早すぎる。
「……んー、わかんないッス。
ただこの二冊は違うっぽいッスね。
……病気を治すのに何が重要かわかんないッスから、どれが正解かどうかわかんないんスよ。
目的のものがどれか、なぁ……」
んーっと考え込む。
本当にどれが正解かもわからないのだ。
一応一冊だけ目星はつけたものの。
■神崎 聖 > 「ふふふ、馴れてますから。」
高速タイピングを行いつつ訳をおこなう。
手際がよすぎるが…本人にとっては当たり前だ。
そうこうしている間に
三冊、四冊目まで行き…五冊目を手に取る。
「さて、お目当てはありますか?」
五冊目を訳していく。
タイプ音が早すぎてもはやなんだか。
生徒会ってなんだろう。
■相楽 満 > 「……神崎先輩やっぱ怖いッスわ。
ミステリアスすぎ」
助けてもらって言う立場ではないが、思わず呟いた。
「……や、ここまでは全部やっぱはずれッスね」
建築書、古代の歴史書、古代の宗教の聖書等々。
だがどうも病に通用する技術が書かれた本は見当たらない。
ご案内:「教室」に神崎 聖さんが現れました。
■神崎 聖 > 五冊目を訳していく。
「ふーむ…」
しかし、四冊訳したのになぜ辺りが見つからないのか
「うーん…。答えはどこにあるのやら」
答えを見つけたいが…
こうする間に五冊、六冊目を終える。
■相楽 満 > 「適当に持ってきたヤツですから、当たりがあったら奇跡ッスよ」
にへらっと笑いながら。
とはいえ、本に書かれた言語もわからず、なおかつ未知の敵がうろつく遺跡内部での探索の結果だ。
あの時は少女の判断通り、運に身を任せて正解だったはずだ。
「……じゃ最後の一冊、お願いします。
タイトルから多分魔術系のッスから、もしかしたら治す方法あるかも」
最後に自分で持っていた本を手渡す。
■神崎 聖 > 「よし、やってみます。」
最後の一冊を訳する…。
果たして答えは見つかるのだろうか?
タイプ音は変わらず…。ページを捲る音も変わらず…。
とにかく早かった…。
音が鳴り響く教室で…。しばらく立つと…。
「最後の一冊の訳が終わりました。」
彼女の口が開く
「答えはありますか?」
■相楽 満 > 「……どもッス……」
本を受け取り、訳の内容を確認していく。
目を細め、集中して。
「……難しいところッスけど、あるかもしれないッス。
魔術の専門家と医学の専門家、両方と確認しないとわかんないッスけど」
一人、一応思いつく教師が居る。
だがまだわからない。
現状で自分で判断がつかず、本を閉じてため息を一つ。
■神崎 聖 > 「うーん…。」
「もし、思い当たる人物がいるなら
迷うより、とにかくやってみるしかありません。」
少年の様子をみて、後押しを試みようとする。
「時間がないのでしょう?」
■相楽 満 > 「微妙なとこッスけど、もうちょっと読み込んでから相談します」
本をかばんにしまい。
けれど『時間がない』という言葉には首をかしげる。
「まぁそれこそ余命は何年持つかってとこッスけど……
そんな切羽詰まってはいないッスよ」
先ほど自身の体調の変化に気付いたところだが、しれっと言い放つ。
隠しているのだが、なんの後ろめたさもなく、普段通りの口調。
今までと変わらない語調。
■神崎 聖 > 「そう?」
普段通りの口調にそう答える。
「もう少し読み込んでから相談…。
まぁ、そこは満くんに任せます。」
少年の言葉にそう答える。
「では、私はそろそろ行きますかね。」
教室から出ようとするでしょうか
■相楽 満 > 「ミスで先生とかの手を煩わせるわけにはいかないッスからね。
確実に答えを見つけてからッス」
にへ、と笑顔を見せた。
隠し事など感じさせない、いつも通りの笑顔だ。
「ウッス、ありがとうございました、神崎先輩。
おかげですっげーはかどったッス」
席に座ったままぺこりと礼をして見送った。
■相楽 満 > 再び一人となった。
だが聖のおかげで、かなり前へと進んだ。
「……ふぅ、ありがてーなぁ」
酸素缶を持ち、大きく吸引する。
リミットの近い体だ、少しでも可能性が増えるのは嬉しい。
先輩の好意に感謝をしつつ、教室を後にした。
ご案内:「教室」から相楽 満さんが去りました。
ご案内:「教室」に神崎 聖さんが現れました。
ご案内:「教室」に神崎 聖さんが現れました。
ご案内:「教室」に神崎 聖さんが現れました。
■神崎 聖 > 「さて…。どうなるかな?」
私はそうかんがえた
ご案内:「教室」から神崎 聖さんが去りました。