2015/07/29 のログ
■ヨキ > 「ヨキも伊達に長く籍を置いている訳ではないのでな。
生徒について何か話題があれば、耳に入ってこようというものだ。
もちろん、モデルを呼んでデッサンの授業を行うことなど日常茶飯事だ。
もしも下心あって受けようものなら、『もう女の裸なんてこりごりだよぉ~』……と言いたくなるほど扱いてやるがね」
(顔を覆うネコメドリの様子に愉快そうに笑いながら、一連の写真をファイルに収めて片付ける。
一年のとき、と聞くと、はたと手を止めて)
「うん……? 一年のときに。
おかしいな、授業を受けた生徒のことは覚えているつもりであったが……」
(しばらく考えてから、)
「…………、ルサージュ君? ルサージュ。
……君、もしや昔、人の姿をしてはいなかったか?」
(口元へ指を添え、うろ覚えの様子で尋ねる)
■ネコメドリ > 「""うえっ!?なんで知ってんの!?""」
声を荒げて驚く鳥。無理もない、人の姿を知っている者などもうほとんど居ないと思っていたからだ。
「あ、もしかしてオイラが一年の時も美術科にいたっけ!?
いやー、もしそうならオイラすっかり忘れちゃってましたよ……」
ヨキの記憶は正しく、確かにその時は人の姿をしていた。そして美術科にも籍を置いていた事もあった。
もし、その時の記憶が定かであれば、何かイラストやら漫画みたいな絵ばっかり描いてたのを思い出すかもしれない。
■ヨキ > 「はは、残念ながら今の君のインパクトが強くて、どういう顔をしていたかはおぼろげだがなあ。
美術教師もヨキひとりではないからな、授業で顔を合わせなかったことも少なくなかろう」
(予想が合っていたことに、ほっとしたように笑う)
「ほれ、この学園は異能や魔術の色が強く出ているから、美術の授業を取る者も多くなくてな。
そうでなくとも、教師たるもの、教えた生徒のことは覚えているものだ」
(若い男の面構えのくせ、笑う調子は些か年寄りめいている。
教壇に肘を突き、リラックスした様子で座り直す)
「……して、何故そのような姿に?
君は獣人の類……だったろうか。君には取り立てて派手な印象もなかったように記憶しているが……
まさか鳥の姿になっていたとは」
■ネコメドリ > 「あー、なるほど~…そんなに美術の授業取る人いないからかぁ~、
確かに皆もっとおもしろそうな授業とか部活とかいっちゃい…いや、なんでもないっすよ!うんうん!美術タノシイデスヨネー」
なるほど納得といった表情と仕草をする。
続く質問にはちょっと慌てつつ、少し考えては言葉を紡ぎだして──
「まー、色々あって?鳥になりたかったっていうかー……そ、そんな事よりヨキせんせーモデルになってよ!!
うん、今すぐオイラのモデルになってデッサン描かれるべき!」
なんだか誤魔化すように言うと、翼を背後に持っていってすぐに前に戻す。その翼には何故かスケッチブックと鉛筆が握られていた。
どこから取り出したのかわからない、一瞬の出来事だった。
■ヨキ > (ネコメドリの言葉には、気を害した風もなく、むしろ一層可笑しげに笑い出す)
「……ふ、ははは!よいよい、実際その通りであるからな。
ヨキとてたまに思うほどだぞ。今、この時間のあの授業が受けてみたい……とな。
全くこの学園には、興味深いカリキュラムが多すぎてな」
(ネコメドリが答えを考える様子に、ふんふん、と耳を傾けながら、)
「ほう、鳥になりたかったと……なるほど、人はみな思うことであるよな。
しかし安心したぞ。君が鳥になりたいからと言って、線路に飛び込むような真似をしなくて。
……なに?
ヨキがモデルに? 君の……デッサンの?」
(ネコメドリの一瞬の早業に感心しながらも、眉を下げて笑う)
「ヨキなど描いても、つまらぬだろうに」
■ネコメドリ > 「今文字通り鳥になってるんですけどね!?線路に飛び込むとか転生希望者かっ!」
先生のあまりのボケに突っ込まずにはいられなかった。
「いやいやいや!ヨキせんせーはいい素材だよ!眼鏡が!特に眼鏡が!!
…まあまあそこにお座りになってお待ちくださいよ」
と言いつつもうすでに筆を進めている鳥。
「そいやさ…せんせーって手の指4本なんだよね…さっきからちらちら見てたけど、さ…
ちょーっとピースしてみてくれる?」
■ヨキ > 「文字どおり天高くフライハイであるな。
その代わり、島じゅうの人間が地獄に堕ちる訳だが。
はは、むやみに恨みを買って死んでは、浮かばれんだろうなあ」
(わっはっは。
その語調と来たら、買い物に行ったらポイントカード忘れちゃってさあ、くらいの軽さである。
ネコメドリが筆を動かし始めると、何だかんだで嬉しそうにはにかんで、髪の具合をちょっと直したりする)
「眼鏡かね?ふふ、眼鏡くらい誰でも掛けられるものではないか……、
――何だね、ヨキの手か。ああ、ヨキは獣人であるからな。肌は人間の色をしているくせ、形がどうも犬の足であるな」
(手を表裏と引っ繰り返す。人間の男と同じほどの手のひらに、女子どもほどの短い指。
手袋を脱いでみせると、犬と称するに相応しい爪が現れた。肉球こそないが、人間の手とは随分と形が異なる。
請われるがまま、ピースサイン。
人間で言うところの親指と小指とをくっつけて、人差し指と――中指だか薬指だか、とにかく真ん中の指の、二本をぴっと立てる)
■ネコメドリ > まったくもーせんせーはブラックジョーク好きだなーとか相槌を打ちつつ筆を動かして…
「せんせーケモ耳だもんね。手まで人と違うのはなんか珍しいとは思うけどさー…
先生のかわいさは手にあると思うんだオイラは」
ピースサインをじっくり見れば、またスケッチブックに向き直ってカリカリと鉛筆が紙に摩擦する音が響く。
しばらくそうして話したりしながら十数分、音が止んだ。
「よっし!できた!!やっぱメガネっこは最高ですよね~♪せんせーグッジョブ!!」
と、スケッチブックの中身を得意気に見せてきた。
http://guest-land.sakura.ne.jp/cgi-bin/up2/img/toko155.png
■ヨキ > (普段の授業ならばその鉛筆捌きを細かく眺めるところであったが、今はまた別だ。
他愛のない話を楽しみながら、スケッチブックは覗かず楽しみに待つ)
「可愛いか?有難う、嬉しいよ。
外見というのは、なかなか変われるものではないからな。
それを褒めてもらえるというのは、照れくさいものがある」
(自分の手を視線だけで見下ろして、ふ、と小さく笑う。
――そうしてネコメドリが仕上げた絵に。
しばし目をぱちくりとさせて、まじまじと見遣り――笑い出す)
「……ふッ。
ふ……く、くく……。
……ははは!あはッ、こう来るとはな!
何だ。君が鳥になった代わり、ヨキも女人に転じた方が生徒にウケもよいか。
能ある鳥は爪を隠すものだな!」
(教壇に突っ伏して、可笑しげな声を上げる。
してやられたとばかり、額を抑え、肩を揺らして一しきり笑っていた)
■ネコメドリ > その絵はあまりにも、なんというか美的センスという言葉をぐるっぐるに包帯巻きにして大砲でどこかへとぶっ飛ばしたかのようなものだった。
きっとこの鳥はなんでもかんでも美少女にして描いてしまうのだろう。それこそ目の前の教師すらも…
「女体化…アリだね!先生アリだよそれ!!きっとヨキせんせー目当てにやってくるヤツがいっぱいでてくるに違いない…!」
と、なんだかウケがよかったので調子に乗った一言。この鳥もにやにやと笑っている。
「じゃ、そんな訳でこの絵はせんせーにあげるよ。額縁に入れて飾っておくと受講する生徒が増える…かもしれない!増えなかったらごめーん」
スケッチブックに描いたその部分を丁寧に切り取って差し出した。
■ヨキ > (この文化のるつぼたる常世島にあって、ヨキ自身も萌えとか美少女とかいった類の絵は見慣れていたし、授業で取り上げたこともあった。
純粋に面白がっている様子で、いやあ、と首を傾げて)
「魔術学の教師にでも尋ねてみるか? ふは、冗談だ。
今にしてこんな服装であるからして、着倒れとばかりに楽しんでしまうやも知らん」
(座ったまま、ハイヒールの華奢な片足を上げてみせる。裾の長い、半ば女装めいたフォルムの服装だ。
切り取られたページを冗談めかして恭しく受け取り、再び眺め、ファイルの中へ大切そうにしまい込む)
「はは、ありがとう。
もしものときのお守りだ。女体になれば何とかなるであろう、というな」
(あまりにも最終手段であった)
■ネコメドリ > 「せんせーヒールなのか!?気付かなかったわー…手ばっかり見てたわー………
もういつ女体化してもイイ、みたいな格好だったとは…女体化の際は是非ともオイラを呼んでくれると嬉しいっすね!」
ワハハと冗談を言い合いつつ、時計を見れば急に慌てだした。
「おっと…随分話し込んでたけどオイラそろそろ行かなきゃ。それじゃ、またね先生。
…まさか、オイラの事覚えてくれてるなんて思ってもみなかった。なんだか照れくさかったよ先生」
ふわっと不自然に浮き上がると、そのまま窓の淵に降り立ち、そのまま外へと飛んでいった。
「アデュー!」
ご案内:「教室」からネコメドリさんが去りました。
■ヨキ > 「いや……これは別にいつでもどんと来いという訳ではなくてな……。
犬だから、踵がないのだ。足に。それを支えるためのヒールに過ぎんのだよ」
(言いつつも、サンダルのベルトには細やかな意匠が施され、単なる実用一辺倒のデザインではないことも伺える。
別れを告げるネコメドリに、ああ、と笑って手を挙げる)
「ではな。こちらこそ有難う、ルサージュ君。
ヨキはいつまでもここの教師だからな、いつでも自由に付いたり離れたりするといい。
ふふ。アデュー、だ」
(外へ飛び立つ姿を見届けて、ひとり教室に残る)
■ヨキ > (再びファイルを開く。『美少女メガネッ娘』。女体化の上に若返りである)
「しかし……いやあ。
青少年の発想というのは……なかなか。うむ。
これはこれで素晴らしいものがあるな……」
(自分がそのようなモデルになるとは予想だにしなかった顔で、いっそ感心しきりであった。
絵をしまい直したあとも、くつくつと小さな笑みが零れて止まない)
■ヨキ > 「……コスチュームプレイ、とか、ハロウィーンの類だな。怖いもの見たさだ」
(机の上を片付け、立ち上がる。
書類をまとめ――絵を挟んだファイルを取り分け大事そうに抱え、楽しげな足取りで教室を出てゆく)
ご案内:「教室」からヨキさんが去りました。
ご案内:「屋上」にクオンさんが現れました。
■クオン > ふと、夕方の屋上に巨大な翼竜が降り立った。
魔術学講師、老いた古き竜。名をクオン。
時折こうして、屋上から生徒たちの動く様を眺めることがクオンの楽しみであった。
ご案内:「屋上」にサイエルさんが現れました。
■クオン > 眼下には、部活動に励む生徒たち。それぞれが、それぞれの理由で学生として生きている。
それにはひとつひとつ物語があり、彼ら一人ひとりがその主人公であると言えるのだ。
遠き昔、暴虐の竜であった頃には意識もしなかったこと。
今は彼らのその輝きを見ているだけでも心が慰められる心持ちであった。
■サイエル > 夏休み。
だというのに、今日は出勤だ。
夏休みというのは、あくまで学生の特権だ。
さらにこの暑い日が続くなか――
熱中症、脱水症状。
部活をする運動部の生徒たちが懸念される。
故に、出勤せざるを得ない……
とても、理不尽なことだが。しかし、お金になるなら
逆らうわけにも行かず……とりあえず
学校にだけ顔を出し、ふと”吸いたくなったので”屋上に来れば……
「……――」
口にたばこを咥えながら
ちょっと予想もしてなかった先客にぽかーんとしてしまう。
ぽろりと、落として。慌てて拾ってくわえなおす。
それは”見たことのある”巨体だったからだ。
「い、いや、びっくりしましたね。龍の先生も出勤ですか?」
苦笑しつつ
■クオン > 屋上の扉が開く。そちらに、ゆっくりと首をもたげてみれば、見覚えのある姿がひとつ。
そちらに向かって顔を向け、
「ああ、サイエル先生。出勤……というよりは」
首を振って、教室棟のはずれに向かって、首を振って眺め見遣る。
広大な空き地。青空教室とも揶揄されるその場所を見つめながら、
「学園の一角がそも私の寝床でね。
出勤、といえば常日頃出勤しているようなものだ」
と、僅かに炎を喉元から漏らしながら答えた。
■サイエル >
「おや、そうでしたか……」
吸ってもいいですか? と、たばこをゆらゆらさせて。
目を細める。
「いや、にしても暑いですね。気が滅入る」
たはは、と頭を掻きつつ。
静かに、龍とは逆の。
下に広がる光景を見つめながら。
「そういえば、コゼット先生には会いました?
無事、退院、したようですよ」
なんて、共通の話題をふりながら
■クオン > 「構わないさ。私もこの通り、炎を吹くからね」
冗談めかしたような様子で炎を漏らす。
少々おどけたように目を細めて翼を畳んだ。
「暑さは苦手かね。私は"火"の気が強いから、他の竜より熱には強い」
口から火を吹く竜が、いかに"あつさ"の分類が違うとはいえ日差し程度で参っていては確かに滑稽か。
彼の吹き出す炎は意図しない限り熱を持つことはないが、実際、熱に強いのは確かである。
暑さに参るサイエルが眼下を見下ろすのに合わせて、こちらも首をすくめてサイエルに合わせ、
「ああ。つい先日、彼女の方から挨拶に来たよ。
病み上がりで驚かせては酷かと、ついぞこちらから伺うことはなかったのだが」
と、答えた。
■サイエル > どうもどうもとお辞儀をしてから――
しまったという顔をする。
「……火をお願いしても? どうやら保健室に忘れてきてしまったようで」
苦笑いをひとつ。
物忘れがはげしい年だ。気をつけねばと思いつつ
そう提案する。
「いいですね……暑いのも寒いのも、私は苦手です
年をとってからは特に」
運動部――陸上部の部員たちが走ったり、跳んだりしているのが見える。
とても、暑いのによくやるものだと思うが。
種族が違えば思うことが違うのだろうかなんてそんな感想も抱きつつ。
「おや、そうでしたか。どうでした彼女、怒ってたりしませんでしたかね?」
なんて、さり気なく。
■クオン > 「煙草に火をつけるのに竜の息吹とは、ずいぶん豪勢だ」
楽しむようなニュアンスで、軽く火を吹いてみせる。
あえて、魔術は使わずに。精妙な炎の操作だけで煙草を燃やすことなく器用に火をつけてみせた。
「それは仕方のないことではないかな。
人は脆い。その脆さから身を守るために、身体が報せてくれる」
暑さも寒さも、耐えられぬからこそ悲鳴を上げるわけで。
それはひとつの、身体に刻まれた知恵のようなものである。
見下ろした先の生徒たちに対する感想は先程までと同じ。
楽しむように赤い燐光を舞わせながら竜は瞼を閉じた。
「いや。少し思いつめてはいたがね。最後には納得して帰っていったよ」
なるほど、と。彼女が最初に沈んでいた理由に思い至り。
しかしそれは口に出さずに言葉を留めた。
■サイエル > 「……え、龍の息吹とかそんななんかゲームの呪文みたいな
もしかして高級だったりするんです? 先生の息」
びっくりしながら。
火をつけてもらえば、肺いっぱいにためて、心地よく息を吐く。
「いやはや、そうだと思ったらなんだかいつもと違う感じがしますな」
得したなぁなんて呟きながら。
煙は青空を汚し、独特の匂いと、毒(ふくりゅうえん)を振りまく――
「おや、やっぱそうでしたか、たはは――余計だったかもしれませんね」
ご案内:「屋上」に蓋盛 椎月さんが現れました。
■クオン > 「高級……というわけではないが。
世界広しといえど、こうして竜の吐く火で煙草を吸ったのは、数えられる程度にしか居ないのではないかな」
小型のドラゴンなら話は別だが、クオンほど巨大な竜となれば話は別だ。
その上重ねて言えば、確かに"ゲームの呪文"のようなものだ。
竜の息吹は魔力そのもの。クオンという古き竜を構成する莫大な魔力の一部に他ならない。
調子のいいことを言うサイエルに、愉快げに視線を送りながら、ゆっくりと身体を伏せさせる。
広い屋上で、クオンはその端の端に伏せているとはいえ、そのスケールは圧巻の一言に尽きる。
「誰の言葉が間違いというわけではないさ。
そういう意味では、彼女の物語を動かしたのはサイエル先生かもしれない」
怒りも喜びも、ひとしく物語の一端だ。
ああして"思いつめ"なければ、クオンにその心情を吐露しなかったかもしれない。
そういう意味では、サイエルの言葉もまたコゼットの物語の一部足りうるだろう。
■蓋盛 椎月 > 屋上に養護教諭が追加出現した。仕事はどうした。
クオン先生の大きさは知識としては知っているがこうして接近遭遇するとやはりでかさに圧倒される。
「なんか贅沢なことやってらっしゃるじゃないですかー!」
空気を一切読まずに煙草を取り出して混ぜて混ぜてーとばかりに近づく。
火が欲しいらしい。
■サイエル > 「今一人増えそうですよ、えぇ」
……げっという顔。
非常にまずい。たしか同じ職業だ。同じ城もちだ。
つまり――さぼったつけを押し付けている相手である。
すすすっと、視界の隅に映るようムーンウォーク。
「いやぁ、ただちょっと。やっちまっただけですよ
ええ。特に何をいったわけでもない。私は真面目とはとことん相性悪いですし――」
なんて呟きながら、静かに煙を吸う。
■クオン > 戸惑うサイエルの姿。彼もまた、そういうスタンス。
そういう物語に生きる身の上なのだろう。深く追求することはなく、ただ新たな乱入者に視線を向ける。
「おや、蓋盛先生。なるほど、楽しいことには貪欲だ」
勢い良く近づいてくる彼女に向けて、口を開けてみせる。
喉奥からは赤い燐光のちらつき、舞い散っている。
煙草を掲げれば、また精妙な動作で火が点けられるだろう。
「これは賑やかなことだ」
■蓋盛 椎月 > 「やったあ」
煙草に火が灯れば、無邪気に喜んでそれに口をつける。
「よぉく見ればサイエル殿じゃあございませんか。
今日もサボリですかいいご身分ですなあ!」
完全にブーメランというか腹に槍を括りつけて突っ込んでくる勢いである。
蓋盛とサイエル先生とは働き蟻と怠け蟻の法則が働いて
同じサボリ保健医属性でありながらも二人同時に環境に存在すると
蓋盛が働きサイエルがサボる側になってしまう。らしい。
今は両方とも仕事してないが。
しかしなんだか困っている気配に気づいて。
「サイエル先生がお悩みとは珍しいですねぇ」
愉快げに紫煙をくゆらせる。
■サイエル > 「ふぐぇ……」
バレた。遅かった。
これでもかっと言うくらいに言葉の手裏剣を受けた。
エマージェンシー、吐血ものである。
「今日はサボりじゃないですし、今からちょっと変わろうかなと思ってたところですし」
だらだらだら、冷や汗。
暑いのに冷たい汗……あぁ、困った。
「いやですね。いやですよぉ。先生の生徒との交流する機会を
少しでも削らないよう、増やしてあげようと思ってですね
こう、心を鬼にして涙しながらですよ。城に二人も城主がいたらたいへんでしょ?」
必死のいいわけである。
「悩みとかって言うほどじゃないですよ。クオン先生にこぼしたように
真面目とはそりが合わず――やはり、若さとはなかなかうまく付き合えないなと。年をとったなって感じてるだけです」
――ねぇ、クオン先生
とかいいながら
■クオン > 無邪気に喜ぶ蓋盛の姿は、それはそれで小気味いい。
年をとったな、と告げる割には蓋盛とのやりとりは若々しいにも程がある。
特段嫌な気分になったりはしないが、ほう、と口から炎を漏らしながら。
「おや。それを言えば、私が一番若者とそりが合わないことになるな」
などと。極力、努めて穏やかに言葉を紡ぐ古竜であるが、
それはそれとして、時に冗句を飛ばすこともある。
■蓋盛 椎月 > 「あっはっはっは、その言葉そっくりそのまま返してあげますよ。
サイエル先生も生徒と交流しまくって若いエナジー吸わないとダメですよ?
腰が曲がってハゲて肺がんになる惨めな最期を遂げたくないでしょ?」
絞り出される苦しい言い訳にはたのしそうな笑顔で応える。
クオン先生の冗句にくつくつと笑い声を漏らした。
「するとこの屋上は不真面目な大人の集まりってことですか。
いえあたしは誰よりも真面目に生きているつもりですがね。
あたしの真面目さと生徒の真面目さがぶつかってコンフリクトですよ」
湯水のように無価値な言葉を垂れ流していく。
すう、と煙を吸い込んだ。いつもの安煙草だが心なしか風味が違うように感じる。
■サイエル > 「いやいや、そういう言葉通りのあれじゃなくてですね
まいったな、いじめないでくださいよ。クオン先生」
たははと、困ったように笑いつつ。
冗句だとは知りつつも、乗っかって返して。
さすがは人気の先生だ。姿でインパクト。
そして、このトーク。龍の先生の授業はいつも生徒でいっぱいなのだ。
納得である。
「サボり魔とは違うじゃないですか。クオン先生は。ちゃんと授業してますし」
なんて笑いつつ。
「――はぁ。じゃあ先生が相手してくださいよ
最近ご無沙汰なんですよ。ぜひぜひ。娼館行くお金もないんで」
なんて、冗談かどうかわからないセクハラ発言しつつ。
「――ま、少なくても私よりは真面目でしょう。ええ
間違いなく。私以上の人がいたら紹介して欲しいもんですよ」
そこだけはなぜか胸を張って言い切った
■クオン > 「そうかね。この図体ではプリントも作れないのでね。恐らく、講師の中で最も暇なのが私だよ」
その代わり、朝昼夜と時間を問わず生徒の相談を受け付けてはいるのだが。
勿論そんなことを言うのは野暮というものであった。
サイエルの、続くふしだらな言葉には動じない。
伊達に長い年を生きては居ない。不道徳の極みなどいくらでも見てきたものだ。
故にそのままに。蓋盛の呟く様にも目を細め。
「一人とて同じ物語などこの世にはありはしない。
だからこそ衝突もするし、一人では生きることも難しい。
不真面目な大人の集まりも、三人寄れば文殊の知恵、或いは三本の矢といった具合かな」
二人の吐く煙に合わせるように、こちらも空に向かって軽く炎を吹き上げた。
■蓋盛 椎月 > 「サイエル先生が給料分ぐらいお仕事していただけたら考えますよ。
働く男性の姿って素敵だな~」
セクハラに軽口であしらう。
自分に輪をかけて仕事しない教師でも在籍できるのは
常世学園のおおらかなところ、と表現すれば聞こえがいい。
「烏合の衆って言葉もありますよ」
あまりにもあんまりなことを言ってクオン先生へと歩み寄る。
あわよくば身体、ウロコにぺたぺたと触ろうというのだ。
ご案内:「屋上」にアルスマグナさんが現れました。
■サイエル > 「……プリント作るのが先生の仕事ではないでしょうに」
やれやれと肩を竦めて。
そっと、龍が炎を吹く様子を見れば――
「吸います? 先生も……って普通のだとあれかなぁ……」
と、取り出したのは。少し太めの”葉巻”
文字通り、普通ではなく特別製だが。
「これなら楽しめますかね?」
どうです? と。目で訊ね。
「あっ、言いましたね。じゃあ遊んでもらおうかな―
今日これから3ヶ月分働くところですし……
言質取りましたよ。ええ、クオン先生が証人ですとも」
妙にやる気を出した。マジな顔だ。
”あえて本気で取りやがった”――
とわかるだろう。
「ま、否定はしませんとも。どちらの意味も――」
■アルスマグナ > そして不真面目な大人がまた一人、屋上のフェンスを7つ道具の鉤爪ロープで上りながら現れた。
「未知の生命体、竜が屋上に舞い降りた!その真実を探るべく常世学園屋上へと我々は飛んだ!!」
テレビのテロップ的な叫びを発しつつひらりと屋上に上がると、虫取り網と虫かごを下げてクオンの大きな身体を見上げた。
「あ、すんません。このサイズじゃ入りませんよね」
するっと虫かごと虫取り網をしまった。
■クオン > 「授業は教材なし、プリントなし。すべて口頭説明だよ」
生徒たちはさぞ大変だろう、と。
朗々とした語りは覚えやすく聞き取りやすい。
とはいえ一度聞き逃すととても面倒くさいのがクオンの講義であった。
後で聞きに行けばきちんと教えてくれるとはいえ。
折角なので葉巻のご相伴に預かってみる。身体に比べれば非常に小さな葉巻を咥え、火をつけた。
器用に呼吸を整えながら葉巻の煙が空を漂う。
「証人。いやはや、重大な役目だ。すると、そちらの彼も目撃者の一人かな」
まるで裁判かなにかのような口ぶりで。虫取り網をしまった彼を見る。
また随分と奇妙なテンションの大人が来たようだ。
「今の話、聞こえていたかねアルスマグナ先生」
■蓋盛 椎月 > サイエルのマジな顔に不敵な表情を浮かべる。皮肉げな笑い。
「ほお。じゃあやる気見せてもらいましょうか。
まさか今日一日人並みに働いて『いつもの三ヶ月分』などと言うつもりはないでしょうね」
フェンスを乗り越えて、青春の延長戦続行中と言った様子の教師が現れた。ドラゴン効果か。
「虫取り少年かよ!」
手をチョップの形にしてツッコミを入れる。
■サイエル > ――おや……今日は賑やかだな……
夏休み。さっきもいったが、教師に夏休みは関係ない。
顧問なら部活。他にもいろいろ仕事がある。
彼は有名人だからよく知っている。だから――
うん。ユニークだ。噂通りなんて、人並みの感想を抱きながら。
「暑いですね――吸います?」
新しく来た、アルスマグナ先生に。たばこを一つ渡しつつ。
「どうです? 悪いものを摂取する感じ。結構、悪くないでしょ?」
なんて、龍に向かって投げかけて。じりじりと小さくなっていく自分の筒をさらに短く――
とんとんっと携帯灰皿に落とした。
「ええ、いいですとも? なんなら監視でもします?
せっかくだからこのあと、保険医同士の今後の相談でもしますか?」
不敵に笑う。じょりっと、顎の無精髭を撫でながら。
――ツッコミもできるっと
心のメモに、一つ追加して
■アルスマグナ > 「あ、何?全然聞いてなかった。
シヅキがサボり魔サイエルくんと遊ぶって話?
全然聞いてなかった。いやー聞いてなかった。
でもまぁ証人やってほしいって言われたらやらないこともないんじゃよ?」
ドヤァと顔を決めて、笑ってみせる。
勧められたタバコには手を振って悪いな、と断った。
「俺禁煙中。あ、でも吸いたい人はどうぞお構いなく」
ひっひっっひ、とイタズラげに笑いながら蓋盛のツッコミに
「おう夏ぐらいしか虫取れないからな。
いやでもドラゴンを捕獲するなら虫取り網じゃ無理ってことを今悟った。
クオンせんせを誘導するならこう、もっと広い所で美味しいものを用意すべきかなーなんて」
どうです?先生とクオンを見上げながら。もちろん冗談である。
■クオン > アルスアグナの乱入は空気のカンフル剤となったような感がある。
実に混沌としてきた状況に、そのまま煙を空へと吐いて。
「今まさに葉巻に釣られたところかな」
どうです、と聞かれたらばそう答えてみる。
実際のところ食事の必要性もないし、
嗜好品の類はめったに摂るものでもなかったが。
美味しいものはそれなりに嬉しい気持ちもある。
皮肉げに笑いながらも空気を楽しむ不真面目な大人と、
女教師を遊びに誘う不真面目な大人と、
子供のように振る舞って笑って流す不真面目な大人。
三者三様の空気が妙に馴染んでいるような気さえした。
■蓋盛 椎月 > 「監視ね~。そこまでするのは面倒かな~。
あたしがしなくても生徒と教師の皆様がやってくれるんじゃない?
まぁ、いずれ気が向いた時にでも遊びましょ」
短くなっていた煙草を、自分も携帯灰皿にぐりぐりとねじ込む。
「ドラゴン捕獲するならやっぱ寄せ餌はうら若き乙女ってのが相場ですかねぇ。
おっとこの場だとあたしになるのかな……?」
自分で言った冗談が面白くなったのか、からからと笑い。
空いた手でスマートフォンを取り出して、ぺちぺちとタップする。
「さーて、自主休憩おっわりー。
まったねぇ~」
くると踵を返し、楽しげな足取りで屋上を去っていった。
ご案内:「屋上」から蓋盛 椎月さんが去りました。
■サイエル >
「おや――なんともすごい挑戦を。長続きするといいですね
もしダメそうだったら、診察しますよ。安く。
今日は、補習かなんかですか?」
なんて、軽口を叩きながら吸っているものを携帯灰皿に入れて
新しいのを追加――しようとして火がないのを思い出した。
お預けだ。懐にしまう。
代わりにココア味のシガレットを口に。
「それはよかった。龍の息吹のお代ってことで。また今度頼みますよ」
それなら、数点しか無い葉巻を出した甲斐があった。
切り札の一つである。クオン先生には、あの戦闘の時
それを吸っていたのを思い出せるかもしれない。
「――逃げられた。残念……」
肩を竦めて、ひとつ。
あとで保健室に顔を出した時に合うだろうか……
――まてよ。今日、保健室に蓋盛先生が行くとしたら――……
まずい。昨日仕込んだ、サボり用のお菓子とかお酒とかとっておきの数々が!!?
「わ、わたしもそろそろおいとましようかなぁ」
声は震えていた
■アルスマグナ > 「体にわるいものってのは大抵うまいって相場がきまってるからなぁ。」
葉巻を吸うクオンを物珍しそうに眺める。
「お、まじで?結構これでも頑張ってる方だけど
それじゃあもしもダメになった時はサイエルくんにお願いしちゃおうかなぁ。
まぁそんなとこ。あとは近々遺跡探索しようかなぁとか考えているからそれの備品調達っす。」
悪魔の岩礁跡なんか夏にしかお目にかかれないものですから、準備は入念にと言い添える。
去っていく蓋盛に手を振りながら
「んんー逃げられたなぁ……。別にすぐとって食うわけじゃあるまいに。
あ、そろそろ行く?まぁここ暑いしね。」
おたっしゃでー、とサイエルの震え声にくっくと笑いながら見送る姿勢。
■クオン > 「構いはしないがね」
いくら魔力そのものだといってもこの程度、
竜の身体に眠るそれに比べれば、ダムからコップ一杯水をすくうようなものだ。
故に、また今度、と言われれば、人好きの竜は拒みはしないというわけだ。
この葉巻も、報酬としては大きすぎるぐらいで。
しかし折角なので受け取って、たっぷりと煙を吸い込んだ。
「さて、私も煙草をやるのはこれで初めてだが」
なかなかおもしろい感覚ではある。火を操る竜だけあって、
初めて吸いこむ煙草の煙もいささかも戸惑いはしないようだが。
「慌ただしくなったと思ったら、そのままの勢いで静かになっていくな」
また会おう、なんて。去っていく彼らを見送るだろう。
■サイエル > 「……あはは、ほらね。仕事しないとね。三ヶ月だからね
先月サボった分と今月分と、来月分ですからね――時間がね?」
なんてそれっぽく取り繕って。
「こら、そこ。笑わない。結構やばいんですよ
死活問題ですからね。男としても、人間としてもサボタージュとしても!」
そんな捨て台詞を吐きながら、すったかたーっとかけ出した
ご案内:「屋上」からサイエルさんが去りました。
■アルスマグナ > 「お盛んですね!サイエルっち!ひゅーひゅー!
時間は有限、暇も有限サボりは無限ってとこっすね。がんばって~」
面白い捨て台詞を吐きながら手を振って駆け出すサイエルを見送った。
さて、と腰に手を当てると葉巻の煙を堪能するクオンに声をかける。
「ま、わざわざここ来たのは別の用事があったんですけど。
クオン先生、折り入ってお願いしたいんですけど鱗一枚いただけません?
錬金の触媒にしたいんで譲って頂けたらありがたいんすけど」
何か引き換えに必要なら、出来る範囲で努力はします、と伺うように伝える。
■クオン > とても教師の発言とは思えないサイエルの言動。
ここはまったくもって、何でもありの場所である。
人のことを言える立場でもないため、ただ瞼を伏せてから。
話題を切り替えたアルスマグナに首を巡らせた。
「ふむ、鱗かね」
既に老いて衰えた古竜とはいえ、
かの世界においては伝説に謳われるほどの竜でもある。
それを軽率に渡せば、際限がなくなりそうな気さえするが。
しかし。
「構わんよ。尾のあたり、先端部分なら削りやすいだろう」
などと、あっさりと承諾した。特に対価を求めるわけでもなく、ゆるりとしっぽを差し出した。
■アルスマグナ > クオンの色よい返事に感激した様子で歓声を上げる。
「さっすがクオンせんせは話がわかるぅ~!
あざーっす、じゃあ手早くちゃっちゃと削ってしまうんでちょっと動かないでくださいね」
懐から、自分の持っている中で最も硬度のあるナイフを取り出すと伸ばされた尾の先端に触れる。
「痛かったら右手上げてくださいね~。
間違っても俺を頭から食べんといてくださいよ」
信頼していますけど、と言いながらそっとナイフで鱗を削る。
キラキラと赤い鱗がこそげ落とされ、左手に持っていた瓶に採取される。
そこそこの量がとれたことを瓶を振って確かめると、ナイフとともに懐へしまった。
「ありがとうございます。これでなんとかなりそうっす。
お礼はいずれまた、考えておいていいっすか?」
軽く頭を下げて礼を述べた。
■クオン > アルスマグナという教師からは、決して邪念を感じ取ることはなかった。
悪用することも、またこれによって悪意が広がることもないだろう、という判断であった。
「もし痛かったらその右手が振り下ろされることになるかもしれないな」
などとこちらも冗談めいて返しながら、あっさりと――というほどではないにせよ、鱗が削れていった。
対価は求めないが、くれるというのなら貰っておくほうがお互いが気持よく終わるものだ。
頭を下げられれば、そのままこちらも身体を倒し。
「ああ、アルスマグナ先生のユーモアあるお返しを期待していよう」
と、金の瞳で彼を見返した。
■アルスマグナ > 「やだなぁ俺はただの人間ですからぺしゃんこになって校舎に埋まっちまいますよ」
冗談めいた言葉には冗談を返す。
本来なら自分の世界であれば触れることすら敵わないであろう相手があっさりと自分に鱗を託してくれたことの意味。
それを知らぬアルスマグナではなかった。
「悪いことには使いませんよ。たぶん。
まだアイディアしかない薬品なんで成功するかはわからないっすけど。」
照れくさそうに笑って、金の瞳を見つめ返した。
それじゃあそろそろ失礼します、と手を竜に伸ばすと鼻先を軽く叩いて
「竜に満足していただけるお返し、頭捻って考えておきます」
そう言ってきた時と同じようにフェンスを軽々と登ると鉤爪ロープで器用にするすると壁面を降りていった。
ご案内:「屋上」からアルスマグナさんが去りました。
■クオン > 「なに、疑ったりはしていないさ。……嗚呼、是非、楽しみにしているとも」
気持ちのいい若者だった、と。去りゆくアルスマグナに対して目を細めめながら別れを告げて。
空を見上げればそろそろいい時間だ。
部活に興じる生徒たちもまばらになって、そろそろ自分も持ち場へ帰るか、と羽を広げた。
――年老いて若者たちとそりが合わないというのなら、恐らく自分もそうなのだろう。
だが、だからこそ。"君たち"も大丈夫なのだ。
なんて考えながら。竜は己の持ち場へと帰っていく。
翼を羽ばたかせ。悠然と屋上から飛び立った。
ご案内:「屋上」からクオンさんが去りました。