2015/09/11 のログ
ご案内:「屋上」に茨森 譲莉さんが現れました。
■茨森 譲莉 > 常世学園には、巨大な学園に見合う通りにいくつもの教室棟がある。
そのうちの一つ、第三教室棟の屋上に上ったアタシは、遠く遠く、歓楽街の向こう側を見て目を細めた。
時計塔の上から見た地図にない黒い街は、この場所からは見えそうもない。
結局、あれは何だったんだろう。
あの後、色んな資料―――と言っても、一般学生が見れる資料なんて程度が知れているが。
その一般学生が見れる限りの資料を見ても、あの場所の詳細は書かれていなかった。
ただ『立ち入らないように』と、注意のされたその地図上の平野を指でなぞる。
………気になる。
アタシの貪欲な知識欲は、その場所にあるものを求めて既に枝葉を伸ばし始めていた。
まったく、自分で立候補して常世学園に来たわけでもないのに、現金なものである。
フェンスの網を掴むと、飾り気の無いアタシの手の肉食い込んだ。
花の女子高生なのだ。塗ったりしてみようかと思った事もあった。
あったが、只管に不器用なので数分で白旗を上げた。そもそもそういう事をする人種じゃない。
以後、せめて伸ばさないように整えておこうと執拗に爪を切るようになったが、
そのせいで若干深爪気味のその爪越しに、校庭を見下ろす。
平穏そのもの、白いアリの行列のようにファイオーファイオーと声を出しながら生徒が見える。
陸上部だろうか。………陸上部だろうな。
ご案内:「屋上」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > 図書委員 谷蜂檻葉は、一日で行う全ての授業を終えて、
教室から出る者、出ない者を眺めながら携帯を開いて自分の今日の予定を確認していた。
(シフト……は、あるか。購買でパン買って、それから適当に時間でも潰そ。)
ぼんやりと、ルーチンワーク染みた行動計画を立て、
『いつも通り』購買によって2つだけ残っていた焼きそばパンを購入して、
そして、『いつも通り』静かに本を読める場所として、屋上に上がる。
後は、『いつも通り』本を読んで、図書館にまでいけば完璧である。
(―――よし、誰も居な…… 居た。)
そして、『いつも通り』に屋上の片隅に置かれたベンチに直行しようとした所で先客に気付く。
放課後の時間帯で誰かに会う、という事自体があまりないので物珍しさもあってしばし観察する。
その表情は見えず、ただ金網をガッシリと掴んで校庭を――地面をじぃっと見つめている。
それを見て、真っ先に考えついたのはどうにも不安な事柄で……
(……まさかね。)
「こんにちは。 そんなに熱心に下を見下ろして、どうしたの?」
ともあれ、声掛け運動は大切。
なんて内心でつぶやいて、後ろから驚かさないように気をつけながら優しく声をかける。
■茨森 譲莉 > ともあれアタシは、屋上からその白い行列をぼんやりと眺めていた。
異能学園の陸上部でも、異能を使うのはレギュレーションに引っかかるのだろうか。
異能という力があっても、ああして努力を続けられる人間というのは、果してどんな人間なのだろう。
そんな事を延々と考えながら、手にしたペットボトルを口に運ぶ。
「げほッ!!」
どんどんと胸を叩く。
炭酸が苦手なのに炭酸を飲むのはアタシの趣味みたいなものだ。一気飲みだと尚良い。
涙に歪む視界を手のひらで擦りながらその空ペットボトルを闇に葬り去るべく、
大きく口を開くその箱に歩み寄らんと振り向くと、1人きりだった屋上に人が増えていた。
というかむしろ、すごく近くまで来ていた。うぉうっ。
アタシの足が数歩後ずさり、アタシは後頭部を金網に強打した。
再び涙が滲む視界を拭いながら、目の前の女子生徒を凝視する。
………音も立てずに近寄って来たのは、なんだろう、驚かせない為の配慮だったんだろうか。
「……こんにちは。いえ、特に理由はないですけど。」
アタシと負けず劣らず強烈なオレンジの髪、口元の黒子が何となく色っぽい女子生徒だ。
ついでにまた眼鏡である。どうにも、アタシは眼鏡の人に縁があるらしい。
■谷蜂 檻葉 > 丁度、声をかけた瞬間。 掛けようとした瞬間。
ペットボトルを口に運び、咽る彼女の咳に言葉が被る。
いや、懸念が消えたのだからソレでいいといえば良い。
末期の水ということもなさそうだ。
声を出しながらクルクルと校庭を走る陸上部達を眺めていたのだろう。
―――で、声をかけて気づかれないままの私はどうするべきか。
なんて、考えて進むか戻るか考えようとしたところでクルリと振り向いた少女が
こちらの意図に反して驚いた上に後頭部をガシャンと金網に強打する。
いや、実に。
間が悪いことこの上ない。
「あー……えっと、此処で人に会うって珍しいから声かけちゃったけど……。
その、ごめんね。驚かせちゃったみたいで。」
ともあれ、彼女の後頭部を間接的に痛めたのは私だし。と、頬をかきながら謝罪する。
「―――って、大丈夫? 結構、強く打っちゃったりしてない?」
そのまま涙目で、睨んだような目つきに気づくと
不安げな表情を浮かべてハンカチを取り出し、差し出す。
ご案内:「屋上」に雪城 氷架さんが現れました。
■雪城 氷架 > 屋上の更に上、梯子を昇った上にある貯水槽。
教師が万が一屋上に来てもまず見つからないその場所で昼寝をしていた
ふと、下から聞こえてきた声に目を覚まして身を乗り出す
「おーい、何かあった?」
教師ではなさそう、と見て上から声をかける
■茨森 譲莉 > 「正直、すごく驚きましたけど。」
先ほどしたたかに打ち据えた後頭部を摩る。
指先に、ボコっとした感触が帰ってきた。コブになっているらしい。
ところで、そもそも彼女はなんで近寄って来たんだろう。
………先ほどまでのアタシの状況を思い返してみる。
思い悩んだ表情、フェンスを握りしめる手、遥か地面を見据える手。
成程、まったくの誤解である。
確かに悩み多き女子高生だが、さすがにまだ未来の希望までは捨て去っていない。
とはいえ、既に誤解は解けているらしい。態々説明するまでもないか。
「……別に、自殺しようとなんてしてませんから。」
いや、一応言っておこう。
自殺志願者だと思われて優しくされるのは辛い。
ハンカチを受け取りながら、彼女に向けて弁明する。
相変わらず、この学園の生徒は『いい人』が多いらしい。
「はい、そんな大きな怪我はしてないので大丈夫です。」
彼女から受け取ったハンカチを後頭部に当ててから、眼前に戻す。
―――幸いにして、そこに赤い色は見えなかった。
■茨森 譲莉 > 再びハンカチを押し当てて、
たんこぶ特有のぶよっとした感触に顔を顰めながら、
頭上から降り注いだ涼しげな声に顔を上げる。
陽光で顔をしっかりと確認はできないが、
覗き込むその顔はなかなかの美少女である。
―――確認しようと目を細めるアタシとは対照的に。
先客だったんだろうか、こんな場所で昼寝していると日焼けするぞ。
そのわりには、肌は抜けるように白い。……異邦人だろうか。
「いえ、別に何もないですよ。」
はい、だから安心してお昼寝していてください。
アタシはシッシッっと手を振った。……醜い嫉妬である。
■谷蜂 檻葉 > 後頭部をする様子をドキドキしながら見ていると、
先のこちらの考えを見透かしたかのように非自殺志願者だと告げられて、
気まずそうな笑みを深めて、乾いた笑いが出る。
「そ、そうだよね! 勘違いでよかったー……あは、あはは……。」
ただ、これで会話終了となると『気まずい空気の人』で終わる。
それだけは嫌だ。せめて、普通の会話を……!
「え、えっと、それじゃあ只の暇つぶしかな? 私も、ここで本を―――」
と、そこまで言った所で背後からの声にびっくりしたように振り返る。
三度目もあるだろうか。
(―――あ、えっと……雪城さん、だっけ。)
そのまま、「大丈夫ですよ」と声をかけようとしたところで先に言われて、
両者の間を視線が行ったり来たりするだけに留まる。
■雪城 氷架 > 「そう?ならいいんだけど、此処ちょくちょくセンセーも来るからな。
サボるなら別のトコのがいいぞー」
そもそもサボりかどうかもわからないけど、余計なお世話を焼く
自分がサボって寝てたことを自白しているようなものだが
二人を上から眺めてみて、一人は見覚えがあるようなないような
もうひとりは見たことないなー、と考える
前期には見かけなかった生徒もちらほらいるあたり、
積極的に転入生を受け入れているのだろうか
■茨森 譲莉 > ただ只管に慌てたように話題を振ってくる女子生徒A。
……上から覗き込んできた女子生徒はCとしよう。
Bだと美少女の頭文字みたいで腹が立つからでは断じてない。
なんだろう、気まずい空気が耐えきれない人なんだろうか。
略して気まずい空気の人女子生徒Aを、アタシはじっとりと見る。
質問は「ここで暇をつぶしていたのか」だったか。
「―――少し思う所があって、ここに。」
正直に言っているだけなのに、
なんだか先に否定した自殺志願者説が再浮上しそうな理由だなと、アタシは思った。
本を読むのが好きな子なんだろうか。手に持った本に視線をふらふらと泳がせる。
「その本、面白いよわね。」
視線でその表紙をを舐めると奇しくも、先日図書室で借りた本と同じ物だった。
不思議な縁もあったものである、センキューゴット、女子生徒Aとの話題には困らなそうだ。
■茨森 譲莉 > サボるなら余所に行けと、今は放課後だぞ。
外を元気に走り回る白いアリの行列、もとい、陸上部の声が聞こえないのだろうか。
「サボりじゃないわよ、時間確認したら?」
昼休みに寝て、そのまま午後の授業も寝てました。とでも言うつもりか。
……まったく、これだから美少女は。
■雪城 氷架 > 「え、マジで?」
梯子の横に腰掛けるようにして、ポケットから携帯を取り出して時刻を確認している
「うわー…やっば。
異能物理学の講義すっぽかしちゃったぞ。
あのセンセーいつもなんか課題出すんだよなぁ…
なぁなぁ、どっちでもいいから異能物理の講義受けてたら今日の課題の内容教えてくんない?」
あちゃー、といった感じで特に遠慮するでもなく、初対面も同然の二人の顔を交互に見てそうのたまうのだった
■谷蜂 檻葉 > 不意に睨むような視線を向けられる。内心をまた悟られたのだろうか。
……いや、ずっとこんな感じだし目付きが悪いだけ、なのかもしれないけど。
ともあれ言葉を返してもらい、ホッとする。
(―――思うところってなんだろう……!!)
不安だ。
また、今度は会話を進むべきか戻るべきかモヤモヤと悩んでいると
今度はあちら側から話題を振ってもらい、パッと表情を明るくして頷く。
「! わ、そうなんですか?
この作者さんの、短編集から引き込まれてコレも買っちゃったんですけど良いですよね!
他の作品も、世界観がちょくちょく繋がってるって聞いたんですけど貴女は他には……」
そこまで喋った所で、初対面の相手に名乗っていないことに気付く。
「―――あ。急にゴメンね、マイナーな本なのに知ってる人が居て嬉しくなっちゃって……
私、図書委員の檻葉って言います。 貴女のお名前は?」
「異能物理学ですか? いえ、私は……。」
同じ教授の授業は履修しているが、生憎一コマ違いの別の内容だ。
だから、という訳ではないが目前の相手に『取ってます?』と言いたげに視線を振る。
■茨森 譲莉 > 「図書館でたまたま見かけて、それだけ読んだから。」
途端に勢いよく喋りはじめる女子生徒が見てられなくて思わず視線を逸らす。
図書委員のオススメって棚からなんとなく取っただけで、別にそんなに詳しいわけではない。
―――だからそういうちょっとディープな話は無理だ。うん。
「茨森譲莉、シノモリユズリよ、宜しく。」
いつも通りに二回自分の名前を繰り返して、自己紹介を済ませる。
そうして女子生徒Aとの歓談を楽しんでいると、
横から軽快な、いっそ軽率な声が響く。……なんだこいつ、嫌に馴れ馴れしいな。
眉と眉の間に深い渓谷が刻まれるのを感じる。この類の人間は苦手だ。
目の前でわたわたと話題を探しながらも結局いい感じの話題を見つける事もできずに自分の事を話し出し、
突然の乱入者に目をぐるぐる回している女子生徒Aを見習え。そう、これが常識人の反応だ。
女子生徒A、どうやら檻葉と言うらしい。
あの図書委員のオススメという棚。この檻葉という女子生徒のオススメなのかもしれない。
その彼女の言葉に小さく首を振って、頭上の女子生徒Cに答える。
「先生に聞いて来たら?」
そんな事をすれば先生にサボっていた事を怒られるだろうけれど。
むしろ、いっそそのままお仕置きと称して誰も居ない体育倉庫にでも連れていかれてしまえと、内心で呪詛する。
アタシは『ハァ』とため息をついた。
以前話した養護教諭は立場が先生だったからまだ良かったが、生徒でこのノリの軽さは正直疲れる。
目つきの悪さから仲間意識を持たれる事も多いが、アタシはカタギの人間であって、
こういったサボり不良学生とはオトモダチにはなれない人種だ。
いや、だから『一匹狼』なんて言われて、元居た学校では怖がられて友達ができなかったのだが。
■雪城 氷架 > 「あーぁ、それしかないかなぁ…」
片方からは履修していないとの返答、
もう片方からも、まぁそういう旨であるのと同義の返答が帰ってくる
「よっ、と」
枕にしていた下げ鞄を肩に引っ掛けて、飛び降りる
結構な高さがあるわけだが、軽やかに着地した。
見た目通り体重がとても軽いから出来る芸当かもしれない
同じ目線…というか身長がアレなのでちょっと低めから見上げて
「あ、そうだ、そういや前期に会ったことあったなぁ、図書委員だったのか。
それで、えっと……」
ちら、茨森のほうと見て
「……なんか気悪くした?」
なんか睨まれているような気がする
自分も目つきは鋭いほうだけど
■谷蜂 檻葉 > 見えた光明ごと、ズンバラリと切られてがっくりと肩を落とす。
因みに、コーナーは同じ委員の友人と盛り上がって作ったモノであり
ある意味同じ出発点の話題ではあった。そのまま、片方だけがどっぷりと浸かってしまっただけで。
「……うん、篠森さんね。宜しくお願いします。」
寂しそうな顔を振り払って、また笑みを見せて小さく礼をする。
と、そこで紹介に合わせて『そういえば』と頷く雪城に
「もう、女子寮でもたまに顔は合わせてるじゃないですかぁ……。」
なんだろう、そんなに影が薄いのだろうか。色は派手だとは思うのだけれど……。
と、少し拗ねたように呟くが、ジロリ。
と篠森と雪城の目付きの悪い者同士の視線がぶつかるとガンの付けあいにしか見えず、
どうしたものかとオロオロとし始める。
……そうしながら、いつでも仲裁に入れるように。
という緊張の張り詰めに合わせて、その背から妖精の翅のような三対の緑色の光が現れた。
■茨森 譲莉 > 上から女子生徒Cが落ちてくるのを見て「いっ」と声を出して咄嗟に後ろに2歩下がる。
再びフェンスに後頭部をしたたかに打ち据えた。
さらに凸感の増した後頭部をさすっていると、
女子生徒Cから『……なんか気悪くした?』と声をかけられた。
ああうん、確かに悪くしたけど、これはアタシが個人的に苦手なタイプだったってだけで、
この女子生徒Cにはこれっぽっちも、それこそ校庭を走る白アリ程にも罪はない。
―――やれやれ、と頭を掻く。
「異能物理学の課題は今日は無しよ、先生がお腹を壊して自習だったの。
だから、確認しに行っても先生はいないわ。あなたが他の先生に怒られるだけ。」
質問には答えずにただ視線を逸らしてそう伝えると、シッシっと手を振る。
………これ以上は譲歩しないぞ、アタシは。
■雪城 氷架 > 「あっごめん」
飛び降りて驚かせてしまったようだ
フェンスに頭をぶつける音にさすがに慌てる
「なんだ、同じ講義受けてたのか。私は雪城氷架、一年だよ」
教えてくれてありがとなー、と笑う
特に気を悪くしていたわけでもなかったようで、気にしないことにしたらしい
くるりとオロオロしている檻葉のほうに向き直って
「そうだっけ……。
ごめんあんまり記憶に残ってなかった」
本当にそうだったとしてもどうなの、というセリフをオブラートにも包まず言う氷架
「まぁでももう顔しっかり覚えたから大丈夫だうん、
同じ女子寮ならよろしくなー、あはは」
笑って誤魔化せ