2015/09/12 のログ
■茨森 譲莉 > なんとか真意は伝わったらしい、内心でこっそりと安堵の息をつく。
学生らしい会話の数々に忘れかけていたが、ここは異能学園だ。
檻葉に関して言えば先ほど視界の端に変な羽が見えたような気がするし、
その知り合いである(らしい)この女子生徒も異能者なのかもしれない。
今この場で異能バトルがはじまっても、アタシはただちり紙のように吹き飛ばされるだけだ。
「茨森譲莉。シノモリユズリ。
……この短時間に二回も自己紹介させないでくれるかしら。」
相手の名乗りに名乗りを返さないのも失礼だろうと、二回目の自己紹介をする。
女子生徒C、雪城 氷架と言うらしい。
授業中に見かける頻度の低さを考えると、サボりの常習犯なんだろう。
精々、今回の事に味を占めてアタシの所に課題の内容を聞きに来るようにならないように注意する事にしよう。
■谷蜂 檻葉 > 再び後頭部をぶつける篠森に、肩を跳ねさせるが、
互いにソレ以上のことはなく、(……振り回されてるなぁ。)とまた肩を落とす。
なんというか、水と油。なのだろうか。
むしろ弾き合い方からすればマジックミラーに光といった感があるけれど。
「あはは……よ、よろしくね。」
初対面の時は、クールな子だと思っていたが話してみれば明け透けな子だったらしい。
快活な笑い声に、また乾いた笑いを返すことになった。
■茨森 譲莉 > ……疲れた。
思えば、延々と立ち話である。
どうやら話はひと段落したようだし、雪城氷架に限って言えば用も済んだだろう。
ハァ、とため息をつくと、二人を放り出して足を引きずるようにベンチのほうへと歩み寄って行く。
無論、疲れたこの二本の細足を存分に休める為だ。
よっこいせとはさすがに声には出さずに、しかし心の中で唱えながらベンチに座る。
もう暫く休んでから屋上を降りよう。……階段きついし。
■雪城 氷架 > 「まぁいいいじゃん、タイミングが違ったんだし。
名前なんて何度名乗ったって減るもんじゃないんだから」
めんどくさがりなのかなと内心思いつつ、じーっとその顔を眺めて
「同じ講義とってるってことは譲莉も異能持ち?」
首を傾げてそう聞いてみる
いきなり呼び捨てなのは、きっとこの少女の性格故だ
「うん、よろしく、改めてかな?」
檻葉の乾いた笑いにはそれを気にしないにっこりとした笑みが帰ってくるのであった
■茨森 譲莉 > ベンチに腰かけたアタシに追い打ちをかけるように、雪城氷架の質問が投げかけられる。
別に知った事じゃないけど、いきなり呼び捨てか。
アタシは小さくため息をつくと、アタシは首を振って否定の意を表明する。
「何も持ってないわ。あと、魔術も使えない。
異能物理学を取ってるのは、ただの興味よ。」
そう聞いてくるという事は、彼女は異能者なんだろうなと考える。
異能者、無能力者には出来ない事を容易く成す存在。
ますます、アタシからは縁遠い存在だ。
■茨森 譲莉 > ふと、今は何をしているのだろうと檻葉のほうに視線を動かす。
先に図書委員の檻葉、とだけ名乗っていたが、この檻葉というのはフルネームなんだろうか。
適度に距離感を保った付き合いを好むアタシとしては、
この名前はなんとなく呼び捨てにしているようで気持ちが悪い。
彼女は特別何をしているという事もなく、
ただこの嫌に馴れ馴れしい少女に振り回されるアタシを見ながら困ったように笑っている。
その状況に何度も覚えのあるアタシは、なんとなく目頭が熱くなった。
―――今の檻葉の気持ち、分かるよ。
コミュ障特有のあるあるにシンパシーを感じつつ、氷架に視線を戻した。
■雪城 氷架 > 「ただの興味で?!…はー…すごいな。
私だったら必修にされなきゃこんなややこしい講義ぜっっっっっったい取らないよ…」
自らの持つ異能のために、
しっかりとした知識を身につけるよう必修科目にされる、ということがあるらしい
「あっ、もしかしてめちゃくちゃ勉強できるとか?」
よいしょ、と口に出してとくに断りもいれず譲莉の隣に腰かけた
「…? どうかしたのか?」
座ったまま、檻葉へ声をかけてみる
■谷蜂 檻葉 > 方やぶっきらぼうな雰囲気の、ツンケンした篠森。
方やあっけらかんとした雰囲気の、自由すぎる雪城。
二人の会話に、どう踏み込んだものか。
というより、
此処でゆっくり三人でお話という雰囲気でもなければ、静かに本を読んで、といった雰囲気でもなく。
どうしたものか、と三度目の「行くか戻るか」で悩んでいると二人から視線を受けて
「―――へっ? あ、えと……っ!
そ、そう!私これから図書委員の仕事があるんでしたー! そ、それじゃ。また今度!
またね、篠森さん!雪城さん!」
空気感に耐えられず、やや棒読み気味にそう言い切って。
トン、と羽を広げてピューンと屋上から直接、図書館の方角へと飛び去っていった……。
ご案内:「屋上」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
■茨森 譲莉 > 文字にしたら「っ」が一杯つきそうな喋り方だな。うざい。
あと、別にただの興味で授業とってもいいだろうに。勉強が趣味って子もいるんだぞ。
「外の学校から来たから、異能とか魔術について知りたいだけよ。」
何度目か分からない溜息をついてそう答えると、いきなりアタシの隣に腰掛けてきた。
……ただ無言のまま、30cmくらい距離を離す。
と、そこで檻葉が逃げるように屋上から飛び去るのを見た。
―――えっ、飛んだ?人が?
思わず、アタシはフェンスのほうに駆け寄る。
そのままガッシャと音を立ててフェンスを掴むと、きょろきょろとその姿を探す。
暫くそうして空中を忙しなく動き続けていた私の視線はようやく、
ひゅーんと風きって図書館のほうへ飛び去って行く檻葉の姿を捉えた。
本当に空を飛んでいる。背中に羽、いや、翼だろうか。あれも異能なんだろうか。
それとも異邦人なんだろうか。一体どんな気持ちなんだろう、空を飛ぶと言うのは。
そんな羨ましさや興味の数々と共に、既に見えなくなった彼女に心の中で手を振った。
図書委員と言っていたし、またいつか気が向いて図書館に行った時にでも会えるだろう。
その時には、空を飛ぶ気持ちというのを是非とも聞いてみたいものだ。あと、他のオススメの本も。
空を飛ぶのは、人類共通の夢だと思う。……ぼんやりと、アタシは空を見上げた。
■雪城 氷架 > 「ふーん、それもそっか。
確かに自分のないものには興味も湧く…のか?」
納得したようなそうでもないような感じの答え方をしつつ…
「え、あ、おい!?」
ベンチから思わず立ち上がる
羽…のようなものが見えて、そして飛び去っていく姿が見えた
「……いやぁ、もう二学期目だけど、未だに驚くこと多いなこのガッコ」
かりかり、と小さく頭を掻く
「……と、バイトの時間になっちゃうな。
私もこれで行くよ、講義一緒なら今度一緒に受けような譲莉!」
鞄を肩にかけ直し、小走りで屋上の入り口へと駆けていく
扉を潜る前に振り返り、小さく手を振った
人懐っこいというよりは馴れ馴れしいというか、
なんというか男の子のような少女であった
ご案内:「屋上」から雪城 氷架さんが去りました。
■茨森 譲莉 > 暫く空を見上げて物思いに耽っていたが、やがて思い出したように振り向く。
そこには、既に馴れ馴れしい少女、雪城氷架の姿も無くなっていた。
ポツンと残されたアタシは、もはや只管にため息を漏らすばかりだ。
「―――まったく、なんなのよ。」
片や、空へ飛び去り。片や、いつの間にか走り去る。
いや、どちらもアタシの自業自得か。アタシがモタモタしてる間に、他の人は二歩ほど先を行く。
学芸会で創作ダンスを踊る時にいっつも2テンポ程遅れていた事を思い出しながら、
あたしは改めて一人きりになった屋上でベンチに腰かけた。
■茨森 譲莉 > ベンチに座って、思考の沼に沈んでいく。
結局、雪城氷架の異能は聞きそびれてしまったが、どうやら雪城氷架も異能者のようだ。
檻葉については、先に見た通り、いきなり羽が生えて空を飛ぶような異能を見せつけてくれている。
先日見せて貰った魔術、そこからさらに戻って、光る弾丸の異能。さらに戻って、あの金属の花。
………初日に電車内で会った人も、見た目のインパクトですっかり忘れていたが恐らく異能者で。
アタシがここに来てであったのは、
異能学園都市の名前に恥じない、異能者、異能者、異能者の数々。
或いは、異能に恥じないような素晴らしい魔術の使い手だ。
意味もなく、いつか先生に言われた通りに興味で異能の授業は受けているが、
異能というのは便利であるという事を痛感するばかり。
魔術の授業も受けているが、一向に上達する気配がない。
魔術の才能はからっきし、異能も特に持ってない無能力者のアタシは、この学園の学生を続けられるだろうか。
必死に練習して、ようやく出来た指先に光を灯すだけの魔術を発動させて、その光を覗き込む。
ゆらゆらと揺れる光は、まるでアタシの心を映すようだ。
ふっと息を吹きかけて魔術を解除すると、その光は跡形も無く消えた。
ゆっくりと沈みかけの身体を起こすと、鞄を持って立ち上がる。
■茨森 譲莉 > 当初の予定通りに口を開けた暗い闇に空のペットボトルを葬り去ると、
この後はどうしようかと考えながらゆっくりと暗い階段をさらに暗いほうへ下りて行く。
気になる事は多くとも、答えをくれる人間は居ない。
……せめてもの気休めにと、鞄からグミを取り出す。
暗闇の中で手を挙げ威嚇するクマの頭を噛み千切ぎり、
アタシはある言葉を思い出しながら、アタシはゆっくりと確かめるように足を進めた。
ご案内:「屋上」から茨森 譲莉さんが去りました。