2016/05/02 のログ
ご案内:「廊下」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 > ――お昼休み。
入学式から、早一月。少女は今、戦を始めようとしていた。
すぅはぁっと深く、深く息を吸う。
父、曰く。
呼吸とは、戦場において最も大切なものである。
母、曰く。
呼吸とは、恋において最も大切なものである。
故に、第一として、慎重に大胆に。呼吸を整える。
――いきます……っ
『今日のはるっちは、最強ね、無敵ね。今までにない気合を感じるわ。当たって砕けろ逝ってこい☆』

携帯ストラップ――否。自分の最も信頼たる相棒、小雲雀(こひばり)の太鼓判を受けて。
意気揚々に、いざ――!!

「あ、あのぅ。お昼ごはん一緒にどうですか」

満面の笑み――のつもりの鬼の形相をもってして、お昼を誘うという大一番。
それをかいま――

『ひぃ!? ごご、ごめんなさい。私約束あるから!!』

「………………」

流れるは。春を表す、風。
ここちよいそれが――

『くぅ、しょっぱい。しょっぱすぎるぜ、このやさしい風……』

「……なにが、いけなかったんでしょう」

敗戦の将の心に、これ以上ないくらい沁みていく……

ご案内:「廊下」にウィルフェミナさんが現れました。
伊都波 悠薇 > 試合が始まった突如、不意打ち。
後ろから斬りつけられて、戦う前からして負けてしまったような。
そんな、無力感。ぼっちには、早すぎたというのか。
姉に、がんばれといわれて。
お友達からお願いします! は難易度が高く、尚且つ相手の心を飛び越えることは出来ないと悟り、もっと優し目の。
へいへい、彼女。おひるいっしょしなーい、位の気持ちで望んだこの一戦――

『ええいまだだ、まだおわらんよ、立て! たつんだはるっち!!』

「う、ぐぅ……そ、そうですね。諦めてなんて居られませんとも」

立ち上がり、いざ次へと。視線を周りにやれば――
見当たる人影は少なく、若干避けられているような気もする。
それは当然。なにせ一人でぶつぶつ喋っているように見えるのだから。
本人は、相棒と喋っているつもりなのだが。

「……がくり」

『はるっちー!!?』

試合は始まるのだろうか、そんな不安が物凄い勢いで襲ってくるのだった

ウィルフェミナ > 『Hey-yo-ho- I shot the...
I shot the... I shot the... I shot the...』

ヘッドホンの音が漏れない程度の音楽を聴きながらウィルフェミナは廊下を歩いていた。入学式から1か月経ち、ある程度立地状況は
呑み込めてきたが、どうやら残念なことに友人のつては生まれなかったらしい。

要はぼっち。独り身である。

ウィルフェミナ > 廊下は昼ごはんを食べる為に多くの生徒が集っている。
……彼女を誘う友人はいなかったが。

ウィルフェミナは牛乳を飲みながら午後の思案をする。
図書館に行って調べものか、
それとも―― 週末の試合のゲーフラを作ろうか。

そんな風に考えていると目の前にぶつぶつ独り言を喋っている
鬼の形相の女性の姿を認めた。

(……あーらら、美人が台無しですわねー)

そう思いながら、牛乳を飲んでいた。

伊都波 悠薇 > 「やっぱ、お姉ちゃんみたいにうまくいかないよね……はは、うん。今更のこのこと、お昼に誘うなんて高等テクニック、まだ早かったのかなぁ……」

ずーんっと凹みながら、ぶつぶつ。ちょまんっとランチボックスを片手にどうしようかと考える。

『一度負けたくらいで弱気になっちゃダメよ。何事も挑戦あるのみっ』

スパルタな相棒の言葉を受けて、もう一度顔を上げれば。

ばったり。ヘッドフォンをした、異国風の女性とばったり視線があった。

ウィルフェミナ > 手元の音楽データをヒップホップから「日本のチャント集」に切り替える。
フランスワールドカップの公式曲でもある「Carnival de Paris」の全チームチャント集約三十数チーム分だ。

牛乳パックの中身はなくなりかけている。ぼっちもつらいもんだ。
……ふと、その顔を上げた少女と目が合う。

ウィルフェミナ > 「あら。お日柄もよく……」

当たり障りのない言葉から切り出す。
初対面の女性にずけずけと土足で踏み込むような真似も
なかろうて。

幾ら異邦人とはいえ、この世界にいる時間の方が
遥かに長いのだから、言葉もしきたりもある程度はわかる。

「いかがされましたの。かしら?」

伊都波 悠薇 > ばっと、顔をそらしてしまった。

『何をしてる! はるっち、今のははぁいかのじょ、ひまー? って行くべきところだろ!!』

「むりむりむりむりむり!!!」

そんな、テクニック持っていない。ぼっちにアドリブを期待してはいけないのである。
ぼっちおぶぼっち、伊達ではない。

(どどど、どーしよう……絶対気を悪くされた。はぁ、印象最悪でしょ。事故とは言え――)

汗ダラダラ、どうしたらいいか。もう頭はパンク寸前。そして、突然のアクシデントに一歩も動けなくなる始末である

伊都波 悠薇 > 「んひゃい!!?」

変な声が出た。声をかけられた。どうしようどうしよう――
とりあえず、笑顔で――

「こんにちわ――ええ、いい天気ですね」

挨拶だけ返しておいた。すごくこわばって、表情がいかつくみえるのは――緊張のせいである

ウィルフェミナ > あ。テンパリしてますわねー。
ここは余裕を持って対応いたしますわ。

「そうですわねぇ。時に、貴方。
 お昼は何を食べられたのかしら?」

完全に服装に合っていない言葉だと自分でも思う。
 ウィルフェミナが変人扱いされているゆえんでもある。
身体に染みついたお嬢言葉とゴール裏魂が過剰なまでに乖離している。

相手のいかつい顔はもう少しゆるくなれば可愛いのになぁ。
と思いながら澄ました顔で受け答えをする。

ウィルフェミナ > 「後、そのお顔。勿体ないですわね。
 どうすれば、綺麗になるのかしら?」

麗らかな若人の顔じゃない。そう思った彼女は
少し突いてみた。怒る、泣く、何かの感情を突いてみると
もう少しかわいくなるのに。 と。

伊都波 悠薇 > 「!!?」

『来たぞ、来たぞっはるっち。お前の初戦に正しいやつがきた!』

(その言い方だと、今までの方に失礼です! 小雲雀っ)

ぼそぼそとツッコミを入れつつ。逃げず真っ向に来てくれた相手に、感謝を抱きつつ――

――いざ尋常に……

「……ま、まだ。たべて、ない――でぃ!!?」

変なことを言われたので、噛んだ。おもいっきり、噛んだ。
先制攻撃、はるかの かおは まっかに そまった。

「あ、え、どどどど? ああああ、あらっての、なんぱ!?」

キョドって目がぐるぐる。もう戦とか言ってる余裕もない

『あーぁ、だめだこりゃ』

携帯ストラップは深く、息を吐いた

ウィルフェミナ > 「嬢。保健室でも行きますかしら?
 それとも救心のような動悸のおくすりでもいかがかしら」

相手の動揺が手に取って伝わるが、それが伝播することはない。
それにしても可愛らしい。ウィルフェミナは心で軽く笑いつつ
牛乳を飲み干す。
とりあえず、口噛んでるから口内炎のおくすりと後は――

「出血はありませんかしら?
 口を噛むと口内炎で後に引きますわね。
 手持ちにおくすりありますから消毒いたします?」

伊都波 悠薇 > 「!!!?」

今、消毒とおっしゃった。しかも手持ちで、消毒?
お口の中――

――もんもんもん。
きゅうしょにあたった はるかのかおは ふっとうした
――ぼんっという音とともに。
ゆっくりと首を横に振った。

「ら、らいひょうふれふ……」

へなへなと、地面に座り込み。
もう、何もかんがえられなくなり――

「……おてすう、おかけします」

ふにゃふにゃに、言葉を返すので精一杯だった。
あぁ、これでは戦に勝つなど到底――