2017/07/23 のログ
■暁 名無 > 「むしろ何で見た事ねえんだ……
ちゃんと学校来てるか?
……いや、学校に来ないとしても異邦人街に行けばわんさか居るしな。」
さて困った。
大変容からこっち、数十年で世界の変化を多少は飲み込めてきている物と思っていたが。
事実、学問としてもある程度成立はされている。だから俺がこの学校で教師たり得たりもするのだが……。
「まあそんなに怯える様なもんでもないさ。
犬や猫、蛙、蛇。そういった元々居た動物とさほど変わりは無いんだからな。
幻想生物、あるいは幻想種。そう括って呼ばれてるよ。
ああ、もっとも人間並みに知能が発達して、言語によって意思疎通の出来る連中は異邦人、として扱う方がメジャーだけどな。」
■尋輪海月 > 「き、来てる、授業もちゃんと受けてるし、ただ、あの、殆ど寝てるだけで……単位は、ちゃんと、取ってるし……レポートは、写させてもらってる、け、ど……」
……あまりそっち関係のことは不得手に見える。と言うよりはきっと、この怪我の原因である、"異能の制御の訓練"で、ほぼ費やしているのが伺える。
「……怯えることは、ない。その、少し話し慣れなかったり、見慣れなかったりして、驚くことは、ある……。……あと、意思疎通出来る人がいても、……私が、話すの、苦手で……」
「こんな火傷だらけの人と話すの、向こうから願い下げだろうから」と、ぽつりと続いた声は、酷く沈んでいる。
……確かに、これだけ話し方もおどつく、身体中怪我だらけで、こんなに暑いにも関わらず着込んでいるのは普通ではない。常人なら、たとえ異邦人でも、正直話しかけようとは、思わないだろう
■暁 名無 > 「うーん、どうも要領を得ねえな……。」
軽く頭を掻いてから無遠慮に隣へと腰を下ろす。
とりあえず話が脱線し始めたのは間違いないので、軌道を修正しなければ。
「まあ、別にお前さんが誰かと話そうが話すまいがそこは関係ねえんだ。
そもそも俺はお前さんがサラマンダーを得体の知れない、なんて言うから説明してっただけなんだし。
まあ、異能や魔術と一緒に今まで存在が不確定とされていた生き物がわんさか見つかった、とだけ今は理解しといてくれ。」
異能、魔術、異邦人ばかりが悪目立ちしている結果、ということなんだろうか。
これはまた学術論文を片っ端から読み返していく必要があるな……溜息ものだ。
■尋輪海月 > 「ひっ」
隣に腰掛けた相手に、小さく悲鳴を上げた。同時に一度思考のリセットでも入ったようで言葉が途切れ、……深呼吸をしてから、そちらをまた見上げた。
……包帯の下の傷は、一度手当で落ち着いたものの、漂う消毒液や軟膏の匂いがきつい。
「……わ、わか、った……」
こく、と、小さく頷くものの、怯えるような様子は変わらない。
傍に来てみると、意外と身体は大きいようだが、猫背や、その怯える様子が、身体を小さく錯覚させる。
「…………サラマンダーの粘液、でしたっけ……それは、効くん、でしょう、か、本当、に?……う、疑う訳じゃない、です、けど……だから、あの……」
「ゆ、指先に少しだけ、で、試したい」……との事だが、後半は聞き取れるか怪しい程小さい声で。指先に貼ってあった、もはや使い物にならない絆創膏を剥がし、その指を、おず、と差し出してくる。
■暁 名無 > 「随分とまあ、極まってんなあ。」
悲鳴を上げたのを見て、凡その事情は察する。
まあ、だからと言って気を使っていたら話も進まない。
漂う消毒液の臭いは、まあ場所が場所だけに不自然さは無いから気にしない事にしよう。
「もっとしゃんとしろ……って言ってもそう簡単にゃ行かねえよな。
まあ、何だ。流石にこんなとこの教師をやってるからには、それなりに事の対処をする術は身に着けてるから気持ち楽にして良いぞ。」
やれやれ、と肩を竦めそうになるのをぐっと堪える。
普段なら軽いセクハラでも飛ばして顰蹙を買うところではあるが、如何せんこれではやり難い。
「……と、うん?ああ、そうだな。
効果は保証するぜ、オッケー指先だけな。
よっ、と……ほらよ。」
ジャム瓶の蓋を外して差し出す。
中にある粘液は、簡単に言えば半透明な整髪ジェルのようだ。
炭のような香りが、僅かに漂う。
■尋輪海月 > 「き、極ま……?」
あまり汲み取れる事もなかった。怯える一方に、差し出した手だけはなんとか引かないよう堪えている。
「…………来たばっかりの、ときは、まだ……今は、ちょっと、色々あって……無理」
無理。と断言する辺り、折れるものは折れているようだった。……差し出された瓶からの匂いに顔を顰めるも、ゆっくりとそれを指にちょっとだけ取った。
「く、臭い……なんか、炭みたいな匂いが、する……」
ぼそ、と漏れる本音。それをゆっくりと指先に塗り広げていき、感覚を集中させているようだ。
■暁 名無 > 「んーにゃ、こっちの話。気にすんな。」
気にされても俺からはどうしようもないしな。
適当なカウンセラーの先生でも見繕うくらいしか出来ない。
「まあ、無理だろうな。
そりゃしゃーないことだ、無理なのを気に病む事も無いさ。」
粘液が掬い取られるをの見ながら、小さく肩を竦めてみせる。
そう、出来る事出来ない事は誰にでも存在するし、常にそれは変動する。
昨日出来た事が今日出来ないなんてざらにあることだし、逆もまた、然りだ。
「炭……まあ、そりゃあなあ。
半分燃えカスみたいなもんだ、まあそこまで焦げ臭くはねえと思うが。」
自分が初めて手にした時の事を振り返ってみる。
サラマンダーの粘液は周囲から熱を奪う特性を持つ。
きっと今頃彼女の指先もひんやりとし始めている頃だろうな。
■尋輪海月 > 「…………」
気にするな、と、言われる程気にもなる。しかし、それ以上詮索の出来る程、勇気はない。ただ、指先にまとわりついたそれが、次第にひんやりとしてきている感覚に、不思議そうに、「ほわぁ」と声を漏らすばかりだった。
……塗り広げ、ある程度の頃合いを見て、新品の絆創膏と包帯でそこを覆う。暫くもすれば、火傷の傷さえ塞がってくれるだろうと。
「…………匂いは我慢、します。…………ありがとう、ござい、ます」
ゆっくりと振り返って、少し慌てるようなまま、小さく頭を下げてから、「あっ」と。
「……ご、ごめんなさい……ぁ、えと、私は、尋輪……尋輪、海月(ひろわ みづき)……です」
挨拶を抜かしてしまっていた、と、小さく頭をまた下げてから、声を絞り出して、名前を告げる。――と、丁度、そんなタイミングでだろうか。チャイムの無機質な音が鳴り響くのは。
「………っあ、つ、次の講義……っ」
■暁 名無 > 「おう、どういたしまして、だ。」
………礼を言われて反射的に返してしまったけれども。
さて件の粘液、傷の治癒に効果がある訳では無い事は伝えておくべきかどうか。
防ぐことには一家言持つ代物であるのは違いないが……。
「おう、尋輪な。俺は暁。暁先生でも何でも好きに呼んでくれ。
それと、その厚着……多分火傷の痕とかを隠したいからだと思うんだが。
脱げとは言わねえが、熱中症には充分注意しろよ。」
別に講義なんてサボっても良いとは思うが、立場上そんな事はとてもじゃないが言えない。
精々が注意喚起止まりだ。
■尋輪海月 > ……そんなことは露さえ知らないだろう。が、あの様子からするに、いずれは治るものと"思い込んでいる"ようだ。
「……暁、先生……。……ぁ、えと、はい、き、気をつけます……塩タブレットとか、なら、ある、ので」
「……講義中は食べませんから!」と、続けて言ってから、椅子から立ち上がる。たたらを何度か踏んだが、足を揃えて、ばっと頭を下げて、
「……それでは、あの、えと、し、失礼、しました……っこ、講義、行ってきます……!」
なんとか、そう言葉を告げてから、おぼつかない足取りに保健室の出口へと向かい、もう一度振り返って、
「……―――え、へ」
……微かに笑顔を見せてから、今度こそ、保健室を後にしていった。 ……間もなく、廊下の方で、「こ、講義の教室、こっちだったぁ!!」と、割りとでかい独り言が聞こえたのは、蛇足だ。
ご案内:「保健室」から尋輪海月さんが去りました。
■暁 名無 > 「ちゃんと伝えた方が良さそうだな、あの分だと……。」
さてどう伝えたものか。それが問題だ。
いや、直接廊下で捕まえて伝えれば良いんだろうが、冷房のついたこの部屋から出たくはない。
「………ま、なるようになるか。」
廊下から聞こえてくる独り言に、あんな大きな声も出せるんだなと感心する。
本人が自然と勘違いに気付いてくれる方に賭けて、俺は作業場もといベッドへと戻る事にした。
少し片付けておかないと、何を言われるか分かったもんじゃないし。
■暁 名無 > 「ええと、この資料は図書室ので……こっちのは自前の。
あとは図書室、自前、自前……持ち込み過ぎたな。」
乱雑に散らかしていた書籍を平積みにしていく。
そういえば元々何をしてたんだっけか。確かノートパソコンで……
「っとと、本の片づけしてる場合じゃねえよ!」
危うく完全に忘れる所だった調べ物を再開する俺である。
せっかく積み上げた本も、今ので少し崩れて元の木阿弥だ。
■暁 名無 > 「ふむふむ、っと。
やっぱりなー、一度ちゃんと調べてみるか。」
ノートパソコンを閉じて、大きく伸びをする。
背骨から小気味よい音が鳴って、途端に睡魔に襲われた。
時計を確認すれば午後2時を回ったところ。午睡には持って来いの時間だ。
「眠くなった時にすぐ寝れるってのが、ベッドの利点だよなあ」
ソファではこうはいかないだろう。
いや、多少値の張るソファなら良いのかもしれないが、安物のソファで寝ようもんなら全身の関節への反逆だ。
そんな取り留めもない事を考えつつ、俺はゆったりと昼寝を満喫するのだった。
ご案内:「保健室」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「保健室」に暁 名無さんが現れました。
■暁 名無 > 『ひ、ひどい目にあった……』
訓練施設での魔術の失敗から数時間後。
這う這うの体で保健室に帰って来た俺は、張りつめていた緊張を少しだけ緩めた。
幻想種を召喚しようとした試みは見事に失敗。魔法陣の描き違いという初歩的なミスを孕んだ術式は、術者である俺自身へと牙を剥いた。
被害が俺だけで済んだ、というのがまあ、不幸中の幸いだろう。
『ええいしょ、っと。はあ、ドアの開け閉めにも一苦労だ。』
閉めたばかりのドアにもたれる様にして一息つく。
普段の何倍も縮んでしまった今の姿を他人に見られるのはどうにも避けたかった。
保健室の片隅に立てかけられた姿見へと目を向けると、小さな幻想生物が此方を覗いている。
■暁 名無 > 幼児ほどの大きさの体躯。全身を覆う赤褐色の体毛。
長く長く天に向けて伸びた耳。そしてその間にそびえる一対の鹿の角。
姿見の中に居たのは、一体のジャッカロープだった。
そしてそれは、先刻俺が訓練施設にて召喚しようとした幻想生物でもある。
つまるところ、魔法陣の描き違いと注ぎ込まれた魔術の暴発によって召喚の術式は変化の術式へと性質を変えてしまったらしい。
『……さて、どうしたもんかな……』
一晩寝れば治る、と楽観視も出来ない。なにぶん保証が出来ない。
もう少し俺が魔術に明るければ、元に戻る術式も即座に閃いたのだろうが、さっぱりだった。
■暁 名無 > 訓練施設からここに戻ってくるまでに試した事を確認する。
まず、当然ながら筋力は現在の身体の大きさに見合ったものにまで落ちている。ドアの開け閉めさえ全身の力を要するほどだ。
しかし、脚力はその限りでは無い。元から足腰は強い方だったとはいえ、この姿はその数段脚力が増している。
軽い気持ちで室内で跳んでみたところ、天井に頭を打ったのも記憶に新しい。
更に、普段通りに話す事が出来ない。声帯まで構造を変えてしまったのか、普通に発声しようとしても擦れた呻き声のようなものが口から零れるだけだ。
『どうにかカタコトで何か話せそうなくらいは出来るんだが……普通に喋れねえってのは、厄介だな。』
何しろ明日からの授業に影響が出………
あれ?出なくね?
カレンダーへと目を向けると夏季休暇の初日を報せるマークが付いていた。
要するに明日から自分の受け持つ授業は、無い。
『よ、よかった~……』
流石にウサギ姿で教壇には立てない。
生徒からのウケは悪くなさそうな気はするが、俺の羞恥心がもたない。
ともあれ、急いで元の姿に戻る理由は今のところ無いわけだ。
ご案内:「保健室」に神代 理央さんが現れました。
■暁 名無 > 急いで戻る理由が無いという事に思い至れば、途端に様々なやる気が消滅していく。
この姿じゃあどうやら魔術が使えないらしいこととか、どう考えても角は日常生活に邪魔だろうとか、
そういう事もどうでも良くなっていく。
明日は戻る、と楽観視しながら日々を過ごしていればいい。
『とりあえず夏期特別講習の日が続いたら焦ろーっと。』
確か大昔──と言ってもこっちの時代では数年前か──にも似たような事故に遭った覚えがある。
その時はさほど時間も掛からずに戻れたから、今回もそう深刻に考える事も無いだろう。
俺は酷く歩き辛いながらも二足歩行でもはやお馴染みのベッドへと向かった。
■神代 理央 > 特段、怪我をしただの体調が悪いだのという訳では無かった。
ただ、偏る食生活と生活習慣に披露がじわじわと蓄積しており、ビタミン剤の類か栄養剤でも貰おうか、と足を運んだ。
ついでに、学生街で立ち寄るべき薬局等も教えて貰えれば、と軽い気分で保健室の戸を叩く。
「…失礼します。どなたか……?」
ノックを3回。その後、特に返事を待つわけでもなく保健室の扉を開く。しかし、眼前に広がるのは大分予想外の光景。
保健室と言えば白衣の保険医が鎮座しているイメージだったが、目の前には鹿の角を生やした兎の様なナニカ。
「………取り敢えず、捕まえとけば良いんだろうか?」
何が何だか分からないが、衛生上良くないだろうと判断すれば、後手で扉を閉め、幾分大又で謎の動物に近づこうとして―
■暁 名無 > 感度の上がっている聴覚が足音を捉える。
程無くしてドアがノックされた。非常に面倒だな、と内心毒づく。
これでまだ女生徒なら、いや女生徒でも面倒な事には変わりないか、と一瞬傾いた考えを矯正してひとまず本で散らかり放題のベッドへ向かう。
だが、それも侭なら無さそうな気配を敏感に感じ取った。
これが小動物の危機感知能力か、と感心している暇もなく、こちらに歩いてくる男子生徒の姿を、俺は見上げる。
むざむざ捕まる気は無いが、かと言って変に抵抗するのも事態をややこしくするだけか、とどう動いたもんかと考える。
■神代 理央 > てっきり一目散に逃げ出すかと思いきや、此方を見上げたまま動かない鹿兎(仮称)
人に慣れているのか、それとも警戒しているのか。動物に詳しくない―というより、ペットすら飼った事が無い―自分では、今ひとつ判断が尽きかねる。
「…もしかして、保険医のペットか何かか?考えてみれば、校舎の中にこんな動物が入り込む訳ないしな。それとも、何処かの研究棟から逃げ出した実験動物か?」
此方を見上げる鹿兎(仮称)の二歩手前で立ち止まり、しげしげと眺めてみる。こういう動物は女子受けしそうだな、と取り留めもない事を考えつつ―
「…お前、実は喋れたりとかしないか?」
敵意は無いとアピールしようとゆっくりとしゃがみ込みながら、声をかけてみる。傍から見れば随分と間抜けな事をしている自覚はあったが、好奇心につい負けてしまった。
声をかけてから、自分は動物相手に何を言っているのかと苦笑いを漏らすのだが―
■暁 名無 > てっきりすぐさま飛び掛かって来るなりしてくると思ったが、どうやらそう言うわけではなかった。
未知の生物に対して無策に突っ込んで来ないというのは優れた判断力を持ち合わせているという他ない。
もしこれが自分の授業のフィールドワークなら、すぐさま減点をしてやるところだ。
……加えて観察、分析するほど冷静さも保てるらしい。
いや、俺の見た目がひ弱そうな小動物に見えているからそうだとしても、評価できる点だろう。
まあ、今は授業中では無いので個人的な評価だが。
「……ア、ゥー……プス、ス、コシ……ナラ。」
喋れるかと問われ、ここに戻って来る間いろいろ試した発声法を使う。
本当にカタコトでしか喋れない上に、変な風に呼気を扱う為非常に疲れる。
だが、このまま何もせずつまみ出されるよりは、可能性は低くとも事情を理解して貰える方に賭けたいと思った。
■神代 理央 > 一瞬、聞き間違いかと耳を疑った。次いで、疲れているのかと己の頭を疑った。しかし、この島なら喋る動物も珍しくないだろうと混乱仕掛けた頭にブレーキがかかる。
先ずは目の前の事実を認識しよう。目の前の兎は、どうやら此方の言語を理解し、尚且つ発声を行える様だ。取り敢えず捕まえて叩き出さなくて良かったと、内心で安堵の溜息を吐き出す。
「…少なくとも、俺が何を言っているのかは理解出来てるみたいだな。なら、此方の質問に答えて貰おう。お前は、所謂妖怪とか妖精の類か?それとも、何処かの施設から脱走してきたか?」
先ずは目の前の兎の正体を確かめなくては。と思ったが、先程この兎は「少しなら」と言った…様に聞こえた。ならば、長文の発声は難しいかと少し考え込む様な表情を浮かべて―
「…あー、発声が難しいならイエスかノーかで頷いてくれれば良い。未知の動物の類か、実験動物か。何方かなら頷いてくれれば良いし、そうでないなら首を振れ」
しゃがみこんだまま、鹿の角を生やした兎と会話しているという状況。だが、こういう非日常も偶には良いだろうと気持ちを切り替える。
尤も、相手を小動物と思い込み、己の素である些か高圧的な態度がにじみ出てしまっている事には気付いていないのだが。
■暁 名無 > これでもし俺の姿が翼の生えた虎とか、岩みたいな熊とかだったらこうは行かなかったろう。
小動物を選んで正解だった。いや、どっちかと言えば失敗も失敗、大失敗の結果なんだが。
俺は声の出し辛さに辟易しながら生徒を見上げ、こくん、と頷いた。
まあ、状況が状況だ、横柄な態度は多少なりと目を瞑ろう。
割と普段から生徒の問題行動は適当に見逃してるし、何を今更だ。
『さて、未知の動物って思われるのは心外だが……』
こくん、と頷く。
そもそもジャッカロープ、大変容以前からその存在はまことしやかに噂された所謂“未確認生物”だ。
大変容以降その存在は異能や魔術共々公に認知されたはずだと思うが、やっぱり一部のマニアックな物好きしか知らないらしい。俺だ。