2015/06/10 のログ
■稲葉聡美 > 「あっ、せおり先輩。またっす!」
(同様に手を振ろうとし――司書に睨まれて、苦笑い気味に手をひらひらさせた)
■稲葉聡美 > 「むぅ……いろいろ大きい先輩だったっす……」
(瀬織の義腕の動きを模すように腕をわきわきさせ……そのままなんとなく両手を胸の高さでわきわきさせる)
■稲葉聡美 > 「魔術……っていうのもあるっすねえ……異能とはどう違うのかな……」
(回転するイスに座ってくるくる回る。ひとしきり回ったあと、宣告の胡散臭い異能の本を流し読みし始めた)
■稲葉聡美 > <異能は人間に発言した様々な特殊能力、超常の力を総称したものである>
<異能発現の原因は未だにわかっていない。>
<あるときなんの前触れもなく異能が発現する事もあれば、自身の身に危険が迫った時に発現する場合もある。激しい感情によって発現する場合や、生まれつきの異能者ということもある。>
(多くの書物を見たところで、聡美に読み解けるのはこう言った常識的な事項ばかりだ。……しかし、ある本から気になる一節を発見する)
<――異能を人工的に発現させる研究も行われている。>
■稲葉聡美 > 「……ふうん……」
(今まで、気が狂わんばかりの激しい怒りや、生命がかかった絶対的なピンチに発現するものと思っていた異能が、少しだれでも手に入れられるようなものに感じた。)
■稲葉聡美 > 「…………」
(少女は読んでいた本を戻すと、ややおぼつかない足取りで図書館を出て行った。)
ご案内:「図書館」から稲葉聡美さんが去りました。
ご案内:「図書館」に綾渕・京さんが現れました。
■綾渕・京 > ぎし、と図書館の床が音を立てる。
車椅子の重みが、床を僅かに歪ませているのだ。
安普請――というわけでもないが、この特注の車椅子は、それなりに重量が張る。仕方のないことではあった。
■綾渕・京 > 「……ふむ」
じじじ、と車椅子のモーターが音を立てる。
電動式の車椅子は、搭乗者の意思に従ってその車輪を回す。できるだけ音を立てないように、ゆっくりと。
■綾渕・京 > 図書館の書棚、その一つに近寄り、手を伸ばす。
慣れた手つきで一冊の本を抜き取り、そのまま手近な読書机に。
車高を調節し、机に寄りかかるように読書を始める。
■綾渕・京 > ぺらぺらと紙を捲る音が響く。
周囲に人がいないせいか、今日はやけに音が気になる。
■綾渕・京 > 「……さて」
書面から入ってくる情報を処理しながら。
頭の別の部分を使って、別のことを考える。
今考えるべきは、やはり、
「……最近の島の治安か」
■綾渕・京 > 最近の島の治安はあまりよくない。
毎日のようになんらかの重大な事件の事案が耳に飛び込んでくる。
そこで島内の治安を守るべく尽力すべき公安と風紀と言えば――
「実際のところ、公安と風紀が縄張り争いをするだけならば構わないのだが――」
もう終わりに近い案件のひとつではあるが、最近の風紀と公安の衝突は新しいニュースの一つではあるだろう。
西園寺偲の事件が終息して、一旦は終わりを見せたが、同じ事態を引き起こす事が絶対にないかと言われれば、そんな事はない、と考える。
■綾渕・京 > 「……一般生徒に被害が出なければ、勝手にやっていろと言うところなのだが」
実際は、そんな事は有り得ない。
「……目に余るようならば、動くのも考えるべきか」
■綾渕・京 > ぺらり。
そんなことを考えている内に、読んでいる本のページが終わりを迎えた。
「……おっと」
席を離れ、別の書棚へと移って行く――
ご案内:「図書館」から綾渕・京さんが去りました。
ご案内:「図書館」に四十万 静歌さんが現れました。
■四十万 静歌 > 借りた本を手提げ袋に入れてやってくる。
借りた本はきちんと返さなければならない。
すぐさま返却手続きをすませようとして……
「あれ……」
真っ青な顔になった。
学生証がない。
あれがないと大変な事になるのに、
いつもはここに――
――なお、返却する際手間を省く為に、
手提げ袋に一緒にいれたのを忘れている。
■四十万 静歌 > 「ちょ、ちょっと待ってくださいね……
お、おかしいなー」
次々とどこから取り出したんだというように、
財布、ハンカチ、コンパクト、
カバーのついた文庫本はいいとして、
缶ジュースに花束、
トランプに護身スプレー、スタンガン……
を取り出しては。
「ああ、これでもなくって、
あれでもなくって――」
慌てふためいている。
ご案内:「図書館」に森永こあらさんが現れました。
■森永こあら > 四十万の背後で返却カウンターに並んでいた、制服の男子学生。
やや崩した制服や耳の下のコアラのタトゥーは、露骨な不良というほどではないが品行方正とも見えない。
しばらくあたふたする四十万を眺め待っていたが、やがてのっそり声をかけた。
「……おう、俺先にしてもらっていいか?」
■四十万 静歌 > よくもまあ、そんなにもってたなといわれそうだが、
実は私のマントには秘密がある、
というか手品の為に割りといろんな物を収容できるよう改造してあるのだ。
だからこそ――
先日もマントを買えなかった、
買えなかったのだ……
ちょっとしんみりした所で声がかかると、
「わひゃあ!」
分かりやすいくらい驚いて横にずれた。
「す、すみませんすみません!
どうぞお先に、
ごめんなさい!」
あわあわと真っ赤になって先を譲る。
多分冷静になってみれば怖いと思うのだろうが、
生憎そんな状態ではなかった。
■森永こあら > 短く刈った髪をガシガシを掻き毟って、
「ありがとさん」
と前に出た。
鞄の中からハードカバーの本――最近少し名前の知られた、女性詩人の詩集だ――を取り出し、カウンターに学生証と共に置いた。無愛想な顔写真に、2年、森永こあら、という名前。
と、横にずれた四十万の方を無造作に見る。
「何探してんのか知らねーけど、待たせてるとか思うと、焦って余計どこ行ったか分かんなくなりがちだからよお。のんびり整理すりゃいいんじゃねぇの」
■四十万 静歌 > 「あ、同学年――」
詩集に関しては、少し風貌とそぐわないと思って、
ちょっとクスリと落ち着いたところで、
学生証がみえてそう呟く。
更に、その後の優しい言葉にちゃんと落ち着きを取り戻して。
「そ、そうですね。
整理してちゃんと――あ。」
――無事、思い出せたようです。
出したものを器用にしまいながら、
「ありがとうございます、
そういえば借りてた本と一まとめにしてたんでした……
おかげさまで見つけられました」
頭を下げた。
驚くほどの息をつかせぬ発言に感じたかもしれない。
■森永こあら > 「お、おう、いや、別に改まって礼を言われるほどのこっちゃねーけど」
流暢な口調――とりわけ言葉数が多くもないのに――に面喰らったところで、丁寧に頭を下げられてどぎまぎする。
四十万から目を逸らし、司書から手続きのすんだ学生証を受け取ることで一息をついた。
「しまうのは得意なのに出すのは苦手なんすか」
やたらと出てきていた所持品と、それをしまい込んだ収納力を改めて思い出す。
四十万に場所を譲りながら、一体どこに入れたんだという疑問と、ついでにある程度スケベ心のある容色の品定めを兼ねて、彼女を観察しようとした。
■四十万 静歌 > 「いえ、ですが、あのままだったら多分1時間くらいは」
探し続けていただろう。
間違いなく。たまに ある。
「ええ、手品やっててもたまに間違えて、
缶ジュース取り出そうとして花束だしちゃったり……」
お恥ずかしいとばかりに顔を赤らめて横を向いた。
容色の品定めには幸いにも気づいていないようだ。
どこにでもいそうな平均的な体型、
平凡で特徴の無い顔立ち、
異彩を放っているのはやはりセーラー服に黒マントという出で立ちだろう。
多分黒マントはずしてたらすれ違っても気づかないんじゃないかと思いそうだ。
■森永こあら > 「俺も時々似たようなことはあるけど、一時間って逆に才能だろ! 考えればなんか有効活用できるぜそれ」
嫌いな奴らのとこにいって自然な素振りで事務処理を滞らせたりな、などとテキトーな例をあげる。
(んん~~、十人並み! 判定、平平凡凡っす!
美少女だったらこれをきっかけにワンチャン狙おうかなあとも思ったが、めっちゃ普通っす!
いや決して悪くもねえんだが、正直マントが浮いてるぜ!)
なんつうことを内心に秘めつつ、
「確かに、缶ジュースも花束もさっき出てやがったな……。
つーか手品やってんすか。へえ、割と面白そうだな。新しい趣味を見つけようと思ってんだけどピンとくるものがなくてよお。
手品って何からスタートすんの?」
■四十万 静歌 > 「才能!?そ、その発想はなかったです。
有効活用あるんでしょうか。
え、あー……い、色々発想あるんですね。」
流石にわざとというのは性分にあわないし、
しかもあわてているからこそできるので活用しようと思っても、
活用できないのである。南無三。
「ええ、手品ですよ。
異能とか魔術と違って便利ってわけではないですけど、
楽しくはありますよ。
最初は簡単なものから始めてみるのがコツでしょうか。
初心者用の本をみて試していくところからですね。
ええと……」
ごそごそと左手で硬貨を一枚取り出して
二本の指でつまみ上げゆっくりみせた後、
「ワン、ツー、スリー。
はいっ。」
右手で指を鳴らす。
不意な動作に違和感を付与させ、
意識が集中した隙に、
硬貨を指ではじいてマントのポシェットへと滑り込ませる。
「硬貨が消えました!」
■森永こあら > 「おっ、やってくれんの!」
目の前で手品を見せてくれるとは思っていなかったのでテンションがあがる。
ワクワクしながら目玉をかっぴろげ、看破ってやろうとばかりに硬貨に集中し――
“ ! ? ”
驚愕のあまり猛烈に目つきが悪くなるほどだ。
「スゲーッ! 消えた!
そ、そりゃ隠したんだろーけど、マジで消えたように見える!!
やべー、あんたガチじゃねーか。
なあなあ、今のって、コインやら袖口にゴム紐つけてるみたいな種があったのか?
それとも手さばきでやる方なのか?
それともそれとも他になんかあるのか?」
ほとんどないマジックの知識を掘り起こして、トリックを聞き出そうと質問攻めをはじめる。
■四十万 静歌 > 「あ、はい、あの、そのえーっと!」
物凄い喜ばれように少々動揺しつつも、
喜ばれると嬉しいので、にっこり笑って、
「指を鳴らすと同時に、
ちょっとコインを指ではじいてマントの隠しポケットにいれただけですよ。
本来なら、長袖の袖口にいれるのですが、
今は夏服なので……」
たまに 硬貨が外れて地面に落ちるのだが些細な事である。
「長袖の服と指ではじく技術があればそう難しくないです。
簡単ですよ。
こう親指と中指でつまんで、
こう中指をスライド&スナップで弾くだけなので。」
本来ならトリックは明かすものではないのだろうが、
トリックを明かしたところで手品の種に困らないが故だろう。
すんなりと教える。
■森永こあら > 「そ、そんだけ?
メチャクソシンプルだな……トリックつうほどのトリックでもないじゃねえか」
手さばき、ではあるが、あまりに単純なそれにきょとんとした顔になる。
やや迫力のある顔だけに尚更間抜けな表情である。
「えーでも『簡単ですよ』つうけどよお、
指を鳴らして俺が一瞬そっちを見た瞬間を見計らったり、
弾いた指や腕が震えてんのが見られたりしないようにすんだろ?
キッツそー」
などと言いつつ早速財布からコインを取り出し試そうとして、
「……あ、すんません。はい、あ、騒いでたっすね、スンマセ、スンマセン……」
はたと、図書館職員からの視線に気づいて誤魔化し笑いをしつつ財布を仕舞い込んだ。
■四十万 静歌 > 「あ、成功率を確実にするだけなので、
普通に弾くだけでも今から手品やりますよ
って宣告しなければ多分指鳴らさずともよいですし、
指や腕が震えてるのを指摘されたら、
コインが消えたからバランス崩したとでもいえば問題ないです。」
自分は手品師だ、今から手品をやる――
なんていうから難易度が高くなる。
誰もそんな事いわなければ、
突然手品をするだけで不意がうてるのである。
「って、は、私もですね。
ごめんなさいごめんなさい。」
同じく図書館の視線に気づいて頭を下げながら
■森永こあら > 「そんなものっスか」
話に頷きながら、
オドオドした感じの雰囲気に見えたが、手品の話をしているとかなり堂に言った雰囲気だな、
ということを考えている。
「手品をすると言わない方がやりやすいとか、
あと指鳴らすのもそっちを見せるためってことはよお、
つまり『警戒されない』っつーのが一番大事ってことか?」
返却カウンターから、多少雑談をしてもよさそうなロビー的な場所(あるだろう多分)に歩きだしつつ、問いかける。
そっちで話を続けようというのが当然の如くに。
■四十万 静歌 > 返却は後回しにしようと思ったらしく、
大人しくついていきながら、
「そうですね。
警戒されない、
相手の意識の虚をつくからこそ、
どんなにつまらない種でも、
相手にしてみれば突然で驚いてくれるんです。
手品っていうのは結局の所そこなんですよ。」
えへへと笑う。
「まぁ、私にはこれくらいしか取り得が無いんですけどね。」
■森永こあら > 卑屈な色のある言葉に少し目を細めるもそれについてはコメントせず、
「なるほどな。じゃあよお……」
と口を開いて、しかし少し躊躇い、まあ初対面だし気まずくなってもいいか、と結局口にする。
「じゃあもしかしてそのマントも意味あったりする?」
セーラー服を覆う黒マント。
それに改めて視線を送る。
「いや、似合わないとは言わねえっすよ。
むしろ似合ってる気もするかもしんないくらいなんだけどさあ。
警戒とは言わずとも目立つじゃん? なんで着てんのかなって。
ただのファッションの好みつーなら別に、おう、いいことだなって感じだが――
さっき見たとこ、花束やらなんやら、常に手品のネタを仕込んどくくらいの人なら、深いワケとかありそうかな、なんてさ」
■四十万 静歌 > 「ありますよ。
というか、このマント自体が種そのものです。」
手品の種であると同時に異能、魔術、その彼女の実像を多い隠す衣である。
「大体のものはこのマントに隠してますし、
それに、このマントつけてないと、
私が私だって認識される事が中々ないですし。
いたって平凡じゃないですか、
私って――」
あ、と、そこで初めて気がついたように、
「私は2年の四十万 静歌(しじま しずか)です。
どうぞよろしく。」
照れたように自己紹介をした。
――もしも、改めて彼女を観察するような事があれば、
思ったより整った顔立ちなのに気づくかもしれない。
■森永こあら > 「おっ、ビンゴだぜ。
さっきのコインはわかんなかったが今度は『種そのもの』に気づけたって感じ?」
などと気分よさげに笑う。
「あー、キャラ付けってわけな。確かに平――」
平凡、と言いそうになって、いくら縁が切れてもダメージの少ない初対面でも失礼すぎるわ、と口をつぐむ。
何か他の表現がないかと急いで四十万を眺めて、
(……?)
さっきよりも美人に感じられる気がした。
(いや、確かに……なんか……さっきは十人並みと思ったが、
ぶっちゃけ今は割とそそられるつーか……)
疑問に思う頭の中で、やがて、先程から話していたことがなんとなく繋がりだす。
眉間にしわを寄せ、考え考えゆっくり言葉にしていく。
「――警戒されないのが手品の勘所で、指鳴らすのもコインを警戒させないためで、そんでそのマントが種で、んでんでマントがないとあんま認識されないっつーことは、だ。
そのヒラヒラは指パッチンを着てるってことになったりしねえっすか、四十万さん」
■四十万 静歌 > 「そうですよ、キャラ付けです。」
平凡って恐らくいおうとした所で口をつぐんだ辺り、
見た目とは違ってやっぱり優しい人だなーと思いながら、
続けての言葉の聡明さに舌をまく。
「――ええ、なりますね。
実にその通りです。」
その解答に静かに頷く。
とはいっても、指摘がマントに限られている時点で、
私の異能や魔術に気づかれたわけではないだろう。
異能で隠しているものは多少見抜かれたかもしれないけれど。
そこに問題は、何も無い。
■森永こあら > 「ヤッベまじで! オイオイ、どんくさい女子だと思ってたけどなんかカッコよくなってきたな!」
手品を見せてもらった時のようにテンションがあがって、ついでに失礼なことを言った。
それから調子に乗ったようにペラペラと舌を回す。
「前に読んだスパイ小説にあったんだけどよ。
スパイとか密偵とかって、完全に特徴を消すよりも、わざと一個目立つ場所を作っとくテクがあるって書いてあったんだよ。
たとえば真っ赤な帽子を被る。
そうすると、群衆の中に紛れた時は周囲からモチロン『目立つ帽子のアホがいるな』と思われるんだが、後で思い出そうとすると帽子のことしか覚えてなくて、他の特徴がはっきりしない、ってな」
話し終えたところで、ロビーの、くつろぐようの簡易な椅子とテーブルに辿り着く。
森永は、ドサリと椅子に深く腰掛けた。
座った姿勢で四十万を見上げる。
その目の輝きは、テンションが上がった興奮に加えて、幾許かの緊張のせいでもあった。
「四十万さんって、スパイや監視役的ななんかだったりして?」
■四十万 静歌 > 「あはは、どんくさくてすみません」
失礼な言葉には恥ずかしそうに指で頬をかく。
というより、失礼な事をいわれても、
自分が受け入れてるからあんまり気にならないのである。
寧ろ恥ずかしい。
しかし、
「おおおお……!?」
続く言葉の
怒涛の勢いに思いっきり飲まれる、
明るくてあけっぴろげで、
凄いなーと思いつつも、
目を白黒させる。
確かに本の理論と私のやってる事は同じ事だ。
良く本の内容の言葉を覚えてると思いつつ、
続く言葉にはさらりと返答する。
「スパイか監視役……
そう実は……!
とかいえたらカッコいいんですけどねー。
私には無理です。
なんていうか実際にやるとどじってへまするタイプです。」
がっくりと肩を落としてそう言った。
その言葉はなんの違和感もなく、
だろうなーと納得させるには十分かもしれない。
■森永こあら > 「…………」
四十万の返答に、腕を組んだ。
うーんと唸り、隠す様子もなく悩む。
「……もし四十万さんがガチに諜報員でも、絶対今の質問なんかに素直に答えねえだろうし、
だから否定されても、どうリアクションされても、めっちゃ疑ってかかってやるぜ、どんな動揺も見逃さないぜ、ほとんど有罪と決めつけてやるぜ、ってつもりだったんだが。
キミめっちゃ普通。めっっっっっちゃ普通」
わざわざ当人に愚痴るように言って、もう少し唸ってから、
「ま、いいか」
と、あっけらかんと言い放ち、ヘラヘラ笑った。
「トーシロの俺じゃ全然分かんねえし、疑い出したら友達の一人も作れねーかんなーこの学園!
つうわけで四十万静歌さん、よかったらこの森永こあら君と友達になってくれない?(案外カワイイとわかったし)」
下心を大いに抱きつつ、ウインクを飛ばす。
■四十万 静歌 > 「まぁ、普通が一番ですしね。
異能が使えるわけでも魔術が使えるわけでもありませんし。」
ふふーと、笑う。
まぁ、実際の所一般生徒なので、
腹を探られても何もいたくはないのである。
どこにも所属してないし。
勧誘される要素も、知られなければ薄いのである。
「もちろん、友達ですよ。
だって、こう手品について興味もって、
こうして色々お話したじゃないですか。」
そしてにっこりと手を差し出して握手を求める。
友人は大歓迎、友達100人作ろうではないが、
ぶっちゃけ少ない部類である所の自分にとっては、
一杯欲しいのです。
「それにしても、
こあらって勇ましくてらしい名前ですよね。」
■森永こあら > 「ん、その辺の面白スキル、どっちも使えねえの?
それってここだと逆にちょっと珍しくない?
まったくいないわけじゃないけど、若干肩身狭そうよな」
ちょびっと気遣うように言う。
ではなぜ彼女はここにいるのか、など考えるが、その辺は家庭の事情やら地域の事情やらで島流し同然に飛ばされた奴もいるらしいので、もうちょい仲良くなってから踏みこもうと思った。
「ヨッシャー! オヒョー!」
ガッツポーズをして、座っていた椅子からよっこらせと立ちあがる。
求められた握手、即ち直接接触は少し警戒するのが一般論かもしれないが、四十万については無駄に疑わないでエンジョイお付き合いすると決めたのであった。
あと女の子の手を触りたかった。
「あれこれ詮索して悪かったな、しくよろ」
授業で護身程度の格闘技を習っている、少しゴワついた手で握手に応じる。
と、告げられた感想に首をかしげる。
「……勇ましいか? こあらだぜ?」
■四十万 静歌 > 「ええ、まぁ、なんといいますか、
突然発現することもありますし、
退屈はしなさそうですし――
友人の勧めもあったからですね。
まぁ、四十万だしって事で基本的にスルーされてるので、
肩身も狭くないから大丈夫ですよ。」
基本的に聞かれていないことにも喋ってしまう辺り
一度友好的な面識が出来た相手にガードがばがばである。
そして……
なんというかモブとして認識されている人間を深く攻撃する人間もいないのである。
本来なら使えない事に違和感を感じて異物として認識するのだろうが。
まぁ、四十万だしの言葉に説得力はそれなりにある。
「それにしても、そんなに喜んで貰えるとなんだか、
恥ずかしくなってきますね……!
詮索については別に気にしなくて大丈夫ですよ、
ほら、相手のこと知りたいって気持ちじゃないですか。
わー、それにしても力強い手、
やっぱり男の人って凄いですね……!
って私大胆な事してる……!?」
そしてびっくりするくらい好意的に解釈するのも静歌である。
顔を真っ赤にしながら大丈夫ですよと必死に伝え、
首をかしげると首をかしげかえして、
「え、だって、漢字にすると、
荒ぶる虎。虎に荒いでこあらってなりますよね?」
勇ましいかの質問にそう答えた。
確かに勇ましい。
■森永こあら > 「そうか、それならいいんだ」
と言いつつほんの少し残念そうであった。
なぜならば、肩身が狭い子に優しくするのは好感度稼ぎに有効だから。
「でも、なんか事情があって能力持ちの知人が足りねえってことがあったら声かけてくれてもいいぜ。
魔術はライター代わりくらいにしかならねえが、異能はそれよかもうちょい使えるからさ。
つっても花びらを出す程度で地味なんだがよぉ~」
握手してない方の手で空中をつまむと、突然そこに紫色の朝顔が現れる――さながら手品のように。
よくみればその朝顔は花びらだけで、おしべやめしべなどはないが。
「四十万ちゃんの手と、その熱心な握り方に対してのコメントは控えておこう。
セクハラになりかねないかんなあ」
セクハラになりかねない、というその言葉がセクハラになるかもしれなかったが、
顔を赤くして慌てる姿のかわいげに我慢できなかった。
「……なんで漢字にするんだよ。しかもその当て字って何気に暴走族センスかよ。
荒ぶる虎じゃなくて、オーストラリアでユーカリ食ってぐーたらしてる方のこあらだよ俺は。
親のクソ名付けでな」
と、握っていた手を離し、左耳の下、首筋にあるタトゥー(実はシールだが)を指して見せる。
虎ではなくコアラであり、しかもマスコットのようにキュートな絵柄だった。
■四十万 静歌 > 「わぁ……!綺麗……!」
花びらが現れるとその様子に喜ぶ。
おしべとめしべがないとはいえ、
花は可愛くて綺麗なのだ。
「それにしても、ライターの火と花って、
大量に出した花を燃やしそうな感じですよね。」
凄いなぁと、きらきらした目でみて、
熱心なにぎり方といった瞬間、
「はわ!
つい、その!なんていうか、違うんです、
こう、男らしい手なんて初めて触って、そのつい!」
手を離されるとあわててひっこめて、
目がぐるぐるしてるあたり本格的にてんぱっているが、
コアラを確認すると、きはずかしさが勝り目を逸らした。
「普通にこあらだったんですか、
いえ、そのす、すみません。
でも、熊に似ているところから、
子守熊って言われる事からすると、
優しい子に育って欲しかったのかもしれませんね。」
■森永こあら > 「実際、花出して火をつけて攻撃だー、てのも考えちゃいたんだが、生花って結構水分含んでるからさ、ライターくらいの火力じゃうまいとこ燃えなくてガッカリしたってわけ。
だが、ナンパには使えそうな力だろ」
などと冗談を飛ばしてヘヘヘと笑う。
朝顔を宙に投げると、ふわりと一瞬舞った後、床に落ちるのを待たずに消えた。
「いやー、これってなんつーの? 役得? スキンシップ? ラッキースケベ?
しかもはじめてって、本当かよ、初めての相手は選んだ方がいいぜ」
そう言いつつも、些細でも初めて的なものもらえるのは嬉しくてニヤけてしまう。
あまりいやらしい表情になっては引かれるな、と、コアラをしめしていた指を口元を隠すように移動させる。
「そういう親の願いがあってくれりゃあいいね。
おかげでこんなに優しい男に育っちまった……フ……」
わざとらしく、ニヒルな雰囲気で斜め下を見た。
それから、改めて四十万の顔に向き直る。
「さてと、そろそろ俺行くわ」
別れの気配を出して、再三、四十万を足元から髪の先まで眺める。
その視線は不躾ではあるかもしれないが、いやらしさではなく、真摯さがあった。
「……スパイだのどーのは、あんま本気で言ったんでもねえしマジどうでもいいんだけどさ。
マントで意識を逸らそうとしてるってのは頷いたじゃん。
何から逸らそうとしてんのか、仲良くなったら教えてよ。
そんじゃ、またなー」
それを挨拶に、すぱっと背を向けると、肩を揺らして図書館の出口に向かうのだった。
ご案内:「図書館」から森永こあらさんが去りました。
■四十万 静歌 > 「残念だけど、確かに使えそうですね。」
なお、握手自体が始めてなのではなく、
とても男らしい手がはじめてだったのだが、
それは言わぬが花だろう。
「あはは、まぁ、
初めての相手といっても握手くらいで大げさですよ。
優しく育って両親もきっと喜んでますね。」
ちなみにかっこつけは多分?
決まったのかちょっとどきっとした。
そして真摯に眺められると、
少しびっくりして硬直し、
「女の子には秘密がつきものっていうじゃないですか。
縁があれば教えますよ。
ええ、それではまた。」
出口から出て行くその姿に、
そういって手を振って見送った。
■四十万 静歌 > ちなみにマントで何から逸らしているのかというのは、
既に見抜いていると思ったのだけど、
違ったようなので完全に安心したのはいうまでもない。
マント自体がスパイ小説のテクと同じなのも確かであり、
自分の容姿を完全に埋没させる為。
まぁ、埋没させないでも、
大した顔ではない――と私は思っているのだが、
これくらいしないと女の子には危険が一杯なのである。
■四十万 静歌 > 「なんというか、男の人と最近接触が多くて、
運気使い果たしているような――
いえ、気のせい、気のせいです。」
いずれにせよ、
私のような子に本気で相手するわけないっていうか、
こう、深い関係にならないから安心してつきあえるとか、
きっとそんな感じ、そうそう、と
自分の心を納得させて――
「よしっ。」
本を返却して、
――新たに敵国の王子と皇女が手を取り合って、
数多の試練を乗り越え、
愛をはぐくむ小説を借りて図書館を後にするのであった。
ご案内:「図書館」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「禁書庫」に蒼穹さんが現れました。
■蒼穹 > (バアンッ、と異能を使って魔力を封殺し、轟音をたきつけながら、魔力溢れる警備の薄い禁書庫にずけずけと入る。最初の轟音が鳴り響けば、その怪異溢れるいつもの禁書庫から、がらりと静まり返った、まるで図書館の別館の様な施設に響くのは己の足音のみ。)
…うあああー…。
(別に、どうせ誰もこないだろうし、今日も適当に禁書をあさるとしようか。それにしたって、どうも気分が悪い。何故だろうか。やはり、朝方の訓練戦で何だかんだ負けてしまったことを気にかけているのだろうか。それとも、単なる魔力の使いすぎか…否、それは絶対になかろう。)
…むぅ。何か無いかな。
(探し物が見つからない時、嫌に気分が悪くなる。また、探し物が何であるかさえも分からないなら、尚更に気分が悪くなるわけで。何を探したらいいかもわからない状況で探し物をしているのだからさぁ大変。そんな所。)
■蒼穹 > …はぁ。
(それにしたって、警備が薄すぎると思う。何でこう簡単に忍び込めるやら。いや、忍び込むという表現が合っているのかさえも分からない。何食わぬ顔で入って行けるのだから。しかして、そうだとしても、中々に目当ての物は見つからず。気付けば今回もまた、本の山を一つ作り上げて。はてさて、こっから選りすぐりの物を…何て考えるのは効率が悪いのだが、そうするしかあるまい。静かすぎる禁書庫。たった一人、本のページをめくる音と、溜息を一つ吐いた音。それだけがくぐもった。)
■蒼穹 > んまぁ、平和っていうのは…良いって事なのかなあー?
(こんな所を平気で彷徨できている時点で平和、を越えて平和ボケのレベルな気がするが。一体全体どうしてこうなった。普通に、誰しも入って来れるような場所なのだが…どうにも、禁書庫で誰かと鉢合わせることは少ない。やっぱり、立ち入り禁止なんて言われると、敬遠してしまうのだろうか。)
■蒼穹 > …ん、今日もハズレ。
(やれやれ、と最後に読み終えた本をぶっきらぼうに本棚を見向きもせず元あった場所へと投擲して。)
やれやれ、当たらないなぁ。
(やっぱり、こんなに本があったとしても探すものが何か分かっていないと探すに探せない。さて、帰ろうか。どうせ鍵は空きっぱなしだ。警備もない。気兼ねなく抜け出して構わないという事だろう。散らかした本は…ま、大丈夫だろう。)
ご案内:「禁書庫」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「図書館」に井戸木さいこさんが現れました。
■井戸木さいこ > 「うーん……
いくら科目が科目だからって、分野外の事も聞かれたら答えるぐらいはしたいよねぇ……」
溜息をつきつつ、図書館で借りた現代文や歴史の教科書に眼を通す。
理数は無理にしても、文系科目ぐらいは、と勉強している。
■井戸木さいこ > 教科書をひたすら読み、要点だけをノートを取る。
暗記して覚えるだけで良いものでなく、根拠や裏付けもわかりやすく説明出来るようにしようとすると少し難しい。
Aを説明する為にBを覚え、Bを説明する為にCを覚えを続けそれらを頭の中で再構築して説明出来るようにする。
あ、眠くなってきた。
■井戸木さいこ > 「ふぁ……」
欠伸が出る。そういえば最近あまり眠ってない気がした。
「ここは、えーと……こっちと繋がってて……」
■井戸木さいこ > 「………」
かくん、と、首が前のめるに倒れる。
一瞬、意識が落ちた。
「あっ、いけないいけない……
……そろそろ切り上げ時だけど、もうちょっと……」
■井戸木さいこ > 「……」
数分後、そこには机に突っ伏して眠る少女の姿。
眠気には勝てなかったのか、ぐっすりと眠っている。
■井戸木さいこ > 「……はっ!?」
がば、と、起きた。
いつの間にか眠っていたと気付けば、恥ずかしそうに周囲を見渡した。
■井戸木さいこ > 「うぅん、眠っちゃった。」
誰も未定なさそう、涎は出ていないと判断すれば、安堵の息を漏らす。
「……そろそろ、行こうかなぁ。」
ご案内:「図書館」から井戸木さいこさんが去りました。
ご案内:「図書館」に渡辺慧さんが現れました。
■渡辺慧 > 小脇に一冊の本を抱え、眠たげにしながら図書館へ入る。
■渡辺慧 > 周囲を目を細めて見回すと、適当な位置、入り口に近い席へ。
席へ着くと、その本を開く。
……寺Tの3巻。
■渡辺慧 > 実のところ。
講義中に読もうかと思い持ってきたものだが……。
昨夜の事もあり、グッスリと。
……どちらにしろ。ま、模範的とは程遠い訳だが。
そんな事もありながら未だに眠そうなのは、自分の素の表情なのかもしれない。
■渡辺慧 > 「ふぁ……」
小さく欠伸。
……眠いだけか。
家で読むより、こういったところで読む方が、実のところ気分がいい。
気分は大事。特に自分のような性格には。
■渡辺慧 > ……どうしよう。
眠気のあるまま読んでもな。
内心で呟きつつ……読んでるうちにさめるかな。
そんな事を考えながらページをめくる。
1ページ目。その部分を読み込んでいく。
文章を自分の知識の血肉にする。
……ん。やっぱおもしろい。
■渡辺慧 > ペラリ、ペラリ。
普段の彼の速度とは、遅めではあるが。ページをめくる音が図書館に響く。
■渡辺慧 > 「ね……む」
……自然と口に出ていた。
どうやら、知識欲――いや、これは知識欲というのだろうか。――より、睡眠欲の方が強くなってきたようだ。
……辺りを見渡す。
よし。いける。――誰もいないことを確認。後から誰か入ってくることを想定しないのは、間抜けなのか、眠気で頭が働いていないのか……――
本を閉じ、自分の斜め前へ押しやり、自らの腕で枕を作る。
帰って寝ろ、という言葉も聞こえなくもないが……こういうところだからこそいいのだ。と。……やっぱり、模範的とは、ほど遠い。
そのまま目を閉じる。
すぐ――浅くはあるのだろうが。――眠りへ落ちていった。
■渡辺慧 > 静かな寝息。
時折、瞼の奥で瞳が動いているのは浅く寝ているが故か。
……夢は見ない。
時間にして、約15分ほど。
むくり、と起き上り、目をこする。
ん……と小さく、器用に伸び。
不思議なもので、あれだけ強い眠気でも、少し寝ただけで消えて行ってしまう。
……場所がいいのかも。
ぼう、としながら、目をこすり。
再び、本へ手を伸ばした。
■渡辺慧 > ……………やめよ。
眠りで気分が変わった。
手に本を取ると、さっと立ち上がり。
フードを被りなおして。
――最後に再び、周囲を目を細めて見回すと。
本を抱えたまま、そのまま歩き去って行った。
ご案内:「図書館」から渡辺慧さんが去りました。
ご案内:「図書館」に伏見灯継さんが現れました。
■伏見灯継 > 「……わあ」
図書館棟に入るなり、彼女は小さく声を漏らした。
どうやらこの建物に来るのは初めてらしく、物珍しそうに巨大な書架を見上げたりしている。
「一生掛かっても読み終えられそうにないわね、これじゃ」
どうしようかななんて零しながら、彼女は本の森を歩み始めた。
ぼんやりと灯りの点った、手持ちのランタンを携えて。
■伏見灯継 > 「……『赤い血の一族』って、血は赤いに決まってるじゃない」
適当に手に取った本の題名に文句をつけると、彼女はそれを元の場所に戻した。
足元に置いていたランタンを拾い上げると、周囲をきょろきょろと見回して呟く。
「ええと、次はどっちに行こうかしら」
■伏見灯継 > しばらく彼女はフロアを徘徊していたが、先程の『赤い血の一族』が気になって戻ってきたらしい。
らしいのだが。
「……み、見つからない」
すっかり違うエリアに足を踏み入れてしまい、そもそも出口すら見失ってしまったようだ。
諦めたように手近な読書席に腰を下ろすと、何をするでもなくぼんやりと書庫を見上げるのであった。
■伏見灯継 > 「私、方向音痴だったつもりはないんだけど」
膝の上に乗せたランタンを抱くようにしながら、そんな風にぼやく。
「……ああもう、仕方ないわね。左手の壁を伝って出口を探す戦法で行きましょう。探しものはまた今度よ」
意を決したように立ち上がると、彼女はその場を後にした。
ちなみに彼女はこの後、左手にあった本棚の周囲を数分ほどぐるぐると回っていた。
ご案内:「図書館」から伏見灯継さんが去りました。
ご案内:「図書館」にカエラムさんが現れました。
■カエラム > 今日も学園の図書館へ遊びに来た。
ここは相変わらず静かなもので、利用している人も今は少ない。
今回はここで「かんじ」の勉強をしようかと思っている。
伝家の宝刀、その名も『かんじドリル』。お値段165円とお買い得!
歓楽街の女性に紹介して貰って、こうして購入に至るわけだ。
■カエラム > 横に長く薄い本の、最初のページを開く。
『一(いち) 大(おお、だい) 水(みず、すい)......』
謎の記号の右隣に、ひらがなが並んでいる。
このひらがなの通りに読めばいいのだろうか。
死神はボールペンを握り、薄く書かれた漢字の上をなぞる。
「いち……」
なんだか自分の書く線がやたら細いような気がする。
……そうか、なるほど。どうやらひとまわり大きな筆を使うことも想定されているらしい。
二回ほど薄い漢字をなぞった後は、自力で三つ書く。
『一(いち)』は一本線なので、とてもちょろい。
■カエラム > 解説欄には数字の1と同じ意味を持つものと語られている。
ページをめくった先には『二 三』などの数字を表す漢字が載っていた。
これも気になるところだが、ほかの漢字を無視するわけにはいかない。
順番に一つずつ、書いては声に出していく。
■カエラム > 「……よし。」
一冊目はあっという間に終わってしまった。
自己テストも完璧だったので、このドリルは役目を終えたのだ。
さぁ、時間はまだあるので二冊目に突入してみよう。
よむ、なぞる、かく。
よむ、なぞる、かく。
よむ、なぞる、書く。
読む、なぞる、書く。
……よし、二冊目もバッチリだ。
ご案内:「図書館」に蒼穹さんが現れました。
■カエラム > 三冊目からは、一気に難易度が上がった気がする。
まるで絵と見紛うような文字が、どのページにも並べられている。
これは……試練だ。
■蒼穹 > (時間は、夜頃だろうか?目標、いつも通りの禁書庫。そのつもりだったのだが…。)
おや…?
(その場に、存在する事自体が似つかわしくないと思われる巨大な男―――いや。男と言っていいのかどうかも分からいけれど―――が、寂し気な空間の中、一体全体何を遣っているのやら。好奇心に駆られて、ふと、禁書庫に運んだ足を止めて、視線を遣ってみる。…何者だろうか。何だか姿形が違えど"同業者"の匂いもする。)
■カエラム > "神"にはあまりいい思い出がない。
だが今ここに近付いてきた気配が『あれら』と同類だとは限らないし、勝手に同じにしてしまうのも忍びない。
まずは親しみを持って、ことに当たるのだ。
ドリルから目を離して、神の気配を目で辿る。
すると、動きやすそうな服装をした少女と目が合った。
少女に向けて会釈をする。
■蒼穹 > やっほ…こんばんは。
(それが、己に向けての行為かどうかは、一瞬分からなかった。けれど、視線がかちあったのであれば、そういうことだろう。なら、軽いご挨拶と共に、いつも通り、手を振って気さくな素振りを見せよう。その会釈は、物言わぬ大男であったろうが、友好的であることが、感じられた。)
…漢字ドリル。
(横目に捉えたものの名を、ぽつり。)
■カエラム > 「こんばんは、おじょうさん。」
以外にもその巨体、流暢に言葉を話す。
もっともここまで出来るようになったのは、つい最近のことである。
「ああ、これか。わたしは言ばを学んでいるさい中なんだ。
げんせのことばを、まだよく理かいしていないのさ。」
ご案内:「図書館」にルナさんが現れました。
■蒼穹 > …うん、こんばんは。んー…。
(返ってきた言葉は、シンプルながらも的を得て。元々、現世の言葉を知らないという彼(?)にとっては、それはそれは、流暢だったろうか。だが、己はそれを知る由もない。故に、驚くこともなく、言葉を続けた。一考の内には「何て呼ぼうかな。」等と考えながら。)
…そう、なんだ。
現世の言葉が分からない…ってことは、多分…キミは、言わずもがなワケ有ってことだね。
あ…え、ええと。
(さて、ここで己はようやっと、彼(?)が言語に不自由している可能性に気付いたわけで。ともすれば、今まで語らった言葉はちゃんと理解してくれているか、なんて要らぬ心配が過った。)
■ルナ > ふらりと図書館に小さな人影が現れる。
すでに中には人……人?らしき誰かが二人。
そちらに目を向けながらも邪魔をしないようにそっと本棚の影を歩き…………
*ごっ*
…………足の小指をどこかの角にぶつけた音がした。
■カエラム > 「だいじょうぶさ、大体の意みは通じてる。
色いろあって、さいきんこっちにきたんだ。」
けたけたと笑う巨躯。
相手はこちらを知っている様子はない。『あれら』とは無関係と見て相違ないだろう。
「わたしの名はカエラム。おじょうさんの名まえを聞かせてくれるかい?」
■カエラム > 人の気配がする場所から、物音が聞こえた。
図書館は公共の場所なので、他の誰かが使っててもおかしくはない。
特に気にするほどのことではないだろう。
■蒼穹 > (痛々しい音が鳴った、様な気がした。小さいながらもギャグロールプレイだと一撃で致死傷のダメージを受けそうなヒット音だった。)
そっか、なら良かった。
…やっぱりワケ有ってとこなんだね。私も色々あって最近こっちに来たんだ、仲間だね。
(やんわり笑い返して見せる。学園に纏わる"創世神話の一節"とやらも、彼の事を知らないのも、来たばかり、と言うのが所以だろう。)
そう、カエラムっていうんだね…じゃあ、そのままカエラムって呼ばせてもらおうかな。
私は蒼穹《ソラ》っていうんだ。宜しくねっ。
(その巨体に物怖じ一つせず。友好的であるが故に、叶うのであれば、握手でもしようか、と寄ってみたり。)
■ルナ > 本棚の陰で震える。めっちゃぷるぷるしてる。
気づかれなかったと信じて足を引きずりながら本棚に隠れて進む。
一瞬聞き覚えがある名が聞こえたが、すぐに人違いだと気づいて前に進む。
さすがに二度ぶつけることはなかったようだ。
■カエラム > 「君もそうなのか……それにしては、ずいぶんとげんせの言ばが上手いんだな。どうしてだい?」
もしもこっちに来てから覚えたのなら、勉強のコツでも教えてもらいたいところだ。
「かまわないよ。わたしも君のことを、ソラとよばせてもらう。
よろしく、ソラ。」
怖がられがちな自分に対して、物動じずに話しかけて来られるのはありがたいことだ。
握手を求めて少女が寄ってくれば、一度席を立って、その大きな手で握手に応じるだろう。
グローブごしではあるが、彼の手には熱が無い。彼の肉体そのものは絶対零度である。
しかし吸熱を全く行わないため、常温のような感覚で触れられることだろう。
■蒼穹 > そういえば、…どうしてだろうね…?或いは、前に来たことがあったから、かもしれないし。言語に不自由したことは…あんまりないなぁ。
(んー、と考えながらも、彼の望むであろう言葉は、出なかった。)
うん、それで宜しく。…おっきいねー。
(手も然り。そして、改めて立ち上がったその体躯全ても然り。大男と呼ぶにふさわしいその手を握るだろう、少女と呼ばれるに相応しい己は、或いはその姿を見上げ。して、ゆるりと上下に揺らすなら、間もなく、ぱっと手を離すだろう。そこには温度の違和感はなく。そのグローブの感触のみと言ったところか。)
■ルナ > いくつかの本を取り出し、勝手に借りていく。
そのままこっそり姿を消した。
ご案内:「図書館」からルナさんが去りました。
■カエラム > 「そうか……君のいたせかいでも、このせかいの言ばをじょうようしていたのかな。」
元々そこまで期待はしていなかったので、あまり残念には思わなかった。
ならば、"太古の語"は知っているだろうか。少し試してみることにする。
「Wz, pr yc?」
【この言葉がわかるかい?】
「ハハ、よく言われる。君の手は、とてもやわらかいな。」
下手に力が強いので、手を握るのにも加減が要る。
それももう慣れっこで、何の問題もなく握った手を上下に揺らすのであった。
■蒼穹 > そう…かな。あー…世界…世界ねぇ…。色んな世界を移ってきたから、さ。その内一つか二つは、そうだった、のかもね。
(曖昧模糊な答えだった。)
うーん、ああいや、rrr...ux…ほんのちょっとだけなら、かな?喋れとか書けって言われたら難しいなぁ…。
(一考の後、一応【うーん、まぁ一応】とのニュアンスを以ってして肯定してみようか。はてさて、この"太古の語"とやらも、何処かで使われていた気がする…のは気のせいだろうか?所謂英語で言う、「イエス」と「ノー」くらいは出てくるが…その程度だった。)
あっはは、そう?…ま、乙女ですから。
(腐っても邪神たる己…ではあったが、その点は拘りをもって、誇らし気だった。して、巨体に似つかわしくない力加減だが、彼の心配りと言ったところだろうか。)
■カエラム > 「何だかあいまいだね……ま、そういうことっておぼえておくさ。」
「おお、それそれ! それだけ聞けてもうれしいな、わたしは。」
あまり多くを求めないことは、いい事なのか悪い事なのか。
少なくとも現世の言葉で会話ができる今は、あまり重視するようなことでもない。
「ああ、とても身にまとうふんい気からはソウゾウできないよ。
ほら、君ってなんか神さまっぽいしさ。」
ここでナチュラルに、自分が神の気配を感じていることを示しておく。
だからと言って特別好いたり嫌ったりするわけではなく、単なる話の種のようなものだ。