2015/07/05 のログ
獅南蒼二 > 「豪快な解決法だ…それなら、良いのだが。」
肩を竦めて、苦笑した。

「私は最近、異界の魔術を研究していてね…」
呪いの本を戻し、それから視線を遠条寺へと向ける。
魔術の研究、と言う言葉でもわかる通り、この白衣の男は魔術学の教師だ。
貴方はこの男を知っていてもいいし、知らなくてもいい。この男の妙な噂も同様に、知っていても知らなくてもいい。

「…調べてみたんだが、私より先に、独特な詠唱法を研究していた研究者が、居るらしい。」

…今さっき“声”を聞いたばかりの貴方には、この男が誰の事を言っているのか、すぐに思い当るかもしれない。

遠条寺菖蒲 > 「ははは……私も無事解決ならいいなぁって思います……」

そう、乾いた笑いをこぼしつつ答える。

「教授……と言うよりは教員方でしたか」

でしたか、と言ってから獅南のそれっぽい姿を見ればなんとなくは予測できるな、と菖蒲は思う。

「特殊な詠唱法……條島と言う人物の提唱したというものなら」

何か続く言葉は飲み込むようにして菖蒲は反応する。

獅南蒼二 > 相手の言葉に、僅かに目を細めた。
この男がどこまで見ていたのかは分からないが、
「…博識だな。その名を知る者は、そうそう多くはないと認識していたが。」
そうとだけ返し、小さく頷く。

「多少文献を漁ったが、魔術学的見地から見れば、欠陥を内包する詠唱法だ。
 使い手を選ぶ魔術など、無秩序な異能と何も変わらない……」

相手の反応を見ながらそうとだけ言って…
「……だが、賞賛に値する…いや、驚愕すべき先進的な概念だ。
 その名を知っていると言うことは、お前は“詠唱法”も知っているのだな?」

遠条寺菖蒲 > 「いえ、博識だとかそういう訳では……」
少し困ったように答える。
欠陥があるだとか使い手を選ぶことへの苦言は「そうですね…」と言う感じに苦笑いしつつ聞いた。


獅南の問いに対して、少し悩むように間をあけて。

「はい、知っていますよ。
 なんと言いますか……私は、ここに来て最初に覚えさせられたのがソレでしたので」

当時は魔術の基礎もなにも知らなかった、と菖蒲は付け足す。

獅南蒼二 > 遠条寺の答えには、満足気に頷いた。
「なるほど、お前には“素質”があったのだな…羨ましい限りだ。」
肩を竦めて苦笑を浮かべ…まっすぐに、相手を見る。
どこか、値踏みするように…少しの間沈黙し、

「無理を承知で頼みたい……後学のために例の詠唱法を“見てみたい”のだが…
 ……小さな魔法で構わん、何か、使ってみてくれないか?」
私に向けて撃ってくれても構わんぞ。と笑いつつ。
……例の“條島式”であれば、小さな魔法でも大魔法でも、詠唱は変わらないはずだ。

遠条寺菖蒲 > 「えっと、構いませんよ。
 では、《灯り》でも」

少しなら、大丈夫だろうと考える。
城島式の詠唱法は、コトワリを重要としながら考えるものではないと言う。

「――魔術は、言葉と意志を介して顕現する《闇を照らせ》」

菖蒲の言葉にと意志…イメージに影響され、指先に小さな明かりが灯る。
白く小さな光。
日常の生活魔法などでもあるような発光現象する光の構築。

だが、

そこに明確な術式はない。
そこに明確な理論はない。
しかし、《理》としてその場に顕現する。

魔術と言うには、余りにも異常なものである。
その異常性を感じとれるかもしれない。

「どうでしょう?」

それを普通に、何も考えていないよう菖蒲は扱っている。

獅南蒼二 > 行使された魔術は、魔術と言うにはあまりにも“異様”であった。
魔力の出力と結果だけが存在し、指向性や属性を持たせる術式が存在しない。
まるで言葉を発するかのように、自然に“結果”だけが再現される。

「……いや、これほどまでとは思わなかった。」
獅南はその異常性を感じ取ったのだろう。
「この簡易的な詠唱で上位魔法を使えるとあれば、画期的だ。」
言葉とは裏腹に、表情は浮かないものであった。
「参考になったよ……礼を言う。」
言葉とは裏腹に、参考にできる部分など一つもありはしなかった。

「……さて、私はそろそろ授業の準備をしなくては。
 お前も、あまり長い時間この場所の魔力に触れていないほうが良い。」

男は、そうとだけ言えばくるりと背を向けた。
もう振り返ることは無く、歩み寄ることも無い。
やがて、禁書庫は再び、静寂に包まれるだろう。

遠条寺菖蒲 > 「参考になったなら何よりです」

笑顔でそう言う。
今までこの詠唱法の欠点や世に言われる無詠唱の魔術などを考えると不便な部分を感じてしまうところがあった菖蒲としては評価されるのは、少しうれしいところであった。

「そうですね。気をつけて私もこの辺りで失礼しようと思います。
 では、機会があればまたいずれお会いしましょう」

と感謝の意も少し込めて頭を軽く下げる。

遠条寺菖蒲 > そして菖蒲は禁書庫を後にする。
ご案内:「禁書庫」から遠条寺菖蒲さんが去りました。
ご案内:「禁書庫」から獅南蒼二さんが去りました。
ご案内:「図書館」に正親町三条楓さんが現れました。
正親町三条楓 > かりかりとレポート用紙に容姿をまとめていく。
入院のせいですっかりテストに遅れてしまったが、無事筆記試験は終わった。
あとはこのレポートをまとめれば、無事課題は終わりだ。

――もっとも、終われば今度は海開きの準備があるのだが。

正親町三条楓 > 式典委員からの報告によると、どうやらちはやが式典委員の仕事を手伝ってくれているらしい。
有難い事だ、人手はいつでも足りない。

なお、あのお祭り男ども、ちはやを見てすぐさま
『新しいお稚児さんですか。好みドストライクですね!』
と送ってきた。
今度締めよう。
物理的に。

ご案内:「図書館」に相楽 満さんが現れました。
相楽 満 > こそこそ、と図書館に入ってきた。
周囲に目を配らせ、危険を探すように。

こそこそ、抜き足差し足忍び足、棚のあたりへ。

視界に先輩の姿が映れば、相手の視界に入らないよう行動する。

正親町三条楓 > (レポートに夢中で気付いていないようだ。
一心不乱にペンを動かす)

相楽 満 > (よっしゃ)

記憶に正しければあれは結構な権力のある先輩だ。
バレたらマズい。
今度こそ学園から医者に通達されて完全に拘束される。

ちらちらと様子を伺いながら、本棚の本をあさる。
目当ての本があるのかないのか。

正親町三条楓 > 「――あら?」

ふっとノートから目を上げる。
誰か来ていたのか。
一応、軽く会釈する。

相楽 満 > (……見つけた)

目当ての本を見つけたが、視界の端で先輩の頭が動いたのを感じて思い切り跳ねるようにビビる。

どうしたものかと挙動不審そのものの顔で考えたが、ひきつった笑顔で会釈をした。

怪しくなければいいが、と心の中で考える。

正親町三条楓 > なにやら探しもののようだ。
――少し態度が不審だが、何かあったのだろうか。

「――どうかしましたか?」

静かな声で聞く。
手伝える事だろうか。

相楽 満 > 「あぁぁぁぁいやいやいやなんでもないッス!」

図書館で大きな声をあげてしまった。
が、思わず手で口をふさぎ、ぺこりと頭をさげる。

「ちょっと、本探してて……」

改めて小さな声で。

正親町三条楓 > 「――本、ですか」

まぁ、それだけならいいが。
随分と怯えているようだ。

「お手伝い、しましょうかぁ?」


純粋に好意から、そう伝える。

相楽 満 > 「あ、えーと……」

考え込む。どうせ自分の探している本は専門外だ。
それならば頼んでしまってもいいかもしれない。

「ウス、じゃあお手数かけますけど……
 ある魔術の本のことでちょっと」

正親町三条楓 > 「――魔術、ですかぁ」

正親町三条楓に魔術の才能は無い。
というのも、異能『契約遵守<ミスラ・ジャッジ>』の力が強すぎて、普通の魔術が使えないのだ。
なので、魔術の知識はほとんど無いのだが……

ま、本を探すくらいは何とかなるか。

「分かりましたぁ。どんな本ですか?」

相楽 満 > 「んーと、こないだ拾った本をですね……」

簡単な説明をする。
遺跡で拾った本の真偽と、その内容。
簡単な写しも見せてみる。

「……正直、俺もどうすればいいのかわかんないんスけど。
 難しいッスけど、お願いできますか?」

正親町三条楓 > 「――おそらく、それでしょうか?」

先程相良が見つけた本を指差す。
彼女は魔術の知識は無いが、言語は世界中のもの、また古代のものも初歩的な知識を覚えようと努力している。
異能である契約遵守<ミスラ・ジャッジ>を最大限に使う為に必要な事だからだ。
なので、意味は分からなくともそれが言語なら、多少の事は分かるだろう。

「――あの、どこかで会いませんでしたか?」

そう、彼女が入院中に、見たような……?

相楽 満 > 「うーん……やっぱコレッスかね。
 ちょっとは勉強してるんスけど、まだ基礎しかダメで」

本を取り、開く。
あの本と同じではないが、確かに近いものは見て取れる。気がする。

しかし言語として、先輩が『これだ』と言ってくれたならば大丈夫だろう。

「ん、えーと……どうでしたっけ。
 どこで会いました?
 あ、いや……俺は先輩のこと、ちょっと見たことありますけどね。
 なんか男子に人気な、なんとか委員会の偉い人」

こちらは覚えていない様子。
きょとんと首を傾げた。
しかも情報として知っているものもひどくあいまいだ。

正親町三条楓 > 「――式典委員、正親町三条楓です」

ゆっくり頭を下げる。
そして思い出す。

――同じ病棟で、入院していた患者。
治ったのか。

「一度、常世保健病院でお見かけしましたぁ。
治ったんですね」

良かった、と胸をなでおろし。
本は間違いなく、同じ言語体系のものだろう。

相楽 満 > 「おおぎまち……さんじょう……かえで、先輩」

とてもたどたどしく名前を復唱した。

「……スンマセン、どこまで名字でどこまでお名前ッスか……」

わからなかったらしい。

「あ、あぁぁ……えーと、そのですね……
 ……スンマセン、まだ治ってなくて……これも実は医者に黙ってこっそり出てきたんス……
 あの、出来れば内緒に……」

ひきつった顔で答えた。
最初のこそこそとした動きはその負い目からだったのだろう。

正親町三条楓 > 「あ、おおぎまちさんじょう、で苗字です。
呼びにくいので、楓と呼んでくださいねぇ」

にっこり笑って言う。
慣れたものだ。

「――あまり感心しませんねぇ。
本は逃げませんし、治してからゆっくり読んだ方がいいですよぉ」

病院から抜け出してきたのか。
まぁ、つまらなくなるのも分かるが、医者の言う事は聞いておいた方がいいのに。

相楽 満 > 「……すっげー名字ッスね。初めて聞く名字ッス。
 じゃあ楓先輩で。
 俺は相楽満、です。相楽でも満でもどうぞッス」

ぺこり、頭をさげた。

「いやその……そうなんスけどね。
 本は逃げないんスけど、命は無くなるし、治るかどうかもこれ次第なんスよ」

苦笑しながら語る。
つまらないから出てきたというより、必要に駆られて出てきたのだろう。

「延命のために病院居るのも、奇跡を探して命削るのも大差ないんスよ。
 なんでその……スンマセンけど、黙っててください。
 こないだも保険課の先生に怒られたし、医者にもすげー怒られたんで……」

正親町三条楓 > 楓は絶句する。
命が無くなる?
治るかどうかもこれ次第?

「そ、そんな状況で……なんで……」

あぁ、そうか。
緩慢な死を迎えるのを拒み、ほんの僅かな生を振り絞り――
生きようとしているのか。
何かの為に。

「――そこまでして、あなたは生きようとするんですか」

相楽 満 > 「……まぁ、実は正直わかってないんス。
 なんで俺、こんな必死になって生きようとしてんのか。
 そもそも生きようとしてんのかどうかもわかんないんスよ。
 心のどっかで諦めようとしてる感じもしますし。
 ……何のために、俺はこんな必死で生きようとしてるんでしょうね」

ぽりぽり頬をかきながら呟く。
自分でもわかっていないのだ。
教師から言われ、自分なりにやれることを探しに来ただけで。

「……って、初対面の先輩に話すことじゃないッスね。
 スンマセン、ちょっと最近ナイーブになってるみたいで」

苦笑しながら手を合わせて頭をさげる。
忘れてください、と。

正親町三条楓 > 「――あなた、病院から抜け出して、これからどうする気ですかぁ?」

言いながら適当に本を積んでいく。
医学に関係のありそうな本を何冊か――あとは、人体に関する魔術所を見繕い。
どさどさと積んでは、ノートを破り、そこに翻訳を書いていく。
そのスピードは恐ろしく速い

相楽 満 > 「ん? んーと、この本を借りて病院に戻ります。
 んで調べ物を……」

答えようとするが、口を開いたまま言葉が出なくなる。
とんでもない勢いで翻訳されていく魔術書、医学書をぽかーんと見ている。

「……あの、先輩?」

正親町三条楓 > 「あのですねぇ、忘れて下さいって言って、忘れられると思いますかぁ?
これで『実は冗談です、ナンパの手口です』とか言ったら――二度と常世島を歩けないからだにしますからねぇ」

のんきな口調でとんでもない事を言いながら、翻訳を続ける。
目に付いたのはこれくらいか――

流石に全ては訳せない。
訳せるのは目次らしき部分、それが無いものは大雑把な内容くらいだ。
それを相良に渡し。

「私に出来るのは、これくらいですからぁ。
どれを持っていくかは、自分で決めてくださいねぇ」

相楽 満 > 「冗談でこんな重たい話しませんよ……
 怖いこと言わないでくださいって」

目をぱちくり。
そして翻訳されたものを受け取る。

「……ありがとうございます。
 つーかスンマセン、忙しいっぽいのに俺なんかの手伝いしてもらって……
 よかったらなんかお手伝いしますよ。
 力なら自信あるんスけど」

嬉しそうににへらっと笑った。
そしてぐっと力こぶを見せてみる。
病人とは思えないほどに鍛えこまれてはいるが。

正親町三条楓 > 「病人さんに手伝ってもらう事はないです。
ちゃんと治してから、あらためて来てくださいねぇ」

まったく、どこまでも御人好しでのんきな人間だ。
自分の生命の事なのに。

「――あと、何か困った事があれば、式典委員会に来てください。
出来る限りの事はしますからぁ」

正親町三条楓は委員会抗争のバランサーであり、『政治』の為ならいくらでも非情な決断をするが。
それ以前に常世の委員会の一員として、生徒の生命に関わる重大事を見逃せるわけもない。

溜息をひとつつくと、立ち上がる。

相楽 満 > 「マジスか、残念だなぁ……そんならわかりました。
 治してから、また改めてお礼しに来ます」

ぺこり、頭をさげた。

「あー……うーん。
 ありがたいッスけど、委員会さんまでお願いするのは気が引けるんで……
 それにこんなにまでしてもらって、もっと甘えるのはマズいッスよ」

にへら、と笑った。
生きたいのか、生きようとしていないのか、まるでわからないかもしれない。
彼本人もそれを理解していないからか。

「あ、ホントありがとうございます。
 参考にさせてもらうんで、この本たち」

正親町三条楓 > 「――ひとつだけ言っておきますけどぉ」

図書館を出る間際。
後ろに居る相良に向かって声をかける。

「誰かに素直に『たすけて』と言えない人間は、絶対に助かりませんよぉ」

それだけを言い残し。
図書館を後にした。

ご案内:「図書館」から正親町三条楓さんが去りました。
相楽 満 > 「……耳が痛いなぁ」

同じようなニュアンスのことを、師からも受けた。
誰かに相談をしろ、と。

「……みんなそう思うのかなぁ……」

正直わからない。
だが同じことを言われるならば、そうなのだろう。
親しい人と出会えたら、そうして助けを求めてみよう、と。
心に誓い、図書館から出ていった。

ご案内:「図書館」から相楽 満さんが去りました。