2015/08/01 のログ
ご案内:「図書館」に菊夜さんが現れました。
ご案内:「図書館」に蒼穹さんが現れました。
■菊夜 > 【深夜、誰も居ないはずの図書館で】
「…ふぅん?でもさ、ほら」
【一人、イスに座る少女が居た】
【ただでさえこんな時間、こんな場所で一人で居るのはおかしいが】
「でもさ、やっぱ死ぬ時って辛いものなの?私としては痛みさえなければいいんだけど」
【その少女は一人でずっと喋っていたのである】
【本人としては、ただ単に友人と会話していただけ、であるのだが】
【時間帯、話す内容、どれをとっても怪しい】
【もしこんな時間に教師に見つかれば…とは気づいていないのだろうか】
「いやほら、でも…」
【がたっ、と突然なった不審な音】
【少女はそちらに視線を向ける】
「だ、…誰か居るんですかっ…!?」
■蒼穹 > (窓の外は、既に真っ暗だ。
教室は概ね消灯。夏休みの深夜でもあれば、廊下だろうが何だろうが人通りは少ない筈。
それも深夜。好き好んで学校に寄りつく人間もそう居ない。
因みに己は適当に禁書の類でも漁ろうかという不埒な考えで図書館に入りこんだのだが。
その境に、独り言のような呟きに思わずして吃驚。
その際に椅子を蹴っ飛ばして「がたっ」とでも言う音を鳴らしたのだろう。)
あ、ええっと。…は、はい、いるよー。
こんばんはー。
(取り敢えず、入口の扉を開けながら、聞こえた少女の声に答えようか。)
…ええっと。
(ゆっくりと、そちらの方に向き直れば…こちらの顔は流石に、困り顔だった。
お互い、誰もいないはずの図書館であることなど知っている筈なのだが…。
次ぐ言葉を、探しながら。己は棒立ちしたままで。)
■菊夜 > 「ひっ…!」
【音がした時点で誰かが居る、という事は解っていたのに】
【まるで化け物を見たかのような悲鳴をあげる】
【どこかで見かけた顔だ…彼女は思考を巡らせるが】
「…誰ですか?貴方」
【覚えていなかったのだろう。名前を聞こうとした】
【が、これではまるで御邪魔虫が来たかのような反応ではないか】
【彼女は必死に弁明する】
「あっ、あのっ、えっと…べ、別に嫌…とかじゃなくて」
「寧ろ、私なんかが化け物ですよねっ!ごめんなさいっ!」
「す、すぐ退きますのでっ」
【彼女としてはこれで弁明したつもりなのだ】
【前半の部分はともかく化け物云々は、思考を読み取るような事でもしない限り無理であろう】
【少しでも早くこの場から立ち去ろうとする…のだが】
「…ッ!?」
【何も無いところで、コケる】
【さらに居たたまれないような表情をうかべ、逃げだそうとするが】
【動揺しているのか、またコケる】
【落ちついたころには全身痣だらけになってしまっていた】
■菊夜 > ///ちょいちょい日本語おかしいので脳内変換お願いします
×【前半の部分はともかく化け物云々は、思考を読み取るような事でもしない限り無理であろう】
○【前半の部分はともかく化け物云々は、思考を読み取るような事でもしない限り意図は伝わらないだろう】
■蒼穹 > ふぅ…。
…うん、おっけ、落ち着こう。
(自身も、中々動転していたようだ。わざとらしく一息つく仕草をすれば、
相手より一足先に気を取り戻そう。
しかし、大分ビクビクされているのは…困る。端的に。
さて、相手にも深呼吸を促そうと考えたその矢先。
…思い出した。しかし、何でこんな所に彼女がいるのだろうか?
そもそも、人が居るとさえ思えないような場所。
旧友と会うことなど、誰が想像できようか。…黒い髪、赤い目と―――)
…あ。キクヨ?
ほら、私私、蒼穹《ソラ》…。
ちょっ、あっ、すとっぷ、すとおぉおーーーっぷっ!!
(―――この、物凄く必死な弁明。なにをいっているかは分からないが、取り敢えず、止めようと。
しかし、両手を前面に押し出し、ストップを掛けた頃には手遅れだった。
彼女は椅子から駆けあがって出口の方へと向かった…。)
あ。
(のだが、転んだ。)
おおーい。
だ、大丈夫ー?…私だよ、わーたーし。
(何度も何度も転んだ挙句、
明々と図書館の照明に照らされて浮かぶ傷や痣が痛々しく映った。
コケた彼女を見下ろす形でしゃがみ込んで、心配そうに、青い目が上から覗き込むだろう。
それから、自分の顔を指差しながら己の所在を訴えかけよう。)
■菊夜 > 【懐かしいイントネーション。言葉の響き】
【もし彼女が冷静な状態であれば、かつての友人との再開を喜んだはずである】
【勿論、気が動転していて気付く道理はないのだが】
「あぅ…きゅー…いたた」
「………またドジって言った」
【今の後半のセリフは、けっしてソラに向けて言ったものではない】
【『友達』に向けてはなった言葉だ】
【この行動が奇異に映るかどうかは、ソラが『友達』を認識出来るかどうかで変わるのだが…?】
【そして、やっと落ち着いたのか相手の顔を確認する】
「あー…。ソラちゃんっ!ソラちゃんじゃないですか!」
「お久しぶりですっ…逢いたかったんですよ…えへへ」
「やっぱりわかってたんだったら言ってよ…要らない恥かいちゃったじゃない」
【やはり、『友達』と話す菊夜】
【二人の会話を聞く限り『友達』は二人が知り合いだったのを知っていたようだ】
■蒼穹 > …?
ああ、ええっと…。
(こちらに、彼女の死霊を認識する力はない。
勿論、魔術を行使することで、見透かすことも出来るけれど。
今の状態では、彼女とその『友達』が"何を会話しているか"は分からない。
が。何かしらを"会話している"という事は、分かる。
何せ前からの付き合いだったから、虚空に向けての言葉は良くあることだった。
奇妙に映る事はないけれど、恐らく、この図書館に他にも人が居たなら訝しんだことだろう。)
そうだよー、蒼穹だよ。
お久しぶりだね、キクヨもこっち来てたんだ。ちょっと意外。
…んー、と、今日の御友達は一人かな?
(さて、この場には一体『何人』いるのだろうか?
何だか、もう一つ懐かしい出会いがありそうな気がする。
話の脈絡から、彼女の『友達』は、きっと古くから彼女が従えていた死霊なのだろうとも分かった。
さて、後は―――。)
ちょっと待ってねー…。
どーやったらキクヨの御友達見えたっけなぁ…。
(そう言って、悩まし気に己の鞄の中を漁り始めた。
魔道書か何かあればいいのだが。
もっとも、無かったとしてもここは図書館、本棚を探せばありそうだが。)
■菊夜 > 【おそらく、頭の上に?を浮かべるソラを見て疑問に思ったのだろう】
【ソラには友達が見えていないのではないか?そう気になり『友達』に問いかけた】
「もしかして…具現化してない…とかないよね?」
「……馬鹿ぁっ!私を困らせるのはいいけど、ソラちゃんを困らせるのはやめてってば!」
「いや、面白そうだったから、って…もー…」
「えへへ…ここなら、私が『友達』と話していても異端に見られない、って思ってたんだけど…」
「今はこの子一人だけだよ?
私が本を読みたいーって言ったら『人間界の書物にも面白いものはある』とか何とか言って、付いてきたがっちゃって…」
【何せ、たった今その『友達』が面白半分で遊んだのだ】
【もし相手がソラでなければ…と不安で胸が一杯になる】
【それでも口で嗜めるだけで許すあたり、付き合いの長さがうかがえる】
「いや、素直にこの子に出てきてもらえば…いや、そんな理由で突っぱねられても…うぅ」
「私は奥の方を探してくるから、ソラちゃんはそこら辺に座ってて?」
【どうやら『友達』は意地でも姿を見せたくないらしい】
【仕方なく探しに行くようだ】
■蒼穹 > そだね…見えないから具現化してないんだと思う。
いやいや、お構いなく…。
(鞄を漁る手を一旦止めて『友達』とやりとりしている彼女に一言。
それから、何かを探し、把握するようにきょろきょろ視線を辺りにやりながら、暫くして虚空に向き直った。)
この御友達は結構な悪戯っ子みたいだね?前にこんな子いたっけな…?
あっはは、…悪い子だね。
私に悪戯するだなんて、さ。
(そこは、傍目から見れば虚空だろうが、恐らくそこに彼女の話相手がいるだろうと推測。
さて、彼女が話している向きに己も声をかけてみる。
そこには恐らく、彼女の『友達』がいるのだろうか。見えないし、聞こえもしないから分からないが。)
んん、大丈夫大丈夫。
この島変なヤツ多いからよっぽどでなきゃ異端者扱いもされないさ。
へぇ、そう。…キクヨはいっつも御友達連れてるよね。
んーと、その子、私も知ってる子?
(自分と彼女の関係を知っているなら、多分前にも会った子ではあるのだろうか。
もしくは、前に会ったときも、こうして隠れていたかのどちらかになるが。)
死霊でも、書物に興味持つんだ…。
…ん、んー。りょーかい。
気を付けなよ?またこけたらダメだからね。
っていうか、ちゃんと治療した方がいいんじゃない…?痛そうだし…。
(煮え切らない様な返事。
彼女はたまにこうして動転してそそっかしくなると想起する。
一人で大丈夫だろうか。いや、今日は御友達がいるから二人で…ややこしい。
魔力を集束させたら、或いはその『友達』はこちらからも見えて、聞こえるだろうか?)
■菊夜 > 「せめて声だけでも、ほら、ね?」
「嫌?…んじゃあ今度からもう連れてこないから」
【どうやら、『友達』に対する態度を変えたようだ】
【流石にそれは嫌だったのか、声だけでも届かせる。ということで話が纏まった】
【とはいえせめてもの抵抗なのか、面白い魔術書との引き換え、といった条件を付けられてしまった】
「性格はアレだけど、戦闘能力も何もかもが秀でてるんだよね…そこがまた、なんというか」
「昔から兄弟同然で過ごして来たから、多分覚えていると思うけど…」
「多分、私みたいな愚図よりは出来てた人間…人間じゃないか。だったし、名前聞けば思い出せるんじゃないかな?」
「ほら、ヨルムって名前、覚えてない?」
【まるで反抗期になった子供を見つめるかのような視線を『友達』に向ける】
「ヨルムの居た世界だと、魔術に関する書物なんて無かったんだって」
「声を晒すなら面白い書物をくれ、だってさ」
「だ、大丈夫だってば…死なない限り治せるから、怪我しようがどうとでもいいでしょ?」
【とはいえ、魔術書は高い位置にあるのだ】
【手を伸ばしても、そう簡単に届かないことには気づいていない様子】
■蒼穹 > ああーっ、もう。だーから自分で愚図とか言わない!
はあ、そういうとこ、変わってないなぁ。
(会話の途中でずばんと一本彼女を指差して横槍を入れる。
仰々しく溜息を吐けば肩を竦めた。でも、変わっていないというのは嬉しいことでもあるのだけれど。
こればっかりは、悪い癖に思えて。)
んんー、ヨルム…ヨルム。
…あっれー、おっかしいなぁ、ヨルムって私に悪戯する様な豪胆な子だったっけ?
やんちゃだとは思ってたけど、会わないうちに、随分肝が据わったみたいだね。ん?
(腕組みして首を傾げた。
それから、相変わらず何も見えない、しかし何かがいるだろうそこに割と不遜な態度で話しかける。
己の声はそもそも届いているのかさえ分からないが、じきに声が聞こえるらしい。)
へー、そうだったんだ。ヨルムってじゃあ、読んだことないんだね。
参ったね…どんな魔術が良いのかな。私のは破壊魔法しかないんだけど、
これヨルムに渡したら絶対マズいって思うんだ。…あ、図書館の本を拝借してく感じ?
(面白い書物、それも魔術本と言えば、どんなものだろうか。
ヨルムのことだ、悪戯に使えそうな魔術の本でも見つけたら喜ぶに違いないだろう。)
………。
(少し、座ったままに魔術書や面白い書物を探す彼女を見守ろう。
手が届かないなら…抱っこしてあげようかな、なんて考えを馳せながら。)
■菊夜 > 「ひぅっ…なんなのさっ」
【急に大声を出されて縮こまってしまう】
「でもほら、ヨルムが優秀なのは確かでしょ?」
「私なんかとヨルムが同じ土俵で比べようなんて前程自体からおかしいよね…それじゃあ怒るのも無理ないよね…?」
【どうやら、『友達』改め『ヨルム』には声が聞こえているようだ】
【勿論、今の状態でヨルムは声を発する事は出来るが…菊夜は本を探すのに夢中で、通訳をしようとは思っていないみたいだ】
【しかし、どうやら具現化しなくても物を動かす程度なら出来るようで】
【ソラの前には本が並べられた】
『頭にくる上司への対処法』
『動じない心を作る』
『相手への怒らせ方』
【どうやら、並べた本から意図を読み取ってみろ、ということらしい】
「あっちの魔術の本は『ずばばーんとして!ぎゅいーんとやれば発動出来るよ!』みたいな本ばっからしくてね…」
「この図書館ならもっとまともな本見つかる…よね?」
【本の背表紙を確認しながら、離れた状態で会話する】
【攻撃性のある魔術に関する書物ばかりで、なかなかよさそうなのは見つからない…】
【もう一段上なら見つかるかな?と手を伸ばすが流石に無理だったようで】
【思わず脚元がふらついてしまう】
■蒼穹 > おっと、ごめんごめん。わわー、そうじゃない。そうじゃないから。
ヨルムは確かに優秀だけど、それでキクヨ自身を貶めちゃあだめだって事だよ。
…ま、そういうのはクセだろうし仕方ないんだろうけど。
(ちょっと声が大きかったろうかと口を紡ぎながらの謝罪。)
…はぁ。何だこれ。
(3つの本のタイトル。最後の本だけはどう考えてもおふざけ他ならない気がする。)
さては私かキクヨにでも悪戯して怒らせようって魂胆かい?
(なんというか、少なくとも挑発的に見えるのは、気のせいだろうか。)
ふぅーん、大体そういう感じばっかだね。
うん、多分ね、こっちは色々本が―――ッ
(見守っていてよかったのだろうか。そういった矢先に彼女の足元が狂ったのが見えた。
「相変わらず、世話が焼けるなぁ。」と内心で独り言つ。
彼我の距離はどれくらいか?ふらついたまま転倒しそうであるなら、
その距離がどれくらいにしても、少なくとも立ち上がってそちらへと駆け出すことは確か。)
■菊夜 > 「んぅ…事実を言っているだけでしょ?」
「昔からだもんね…ごめんね…こんな面倒な友達で」
【そもそも、今は深夜である】
【ドッタンバッタンと転げ回って大きな音を出している菊夜が物を言える立場では無いが】
【おそらくヨルムの姿が見えていたのなら殴りたくなっていた】
【そう断言をしてもいいようなニヤケ面を浮かべるヨルム】
『残念』
『貴方の意見は間違っている』
【少し離れたところにこの本が置かれた】
『好き勝手をして何が悪い』
「感覚的なものばかりだし、説明しろと言われても困るんだろうけど…」
「きゃうっ…おっと、っと」
【思わずよろけてしまう菊夜】
【なんとか後ろに手を付くだけで済んだのだが】
【その後ろにはソラが駆けよっていたところ】
【二人はあわや衝突しかけてしまう】
■蒼穹 > …だーかーらー…。
んんー…どうしたものかなぁ。
(話は平行線。何をどう言ったって、彼女のこの性格は変わらないのは、薄々わかってはいたのだが。
こればっかりは、どうしようもないのだろうと、卑屈モードの彼女に困り顔。)
んん、ええっと…。
…はぁ、苦労するね、キクヨは。
(今度はこっちから仕掛けられるように、死霊術の一つでも嗜もうか。
死霊を認識する魔術くらいなら、低位な筈だ。
見えないからと調子に乗るのは良くないという事をその身を以って知らしめてやらねばなるまいと密かに意気込んだ。)
…あ、あっ…!
(手遅れだったか。
強化魔法でも使ったら良かった。
そんな後悔を一つ。結果的に衝突してしまって、菊夜の上に覆いかぶさる様な感じになった。)
ご、ごめんね。
(そのまま、そこから退きもせず謝罪を述べれば、暫く。)
そ、そろそろ治癒魔術…使った方がいいんじゃない?
(今日は色々転んだり、怪我する事が沢山目立った彼女に提案する。
して、覆いかぶさった状態からその後どうなったかは、また別の話。)
■菊夜 > ガンガンそーいったのは言ってくれていいからね
何もソラ相手だけって訳じゃないからさ
まあもうここ落とすから他んとこでの連絡頼むわー
ご案内:「図書館」から菊夜さんが去りました。
ご案内:「図書館」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「図書館」に四十万 静歌さんが現れました。
■四十万 静歌 > 「――で、これが――
じゃなくて……うぅん。」
辞書を引きながら、英語の本の和訳をしている。
熱中するあまり、
時間がかなり過ぎ去っている事にも気づかずに。
「……あ、でも、これは……
違う……!
――はぁ。」
そして煮詰まって来たので本から眼を離し、
テーブルに肘をついて、両手を組んで、
その上に顎を乗せ――
「根つめすぎたでしょうか……」
などといって大きくため息をついた。
■四十万 静歌 > 「ん――」
一旦帰ってやろうかなぁ、
なんて事が脳裏によぎるけど、
このまま後少しなんだから、
続けてしまえ、なんて声も聞こえる気がする。
とりあえず今一つ分かったのは――
「翻訳のお仕事ってほんと大変なんですね……」
自由研究の宿題に薄い英語小説の翻訳をして、
それを提出しようなんて、
思った自分が馬鹿だったなんて思い始めているが、
今更後には引けないのである。
ご案内:「図書館」に奇神萱さんが現れました。
■奇神萱 > この島にはいくつか大きな図書館が置かれている。
今日はそのひとつに来ていた。
未分類の資料がつまった紙箱を抱え、店を広げられる場所を探していた。
「ん。あいつは……」
四十万静歌。大時計のてっぺんで歌っていた女だ。
むずかしい顔で唸って頭を抱えるような仕草をしている。
「なにが大変だって?」
隣の席に荷物を下ろした。
■四十万 静歌 > 「ひゃっ!」
声をかけられて思わずびっくりするが、
直ぐにちょっと慌てた様子で
「き、聞いてました?
いえ、その、そのですね……!」
とりあえず、深呼吸して気持ちを落ち着けて――
「自由研究で小説の和訳をしようと思って、
頑張ってやってたんですけど、
翻訳って難しくて、
翻訳の仕事してる人って大変なんだなぁ……
っておもってました。」
えへへ、と頬をかいてにっこり笑ってそう答え、
ふっとおろされた荷物の方へと視線が向かう。
「あの、それは……?」
■奇神萱 > 遠くの席で自習をしていた生徒が何ごとかと振り向いた。
片手をそっと上げて「なんでもない」とジェスチャーして、人差し指を口に当てた。
「考えてることが全部口に出るタイプだったか」
「考えに整理をつけるために口に出してみるやつもいる」
「一度喋って、耳で聞く。そうすれば別の視点がみつかるかもしれない」
「これは……ちょっとな」
言いよどむほどの物でもないが、続きを促されているようで笑って答えた。
「わかった、降参だ。言うよ。何をしてると思う?」
ボール紙で作られた大きな立方体。分類用のタグがついた蓋に手をかける。
「―――宝探しさ」
■四十万 静歌 > 「ええ、おはずかしながら、
気づいたら全部言っちゃってる事が多いですね……
確かに、口に出してみれば、
何か変わることもありますよね。
ええ。だから、悪くはない……といいたいのですが、
私の場合気づかないうちに口に出してるだけなので。」
恥ずかしい、と真っ赤になって俯いて、
何をしてると思う?
といわれても、サッパリ分からない。
だが、宝探しといわれて――
「わ、宝探しですか、
なんだかドキワクしますね……」
声を潜めながら、
わくわくが止まらないというような笑顔を向け――
「お手伝いしても、いいでしょうか?」
上目遣いにそんな事を提案するだろう。
お宝に凄く 興味があります。
■奇神萱 > 「得体の知れないやつよりずっといいじゃないか。考えがわかれば親しみも湧いてくる」
物は言いようだ。解釈ひとつで世界は変わる。
「外の世界がごたごたしていた時期―――今もなにかと物騒なご時勢ではあるが」
「この島には多くの資料が持ち込まれた」
「一口に資料って言ってもいろいろだ」
「美術品みたいな一次資料から、聞き書きみたいな二次資料。研究論文に学会誌。調査統計。音声。映像……」
「何でもござれだ。受け入れられるだけの設備があるからな」
「ある日突然ミサイルが降ってきたって、守るべきものは守られる」
「ここを仕切ってる連中が人を使って集めたものが、半分かそこらを占める」
「一般のコレクターだの篤志家だの、やむを得ない事情で泣く泣く手放したやつもいた」
「俺が探してるのは情報だ。それも無名のものを探してる。金目のものはないぞ」
わかりやすいやつは好きだ。
明るいところで見たらだいぶ印象が変わった。あの時は随分おかしな格好をしていたからな。
紙箱のひとつを開けて、雑多な紙ペラの中から五線譜を抜き出した。
「大抵はここに作品のタイトルがあって、作者の名前はここにある」
「意味がわからなくても構わない。こういう楽譜を見つけたら、アルファベットをそのまま書き取ってくれ」
「そっちの翻訳はいいのか?」
別の紙箱に新しいノートをのせて押しやる。
■四十万 静歌 > 「そういう考え方もあるんですね。」
なんてクスっと笑って。
あ。
と、はたとマントを脱いでいた事に気づく。
そういえば椅子にかけっぱなしである。
今から着てもしょうがないのでそのままにする事にして、
話を聞きながら、
「――つまりは――
今だ世に出ていない、
素敵な音楽が宝、というわけですね?」
なんて、五線譜をみていうだろう。
宝らしい宝、よりも、なんて浪漫溢れる話だろう。
――宝と一概にいっても、
これほどまでに素敵な宝はそうそうないと思う。
「いいですね。
そういう浪漫溢れる話は大好きですよ。」
なんて人さし指を立ててクスリと笑う。
「分かりました。
精一杯書き出させていただきますね。
それにしてもよく集めましたね?」
と、小首をかしげつつも、翻訳について聞かれると――
「行き詰っていましたし、
いい気分転換になります。」
などと笑って返すだろう。
■奇神萱 > 四十万静歌は何か気にしている様子でマントに目をやっていた。
「あれな。ドラキュラのコスプレか何かか? 無い方がいいぞ」
「隠さなきゃならない様な面でもないだろ」
第一印象ははっきり残っていなかった。認識できないわけじゃない。
後でもやもやして思い出せなかっただけだ。本人に会えばこいつだとわかる。
今はどうだろう。はっきりと整った顔立ちだとわかる。
十人が十人美人だと断言するに違いない。
「もとの持ち主は民族音楽の研究者だった。趣味で作曲もやってた男だ」
「フィールドワークが専門で、世界中を飛び回ってた」
「音楽は人が奏でるものだ。だから、人が死ねば音楽は途絶える。消えていく」
「たとえば、どこかの山奥の村の祭をイメージして欲しい」
「昔からやってる祭だ。爺さん婆さんと子供たちのお楽しみだ。祭には音楽が要るよな」
「そういうのは楽器が弾けるやつが担当してる。譜面なんかどこにもない」
「そいつは親父か爺さんから手ほどきをうけて教わっていて、先祖代々ずっとそうしてきた」
「外の世界の混乱は、そういう小さなかがり火を滅茶苦茶に吹っ飛ばしていった」
「人が死ねば音楽が死ぬ。古きよきものは消えていく。人の血と想いがかよった文化が無に還る」
「そんな状況をどうにかしたかったのさ」
俺には消えていくもののために全てを捧げ、身を粉にして働くような情熱はない。
せめて忘却の彼方に運び去られる前に手を差しのべられるだけだ。
「これでもまだ足りないくらいだ。運び込まれるのが間に合わなかった分もある」
「同じような研究者たちが、18世紀からこのかた数えきれないほど世界を飛び回ってきた」
「ここにあるのは一人分。しかも完全じゃないんだぜ」
「とにかく、楽譜が混じってそうな箱だけ選んできた。適当に見てみてくれ」
仕事をはじめよう。
■四十万 静歌 > 「いえ、トレードマークなんですよ。」
と、ちょっと苦笑しながらいう。
「――これがないと気づかれない事もあるくらいですし?」
なんてクスリと笑う。
そういえば、確かに整っているが――
妙に記憶に残りづらい顔である事に気づくかもしれない。
記憶に残るとっかかりがないが故に。
ともあれ、ふんふんと話を聞いて、
「なるほど、確かに口伝や、伝授に際しては、
様々な分野で、記録に残らないものも多々あり、
戦火もそうですが、血筋がとだえてなくなったものもある。
――それを生涯をとして残した結晶であれば、
之でも不完全なのは確かに納得できる話ですね。」
と頷きながら、仕事を始める。
楽譜をみつけて、アルファベットをそのまま書き取る。
それにしても、
一体どんな曲なのか。
「~~♪」
書き写しながら、思わず楽譜の音階にそって、
小さく口ずさむかもしれない。
口ずさむ事で楽しくなってくる気がして、
どんどんと仕事を進めていく――
■奇神萱 > 「ドラキュラの女版ならレ・ファニュのカーミラだな。まだ読んだことはないが」
「真っ黒けのマントが本体で、自分はおまけか。そんなもの、カカシにでも着せといてやったらどうだ?」
四十万静歌はそれでいいと思っているのか。その心理は自分の理解の外にある様だった。
「20世紀の作曲家、フリッツ・クライスラーは世界でも指折りのヴァイオリニストだった」
「演奏旅行で世界を旅した。歴史のある街にたどり着くたび、古い図書館をたずねて回った」
酸化がすすんで赤茶色になった紙をそっと置き、頬杖をついて五線譜を読む。
「目的はわかるよな。今の俺たちとそっくり同じだ」
「クライスラーは忘れ去られた名前をたくさん掘り出すことに成功した」
「だが、それだけで満足するような男じゃなかった」
「失われていく過去の精華に、自分の手で命を吹き込むことにしたのさ」
取材経緯の書き込みをみつけて手元のノートに書き写す。
地名。推定される形成時期。どんな人が伝えていたのか。地域性に関する私見。そういうものだ。
「経年劣化で崩れやすくなってる。気をつけてほしい」
「すこし力をこめるだけで塵になるぞ」
■四十万 静歌 > 「私がカーミラなら賛美歌を聞いたら、
打ち震えて動けなくなりますね。」
なんて笑って答え、
「まぁ、それに、私は手品師ですから、
手品の種も一杯仕込んでいるのですよ。
――ま、ええ。
目立ちたくないっていうのが根底にあるのも、
一つの理由でしょうか。」
とさらりと言いながらも、
目立ちたくない、との言葉に少し言いよどむだろう。
「自分の手で命を吹き込まねば、
この資料のように消えてしまう――
だから、
新しい命を吹き込み、
それを永劫に留めよう――
……一度あってみたかったかもしれませんね。
とっても面白い話が聞けそうです。」
などといいながら、
確かに経年劣化が酷いものだと、
触れただけで塵になりそうな気がする。
端がぱらりといくだけならいいが――
ならば、と、異能を少し使うとしよう。
微細な力の流れを感じ取れるように、
崩れる予兆という違和感を少し強くする事で、
自らの力を調整し、崩れない程度の力に留める。
「話は聞けないけど、そうですね。
――その人の大変さもまた、
伝わってくるようです。」
■奇神萱 > 「手品は好きだ。盛り上がるからな。どこかで舞台に立ったことが?」
「ハリー・フーディーニの大脱出も今は昔。この島じゃ種もしかけもない大魔術が幅をきかせてる」
何か事情があるらしい。深入りは禁物かもしれない。
「クライスラーは先人たちのエッセンスを吸収して、その精髄を自分の才能で補った」
「見つけだしたものに手を入れて、自分自身の演奏で世に送り出していった」
「プニャーニ。カルティエ。フランクール。ディッタースドルフ。ヴィヴァルディ」
「昔からの研究者たちは驚いた。過去の大家の未発表作が急に出てきたんだ。そりゃ驚くさ」
「やがて、疑問を差し挟んでくる人間が現れた」
「見つけたものを出せと言ってきた。クライスラーは明け透けに答えてやった」
「これは先人の仕事に倣ったもの。ほとんど自分の作品だとね」
「クライスラーにとって、元ネタの有る無しは重要じゃなかった。後ろ暗いことなんか何もなかった」
「だが世の中は許さない。人騒がせなおっさんは破滅させられそうになった」
記録をつけて次の箱へ。手記のようなものを開いてランプの下で飛ばし読みする。
「………これは面白いぞ。女のことが書いてある」
「あの手この手で誘ってみたが、戦果はイマイチだったらしい。要は…なるほど。フラレたんだとさ」
■四十万 静歌 > 「いえいえ、まさか。
――私は芯からの臆病者、というだけの話ですよ。」
とウィンクして答え。
「この島の大魔術、確かに、この島は、
ありとあらゆるものが混在した、
一種の異界。
それを大魔術と証するなんて、やっぱり萱さんは芸術家ですね。」
とにっこり笑う。
それにしても、と顎にひとさし指をあてながら。
「――それにしても、
クライスラーはなんとも大それた魔術を使ったものですね。
失われた記録を元に自分のものに。
でも、本来ならばそのまま失われていたもの。
探し出せなかったほうが悪いのさ。
なんて良いそうです。
――破滅させられそうになっても、
破滅はしなかったのは、
更なるものが見つかると期待した人もいたのかもしれませんね。」
なんていいながら、どれどれと覗き込み。
「これはまた――
なんというか、こんな記録が読まれているなんて、
思っても見なかったでしょうね。
そういえば……」
日付を見る。
「似たような時に発見されたものに失恋の曲があるのは、
なんとも皮肉、というべきでしょうか?」
なんて、いいながら、書き記した楽譜を差し出す。