2015/08/02 のログ
奇神萱 > 「いつも観客に恵まれて、拍手喝采を浴びられるとは限らない」
「逃げ場はどこにもない。それでも奏者は舞台に上がる。臆病だからこそ最善を尽くせるときもある」

臆病と卑怯は似て非なるものだ。臆病の対義語は無謀だ。ならば臆病は美徳じゃないか?

「ああ。クライスラーの働きがなければ先人の名は忘れ去れられたままだった。擁護する人間も現れた」
「それは動かしようのない事実だ。ずいぶん叩かれはしたが、結局は功罪半ばというところに落ち着いた」
「やったことは全部素直に白状したからな。手柄の方がずっと大きい」

「なになに? 女の名前は……ここまでにしとくか。さすがに気の毒だ。化けて出られたら厄介だしな」

楽譜を受け取って五線譜を追う。手書きの音符もどこか萎れて見える。手直ししたような跡があった。

「面白そうなものを見つけたな。もしかしたらクライスラー式の「発見」かもしれない」
「これもコピーに回そう。リストに印をつけといてくれ」

「―――さて、こっちの分は終わりだ。小説を訳してると言ったな」
「見せてくれないか。語学には自信がある。対訳をしてるならチェックがいるだろ」

くー、と腹から気の抜けた音がする。ひもじさに耐えかねて腹をさすった。

「……その前に飯にしないか? 近くにいい店を知ってる。ちょっと早いが、また戻ってきて続きもできる」

四十万 静歌 > 「あはは、そうですね。
 ――いつか、私も舞台に立つ日が来るのでしょうか――」

重く澄んだ響きは、どことはなしに、
手品の舞台という意味合いではなく、
もっと広い意味合いを含んでいたかもしれない。

「まさに運命はあざなえる縄の如く、
 ――本当の意味で罪に問える人間もまた、
 どこにも居ないですしね。
 総じて見て凄い人だと思います。」

なんて微笑み、リストに印をといわれて、
はいっと気合を入れて記しを入れる。

「他にも手記の書かれた時期と見比べてみると、
 何かみつかるかもしれませんね。」

なんて楽しそうにいいながら、
チェックしてくれるといわれると、
嬉しそうに両手を合わせて頬にあてて小首をかしげ、
嬉しそうに笑い、

「是非お願いします。
 確かに――
 少し私も……」

くーとお腹がなると、こちらもくーとお腹がなった。

「お腹がすきましたし、
 一緒に食べに行きましょうか。
 おススメの店楽しみですね。」

なんて、片付けた後に、
くるくるとマントを手にもって立ち上がるだろうか。

奇神萱 > 「その気さえあればいつでも。舞台は自分で作るもんだ」
「誘われるのを待ってるだけじゃ同じ毎日が続くだけだ。嫌なら歌え。どこでもいい」
「俺は好きだぞ。お前の歌が気に入ってる。売れる売れないは関係ない。もっと大勢の人間に聞いてほしいと思ってる」

自信をもって背中を押した。気に入ったものははっきりとそう言うべきだ。
四十万静歌がしたことを真似しただけだ。

「通し番号が振られていない資料もコピーを頼める。便利なもんさ」
「依頼だけ出しとけば後日まとめて届いてくる。閉架式の方に収まってる資料はそっちが基本だな」
「興味があるなら演ってやる。『フランクールの様式によるシチリアーノとリゴードン』はいいぞ。また今度な」
「飯のあとは寮に引き揚げてもいいな。任せる」

紙箱を元どおりに片付け、コピーの手配まで済ませるとそこそこいい時間になっていた。
ひもじさもひとしおだ。いつものようにケースを抱え、四十万静歌を連れて夕飯を共にするのだった。

四十万 静歌 > 「そう、ですね。
 ――少し、考えて見ます。」

眼を真っ直ぐ見て真剣に、そう答え、
柔らかく微笑むだろう。
歌えば良い、か。
――……

「今度是非お頼みしますね。
 まぁ、食べながら考えましょう?」

なんて、いいながら、一緒に夕食にいくのである

ご案内:「図書館」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「図書館」から奇神萱さんが去りました。
ご案内:「休憩室」にサリナさんが現れました。
サリナ > 禁書庫から出れば、そこにはいつもの日常。図書館は静謐だが、そこには人の気配を感じられる。
安心…とでも言うのだろうか、そんな感覚を覚えつつ、同時にどっと疲れが押し寄せてくる。

日の目を拝む事のできた私は真っ先に休憩室へと向かったのだった。

「はぁ…………」

頭が痛い。体に奇妙な感覚が残っている。とにかく疲れているのだ。
休憩室の椅子に腰掛ければ、ぐったりしながら溜息。

サリナ > …禁書の解読、それが私が少し前に受けた依頼だった。
夏季休暇である事も手伝ってか、まとまった資金が欲しい私はまず詳しい話を聞いた。

その奇妙な禁書は、中を覗いた者を本の中の世界に誘うという。
そしてその本の世界に行った者は戻ってこなかった…という説明を受けたのだが、
色々考えた末に自分の精神…幽星体だけを向こうに飛ばすという方向性を模索し、それができそうだったので依頼の件は了承した。

しかし一口に解読、といっても本の中で起きた出来事を逐一報告する感じだった。
現在の進捗状況は、一応は私の目論見通りに本の中に入ったまではよかったが、その中では思ったように魔術の行使ができず、
色々術式の構成を試したりするうちに時間が経ち過ぎて、幽星体が保てなくなってこちらの世界に戻ってきた、という按配だ。

サリナ > 「はぁ………」

またしても溜息。
別に何かが嫌になった訳ではないけれど、何故だか出てしまう。
肉体と精神の乖離をさせ過ぎたせいか疲れすぎている…?

しかし自分の生身で本の中の世界へ飛び込むよりかは万倍良い。
こうして無事にこの世界へと舞い戻ってこれたのだから…幽星体での活動にはその保証がある。

サリナ > 「…… …… ………… …」

じっとしてても仕方なし、今後の事もあるので幽星体での活動練習でもしてみようかと私は詠唱した。
すると目の前にじわりとだがそれが現界する。私と同じ姿…ではあるが、輪郭や影は青白く、よくよく目を凝らせばだが、向こう側が微かに透けて見える。
その私と同じ姿をした幽星体が目を開けると…

「………ッ!」

私の脳は理解を拒んだ。今の私の頭の中は一人称視点と二人称視点が混在していた。
簡単に言えば視界が二つある、という感覚。鏡を見るのとは訳が違う。それはとても脳が処理しきれない。
なので禁書の解読には生身の方の視界を塞ぐ、といった事で対応した。

それにしても聴覚が二つあっても、嗅覚が二つあってもこれ程の拒絶は起こらないだろうに…
何故こうまで視覚というのは脳に響くのか……そんな事を思いつつ私は幽星体の目を閉じた。

サリナ > ………何か不審な目で見られているような気もするので、そろそろ消そう。
図書館に幽霊が出た!という変な噂を立てられるのはよくないし……しかもそれが私と同じ姿だというのが尚良くない。
実はサリナさんって幽霊なの?と聞かれても私は正直に幽体離脱してましたとおかしな事を言わなければならないのだから。

幽星体へ消滅指示を出せば、すっと空気に溶け込むように消えていった。
さて、今日の所は帰るとしよう。禁書の解読はまた明日にでも…

ご案内:「休憩室」からサリナさんが去りました。
ご案内:「禁書庫」にギルゲイオスさんが現れました。
ギルゲイオス > (ややと薄暗く、明かりの落とされた室内。
周囲に充満するのは、古本独特のかび臭いにおい。
静寂に包まれる中、小さく響くのは紙を捲る規則的な音と)

くぁ……ふ、うぅむ、少々読みふけり過ぎたか。
(あくびであった。
禁書庫の片隅、椅子に腰かけて古びた分厚い本を読む魔王の姿が)

ギルゲイオス > (左側には、既に読み終えた本の山。
右側には、これから読む本の山。
どやら、ほぼ一日中こもりっきりであったらしい)

これは、本の魔力、という奴であるかな?
外に比べると濃く充満している分、飲食せずに済むのは、救いであるが。
(文字を追いかけ、ややとシパシパとした目を指でこする。
その多くが非常に冒涜的な内容で、文章を追い、必要な分部を抜き出すだけで相当に疲れる)

うぅむ、いかんな。
精神障壁を張り直しておくか……
(立てた人差し指を、虚空で一周。
淡い光が広がり、消えてゆく。
常人であれば正気にヤスリを掛けるような内容も、自身にとっては少々と負担が大きい程度。
とはいえ、余り意識を弱め過ぎると、よろしく無い事が起こりかねない。
保険の意味も兼ねて、耐性を高めておく)

ご案内:「禁書庫」にサリナさんが現れました。
サリナ > 「………」

禁書庫の扉を開ければ、そこは異質な空間。
それは最近ここに足を運ぶ事のある私にはわかっている事。
…のはずだった。今、この場に何か奇妙な感覚があった。

「…… …… ………… …」

中に入り、扉を閉め、詠唱する。

「…ッ!」

奇妙な感覚を覚えた原因を探ろうと精神体で禁書庫の奥へと行こうと思ったが、何故か、それが押し戻されるような感覚と共に失敗した。
……この空間にそれができなくなる程の何らかの干渉がある。

…仕方ない、生身で行こう。足音を響かせて、奥へと向かった。

ギルゲイオス > (黙々黙々と、知識を拾い上げ、脳に刻み付けていく。
微妙に不味い情報もあった気がするが、まぁこの辺は後で適当に忘れておくとしよう)

しかし、座学というのは何故こうも眠たくなるモノかの……
我にとっては都合のいい場所故、数日位はずっと、と思っておったが。
これは、やはり日ごとに帰って寝るべきか。
(元居た世界、そこに住む魔族の特性として。
魔力さえ供給出来ていれば、ある程度食事は不要となる。
ここが禁書庫なんて場所でなければ、住んでもいい位だ。
あくびを噛み殺し、意識を本へと向け直す、のだが)

……………ん、む?
(危うく夢枕に蛸の邪神様が現れかける、その寸前。
魔力か、或いは魔術か。
恐らくは入り口の辺り。
妙な気配に、意識を取り戻す。
海底遺跡の辺りから舌うちが聞こえた様にも思えたが、多分気のせいである)

ふむ、誰か来るか。
(足音、恐らくこれは、生身の誰か、という事か。
まぁ場所が場所だが、警備は緩い。
人が何時と来ても可笑しくはない。
音の方向に視線を向けたまま、様子を伺う)

サリナ > 禁書庫の奥へと練り歩けば、すぐに原因かもしれないものを発見した。
それは浅黒い肌で赤い目をした男だった。待ち構えるように私を見ている。
見れば、本の山が左右に積まれている。禁書指定された本をこれだけ読み漁るつもりなのかと、目を疑った。
変わった事はそれだけだが、禁書庫に誰かが居る時点で十分異常な事態だと思う。それに図書委員には見えない。

「…先客が居ましたか。あなたの他には誰か居ますか?」

精神体での活動ができない原因はこの人かどうかは今の時点ではわからない。もしかしたら他に誰かが居て、それが原因なのかもしれない。
それか、禁書自体が原因の可能性もある。これだけ読んでいるのだからそういう事もありえるかもしれない。

ギルゲイオス > (待ち構えた結果、やってきたのはメガネの女性。
制服を着ている辺り、恐らくは学生か。
妙な視線を向けられている気がして、ちょいと頭を横に傾け)

いや、朝からここにおるが、我とお主以外には見ておらんの。
まー、もっと奥の棚の隅の影に何か潜んでいる可能性は否定できんが。
少なくとも、目にはしておらぬ。
(僅かに冗談めかして喉を鳴らせば、挨拶代りに軽くと手を振る。
なんだか微妙に警戒されているような気がしなくもない)

サリナ > 「……なるほど」

つまり何かが潜んでいるのを省いて私と目の前の人しか居ない訳だ。
朝からこんな場所に居るのは気になるが、面倒な事は聞かずに核心に踏み込むべきだろう。

「あなたは何か魔術やそういった類のものを使いましたか?それもこの空間にいくらか影響を与えるほどの」

正直、一番怪しいモノである目の前の男を警戒している。何か起こった際の事を何通りか頭の中で考えながら返事を待つ。

ギルゲイオス > (相手が此方の返答を噛み砕いている間、首の骨を小気味よくと慣らし。
手にしていた分厚い本を、膝の上に置く)

あぁ、今さっき、位かの。
妙なモノを呼び寄せぬ様に、障壁を張り直した所であるな。
なるほど、妙な感覚が先ほどあったか、お主か。
恐らくは、それに干渉してしまったのかも知れぬな。
いやはや、申し訳ない。
(微かに口の端を上げれば、掌で後頭部を掻く)

サリナ > 「それで幽星体の現界ができなかった訳ですか…いえ、よくわかりました」

妙なモノと言ったが、確かに妙なモノだろう。半物質でできた霊体は負の力との親和性が高い。
それを障壁が妙なモノだと認識して反応したのならば、先程の感覚にも納得が行く。

しかし、問題はそれだけでは解決しない。何故ならば禁書というのは持ち出しが禁止だからである。
つまりこの人が居る限り、私は禁書の解読ができなくなる。自分の身を守る為に精神体での活動が必要だからだ。
と言っても、この人も悪気がある訳ではない。自分の身を禁書から守る為の術を行使しただけなのだから。

「…あなたは朝から居ると言っていましたね?そろそろ休憩なさってはいかがでしょうか?」

とりあえずはそう言って退室を促す。朝から居るのならば休息は必要だろう。

ギルゲイオス > 幽星体?
あぁ、霊体やら精神体やらそういう部類のモノであるかな。
確かに精神干渉やらその手の部類に対する障壁だった故、ジャストミートであるの。
(さもありなん、といった所か。
つまり、幽星体とやらで入って来ようとしたが、障壁に見事に阻まれてしまったと。
考える間でもなく、原因:我、である)

そう、であるなぁ。
いい加減ボチボチと疲れた所ではあるのだが、もう少し探してみたくもあるのだ。
先の一件で、少々目もさえたしの。
(ややと天井を見上げれば、思案気に呟く声と。
視線を巡らした後、一拍と置き)

その幽星体とやらにならぬと、何か不都合があるのかの?
必要であれば、障壁を変更してある程度の対処も出来るのだが。

サリナ > ふむ、彼の疑問は最もだ。ならば説明しなければならないだろう。

「私は禁書の解読を依頼されているんですが、その本は読むと本の世界に入り込んでしまうんです。
 なので、生身ではなく、幽星体……精神体とか霊体とでも言えばわかりやすいでしょうか、それになってから禁書を開くんです」

ある程度の対処をしてもらえるのならば彼がわざわざ出て行く必要もない。
簡潔に必要性を述べた。……そういえば彼は一体何者なのだろうか。実は図書委員、だとか…?

ギルゲイオス > それは随分と危険な本であるな。
本の世界、か。
本の中に領域を作り出し、引き摺り込む……トラップか、たちの悪い悪戯か。
(興味半々といった所で、呟く声と)
なるほど、分かったのである。確かにそれなら、我の施している術は確かに邪魔である。
(一つ息を吐くと、本を閉じる。
この本も飽きたし、後で別のを開くとしよう)

では少々と待つが良い。
(言った直後に、両手を二度と叩いて合わせ)
と、仕込みをしている間に自己紹介を。
我は魔王、ギルゲイオス・ホッドケーテである。
親愛と畏怖を込めて、ギルと呼ぶのがよい。
(何時もの自己紹介に合わせて、まずは先に張った障壁が消失する)

そして、次はこう、っと。
(立てた人差し指を、くるりと回す。
一瞬光が現れ、それは広がらず、自身の体のみに纏わりつき。
そして消える)

障壁の範囲を変更した。
効果は我だけになったが、その分、この禁書庫に現れる存在に対する予防は無くなったの。
不意に何か現れるかもしれので、注意するが良い。
万が一があれば、我も協力するでの。
(現状を伝えると、これでどうかの?と首を僅かに傾げる。
障壁が無くなってコレ幸い、かどうなのか。
隅の影が若干淀んだようにも思えた)

サリナ > 「は?まおう?」

今、魔王と言ったか?確かに目の前の人物は自分を魔王だと言ったのだ。
私の世界でもしばしば魔王という伝承は存在する。それは恐ろしいものとして描かれているのだが…

目の前の人物にはそのような威厳は感じられない。魔王に限らず王という者の衣装はもっとこう、布が多めだと思う。

しばし魔王という言葉の意味を考えながら、彼が魔術行使をする様をぼんやり見ていた。
他に彼が何か言ってたような気もするが、『どうかの?』という言葉にだけ反応できた。

「ああ、多分大丈夫かと思います…」

ギルゲイオス > まぁ、その顔から大体察しはつくのである。
(『魔王』と名乗れば、皆大体同じ顔をする。
見慣れたモノでもあり、ちょいと肩を揺らし)
簡潔に言ってしまえば、お主の想像しているような『邪悪な魔王』ではない。
我の元居た世界には、人類族と、魔族がおっての。
(額にある、もう一つの目を開き。
その赤い瞳が、相手に向けられる)

その魔族という種族の王、という事だ。
大昔は兎も角、今は人と魔もソレなりに仲よくやっておる故、そういう世界の魔王なのである。
(此方の世界では威厳の無さに定評のある魔王、泣きたい。
とりあえず置いておく。
もうちょっとこう魔王っぽい姿にもなれるが、重くて邪魔くさいのである)

ならば良し、それでは。
(本を左の山に置くと、立ち上がり)
では行こうか。
(ついていく気満々である)

サリナ > なるほど、つまりはそういう世界からやってきた…いわば私と同じ異世界人という事だ。
彼の額にある目に見られて、少し強張る。いや、別に三つ目が怖いのではなく、瞳術とか変なものをされないかという心配をした。

「よくわかりました。あなたもここでは異世界人…という事ですね。」

そっと、目を逸らそうと本棚の方に向く。割と近い所に置いていたので目的の本を取り出して、申し訳程度に置いてあったテーブルに置いて席についた。

「…… …… ………… …」

詠唱、そして私の隣に霊体が現れた。輪郭や影が青白く、よくよく目を凝らせば向こう側が僅かに透けて見えるだろう。彼が障壁を解いたのですんなりと出た。
半物質でできたそれは、私といくらか感覚を共有している。しかし、視界が二つあるというのは脳が理解を拒むので、生身である私は詠唱していた時点で目を瞑っていた。



さて、ここからの私は霊体である。本体は私の隣に居る。

とりあえず席について本を開こうとするが、何やらさっきから気配がするのに気付いていた。気付かない振りをしていたかったが…
なんというか、こう、打ち捨てられた子犬にちょっと餌をあげたらなんかついてきてしまったかのような……

「あの、あなたもついてくる気ですか?言っておきますが、本の世界であなたの能力が十全に発揮できるとは限りません。
 魔王と言いましたが、凡人になり得るかもしれません。私ですら術式の構成を一からして試行錯誤しましたし、
 襲い掛かってくる生物もいます。あなたが生身で来るというのであれば、危険です」

ギルゲイオス > (相手が動き始めたので、それにとっとこついてゆき。
我がもの顔で近場の椅子に腰を降ろす)

ほほう、これが幽星体であるか。
確かに霊体やらに近い感じではあるが、やや『こっち寄り』な感じであるの。
(半透明ではあるが、物質的な性質もある程度含んでいるようにも見受けられる。
幽体離脱なような形式であれば、体の方は半ば抜け殻になるのだろうが。
これは、むしろもう一つ自分を投影しているような、そう言う雰囲気だろうか)

おう?
(声を掛けられて、思わずと返事。
魔王様が捨てられた子犬とか、泣きたい。凄く泣きたい)

いやぁ、傍目から観察してみようかと、思ってた位なのだがな。
我はその本に対して特にコレと言って知識はないし、中で何が起こるか想像も出来ぬ故な。
(ヒラヒラと手を振ってみせる。
流石に、無策に突っ込もうと思う程、考え無しでもない)
お主の幽星体というのを真似出来ればよいのだが、一朝一夕にできるモノでもないしの。
我はとりあえず、ここに居るのであるよ。
万が一が有れば、何かしらサインを送るがよい。
出来る限りで、協力しよう。
(本の中身を見ない位置取りをしつつ、周囲に視線を巡らせる。
妙に淀んだ気配が二つ三つ。
突然襲い掛かってくることはないだろうが、ある程度自由に動けるモノが備えておくのも良いだろう)