2015/08/30 のログ
■牧瀬 莉那 > 「そ、そそそ、そうだよね、怪我したら大変だもんね。」
(そういえば・・・、よくあるかも)とか思いつつ。
ちょっと眼が泳いできょろきょろ。
「もちろんですよ!こうしてお話もできるし、手渡しのほーが絶対にいいもんね!」
優しい笑顔を見せる彼女に答えるよう
ぱっと花が咲いたように笑顔で言葉にする。
「うんっ、わたしが選ぶと似てるのばっかりになるから・・・。」
考えてくれてる彼女をじーっと期待に満ちた眼差しで見つめる。
まるで子供のようにわくわくした感じ。
どちらかと言うと自分はオススメされてるものや表にどーんと記載されている物に影響されやすい。
しかし、影響されやすいというのは彼女からの言葉にも影響されやすいということにも取れる。
少しの時間待っていると差し出された一冊の本、
(!)といった感じで気がついてそれを受け取り表紙とタイトルをじっと眺める。
「おぉー・・・!あまり見ないジャンルの本!委員長さん、さっすがー!
くすっと笑いがでるってことは、面白さがあるってことですねっ、わたし、こういう楽しさを表現できてる小説も大好きなんですっ、えへへ、楽しみだなー♪」
上機嫌に受け取った本をぎゅっと抱いて笑顔。
現実味を帯びた物ではなくて異世界を描いたその本はまた自分の興味をそそる物。
家に帰ったら早速読もうと心で呟く。
あ、っと気がついて
「選んでくれて有難うございますっ!委員長さんじゃなくて、えっと・・・、うーんと・・・。」
なまえ、わかんないし、委員長さんっていうのも何だかなーってところ。
親切に本おしえてもらえたし、凄く良い人そーだし、今後もいろいろお話して本のこと、そのほか日常のこともきいてみたいなーと思った、だから。
「お名前、きいてもいーですかっ、わたしは、1年のまきせりなですっ。!」
■谷蜂 檻葉 > 「ええ、そうしてください。」
ニコニコと笑みを浮かべて牧瀬を観察する。
どうにも、何か似たような子を以前にも見た気がするのだ。
元々自分が借りて帰る予定だった本を渡すと、随分と嬉しそうに。
ぬいぐるみから風船を受け取った子供のように――――
―――ああ、そうか。
(公園に居たあの子……。)
外見年齢7歳の少女によく似ている事に思い当たり、苦笑を漏らす。
「ふふ、気に入ってもらえたなら嬉しいかな。
一つ一つが軽くてすぐに読み終えちゃうとは思うけど、
読み返したり、友達におすすめの章を読んでもらったり。っていうのも良いと思う。
―――はい、じゃあ生徒証お預かりしますね。」
これだけ天真爛漫だと、巻き込むようにして人を明るく出来るタイプだろう。
普段見るタイプとはまた違った「変わった人」に目を細めて、貸出処理を始める。
「はい、これで貸出手続きは終わりです。
次回返却日はそちらのカレンダーの丸の付いている場所ですからお忘れなく。
……ああ、それと―――――」
荷物を取って、仕事を終えた据え置きのPCをシャットダウンして
閉館準備のための鍵と自分の荷物を手に取って立ち上がる。
「委員長は私じゃなくて、私は普通の図書委員。
二年次生の谷蜂 檻葉《タニハチ オリハ》よ。 宜しくね、牧瀬さん。」
そう自己紹介を済ませると、牧瀬を先に出るように促して消灯していく。
■牧瀬 莉那 > 「うんっ!」
元気の良い返事を彼女に返す。
なんだか自分とは違う落ち着いた雰囲気、
姉は居ないけど姉と呼べる人と話してる。
それにくわえて何だか懐かしい。
そんな気分になる。
・・・?
彼女のちょっと不思議な苦笑に微笑み見せながら首を小さく傾げる、言葉にはしないがなんだろーなっとちょっと思ったりして。
「そーなんだっ、でも、わたしはその方が嬉しいかもしれないですっ、読み入っちゃうと終わりどころが見つからなくて夜更かししちゃうし、たまに寝坊しちゃうし・・・あはは・・・。」
頬を指先でかきながら照れ隠しの微笑み向ける。
「あ、生徒証は、えーっと、あれ?、あ、あったあった、はいっ、おねがいしますっ」
カバンの中をがさごそ、走ってきたときにカバンの中は大変なことになっていた。
やっと見つけた生徒証を彼女に向けて差し出して。
・・・、凄く丁寧でしっかり者、落ち着いていて何だか雰囲気も落ち着く、自分とは全く違う彼女、なんだかいいなぁって思いながら貸し出し処理をする姿をじーっと見て。
「わかりましたっ、つぎはゆっくり、静かに返しにきますっ。」
忘れないように、とカバンに投げ入れた携帯のカレンダーにメモを入れておいた。
「っは・・・!委員長じゃなかったんですかー!すすす、すいません、てっきり委員長の風格が・・・、いや、なんでもないです!。
二年生の、おりは先輩、はいっ、宜しくお願いしますっ♪」
勝手な先入観で会話してた為反省!、慌てた様子で謝りぺこっと深く頭を下げた。
そろそろ閉館かな?来た時間も閉館すぐ手前だったし。
檻葉先輩の促しに応じて先に扉を開けて外に出て待っている。
■谷蜂 檻葉 > 「一度読み始めるとキリがいいところまで読みたくなるわよね。
私も、寝坊はしなくても、たまーに寝不足にはなっちゃうかな。」
図書館に納められている膨大な量の蔵書を前にしては読みたい本が余りにも多すぎる。
それを苦心して順序立てて次々読んではいるが、やはりそれでも間に合う気はしない。
そういった訳で持ち帰っては読み進めているが、
そうすると今度は変な責務のようなものを感じてしまって止むに止まれず……なんて。
朝方の授業で欠伸をかいているのはしょっちゅうだ。
「ん、それじゃ閉めますね。本日もご利用有難う御座いました――――っと。」
ガシャン。と、真っ暗な図書館の扉が閉まり、ロックが掛かる。
「じゃ、帰りましょうか。 牧瀬さんも女子寮?」
今日もまた、平凡で代わり映えのない。
―――いつも通り変わったことのある一日が終わる。
ご案内:「図書館」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
■牧瀬 莉那 > 「あ、檻葉先輩も夜更かししちゃうことあるんだ、意外でしたっ」
へらへらと笑って、カバンを後ろに回して両手で持ち。
またオススメとか聞きにいっちゃおうかなとか思ったりする。
勿論そのためもあるがもう一つ、檻葉先輩に会う理由にもなるから。
「ありがとーございましたっ、えへへ、まねっこです。」
檻葉先輩の動きを真似して優しく悪戯に微笑む。
「うんっ、あ、もしかして檻葉先輩もですか?
じゃあ、じゃあ!一緒にかえりたいですっ、いいですか?」
今日は特別な日、
何時もの流れから逸脱した有意義な一日でした。
ご案内:「図書館」から牧瀬 莉那さんが去りました。
ご案内:「図書館」に朽木 次善さんが現れました。
■朽木 次善 > ――本棚の上の方の資料を取ろうとしたら。
脇腹が引きつったような感覚を覚えた。
上げようとしていた手を中空で漂わせて、
反対の手でシャツの上から脇腹を探る。
周囲に人がいないのを確認して、
シャツの下に手を入れて自分の腹に触れた。
■朽木 次善 > そこに傷はない。
完全治癒ではなく、応急処置からの自然治癒を選択したために、
今は少しだけ肉と皮が盛り上がる「傷跡」があるだけだ。
脇腹を舐めるように一筋存在する、その傷の存在を指先で確かめた。
今更、そこが痛みを生じることなどないというのに。
それもまた、『脚本家』と。
そしてフェニーチェと関わったことによる後遺症の一つかと思うと、
自分が思ったよりも女々しい人間であることを自覚する。
同時に、そういう形としてでも事件を覚えていられていることに、
少しだけ安堵した。
■朽木 次善 > 改めて書棚の上に手を伸ばす。
そこから資料を手に取り、それが目当ての本であることを確認して席へと戻る。
途中、すれ違った女生徒が、自分の顔を見てすぐに顔を逸らした。
それは逆に自意識過剰と言われればそうなのだが、
どうしても気にはしてしまう。
あの事件から少し経ち、
様々な流言飛語が飛び交うこととなった。
憶測は納得の出来る形に先鋭化され、情報は享楽で取捨選択がなされた。
曰く、とある生活委員が『脚本家』と、フェニーチェと通じていた。
曰く、いやそのとある生活委員は悪の組織を滅ぼした正義の味方だ。
曰く、とある生活委員は単なる被害者で、連れ回されていただけだった。
どれも今は囁かれていない。
後に残ったのはそんな英雄譚や誹謗中傷ではなく、もっと生々しい、
朽木次善という生活委員は何かやばい匂いがする、という漠然としたものだった。
■朽木 次善 > 苦笑し、嘆息した。
その情報の流れはなんとなく理解ができる。
自分だって、規模の大小の差こそあれ、何かの事件に関わった人間がいて、
その人間が近くにいるとなったらそういう形で「納得」をするだろう。
だから、その流言飛語がそういう形で曖昧に形を成すのは理解ができるし、
もしくはそれは事実をある程度握っている『風紀』、または『公安』が、
安全のために流している危険情報である、とかいう軽い被害妄想まで湧いてくる。
実際はそんなことはなく、
きっと自分が思う程自分は危険視されてはいない。
すれ違う女子が目をそらしたのだって、自分のことなど知らず、
ただ伺うような自分の目線が嫌だったのだという納得も出来る。
何にせよ、自意識過剰になりつつあるのだとしたら、
それはあんまりいい精神状態でないということだけは分かった。
■朽木 次善 > 生活は何も変わらない。
取り立てて大きな変化はないし、
その変化に飲み込まれることもない。
自分が出来ることは何一つ変わらないし、出来ないことはどう頑張っても出来ない。
『脚本家』が、一条ヒビヤが自分に与えた変化は、
表層に出てくるようなものではないし、それは変化というよりは萌芽のようなものであり、
その萌芽の種は最初から自分の中に存在したのだろうと思う。
だから何も変わらない。
この島に来て、朽木次善という名で生活を始めたころから、
生活委員として活動を始めたその日から。
ただ、一つだけ、多分永遠に忘れられない傷と、
傷が痛む思い出がこの島に増えただけだ。
そしてその傷は、恐らく次に受ける傷の予感を自分に伝えてくれる、
大切な傷なのだろうとも思う。
脇腹を押さえながら資料を机に置き、
椅子を引いてそこに座った。民法の試験が近い。
■朽木 次善 > (そうか……。
もう、二年にもなりますかね)
ノートの端に書いた朽木次善という名前に指を這わせてから、ノートを開いた。
この名前と付き合い始めたのはこの島に来てからだ。
偽名、というわけではなく、
それ以前、自分は単に"朽木「継」善"という籍通りの名を名乗っていた。
異能の存在が知れ、この島に来る際に、継の字を次という文字に変えさせてもらった。
籍自体、そして読みはそのままなのだが、なんとなくこの島に来る際に、
親がその名前に期待した何かを自分が全うすることが出来ないと気付き、
精一杯の強がりと皮肉を込めて「次善」という名を名乗ることにしたのを覚えている。
それと、生徒会に入ろうとして生活委員を薦められたのが、
自分の入学に関する思い出の全てだ。
今考えれば、生活委員会に入っていなかったら、
たったそれだけのボタンの掛け違いで、
今胸の中にある大切なものにも気づけなかったかもしれないと思うと、人生とは面白いと思う。
きっと、そちらの道ではそちらの道の自分が、
こちらの朽木次善に同じことを思っているだろうけれど。
■朽木 次善 > 朽木の家は厳格な家だった。この島に来てからは一度も連絡を入れていない。
あちらからも連絡がないということは、この関係が良好なのだとあちらも思っているのだろう。
これについては、自分もそう思う。
親と反りが合わないといった問題ではなく、
異能というものが明確に自分に存在している以上、
朽木継善と朽木家の断絶は避けられないものだった。
父は日本の政治家であり、
常世島の存在に難色を示し、異能に関しては明確な反対の意まで唱える程の、
言ってしまえば偏向した価値観を持つ存在だった。
もちろんそれは父にとっては旧来から存在していたはずの、
愛すべき日本の価値観の保持こそが正常な価値観で、
異能を受け入れて存在を認める価値観こそが偏向だと思っていただろう。
だからこそ、その二つの考えは絶対に平行線であり、
そして皮肉にもその息子には微小で簡易なものではあるが、異能が備わっていた。
それが発覚したのは、彼の政治活動が起動にノリ始めてからだ。
馬鹿正直にそれを話した当時の自分も自分であるが、
それに対して難色を隠そうともしない親もまた、一人の人間でしかなかったと思う。
■朽木 次善 > 公にそれを公表しないまま父は政治活動を続け、
その中で支持者に対して異能者と非異能者の平等を投げかける論を振った。
それは当たり前のことで、自分の息子にそれが芽生えたからといって、
振りかざす論を変える者の言葉になど、誰も耳を貸さない。
父は父であることと同時に、政治家でもあった。あり続けなければならなかった。
賢い父は「父」という立場を手放さず、朽木継善に賢い選択を迫った。
断絶は誰も傷つけないままに明確な線引となって両者の間に敷かれ、
自分は常世島に居場所を求めることになった。
生徒会を志望したのは、父の模倣だったのか、
或いは父への反抗だったのか、どちらなのかは分からない。
朽木家のような断絶を必要としないような社会が作れれば、
少なくともこれから先に朽木「次」善が生まれてこないような社会が作れるかもしれないと、
そんな甘い夢を描いていたのかもしれないと、今になっては思う。
今はその夢は、生活委員会の朽木次善として萌芽をつけて、
静かに胸の中で開くのを待っている。
■朽木 次善 > 「………」
(それもまた、終わった話だ)
内心で独りごちた。
もう既に、今自分はこの島で朽木次善を名乗って生活をしている。
そしてその名で他人と触れ合い、認識してもらっている。
誰もが分かり合えるような素晴らしい場所とは言わないが、
少なくとも異能がある程度のことで(程度は別にしても)偏見の目に晒されることもない。
何より。
そういうものが存在することを前提に回っているこの島のことが、
自分は少し好きではあるのだろう。
だからこそ、それがもっと正常に、
もっと円滑に、そして利便よく回るような環境を、そしてインフラを整備したいと、
今は、そして今も思っているのは思っている。
■朽木 次善 > 大きく伸びをする。
思考で凝り固まった肩が、パキリ、パキリと乾いた音を鳴らした。
思考に没頭するのは悪い癖でもある。
考えすぎだと揶揄してくる、女友達……この場合は見栄を張らず同僚と呼ぶべきか、
の顔が脳裏に浮かんで、苦々しい笑みが浮かんだ。
きっとでも、自分は考えないでいれば、考えまいとしていることを考えてしまうだろう。
能見さゆりの件もそうだが、慣れないことはするものじゃない。
いつだって手持ちの手札でやっていくしかないし、
伸ばす手は二本しかない。
「次」は絶対に掴み、離さないようにするために。
今はこの名前であることに少しだけ感謝をしながら、
静かに頭に知識を詰め込んでいく。
テストは近い。
試験くらいは、もっと難問を解くために、簡単に終わらせるべきだ。
取り組むべき難問は、机の上以上に、どこにでも散らばっているものだから。
ご案内:「図書館」から朽木 次善さんが去りました。
ご案内:「図書館」に椚 真さんが現れました。
■椚 真 > ――昼下がりの図書室。机の上に突っ伏して寝ている教師…ジャージ姿が場にそぐわない事この上無いがご愛嬌。
机の上に積み立てられている数冊の本は、自然気象の本だったり、魔術学の本だったり、文学書だったりと様々。
その内の一冊を開いた状態で机の上に立てて衝立のようにしているが、隠れる所か寝ていますアピールにしかなってなかった…。
「 ――…ン。……俺の……ぱ、ぃ。 」
気持ちよさげに突っ伏して立てる寝息。
寝言まで口にして安眠中…昨日は遅くまで資料を作っていたらしい。
なのに今日になって不意に空いてしまった時間潰しと言った所で訪れた図書室…明らかに満喫しすぎである。
既に結構な時間が経過しているのか、見知った生徒が水性ペンでタオルに「ハゲ」とか書いていますけど、当然気付いておりません。
周囲を通る生徒から零れる失笑…本人は何とも暢気に夢の中と言った感じか…。
■椚 真 > いびきを掻いていない事だけが救いであり、周囲に利用している生徒も少ないので触らぬ神に何とやらと言った感じに絶賛放置中。
微かに覗かせる寝顔は無駄に安らかであったが不意に険しくなる表情。
寄った眉根、微かに腕が動いたと思った瞬間――。
「――…うっせ!ハゲてねーよ、コラ!!」
なんて叫び声と共に勢い良く立ち上がる教師。
震える握り拳と怒りの形相は夢見でも悪かったのか、やたら不機嫌そうだったが…。
「……ありゃ?」
頭に書かれてますけど誰も言ってはいませんよ、と。
集まる注目…当然、向けられる白い目…ペシリと自分の額を軽く叩いて苦笑いを浮かべて。
「いやっはっは、失礼失礼。…静かに、静かにな。ウン。」
音も立てずに椅子へと再び腰を下ろして盛大な溜息…。
再び突っ伏しては流石に恥ずかしかったか、呪詛にも聞こえなくない吐息を零すばかりだった。
ご案内:「図書館」に平岡ユキヱさんが現れました。
■平岡ユキヱ > 「見たり、教師の居眠り現場」
ニヤリ、と揶揄するようにいつの間にか傍の席で自習をしていた風紀委員が静かに笑う。
「感心しないっすねー、先生。? それじゃあ生徒に示しがつかない」
制服は襟の第一ボタン、首元のリボンまでキッチリと着こなす割には、
いやに髪が派手なギャル子がニヒヒと口を開いた。
■椚 真 > 後は逃げるタイミングを見計らうだけである。
いち、にの、さん…ッ!
と、同時に投げ掛けられる声、思わず「ビクンッ」と擬音がつきそうなくらいに大きく跳ね上がる両肩。
驚いたように顔を上げれば、近くの席から楽しげな様子を見せている女生徒が一名。
「……先生も生徒も関係ないじゃない、だって人間だもの。」
大きく両肩を落として肩の力を抜く教師。
やがて、にへらと表情を崩しては手を広げて、やれやれと言った感じに。
「示しとか授業だけでお腹一杯。俺みたいのも社会には必要なんだよ、反面教師って意味でな。」
なんて言いながらドヤ顔。
言われれば言い返すぐらいの気概はあるらしい、ハゲ(仮)教師。
■平岡ユキヱ > 「そりゃあごもっとも。だから生徒も教師も
等しく罰を受けたり諌められたりするのが公平では?」
人間ですからね。と、ちょっと意地悪な、気取った返答を冗談交じりに返した。
「…学園長に怒られますよ? 先生方の事情はわかりませんが」
大丈夫なんですか、と首を傾げて。
「それから…あー、えーと。申し上げにくいんですが、
バンダナは裏表返して巻き直した方がよいかと」
さりげなく、落書きされたことを伝える。…のは表向き。
すべては布石である。
(「クク…さあ見せてもらおうか! その疑惑の先の頭とやらを!!」)
椚先生の授業を受けたこともあるのか、スゲ-気になるよなあ! と
静かにドドドドとかなんかそんな雰囲気でさり気なく注視し始める。
■椚 真 > 「そりゃ程度にもよるってもんだろ。罰だの諌めるだの
そんな難しく考えなくてもいいんじゃね?こんなの、スマンの一言で終了だろ?」
別に否定するつもりはないのだけれども、性格が良く表れている真面目な言い分に対しては
ついつい言い返したくなるのか、全く悪びれていない、からかうかのような口調。
怒られるとの言葉には、いいのいいの。なんてヒラヒラと手を振って…全く意にも介していない様子。
そして指摘に対して視線を上に持ち上げる…勿論、自分のバンダナなんて見える筈もなく。
「えー、何でよ?……っつーか、考えてる事が顔に出てんぞ、この正直者め。」
この教師は、まだ書かれている文字に気付いておりません。
それでも言われるがままにと…頭に手を伸ばしかけた寸前で、ピタリと止まる手。
雰囲気を読んだのか、視線を感じたのか…頭の文字に気付いていない以上、其方の意図を簡単に察する事が出来たのか。
ちろりと舌を覗かせて、この瞬間絶対に巻きなおさない事を心に誓いました。
■平岡ユキヱ > 「もちろん冗談です! 水清ければ魚棲まず、っとね?」
先生に返されてわははと笑い、速攻で見回りの図書委員の人に静かにせいと怒られるユキヱさん。
あいすみません。としめやかに頭を垂れてゴメンナサイする。
「…」
バンダナの下り、なるほど。そう来たかと一人頷く。が、その決意、覆す手はある。
おもむろに自前の化粧用手鏡を鞄から取り出し、そっと先生の前に出す。
「落書きされてるんで…まあ、その」
深刻な言葉とは裏腹に、さあこいやあ! と割と楽しそうである。
■椚 真 > 「ヤレヤレ、先生からかわれるよりもからかう方が好きなんだから程々にしてくれよ?」
見た目通りのアンバランスさに中々掴み所の無い様子に軽く肩を竦める。
彼女とは正反対に割と静かな声で語る頭の弱そうな教師。
図書委員にはさりげに自分もウインクしながら手を立ててゴメンのポーズ、見逃せとの意である。
「…あきらめ……ぉ?」
徐に取り出された鏡に目をこらして見詰めれば…そこで漸く気付く忠告の理由。
「ハハハ、こりゃ参ったねェ。…それじゃ、お前さんと別れた後に、ゆっくりと直すとすっかね。」
別に隠す程の理由は無いしハゲてもいないのだが…
それだけ露骨に楽しそうにされると隠したくなるのが人の性。
ニンマリと口の端を緩めては徹底抗戦の構え。
生憎と恥をかくのは慣れております…。
それに現在図書室にいる生徒は、ほぼ周知なのだろうから問題ないとの判断に至った模様。
■平岡ユキヱ > 「なん…だと…」
馬鹿な。耐えるだと、と深刻な顔でごくりと冷や汗を流すユキヱさん。
実はハゲでも何でもないのでは? と一抹の不安が過るが、
なあにそれなら物理的にハゲにすればよいのだと悪魔が耳元で囁いている。
「…」
いっそ覚悟を決めれば後は清々しいものである。寒気がするほどに清らかな笑顔で、
まあならば今は良いでしょう。と一時停戦する。
「…アハハ、すいません。ちょいと出過ぎた真似をしました。まあ生徒の
悩み相談とか、真面目な話もあるんで、ちょっとお時間頂けませんかー?」
至極真面目化と思えば、たまにいやに砕ける時もある。言葉の上だけ見れば軽いが、
ここは真面目に相手を先生と仰いでの相談らしく、その声の調子や瞳は、真剣味を帯びていた。
■椚 真 > 「まさかとは思うが……お前さんが書いたんじゃねェよなァ?…平岡ァ?」
そして極々自然な流れで疑いを目の前の少女へと移しました。
静かな静かな口調…最後の苗字を呼ぶ箇所だけ無駄にドスの利いた低い声。
緩々だった視線は一瞬だけ鋭く冷ややかに…それも飽くまで瞬時の出来事。
「……。」
教師をからかった罪はデカイ。償わせんぞと思った矢先…不意に変わる空気。
それを読み取れば椅子ごと彼女の方へと向き直り。
「……そりゃあ俺でいいのか?他に適任者がいそうな気がするが…。
と、言い終えると同時にアッサリと解かれる頭のタオル。
当たり前のように黒く短い髪を晒した後にタオルを裏返しては巻き直して。
「ん、スマンな。…んで、どした?」
真面目な話ならば醜態を晒したまま聞く事も出来ないだろうと。
腕組みを作って傾聴の姿勢。普段のやる気の無さも何処へ消えたか
向ける眼差しは柔らかく穏やかで、何時でもどうぞ…と――。
■平岡ユキヱ > 「フフーフ! この目を見てください!」
状況的にしごく嘘くさい言葉が放たれるが、本当にしていないはずである、たぶん。
傍の席で自習していたのは、先生を起こさずにこれ以上の狼藉を教師に
働くものが出ないようにする為…。なんて深遠な考えがあるかは不明だが、
彼女は生来の勘で、先生が目覚めるまで待つのが正しいと判断したようである。
「…」
見ていない。黒々とした短髪など、見ていないぞとなぜか言い聞かせた。
秘境を解き明かすべく、他の勇者が続くように…それもまた、思いやりである。
「…既に教師陣には周知のことかもしれませんが。
一人の行方不明者…倉光はたたであった生徒を独自の判断で保護して、
学園や委員会への報告を意図的に怠りました。これはやはり罪なのでしょうか?」
昨日、先輩と話した時は強がって嘯いたフシもある。だが目上の、教師相手には根の深い本音もでるのか、そう問うた。
優しさから出た、独断の保護行為は間違いであったか、と。
■椚 真 > 「ウン。俺と違って澄み切ってるからイラッとするな。」
大分嘘くさいが水掛け論にしかならないので言及はしない。
そもそも、根っこが真面目なのだから隠れてやらずに、堂々とやるか言ってくるタイプだろうとの結論に至って、小さく肩を揺らして吐息を零し。
「――…えらくまた重たい話を持って来やがって。」
何時の間にか卑怯に認定されている事など知る由もなく、言葉を聞けば口許を手で隠して眉間の皺を寄せる。
矢張りガラにもない事はするんじゃなかったかなと顰め面。
「――前提として行方不明だの云々だの俺は知らんからな。」
普段の不真面目さが役に立ったのかどうかは定かではないが、勿論情報としては知り得ている。
しかし知っていれば、それこそ教師として見過ごせなくなってしまうので、あらかじめ断りを入れて一息置き――。
「取り敢えずだな…どうなってそうなったのかは俺には分かんねェけども…
何かしら思う所があったんだろ?だったらそれが答えってこった。もう結論出てんじゃん。」
事情は何も分からない。それにこの教師からすれば相談する程の事でもない。
それでも少女の年頃からすればそれも無理の無い話なのだろうと。
それならば背中を押すまでである、と。若干呆れが混じりながらも柔らかな口調で自分の考えを述べる。
そして口の端を緩めて楽しげな表情へと切り替えて少女を真っ直ぐ見詰めて。
■平岡ユキヱ > 「…ひどい先生ですねー」
ニヤリと笑う。非難というよりは、相手を称賛したり、改めて敬意を払う調子だった。
「しかし仰る通りです。…私はあの決断に恥じるところは何一つない。
気にするとすれば、自分の未熟さゆえに、
そんな決断をした根本が間違っていやしないか、ってだけです!」
わはは! と快活に笑って立ち上がる。あいや失礼と、再び注意しに来た図書委員さんを追い払う。
「二学期も、椚先生の授業に参加させていただきます。
武道、護身術…ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します」
では失敬! と悩みが一つ吹き飛んだのか、踵を返して嵐のように立ち去っただろう。