2015/09/25 のログ
ご案内:「図書館」にヨキさんが現れました。
ヨキ > (未だ日の高い午後、図書館の奥。
 低いパーティションに区切られた座席のひとつで、パソコンに向かっている。
 机上には書類と書籍。図書館所蔵のものと、持ち込んだ私物と。
 その顔は活き活きとして、晴れやかだ)

(仕事の話が舞い込んだのは数日前。
 島内の美術館で近く開かれる企画展の、図録。
 その執筆者のひとりとして指名された)

「………………、」

(異能を用いた美術作品の展示。その解説と論考。
 取り分け自身の専門分野に通ずる異能を持つことと――
 『ヨキ自身、異能を用いて作品を制作していた時期があったこと』。
 これらの経験を加味し、常世学園教員としてのキャリアを見込まれた上での抜擢だった)

(キーボードを叩く指先にまで、痺れるような充実感がある)

ヨキ > (知る者はあまりない。知られてもほとんど印象に残らない。
 金属を操る異能によって生み出されたヨキの作品――
 そのうちほんの二つが、『国立常世新美術館』に収蔵されていること。

 ヨキが島を訪れてまもなくの頃。
 異邦人や異能者をテーマにしたグループ展で発表されたものだ。
 写実と抽象を綯い交ぜにしたような、畸形めいた植物のオブジェ。

 当時は異邦と異能、それぞれについて未だ受容の揺籃期だった。
 反響も反応も薄い、ごく小さな催しに過ぎなかった。

 が、)

(今度は違う。今や常世島には、人が増えた。
 異邦人と異能者を囲う敷居は、『それなりに』低くなった。
 鼻つまみ者として排される理由も、肩を窄めて生きる道理もない。

 堂々と書けばいい。示せばいい。

 その横顔にあるのは、怒りにも似たよろこびだ)

ヨキ > (胸中に座すヨキの野心は、ヨキ個人を引き上げるためだけのものでは全くなかった。
 島に、財団に、学園に従い、その範疇からなる一矢。
 まるで常世島の理念が、そのまま人のかたちを取ったように。

 平穏に暮らしたいという異能者を呑み込み、
 元の世界に帰るべきだと嘆く異邦人を絡め取り、
 旧くから世界があった通りに、すべては隔たれて然るべきだと論ずる保守主義者を灼き払う。

 ヨキは進む。
 踵のない獣の二本足が、ヒトのように地と親しく立ち止まれない様に似て。

 とくと御覧じろ。
 言葉が、感性が、手わざの妙が煌く瞬間を。
 街に火を放つよりもずっとしたたかに、それらが人の世を広く冒すものであることを知っている)

(キーボードを叩く。
 淡々とした解説文の行間に、常世島と学園の確かな十余年がそこに在る。

 恥じて屈するべきことは、何もない)

ご案内:「図書館」からヨキさんが去りました。
ご案内:「図書館」に四十万 静歌さんが現れました。
四十万 静歌 > 「えっと……」

辞書で調べながらプリントに記入していく。
やっているのは所謂宿題である。

それにしても――

「英語の本を読んで読書感想文ならぬ、
 読書感想文を英語で提出することになるとは――」

しかも、ご丁寧にパソコンではなく、
手書きでやれとばかりにプリントである。

四十万 静歌 > 「うあー……」

書きながら凄くめんどくさくなって、
思わずテーブルに突っ伏した。

やる気があるときならいいのだけど、
やる気が無い時の宿題というのはどうにもこうにも億劫である。

四十万 静歌 > それでも、筆は薦めなければならない。

まぁ、今日終わらせる必要性なんて、ないのだが……

「ふぅ……」

思わずため息がもれてでる。

今日はこの辺にしようかな、なんて考えながら。

なお、読んでいる本は――

いわゆる巌窟王である。

ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 静かに本を読んでいる四十万の正面、これまでも何度か誰かが通りすがる度にチラつく影が
ピタリと止まって、本の上辺を暗く薄い影を落とす。

「ここに来るって、今日も宿題?」

顔を上げる前か同時か、聞き慣れた声がかけられた。
本に隠れていたその表情は、何やら楽しげな笑みを見せていた。

四十万 静歌 > 「……」

ゆらりと、顔をあげて上目遣いに、ちょっと涙目になりながら――

「はい。宿題ですよ。
 うう……
 読み慣れた本なら感想だけで済むので、楽かと思ったのですが……」

そこで沈痛な表情で首を振り、

「好きな本過ぎて読みふけったり、
 なんていうか感想書こうにも逆に難しいという訳の分からない状況に……」

そして、あぅぅ……と小さく声を発し、

「檻葉さんの方は今日も委員の仕事ですか?」

谷蜂 檻葉 > 「此処で見る時、大体宿題やってるかそこからの現実逃避だった気がするわね」

クスクスと、何をしないでも図書館に居るヌシが笑う。
そのまま、手で四十万のプリントをサッと引き寄せるとざっと目を通して頷く。

「ああ、そういう宿題。 昨年取ったわね、これ。

 大体自分の思った文をそのまま書こうとするから大変なのよ。
 小さい子に伝えるように、簡単な表現だけで書いていけば楽に出来るはず。」

お疲れ様、と笑って元の位置に戻して一つアドバイス。
先ず文章を和文のまま書き、それを極端に簡易に直して、そこから英訳を始めるのだ。


「ん、さっきシフト交代してもう帰りのつもりだったの。
 そしたら、難しそうな顔した静歌が居たから、なにしてるのかな―って。」

やってることは案の定、だったけどね。
「皺寄ってるよ」と、手を伸ばして四十万の眉間をクイ、と広げるようにして人の顔で遊ぶ。

四十万 静歌 > 「そんな事ないですよ。
 読書を楽しんだりもしてますー」

なんて、ぷくーっとふくれつつ、

「――確かにそのほうが楽ではあるんですけど……
 ほら、あるじゃないですか、
 それでは書き足りない、物足りないって。」

なんて苦笑してると、眉間の皺を伸ばされたりして、
はわわわと、ちょっと赤くなりつつ、
何してるんですかーなんていいながら、

「まぁ、帰りなら、今のうちに聞いておきましょうか。」

少し深呼吸。
そして真剣な顔をしてじーっと目を覗き込むようにみながらいうだろう。

「――今日のおゆはん何にしましょう?」

谷蜂 檻葉 > 「あらそう? なんでかしらね、そういう時間が長いのかしら。」

膨れる頬に、どうどう。と適当にいなす。

「料理と一緒よ、難しいことをするのは出来てから……ってね。
 料理と違って後から手を加えられるんだから先ずは完成させちゃいなさいって。」

そのまま、つんつんと突いたり手で払うまで小動物に対するように遊び続ける。


「何でもいいわ。

 ……っていうのはズルいか。
 パンに合う料理がいいかな。ポトフとか、シチューとか。」

一瞬、覗き込まれるままに動きを止めるが直ぐに察して肩の力を抜く。

四十万 静歌 > 「まぁ、確かに、そういう時間は多いでしょうね。」

借りて帰ったりするほうが多いので、
読書で長く滞在するのは、思ったよりも少ないかもしれない、なんて考えながら。

「まぁ、それもそうですね。」

一つため息をついて、完成させてしまえ、
との言葉にさらりと簡単に文字を書き連ねていく。
その間遊ばれ続けて、

「うー。」

と思わず唸ってしまった私は悪くない。

「ともあれ、なるほど、
 とはいっても煮込み系は用意は前日からしておきたいから、
 シチューは明日として……
 オニオングラタンスープとハンバーグなんてどうでしょう?」

と首を傾げるだろう。

谷蜂 檻葉 > 「でしょう?」

なにせ、四十万が借りてきた本は、大抵黙ってまた借りして読んでいるのだから。

(本当、小動物チックだこと。)

笑みに僅かばかりに”さでずむ”を含みながら、
「がんばれー」なんて、テキトーな応援を送る。


「そう?
……うん、ならスープにハンバーガーでいいんじゃない?
 玉ねぎ以外にも野菜とりやすくなるでしょ。」

じゃあ、それが終わったらレタス買いに行きましょうか。
と頷き


「―――あ、そうそう。
 そういえば昨日佐伯さんにあったよ、風紀の。……仲いいの?」

ふと、昨日のことで疑問をぶつける。

四十万 静歌 > 「ですね。
 んー……」

さらさらと書いていき、
こんなものかな?と。読み返してチェック。
良かったポイントとその理由、
そして総評。
まぁ、こんなものだろうと。でも、提出するには……

「うみゅぅ。物足りない気がします。」

と悩ましげな顔をしようとした所で、変な声が出た。

「では、レタスとトマトと……
 特性ソース辺りでしょうか。」

うーん、とちょっと考えて。

「ポテトはいります?」

なんて問いかけながらも、

佐伯さんの名前を聞くと、
にっこり笑って、一つ頷き、

「甘味仲間です!」

と、力強くいってから、

「仲はいいと思いますけど、
 貴子さんと何かありました?」

と首を傾げるだろう。