2015/12/23 のログ
ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
ご案内:「図書館」にアリエンティアさんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > 闇の帳が落ちて数刻。
聖夜を間近にして、冬至を過ぎた空はあっという間に日を落とす。
人工灯に包まれた図書館は、常に明るく照らされてはいるがそれでもなんとなく気分が落ちる。
もしかすれば、この気分を廃するために聖夜にやたら力を入れるのではないだろうか
――――そんな、とりとめもないことを考えながら人の来ないカウンターでぼんやりと受付をしていた。
■谷蜂 檻葉 > (昼過ぎは子供が結構来たっていってたけど……)
クリスマスを間近にして、それに関する絵本の読み聞かせ会が行われ
それによってちょっとした集客の試みがあったがそれ自体は成功したものの、こうして時間が経てば当然また人の入りは少なくなっていた。
だから。 今の檻葉は十分に暇を持て余していた。
■アリエンティア >
聖夜前前日。
肩には、大きな大きな手提げかばん。
少し重そうにしつつも、懸命に歩きつつ。冬によく似合う銀髪と。
赤い瞳。ちょっと派手だなと思いつつ、買った赤いコートに。白いマフラー。
容姿は先程たくさん来た子供と同じくらい。なにか気になってきたのかそれとも落し物かと勘違いされるほどで――
「あ、あの――!」
年齢は小学生くらい。でも……
「あの、これ。探してるんですけど」
探してる本のは――、数学Ⅱ基礎の参考書
「まだ誰も、かりてないですか? おいてあります?」
■谷蜂 檻葉 > 「あら……本の検索ですね、少々お待ちください。」
ぼんやりと本をめくる人々を眺めている折、
薄いカーペットの上をトントンと歩いてくる音に視線を向ける。
見た目に鮮やかな色彩の小さな淑女は、しっかりとした言葉遣いで仕事の依頼にやってきたらしい。
可愛らしいな。
そう、自然に笑みを浮かべて彼女の期待に沿うようにキーボードを叩く。 ―――しかし
4/4貸出中 常世学園 数学Ⅱ 基礎の参考書 -雄島 松前著
(……全部借りられてるのか。)
彼女の求める本は、運が悪いことにその全てが貸出されており、
明日には帰ってくるだろうが時間を考えるに今日中には借りられないだろう。
「ごめんなさい、全て貸出中みたいです。最短では明日の返却になりますが―――」
しかし、これで追い返すのは忍びない。
……というより、それはプライドが赦さない。 ずぅっと、本の虫になっているプライドが、だ。
「代わりになる参考書はいくつか知っておりますので、ご紹介いたしましょうか?」
笑顔で、笑顔で。
■アリエンティア > 「……――」
ぼーっとしてた。受付の流れる所作もさることながら
キラキラしてるオレンジの髪。そして、妙に視線が行く口元の、黒子。
きっと幼い自分にはない魅力。ないものがきっとあるのだろうと思いつつ。
(やっぱ、日本人ずるい)
うんっと一つ頷く。礼儀正しく綺麗。絶対もてる、この人
なんて、心のなかで断言しつつ。
「あ、え……かりられてるんですか……」
落胆。しゅんっとする。気合を入れて今日中に冬休みの課題を終わらせるつもりだった。
だが出鼻で躓いた。ころんだと思った。
でも、差し出されたのは救いの手。
「……あ、えっと、その。それあたしでも読めますか?」
■谷蜂 檻葉 > 「ええ、いくつか種類があるので―――着いてきて頂けますか?ご案内します。」
そういって、『対応中』の札を置いてカウンターを出る。
チラホラと視線が向いたが、それぞれのお目当て<<本>>に視線が戻る。
少し前を、アリエンティアの歩幅に合わせるようにゆっくりと進んでいく。
■アリエンティア >
「ありがとうございます」
ペコリとお辞儀。何処か品のある。
「……あの、ところでどうして敬語なんですか?」
少し歩いたところでおずおずと、尋ねる。
なんというか、静かな図書館は好きなことは好きだが。
変な静けさはそんなに得意じゃない。だから、口を開くことにしたのだ。
「あたしより、年上だと思うので。敬語じゃなくてもいいですよ?」
これは、失礼にあたるのだろうか。
大分、こっちにはなれたが細かいルールはまだ。
だからおっかなびっくりに。
■谷蜂 檻葉 > 「ふふっ」
問いに、小さく肩を震わせる。
歩き、前を向いたままゆっくりと返答に口を開く。
「それは、この図書館を利用する皆様の事を大事に思い、
ご利用くださる事を有り難く思うからこそ、「敬意」を持って口調を改めているから―――」
響かぬように落ち着いた口調で、小さく、けれど少女に聞こえるようにしっかりと。
劇を行うように言の葉を踊らせて
「……というのは建前で、
なんとなくそうしたほうが『しっかりお仕事しているように見えるから』ですよ♪」
ピタリと足を止めてアリエンティアの目を見ると、悪戯が成功したような笑みを浮かべる。
「お気遣いありがとうございます。 ここが、数学関係の棚ですよ。
雄島さんの数学参考書レベルなら、これと―――後、こういうのも。」
そして、迷うことなく2冊の参考書を手にとって、腰を落としてアリエンティアに見せる。
『要点学習・数学Ⅱ ユーガルド・モンティ著』 ―――教科書的な書き方と、個人のメモのような要所と発展形を捉えたベストセラー。 いくつか翻訳版があり、こちらは邦訳のもの。
『異世界人の皆に贈る数学・3巻 マティアル・D・パトーレ著』 ―――この世界にきてから数学に目覚めた男が書いた、「真に数学を1から考えた」参考書。 魔法的な処理で本当に誰にでも読める。
「どちらも、数学Ⅱの範囲を取り扱ってます。 すこし読んでみてください。」
■アリエンティア >
「……??? しっかり仕事してるのは間違いないんじゃ?」
今の言い方を聞いているとまじめに仕事していないように聴こえる。
でも実際は、こうして案内してくれているし。わざわざ紹介まで。
言っていることがちぐはぐのような気がする。
「気遣いというよりも、その年上に敬語で言われるってなんかこう。くすぐったくないです?」
はにかみつつ、そう答えれば。ちょうど目的地についたようで。
「……おー……」
渡されて。手に取りぱらぱらと眺める。
む、難しい。どちらも。何をかいてあるのかさっぱりだ。
いや、言葉は読める。読めるのだが――
なにせ予習の分野。来年の範囲である。手前はまだわかるが――後ろになればなるほどにクエスチョンマークが宙に浮かぶ。
「……ふぬぬ……」
■谷蜂 檻葉 > 「ありがとうございます。」
クスクスと彼女の言及にはそれ以上答えずに笑みだけを返す。
―――彼女は知る由もないが勤務時間という名前の読書時間は、実労に対して平均1:1の割合で行われている。
「………?」
どうしたのだろうか。
片や元の本と同レベル。
片や基礎の基礎から書いている本であるからして、復習に読むには絶好のものだとチョイスをしたのだけれど。どうにも彼女は首を傾げ続けている。 何かわからないことがあって参考書を借りに来たと思ったのだが―――
「んー…… じゃあ、こちらはどうですか?」
一度視線を外し、本棚から更にもう一冊の参考書を取り出す。
『高校生の総ざらい The ベスト 貫道 薊 著』
【復活前】から残る、数学ⅠAからⅡBまでを網羅した、まさしく総ざらい。
■アリエンティア >
「ふぬぬ……いや、その。数学は、その。苦手で
世界共通語と言える数字――ですけど、こう。こう――
方程式とか、Y軸X軸とか、そのですね……来年の話だし……」
なんて、プスプスと頭から湯気を出しながら。
事実小学生。努力でごまかしてきたが、追いつくので精一杯なのだ
「……ぉぉ、三冊目」
ぱらぱらめくり。
「お?」
これならなんとか……というよりも。
せわしなく、三冊の視線を行き来する。
この分野は、こっち、この分野はあっちと。
少女にとって合う書き方は、バラバラだったようで――
「く、組み合わせれば。なんとか、できる、かなぁ……?」
■谷蜂 檻葉 > 「あぁ、”まだ”なんですね。」
ポンと手を打つ。
見た目と年齢を合わせて考えないままに、考えていたけれど。『背伸び』をする子もいるのだった。
「でしたら、こちらを順番に読んでいくと良いですよ。」
そう言って、生暖かい視線を送りながら手渡したのは
『異世界人の皆に贈る数学・1巻 マティアル・D・パトーレ著』 先ほど見せた、かのシリーズである。
3巻もそこそこの厚みがあったが、こちらも同じ程度にしっかりとした厚さが有る。
「数学書、というよりは最初は小説みたいなものですからきっと勉強していくのにも楽しいとも思いますよ。
ちょっと重いから、読み終えて理解できたら次の巻を借りて進むと良いと思います。
……買うのも、勿論オススメしますけどね?
とりあえず数学Ⅱを直ぐ手につけるのでしたら今さっきの本で良いと思います。
両方共借りられていきますか?」
■アリエンティア >
「……な、なんだかこう。その――視線がその、アレな気がするのはあたしだけですか? その子供扱いは良くないと思いますよ?
これでもレディですからね……?」
うぐぐぐと、悔しそうな顔。でも、その本を有りがたく受け取ろうとして――
「…………」
小さな身体では三冊の参考書は抱えきれなかったらしい。
いろいろ工夫してみたものの――
「あの、この三冊。持っててもらえますか……?」
結局ダメで、伺うような視線でお願いして。
「……この図書館って何冊まで一度にかりれるんでしたっけ?」
■谷蜂 檻葉 > 「ふふふ、いえいえ、まさかそんな。 ―――ああ、ごめんなさい。こちらは戻しておきますね。」
よいしょ、と腰を上げてアリエンティアの持っていた
『要点学習・数学Ⅱ』 『異世界人の皆に贈る数学・3巻』を棚に戻し
『高校生の総ざらい The ベスト』だけを手元に置いて 『異世界人の皆に贈る数学』の1巻を渡す。
「同じものは一人一冊、魔道書のたぐいは一定の格を超えると事務部か委員会の認可が必要になります。
基本的には4冊と、資料を1つの5冊まで借りられますよ。
……ちなみに纏めて借りても目移りしますから2冊に留めることを、お勧めしています。」
最後は、ただのほほ笑み以外の意味を含めて笑顔を見せた。
■アリエンティア >
「むぅ……」
なんとなく、悔しさが残るものの。
綺麗な笑顔、柔らか表情をされれば何も言えず。
一巻を見終わった後――
「魔道書……はいつか借りてみたいけど、読めない気がするから縁がないとして――
基本的には……ふむふむ……」
じゃあやっぱり全部……と言おうとして釘を刺されたので
むぐっと口ごもり
「ちゃ、ちゃんと出来てからまた借りることにします」
しぶしぶとうなずき、口を尖らせる。
「じゃあ、これとおねーさんがもってるのを、借りたいです」
いいですか? と首を傾げ
■谷蜂 檻葉 > 「ええ、お待ちしております。」
そう言って、アリエンティアから改めて本を受け取ると来た時と同じようにゆっくりと先導するようにカウンターに戻る。 幸いというか、悲しいことにというか。
席を開けていた間に用事があるような人物は居なかったらしい。
なんとも言えないため息を付いて、置いた札を戻すと貸出登録をすすめる。
「―――と、学生証の提示をお願いします。」
■アリエンティア >
「あ、はいっ」
慌ただしくぱたぱたとポケットに入れていた手帳を渡す。
そこには、名前、年齢、過程がちゃんと明記されて。きちんとした常世学園の生徒であることを示す――
「……あ、その。おねーさんの名前聞いてもいいですか?」
■谷蜂 檻葉 > 「………。はい、ではこちら期日までにご返却をお願い致します。」
パチン。と、カードリーダーを通して貸出手続きを終える。
「私の名前、ですか? 檻葉、といいます。
谷蜂 檻葉 <<タニハチ オリハ>>。
私以外にも委員はいますけれど、私はそれ以外の時も結構な頻度で図書館にいるので……その時は、お気軽に声をかけてくださいね。本の相談なら、仕事中でもオフでも伺いますよ。」
良いクリスマスを。
そう言って、小さく手を振る。
■アリエンティア >
「たに……たには、たにはつ……」
ぶつぶつと、発音練習。
難しい発音だ――
「たにはちゅ――……なんでもないです。タニハチセンパイ!」
リベンジ成功。うんいえた。
しかし、図書館では大きな声だったかもしれない。
「うんっ、是非相談に来ます! 課題、いっぱいありますしっ」
――Ein guter Weihnachts(良いクリスマスを)!!
大事そうに本を両手に抱え。重そうな手提げを持ち直して。
テテテっと走っていく。
きっと待ちきれないのだろう。
よいクリスマス。素敵な”図書委員―サンタ―”にも会えた。
これは課題がスラスラ出来そうだと、なんの根拠もない期待に胸を膨らませて。
少女は寒い外へとかけ出した
■谷蜂 檻葉 > 「……うーん、小さい子のパワーって凄い。」
ぽつりと、小さなレディの元気な挨拶でまた集まった視線をひらひらと手を振って散らしながら呟く。
「何語だったのかな?」
最後の、別れの言葉。
恐らくメリークリスマス的なことを言うタイミングだったと思うけれど、母国語で話されたらしく発音しかわからなかった。 幸い、辞書と検索には事欠かないので――――
(うん、コレはいい暇つぶしになる。)
真面目そうな、不真面目なお姉さんはそんな事を考えながら聖夜の前々日をのんびりと過ごしていた………。
ご案内:「図書館」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「図書館」からアリエンティアさんが去りました。