2016/05/04 のログ
ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 「……あれ、コレ何処に置いてあったかな……。」

今日もまた、図書館の木目色の室内にオレンジ色の目立つ髪色がふわふわと隙間を縫っていく。
個人的な友人というものが少ない―――という理由は置いておいて。

どこか慣習付いてしまうように、暇になれば図書館に足を運んでいた。

ご案内:「図書館」にリビドーさんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 「霞んじゃって読めない……中身は綺麗だけど、ラベル部分もちゃんと点検していくべきかしらね。」

手には、ある魔術に関する異世界人の叙述書。
首を傾げる理由は、置き場を示すラベルの白さが無言で語ってくれていた。

管理は最新《デジタル》であり、ちょっとだけ古臭い《アナログ》。
大変容以前から伝わる、由緒正しき十進法分類だ。

―――分類外。 外典も追加されて「裏十」だとか、「外の」だとか。
少しだけの違いはあるけれど、それでもやってることは変わらない。

谷蜂 檻葉 > 「タイトルで検索してもいいけど……」
よし、と。
一声上げて棚の奥へ奥へと足を向ける。


図書委員《暇人》として、この子の居場所を探してあげましょう。


今日の、図書館での過ごし方を決めた。

リビドー > 「よ、と……」

 7・8冊程の冊子を積み上げて抱える年若き風貌、平たく言えば童顔の男が図書館を往く。
 身体さばきは比較的安定しているが、それで目立つだろう。

 周囲に目を配っている様子もあまりなく、覚えている場所を目指している類の足取りだ。

谷蜂 檻葉 > 「中身は読めないけど、これ(海図)からして―――…… きゃあっ!?」

一人は、誰も居ないだろうと高をくくって。
もう一人も、誰も居ないだろうと高をくくって。

同じ慢心をすれば、起きることは互いの”まさか”である。
鈍い音、そして本が散らばる音が静かな図書館にバサバサと響いた。


「わ、あ、す、すいませんリビドー先生! わた、ボーッとして!ごめんなさいっ!」

一冊だけしっかりと握っていた檻葉は、一瞬呆然としていたが、誰にぶつかったのか気づくと同時に我に返り慌てて本を拾い出す。

リビドー >  慢心に因る衝突の結果は言うまでもない。
 幸いなのは互いに生身であったことだろう。

 ……半身を本に埋もれさせつつ、上身のみを起き上がらせる。
 そしてようやく、気を取り直した。
 
「いや、ボクも不注意だったよ。
 やはり、見る時は見ないとダメだな。……大丈夫かい。」

谷蜂 檻葉 > 「本当に――っと。 すいませんでした。今日人少ないから大丈夫かなー…なんて油断しちゃって。私は大丈夫です。先生は怪我とかしてませんか?お尻打ったりとかしてません?」

眉尻を落としてペコペコと謝りながら、リビドーが持っていた本を器用に拾い集めると、
当然の如く凡そ同じ高さの山にそれらを分けて半分をリビドーの手元に、もう半分を自分で持って立ち上がる。

「よいしょっと。 ……リビドー先生これ全部今日読むんですか? それとも借りて帰るんです?」

カウンターまで持って行くんですか? なんて。
切り替えも早く、自分が手伝うことを全く自然に捉えながら愛想よく小首を傾げる。

リビドー > 「はは。連休だからそれも仕方ない。
 ん……少々尻は痛むは、大したことはないだろう。」
 
 意識すれば、触り心地や見た目からそれらが古ぼけた本であることは分かる。
 ……拾い集められた本の大半は旧い伝承や物語だ。

 ともあれ半分を受け取って、遅れて立ち上がる。

「いや、"これから返す"所かな。……と。
 特別講義に必要でね。少々纏めて借りさせて貰ったよ。」

 "悪いね"、と、自然に受け持つ檻葉へと声を掛け、カウンターまで歩みを進めた。

谷蜂 檻葉 > 「なるほど返却を。  ……その、リビドー先生の『特別講義』って何をなさるんですか?」

お疲れ様です、と。先達として敬意を払う会釈をしながら、好奇心に光る眼を向けて尋ねる。


「先生の授業、今年は取ってませんけど外からの受講って可能なんですか? いつやるんです?」

魔術の話ですか? それとも理論や哲学?
疑問のままに口に出して尋ねながら、再び前を疎かに歩き出す。

リビドー > 「基本的には出席や単位の保証……いや、内容かな。
 分野としては古代哲学だよ。とは言え、それに隣接する要素も扱うからな。
 心理学や倫理、コミュニケーション、果てには魔術や幾何学なども混じって雑学じみている所もあるがね。
 ……ああ、特別講義では時間の都合上教えられる事は限られるから、特にそうなるな。」

 視線を返し、頷く。
 興味を持たれる

「外からでも構わないが、単位はあげられなくなるよ。
 連休明けなら履修の変更が効くケースもあるからそうしてくれても構わないが……
 ……いや、案外その方が構えずに聞けて良いかもしれないな。」

 "理由をつけて単位を出すようにはしているが"と、おどけて付け加えた。
 空気を緩ませるような、軽い調子の声と仕草だ。

谷蜂 檻葉 > 「古代哲学、ですか。」

文章として読み耽るのは中々楽しいのだけれど、いざ講義となると哲学達はその背後に睡魔を引き連れる。
なんとも難しげに眉根を寄せて唸りそうになるのを、少しこらえて笑みを見せる。

「ふんふん、かなり手広く触れて……。 ……リビドー先生の研究って、メインは何でしたっけ?哲学?」

魔術まで触れるって、相当手広くなりますよね。と、不思議そうに尋ねる。
ぼんやり聞くのも一興ではあるが、折角の特別講義なのだから予習をして発展事項に傾注するのがこういう時の”楽しむコツ”だ。 とある教授に教えてもらった、眠らない秘訣でもあるけれど。

リビドー > 「ああ。偏屈な学問だよ。
 仮眠したければ来るといい。」

 哲学に対し、どのようなイメージを持たれているかは想像につく。
 彼女がそう思っているかどうかわからないが、よほど食いつきが好くない限りは多少の自虐で誤魔化す色は強い。
 科目として登録した、"ひねくれ者のコミュニケーション学"なんかはその最もたるものだろうか。

「ああ。あの時代の哲学は科学や政治・数学なども含む統科学として機能していたからな。
 星を図り、世界の理を読み、線を引き、"見えないものは見えるものに隣接している"と触れていく。
 結果、必然的に多くの分野に触れる事となってね……ああ、古代哲学以上には定めていないかな。」

 求める答えとはちょっと違う、漠然とした答えと映るかもしれない。
 リビドー自身も何を求められているのかを考え直したのか、言い直すように付け加えた。
 とは言え、具体的、もしくは宗教や哲学色の強いものを告げる事は躊躇っており――

「"楽しく生きるコツ"だな。
 少なくてもこの学園のメインは、そこに焦点を当てているよ。」

谷蜂 檻葉 > 「あ、あはは……受ける授業はちゃんと起きてますってー。   たぶん。」

なんとも、どうにも。見透かされているようで―――実際見透かされているのだが―――汗顔のまま笑みで誤魔化す。

思い出すのは『本土旧歴史学』。 ス イ マ
興味のままにとって次々と襲い来る強敵たちに打ちのめされた歴代でもトップクラスの魔物だった。

「『見えないものと、見えるもの』……。」

リビドーの、どこかぼんやりとした。
しかし、ある一つの確固たる解を聞きながら「視える」のは今も視界の端をスルリと通り抜ける図書館に居着く、小さな木霊。哲学史において仮想として捉えられた彼ら彼女らは、今此処に姿を現し装い新たに歴史に「法則《ルール》」を刻みつけている。

私にとっては、身に沁みついた馴染みのあるモノだけれど、学問として聞けばまた別の何かが見えるだろうか……?

「―――それはまた、とても為になる授業ですね。 ふふ、開講楽しみにしています♪」

自虐のない、柔らかな表現に今までとはまた違う笑みを見せて参加の意を表する。

やがてカウンターにたどり着けば、受付と軽く事務的な話を一言交わし合い、そのままリビドーの本の返却手続きを利用客席側から手早く進めていく。  入り浸るのも身についたものであれば、隙あらば仕事をしてしまうのも、身についたものである。

リビドー > 「ははっ、スマートフォンを弄らず起きているならレアな方だな。
 ま、寝たってボクは咎めないがね。"完璧は求めんよ。"」

 気持ちを知ってか知らずか、笑って流す。
 特に追及もせず、返却手続きを進める。 
 もとい、進めてもらっている。

「ああ。例えばそうだな、風なんかが良い例だ。
 ビニール袋に空気を詰めて、湯船に沈めてみると良い。水に浮かぶだろう。
 後はそうだな、暖かい故を眺めてみると良い。微かにだか湯気が登るのは見えるだろう
 見えなかったら、湯船の上に手をかざしてみな。湯上りの自分に触れてみな。暖かい。」

 彼女の内心を知ってか知らずか、胡乱に語ってみせる。
 ……ついつい行き過ぎて(あるいは語り倒して)しまったかと思案すれば、言葉を止めて間を置く。
 次に期待されるような言葉を受ければ、苦笑を浮かべ――

「――と、楽しみにされてしまったな。
 不十分な身ではあるが、期待に応えられるようにはしてみるよ。」

 さて、返却手続きもそろそろ終わるだろうか。

谷蜂 檻葉 > 「(理解、命名、解明の学問……ってことかな?)」

正解は講義の中で。

リビドーの言葉を頭の端に引っ掛けながら、やがて最後の一冊を返却しようとして―――

「あ」

物の序でに、"最初の本"もするりと返却口に放り込んでしまった。
小さく呆けたように口を開いて、やがて苦笑いだけが口に残る。



「頑張ってくださいね、リビドー先生。 私、しっかりノートにとって質問もしに行きますから。
 ―――では、ご利用ありがとうございました。また借りに来て下さいね?」

そうして、苦笑いも飲み込んで営業スマイルで返却業務を終えた。
いつものような、そして少しだけ珍しい邂逅はこうして幕を閉じる。

リビドー >  
「ん?」

 一瞬、彼女が妙な調子を見せた風に見えた。
 ……が、それが何かを知る事はなく、それらを飲み込んだスマイルを受ければ頷いてみせるだろう。

「――勿論。また図書館か教室で会おう。」

 こうして彼自身もこの場を去る。
 ……次の幕は、何方で開かれるか。それはまた別のお話し。

ご案内:「図書館」からリビドーさんが去りました。
ご案内:「図書館」から谷蜂 檻葉さんが去りました。