2016/09/18 のログ
ご案内:「図書館」に水月エニィさんが現れました。
■水月エニィ > 常世学園・図書館。
休日であるにもかかわらず学園に足を運ぶ事にさえ目を瞑れば、
調べ物をするには非常に快適な空間と言える。
「……とは言え、どこから手を付けましょうか。」
異能学にまつわる書物が並べられた一角で足を止める。
異能と言っても原理や効果は多種多様。解析のアプローチだって同様だ。
にも拘らず分かりやすくなるように一定の分類で整列されているのは、
やはり図書委員の尽力に因るものだろう。
「風紀委員会、公安委員会、生活委員会、鉄道委員会、式典委員会
……この学園に於いての図書委員会はこれらに並び立つもの、なのよね。」
ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > 「――――図書委員が、何か?」
本棚の前で佇むエニィの背後から、声がかかる。
振り返れば、いつぞやの少女が不思議そうにこちらを見ていた。
「ここでお会いするのは珍しいですね。 なにかお探しですか、水月さん?
異能学について初級編なら奥の其処、試験に向けてならこっち。
研究区画にいるような人達が借りるのはこの辺りね。 ……それで、今日はどういったご用件で?」
何でもおっしゃって下さいな、と。
腰に手を当てて立つ彼女は、随分と活き活きしていた。
■水月エニィ > 「いえ。凄いし、嬉しい事と思ったの。」
不思議そうな表情を向けられれば、柔らかく応える。
活き活きとしている少女は知っている少女だ。
「実力を以って風紀を取り締まる風紀委員。
学園に害を成す団体と戦う公安委員。
島の住民生活全ての保全・向上に尽力する生活委員。
この島の交通網の大きな一角を担う鉄道委員。
常世学園が常世学園であるための式典・儀式(まつり)を執り行う式典委員会。」
素直に思っている事を話し、頷く。
「それらに並び立つ程のものと認められている事が、ちょっとだけ嬉しく思っただけよ。
で、ちょっとしらべもの。異能まわりを調べようと思っていたのだけれど――。」
■谷蜂 檻葉 > 「……嬉しい? それは、また。」
珍しいことを言うのね。とまでは言わずとも、ちょっと曲がった首を更に傾ける。
「あぁ、そういうこと。
”『知慧』は無能力であろうと異能者に対抗する明確な手段である”
大復活の動乱の中で活躍したある軍人の言葉よ。
これ以外にも、多くの似た格言は各地で出たからどこが発祥、なんて言わないけど。」
傾けた首を直し、くるりと周囲を一瞥する。
「此処にある全て、目に届かないほどに茂る『知恵の果実』。
管理する委員会は、言うなれば武器の貯蔵庫よ。 ……ま、比喩抜きで物騒なものまであるんだけど。」
最後は、軽く肩を竦めてオチを付けた。
「それで、調べモノって言うんだったら―――」
隅から足台を引きずってくると、奥の上の方に纏まっている書籍に手をかける
「この 『異能大全 第74版』とかどうかしら?
面白いわよ、ほんっとに”ただ書いてあるだけ”で資料価値もあんまりないけど!」
では何故勧めるのだろう。面白いからか。
■水月エニィ > 「ええ、そう言う所。
それへの門戸が開かれている事は良い事だと思えるわ。」
檻葉の疑問の氷塊を見て取り、格言に同意を示して頷く。
確かに、此処から見える全ては知恵の果実足り得るものだ。そう思いたい。
とは言え、もう一つだけ理由がある。
「それと、お話の方にしたってそうよ。
夢見がちなお話でも、ちゃんとしたお話なら他のものと同様に集めてくれる。
そうしてくれているものが、大きな委員会として認められてるのもちょっと嬉しいの。
……物騒なものは怖いけれど、信頼しているわ。」
オチに感想を加える。
閑話休題。本題に答えた彼女が取り出した本を受け取る。
大全と言うだけあって重くて分厚い。ただ書いてあるだけ、らしいが。
「ただ書いてあるだけ、ねえ…………ええ。今日はこれを借りていきましょう。
でもそれはそれとして、この本をどんな風に読むのが面白いのか教えてくれないかしら?」
■谷蜂 檻葉 > 「どう読むのが、かぁ。
私、結構図鑑とか見るのが好きなのよね。花とか、水生動物とか。
これもそうかわらないんだけど……そうねぇ。」
調べ物としてのアドバイスも加えないと確かに片手落ちだろう。
「まぁ、見ての通りの分厚さは初版に比べて、倍以上。
別冊として他の巻にまで巻を分けることも決まってるの。
ネットで第1版は見れるようになっているはずなんだけど、
そこにある異能に関する記述の大半は『最新刊では別の異能扱い』なの。
発火能力、とされているのが『分子振動の加速化』だったりね。
テレポーターと考えられていたのが『時空間圧縮に類する異能』って書かれていたり……
まぁ、研究によってより真に何が起きているのか、解明されているの。
”間違い探し” ―――きっと面白いわよ。」
そう伝えながらも、彼女は別の本を探し出した。
■水月エニィ > 「――なるほど。初版と照らし合わせるのね。」
言おうとすることは把握した。
初版と74版で分類を大きく異とするのだ、と。
原理の解明/時代の変遷による定義の変化。
それらの『差異』を読み解く事が面白い――その様な読み方が『面白い』と推奨している。
それらがどのような解析/意向の元に振り替えられたかまで読み解くことは出来ずとも、
アプローチとしては有効且つ効果的なものにも思える。面白いと評される程には見込みがある。
「ありがとう。谷蜂さん。
……今更だけど谷蜂さんは図書委員だったのね。 」
軽く笑みをたたえ、礼を述べる。
■谷蜂 檻葉 > 「途中の巻と合わせてもいいし、似たような――――っと、これこれ。
『現代英雄譚』 異能力者の中でも際立った力を持った人達と、その”偉業”について書いてある本よ。
こっちは年数とかも書いてあるから、
ネットで調べれば事件についてとこうして取材された記事としての書き下し、
コラムみたいな内輪話とかの詳細を読む比べるのが面白いかな。」
はいどうぞ、とエニィの持った「図鑑」の上にポンと乗せる。
ハードカバーぐらいの、いわゆる『伝記』に近い体裁なのだろう。
「いえいえ、どういたしまして。」
礼には及ばず、と微笑い。
「―――あら、何に見えた? 無所属?」
むす、と少し唇を尖らせた。
■水月エニィ >
「こっちは伝記みたいなものね。
へぇ……こう言う人を見ると、ちょっと羨ましくなるわ。」
大全の上に置かれた本を認めれば、大全を片手持ちに変えてもう片方の手で『現代英雄譚』の発行年月を確認する。
例えばの話、先ほどの異能大全74版と初版、どちらに近いだろうか。
「そうね。言われてみれば図書委員だけれど、
特にこれ、って印象は浮かんでいなかったわ。ごめんなさいね。」
矜持を概して締まっただろうと思えば目じりを下げて非礼を詫びる。
とは言え手際良く本を見繕う檻葉の姿を見れば最早図書委員以外の浮雲域には見えない。
そうして、確かに認識を改める。
■谷蜂 檻葉 > 「4年前発刊だから、結構色々書いてあるわよ。
これ、同じタイトルで何冊か出てるの。ちょっと不親切よね?
でも、偉業とされる範囲が変わってきてるのも確かだったりして……。
最初に出てるのとかはわりと身近な、それこそここの生徒でもできるような『異能』の話もあるわよ。」
異能関係の最も大きな特徴
―――それは『更新スパンが短いこと』だ。
大半の本で『版による記述内容変更』があり、読み比べることで現代の異能研究の認識力が解る。
「んっふっふ、図書委員の檻葉さんとは私のことよ―――っていう程有名でもないけど。
まぁ、ずっとやってると名前も覚えてもらえることが多くてね。」
満足気に頷く檻葉。
やはりというか、この仕事に誇りを持っているようだ。
「さて、重いでしょ。大全。 早く借りちゃいましょう?」
■水月エニィ > 更新スパンが短い。
つまるところ版上げが頻繁に行われる。
それらが意味するところは色々あるのだろう。
いずれにしても、それを覚えて置くだけでも大きな判断足り得るだろう。
「ふふ。それじゃあ今度から 図書委員の檻葉さんって呼びましょうか。
でもそうね。早く借りてしまいましょう。片手では重いわ。……紙袋とかって借りられるかしら?」
頷いて受付まで歩く。後は借りて帰って読むだけ。
ネットを併用したい事もあり、今日はそうするつもりだ。
■谷蜂 檻葉 > 「あぁ、貸出用の袋があるの。それ出すわね。
毎年美術部員から袋のデザイン貰って、結構可愛くできてるのよ?
ちなみに学園祭の時には売り出しもしてるから、気に入ったら宜しく♪」
そんなちょっとしたPRもしながら受付を手早く済ませると、
少し大きめの不織布製の手提げバッグに本を詰めて差し出した。
■水月エニィ >
「……へぇ。
面白い事しているのね。本と一緒に返せばいいのかしら?」
受け取ってから袋を改める。
芸術的な審美眼は『一定の分野』を除いて素人であるため造詣は薄い。
それでもいいものだと思えるものだったらしく、口元を緩めた。
この学園も捨てたものじゃない。
もとい、穿って見ている所もあったかしら。
そのように思えば凝りは和らぐ。
「じゃ、私はそろそろ行くわよ。
今日はありがとね。また会いましょう、谷蜂さん。」
不織布製の手提げバッグを受け取り、図書館を後にした。
ご案内:「図書館」から水月エニィさんが去りました。
■谷蜂 檻葉 > 「はいはーい♪
それじゃ、返却期限はしっかり守ってね。
―――ご利用ありがとうございました、またのご来館をお待ちしております。」
最後の結びはキチンと。
一礼をして彼女を見送った。
ご案内:「図書館」から谷蜂 檻葉さんが去りました。