2016/10/16 のログ
ご案内:「図書館」にフィアドラさんが現れました。
フィアドラ > 「ううぅ。あと少しなのに…。」

高いところにある本が取れません…。
背伸びして手を伸ばしてもあと少しだけ届かないのです…。

漫画で分かる世界の歴史─大変容編─
見えているのに…そこに見えてるのに!

「もう少し、背が高かったらな…。」

そんな事を言いながら仕方なく台を探します…。

飛鷹与一 > 「……何だあれ」

適当に宛ても無く書架のあちこちを巡り、そろそろ飽きてきたので帰ろうか、と思った矢先。
目の前で悪戦苦闘している小柄な人物。角、尻尾、手袋…目隠れ。
それらの見た目の特徴などを一通り吟味し、出した結論は…

(…ああ、異邦人の子か。何やってるんだろうか…)

死んだ魚のように覇気とかオーラ、生気が皆無に等しい視線で眺めていたけれど。
ややあって、如何にも面倒臭そうな溜息を零してそちらに歩み寄っていく。

「……どの本が取りたいんだ?」

開口一番、気だるそうにそう声を掛けて。視線は小柄な人物から書架へと一度向けつつ。

フィアドラ > …台は…どうやら近くに台はないみたいです…。

「…どうしましょう。」

困りに困ってグルグル考えた結果。
探しに行こうかなと思ったその時、一人の人間が近づいてきました。
…何となく前に本でみたゾンビみたいにも見えますが…多分人間です!

「あっ!あれです人間さん!漫画で分かる世界の歴史─大変容編─ってやつです!」

上の私の指をピンと先まで伸ばして背伸びをしてもギリギリ届かない高に置かれたその本を指して言います。
…この人なら簡単に届くかもしれません!

飛鷹与一 > 流石にゾンビの如く腐敗してはいないが、目付きが完全に死人に傾いている。
とはいえ、飛鷹与一という少年は紛れも無くただの人間であり、ゾンビではない。

「……ああ、アレか。分かった、ちょっと待ってろ」

気だるそうな態度は変わらないまま、小柄な人物が指差した本の背表紙を見る。

(…漫画で分かる世界の歴史…大変容を扱ったヤツか)

飛鷹与一は長身ではない、あくまで中肉中背。が、傍らの小柄な人物よりも目測30センチ近くは高い。
なので、手を伸ばせば割とあっさり彼女が所望する本は書架から抜き出せた。
それを、ぶっきらぼうに彼女の方へと差し出す。相変らず覇気の無い視線と態度。

「……ほら、これで間違いないか?」

フィアドラ > やっぱり簡単に届きました!
身長があるのは羨ましいです。

「はい、これです!ありがとうございます!人間さん!」

これです!先生にこれが一番分かりやすいって言われたのです!
受け取った本をさっそく捲ろうとして気がつきます…。

「あっそういえば人間さんは何か本を探してたんじゃないんですか?
 さっき助けてくれたお礼に手伝いますよ!」

この人は眼が何となく…その、ゾンビみたいですがいい人です!
そんな、良い人には恩を返さないといけないのです!

飛鷹与一 > 身長があるといっても、人間の男子基準だとあくまで平均値なのだが…とはいえ、彼女より高いのは確かだ。

「……どういたしまして。あと、一応俺には飛鷹与一っていう名前があるから…」

と、流れでそう訂正と名乗りをしておく。何となく小柄な少女が本を捲ろうとするのを眺めていたが。

「……いや、別にこれといって探してはないけど。だから特にお礼はいらないよ」

ゆるゆると首を左右に振る。無愛想というか、行動の端々に覇気の無さが窺える。
恩を感じて貰う程の事でもないので、彼としては少女の礼を受け取るつもりは無かった。
それに、探し物をしていた訳ではなく、ただ時間潰しに適当に書架を見回っていただけなのだし。

「…まぁ、君がその本を読んで何か得られたら幸いって事で……それが礼でいいよ」

フィアドラ > 「そうですか飛鷹与一さん…。私はフィアドラって言います!」

お互いに名前が分かっていた方が話をしやすいのです!
…ちなみに私に苗字はありません!

「ええ、いいんですか?で、でも…。」

何となくお礼いいよって言われてもこちらの気がすみません!

「何かを得られたらそれがお礼…分かりました。
 しゃあ、頑張って何か得るようにしますね!」

早速ページを捲って真剣になって読み始めます。

「あっもう少し待っててくださいねそろそろ何か得れる気がするので…。」

飛鷹与一 > 「フィアドラさんね……ん、まぁよろしく」

異邦人にはこちらで言う苗字に該当するものが無い者も多いらしいと聞いた覚えがある。
彼女もそんな感じなのだろうと思い、緩く頷きながら普通に名前で呼ぶ事に。
お礼に関しては本当に気にしていない、というより正直面倒臭い。

「……お礼目的で本を取った訳でもないし。あと、そこまで気張らないでもいいからさ…」

こちらとは対照的に元気溌剌、といった感じの少女…フィアドラを眺めて微苦笑を。
…いや、何も今この場で読み始めなくてもいいとは思うが。

「…フィアドラさん。せめてあっちの席で座って読んだ方がいいんじゃないかな」

と、一応言ってみるが、真剣になって読み始めている彼女に強くは言えなかった。

フィアドラ > 「はい、よろしくお願いします。」

頭を下げていいました。

「良い人は皆、そう言うんですよ!
 でも、それじゃあ私の気が済まないんです!」

そう、何でか分かりませんが気が済まないのです。
今まで特にそんな事はなかったと思うのですが…。
とにかく!

「ちょっとだけ、今いいところなのでちょっと待ってください!」

今、丁度世界に増えてきた異能者と対峙する魔術結社が出てきたところなのです。
盛り上がりそうな場面です!
ページを捲る手にも力が籠ります!

飛鷹与一 > 「……いや、そういう訳でもない気が」

彼女の言葉にやや困ったように。少女が気が済まないとしても、こちらは礼を貰う気は無い。
むしろ、良い人扱いされているが正直面倒臭いという思考もあり。
見て見ぬフリを決め込む可能性も大いにあった訳だが…ともあれ。

「……いや、まぁ、うん」

彼女の熱の入りようにやや気圧されたのか、歯切れ悪く頷きながら周囲を見渡す。
…幸い、司書さんや図書委員会のメンバーは周囲には居ないようだ。
居たら確実に立ち読み的な意味合いで注意されていたかもしれないし。
なので、結局彼女の脇に突っ立ったまま、死んだ魚じみた目で彼女が熱心に読書するのを眺めている。

(…俺のアレの影響…って訳でもない…のかな)

まだ会ったばかりの少女だ。今この瞬間にも発動している自分の異能が影響を与えている、というのは早計だろう。
とはいえ、自分の異能は表に出ない事に関してはかなりのものだ。本人ですら影響が分からないのだから。

フィアドラ > 「そんな事ないですよ!
 皆、いえ、ほとんどの良い人は言うと思います!」

…多分ですけど。想像ですけど。
言うと、きっと言うと思うのです。

「…うぅ、なんて良い話なんでしょう。」

凄い速さで読み進めた本はもう殆んど残っていません。
普通の人よりも早く本が読めるのは多分ヒュドラの特技なのです!
…それにしてもいい話です。
特に異邦人を受け入れることに関するところは涙なしでは読めません!
…色々な物に影響を受けやすいとよく言われる私ですが本を読んでこんなに感動したのは初めてかもしれません…。

「…これでっ…良いですか?お礼になりましたか?」

服の袖で涙を拭いながら聞きます。…もう片方の手に持った本は絶対濡らさないように気をつけています。
この本を読んで何か得た感じはします、何かは分かりませんがもう少し何回も読んでいたら分かる気もします…。

飛鷹与一 > 「あ、あぁ…うん、そうかもな…」

完全に気圧されている凡人少年。別に引いている訳でなく、その勢いに呑まれた様子。
とはいえ、凡人は凡人なりに思う事はあり、だからこそ性善説は信じていない。

「……いや、読み終わるの早いねフィアドラさん…」

自分がそれを読んだらもう少し掛かりそうな気がする。
とはいえ、速読が得意なのかもしれないし、漫画形式だから読み易いのもあるかもしれない。
しかし、凄い感動してる気がするがそこまでスペクタクルな内容だったのだろうか?

「お、おぅ十分過ぎるくらいには…」

服の袖で涙を拭う様子に、そこまで感動するものなのか?と内心で首を傾げ。
が、とやかく言う事は無い。少なくとも、彼女が何か得るものがあったならそれでいい。

「…どうする?その本を戻すなら俺がやっておくけど」

フィアドラ > 「そうなんです!私は本を読むのが早いんですよっ!」

…ちょっとした自慢です。
それに早かったのはこの本が面白かったのもあると思うのです。

「そうですか…それなら良かったです!」

異邦人の人がみたら、特に亜人系の人が見たらきっと感動すると思います。
色んな種族の人が共に暮らしていくための形作り!
様々な人の努力。その一部がこの本に詰まっているのです。

「はい、折角なので、借りていってもう少しゆっくり読んでみます。」

多分、もう一回読んだらまた新しい発見があると思うのです。
…読み飛ばしてるともいいます。

飛鷹与一 > 「…そうか、速読が得意なのかフィアドラさんは…地味に便利そうだなぁ」

勉学の時も役立つ気がする。さっき自分が地道にレポートを纏めていたのも緩和されそうだ。
とはいえ、流石に己が速読をマスター出来る気はしないが。
どちらかといえば、マイペースに書物を読むタイプなのである。

「……まぁ、大変容については授業内容とかでも出たりするだろうしね」

だから無駄な知識だという事は無い。漫画形式だから彼女も覚え易いと思う。
とはいえ、借りていくようなので、矢張り細部までは目が通せなかったのだろうか。

「…そうか、じゃあ俺はお役御免かな。受付カウンターの場所とかは分かる?」

まぁ、知っているとは思うが念の為。分からなければ案内はるすし、分かるならこちらは引き揚げるつもりだ。

フィアドラ > 「はいっ!知らない事ばっかりなので少しでも皆に早く追いつけそうなのは嬉しいです!」

そう、私がいたところには全くこの世界にある文明みたいなものはないところ。
えーとあれです『イナカ』というやつです。文字もないくらいの『イナカ』でした。
そんな『イナカ』だったのでだったので知識を早く手に入れることができるので便利だと思います。

「…授業の大変容は難しいんですよ!それで、悩んでたら分かりやすい本を先生が教えてくれたんです!」

知識が早く手に入るのとそれを理解できるのとは別の話なのです。

「あっはい、あっちですよね?分かりますよ。」

流石に広いといっても何回も来たことがあるのでそれは分かるのです。

「今日はありがとうございました!
 何か困ったことがあったら今度は私が助けますからね!あっその時もお礼良いですからね!」

そんな風に私も良い人であることをさりげなく伝えながら貸出カウンターに向かいます。
一週間くらいは借りられるのでしょうか?楽しみです!

ご案内:「図書館」からフィアドラさんが去りました。
飛鷹与一 > 「…そうか」

何と言うか、純粋というかその元気さが凡人で覇気が無い少年には眩しすぎた。
将来的に彼女は立派なレディーになりそうだな、と思う飛鷹少年である。

「まぁ、先生によって授業の分かり易さは違うからね。科目にもよるけど…」

大変容については、主に歴史や地理、後は魔術学と異能学も当然噛んで来る。
ならば、大変容をどんな形であれ大まかに理解しておくに越した事は無いだろう。

「…ん、じゃあ俺が案内しなくても平気だね。…こちらこそまた機会があれば」

彼女に頼る時が来るかは兎も角、同じような言葉を返されてしまった。
それに小さく苦笑を浮かべてから、受け付けカウンターへ向うフィアドラを見送り。
その後は少年も気だるそうな足取りで歩き出す。

ご案内:「図書館」から飛鷹与一さんが去りました。
ご案内:「図書館」に滝川 浩一さんが現れました。
滝川 浩一 > 「うぅむ…」

学校が終わり放課後、勉強のため図書館に来た少年が一人。
共用読書スペースで一冊の本を眉間に皺を寄せて読んでいた。

『誰でも出来る!初級魔法 ~入門編~』

最近、同居人に魔法を教えてもらったため、それを磨き上げる鍛錬のためにこの本を読んでいる。
しかし、魔法というのはこうも複雑なのだろうか。
というか初級魔法の入門編とか、極めるには果てしなさ過ぎませんかね。魔法。

滝川 浩一 > 本のページを捲り、数ページ捲った後は少し前のページに戻る。
内容を少しでも記憶しようと文字を何度も往復して読む。
しかし、『魔術学』の授業を取っているがやはり時間の問題か、忘れていた箇所が多々あった。

「…これは、少し手間かかるかもなぁ…」

小さくそう呟き、文字を暗記していく。
最近課せられた同居人の課題、自分にかけられた呪いを自分で解くという物。
力を借りているとはいえ、最初から学んで浄化魔法を使うに至るにはやはり時間が掛かる。

自分の体の『浸食』も徐々に進んでいるために悠長なことはしてられない。
いざという時はいくらでも頼る相手はいるが、やはり自分で何とかしたいという気持ちがあるようだ。

ご案内:「図書館」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > 本の香りに交じって,ふわりと流れてくる煙草の匂い。
貴方が顔を上げれば,“魔術学”の書架の前に白衣の男が立っている。
後姿は科学者然としているが,魔術学の授業を取ったことがあるのなら,
この男の噂くらいは聞いたことがあるかもしれないし,魔術学部棟のどこかで見かけたことがあるかもしれない。

「………。」

男は書架から手に取った数冊の本を抱えて,貴方の居る読書スペースへと歩いてきた。
視線を貴方と,その手元のテキストに向けて……

「……熱心だな。」

……小さく,そう呟いて苦笑した。
テキストの難度に似合わず,貴方が,だいぶ苦しんでいるように見えたから。

滝川 浩一 > 何処からかタバコの香りが漂い、それが自身の鼻に到達すれば周囲を見渡す。
そうして、こちらに声を掛けて来た白衣の男性が目に入り、顔を見上げる。
魔術学の授業で有名なその男性の顔がそこにはあった。

「あ、獅南先生」

彼の名前がふと口から出て来た。
とはいう物の、直接関わったことが無いために名前を間違えてないか若干不安が残る。

「え、えぇ…魔法とかはからっきしなので…少し真面目に取り組んでみようと思いまして」

苦笑いして呟いた彼に対してこちらも苦笑いで返す。
彼にとっては余裕のこの科目も、少年からしてみればかなりの難題らしい。

(俺、この先生苦手なんだよなぁ…)

冷や汗と手汗が滲み出始め、指先も少し震える。
彼の辛辣な評価の噂を耳にしているようで、こんな稚拙な教材を読んでいることに指摘を受けるのが怖い様子だ。

獅南蒼二 > 貴方が自分の名前を呼べば,僅かに目を細めた。
自分の担当する授業では,貴方の顔に見覚えが無かったからだ。
だが,この学校の生徒なら教師の名前を知っていてもおかしくはない。

「…誰にだって“初めて”のことはあるものだ。
 かく言う私も魔術の才能など,微塵も無かったのだからな。」

名前には,特に言及することも無かった。
つまりそれは,貴方が呼んだ名前が正しかったということの証明になるだろう。
そして,この教師の評判からすれば,貴方が不安に思うのも尤もなことだったが……

「…そのテキストは論理と感覚を過不足なく解説している。
 だが,少々手を広げすぎている感があってな……すべてを解説しようとしているのだが,逆にどこから始めればいいか分からん。」

……苦笑を浮かべながら近くの席に腰を下ろす獅南の反応は,貴方にとっては意外だっただろうか。

「……で,お前は何のために魔術学を学ぼうとしているんだ?」

滝川 浩一 > 彼の担当する生徒ではないこの少年。
魔術学の授業はしっかり取ってはいるものの、何の運だろうか、目の前の教師が担任になることは無かった様子。

「は、はぁ…そうなんですか…」

名前に対して何の反応もなく、間違ってなかったと安心した様子で胸を撫で下ろす。
しかし、ここで緊張を途切れさせてはダメだ。
ムッと顔に力を入れて真剣モード。

「は、まぁ、所詮、初心者が読むようなテキストですし…
 かと言って専門家が読むようなテキストだとそれこそ専門用語が飛び交ってて、何が何やら…」

先生が 自分の横に 腰を落ち着けた。
これは所謂、ちょっと話が長引くタイプの会話だろうと想像し、冷や汗が止まらない。
い、いや、落ち着け。今の先生の反応を見る限りでは特に指摘をする感じではない。

「え?っと…それは、同居人が魔法を少し教えてくれて、そのこれからも鍛錬を続けろって言われたので…」

突然の質問に目を泳がせ、震えた声で返す。

獅南蒼二 > 難解な課題を突き付けながらも,学ぶ意欲のある生徒には,いくらでも助言を与える。
それはこの白衣の男の普段通りの姿だった。
不幸にも,意欲的に学んでいる貴方が,ちょうど目に留まってしまったのだ。

「あぁ,いや,テキストの難度を上げろと言っているわけではない。
 魔術を使って何をしたいかを明確にしておけば,学ぶべきものが自ずと明確になるということだ。」

獅南が持ってきたテキストは“対抗魔術”に関するものばかり。
それがどのようなものなのかは,貴方が読んでいるテキストにも載っているだろう。
魔術を打ち消してしまう魔術,魔術に対する防御のために使われる魔術だ。

そして,貴方が震えた声で返した答えに,獅南は肩をすくめた。

「同居人……なるほどな,動機はそれで十分だ。」

同居人,という響きから何を思ったか,楽しげに笑う。

「だが,私が言っているのは動機ではなく,目的だ。
 言い直そう,お前は魔術によって,何をするつもりなのだ?」

滝川 浩一 > 目に留まったのなら仕方のない。特に突き放す理由はない。
というか、突き放す言葉が思いつかない。

「あ、は、はぁ…学ぶべきもの…ですか」

先生の言葉を聞いて、頭の中でそれを復唱する。
年の功か、先生の言ってることは的を得ていて、その言葉に深く感服する。
怖い先生という噂を聞いては居たがいい先生じゃないか!
先生の持っている対抗魔術のテキストをチラッと見て、そう思う生徒。

「えっと…」

同居人という言葉に楽し気に笑う先生を見て、こちらはひたすら困惑。
そして、魔術を学ぶ目的を聞かれ、一転して真面目な表情に変わる。

「…つい最近、この島に出現している妖怪…のような黒い塊の件です。
 その黒い塊と戦う機会がありまして、最初はこちらが優勢でした。止めの大技を極めたと思ったのでしたが…

 迂闊でした。黒い塊の残滓が自分の体を突き破りました。
 幸い、友人が助けてくれたお陰で一命は取り留め、このように学問に精進できるようには回復したのですが…
 ……奴らの呪いという奴なのでしょうか。体に、黒い痣ができ始めたんです。
 
 その呪いを自力で浄化するために魔術を学んでいます。
 尤も、自分の体を支配するまでに浄化魔術を扱えるようになるか怪しいですけど…」

先生に魔術を学ぶ目的を告げる。
先ほどの震えた声とは違い、しっかりと力の入った声で返した。

獅南蒼二 > 楽しげに笑う白衣の教師も,貴方の“目的”を聞けば…

「ふむ……。」

小さく声を漏らして,真剣な表情に変わった。
彼にとってはこの瞬間に,同居人だとか,テキストの内容だとか,そんなものはもうどうでもよくなっている。

「……残念だが私はその“黒い塊”について詳しくはない。
 だから今から言うのは独り言で,なおかつ妄言だ。」

「お前は今確かに“呪い”と言ったが,それが憶測でしかないという前提に立つ。
 体系化された呪術であるのか,原始的な怨念の部類なのか。
 呪いではなく,瘴気などに類する毒の影響である可能性もゼロではない。
 何にせよ,まずはその正体を正確に見極めることだ。
 “黒い塊”についての情報や,過去の事例から同様の症例を探し,発現している事象の原因を特定しろ。」

独り言は終わらない。独り言と言い切っているからこそ,貴方の反応を待つこともしなかった。

「…原因を特定した後に,それを排除するに適した魔術を学ぶことだ。
 それは魔を滅する浄化であるかもしれんし,怨念や呪詛を退ける解呪であるかもしれん。
 もしかすると,体内の瘴気や毒素を中和する治癒であるかもしれん。」

そこまで言ってから,小さく息を吐いて…

「少々お節介だったかも知れんな。
 …お前が己の努力と研鑽によって,それを乗り越えられるよう祈っているよ。」