2017/05/16 のログ
■竹林はんも >
肉体派でなさすぎる私は、運動神経の他、反射神経も鈍いです。
垂直落下してくる凶器を目視は出来ていましたが、他に何一つ出来ませんでした。ちゃんと言えば反射的に目をつぶって顔をそむけることも出来ていなかったわけですね。
世界が厳しくも正しいものであれば、私の鼻は数ミリへこんでいたことでしょう。
しかし、世界は怪しくも優しく――本と私の間に、不透明な物体が差し込まれるところまでは認識しました。
そのラグでようやく私の身体は動き出し、目をつぶって顔を背け、へたりと尻から床に倒れ込みます。
私がアンラッキー・バイオレンス・ピタゴラスイッチであれば、この拍子に背後の書架へ頭をぶつけて本の雪崩を起こしていたかもしれませんが。
幸い、運がいいので。そういう面白展開はありません。
「だっ……大丈夫です。くっ……」
たまの反射行動で白筋が悲鳴をあげていました。攣りそうです。
なんとか、助けてくれた人へと顔を向け、やや青ざめていそうな気がする表情で言葉を返します。
そして背後からは、聞き覚えのある機動音がしました。
■イチゴウ > その二人に近づいている間に
背の小さい生徒が取り損ねて
落下した本を少年が異能で防いでいた。
お見事。
そしてその助けた少年を見れば
「ん?与一じゃあないか。
今日は何かの調べものか?」
同僚である彼にあいさつがてらの
質問をぶつけると次に少女の方を向き
「キミ、あんまり無理にとろうとすると
危ないぞ?」
見覚えのある少女にたいして
冗談めいているような口調で注意する。
■飛鷹与一 > どうやら少女の方は大丈夫そうだ。顔が若干青褪めている気がしないでもないが。
特に何処か怪我をした、という訳でもなさそうだが。と、覚えの有る駆動音にそちらに顔を向けて。
「あ、どうもイチゴウさん。ええ、ちょっと異能について調べたい事がありまして。」
何度か面識の有る彼へと軽く会釈をしつつ。続いて少女のほうへと視線を戻す。
イチゴウの様子から、どうも彼とこの少女は面識があるような感じに思える。
ともあれ、さっきそっと魔術で床に下ろした書物を拾い上げる。幸い濡れたり霜が下りたりはしていない。
書物に湿気と火気は厳禁だから気をつけなければ、と思いつつ。
「えーと、立てますか?あとこれ、貴女が取ろうとしていた本です」
右手を差し出して立ち上がる手助けをしようとする。もし、彼女が手を取って立ち上がれるなら左手に持った書物を手渡そうと。
「一応、近くに確か専用の脚立があった筈ですので、それを使った方が安全かもしれませんよ?」
と、アドバイスという程でもないが少女にそう告げておこう。
■竹林はんも >
弘法も筆の誤りなんて粋がりたいところですが、この度は人に迷惑をかけてしまい大変申し訳がないので、反省一辺倒です。
「これは機械の憲兵さん……恥ずかしいところを」
無理なつもりはなかったんですけどね。と、言い訳を口に出すことは憚られました。
図書館という環境の都合、大気の水分量が恐ろしく低いですね。
普段通りの魔力しか練り込まなかった砂が乾燥に負け、強度を失っていたようです。
周辺の気温が僅かに低下しているのを察するに、氷の魔術と見ましたが。
分子の構成上強度に勝るとはいえ、ううん、いや……こんなこと考えている場合じゃないですね。
「はい、立てます、ごめんなさい……大変、助かりました」
差し出された手をありがたく……やや恥ずかしいですが、ぎゅっと掴んで立ち上がります。
「そうですね……脚立……」
ふふふ、利用したが最後、多分本を手にした状態で脚立を降りることが出来ないという未検の事実は差し控えさせていただきましょう。
本を頂いて頭を下げます。
「……」
おっと、助けられた手前調子に乗りづらく、頭から「っっっ」こういうのを飛ばすみたいな感じですよ。
■イチゴウ > 「なあにそういう時もあるもんさ。」
少女の答えにゆっくりとうなずきながら
そう返す。彼女の魔力反応を見れば
恐らくかなり魔法は得意な部類と推測される。
故に今回の事態は力不足などではなく
ただのミスなのだろう。
「なるほど・・・異能の研究ねえ。
因みにこっちは認識阻害についての
情報収集さ。いつぞやの案件の仮面に対する
解析コードが全く組めなくてね
紙媒体という古典的なモノに戻る羽目になったんだ。」
与一に対して言葉を返しているのだが
最後にいくにつれだんだん愚痴っぽく
口調が変わっていく。
「それで自身の異能について
何か進展はあったか?」
一通り自分の事を言い終えると
自身の異能を不安視していた与一に対して
確認という意味でそんな質問をしてみる。
■飛鷹与一 > 「どういたしまして。…良かった、結構派手に尻餅付いていたんで、何処か痛めたりしてないかと思ったんですが…」
と、小さく笑いつつ少女の手を取って立ち上がる補助を。書物もキチンと手渡しつつ。
あと、口には出さないが脚立使っても何か駄目な気がした。ただ、そこは口に出さないのが礼儀だ。
「…あ、自己紹介遅れてすいません。2年生で風紀委員会所属の飛鷹与一といいます。そちらのイチゴウさんとは知り合いで一応同僚…ですかね?」
と、後半はイチゴウへと確認するように。同じ風紀委員会のカテゴリーには多分入るだろうから、間違いではないだろう。
まぁ、ヒラと特別攻撃課所属ではかなり違うとは思うけれど。
「ああ、何か未だに正体不明らしいとは小耳に挟みましたけど…認識阻害、ですか。
でもそれ、解析コード?を定期的に組み替えられたら意味が無い気がしますけど。
そんなに正体不明の人なら、そこは矢張り解析される事も想定して二重三重の策を用意してる気がします」
と、イチゴウに一応の自分の考えを述べてみる。とはいえ自分はその人物と相対した事が無いから、断定などは勿論出来はしないが。
後半、彼が愚痴っぽくなっていたのは苦笑を返すしか出来ないけれど。
「進展はないですね…まぁ、こっち来てからずっと研究員の人達のモルモットもどき扱いですし」
先天性の異能である「死線」は一応、自分限定の現実改変系と分類されている。
ただし、力のオン・オフも操作もまったく出来ない。完全自動発動型なのだ。
もう片方の異能は、そもそも正式に申請していないのもあり、流石にそこは語るに語れない。
■竹林はんも >
別に人見知りというわけではないのですが、あまり失敗を誰かに見られることがない故に、自分の気持ちの置きどころを見失っている節がありますね。
くっ、いまはこの機械さんの存在がありがたい……共通認識の大事さがはっきりとわかる事例でした。
助けられてキュンと来ているわけじゃ全然ないんですけれどね。
面白い会話がなされているようですし、何しろこちらは生来のお喋り好きですから。
与えられたきっかけから消化していきましょう。
「飛鷹さん――ですね。申し遅れました、私は一年の竹林はんもと申します。まだ無所属で……あ、機械さんにもお名前は告げてませんでしたね。イチゴウさんと仰るんですか。私はそんな素性です。
助けていただきまして改めてありがとうございました」
ちゃんと感謝を伝えてませんでしたので、忘れない内に。
それからがっつり話に乗っかります。調子に乗りづら……なんの話ですか?
「全然分かりませんけど、認識阻害で術的なものであれば、方向性としては呪術的なものも考えられますよね。
魔術は解法を編んで解くものですが、呪術は理解の前に破るものですから、アタックの方向性をより攻撃的に変えてみたりしてもいいんじゃないでしょうか」
自分のテンションの上がり方が手に取るようにわかりますね……これは恥ずかしい。
元々今日は異能関連のお勉強に来たので、飛鷹さんの話も気になりますが。
モルモット発言が挟まっているとなったら、なかなかとっつきづらいですね……。
「飛鷹さんのは、どんな力なんですか? ああっと、秘匿事項であればもちろん気にしません」
まあ好奇心の前には無力ですけど。
■イチゴウ > 「オーケー、はんもさんね。覚えた。
というか自己紹介とかしてなかったな・・・
横の彼が言ってくれた通りボクの名は
イチゴウ。一応HMT-15ってのが正しい名前
なんだけど面倒くさいからイチゴウでいいよ。」
自己紹介の流れにあやかって自分もまた名前を告げる。
そして認識阻害の件について二人の見解を聞けば
「なるほど呪術的なシステムという事も
十分に考えられるか。」
正直呪術的な知識は持ち合わせていない。
理由としては魔術とは違ってより閉鎖的な
技術であるからか。しかしこの方面から
攻めてみるのも一つの打開策になり得るか。
するとイチゴウは不意に何かを思い出したように
身体をぴくっと動かすと
どこから取り出したのか一枚の写真を
前右足で器用にそこらの手ごろな台の上に置く。
「そういやキミ達にはこの写真に写ってるものは
何に見える?いや何か見る人によって言う事が
バラバラなんだよね。やい大柄な男だの
3メートルくらいの女だの醜い化け物だの・・・
これじゃ調査材料になりゃしない。」
この写真は先の話に出てきた案件中の
イチゴウの記憶データを現像したもので
映っているのは与一には前に話した
仮面を付けた白い暗殺者である。
しかしこの写っている人物かこの写真かは
分からないが何やら認識改竄効果を
発生させているらしくそこに写る姿を正しく見る事は出来ない。
それこそ正しく見る事が出来るのは
そういった精神効果を完全に打ち消せる者のみだろう。
もしくはこの写真に写っている者の
正体が分かるなら正しい姿を感じる事も
出来るかもしれない。確証は無いが。
■飛鷹与一 > むしろ、初対面でキュンとされたら逆に少年も反応に困っていたかもしれない。
割と地味少年だし、そういう経験無いから仕方ないね。まぁ、それはさて置き。
「竹林さん、ですね。ハイ、よろしく御願いします。…えーと、呪術的なシステムとかは俺は専門外だからアレですが。
魔術と異能の知識が多少あるくらいですしねぇ、俺…」
少年があまり他の人と魔術等の話をしないのも、そもそも知識量が足りないと思っているからだ。
と、彼が差し出した写真を眺める。…首を傾げた。少年的には黒い曖昧な輪郭の陰にしか見えない。
この時点で少年がもう一つの異能…「天眼」を使えば分かったかもしれない。
だが、何か知ってはいけない、暴いてはいけない気がして稲生は使わずに。
「えーと、俺には輪郭が曖昧な黒い影っぽいのにしか見えませんね。
映像や写真記録でも認識を阻害する感じで…多分、人によって見え方が違う細工もありそうですね」
と、自分が見えたモノと大まかな見解を述べてみる。正直、認識阻害とか自分にはどうしようもない。
もう一つの異能はそもそも、あまり口外するとまたモルモット扱いされそうでまだ一部にしか話していないし。
と、竹林さんの質問にあー…と、やや苦笑いを浮かべつつ。
「えーと、自分限定の現実改変能力、に一応は分類されるらしいです、研究者の人が言うには。
内容は一言で言えば…「死を捻じ曲げる」という感じ、でしょうか?
まぁ、ぶっちゃければ即死攻撃は全て異能が自動的に何とかしてくれるってヤツです。
その代わり、常に発動しててコントロール出来ませんし、しかも寿命、というか生命力を削るらしいです。
まぁ、あくまで俺自身を死なせない為の改変能力なんで、周りにどうこうは起きない…筈なんですがね」
最後、苦々しい顔で溜息をこぼす。寿命を削るとか即死を自動無効化とかよりソレの方が気が重い。
と、いうか即死を無効化しても代償で命を削る時点で、ぶっちゃけあまり意味が無いと思うわけで。
ご案内:「図書館」に飛鷹与一さんが現れました。
■竹林はんも >
イチゴウさん、絶対に壱号のことだと思ったんですが、違うんですね……太郎次郎的な感じじゃない……
これが愛玩用だったらクレームモノですね。いや人格ある相手に愛玩用だったらとか言ってる私こそ懲罰モノですかねこれは。
「うーん……」
覆面は隠すもの、仮面は偽るもの。そういう格言があります。
イチゴウさんの話を聞くに、この認識阻害は『偽る』ことに特化した部分があるように感じられますね。
人を欺くための、人為的な細工であれば――人工的であるほど、自然は欺きづらいものです。
私であれば――。
「……うーん、写真だと難しいですね。塩と清酒を撒いて聖火で焼けば意外と解呪されたりするんじゃないですか?」
冗談めかしてお茶を濁しました。
関わる気がないからです。もしその術が、"植物が見たものを聞くことで"効果が薄まるものだとすれば、少し見えるのかもしれません。
だとすれば私は、あまり関わりたくありません。
「現実改変能力……!」
大声出しそうになりました。まあこれはこれで自然に話題を外せたのでいいでしょう。
実際気になりますからね。
「自動発動で寿命を代償に……難しい力ですね。厄除けのお守りが全身を覆っているイメージですかね。事故に遭うと無傷の代償に数珠が飛び散るような? 改変というよりも『後回しにしている』印象でしょうか……高所からわざと飛び降りたらどうなるんでしょう。あるいは水没して常に死を纏わせたほうが本質を見極めやすい……いずれにしてもすごい力には変わりないと私は思いますね。運命に干渉する能力でしょうか。死に際が確定していてゴールが近づいてくる……逆に言えば生命力を吸収するような手段があれば……んん……」
……いやいや!
「失礼しました」
手遅れ感ないですか?
「なるほど。自分の死と寿命をすり替えるような力で、確かに『人が死ぬ』現象を『寿命』で清算しているとなったら、明らかに辻褄が合いませんからね。それで周りへ災禍の拡散をしているんじゃないか、と……大変ですね!」
何を取り繕う気だったか自分でも分かりませんが、とりあえず最悪な締め方をしてしまいましたね。なんだ大変ですねって。
■イチゴウ > 「やっぱりダメか。この写真は
調査材料としては没だな。」
イチゴウはやれやれといった様子で
写真をまたどこかにしまう。
不意に与一の異能へと話題がそれたので
自身もそれに乗っかる。
「現実改変能力ねえ・・・一番相手に困る能力系統なんだよなソレ。
一応ボクには異能魔術とかの超自然的現象を打ち消す装置が備わっているけど
今回の与一みたいに制御できていないケースだと
無効化するどころかさらに異能を変異させて
最終的には運命を破綻させる可能性もあるからな
ボクでは何の力にもなれそうにないよ。」
すまないと言わんばかりの落としめの
トーンで与一にそう話す。
恐らくこれは他者が介入できるものではなく
彼自身で解決していくものなのだろう。
■飛鷹与一 > 「えーと、すいません。俺や竹林さんでは流石に力になれそうもないですね…。」
困ったように苦笑いで軽く頭を下げる。彼の地道な調査は今後もまだまだ続きそうだ。
むしろ、風紀委員失格かもしれないが、少年としては仮面の人物と遭遇なんてしたくない。
一瞬で殺され…は、しないか。異能効果で。だが、どのみち相手したくはない。
「現実改変、というか正確には「限定事象改変」…ですかね。
死という概念、事象を改変…捻じ曲げて回避する訳ですから。
…って、イチゴウさんも何気にとんでも装置ですよねそれ!?
…あーでも、一時的に無効化しても結局、オン/オフが自力で出来ませんからね俺の力は。
無効化が切れたらまた自動発動で元通り、という感じでしょうし…。
せめて、多少なりとも力の方向性とか制御できたら少しは活路が見えるんですが…。」
二人の意見を聞きつつ、ハァと溜息。別に自殺願望は無いし、出来れば長生きはしたい。
だから、このまま勝手に力のせいで命を削られるのは勘弁願いたいものだ。
とはいえ、研究員が言うには改変能力者は一定数居るが、そのどれもが複雑で検証が厄介らしい。
例えば、この少年の「死を捻じ曲げる」特性もかなり希少扱いだ。…代償や操作不可能という点でアレだが。
「あと、厄介なのが死を捻じ曲げた反動…代償とは別ですね。それが何か周囲に撒き散らされてランダムに災難を引き起こす可能性が高いそうです。
…って、いうかぶっちゃけ俺って疫病神もどきな気がしてきましたよ」
ゲンナリ。こうして二人と会話していて思う。この異能やっぱ最悪だ。自身をあらゆる死から守る代償に命を削り、更に周囲にランダム災難を巻き起こす。
…ああ、モルモット扱いされる背景も何となく今、自覚できた。有る意味で非常に厄介な能力者であろうし。
■竹林はんも >
あのままだと試しに死んでみませんか? まで言ってましたね。危うく小一時間も経たないまま新しい人間関係を終わらせてしまうところでした。
人は常識に囲まれて生きていますから。負けるな理性。
「単純に、それこそ身代わりを立ててみてはどうでしょう。
水晶の数珠や髪を編み込んだミサンガをつけて……死という概念を災厄という観点から、それを祓ったり封じたり、吸い込んだりする道具を使うんですよ。
少なくとも『死を改変して現象に切り替える』という時点で、『死』っていう曖昧な概念を『なんらかの現象』……たとえば生命力や運命へのダメージに変えているわけじゃないですか。
そうなると、曖昧な『死』より、圧倒的に対処しやすいと思いませんか?
死ぬことに気をつけて、と言われるよりも、交通事故に気をつけて、と言われたほうが対処しやすいですしね。
死が不幸や災難に変わるなら、能力そのものを制御するんじゃなくて、飛び散った現象に対応したほうが現実的ですよ」
異能は極めて個人的な力なので、こういう大雑把な枠組みに囚われる可能性もそこまで高くはないのですが。
でも、能力が発動したときに、『誰か』へ被害が及ぶのを防ぎたいなら――自分の最も身近な、自分自身へのアクセサリーとして、その災厄を引き寄せやすい媒体を身につけるのは、古来から行われている方策ですからね。
「そういう、厄に反応して砕け散る護符や数珠みたいなのを売ってるお店なら知ってますよ」
わけあって、街の商店には詳しくなりました。
ご案内:「図書館」に飛鷹与一さんが現れました。
■イチゴウ > 「いやいや気にしないでくれ。
風紀の調査ではこういう事は日常茶飯事さ。」
困ったように返す与一に対して
ハハハと笑いながらそう言葉にする。
そして彼の異能・・・
自分ばかりではなく他の人物に影響を
与えてしまう可能性もあるのか。
そうなればこれは非常に気を付けていかなければ
いけない問題だろう。もっともそれは
本人が一番わかっているとは思うが。
「さて、ボクはそろそろ本部へと戻ろうかね。
与一にはんもさん、今日は世話になったよ。」
時計を確認しつつそう呟くと
白い四足ロボットは出口へと歩き出し
この図書館を後にするだろう。
ご案内:「図書館」からイチゴウさんが去りました。
■飛鷹与一 > むしろ、それで竹林さんに「反動」…災難が降り掛かっても俺は責任取れないんですが!?と、多分言われていたら返したかもしれない。
まぁ、撒き散らされる範囲は確かめた事なんてそもそも無いが、流石にそんな広範囲ではないだろう。
「身代わり…肩代わりさせる、という考えですか。確かにそういうアイテムがあれば心強くはありますが。
そういうマジックアイテム…?みたいなのには素人なんで詳しくないんですよね。ガセというか眉唾物も多いでしょうし。
…けど、正直そろそろ対処法を考えないとキツかったですからね。竹林さん、そのお店教えてください」
と、頭を下げる。肉体的にまだ平気でも精神的に地味にキツいのだ。
少なくとも、関係ない誰かが自分の力の発動の余波で災難に巻き込まれるとか、自分自身にヘドが出る思いになってしまう。
「あ、ハイ調査頑張ってください。引き続き、何か俺のほうでわかればご連絡します」
と、先に戻るであろうイチゴウへとそう声をかけつつ、軽く会釈も交えて見送ろうと。それから、竹林嬢へと視線を戻し。
「あ、何か雪崩れるようで恐縮ですが俺もそろそろ引き上げますね。
お店の場所とかだけ教えて頂ければ幸いです」
と、いうかこの少女、地味に凄い知識量と閃きだ。お陰で、根本的な活動はまだまだが「対処法」の活路は見えてきた。
ご案内:「図書館」に飛鷹与一さんが現れました。
■竹林はんも >
「色々厳しいお店なので、魔術に詳しいお友達か、心強い重さのお財布を持っていくといいですね」
異邦人街にはボッタクリが多いです。文化の違いを逆手に取って、下手すると落第街の手前より多い気がします。
私もお願いされたら引き受けないではないですが、そういう店での私を見られるリスクを考えたら安請け合いはしづらいですね。
「お疲れ様です、イチゴウさん。
……大変なんですね、風紀委員は」
絶対にならないでおこう。そう思い至るに十分でした。この飛鷹さんも、同僚? のようなことを言っていましたっけ。
中枢に近いのであれば、被験体になることも多いのかもしれませんね……実験……近づけばできるのか……それは逆にプラス……
「私も、そもそも本を借りに来ただけですからね……いや本当に助かりました」
鼻がなくなるところでした。
さて。本を借りる間、ちょちょいと飛鷹さんに店の場所を教えます。
住所だけじゃ怪しいので、記憶できている限りの簡略図をお渡しして。
異邦人街でも結構異文化の濃いところなので、やや気合が要るかもしれません。
居るといいんですけどね、魔術に強い知り合いの方が。
「それでは、お世話になりました」
私も家へと帰ります。
カビっぽいチーズを買って帰りましょう――。
ご案内:「図書館」から竹林はんもさんが去りました。
ご案内:「図書館」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「魔術に詳しい…心強い重さの財布…」
あ、何かもう初っ端から詰んだ気がする。魔術に詳しい知り合いは居るが、そもそもその人は講師だし忙しいだろうし。
あと、風紀委員だからお給料は出ているが、生活には十分でもそっち方面だと法外な値段を吹っ掛けられそうで怖い。
彼女に頼もうか、とも思うが迷惑を掛けそうで気が引ける。それにこれは個人の事情だ。
一応、お店の場所とか教えて貰えるだけマシだと思っておこう。
そんな訳でお店の場所とか簡略図を受け取る。そういえば、異邦人街は警邏とか以外でまともに立ち寄った事が無いな…今度歩き回るのもいいかもしれない。
「あ、いえいえこちらこそ色々とありがとうございました。それでは」
先に立ち去る竹林嬢を見送ってから、少年も一息ついて図書館を後にしよう。
ご案内:「図書館」から飛鷹与一さんが去りました。